説明

太陽電池アレイ

【課題】 DPG工法によって太陽電池アレイのカーテンウオールを形成する。
【解決手段】 目地が交差する位置で隣接する太陽電池モジュール1の各コーナーに透孔11を設けて、透孔11内に電力出力用のリード線12を引出して、該透孔11に挿入して太陽電池モジュール1を支持する支持金具2の貫通孔221内に導き、貫通孔221内で接続端子27に接続してケーブル28によって構造躯体B側に向けて電力の出力を行う。支持金具2は太陽電池モジュール1の透孔11近傍を前後で挟持して構造躯体Bに支持するから、太陽電池モジュール1の正面にはDPG工法の化粧ドットプレートが露出するだけとなり、太陽電池アレイAによる、フレームレスにして半透明で採光性を有する外観良好のカーテンウオールを形成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンウオール、屋根、手摺乃至壁面等として設置することによって太陽光発電を行う太陽電池アレイに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の太陽光発電を行う太陽電池アレイとして、下記特許文献1は、無目と方立に形成した対向溝に太陽電池モジュールの四周をガスケットによって支持し、該太陽電池モジュールの背面に配置した端子箱にケーブルを接続して、該太陽電池モジュールの電力を出力するようにし、上下窓間のカーテンウオールを形成するものとされ、また、下記特許文献2は、太陽電池モジュール間の横目地に、縦目地を跨ぐように平面C字状の支持金具を配置し、該支持金具を方立乃至ワイヤートラスに固定するとともに、太陽電池モジュールに形成した横目地正面側の段差乃至切欠に端子箱を設置し、押縁によって該端子箱を固定してケーブルを接続することによって該端子箱及びケーブルが横目地外に露出するのを防止するようにしたものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−336232号公報
【特許文献2】特開2001−53319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの場合、比較的良好な外観を確保して太陽電池アレイを壁面に設置することができるが、一般に太陽電池モジュールは、その外周にアルミ等のフレームを囲繞配置したものとされるところ、特許文献1のものは外周を方立と無目をフレームとするように、ガスケットによって上下窓間に各太陽電池モジュールを支持するものとされるから、太陽電池アレイをフレームレスのものとすることはできないし、また、電力の出力に、太陽電池モジュールの裏面に配置した端子箱を用いるため、例えばワイヤートラスに設置する場合、端子箱が裏面の外観を損なう可能性が残されている。一方、特許文献2のものは、端子箱やケーブルが裏面外観を損なうことは防止できるとしても、縦横目地の交点に縦目地を跨ぐように配置した平面C字状の支持金具及び端子箱を固定する押縁が比較的大きく吐出することになって、これらが同じく外観を損なう可能性が残されている。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、太陽電池モジュールの支持を可及的安定且つ強固に行うとともにフレームレスとすることによって、設置外観を可及的に良好とした太陽電池アレイを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に沿って鋭意検討した結果、例えば、DPG(ドットポイントグレージング)工法は、広面積のガラスカーテンウオールの壁面形成に実績を有するとともにガラスパネルの支持を安定且つ強固に行うものであることから、太陽電池アレイに適用すれば、太陽電池モジュールをフレームレスのものとして、これを構成することが可能となり、その支持を該ガラスパネルと同様にDPG工法によって行えば、太陽電池モジュールのその支持上の問題点のないものとすることができるとともに太陽電池モジュールの表面には化粧ドットプレートが、例えば円形に露出するのみであるから、外観も良好なものとすることが可能であること、このとき、DPG工法を用いるに際して太陽電池モジュールに上記支持のために透設した透孔とその支持金具を、太陽電池モジュールの支持とその電力出力用に用いて、支持機能と出力機能を兼用するものとすることによって、外観を損なう可能性を解消し、同時に電力の出力を有効且つ適切になし得るものとすることができるとの知見を得て、本発明を行うに至ったものであって、即ち、請求項1に記載の発明を、太陽電池モジュールの隣接するコーナーをDPG工法によって構造躯体に支持した太陽電池アレイであって、太陽電池モジュールの電力を、そのDPG工法の支持位置に形成した透孔と、該透孔に挿入配置したDPG工法の支持金具を介して構造躯体側に出力自在としてなることを特徴