説明

太陽電池バックシート及びその製造方法

本発明は、1)基材層と、2)前記基材層の少なくとも一面に形成され、フッ素系樹脂及び(メタ)アクリル系単量体とマレイミド系単量体を含む(メタ)アクリル系共重合体樹脂のブレンド樹脂層とを含む太陽電池バックシート、前記太陽電池バックシートの製造方法、及び前記太陽電池バックシートを含む太陽電池に関する。本発明による太陽電池バックシートは、太陽電池セル内の温度を低減することができるので、太陽電池の耐熱性、耐候性などを向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素系樹脂層及び基材層を含む太陽電池バックシートにおいて、耐熱性、耐久性などが向上した太陽電池バックシート、前記太陽電池バックシートの製造方法、及び前記太陽電池バックシートを含む太陽電池に関する。
【0002】
本出願は、2009年2月2日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2009−0008103号の出願日の利益を主張し、その内容全部は本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
近来、地球温暖化問題について各方面の関心が高くなっており、二酸化炭素の排出抑制のために様々な努力が続いている。化石燃料の消費量の増大は、大気中の二酸化炭素の増加をもたらし、これによる温室効果に起因して地球の気温が上昇し、地球環境に重大な影響を及ぼすようになる。このような問題を解決するために、多様な検討が行われているが、特に太陽光発電においては、クリーン(clean)性、無公害性などの特徴によって期待が高くなっている。
【0004】
太陽電池は、太陽光のエネルギーを直接電気に変える太陽光発電システムの心臓部を構成し、単結晶あるいは多結晶または非晶質シリコン(amorphous silicon)系の半導体から製造される。その構造としては、太陽電池素子を直列または並列で配置し、長期間(約20年)にわたってセル(cell)を保護するために、様々なパッケージング(packaging)が行われ、ユニット化されるが、このユニット(unit)を太陽電池モジュールと言う。
【0005】
一般的に、前記太陽電池は、太陽光がぶつかる面をガラス(glass)面で覆い、熱可塑性プラスチック(特に、エチレン−ビニルアセテート共重合体、EVA)で構成される充電材で隙間を埋め、裏面を耐熱、耐候性プラスチックよりなる白色シートで保護する構成を有する。
【0006】
太陽電池は、約20年間その性能を維持する必要があるので、耐久性、耐候性などのために裏面保護シートとしてフッ素系樹脂が使用されてきた。しかし、前記フッ素系樹脂は、機械的強度が弱く、太陽電池モジュールの製造時に140〜150℃の熱プレスの熱によって軟化されるという短所があり、同時に高価の樹脂なので、太陽電池モジュールの低価格化に障害の原因となって来た。
【0007】
前記フッ素系樹脂としてポリビニリデンフルオライド(PVDF)樹脂は、約30重量%のアクリル樹脂と混合した時、接着力、強靱性(toughness)、光学的透明性などの基準で最適の物性を示すことができるものと知られている。しかし、PVDF/アクリルブレンド樹脂は、一般的にPVDF樹脂に比べて硬度(hardness)、摩耗性(abrasion)などが弱いという問題点がある。
【0008】
これより、当技術分野においては、低価ながらも、耐熱性、耐候性などに非常に優れたバックシートの開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、太陽電池の耐熱性、耐候性、生産性などを向上させることができる太陽電池バックシートを提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、前記太陽電池バックシートの製造方法及び前記太陽電池バックシートを含む太陽電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
1)基材層と、
2)前記基材層の少なくとも一面に形成され、フッ素系樹脂及び(メタ)アクリル系単量体とマレイミド系単量体を含む(メタ)アクリル系共重合体樹脂のブレンド樹脂層と、を含む太陽電池バックシートを提供する。
【0012】
また、本発明は、
1)基材層を準備する段階と、
2)前記基材層の少なくとも一面に、フッ素系樹脂及び(メタ)アクリル系単量体とマレイミド系単量体を含む(メタ)アクリル系共重合体樹脂のブレンド樹脂組成物をコーティングする段階と、を含む太陽電池バックシートの製造方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、
1)基材層を準備する段階と、
