説明

太陽熱集熱装置及び熱媒張り制御方法

【課題】熱媒を循環させる循環回路から空気を排出し、循環回路の熱媒張りの迅速化を図る。
【解決手段】太陽熱を集熱し、熱媒(HM2)に熱交換する太陽熱集熱装置であって、熱媒を循環させる循環回路(集熱回路6)と、前記熱媒を溜めるタンク(プレッシャータンク21、リザーブタンク23)と、太陽熱を集熱し、前記熱媒に熱交換させる集熱手段(集熱パネル10)と、前記循環回路に前記熱媒を循環させるポンプ(集熱ポンプ14)と、前記ポンプの強弱運転の繰り返しにより、前記タンクから前記熱媒を前記集熱手段及び前記循環回路に送り出して前記集熱手段及び前記循環回路に前記熱媒を満たす制御部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、太陽熱を集熱して熱媒を加熱し、この熱媒の熱を給湯、暖房、浴槽水追焚等に利用する太陽熱集熱装置及び熱媒張り制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
室内暖房等の各種暖房に用いられる熱源装置には燃料ガスや灯油等の燃焼熱に加え、熱源に太陽熱が利用される。熱源装置に太陽熱を用いることは自然エネルギを利用するので、熱エネルギの効率的な利用が図られ、炭酸ガスの排出がない等、有益である。このような熱源装置は、高温水分配式給湯暖房機として知られている。
【0003】
この種の熱源装置に関し、太陽熱給湯暖房装置として上水が供給される貯湯槽に第1及び第2の熱交換器が設置され、第1の熱交換器に太陽熱集熱器で集熱した熱媒を循環させて熱交換し、第2の熱交換器にボイラで加熱した温水の熱を熱交換することが知られている(特許文献1)。この太陽熱給湯暖房装置では、貯湯槽内の上水の加熱に太陽熱が利用され、加熱した上水が温水として供給される。また、ボイラで加熱した温水は暖房や浴槽追焚きに利用される。
【0004】
また、燃焼排気を熱源に用いる熱源装置では、熱媒の熱を第1の熱交換手段により給水又は浴槽水に熱交換し、燃焼排気の潜熱を第2の熱交換手段により給水又は浴槽水に熱交換する熱源装置や、熱交換装置が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−134432号公報
【特許文献2】特開2007−315700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、太陽熱を熱源に利用するシステムである太陽熱集熱装置では、太陽熱を熱媒に集熱する集熱器が通常10〔m〕程度の施工高さに設置される。このため、集熱回路に組み込まれた集熱ポンプでは揚程力不足のため、集熱回路から空気を確実に排出することができない。集熱ポンプの回転数を上昇させれば、集熱回路の残留空気を減少させることはできるが、残留空気を皆無にすることはできないし、集熱ポンプの消費電力を増大させることになる。
【0007】
集熱回路にある残留空気は、集熱運転を繰り返すことにより、数日間の熱膨張で集熱回路から排出されるが、残留空気を含む熱媒による集熱運転は、熱媒のみによる集熱運転に比較し、集熱効率が悪いという不都合がある。
【0008】
施工時、集熱回路への熱媒供給に時間をかければ、残留空気の排出が可能であるとしても、施工時間に熱媒張りのための時間を加えなければならず、施工効率が低下し、施工コストを上昇させることになる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、熱媒を循環させる循環回路から空気を排出し、循環回路の熱媒張りの迅速化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の太陽熱集熱装置は、太陽熱を集熱し、熱媒に熱交換する太陽熱集熱装置であって、熱媒を循環させる循環回路と、前記熱媒を溜めるタンクと、太陽熱を集熱し、前記熱媒に熱交換させる集熱手段と、前記循環回路に前記熱媒を循環させるポンプと、前記ポンプの強弱運転の繰り返しにより、前記タンクから前記熱媒を前記集熱手段及び前記循環回路に送り出して前記集熱手段及び前記循環回路に前記熱媒を満たす制御部とを備えている。
【0011】
斯かる構成では、ポンプの強弱運転の繰り返しに応じて熱媒が循環回路を移動し、この移動に応じて循環回路から空気の排出が促進され、残留空気のない熱媒張りが行える。
【0012】
上記課題を解決するためには、上記太陽熱集熱装置において、好ましくは、 前記制御部は、前記ポンプの高速回転と低速回転との繰り返しにより、前記タンクから前記熱媒を前記集熱手段及び前記循環回路に送り出して前記集熱手段及び前記循環回路に前記熱媒を満たす構成してもよい。
【0013】
上記課題を解決するためには、上記太陽熱集熱装置において、好ましくは、更に、前記タンクは、前記熱媒を溜める貯留タンクと、前記循環回路の圧力が上昇した際に、前記循環回路から前記熱媒を前記貯留タンクに流出させるとともに、前記循環回路に前記熱媒が不足した際に、前記貯留タンクから前記熱媒を吸い込む圧力タンクとを備える構成としてもよい。
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の太陽熱集熱装置の熱媒張り制御方法は、熱媒を循環させる循環回路と、前記熱媒を溜めるタンクと、太陽熱を集熱し、前記熱媒に熱交換させる集熱手段と、前記循環回路に前記熱媒を循環させるポンプと、該ポンプを制御する制御部とを備え、太陽熱を集熱し、熱媒に熱交換する太陽熱集熱装置の熱媒張り制御方法であって、前記タンクに熱媒を供給する工程と、前記ポンプの強弱運転の繰り返しにより、前記タンクから前記熱媒を前記集熱手段及び前記循環回路に送り出して前記集熱手段及び前記循環回路に前記熱媒を満たす工程とを含む構成である。
【0015】
斯かる構成によっても、ポンプの強弱運転の繰り返しに応じて熱媒が循環回路を移動するので、循環回路からの空気の排出が促進され、残留空気のない熱媒張りが行える。
【発明の効果】
【0016】
以上説明した本発明によれば、次の何れかの効果を得ることができる。
【0017】
(1) 循環回路から空気排出を促進させ、熱媒張りの迅速化を図ることができる。
