説明

太陽光発電システム及びその故障表示装置

【課題】監視用の接続線の数の増加及び太陽光の遮蔽を抑制しつつ、故障の発生を報知でき、故障発生箇所の探索時間の短縮化と探索作業の省力化を図る。
【解決手段】太陽光パネル2の受光面の高さよりも下方に配置された支持体10と、支持体10に設けられ、太陽光パネル2の受光面の高さよりも下方の収納位置と、太陽光パネル2の受光面の高さよりも上方に突出する報知位置との間を変位する表示器11と、故障の検出に基づく外部からの動作信号の入力に応じて、表示器11を収納位置から報知位置に変位させる駆動装置12と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、たとえば、太陽光発電システムの故障を検出して表示する故障表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムは、太陽光パネルからの出力を、PCS(Power Conditioning System)と呼ばれる装置に接続することにより、所望の電力が得られるように構成されている。PCSは、基本的には、直交変換のためのインバータ機能を有している。
【0003】
このような太陽光発電システムにおいては、大電力を得るために、複数の太陽光パネルがまとめられてPCSに接続されている。ここで、複数の太陽光パネルを直列に接続したグループを、ストリングと呼ぶ。そして、互いに並列に接続された複数のストリングのグループを、アレイと呼ぶ。
【0004】
また、太陽光発電システムにおいても、他の発電システムと同様に、遮断器及び避雷器が実装されている。その理由を、以下に説明する。すなわち、各ストリングからPCSまでの接続線は、全て正極(P)と負極(N)の導線を含んでいる。
【0005】
短絡は、このPとNが電気的に接続点をもつ現象である。短絡部分はア−クにより発熱する。発熱は、場合によっては火災の原因となる場合もある。この短絡事故の保護のために、遮断器の実装が必要となる。短絡事故が発生した場合、事故発生点の上位にある遮断器をトリップ状態(自動的に遮断される状態)として、短絡事故を解消する。
【0006】
一方、避雷器は、誘導雷サ−ジや実系統での回路の開閉に起因する異常な過電圧が発生する場合に、機器の絶縁強度を確保するために実装される。
【0007】
このような遮断器及び避雷器は、上記の目的のため、各ストリング毎に設けられている。また、複数のストリングをまとめたアレイ毎にも、遮断器及び避雷器が設けられている。さらに、複数のアレイをまとめてPCSに接続する接続線にも、遮断器及び避雷器が設けられている。
【0008】
複数のストリングをまとめたアレイ単位の接続線は、接続箱において束ねられている。複数のアレイの接続線は、集電箱において束ねられている。そして、各遮断器及び避雷器は、接続箱、集電箱に収容されている。
【0009】
このように、遮断器及び避雷器の設置箇所は多数に及ぶため、太陽光発電システムの規模が大きくなればなるほど、遮断器及び避雷器の設置数は多くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−289578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、遮断器のトリップ動作時、避雷器の劣化時は、太陽光パネルの電力利用率が低下し、機能の正常性が確保できていない状態といえる。このような状態での運転は好ましくないので、早期に故障が発生した箇所を探索して、復旧、交換、修理をする必要がある。
【0012】
しかし、現状の太陽光発電システムにおいては、遮断器がトリップ状態となっても、個別の遮断器の状態を外部からまとめて把握する機能はない。PCS間での出力を比較して、明らかに判別できるほどの電力損失にならないと、各遮断器の状態は把握し難い。このため、作業員が故障発生箇所を探索するのに長時間を要している。
【0013】
また、各避雷器については、本体に動作表示部が設けられている。このため、動作表示部の表示の変化(たとえば、正常時:青 故障時:赤)により、劣化を報知できる。しかし、その動作表示部の確認は、巡視員による巡視の時に、目視により行われる。このため、故障の発生から、一定期間遅れての発見となる。したがって、正確で迅速な復旧対応がとれない。
【0014】
