説明

太陽光発電パネル冷却システム

【課題】太陽光発電パネル表面を満遍なく濡らし、冷却効率の良好な太陽光発電パネル冷却システムを提供する。
【解決手段】太陽光発電パネル冷却システム1は、複数枚の太陽光発電パネル40が設置された太陽光発電パネル群に水を噴霧する複数のミスト発生装置30と、配管11を介してミスト発生装置30に水を供給する水供給装置10と、配管11を開放及び閉鎖し、ミスト発生装置30への水の供給を制御する水供給制御装置20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽光発電パネル冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電パネルは夏季高温時など、高温状態になると発電効率が低下する。このため、太陽光発電パネルを散水により蒸発冷却すると、発電効率の低下を防ぎ得る可能性について報じられている(非特許文献1)。
【0003】
また、太陽光発電パネルの冷却ではないが、屋根等の冷却システムとして、特許文献1、2に記載のシステムが開示されている。
【0004】
特許文献1では、給水管を介して揚水ポンプに連結された中継受水槽を屋根上に設置し、屋根の上棟部に沿ってノズル孔をあけた管を設置し、屋根面に向けて散水するシステムが開示されている。
【0005】
また、特許文献2では、屋根の棟に設置された散水器具で霧状噴水型に散水し、屋根瓦及びその輻射熱を冷却するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】太陽電池パネルへの散水による蒸発冷却効果の理論的研究;吉永 美香;空気調和・衛生工学会論文集 No.81,p31−p38;2001年4月
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−108523号公報
【特許文献2】特開2004−76541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献1では、散水による太陽光発電パネルの蒸発冷却についてシミュレーションがなされているだけであり、散水の具体的な手法については何ら開示されていない。
【0009】
特許文献1では、散水管から水をゆっくり流している。特許文献1の発明をそのまま太陽光発電パネルに応用した場合、太陽光発電パネル上を筋状に水が流れることになる。したがって、筋状に流れる水脈と水脈との間の冷却が十分になされないので、効果的な太陽光発電パネルの冷却を期待できない。
【0010】
また、流した水は太陽光発電パネル表面を流れ落ち、水が全て太陽光発電パネル表面上で気化しないため、大量の冷却水を消費することになる。更には、受水槽へと水をくみ上げる揚水ポンプの駆動時間が長くなるので、揚水ポンプを駆動するための電力も消費してしまう。この水及び電力の消費量を鑑みると、太陽光発電パネルの冷却による発電効率の向上以上に冷却に要するコストが高くなってしまうおそれもある。
【0011】
特許文献2では、水を上向きに噴霧している。太陽光発電パネルは屋外に設置され、常に風にさらされた状態である。霧状の水は軽いので風の影響を受けて飛ばされてしまい、太陽光発電パネルに付着し難い。このため、太陽光発電パネルの効率的な冷却は困難である。
【0012】
本発明は上記事項に鑑みてなされたものであり、太陽光発電パネル表面を満遍なく濡らし、冷却効率の良好な太陽光発電パネル冷却システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る太陽光発電パネル冷却システムは、
複数枚の太陽光発電パネルが設置された太陽光発電パネル群に水を噴霧する複数のミスト発生装置と、
配管を介して前記ミスト発生装置に水を供給する水供給装置と、
前記配管を開放及び閉鎖し、前記ミスト発生装置への水の供給を制御する水供給制御装置と、を備え、
前記水供給制御装置は、前記太陽光発電パネルの温度が所定温度まで上昇すると前記配管を開放するよう作動して水を前記ミスト発生装置に供給し、前記太陽光発電パネルの温度が所定温度まで降下すると前記配管を閉鎖するよう作動して前記ミスト発生装置への水の供給を停止し、
前記ミスト発生装置の少なくとも一部が前記太陽光発電パネル群の外側から内側へ向けて水を噴霧するよう配置され、前記太陽光発電パネルの表面に水を噴霧して前記太陽光発電パネルを冷却する、
ことを特徴とする。
【0014】
また、前記ミスト発生装置の一部が前記太陽光発電パネル群の内側から外側へ向けて水を噴霧するよう配置されていることが好ましい。