2)前記基材層の少なくとも一面に、フッ素系樹脂及び(メタ)アクリル系単量体とマレイミド系単量体を含む(メタ)アクリル系共重合体樹脂のブレンド樹脂層を積層する段階と、を含む太陽電池バックシートの製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、前記太陽電池バックシートを含む太陽電池を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明による太陽電池バックシート及びこれを利用した太陽電池は、マレイミド系単量体を含む(メタ)アクリル系共重合体樹脂とフッ素系樹脂の混合組成物を利用するので、太陽電池バックシート及びこれを利用した太陽電池の耐熱性及び機械的物性を高めることができると共に、コストを低減することができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による太陽電池バックシートのいずれか1つの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による太陽電池バックシートは、1)基材層と;2)前記基材層の少なくとも一面に形成され、フッ素系樹脂及び(メタ)アクリル系単量体とマレイミド系単量体を含む(メタ)アクリル系共重合体樹脂のブレンド樹脂層と;を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明による太陽電池バックシートにおいて、前記1)基材層は、要求される機能、用途などによって選定することができ、具体的には、金属基材、ポリエステル系樹脂層などを挙げることができる。
【0019】
前記ポリエステル系樹脂層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などで形成することができ、ポリエチレンテレフタレート(PET)がより好ましいが、これにだけ限定されるものではない。
【0020】
本発明による太陽電池バックシートにおいて、前記2)のフッ素系樹脂は、要求される機能、用途などによって選定することができ、具体的には、ポリビニリデンフルオライド樹脂(PVDF)がより好ましい。
【0021】
本発明による太陽電池バックシートにおいて、前記2)の(メタ)アクリル系単量体は、(メタ)アクリレートのみならず、(メタ)アクリレート誘導体を含むことを意味するものと理解しなければならない。
【0022】
具体的に前記(メタ)アクリル系単量体としては、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどが挙げられるが、これらにだけ限定されるものではない。特に、メチルメタクリレート(MMA)を使用することが最も好ましい。
【0023】
本発明による太陽電池バックシートにおいて、前記2)のマレイミド系単量体としては、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ピレニルマレイミドなどを挙げることができるが、これらにだけ限定されるものではなく、特にN−シクロヘキシルマレイミドを使用することが最も好ましい。
【0024】
前記(メタ)アクリル系共重合体において(メタ)アクリル系単量体の含量は、50〜99重量%であることが好ましく、70〜99重量%であることがより好ましく、70〜98重量%であることがさらに好ましい。また、マレイミド系単量体の含量は、1〜50重量%であることが好ましく、1〜30重量%であることがより好ましく、2〜30重量%であることがさらに好ましい。
【0025】
前記(メタ)アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル系単量体及びマレイミド系単量体を利用し、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの方法で製造されることができる。
【0026】
本発明による太陽電池バックシートにおいて、前記2)ブレンド樹脂層においてフッ素系樹脂の含量は、50〜99重量%であることが好ましく、60〜80重量%であることがより好ましく、前記2)ブレンド樹脂層において(メタ)アクリル系共重合体樹脂の含量は、1〜50重量%であることが好ましく、20〜40重量%であることがより好ましい。
【0027】
本発明による太陽電池バックシートにおいて、前記2)ブレンド樹脂層の厚さは、10μm〜250μmであることが好ましく、20μm〜100μmであることがより好ましい。
【0028】
本発明による太陽電池バックシートにおいて、前記2)ブレンド樹脂層は、前記1)基材層のいずれか一面に形成されることができ、前記1)基材層の両面に共に形成されることもできる。
【0029】
本発明による太陽電池バックシートは、前記1)基材層と前記2)ブレンド樹脂層との間に接着層をさらに含むことができる。
【0030】
前記接着層は、ドライラミネート(dry laminate)用接着剤から形成されることができる。より具体的に、前記接着層は、ポリウレタン(polyurethane)接着剤を含むことが好ましい。前記ポリウレタン接着剤を含む接着層は、太陽電池バックシートの屋外での長期間使用に起因するバリアシートの接着強度低下、層間剥離(delamination)などを防止することができ、接着層の黄変をも低減することができる。
【0031】
本発明による太陽電池バックシートにおいて、前記1)基材層または2)ブレンド樹脂層は、白色顔料をさらに含むことができる。前記白色顔料は、太陽電池素子の発電効率をさらに向上させることができ、具体的な例としては、酸化チタン(TiO)、シリカ(silica)、アルミナ(alumina)、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの白色添加物を挙げることができる。
【0032】