【0018】
(2) 残留空気のない熱媒張りが行え、太陽熱の熱媒に対する熱交換効率を高めることができる。
【0019】
(3) 熱媒張りに要するポンプの駆動時間を低減でき、消費電力を抑制することができる。

【0020】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態に係る暖房・給湯・追焚装置の一例を示す図である。
【図2】貯湯タンク及び集熱回路の一例を示す図である。
【図3】プレッシャーキャップの構造及びその動作の一例を示す図である。
【図4】プレッシャータンクへの熱媒供給の一例を示す図である。
【図5】集熱回路の熱媒張りの一例を示す図である。
【図6】制御装置の一例を示す図である。
【図7】熱媒張り動作の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】熱媒張り動作の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】ポンプ回転数テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態について、図1を参照する。図1は、暖房・給湯・追焚装置の一例を示している。
【0023】
この暖房・給湯・追焚装置2は、本発明の太陽熱集熱装置及び熱媒張り制御方法の一例であって、熱媒を循環させる集熱回路6に対する管路内の空気排出を促進させ、熱媒張りの迅速化を図る構成である。
【0024】
この暖房・給湯・追焚装置2は、図1に示すように、貯湯タンク4と、太陽熱の集熱回路6と、熱媒HM1を循環させる循環路8とを備えている。
【0025】
貯湯タンク4は、熱媒として熱媒HM1を溜める貯留手段の一例であるとともに、熱媒HM1を以て蓄熱する蓄熱手段の一例である。貯湯タンク4は、通気パイプ11により大気に開放されている。
【0026】
集熱回路6は、熱源である太陽熱を熱媒に熱交換して集熱する集熱手段であって、熱媒HM2を循環させる循環回路の一例であり、太陽熱を熱媒HM2に熱交換する。この集熱回路6には、集熱パネル10、熱交換部としての太陽熱用熱交換器12、集熱ポンプ14、集熱切替弁16、バイパス路18、プレッシャータンク21及びリザーブタンク23が備えられている。
【0027】
集熱パネル10は、太陽熱を集熱し、その熱を熱媒HM2に熱交換する集熱手段(熱交換手段)の一例である。この集熱パネル10とともに、燃焼熱や排熱を利用した熱源を用いてもよい。太陽熱用熱交換器12は、熱媒HM2の熱を熱媒HM1に熱交換する手段の一例である。集熱ポンプ14は、熱媒HM2に太陽熱を熱交換する際や、熱媒HM2を熱媒HM1に熱交換する際に用いられる温水圧送手段の一例である。バイパス路18は集熱切替弁16を介して集熱回路6を分岐させる太陽熱用熱交換器12の側路であって、熱媒HM2の温度が低い場合に熱媒HM2を循環させる。
【0028】
プレッシャータンク21は、熱媒HM2を溜める貯留タンクの一例であって、集熱回路6に流れる熱媒HM2が上昇した際に、集熱回路6から熱媒HM2をリザーブタンク23に流出させるとともに、集熱回路6に熱媒HM2が不足した際に、リザーブタンク23から熱媒HM2を吸い込む。このため、プレッシャーキャップ25には連結パイプ27が接続され、この連結パイプ27がリザーブタンク23内に挿入され、リザーブタンク23内の熱媒HM2内に没している。
【0029】
リザーブタンク23は、熱媒HM2を貯留する貯留タンクの一例であって、プレッシャータンク21から流出し又はプレッシャータンク21に供給するための熱媒HM2が溜められている。このリザーブタンク23には、熱媒HM2の水位を検出する水位センサ29が設置されている。また、リザーブタンク23にはオーバーフローパイプ31が接続され、このオーバーフローパイプ31では、リザーブタンク23の上限レベルを超えた熱媒HM2を排出させる。
【0030】
集熱パネル10の入側には温度センサ20、集熱パネル10の出側には温度センサ22が設置され、温度センサ20の検出温度T1が太陽熱用熱交換器12による熱媒HM2の熱交換前の温度、温度センサ22の検出温度T2が熱交換後の熱媒HM2の温度であり、これらの検出温度T1、T2が集熱切替弁16の切替えによるバイパス路18の開閉や集熱ポンプ14の制御に用いられる。
【0031】
循環路8は、分流路24と、循環ポンプ26と、熱媒HM1を加熱するための一次熱交換器28と、二次熱交換器30とを備えている。この循環路8には、熱媒HM1の熱を利用する手段として低温暖房回路32、高温暖房回路34、給湯回路36、追焚回路38が接続されている。
【0032】
分流路24は、貯湯タンク4の入側と出側との間の循環路8に連結された管路であって、熱媒HM1を分流して貯湯タンク4の出側の熱媒HM1に合流させる手段の一例である。
【0033】
循環路8と分流路24との分岐点には貯湯タンク切替弁40が設置され、この貯湯タンク切替弁40は、貯湯タンク4側に流れる温水流量と、分流路24に流れる温水流量とに分配する流量分配手段の一例である。貯湯タンク切替弁40の入側の循環路8には温度センサ42、貯湯タンク4の入側の循環路8には開閉弁43、貯湯タンク4の出側近傍には温度センサ44が設置されている。開閉弁43は、循環路8を貯湯タンク4の入側で開閉する手段である。温度センサ42、44の検出温度T3、T4は貯湯タンク4側に流れる温水流量と、分流路24に流れる温水流量との分配比率の設定や制御に用いられる。温度センサ44は熱媒である熱媒HM1の温度を検出する第1の温度センサ、温度センサ42は負荷側から循環路8に戻る熱媒HM1の温度を検出する第2の温度センサである。貯湯タンク4の出側の循環路8と分流路24との合流点には気液分離部45が設置されている。気液分離部45は、熱媒HM1から空気を分離する手段である。
【0034】
循環ポンプ26は、熱媒HM1の圧送手段の一例であって、熱媒HM1の熱利用や一次及び二次熱交換器28、30による加熱の際等に駆動され、循環路8に熱媒HM1を循環させる。
【0035】