【0015】
また、前記ミスト発生装置は、前記太陽光発電パネルの表面に対して0°〜20°の噴出角度で設置されることが好ましい。
【0016】
また、前記水供給制御装置は、感熱部が所定温度まで上昇すると駆動部が稼働して前記配管を閉鎖する感熱弁であることが好ましい。
【0017】
また、前記太陽光発電パネルと前記感熱弁の感熱部とが伝熱部材で接続されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る太陽光発電パネル冷却システムでは、少なくとも一部のミスト発生装置が太陽光発電パネル群の外側から内側に向けて水を噴霧する。霧状の水は風により飛ばされやすいが、太陽光発電パネル群の外側から内側に向けて噴霧しているので、噴霧された微細な水滴が太陽光発電パネル表面を撫でるように広がり付着してゆく。これにより、太陽光発電パネルを満遍なく濡らすことができ、太陽光発電パネルを効率的に冷却することができる。
【0019】
また、水供給制御装置により、太陽光発電パネルが所定温度まで上昇すると、水が噴霧され太陽光発電パネルの冷却を行い、所定温度まで低下すると水の噴霧が停止する。冷却が必要なときに必要なだけ水が噴霧されるととともに、上述のように噴霧した水が太陽光発電パネルに付着しやすいことから、水の消費量を抑えられる。このため、冷却に要するコストの低減にもつながる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】太陽光発電パネル冷却システムの概略構成図である。
【図2】図1のA−A’断面図である。
【図3】噴霧ノズルの断面図である。
【図4】図4(A)は配管が閉鎖されている様子を示す断面図、図4(B)は配管が開放されている様子を示す断面図である。
【図5】図5(A)は図4(A)のB−B’方向を見た配管が閉鎖されている様子を示す断面図、図5(B)は図4(B)のC−C’方向を見た配管が開放されている様子を示す断面図である。
【図6】噴霧ノズルの噴出角度を説明する図である。
【図7】他の形態に係る太陽光発電パネル冷却システムの概略構成図である。
【図8】実施例における時間と太陽光発電パネルの温度及び発電電力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図を参照しつつ、実施の形態に係る太陽光発電パネル冷却システムについて説明する。図1に示すように、太陽光発電パネル冷却システム1は、太陽光発電パネル40に水を噴霧するミスト発生装置(噴霧ノズル)30、噴霧ノズル30に配管11を介して水を供給する水供給装置10、配管11を開放・閉鎖して噴霧ノズル30への水の供給を制御する水供給制御装置(感熱弁)20を備える。
【0022】
太陽光発電パネル40は、家屋、工場等の建築物の屋根や空き地、道路の糊面等、太陽光が照射される箇所に配置されている。通常、複数枚の太陽光発電パネル40が配置され、それぞれの太陽光発電パネル40が直列接続され、出力電圧が合わせられている。本明細書において、複数の太陽光発電パネル40が設置された集合体を太陽光発電パネル群と記す。
【0023】
噴霧ノズル30は、太陽光発電パネル40の外周に沿って複数個配置されている。太陽光発電パネル40は、一般的に矩形の平板状であり、複数枚の太陽光発電パネル40が平面状に並べて配置された太陽光発電パネル群もまた矩形である。このため、噴霧ノズル30は太陽光発電パネル群の辺に沿って配置される。図1では、図面上、太陽光発電パネル群の上辺に沿って6個、下辺に沿って6個配置されている。そして、図2に示すように、太陽光発電パネル群の上辺に沿って配置された噴霧ノズル30は、太陽光発電パネル40の表面に略平行に水を噴出するよう設置されている。また、太陽光発電パネル40の下辺に沿って配置された噴霧ノズル30は、太陽光発電パネル40の表面に略平行に水を噴霧するよう設置されている。なお、太陽光発電パネル群の全ての辺に沿って噴霧ノズル30が配置されていてもよい。
【0024】
噴霧ノズル30は、図3に示すように、微小な噴出口を備えるノズルである。例えば、口径がおよそ0.5mmの噴霧ノズル30からミストとして噴霧する水の量は、水道圧が0.4MPaのときには1分間当たりおよそ0.1リットル程度である。
【0025】
水供給装置10は、配管11を介して噴霧ノズル30に水を供給可能なものであれば特に制限はない。例えば、水道の蛇口でもよい。また、貯水槽等に貯留された水を揚水ポンプ等により配管11を介して噴霧ノズル30に供給する形態であってもよい。また、窒素等が封入されたアキュムレータや耐圧エアタンク等の蓄圧容器であってもよい。水道等に繋いで蓄圧容器に水と圧力を蓄えておき、蓄圧容器内の圧力を利用して蓄えている水を、配管11を介して噴霧ノズル30に供給することができる。