本発明による太陽電池バックシートにおいて、前記2)ブレンド樹脂層は、1種以上の光安定剤(light stabilizer)をさらに含むことができる。前記光安定剤は、紫外線を吸収する成分であって、より具体的には、ヒドロキシベンゾフェノン系(hydroxybenzophenones)、ヒドロキシベンゾトリアゾール系(hydroxybenzotriazoles)、HALS(hindered amine light stabilizers)、酸化防止剤、熱安定剤などを挙げることができる。
【0033】
本発明による太陽電池バックシートにおいて、前記2)ブレンド樹脂層は、バリア粒子をさらに含むことができる。前記バリア粒子は、板状粒子が主に使用され、このような粒子は、太陽電池モジュールにおいてフッ素系樹脂層の水分バリア特性を向上させることができるので、太陽電池の保護性能をさらに向上させる役目をすることができる。
【0034】
前記バリア粒子としては、雲母(mica)粒子、ガラスフレーク(glass flake)粒子、ステンレス鋼フレーク(stainless steel flake)粒子、アルミニウムフレーク(aluminium flake)粒子などを挙げることができ、雲母(mica)粒子がより好ましい。前記雲母(mica)粒子は、一般的に鉄酸化物、チタン酸化物などのような酸化物層でコーティングされることができる。
【0035】
また、本発明による太陽電池バックシートの製造方法は、1)基材層を準備する段階と、2)前記基材層の少なくとも一面に、フッ素系樹脂及び(メタ)アクリル系単量体とマレイミド系単量体を含む(メタ)アクリル系共重合体樹脂のブレンド樹脂組成物をコーティングする段階とを含む。
【0036】
本発明による太陽電池バックシートの製造方法において、前記2)段階後に、コーティングされた組成物を25〜250℃の温度、好ましくは200℃で3分以上乾燥させる段階をさらに含むことができる。
【0037】
また、本発明による太陽電池バックシートの製造方法は、1)基材層を準備する段階と、2)前記基材層の少なくとも一面に、フッ素系樹脂及び(メタ)アクリル系単量体とマレイミド系単量体を含む(メタ)アクリル系共重合体樹脂のブレンド樹脂層を積層する段階とを含む。
【0038】
前記2)段階で、ブレンド樹脂層と基材層の積層時に、ブレンド樹脂層と基材層との間には、接着層がさらに含まれることができる。
【0039】
本発明による太陽電池バックシートの製造方法において、前記基材層、フッ素系樹脂及び(メタ)アクリル系単量体とマレイミド系単量体を含む(メタ)アクリル系共重合体樹脂のブレンド樹脂、接着層などに対する内容は、前述したことと同一なので、これに対する具体的な内容は省略する。
【0040】
また、本発明は、前記太陽電池バックシートを含む太陽電池を提供する。
【0041】
本発明による太陽電池は、直列または並列で配置された太陽電池セルを熱可塑性プラスチック(エチレン−ビニルアセテート共重合体)で構成された充電材で隙間を埋め、太陽光がぶつかる面には、ガラス面が配置され、裏面は、本発明による太陽電池バックシートで保護する構成を有することができるが、これにだけ限定されるものではない。
【0042】
前記太陽電池は、本発明による太陽電池バックシートを含むことを除いて、当該技術分野において公知の方法で製造することができる。
【0043】
本発明による太陽電池バックシート及びこれを利用した太陽電池は、マレイミド系単量体を含む(メタ)アクリル系共重合体樹脂とフッ素系樹脂の混合組成物を利用するので、太陽電池バックシート及びこれを利用した太陽電池の耐熱性を高めることができると共に、コストを低減することができるという長所がある。
【実施例】
【0044】
以下では、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。しかし、以下の実施例は、本発明を例示するためのものであり、下記実施例によって本発明の範囲が限定されることを意図するものではない。
【0045】
<実施例>
<実施例1>フッ素系樹脂層をPET層にコーティング
ポリビニリデンフルオライド(PVDF)樹脂とポリ(N−シクロヘキシルマレイミド−co−メチルメタクリレート)樹脂を75:25の重量比でジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、TSC 18重量%の溶液を製造した。これに白色顔料及びUV吸収の役目をするように酸化チタン(TiO、DuPontTM Light Stabilizer 210)を全体樹脂100重量部に対して15重量部を投入した。この溶液を5μmフィルタで濾過した後、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにコーティングした。前記PETフィルムは、100μm厚さのPET(SKC、SH82)を使用し、両面にアクリル高分子がプライマー処理されている2軸延伸フィルムである。ドクターブレードを使用してコーティング厚さを30〜40μmに調節し、コーティング速度は、6mm/secで実施した。コーティング後、フィルムの乾燥は、室温で5分乾燥した後、120℃に昇温し、30分乾燥させ、フレームに装着し、200℃で3分間最終乾燥した。PETフィルムの一方の面にコーティングした後、他方の面を同一の方法でコーティングした。
【0046】
製造されたバックシートフィルムの特性を下記表2に示した。
【0047】
<実施例2>フッ素系樹脂層をPET層に積層
1)PVDFとポリ(N−シクロヘキシルマレイミド−co−メチルメタクリレート)の混合フィルム製造