とする太陽電池アレイとしたものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、太陽電池モジュールに透設した透孔からの、上記DPG工法の支持金具による電力の出力を可及的簡易且つ確実になし得るものとするように、これを、上記太陽電池モジュールの電力の出力を、該太陽電池モジュールの透孔に誘導した出力用のリード線又は該透孔の内周面に配置した出力用の接点を用いて、該リード線又は接点を介して行ってなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池アレイとしたものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、電力出力に用いるケーブルを支持金具内に収容配置し、該ケーブルを支持金具の外側に添設したりすることによるトラブルを解消するように、これを、上記太陽電池モジュールの電力の出力を、該太陽電池モジュールの上記透孔に挿入配置したDPG工法の支持金具に、該透孔位置から構造躯体側に向けた貫通孔を配置するとともに該貫通孔にケーブルを配置し、支持金具の透孔位置乃至その躯体構造側位置から該ケーブルを用いて行なってなることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池アレイとしたものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、透孔にリード線を誘導したとき、そのケーブルとの接続を可及的簡易且つ確実になし得るものとするように、これを、上記太陽電池モジュールの電力の出力を、太陽電池モジュールの透孔に誘導した出力用のリード線を、該透孔に挿入配置したDPG工法の支持金具に該透孔位置から構造躯体側に向けて配置した貫通孔内に配置の接続端子を介して該貫通孔に配置したケーブルに接続して行なってなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の太陽電池アレイとしたものである。
【0010】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記DPG工法の支持金具を、太陽電池モジュールの安定且つ確実な支持を行うものとするとともに、上記透孔にリード線を誘導したとき、支持金具に対して、該リード線を透孔内又はその近傍で該支持金具に誘導して、該支持金具内でのケーブル接続をなし得るものとするように、これを、上記支持金具を、構造躯体に固定する固定ベースと、該固定ベースから前方に突出した中空ボルトと、該中空ボルトの先端を定位置として該中空ボルトに被嵌配置した上記太陽電池モジュールの透孔の内径と同等乃至これより径小とした嵌挿リングと、該嵌挿リングを前後で挟持するように前後一対にして前方を化粧用、後方を締着用とした挟持部材を備えて構成し、太陽電池モジュールの透孔に誘導した出力用のリード線を、該リード線を上記嵌挿リングが被嵌した中空ボルト内に誘導し、該中空ボルトの透孔位置に配置した接続端子を介してケーブルに接続して、太陽電池モジュールの構造躯体側への出力を自在としてなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の太陽電池アレイとしたものである。
【0011】
請求項6に記載の発明は、同じく上記に加えて、DPG工法の支持金具における上記嵌挿リングと太陽電池モジュールの透孔との関係を好ましい形態とするとともに該支持金具によって該透孔近傍を損傷したりすることなく、確実な支持と透孔近傍の保護を確実になし得るものとするように、これを、上記嵌挿リングを太陽電池モジュールの透孔の内径より径小とし、該嵌挿リングと透孔間の空隙を埋めるように上記透孔と嵌挿リング間に介装した前後一対にして嵌挿リングを前後で被嵌自在の保護リングを備えてなることを特徴とする請求項5に記載の太陽電池アレイとしたものである。
【0012】
請求項7、8及び9に記載の発明は、同じく上記に加えて、DPG工法によって形成した太陽電池アレイを建築技術分野におけるそれぞれ好ましい形態のものとするように、請求項7に記載の発明を、上記太陽電池アレイを、DPG工法の支持金具によって方立、ワイヤートラス等の構造躯体に支持したカーテンウオール壁面としてなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載の太陽電池アレイとし、請求項8に記載の発明を、上記太陽電池アレイを、DPG工法の支持金具によって屋根の構造躯体に支持した屋根面としてなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載の太陽電池アレイとし、請求項9に記載の発明を、上記太陽電池アレイを、DPG工法の支持金具によって構造躯体に支持した手摺面乃至塀面としてなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載の太陽電池アレイとしたものである。