一次熱交換器28は、燃料ガスの燃焼手段の一例として設置されたバーナ46の燃焼排気から主として顕熱を熱媒HM1に熱交換する第1の熱交換手段である。二次熱交換器30は、バーナ46の燃焼排気から主として潜熱を熱媒HM1に熱交換する第2の熱交換手段であって、熱媒HM1の予備加熱に用いられる。一次熱交換器28の出側の循環路8には温度センサ48、二次熱交換器30の出側の循環路8には温度センサ50が設置され、これらの検出温度T5、T6がバーナ46の燃焼制御に用いられる。
【0036】
低温暖房回路32は、循環路8の二次熱交換器30の出側と貯湯タンク切替弁40の入側とから分岐され、低温暖房器52に低温の熱媒HM1を循環させる管路である。低温暖房器52は、熱媒HM1の第1の放熱負荷又は放熱手段の一例であって、例えば、床暖房器である。
【0037】
高温暖房回路34は、循環路8の一次熱交換器28の出側と貯湯タンク切替弁40の入側とから分岐され、高温暖房器54に高温の熱媒HM1を循環させる管路である。高温暖房器54は、熱媒HM1の第2の放熱負荷又は放熱手段の一例であって、例えば、温風暖房器である。
【0038】
給湯回路36は給水Wを熱媒HM1で加熱して温水HWとして出湯する管路であって、この実施の形態では、給湯用熱交換器56と、二次熱交換器58と、バイパス路60とを備える。
【0039】
給湯用熱交換器56は、熱媒HM1の熱を給水Wに熱交換する給湯用熱交換手段の一例であって、給湯用熱交換器56には例えば、プレート熱交換器が用いられる。この給湯用熱交換器56には、給水側に上水圧が作用している。この給湯用熱交換器56は、循環路8に高温分配弁62を介して分岐された循環路8Aに設置され、循環路8Aを通して熱媒HM1が循環する。この給湯用熱交換器56内の循環路8Aに穿孔による水漏れが生じた場合には、上水圧が熱媒HM1の圧力に打ち勝ち、上水が熱媒HM1側に侵入し、貯湯タンク4の水位を上昇させることになる。
【0040】
二次熱交換器58は、既述のバーナ46の燃焼排気から主として潜熱を給水Wに熱交換する手段であって、給水Wが常温の上水であれば、効率よく潜熱を給水Wに熱交換することができる。この予備加熱された給水Wには、給湯用熱交換器56により熱媒HM1の熱が熱交換され、高温の温水HWが得られる。バイパス路60は、この温水HWに上水Wをミキシングする手段であって、図示しないミキシング弁を用いて高温の温水HWを適温化することができる。給湯回路36の上水Wの入側には温度センサ64、温水HWの出湯側には温度センサ66が設置され、これらの検出温度T7、T8等が出湯温度の制御としてバーナ46の燃焼制御やバイパス路60側への給水Wとのミキシング比率の制御に用いられる。
【0041】
追焚回路38は、熱媒HM1の熱を浴槽68にある浴槽水BWに熱交換し、浴槽水BWを入浴に適する温度に昇温する手段の一例である。この追焚回路38は追焚用熱交換器70と、追焚ポンプ72とを備える。追焚用熱交換器70は、熱媒HM1の熱を浴槽水BWに熱交換する熱交換手段の一例であって、循環路8に高温分配弁62を介して分岐された循環路8Bに設置され、循環路8Bを通して熱媒HM1が循環する。追焚ポンプ72は、追焚時、浴槽水BWを浴槽68から追焚用熱交換器70を通して浴槽68に循環させる手段である。追焚回路38の浴槽68の出側には温度センサ74が設置され、その検出温度T9が追焚制御に用いられる。
【0042】
この追焚回路38と給湯回路36との間には注湯回路76が接続され、この注湯回路76は、注湯電磁弁78を介して給湯回路36と追焚回路38とを連結している。注湯電磁弁78は、上水W側と浴槽水BWとを絶縁する手段の一例である。
【0043】
循環路8の設置エリアには温度センサ80が設置され、この温度センサ80によって外気温度T10が検出される。
【0044】
これら検出温度T1〜T10は制御情報として制御装置82(図6)に取り込まれ、集熱ポンプ14、循環ポンプ26、追焚ポンプ72の駆動やバーナ46の燃焼が制御装置82の駆動出力によって制御される。
【0045】
次に、貯湯タンク4、水位確認タンク5及び集熱回路6について、図2を参照する。図2は貯湯タンク、水位確認タンク及び集熱回路の詳細を示している。図2において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0046】
貯湯タンク4の出側には循環路8の近傍に温度センサ44が設置され、出側の熱媒HM1の温度が温度センサ44で検出される。この実施の形態の場合、太陽熱熱交換器12の近傍にも温度センサ49が設置されている。この温度センサ49で熱交換温度が検出される。
【0047】
集熱回路6は既述の通り、プレッシャータンク21及び リザーブタンク23が備えられている。プレッシャータンク21は集熱回路6に流れる熱媒HM2の圧力緩衝であるとともに、プレッシャータンク21を閉じるプレッシャーキャップ25に取り付けられた連結パイプ27がリザーブタンク23に挿入されている。この連結パイプ27を通じ、集熱回路6から熱媒HM2をリザーブタンク23側に逃し、リザーブタンク23にある熱媒HM2をプレッシャータンク21に引込み集熱回路6に補給することができる。
【0048】
次に、プレッシャーキャップ25及びその動作について、図3を参照する。図3のAは主圧弁動作中のプレッシャーキャップの一例を示し、図3のBは負圧弁動作中のプレッシャーキャップの一例を示している。図3において、図1及び図2と同一部分には同一符号を付してある。
【0049】
このプレッシャーキャップ25は、プレッシャータンク21の上部に取り付けられ、主圧弁252と、負圧弁254とを備えている。
【0050】
プレッシャータンク21の開口部にはプレッシャータンク21の径小な首部256より径大な弁座部258が設けられ、この弁座部258に対して開閉可能に主圧弁252が蓋部260に取り付けられ、この蓋部260と主圧弁252との間に圧縮状態でスプリング262が設置されている。このスプリング262の復元力が主圧弁252を弁座部258に圧接状態に維持する。
【0051】