これに対処するため、個々の遮断器及び避雷器を、ネットワークを介して監視装置に接続することも考えられる。しかし、最近のメガワット級の太陽光発電システムのように規模が巨大となると、上記のように遮断器及び避雷器の数は膨大となる。このため、全ての遮断器及び避雷器を、監視装置に接続するためのケーブル数は膨大となり、現実的ではない。
【0015】
また、電力系統の故障区間等を表示するために、鉄塔等の高所に折り畳んで掲げられた表示部材を、故障発生時に広げて報知する技術は存在する。しかし、常時高所に掲げた表示部材を用いること、さらにその表示部材を広げることは、太陽光を遮ることになる。太陽光が遮られると、太陽光パネルの出力は著しく低下する。このため、かかる技術は太陽光発電システムにおいては好ましくない。
【0016】
本発明の実施形態は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、監視用の接続線の数の増加及び太陽光の遮蔽を抑制しつつ、故障の発生を報知でき、故障発生箇所の探索時間の短縮化と探索作業の省力化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記のような目的を達成するため、本発明の実施形態は、以下のような技術的特徴を有する。
(1)太陽光パネルの受光面の高さよりも下方に配置された支持体
(2)支持体に設けられ、太陽光パネルの受光面の高さよりも下方の収納位置と、太陽光パネルの受光面の高さよりも上方に突出する報知位置との間を変位する表示器
(3)故障の検出に基づく外部からの動作信号の入力に応じて、前記表示器を収納位置から報知位置に変位させる駆動装置
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態の故障表示装置の平常時(a)、動作時(b)を示す側面図
【図2】第1の実施形態の故障表示装置の平常時(a)、動作時(b)を示す平面図
【図3】第1の実施形態の故障表示装置の設置例の平常時を示す側面図
【図4】第1の実施形態の故障表示装置の設置例の動作時を示す側面図
【図5】第2の実施形態を示す回路図
【図6】第3の実施形態を示す回路図
【図7】第4の実施形態を示す回路図
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施形態]
[1.構成]
本実施形態の故障表示装置を、図1〜図4を参照して説明する。すなわち、図1及び図2に示すように、故障表示装置1は、支持体10、表示器11、駆動装置12を有している。支持体10は、太陽光発電システムの接続箱若しくは集電箱の筐体である。
【0020】
表示器11は、長方形状の板状部材である。この表示器11は、図1(a)に示すように、長辺の両端側の縁から対向する方向に押圧力が加わると、複数箇所が屈曲された折り畳み状態となる。また、図1(b)に示すように、折り畳み状態の表示器11は、押圧を解放すると、長方形状の伸張状態に復元する。表示器11の材質は、前記のような折り畳み状態と伸張状態とに変形可能な材質であればよい。たとえば、表示器11の材質として、常温で変形可能な形状記憶樹脂を用いることができる。この形状記憶樹脂としては、人の体温で温めることにより変形(折り畳み)可能で、外気温により元の形状(伸張状態)に戻るものを用いることが望ましい。
【0021】
駆動装置12は、回動部材12a、蝶番12b、永久磁石12c、電磁石12dを有している。回動部材12aは、支持体10の天板10aに配設された直方体形状の部材である。蝶番12bは、回動部材12aの一側面の下部と、支持体10の一側面の上部との間に取り付けられている。これにより、回動部材12aは、蝶番12bの軸を中心に回動可能に構成されている。
【0022】
平常時における回動部材12aは、図1(a)、図2(a)に示すように、支持体10の天板10aに載置された状態となる。回動後の回動部材12aは、図1(b)、図2(b)に示すように、その底面が天板10aから離れて、天板10aと同等の高さの水平面となる状態となる。
【0023】
また、回動部材12aには、平常時において、折り畳み状態の表示器11を収容する空間である収容部12eが設けられている。この収容部12eの内部に、表示器11の一端が固定されている。なお、図1(a)、図2(a)に示すように、平常時に、表示器11が収容部12eに折り畳まれて収容された位置を「収納位置」とする。また、図1(b)、図2(b)に示すように、回動部材12aが回動して、表示器11が直立した位置を「報知位置」とする。