【0026】
水供給制御装置20は、水供給装置10と噴霧ノズル30を接続する配管11の任意の箇所に設置され、配管11内の水の流通及び遮断を行い、水供給装置10から噴霧ノズル30への水の供給を制御する。
【0027】
水供給制御装置20として、本実施の形態では感熱弁20が用いられている。感熱弁20は、所謂ワックスサーモエレメントと開閉自在な弁機構とが組み合わされた形態であり、その一例を、図4(A)、(B)及び図5(A)、(B)の各断面図に示している。なお、図4(A)及び図5(A)は、噴霧ノズル30への水の供給を停止している状態、図4(B)及び図5(B)は、噴霧ノズル30への水の供給を行っている場合を示している。
【0028】
感熱弁20は、弁本体20a、開閉部材20b、スプリング20c、ケース20d、ワックス20e、ダイアフラム20f、流動体20g、シール20h、ガイド筒部材20i、ピストン20jとから構成されている。なお、ここでは、ケース20dが感熱部として機能し、伝熱部材21を介して太陽光発電パネル40からケース20dに熱が伝達され、伝達された熱で内包されているワックス20eが溶解或いは凝固する。
【0029】
弁本体20aには、貫通する流路が形成されており、流路の両端に配管11が接続されている。そして、流路の一部を開放・閉鎖可能な開閉部材20bが設置されている。開閉部材20bはスプリング20c及びピストン20jの作用により往復動可能に設置されている。
【0030】
図4(A)及び図5(A)では、ケース20dに伝達される熱が低い温度であり、ワックス20eが固体状態の場合である。この場合、ピストン20jはガイド筒部材20iから押し出されておらず、開閉部材20bはスプリング20cの伸長力でピストン20j側に押されている。この状態では、開閉部材20bに形成されている孔が弁本体20aの流路と重ならず、開閉部材20bが塞いでいるため、水は噴霧ノズル30に流れない。
【0031】
一方、ワックス20eに伝達される熱が高い温度である場合では、ワックス20eが溶解して熱膨張、即ち、図4(B)及び図5(B)に示すように、ワックス20eの体積が大きくなる。このワックス20eの熱膨張により、ダイアフラム20f、流動体20g、シール20hを介してピストン20jがガイド筒部材20iから押し出される。ピストン20jの突出により、開閉部材20bがスプリング20cの力に抗って下方へ押される。開閉部材20bが押されると、開閉部材20bに形成されている孔と弁本体20aに形成されている流路とが重なる。このため、開閉部材20bで堰き止められていた水が図4(B)に示すように、噴霧ノズル30へ(紙面上、左から右へ)と流れる。
【0032】
また、感熱弁20の感熱部、即ちケース20dと太陽光発電パネル40とは伝熱部材21で接続されており、太陽光発電パネル40の熱が感熱弁20に伝達され、感熱弁20が作動するよう構成されている。伝熱部材21は、太陽光発電パネル40の熱が感熱弁20に伝わりやすい素材から構成され、例えば、熱伝導率の高い銅等の金属から構成される。
【0033】
以上の構成により、太陽光発電パネル40が所定温度まで上昇した場合には、感熱弁20が配管11を開放するよう作動して、水を噴霧ノズル30に供給する。一方、太陽光発電パネル40が所定温度まで降下した場合では、感熱弁20が配管11を閉鎖するよう作動し、噴霧ノズル30への水の供給を停止する。これにより、太陽光発電パネル40が所定温度まで上昇した場合にのみ、水が噴霧されるので、水の消費量を低減することができる。
【0034】
上述のように、感熱弁20が開放して噴霧ノズル30に水が供給されると、それぞれの噴霧ノズル30から水が噴霧され、霧状の水滴が太陽光発電パネル40の表面に付着し、気化熱により太陽光発電パネル40を冷却する。
【0035】
複数の噴霧ノズル30は、太陽光発電パネル群の外周に沿って設置され、図6に示すように、太陽光発電パネル40の外側から内側へ向けて水を噴霧するよう設置されている。このため、噴霧された微細な水滴は風の影響を受けにくく、即ち、上空へと舞い上がりにくく、太陽光発電パネル40の表面を撫でるように広がって太陽光発電パネル40の表面に付着する。微細な水滴が風によって舞い上がって太陽光発電パネル40に付着し難いという事態が避けられ、それぞれの太陽光発電パネル40全体を隈無く濡らすことができる。
【0036】