そこで、図3のAに示す状態(主圧弁動作状態)では、プレッシャータンク21の内圧上昇がスプリング262の復元力に打ち勝つと、スプリング262を圧縮して主圧弁252が開状態となり、内圧が復元力に打ち勝っている間、開状態に維持される。この状態では、プレッシャータンク21内の熱媒HM2がプレッシャータンク21から連結パイプ27を通してリザーブタンク23に流出する。このような流出は、熱媒HM2が膨張時、高温時に生じる。
【0052】
また、主圧弁252の中心部には負圧弁254が主圧弁252を貫通させた弁軸264によって開閉可能に取り付けられ、弁軸264のフランジ部266と主圧弁252との間には圧縮状態でスプリング268が設置されている。このスプリング268の復元力が主圧弁252を弁座部として負圧弁254に圧接状態に維持する。
【0053】
そこで、図3のBに示す状態(負圧弁動作状態)では、プレッシャータンク21に負圧が作用しているので、主圧弁252が閉じられているが、負圧弁254はスプリング268の復元力に打ち勝つ負圧により、開状態となっている。この状態では、プレッシャータンク21内に熱媒HM2が連結パイプ27を通してリザーブタンク23から流入する。このような流入は、熱媒HM2の収縮時、低温時に生じる。
【0054】
次に、プレッシャータンク21に対する熱媒供給について、図4を参照する。図4はプレッシャータンクの熱媒供給を示し、Aはプレッシャータンクの開口部、Bはプレッシャータンクの熱媒供給状態を示している。
【0055】
プレッシャータンク21は、既述のプレッシャーキャップ25を外すことができる。このプレッシャーキャップ25を外すと、プレッシャータンク21には図4のAに示すように開口される。
【0056】
そこで、プレッシャータンク21の開口部270には図4のBに示すように、プレッシャーキャップ25に代え、キャップ272を取付け、このキャップ272にある連結部273にパイプ35を連結する。キャップ272は、熱媒パック33から熱媒HM2を供給するためのパイプ35の支持手段の一例である。キャップ272には、連結部273を通して熱媒HM2を通す貫通孔274が形成されているので、この貫通孔274から熱媒HM2がプレッシャータンク21に注入される。
【0057】
また、キャップ272にはOリング276が取り付けられ、このOリング276によってキャップ272とプレッシャータンク21の開口部270とが密封される。また、プレッシャータンク21には既述の連結パイプ27を連結する連結部278が形成され、この連結部278には連結パイプ27が連結され、この連結パイプ27を通してプレッシャータンク21がリザーブタンク23側に開放されている。
【0058】
斯かる構成とすれば、熱媒パック33から供給される熱媒HM2がパイプ35を通してキャップ272からプレッシャータンク21に供給されるとともに、プレッシャータンク21をオーバーフローした熱媒HM2がリザーブタンク23側に流れ、リザーブタンク23にも熱媒HM2を供給することができる。
【0059】
次に、集熱回路6に対する熱媒張りについて、図5を参照する。図5は、熱媒供給時の集熱回路、プレッシャータンク及びリザーブタンクの一例を示している。図5において、図1、図2、図3及び図4と同一部分には同一符号を付してある。
【0060】
プレッシャータンク21は閉回路である集熱回路6に設置されており、プレッシャーキャップ25により開閉することができる。集熱回路6に循環させる熱媒HM2には、不凍液等の熱媒を用いることができる。図5は、熱媒供給時のため、プレッシャーキャップ25は外され、既述のキャップ272が取り付けられている。
【0061】
そこで、キャップ272には熱媒パック33をパイプ35により連結し、熱媒パック33にある水Wを熱媒HM2として集熱回路6に流し込むことができる。キャップ272には既述の連結パイプ27が接続され、この連結パイプ27はリザーブタンク23に挿入されている。
【0062】
リザーブタンク23には既述の水位センサ29が設置され、この水位センサ29は検出電極29A、29B及び共通電極29Cを備えている。この場合、リザーブタンク23を良導体で構成すれば、常に熱媒HM2が触れるので、共通電極29Cは例えば、リザーブタンク23の底面に設置してもよい。検出電極29Aはリザーブタンク23にある熱媒HM2の高レベル(H)を検出する電極、検出電極29Bはリザーブタンク23にある熱媒HM2の低レベル(L)を検出する電極である。従って、リザーブタンク23内の熱媒HM2が検出電極29Bに触れていれば、熱媒HM2のレベルは低レベルであり、また、熱媒HM2が検出電極29Aに触れていれば、熱媒HM2のレベルは高レベルであることが判る。
【0063】
次に、制御装置82について、図6を参照する。図6は、制御装置の一例を示している。図6に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図6において、図1、図2、図3、図4及び図5と同一部分には同一符号を付してある。
【0064】
この制御装置82は、コンピュータによって構成されており、CPU(Central Processing Unit )84、ROM(Read-Only Memory)86、RAM(Random-Access Memory)88、タイマ90、カウンタ92等を備える。CPU84はROM86にある制御プログラムを実行し、検出温度等を制御情報に用いてその演算等の処理により、制御出力を発生する。RAM88はプログラムの実行エリアを構成する。タイマ90は計時手段の一例であって、レベル検出時間帯、レベル検出の間隔等の時間制御のための時間情報を生成する。カウンタ92は、計数可能な検出情報を計数し、また、アナログ情報であってもディジタル化された情報を計数する。
【0065】
この制御装置82には、リモコン装置94が有線又は無線により接続されている。リモコン装置94は、ユーザの操作装置であって、制御部96と、操作部98と、表示部100とを備え、ユーザの生活エリアに設置される。
【0066】