【0013】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として、上記解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、フレームレスの太陽電池モジュールをDPG工法によって構造材に支持することにより、その支持上の問題点がなく、太陽電池モジュールの表面には化粧ドットプレートが、例えば円形に露出するのみであるから、外観も良好なものとすることが可能となり、このとき、DPG工法を用いるに際して太陽電池モジュールに支持のために透設した透孔とその支持金具を、太陽電池モジュールの支持とその電力出力用に用いて、支持機能と出力機能を兼用するものとすることによって、外観を損なう可能性を解消し、同時に電力の出力を有効且つ適切になし得る太陽電池モジュールの支持を可及的安定且つ強固に行うとともにフレームレスとすることによって設置外観を可及的に良好とした太陽電池アレイを提供することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、太陽電池モジュールに透設した透孔からの、上記DPG工法の支持金具による電力の出力を可及的簡易且つ確実になし得るものとすることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、電力出力に用いるケーブルを支持金具内に収容配置し、該ケーブルを支持金具の外側に添設したりすることによるトラブルを解消することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、透孔にリード線を誘導したとき、そのケーブルとの接続を可及的簡易且つ確実になし得るものとすることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記DPG工法の支持金具を、太陽電池モジュールの安定且つ確実な支持を行うものとするとともに、上記透孔にリード線を誘導したとき、支持金具に対して、該リード線を透孔内又はその近傍で該支持金具に誘導して、該支持金具内でのケーブル接続をなし得るものとすることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、同じく上記に加えて、DPG工法の支持金具における上記嵌挿リングと太陽電池モジュールの透孔との関係を好ましい形態とするとともに該支持金具によって該透孔近傍を損傷したりすることなく、確実な支持と透孔近傍の保護を確実になし得るものとすることができる。
【0020】
請求項7、8及び9に記載の発明は、同じく上記に加えて、DPG工法によって形成した太陽電池アレイを建築技術分野におけるそれぞれ好ましい形態のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】カーテンウオールの太陽電池アレイの設置状態を示す斜視図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】固定ベースを外した支持金具の分解斜視図である。
【図4】支持金具と太陽電池モジュールの関係を示す斜視図である。
【図5】太陽電池モジュールと嵌挿リングの関係を示す縦断面図である。
【図6】太陽電池モジュールのリード線と支持金具の関係を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、Aは、カーテンウオール壁面の太陽電池アレイであり、該太陽電池アレイAは、太陽電池モジュール1の隣接するコーナーをDPG工法によって構造躯体Bに支持したものとしてあり、このとき、該太陽電池アレイAは、その電力を、そのDPG工法の支持位置に形成した透孔11と、該透孔11に挿入配置したDPG工法の支持金具2を介して構造躯体側に出力自在としたものとしてあり、本例にあって、上記太陽電池モジュール1の電力の出力は、これを、該太陽電池モジュール1の透孔11に誘導した出力用のリード線又は該透孔の内周面に配置した出力用の接点、本例にあってはリード線12を用いて、該リード線12を介して行ったものとし、また、該電力の出力は、これを、太陽電池モジュール1の上記透孔11に挿入配置したDPG工法の支持金具2に該透孔11位置から構造躯体B側に向けた貫通孔221を配置するとともに該貫通孔221にケーブル28を配置し、支持金具2の透孔11位置乃至その躯体構造B側位置から該ケーブル28を用いて行なったものとしてある。
【0023】