太陽光発電パネル40は通常複数枚が直列接続され、電圧を合わせているため、一部の太陽光発電パネル40が冷却されない場合、その出力が低い太陽光発電パネル40の影響を大きく受ける。この場合、太陽光発電パネル群で見ると正常に機能していない、即ち、出力が増大しないことになる。本実施の形態では、上述したように、噴霧された水滴はそれぞれの太陽光発電パネル40の全体に満遍なく行き渡りやすい。このため、太陽光発電パネル群は満遍なく冷却され、出力の増加につながる。
【0037】
以上のように、水を噴霧し、噴霧した微細な水滴が無駄なく太陽光発電パネル40表面に付着すること、そして、太陽光発電パネル40が所定温度まで上昇した場合にのみ水の噴霧が行われることから、冷却に要する水の消費量を最低限に抑えることができ、冷却コストの低減を実現している。
【0038】
本実施の形態では、水供給制御装置20として感熱弁20を用いており、感熱弁20は電力を消費することなく噴霧ノズル30への水の供給を制御できる。したがって、冷却によって増加した発電電力が消費されてしまうこともない。
【0039】
噴霧ノズル30は、図6に示すように、太陽光発電パネル40の表面に対して、噴出角度(θ)が0°〜20°になるように設置されているとよい。また、噴霧ノズル30は太陽光発電パネル40表面との高低差(h)が小さくなるよう(例えば10cm以下)設置されているとよい。太陽光発電パネル40近傍から水を噴霧できるので、風によって噴霧した水滴が太陽光発電パネル40表面と異なる場所へ飛ばされにくくなる。
【0040】
また、太陽光発電パネル40の外周に沿って配置される配管11は、平面視で太陽光発電パネル40から離間して配置されていることが好ましい。配管11が太陽光発電パネル40に影を落とすことによる発電量低下を抑えられる。
【0041】
なお、感熱弁20において、用いるワックス20eの特性により、溶解温度や膨張率が異なる。太陽光発電パネル40がどの温度まで上昇した場合に水を噴霧させたいかに応じて、適切なワックス20eを内包する感熱弁20を適宜設定すればよい。たとえば、45℃で溶解、熱膨張するワックス20eを用いれば、太陽光発電パネル40の温度が45℃まで上昇すると噴霧ノズル30に水が供給されて、太陽光発電パネル40に水が噴霧されることになる。そして、噴霧により太陽光発電パネル40が冷却されて37℃まで徐々に温度低下するにつれてワックス20eが固化してゆき、噴霧ノズル30への水の供給が停止されて水の噴霧が停止する。
【0042】
また、感熱弁20の感熱部(ケース20d)と太陽光発電パネル40とが伝熱部材21で接続された例について説明したが、感熱弁20の感熱部が噴霧ノズル30から噴霧された水滴が付着可能な場所に配置されている場合等では、伝熱部材21が設置されていなくてもよい。
【0043】
また、上記では、水供給制御装置として感熱弁20を例に説明したが、太陽光発電パネル40の温度を検出し、噴霧ノズル30への水の供給を制御可能であれば、特に制限されることはない。例えば、温度検出装置と電磁弁と制御装置とを組み合わせた形態であってもよい。この場合、配管11に電磁弁が設置されるとともに、温度検出装置が太陽光発電パネル40の表面温度を検出可能に設置される。そして、制御装置は電磁弁及び温度検出装置と電気的に接続される。上記の構成により、温度検出装置が太陽光発電パネル40の温度を検出し、検出した温度が所定温度(例えば45℃)以上である場合、制御装置は電磁弁を開放させて噴霧ノズル30へ水を供給する。一方、検出した温度が所定温度(例えば37℃)以下である場合、電磁弁を閉鎖させて噴霧ノズル30への水の供給を停止させる。また、検出した温度が所定温度以上である場合、制御装置はタイマー等の時間制御を行い、一定期間(例えば、2分間)電磁弁を開放させて噴霧ノズル30へと水を供給する形態であってもよい。
【0044】
また、噴霧ノズル30が太陽光発電パネル40の外周に沿って配置された例について説明したが、太陽光発電パネル40が多数枚設置され、太陽光発電パネル40の集合が広大な面積である場合などでは、図7に示すように、太陽光発電パネル40と太陽光発電パネル40との間などに噴霧ノズル30が更に設置されていてもよい。太陽光発電パネル40の内側から水を噴霧することで、外周に設置された噴霧ノズル30からでは届きにくい太陽光発電パネル40にも水が噴霧され、霧状の水滴が付着し冷却される。なお、この場合も噴霧した水が風で流されないよう、噴霧ノズル30の噴出角度は太陽光発電パネル40の表面に対して0°〜20°であることが好ましい。
【実施例】
【0045】