制御部96は、操作部98からの操作入力を受け、その操作能力に基づく制御情報を制御装置82に通知する。操作部98はキーボードやタッチセンサ等で構成される。制御部96はコンピュータによって構成されており、CPU102、ROM104、RAM106等を備える。CPU102はROM104にある制御プログラムを実行し、制御出力を発生する。RAM106はプログラムの実行エリアを構成する。この制御部96は制御装置82と連係し、制御装置82に対する制御命令を出力し、制御装置82からの出力情報を受け、制御状態等を表す提示出力を表示部100に提供する。
【0067】
表示部100は制御部96の表示制御に基づき、制御部96から提供される提示出力に基づく視認可能な表示を行う。
【0068】
次に、この暖房・給湯・追焚装置2について、熱媒張り動作、低温暖房動作、高温暖房動作、給湯動作、浴槽注湯動作、浴槽水追焚動作及び太陽熱集熱動作を説明する。
【0069】
(1) 熱媒張り動作
【0070】
この熱媒張り動作の処理手順について、図7及び図8を参照する。図7及び図8は、熱媒張り動作の処理手順の一例を示している。図7及び図8において、a、bは、フローチャート間の結合部分を示している。
【0071】
この処理手順は、本発明の熱媒張り制御方法の一例である。この処理手順では、図7に示すように、電源投入により熱媒張りモードが開始される。この熱媒張りモードでは、集熱切替弁16を貯湯タンク4側を閉に切替え(ステップS101)、集熱回路6にプレッシャータンク21に熱媒パック33を接続した熱媒張り回路(図5)を構成させる。
【0072】
プレッシャータンク21のプレッシャーキャップ25を外してキャップ272を取り付け、パイプ35(図4、図5)を接続し、熱媒HM2になる不凍液を注入する(ステップS102)。水張りスイッチ87(図6)の切替えを監視し(ステップS103)、この水張りスイッチ87がONであれば(ステップS103のYES)、水張り表示部89を点滅させ(ステップS104)、熱媒張りモードであることを告知する。
【0073】
集熱切替弁16を水張り位置に設定し(ステップS105)、集熱ポンプ14を動作させる(ステップS106)。これにより、集熱ポンプ14の回転数Nを高回転数N1(図9)に設定し、回転数N1で熱媒HM2の循環が開始される。
【0074】
水位センサ29の検出出力を監視し(ステップS107)、検出電極29Bが導通したか(高レベルHか)を確認する。水位センサ29が高レベル(H)を検出した場合(ステップS107のYES)、水張り表示部89の点灯(ステップS108)、集熱ポンプ14の回転数Nを高回転数N3で動作させ(ステップS109)、不凍液の注入を終了し(ステップS110)、ステップS116(図8)に移行する。
【0075】
ステップS107で、水位センサ29が高レベル(H)を検出していない場合(ステップS107のNO)、集熱ポンプ14の回転数Nが高回転数N1かを判定し(ステップS111)、回転数Nが高回転数N1であれば(ステップS111のYES)、集熱ポンプ14の回転数N=N1の回転から所定時間として例えば、20〔秒〕が経過したかを確認する(ステップS112)。集熱ポンプ14の回転数N=N1の回転から所定時間20〔秒〕が経過していれば(ステップS112のYES)、集熱ポンプ14の回転数Nを低回転数N2に設定して動作させ(ステップS113)、ステップS116(図8)に移行する。所定時間20〔秒〕が経過していなければ(ステップS112のNO)、ステップS116(図8)に移行する。
【0076】
また、ステップS111で、回転数N=N1でなければ(ステップS111のNO)、ポンプ回転数Nが低回転数N2の回転から所定時間例えば、10〔秒〕が経過したかを確認する(ステップS114)。集熱ポンプ14の回転数N=N2の回転から所定時間10〔秒〕が経過していれば(ステップS114のYES)、集熱ポンプ14の回転数Nを高回転数N1に設定して動作させ(ステップS115)、ステップS116(図8)に移行する。所定時間として例えば、10〔秒〕が経過していなければ(ステップS114のNO)、ステップS116(図8)に移行する。
【0077】
水張り開始から一定時間例えば、60〔分〕が経過する前かを確認し(ステップS116)、一定時間60〔分〕の経過前であれば(ステップS116のYES)、水張りスイッチがOFFかを確認する(ステップS117)。水張りスイッチ87がOFFでなければ(ステップS117のNO)、ステップS107に戻り(図7)、既述の処理を続行する。
【0078】
水張りスイッチ87がOFFであれば(ステップS117のYES)、水張り表示部を消灯する(ステップS118)。水張り開始から一定時間例えば、60〔分〕が経過していれば(ステップS116のNO)、同様に水張り表示部89を消灯する(ステップS118)。
【0079】
集熱切替弁16を貯湯タンク4側を閉に切替え(ステップS119)、集熱ポンプ14の動作を停止させ(ステップS120)、熱媒の注入を完了する。
【0080】
斯かる処理によれば、集熱ポンプ14の回転数Nを高回転数N1又はN3と低回転数N2とを交互に繰り返すことにより、集熱回路6から空気を排除して熱媒である熱媒HM2を集熱回路6に満たすことができる。
【0081】
次に、この集熱ポンプ14の運転について、図9を参照する。図9はポンプ回転数テーブルの一例を示している。
【0082】
このポンプ回転数テーブル110では、集熱パネル10の設置高さに応じて集熱ポンプ14に設定する回転数N1、N2、N3が設定されている。集熱パネル10の設置高さが例えば、6〔m〕未満と、6〔m〕以上とに区分されて回転数N1、N2、N3が設定され、この高さに応じた回転数N1、N2、N3の設定を切り替える手段としてディップスイッチ91(図6)が備えられ、ディップスイッチ91によって回転数N1、N2、N3が設定される。
【0083】
この実施の形態では、ポンプ回転数Nには高回転数N1、N3と、低回転数N2とが設定されている。集熱パネル10の高さが6〔m〕未満の場合には、高回転数としてN1=N3=4600〔rpm〕、低回転数としてN2=2000〔rpm〕が設定される。
【0084】
また、集熱パネル10の高さが6〔m〕以上の場合には、高回転数としてN1=4800〔rpm〕、N3=4600〔rpm〕、低回転数としてN2=3500〔rpm〕が設定される。集熱パネル10の設置高さが高い場合には、熱媒HM2を保持するため、集熱ポンプ14の揚程力を高く設定している。