【0024】
永久磁石12cは、天板10a上の回動部材12aの底面に設けられている。電磁石12dは、天板10aにおける永久磁石12cに対応する位置に設けられている。電磁石12dには、故障発生により動作信号が入力されて励磁されるように、接続線が接続されている。
【0025】
以上のような故障表示装置1は、図3及び図4に示すように、太陽光パネル2の架台3に対して設置されている。すなわち、架台3は、基台31、支柱32、33、34を有している。基台31は、地面、屋上等の設置面に、水平方向に設置された方形状のフレームである。
【0026】
支柱32、33、34は、基台31に所定の間隔で立設された柱状の部材である。支柱32は短尺であり、傾斜した太陽光パネル2の低端側における両縁を支持している。支柱33は長尺であり、傾斜した太陽光パネル2の高端側における両縁を支持している。支柱34は、支柱32、33との間において、太陽光パネル2の両縁を支持している。
【0027】
支柱33には、支持体10が取り付けられている。この支持体10の取り付け位置は、図3に示すように、太陽光パネル2の受光面の高さよりも低い位置である。また、「収納位置」にある故障表示装置1の表示器11も、太陽光パネル2の受光面の高さよりも低い位置にある。そして、図4に示すように、「報知位置」となった故障表示装置1の表示器11の上端は、太陽光パネル2の受光面の高さよりも高い位置となる。
【0028】
なお、「報知位置」にある表示器11は、隣接する太陽光パネル2への太陽光を遮る可能性がある。そこで、表示器11の長さを、太陽光パネル2の設置現場において、太陽光の遮蔽を最小限とする最適な長さとなるように、調節可能な構成とする。たとえば、表示器11を樹脂製とすれば、ハサミやカッター等の切断具によって容易に切断できるので、簡単に長さを調節できる。
【0029】
[2.作用]
以上のような本実施形態の作用を説明する。まず、平常時には、図1(a)、図2(a)、図3に示すように、故障表示装置1の回動部材12aは、支持体10の天板10a上にある。この状態では、電磁石12dの磁極鉄心に永久磁石12cが吸着している。このとき、表示器11は、回動部材12aの収容部12e内に押圧されて折り畳まれた「収納位置」にある。表示器11の折り畳みと、永久磁石12cと電磁石12dとの吸着は、作業員が行う。たとえば、表示器11として、上記の形状記憶樹脂を用いた場合、作業員が表示器11を手等で体温により温めて折り畳むことができる。作業員は、折り畳んだ表示器11を収容部12eに収容し、回動部材12aを回動させて、永久磁石12cを電磁石12dの磁極鉄心に吸着させる。収容部12e内に折り畳まれた表示器11は、外気温の影響により、元の伸張状態(長方形)に戻ろうとする。しかし、永久磁石12cが、電磁石12dの磁極鉄心に吸着しているため、表示器11は収容部12eによって押さえ込まれている。このため、表示器11は折り畳んだ状態を保持している。
【0030】
そして、故障の発生により、接続線から動作信号が電磁石12dに入力されると、電磁石12dが励磁される。すると、永久磁石12cに対する反発力が発生するので、永久磁石12cが上方に付勢される。これにより、回動部材12aが、蝶番12bの軸を中心に回動する。
【0031】
よって、図1(b)、図2(b)、図4に示すように、回動部材12aの底面が支持体10の天板10aから離れ、回動後において、支持体10の天板10aと回動部材12aの底面が同等の高さの水平面となる。
【0032】
このとき、表示器11は、収容部12eによる押圧から解放されるので、伸張するとともに、回動部材12aの角度の変化により、直立した「報知位置」となる。たとえば、表示器11として上記の形状記憶樹脂を用いた場合、押圧からの解放により、元に戻ろうとする力が働いて、伸張状態(長方形)になる。この表示器11の上端は、太陽光パネル2の受光面よりも上方に突出するので、外部から視認しやすくなる。
【0033】
故障箇所の復旧後は、作業員が表示器11を折り畳み、収容部12e内に収容して、回動部材12aを回動させて永久磁石12cを電磁石12dの磁極鉄心に吸着させる。これにより、表示器11は「収納位置」に復帰する。
【0034】
[3.効果]