上記カーテンウオール壁面は、DPG工法の支持金具2によって方立、ワイヤートラス等の構造躯体B、本例にあっては方立に支持したものとしてあり、このとき、該DPG工法に用いる支持金具2は、縦横の目地を介して上下左右に隣接する4枚の太陽電池モジュール1における各目地の交点を通る対角線上にして同心円上に位置するように各太陽電池モジュール1に透設した4ヶ所の透孔11にそれぞれ支持金具2を配置して、太陽電池アレイAのカーテンウオール壁面を形成するものとしてある。
【0024】
本例にあって太陽電池モジュールAは、例えば、ガラス間の太陽電池セル間に空隙を配置することによって光透過性を有するようにした光透過型のフレームレスのものを用い、上記カーテンウオールをガラスカーテンウオールのように半透明にして採光性のものとし得るようにしてあり、このとき、該太陽電池モジュール1に配置した上記4ヶ所の同心円上に位置する透孔11は、その内径を、例えば2cm程度とした円形のものとしてあり、その内周面の前後中間位置に出力用のリード線12を導出してあり、該出力用のリード線12はインターコネクターで相互に接続した透孔11近傍の太陽電池セルに設置し、これを透孔11から透孔11内周側に引き出して設置してあり、本例のリード線12は、該透孔11の内周面から、上記支持金具2における後述の嵌挿リング23の前方を通過して該嵌挿リング23の中央位置でその円形の透孔11の前後中間位置に至る、例えば3cm程度の長さのものとしてある。
【0025】
本例にあって各太陽電池モジュール1のコーナーを支持する支持金具2は、構造躯体Bに固定する固定ベース21と、該固定ベース21から前方に突出した中空ボルト22と、該中空ボルト22の先端を定位置として該中空ボルト22に被嵌配置した上記太陽電池モジュール1の透孔11の内径と同等乃至これより径小とした嵌挿リング23と、該嵌挿リング23を前後で挟持するように前後一対にして前方を化粧用、後方を締着用とした挟持部材24を備えて構成し、このとき本例の支持金具2は、その上記嵌挿リング23を太陽電池モジュール1の透孔11の内径より径小とし、該嵌挿リング23と透孔11間の空隙を埋めるように上記透孔11と嵌挿リング23間に介装した前後一対にして嵌挿リング23を前後で被嵌自在の保護リング25を備えたものとしてある。
【0026】
固定ベース21は、隣接する4枚の太陽電池モジュール1における上記同心円上に位置する4つの透孔11を同時に支持するように、背面に構造躯体B、本例にあっては方立の側面に締着乃至溶着固定する固定片211を突出した、例えば方形中空のボックス状にして正面に4ヶ所の支持金具固定用の雌ネジを配置した金属製、例えば鋼製のものとしてある。
【0027】
中空ボルト22は、上記固定ベース21の支持金具固定用の雌ネジに螺合して、該中空ボルト22を上記固定ベース21から前方に突出する雄ネジ223をその長手方向後方の軸周りに配置し、長手方向前方の中間位置に、例えば軸を囲繞するように張出突出した、ストッパーをなす円形フィン状の位置決め用突片222を一体に配置してあり、このとき該中空ボルト22は、軸を長手方向全長に中空とした鋼製パイプを加工形成することによって前後に貫通する貫通孔221を備えたものとしてある。
【0028】
嵌挿リング23は、例えば太陽電池モジュール1の奥行に合せた厚さにして、太陽電池モジュール1の透孔11の内径、例えば2cm程度の内径より数mm小径とし、径内中央位置に上記中空ボルト22の軸外形に合せて、該中空ボルト22の軸を被嵌する円形透孔231を配置し、また、外周2ヶ所に後述の締着ボルト244のガイド溝232を軸横断方向に配置したものとしてある。
【0029】
挟持部材24は、前後一対のうち前方をDPG工法の化粧ドットプレートをなす円盤厚肉皿状にして径内2ヶ所に締着ボルト244の雌ネジを配置した、上記太陽電池モジュール1の透孔11より径大として該透孔11を閉塞被覆する化粧部材241と、前後一対のうち後方を該化粧部材241の雌ネジに螺合する締着ボルト244を挿通する径内2ヶ所のボルト透孔を配置し、径内中央位置に上記中空ボルト22の軸外形に合せて、該中空ボルト22の軸を被嵌する円形透孔243を配置した厚肉リング状の締着部材242によるものとしてある。
【0030】
保護リング25は、上記一対の挟持部材24と嵌挿リング23間に該嵌挿リング23挟み込み状に介設する前後一対にしてそれぞれ中央に嵌挿リング受入れ用の円形透孔251を、該円形透孔251を画するように前後の対向面にその対向方向に向けて突出した、太陽電池モジュール1の厚さの1/2長さにして上記嵌挿リング23と透孔11間の空隙を埋める突出フィン252を、また、上記円形透孔251の内側に上記嵌挿リング23のガイド溝232に対応するガイド溝253を備えて、外径を上記一対の挟持部材24と同等としたリング状のものとしてあり、このとき該保護リング25は、例えば硬質系又は軟質系の合成樹脂を用いて一体成形したものとしてある。
【0031】