【0085】
このような回転数Nに高回転数N1、N3と低回転数N2とを所定時間毎に交互に設定し、ポンプ回転数に強弱を付与することにより、集熱回路6から空気を排除して熱媒HM2を集熱回路6に満たすことができる。
【0086】
既述の熱媒張りの際、集熱ポンプ14の強弱運転について、集熱ポンプ14を一定速度で運転すれば、熱媒HM2中に空気が気泡状態で残留し、特に、配管の曲がったところ等に空気が残留する。そこで、熱媒HM2の流速を変化させると、気泡状態を呈する空気が移動し、また、気泡状の空気が互いに結びつき、大きな気泡に成長する。気泡が大きくなると、熱媒HM2で押し出しやすくなり、集熱回路6のエアパージが行われる。
【0087】
熱媒HM2の流速変化について、集熱ポンプ14の間欠運転によっても熱媒の流速変化が得られるが、稼働中の集熱ポンプ14を停止すると、集熱回路6が閉回路であるため、外部から熱媒供給がなければ、プレッシャータンク21内の熱媒レベルは変化しない。この場合、集熱ポンプ14側から熱媒戻りがあったとしても、その分だけ反対側から吸い込みが生じることになる。ところで、集熱パネル10は屋根等の高所に設置され、集熱ポンプ14にはその高さまで熱媒HM2を上昇させる揚程力が必要となる。この場合、集熱回路6の配管には相応の内圧が加わり、樹脂製の配管を膨張させる。この膨張に対し、集熱ポンプ14を停止させると、集熱回路6の管路に対する内圧が解除されることになる。この結果、その配管は収縮し、その収縮分だけプレッシャータンク21内の熱媒HM2のレベルが上昇する。配管内に空気があれば、その空気が膨張するため、さらに熱媒HM2のレベルが上昇する。この熱媒レベルの上昇は、外部から供給した熱媒HM2が集熱回路6内に入らなくなった状態(エアパージ終了状態)を呈し、エアパージ完了と誤認する原因となる。そこで、配管の内圧を維持できる集熱ポンプ14の弱運転(低回転数運転)と強運転(高回転数運転)とを交互に繰り返すことにより、停止運転の際の熱媒HM2のレベル上昇を回避している。
【0088】
そして、熱媒張り(エアパージ)完了の判定について、プレッシャータンク21とともにリザーブタンク23か設置され、このリザーブタンク23には、熱媒HM2の水位を検出するための水位センサ29が備えられ、この水位センサ29で低レベル(L)と高レベル(H)とを検出している。
【0089】
通常運転時、プレッシャータンク21を含む密閉した集熱回路6内の熱媒HM2が膨張し、所定圧力以上に到達すると、熱媒HM2がリザーブタンク23に流れ、逆に収縮すると負圧になるため、熱媒HM2を吸込む。熱媒HM2の水位が低レベル(L)を下回ると、熱媒HM2の補給を促す警告等を発し、水位センサ29が高レベル(H)を検出するまで、クーラント等熱媒をプレッシャータンク21に補給する。この場合、制御装置82が水位センサ29の検出出力を取り込み、低レベル出力を検出したとき、警告器93から熱媒HM2の補給を促す警告や、水張り表示部89に警告表示をする構成とすればよい。
【0090】
熱媒張りを行う場合、既述した通り、1〔サイクル〕、30〔秒〕のポンプ強弱運転を行うが、その強弱運転の間、熱媒HM2がプレッシャータンク21が満たされると、リザーブタンク23に流れる。熱媒張りの初期段階では、熱媒HM2の集熱回路6への流入量が多く、プレッシャータンク21からリザーブタンク23へ流れる量は少ない。集熱回路6のエアパージが促進されると、リザーブタンク23に流れる熱媒量が増加する。そして、集熱ポンプ14の強弱運転を10〔サイクル〕程度行えば、集熱回路6の熱媒張り(エアパージ)が完了する。
【0091】
(2) 低温暖房動作
【0092】
この低温暖房動作では、低温暖房器52に循環させて低温化した熱媒HM1に貯湯タンク4にある高温の熱媒HM1を混合し、低温暖房器52に要求温度の熱媒HM1を循環させる。
【0093】
(3) 高温暖房動作
【0094】
高温暖房器54から運転信号が制御装置82に入力されると、循環ポンプ26の運転を開始する。温度センサ42の検出温度T3と温度センサ44の検出温度T4とを比較し、T4>T3の場合、貯湯タンク切替弁40を貯湯タンク4側を開状態にする。貯湯タンク4の熱媒HM1は、循環ポンプ26から二次熱交換器30、一次熱交換器28に送り込まれる。一次熱交換器28の出側にある温度センサ48の検出温度T5が放熱暖房に適する一定温度として例えば、80〔℃〕になるようにバーナ46の燃焼を制御する。なお、貯湯タンク4の熱媒HM1が放熱暖房に適する一定温度である例えば、80〔℃〕であれば、一次熱交換器28による加熱は行わない。
【0095】
高温化された熱媒HM1は、高温暖房器54に流れ、放熱を行う。この場合、循環路8、高温分配弁62に流れた熱媒HM1は循環路8Aに分流されて給湯用熱交換器56を通り、高温暖房器54からの戻り熱媒HM1と合流し、貯湯タンク4に至る。この場合、循環路8Aで形成された給湯用熱交換器56の回路は高温暖房器54が運転可能になるまでの循環回路及び給湯要求の際に即応可能な給湯用加熱路として使用される。
【0096】
高温暖房器54を通過して熱が奪われた熱媒HM1と、給湯用熱交換器56からの戻り熱媒HM1とが混合されるが、この混合熱媒HM1は温度センサ42で検出される。この検出温度T3は、貯湯タンク4の出側にある温度センサ44の検出温度T4と比較される。T4<T3であれば、貯湯タンク切替弁40の開度は貯湯タンク4側から分流路24側へ切り替えられ、貯湯タンク4の熱媒HM1の使用を停止する。即ち、熱媒HM1による蓄熱を行い、その節減を図る。
【0097】
(4) 給湯動作
【0098】
給水口から暖房・給湯・追焚装置2に入った給水Wは、温度センサ64、水量センサ、水制御弁等を経てバイパス路60の分岐点に至る。バイパス路60側に流れる給水Wはミキシングのために温水HWに混合される。また、二次熱交換器58を経て給湯用熱交換器56に流れた給水Wは、給湯用熱交換器56で熱媒HM1の熱と熱交換が行われ、温水HWとなってバイパス路60の分岐点に設置されているミキシング弁を通過する。ミキシング弁の開度は、温度センサ66の検出温度T8が設定温度になるように調整され、給湯用熱交換器56により加熱された高温の温水HWが給水Wと混合されて設定温度に調整され、出湯口から出湯される。