以上のような本実施形態によれば、故障発生時には、外部から視認しやすい表示器11が、自動的に太陽光パネル2の受光面より高い位置に突出する。このため、作業員は、容易且つ迅速に故障を把握できる。したがって、探索作業の省力化と探索時間の短縮化を図ることができ、正確で迅速な復旧対応が可能となる。
【0035】
また、平常時には、表示器11を含む故障表示装置1の全体が、太陽光パネル2の受光面よりも下部にあるため、太陽光を遮ることがない。故障発生時にも、表示器11は、太陽光パネル2の背後から突出するので、受光面を遮ることがない。
【0036】
また、設置場所に応じて、突出する表示器11の高さを調節できるので、他の太陽光パネル2への影響を少なくすることができる。表示器11は、折り畳み可能なので、収納位置における所要スペースを小さくしつつ、伸張することにより、報知位置における高さを確保できる。さらに、遮断器、避雷器を個別に監視装置に接続する場合に比べて、接続線の数を抑えることができる。
【0037】
[第2の実施形態]
[1.構成]
本実施形態の太陽光発電システムの構成を、図5を参照して説明する。なお、本実施形態における故障表示装置1a、1bは、第1の実施形態の故障表示装置1と同様である。ただし、故障表示装置1aは、接続箱J1、J2…に設置され、故障表示装置1bは、集電箱E1、E2…に設置されている。
【0038】
まず、複数の太陽電池モジュ−ルPVは、直列に接続することにより、ストリングSТを構成している。このストリングSТを複数まとめることにより、アレイARが構成されている。
【0039】
アレイARを構成する各ストリングSТは、接続箱J1、J2…内の避雷器SPD1および遮断器CB1を介して、互いに並列に接続されている。各ストリングスSТをまとめた接続線は、遮断器CB2及び避雷器SPD2を介して、接続箱J1、J2…の出力線に接続されている。
【0040】
複数の接続箱J1、J2…からの出力線をまとめた接続線は、集電箱E1内において、遮断器CB3および避雷器SPD3に接続されている。さらに、遮断器CB3および避雷器SPD3からの接続線は、集電箱E1内の遮断器CB4及び避雷器SPD4を介して、出力線に接続されている。
【0041】
集電箱E1からの出力線は、PCS1に接続されている。この集電箱E1と同様に、複数の接続箱(図示せず)からの出力をまとめた集電箱E2は、PCS2に接続されている。このように、PCS1、PCS2…に集められ入力される直流電流は、インバータ機能により、交流電流ACに変換されて出力される。
【0042】
遮断器CB1、CB2は、トリップ状態となった時に、閉状態(接点メーク)となる接点CB1-a、CB2-aを有している。避雷器SPD1、SPD2は、劣化時に閉状態となる接点SPD1-a、SPD2-aを有している。これらの接点CB1-a、CB2-a、SPD1-a、SPD2-aは、互いに並列に接続され、いずれか一つが閉状態となった時に、故障発生の故障表示を出力するための動作信号が出力されるように、故障表示装置1aに接続されている。
【0043】
遮断器CB3、CB4は、トリップ状態となった時に閉状態となる接点CB3-a、CB4-aを有している。避雷器SPD3、SPD4は、劣化時に閉状態となる接点SPD3-a、SPD4-aを有している。これらの接点CB3-a、CB4-a、SPD3-a、SPD4-aは、互いに並列に接続され、いずれか一つが閉状態となった時に、故障発生の故障表示を出力するための動作信号が出力されるように、故障表示装置1bに接続されている。
【0044】
また、各故障表示装置1a、1bに接続された接点CB1-a〜4-a、SPD1-a〜4-aによる回路は、監視装置Kに接続されている。監視装置Kは、故障が発生した接続箱J1、集電箱E1をモニタ、ランプ等により表示する。
【0045】
[2.作用]
以上のような本実施形態の作用を説明する。すなわち、遮断器CB1若しくは遮断器CB2がトリップ状態となった時、接点CB1-a若しくは接点CB2-aが閉状態となる。すると、閉状態となった接点CB1-a若しくは接点CB2-aから、故障発生の故障表示を出力するための動作信号が出力されるので、故障表示装置1aの電磁石12dが励磁される。これにより、上記のように、表示器11が、太陽光パネル2の受光面よりも上方に突出する。したがって、外部から、故障の発生と発生箇所を視認することができる。
【0046】