このように形成した支持金具2は、その固定ベース21を構造躯体B、本例にあっては方立に固定し、その4ヶ所の雌ネジに各中空ボルト22を螺装して、太陽電池モジュール1側に該中空ボルト22を突出配置する一方、該中空ボルト22の先端に、その上記位置決め用突片222をストッパーとして、円形透孔231によって被嵌することによって嵌挿リング23を装着し、該嵌挿リング23の前後、後方では上記位置決め用突片222の背面に一対の保護リング25を配置した後、一対の挟持部材24を該保護リング25の前後に配置し、その締着部材242から一対の締着ボルト244を化粧部材241に螺入して、これらを締着一体化して用いるものとしてあり、これによって、上記嵌挿リング23は、太陽電池モジュール1の透孔11内に位置して、透孔11との間に形成される空隙に保護リング25の突出フィン252を介設する一方、該前後一対の保護リング25の対向面が太陽電池モジュール1の透孔11近傍、即ち、透孔11の外周近傍前後面に対接した状態に挟持部材24を中空ボルト22の前後端に配置して、該保護リング25が太陽電池モジュール1の前後面を密に被覆して、該前後面を保護し、その損傷を防止するとともに安定且つ確実な支持を行うようにし、太陽電池モジュール1の前面、即ち、カーテンウオールの正面側にあっては、該保護リング25を挟持部材24の上記化粧部材241、本例にあっては円形ドットプレートの化粧部材241が更に被覆して、DPG工法による太陽電池モジュール1の支持外観を呈するものとしてある。
【0032】
このとき、上記太陽電池モジュール1の電力の出力は、上記支持金具2を介してケーブル28に接続して行うところ、該出力に出力用のリード線12を用い、また、支持金具2、本例にあっては中空ボルト22の透孔11位置乃至その躯体構造B側位置からその貫通孔221に配置したケーブル28を用いて行なうようにした、本例における電力の出力は、これを、上記出力用のリード線12を、上記貫通孔221内に配置の接続端子27を介して該貫通孔221に配置したケーブル28に接続して行なったものとしてある。
【0033】
本例の中空ボルト22の貫通孔221には、その嵌挿リング23位置、即ち、太陽電池モジュール1の透孔11位置において、構造躯体B側から中空ボルト22の貫通孔221に挿入したケーブル28の前端に設置した接続端子27、本例にあっては圧着端子を内蔵してあり、該圧着端子に上記太陽電池モジュール1のリード線12を接続することによって、該太陽電池モジュール1とケーブル28を接続して、各太陽電池モジュール1が発電した電力を、該ケーブル28を介して構造躯体B側に出力し得るようにしてある。
【0034】
構造躯体B側では、ケーブル28を図示省略のインバーターに接続する等して、その電力利用を行うようにすればよい。
【0035】
以上のカーテンウオールの太陽電池アレイAを形成する太陽電池モジュール1は、フレームレスにして、コーナーにドット化粧プレートが露出するだけの極めて外観良好にして、半透明にして採光性を備えたガラスカーテンウオール状のものとすることができる。また、太陽電池モジュール1は、その透孔11を、構造躯体Bに固定した支持金具2によって支持し、その透孔11の内周面に配置した出力用のリード線12を、この支持金具2を用いてこれに形成した貫通孔221に導き、ケーブル28に接続することによって構造躯体B側での電力出力を行うようにしたから、支持金具2は太陽電池モジュール1の支持機能と、その発電電力の出力機能を兼用したものとして、可及的簡易な構造にして確実な支持と出力を行うことができる。
【0036】
なお、図中224は、固定ベース21に中空ボルト22を螺合するについてその緩み止め用に配置したナット、225は嵌挿リング23を固定するスナップリング、26は各部材間に必要に応じて介設した絶縁部材である。
【0037】
図示した例は以上のとおりとしたが、上記リード線を、嵌挿リングの対応位置にその外周から円形透孔に連通するように配置したリード線挿通孔及び対応位置の中空ボルトの軸に配置した同じく挿通孔を介して、該中空ボルトの貫通孔に誘導し、上記貫通孔内でケーブルに接続したものとすること、太陽電池モジュールの電力の出力を、該太陽電池モジュールの透孔の内周面に配置した出力用の接点を用いて、該接点を介して行ったものとすること、このとき、嵌挿リングに対応する接点を配置し、同様に嵌挿リング及び中空ボルトの挿通孔を介して該接点からのリード線を中空ボルトの貫通孔に誘導して、ケーブルに接続したものとすること、上記太陽電池アレイを、上記構造躯体に支持したカーテンウオール壁面とするとき、該構造躯体を、方立以外のワイヤートラス等とすること、上記太陽電池アレイを、DPG工法の支持金具によって屋根の構造躯体に支持した屋根面とすること、上記太陽電池アレイを、DPG工法の支持金具によって構造躯体に支持した手摺面乃至塀面とすること等を含めて、本発明の実施に当って、太陽電池アレイ、太陽電池モジュール、その透孔、DPG工法、その支持金具、構造躯体、必要に応じて用いる出力用のリード線、出力用の接点、接続端子、ケーブル、固定ベース、中空ボルト、嵌挿リング、化粧用及び締着用の挟持部材、保護リング等の各具体的形状、構造、材質、数量、寸法、用途、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0038】