【0099】
熱媒HM1の循環動作では、給湯回路36にある水量センサが流水を感知すると、循環ポンプ26が運転を開始する。温度センサ42の検出温度T3と温度センサ44の検出温度T4とが比較される。T4>T3の場合には、貯湯タンク切替弁40を貯湯タンク4側を開状態にする。貯湯タンク4の熱媒HM1は、循環ポンプ26に吸い込まれ、二次熱交換器30及び一次熱交換器28に送り込まれる。これら一次熱交換器28及び二次熱交換器30を通過した熱媒HM1の温度は温度センサ48で検出され、その検出温度T5が一定の温度として例えば、80〔℃〕になるように、バーナ46の燃焼制御が行われる。なお、貯湯タンク4の熱媒HM1がその一定温度である例えば、80〔℃〕であれば、バーナ46による加熱は行わない。
【0100】
一定温度例えば、80〔℃〕の熱媒HM1は給湯用熱交換器56で給水W側との熱交換を行う。例えば、給湯能力を24号とした場合、その熱量は41.86〔kW〕(36,000〔kcal/h〕)である。貯湯タンク4の温水温度が80〔℃〕で循環ポンプ26の循環量が約12〔リットル/min〕であれば、貯湯タンク4に戻る熱媒HM1の温度が約30〔℃〕で、貯湯タンク4の熱媒HM1の全てを給湯熱交換に使用したとすれば、貯湯タンク4内の温水温度は約30〔℃〕となる。給湯号数が減少すれば、貯湯タンク4に戻る熱媒HM1の温度低下が少なく、貯湯タンク4の温水温度は、常に30〔℃〕以上となる。
【0101】
また、給湯用熱交換器56で熱を奪われた熱媒HM1の検出温度T3と温度センサ44の検出温度T4とを比較する。T4<T3であれば、貯湯タンク切替弁40を貯湯タンク4側から分流路24側へ切り替え、貯湯タンク4の熱媒HM1を使用しない。これにより、貯湯タンク4の熱媒HM1の使用による熱損失が抑制される。
【0102】
(5) 浴槽注湯動作
【0103】
給湯時、注湯電磁弁78を開くと、給湯回路36が追焚回路38に連結され、給湯回路36から分岐された注湯回路76に流れる温水HWが追焚用熱交換器70を経て浴槽68に注湯される。この場合、追焚ポンプ72は使用しない。給水Wが上水であれば、十分な水圧があるので、温水HWはその水圧を利用して浴槽68に注湯される。
【0104】
(6) 浴槽水追焚動作
【0105】
リモコン装置94から追焚運転信号が制御装置82に入力されると、追焚ポンプ72の運転を開始させる。これにより、浴槽水BWは、追焚回路38に循環され、追焚用熱交換器70で熱媒HM1の熱が熱交換され、加熱される。温度センサ74の検出温度T9が設定温度に達すれば、追焚運転を終了し、追焚ポンプ72の運転を停止させる。
【0106】
この場合、追焚運転信号が制御装置82に入力されると、循環ポンプ26の運転を開始する。温度センサ42の検出温度T3と温度センサ44の検出温度T4とが比較され、T4>T3であれば、貯湯タンク切替弁40を貯湯タンク4側に切り替える。貯湯タンク4の熱媒HM1は、循環ポンプ26に吸い込まれ、二次熱交換器30及び一次熱交換器28に送り込まれる。これら一次熱交換器28及び二次熱交換器30を通過した熱媒HM1の温度は温度センサ48で検出され、その検出温度T5が一定の温度として例えば、80〔℃〕になるように、バーナ46の燃焼制御が行われる。なお、貯湯タンク4の熱媒HM1がその一定温度である例えば、80〔℃〕であれば、バーナ46による加熱は行わない。
【0107】
高温分配弁62を循環路8B側にも開き、循環路8B側に熱媒HM1を流し、追焚回路38と循環路8Bとの間で熱媒HM1の熱を浴槽水BWに熱交換する。この場合、高温分配弁62は給湯用熱交換器56側にも熱媒HM1を流す。追焚用熱交換器70で浴槽水BWに熱を奪われた熱媒HM1は、循環路8Aにある給湯用熱交換器56を通過した熱媒HM1と合流し、貯湯タンク4に戻される。高温分配弁62から給湯用熱交換器56を通る循環路8Aは、給湯要求の際に即応可能な給湯用回路として使用する。
【0108】
追焚用熱交換器70で熱を奪われた熱媒HM1は、給湯用熱交換器56を通過した熱媒HM1と混合される。その混合熱媒HM1の検出温度T3と検出温度T4とを比較し、T4<T3であれば、貯湯タンク切替弁40を貯湯タンク4側から分流路24側へ切り替え、貯湯タンク4の熱媒HM1を使用しない。即ち、熱媒HM1による蓄熱を行い、その節減を図る。
【0109】
(7) 太陽熱集熱動作
【0110】
太陽熱による熱媒HM2の温度上昇は、日射量に関係し、その試験結果によれば、冬季でも約30〔℃〕の上昇が期待できることが確認されている。季節に関係なく貯湯タンク4の温水温度は約30〔℃〕であるため、太陽熱用熱媒である熱媒HM2と熱交換する太陽熱用熱交換器12を備える貯湯タンク4では、冬期でも30〔℃〕の温度上昇があり、貯湯タンク4の温水温度は30〔℃〕+30〔℃〕で約60〔℃〕に上昇させることができる。この場合、既述の低温暖房器52の要求温度が例えば、60〔℃〕であれば、貯湯タンク4に蓄えられた熱媒HM1の熱を低温暖房器52の放熱に利用できる。夏期であれば、これ以上の熱利用ができることは勿論である。
【0111】
この集熱回路6に利用できる太陽熱について、季節により日の出、日の入り時刻が変わり、日射のある時間帯も変化する。季節(夏季・冬季・中間期)により集熱ポンプ14の運転開始時刻及び停止時刻をリモコン装置94を通して制御装置82に設定する。季節の判断は、温度センサ80の検出温度T10を用いればよい。
【0112】
そこで、設定時刻が集熱ポンプ14の運転開始時刻になると集熱ポンプ14を運転する。熱媒HM2が集熱回路6に循環し、温度センサ20が集熱パネル10に入る熱媒HM2の温度を検出する。集熱パネル10は熱媒HM2を太陽熱で加熱する手段であるから、日射があれば、集熱パネル10を通過した熱媒HM2の検出温度T2が上昇する。そこで、T2>T1であれば、太陽熱の集熱有りと判断し、集熱ポンプ14の運転を継続する。これに対し、T2≦T1であれば、集熱パネル10を通過した熱媒HM2の温度が低下したのであるから、太陽熱の集熱無しと判断し、集熱ポンプ14の運転を停止し、集熱動作を終了する。