避雷器SPD1若しくは避雷器SPD2が劣化した場合にも、接点SPD1-a若しくは接点SPD2-aが閉状態となるので、故障表示装置1aの表示器11が突出する。なお、遮断器CB3、CB4がトリップ状態となった場合、避雷器SPD3、SPD4が劣化した場合にも、上記と同様に、故障表示装置1bの表示器11が突出する。
【0047】
[3.効果]
以上のような本実施形態によれば、複数の接続箱J1、J2…、複数の集電箱E1、E2…のそれぞれに、第1の実施形態と同様の故障表示装置1a、1bを設置している。このため、大規模な太陽光発電システムのように、広大な敷地に複数の接続箱、複数の集電箱が点在する場合であっても、接続箱、集電箱単位で、故障の発生と発生箇所を容易に発見することができる。
【0048】
また、上記の遮断器CB1〜4、避雷器SPD1〜4、接点CB1-a〜4-a、SPD1-a〜4-aは、全て太陽電池モジュールPVを電源として動作する。このため、発電中でない夜間等は、機能しない。しかし、昼間の発電中に故障を検出した場合、故障表示装置1a、1bの表示器11は、突出した状態となり、元に復帰させない限りそのままである。このため、電源を常時必要とする表示手段に比べて、故障状態の表示が安定的である。
【0049】
[第3の実施形態]
[1.構成]
本実施形態の構成を、図6を参照して説明する。本実施形態は、基本的には、上記の第2の実施形態と同様の構成である。ただし、故障表示装置1a、1bに対応する接点の並列回路に、それぞれ発光部La、Lbが接続されている点に特徴がある。この発光部La、Lbとしては、たとえば、LED素子等の発光部材を用いる。
【0050】
[2.作用効果]
以上のような本実施形態によれば、遮断器CB1若しくはCB2がトリップ状態となった時、又は避雷器SPD1若しくはSPD2が劣化した場合、接点CB1-a若しくはCB2-a、SPD1-a若しくはSPD2-aが閉状態となる。すると、発光部Laに通電するので、故障表示装置1aの表示器11が突出するとともに、発光部Laが発光する。
【0051】
また、遮断器CB3若しくはCB4がトリップ状態となった時、又は避雷器SPD3若しくはSPD4が劣化した場合、接点CB3-a若しくはCB4-a、SPD3-a若しくはSPD4-aが閉状態となる。すると、発光部Lbに通電するので、故障表示装置1bの表示器11が突出するとともに、発光部Lbが発光する。
【0052】
このように、発光部La、Lbの発光とともに、表示器11が突出するので、外部からの故障発生の発見と発生箇所の特定がし易くなる。
【0053】
[第4の実施形態]
[1.構成]
本実施形態の構成を、図7を参照して説明する。本実施形態は、基本的には、上記の第2の実施形態と同様の構成である。ただし、故障表示装置1a、1bに対応する接点の並列回路に、それぞれ音発生部Ma、Mbが接続されている点に特徴がある。この音発生部Ma、Mbとしては、たとえば、スピーカ及び音声発生回路若しくはブザー等を用いることができる。
【0054】
[2.作用効果]
以上のような本実施形態では、遮断器CB1若しくはCB2がトリップ状態となった時、又は避雷器SPD1若しくはSPD2が劣化した場合、接点CB1-a若しくはCB2-a、SPD1-a若しくはSPD2-aが閉状態となる。すると、音発生部Maに通電するので、故障表示装置1aの表示器11が突出するとともに、音発生部Maから音が出力される。
【0055】
また、遮断器CB3若しくはCB4がトリップ状態となった時、又は避雷器SPD3若しくはSPD4が劣化した場合、接点CB3-a若しくはCB4-a、SPD3-a若しくはSPD4-aが閉状態となる。すると、音発生部Mbに通電するので、故障表示装置1bの表示器11が突出するとともに、音発生部Mbから音が出力される。
【0056】
このため、外部からの故障の発生の発見がより確実となる。つまり、音声は監視位置を問わず聞くことができるので、音の出力により、故障の発生をいち早く知ることができる。そして、作業員が目視により、表示器11の突出を確認すれば、故障の発生箇所を迅速に発見できる。
【0057】
[他の実施形態]
本実施形態は、上記のような態様には限定されない。
(1)故障表示装置の表示器の態様は、収納位置において、太陽光パネルの受光面より下部にあり、報知位置において、太陽光パネルの上部に突出する構造であればよい。
【0058】