【0048】
ポリビニリデンフルオライド(PVDF)樹脂とポリ(N−シクロヘキシルマレイミド−co−メチルメタクリレート)樹脂を75:25の重量比で均一に混合した樹脂組成物を、原料ホッパー(hoper)から圧出器までを窒素置換した16Φの圧出器に供給し、230℃で溶融し、原料ペレット(pellet)を製造した。ペレットの製造時に、白色顔料及びUV吸収役目をするように、酸化チタン(TiO、DuPontTM Light Stabilizer 210)を全体樹脂100重量部に対して15重量部を投入した。PVDFは、Solvey社のSOLEF(登録商標)1010を使用し、ポリ(N−シクロヘキシルマレイミド−co−メチルメタクリレート)樹脂は、NMR分析結果、N−シクロヘキシルマレイミドの含量が6.5重量%であった。得られた原料ペレットを真空乾燥し、230℃で圧出器で溶融、コートハンガータイプのT−ダイ(T−die)に通過させ、クロムメッキキャスティングロール及び乾燥ロールなどを経て厚さ50μmのフィルムを製造した。
【0049】
2)PVDF混合フィルムとPETの積層
GMP社のEXCELAM−PLUS655RM積層器(laminator)を利用して積層した。
【0050】
ポリウレタン(Polyurethane、PU)接着剤を使用してフッ素系フィルムとPETフィルムを積層した。使用されたPU接着剤の組成は、下記表1の通りである。
【0051】
【表1】

【0052】
PETフィルムにコロナ(corona)放電を15回実施し、前記接着剤を塗布した後、80℃で2分間乾燥した。PVDF−830HR圧出フィルムにコロナ(corona)放電を15回実施した後、110℃で2つのフィルムをラミネータでラミネートした(3回往復)。そして、80℃で10分間硬化した後、常温で12時間以上硬化した。
【0053】
製造されたバックシートフィルムの特性を下記表2に示した。
【0054】
<比較例1>
前記実施例1において、ポリ(N−シクロヘキシルマレイミド−co−メチルメタクリレート)の代わりに、ポリメチルメタクリレート樹脂を使用したことを除いて、同一の方法によってフィルムを製造した。
【0055】
製造されたバックシートフィルムの特性を下記表2に示した。
【0056】
<比較例2>
前記実施例2において、ポリ(N−シクロヘキシルマレイミド−co−メチルメタクリレート)の代わりに、ポリメチルメタクリレート樹脂を使用したことを除いて、同一の方法によってフィルムを製造した。
【0057】
製造されたバックシートフィルムの特性を下記表2に示した。
【0058】
【表2】

【0059】
前記WVTR(water vapor transmission rate)特性は、PBI Dansensor社のL80−5000を使用して、90%RH、38℃の条件で測定した。
【0060】
耐熱性を示すデータとして、実施例1と比較例1では、コーティングされたPVDF混合樹脂層を剥離し、ガラス転移温度(Tg)を測定し、実施例2と比較例2では、PVDF混合フィルムのガラス転移温度(Tg)を測定した。前記ガラス転移温度(Tg)は、TA instrument社の示差走査型熱量計(DSC2010)によって測定した。窒素雰囲気下で10℃/minの昇温速度で分析したが、測定されたガラス転移温度は、第2スキャンで熱容量急変区間の中間温度に決定した。
【0061】
ポリ(N−シクロヘキシルマレイミド−co−メチルメタクリレート)樹脂を使用したことが、ポリメチルメタクリレートを使用することよりガラス転移温度(Tg)が10℃以上高いことが分かる。
【0062】
<実験例>バックシートの特性評価
1.180゜剥離強度(peel strength)
Labで製造するバックシートは、PETにPVDF−830HR層を積層して製造するので、PETとPVDF−830HR層との接着力(adhesion)がバックシートの耐久性を決定する主要因子となる。もちろんバックシートと封止された(encapsulated)EVA、そして封止された(encapsulated)EVAとガラス(glass)の接着力(adhesion)も重要であるが、ここでは、バックシートの各層間の接着力(adhesion)だけを調べた。
【0063】
ガラス板に両面テープを使用してバックシートを固定した後、剥離させる層だけを若干剥離した後、PETフィルムをテープで連結し、上部グリップ(grip)に固定した。ガラス板の下部は、下部グリップ(grip)に固定されたまま、上部グリップ(grip)が上方に移動しながら180゜剥離が進行され、 剥離強度(peel strength)を測定した。その結果は、下記表3に示した。
【0064】
【表3】

【0065】
前記表3から明らかなように、コーティング及びラミネートによってバックシートサンプルを製造し、剥離強度を測定した結果、商用製品であるTedlar/PETの剥離強度より高く現れた。
【0066】
2.絶縁破壊電圧(Breakdown voltage)測定
太陽電池のバックシートの主要機能の1つがEVAで封止された電池を外部から絶縁させることである。絶縁性能の尺度としては、フィルムに電圧を印加し時、絶縁が破壊される電圧である絶縁破壊電圧(breakdown voltage)を使用する。
【0067】
測定方法は、ASTM D149、KSC 2127を参照し、耐電圧測定装置は、chroma(9056−20k、0〜20kVDC)を使用した。その結果は、下記表4に示した。