太陽光発電パネルに水を噴霧して冷却し、発電電力を検証した。実験条件を以下に記す。
実験日:平成23年9月8日(木曜日)
実験時間:午前11時5分〜午前11時41分
実験場所:広島県広島市西区上天満町 中電工株式会社内のソーラーガレージ
気温:28℃
湿度:38%
風速:2〜3m/s
太陽光発電パネル:シャープ株式会社製、計16枚(タテ4列×ヨコ4列に配置)
【0046】
また、図7に示したように、計25個の噴霧ノズルをそれぞれの太陽光発電パネルの4隅に配置し、太陽光発電パネルの表面に対し、ほぼ平行に水を噴霧するよう設置した。噴霧ノズルは、空円錐ノズル(株式会社いけうち製、KBNシリーズ、噴角の区分:80°、噴量の区分:22、平均粒径35〜60μm、異物通過径(口径0.5mm))を改良し、水道圧0.4MPaで噴霧可能にしたものを用いた。
【0047】
午前11時5分よりパネル温度及びその際の発電電力を計測した。そして、11時7分に水を噴霧した。噴霧は11時17分まで連続して行った。なお、本実施例では、噴霧ノズルへの水の供給及び停止は手動により行った。
【0048】
パネル温度、その際の発電電力、及び、11時5分時の発電電力からの増加電力を表1に示す。また、図8にパネル温度及び増加電力と時間との関係を示す。
【0049】
【表1】

【0050】
噴霧開始直後からパネル温度が低下していくとともに、発電電力が増加していくことがわかる。また、噴霧停止して5分程度は、気化熱による冷却でパネル温度の上昇が抑えられ、発電効率の低下を抑制できることがわかる。
【符号の説明】
【0051】
1 太陽光発電パネル冷却システム
10 水供給装置
11 配管
20 水供給制御装置(感熱弁)
20a 弁本体
20b 開閉部材
20c スプリング
20d ケース
20e ワックス
20f ダイアフラム
20g 流動体
20h シール
20i ガイド筒部材
20j ピストン(駆動部)
21 伝熱部材
30 ミスト発生装置(噴霧ノズル)
40 太陽光発電パネル
50 屋根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の太陽光発電パネルが設置された太陽光発電パネル群に水を噴霧する複数のミスト発生装置と、
配管を介して前記ミスト発生装置に水を供給する水供給装置と、
前記配管を開放及び閉鎖し、前記ミスト発生装置への水の供給を制御する水供給制御装置と、を備え、
前記水供給制御装置は、前記太陽光発電パネルの温度が所定温度まで上昇すると前記配管を開放するよう作動して水を前記ミスト発生装置に供給し、前記太陽光発電パネルの温度が所定温度まで降下すると前記配管を閉鎖するよう作動して前記ミスト発生装置への水の供給を停止し、
前記ミスト発生装置の少なくとも一部が前記太陽光発電パネル群の外側から内側へ向けて水を噴霧するよう配置され、前記太陽光発電パネルの表面に水を噴霧して前記太陽光発電パネルを冷却する、
ことを特徴とする太陽光発電パネル冷却システム。
【請求項2】
前記ミスト発生装置の一部が前記太陽光発電パネル群の内側から外側へ向けて水を噴霧するよう配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電パネル冷却システム。
【請求項3】
前記ミスト発生装置は、前記太陽光発電パネルの表面に対して0°〜20°の噴出角度で設置される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽光発電パネル冷却システム。
【請求項4】
前記水供給制御装置は、感熱部が所定温度まで上昇すると駆動部が稼働して前記配管を閉鎖する感熱弁である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の太陽光発電パネル冷却システム。
【請求項5】
前記太陽光発電パネルと前記感熱弁の感熱部とが伝熱部材で接続されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の太陽光発電パネル冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−256823(P2012−256823A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226275(P2011−226275)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(309043768)テクノ環境機器株式会社 (6)
【Fターム(参考)】