たとえば、収納位置と報知位置との間を昇降可能な表示器と、これを駆動する駆動装置を設ける。駆動装置を、表示器を報知位置に付勢する弾性部材等の付勢部と、動作信号による電磁石への励磁で駆動されるストッパとにより構成する。
【0059】
平常時には、表示器を付勢部の付勢力に抗して、ストッパにより収納位置に係止しておく。このストッパを電磁石への励磁により移動させて、表示器を解放する。すると、付勢部の付勢力によって、表示器が報知位置に突出する。かかる態様とすれば、表示器を、変形しない単なる板状等とすることができる。
【0060】
(2)表示器の材質、形状、色等は、太陽光の遮蔽を最小限としつつ、遠隔からも視認しやすい材質、形状、色等とすることが望ましい。ただし、必ずしも折り畳み可能な構造である必要はない。形状は固定的で、収納位置と報知位置とを移動する構造であってもよい。
【0061】
(3)太陽光パネルに対する表示装置の設置位置も、上記に例示したものには限定されない。たとえば、上記では、太陽光パネルの高端側の背後に表示装置を設置しているが、太陽光パネルの側面の下部に設置してもよい。また、支持体を、接続箱、集電箱とは別の部材によって構成してもよい。
【0062】
(4)本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0063】
1、1a、1b…故障表示装置
2…太陽光パネル
3…架台
10…支持体
11…表示器
12…駆動装置
31…基台
32、33、34…支柱
12a…回動部材
12b…蝶番
12c…永久磁石
12d…電磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光パネルの受光面の高さよりも下方に配置された支持体と、
前記支持体に設けられ、前記太陽光パネルの受光面の高さよりも下方の収納位置と、前記太陽光パネルの受光面の高さよりも上方に突出する報知位置との間を変位する表示器と、
故障の検出に基づく外部からの動作信号の入力に応じて、前記表示器を収納位置から報知位置に変位させる駆動装置と、
を有することを特徴とする太陽光発電システムの故障表示装置。
【請求項2】
前記表示器は、前記収納位置において折り畳み状態となり、前記報知位置において伸張状態となることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電システムの故障表示装置。
【請求項3】
前記駆動装置は、前記表示器が取り付けられ、回動により前記表示器を前記収納位置から前記報知位置へ変位させる回動部材を有することを特徴とする請求項2記載の太陽光発電システムの故障表示装置。
【請求項4】
前記駆動装置は、
前記動作信号により励磁される電磁石と、
前記回動部材に設けられ、励磁された前記電磁石と反発することにより、前記回動部材を報知位置へ付勢する永久磁石と、
を有することを特徴とする請求項3記載の太陽光発電システムの故障表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の故障表示装置を備え、
太陽光パネルと、
前記太陽光パネルの電力を出力する接続線に接続された遮断器と、
前記遮断器に設けられ、トリップ状態を動作信号として、前記駆動装置に出力する接点と、
を有することを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の故障表示装置を備え、
太陽光パネルと、
前記太陽光パネルの電力を出力する接続線に接続された避雷器と、
前記避雷器に設けられ、劣化状態を動作信号として、前記駆動装置に出力する接点と、
を有することを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項7】
前記動作信号により発光する発光部を有することを特徴とする請求項5又は請求項6記載の太陽光発電システム。
【請求項8】
前記動作信号により音を出力する音発生部を有することを特徴とする請求項5又は請求項6記載の太陽光発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−110290(P2013−110290A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254775(P2011−254775)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】