【0113】
この場合、集熱パネル10においては温度上昇(T2>T1)があれば、その検出温度T2が温度センサ44の検出温度T4より低い場合(T2<T4)には、貯湯タンク4の熱媒HM1の熱が熱媒HM2に奪われることになり、熱損失を来す。これを防止するため、ソーラー切替弁16をバイパス路18側に切り替えて循環させる。この循環は、T2>T4になるまで継続し、T2>T4になれば、ソーラー切替弁16を太陽熱用熱交換器12側に切り替え、熱媒HM2の熱を貯湯タンク4内の熱媒HM1に熱交換を行う。そして、設定時刻が集熱ポンプ14の停止時刻になれば、集熱ポンプ14の運転を停止する。
【0114】
この結果、太陽熱の集熱を熱媒HM2に行い、その熱媒HM2の熱を熱媒HM1に熱交換することにより、貯湯タンク4に熱媒HM1を通じて蓄熱することができる。
【0115】
上記実施の形態の利点や効果は以下の通りである。
【0116】
(1) 熱媒張りでの集熱ポンプ14の運転を強弱運転にすることで、集熱ポンプ14の弱運転時熱媒が管内を下り、シーソー状態を繰り返すことで、管内の空気を押し出すことができ、残留空気のない熱媒張りを行うことができる。
【0117】
(2) この制御は熱媒張りに特別な作業が追加になることなく、通常の作業と同じことを行えばよい。
【0118】
(3) 集熱回路6に残留空気がないので、太陽熱の熱媒への熱交換効率を高めることができる。
【0119】
(4) 熱媒張りに要する集熱ポンプ14の駆動時間を低減でき、消費電力を抑制することができる。
【0120】
(5) 上記実施の形態ではプレッシャーキャップ25をプレッシャータンク21に設置したが、集熱回路6の管路にプレッシャーキャップ25を設置してもよい。
【0121】
〔他の実施の形態〕
【0122】
(1) 上記実施の形態では、高温水分配式の暖房給湯用熱源機の暖房回路に集熱回路6を接続し、太陽熱を熱源に利用し、太陽熱との熱交換により得られた高温水を給湯、低温暖房にも利用しているが、本発明はこのような熱源に太陽熱を利用するものに限定されない。上記実施の形態は一例であって、太陽熱に代え燃焼熱やエンジンの排熱を熱源に用いてもよい。
【0123】
(2) 上記実施の形態では、熱媒体として熱媒HM1、HM2を利用したが、熱媒HM1、HM2には温水以外の不凍液等の熱媒流体を用いてもよい。
【0124】
(3) 上記実施の形態では、貯湯タンク4にある熱媒HM1の温度を検出する温度センサ44を貯湯タンク4外の循環路8側に設置しているが、貯湯タンク4内に設置して熱媒HM1の温度を検出してもよい。
【0125】
(4) 上記実施の形態において、図7及び図8に示す熱媒張り動作では、集熱切替弁16をタンク側を閉(ステップS101、S119)に切替えているが、いずれか一方又は双方のステップで集熱切替弁16を開に切り替えてもよい。
【0126】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、太陽熱や燃焼熱を熱源に用いた給湯装置や、暖房・給湯・追焚装置等の熱源装置に広く利用できる。
【符号の説明】
【0128】
2 暖房・給湯・追焚装置
6 集熱回路
10 集熱パネル
14 集熱ポンプ
21 プレッシャータンク
23 リザーブタンク
25 プレッシャーキャップ
29 水位センサ
33 熱媒パック
82 制御装置
HM2 熱媒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽熱を集熱し、熱媒に熱交換する太陽熱集熱装置であって、
熱媒を循環させる循環回路と、
前記熱媒を溜めるタンクと、
太陽熱を集熱し、前記熱媒に熱交換させる集熱手段と、
前記循環回路に前記熱媒を循環させるポンプと、
前記ポンプの強弱運転の繰り返しにより、前記タンクから前記熱媒を前記集熱手段及び前記循環回路に送り出して前記集熱手段及び前記循環回路に前記熱媒を満たす制御部と、
を備えることを特徴とする太陽熱集熱装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ポンプの高速回転と低速回転との繰り返しにより、前記タンクから前記熱媒を前記集熱手段及び前記循環回路に送り出して前記集熱手段及び前記循環回路に前記熱媒を満たすことを特徴とする請求項1に記載の太陽熱集熱装置。
【請求項3】
前記タンクは、
前記熱媒を溜める貯留タンクと、
前記循環回路の圧力が上昇した際に、前記循環回路から前記熱媒を前記貯留タンクに流出させるとともに、前記循環回路に前記熱媒が不足した際に、前記貯留タンクから前記熱媒を吸い込む圧力タンクと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の太陽熱集熱装置。
【請求項4】
熱媒を循環させる循環回路と、前記熱媒を溜めるタンクと、太陽熱を集熱し、前記熱媒に熱交換させる集熱手段と、前記循環回路に前記熱媒を循環させるポンプと、該ポンプを制御する制御部とを備え、太陽熱を集熱し、熱媒に熱交換する太陽熱集熱装置の熱媒張り制御方法であって、
前記タンクに熱媒を供給する工程と、
前記ポンプの強弱運転の繰り返しにより、前記タンクから前記熱媒を前記集熱手段及び前記循環回路に送り出して前記集熱手段及び前記循環回路に前記熱媒を満たす工程と、
を含むことを特徴とする太陽熱集熱装置の熱媒張り制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−237081(P2011−237081A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107800(P2010−107800)
【出願日】平成22年5月9日(2010.5.9)
【出願人】(000170130)高木産業株式会社 (87)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】