A 太陽電池アレイ
B 構造躯体
1 太陽電池モジュール
11 透孔
12 リード線
2 支持金具
21 固定ベース
211 固定片
22 中空ボルト
221 貫通孔
222 位置決め用突片
223 雄ネジ
224 ナット
225 スナップリング
23 嵌挿リング
231 円形透孔
232 ガイド溝
24 挟持部材
241 化粧部材
242 締着部材
243 円形透孔
244 締着ボルト
25 保護リング
251 円形透孔
252 突出フィン
253 ガイド溝
26 絶縁部材
27 接続端子
28 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールの隣接するコーナーをDPG工法によって構造躯体に支持した太陽電池アレイであって、太陽電池モジュールの電力を、そのDPG工法の支持位置に形成した透孔と、該透孔に挿入配置したDPG工法の支持金具を介して構造躯体側に出力自在としてなることを特徴とする太陽電池アレイ。
【請求項2】
上記太陽電池モジュールの電力の出力を、該太陽電池モジュールの透孔に誘導した出力用のリード線又は該透孔の内周面に配置した出力用の接点を用いて、該リード線又は接点を介して行ってなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池アレイ。
【請求項3】
上記太陽電池モジュールの電力の出力を、該太陽電池モジュールの上記透孔に挿入配置したDPG工法の支持金具に該透孔位置から構造躯体側に向けた貫通孔を配置するとともに該貫通孔にケーブルを配置し、支持金具の透孔位置乃至その躯体構造側位置から該ケーブルを用いて行なってなることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池アレイ。
【請求項4】
上記太陽電池モジュールの電力の出力を、太陽電池モジュールの透孔に誘導した出力用のリード線を、該透孔に挿入配置したDPG工法の支持金具に該透孔位置から構造躯体側に向けて配置した貫通孔内に配置の接続端子を介して該貫通孔に配置したケーブルに接続して行なってなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の太陽電池アレイ。
【請求項5】
上記支持金具を、構造躯体に固定する固定ベースと、該固定ベースから前方に突出した中空ボルトと、該中空ボルトの先端を定位置として該中空ボルトに被嵌配置した上記太陽電池モジュールの透孔の内径と同等乃至これより径小とした嵌挿リングと、該嵌挿リングを前後で挟持するように前後一対にして前方を化粧用、後方を締着用とした挟持部材を備えて構成し、太陽電池モジュールの透孔に誘導した出力用のリード線を、該リード線を上記嵌挿リングが被嵌した中空ボルト内に誘導し、該中空ボルトの透孔位置に配置した接続端子を介してケーブルに接続して、太陽電池モジュールの構造躯体側への出力を自在としてなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の太陽電池アレイ。
【請求項6】
上記嵌挿リングを太陽電池モジュールの透孔の内径より径小とし、該嵌挿リングと透孔間の空隙を埋めるように上記透孔と嵌挿リング間に介装した前後一対にして嵌挿リングを前後で被嵌自在の保護リングを備えてなることを特徴とする請求項5に記載の太陽電池アレイ。
【請求項7】
上記太陽電池アレイを、DPG工法の支持金具によって方立、ワイヤートラス等の構造躯体に支持したカーテンウオール壁面としてなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載の太陽電池アレイ。
【請求項8】
上記太陽電池アレイを、DPG工法の支持金具によって屋根の構造躯体に支持した屋根面としてなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載の太陽電池アレイ。
【請求項9】
上記太陽電池アレイを、DPG工法の支持金具によって構造躯体に支持した手摺面乃至塀面としてなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載の太陽電池アレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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