【0068】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)基材層と、
2)前記基材層の少なくとも一面に形成され、フッ素系樹脂及び(メタ)アクリル系単量体とマレイミド系単量体を含む(メタ)アクリル系共重合体樹脂のブレンド樹脂層と、
を含む太陽電池バックシート。
【請求項2】
前記1)基材層は、金属基材またはポリエステル系樹脂層であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池バックシート。
【請求項3】
前記ポリエステル系樹脂層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)よりなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池バックシート。
【請求項4】
前記2)のフッ素系樹脂は、ポリビニリデンフルオライド樹脂(PVDF)であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池バックシート。
【請求項5】
前記2)の(メタ)アクリル系単量体は、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート及びベンジルメタクリレートよりなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池バックシート。
【請求項6】
前記2)のマレイミド系単量体は、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ベンジルマレイミド及びN−ピレニルマレイミドよりなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池バックシート。
【請求項7】
前記2)の(メタ)アクリル系共重合体において(メタ)アクリル系単量体の含量は、50〜99重量%であり、マレイミド系単量体の含量は、1〜50重量%であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池バックシート。
【請求項8】
前記2)ブレンド樹脂層においてフッ素系樹脂の含量は、50〜99重量%であり、(メタ)アクリル系共重合体樹脂の含量は、1〜50重量%であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池バックシート。
【請求項9】
前記2)ブレンド樹脂層の厚さは、10〜250μmであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池バックシート。
【請求項10】
前記2)ブレンド樹脂層は、前記1)基材層の両面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池バックシート。
【請求項11】
前記太陽電池バックシートは、前記1)基材層と2)ブレンド樹脂層との間に接着層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池バックシート。
【請求項12】
前記接着層は、ポリウレタン接着剤を含むことを特徴とする請求項11に記載の太陽電池バックシート。
【請求項13】
前記1)基材層または2)ブレンド樹脂層は、白色顔料をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池バックシート。
【請求項14】
前記2)ブレンド樹脂層は、光安定剤またはバリア粒子をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池バックシート。
【請求項15】
1)基材層を準備する段階と、
2)前記基材層の少なくとも一面に、フッ素系樹脂及び(メタ)アクリル系単量体とマレイミド系単量体を含む(メタ)アクリル系共重合体樹脂のブレンド樹脂組成物をコーティングする段階と、
を含む太陽電池バックシートの製造方法。
【請求項16】
1)基材層を準備する段階と、
2)前記基材層の少なくとも一面に、フッ素系樹脂及び(メタ)アクリル系単量体とマレイミド系単量体を含む(メタ)アクリル系共重合体樹脂のブレンド樹脂層を積層する段階と、
を含む太陽電池バックシートの製造方法。
【請求項17】
前記2)段階で、ブレンド樹脂層と基材層の積層時にブレンド樹脂層と基材層との間に接着層をさらに配置することを特徴とする請求項16に記載のバックシートの製造方法。
【請求項18】
請求項1〜14のいずれかに記載の太陽電池バックシートを含む太陽電池。

【図1】
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【公表番号】特表2012−516565(P2012−516565A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−547812(P2011−547812)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【国際出願番号】PCT/KR2010/000633
【国際公開番号】WO2010/087684
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】