説明

太陽電池モジュールの設置構造及びその方法

【課題】安全な操作で、太陽光発電モジュールが、設置面に対して角度を持った状態を保持することによって、太陽電池セルの最適傾斜角度を保つことができ、且つ強風時などに、自動的に安全な状態に移行する事ができること。
【解決手段】側壁部に設置される太陽電池モジュール1において、該太陽電池モジュール1は建造物等の側壁部に収納され、建造物の壁面等の側壁部に対して揺動可能であり、側壁部に対して角度を設けることができ、その角度を支持手段6により保ち、支持は太陽電池モジュール1に外力が働く事により解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールを側壁部に設置する太陽電池モジュールの設置構造及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電の重要性が増してきており、住宅用システム、産業用システムなどが開発されて来ている。太陽電池モジュールは、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する複数の太陽電池セルを電気的に接続したものを、保護枠に収容するという構成になっている。太陽電池モジュールは、一般的に、専用の架台を設けて住宅や工場の屋根に設置されている。
【0003】
更に、近年、集合住宅など各家庭に屋根の無いような住宅においても、ベランダの壁面などを利用して、太陽電池モジュールを設置する方法も検討されている。
【特許文献1】特開2002−168062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、住宅の屋根の傾斜角度は数通りに設定されており、必ずしも太陽光発電セルの傾斜角度が太陽に対して最適であるとは言えない。また、集合住宅の場合においても、一般的に壁面が地面に対して垂直方向であるため、太陽光発電セルの傾斜角度は最適とはなっていない。
【0005】
この傾斜角度を最適とするために、屋根面、壁面から太陽電池モジュールの一端を浮かせることにより、最適化する方法も考えられるが、外観を損なうばかりでなく、強風などの際に太陽電池モジュールの裏面に風が入り込み、相当な力が太陽電池モジュールの固定部にかかるため、十分な強度が確保できる架台を必要とする。また、太陽光発電セルの最適傾斜角度は、1年を通して一定ではなく、季節によって変化するものであるが、太陽電池モジュールを固定してしまえば、容易に角度の変更を行う事ができない。
【0006】
また、この課題に対して、太陽電池モジュールの角度を可変させる機能を持たせる方法も検討されているが、太陽電池モジュールの重量は人が簡単に持ち運びできるような重量ではなく、角度を可変させるのに相当な労力を必要としている。
【0007】
また、集合住宅の壁面に設置される場合においては、ベランダに乗り出して太陽電池モジュールの角度を変える必要があり、非常に危険な作業が伴う。
【0008】
本発明は、安全な操作で、太陽光発電モジュールが、設置面に対して数通りの角度を持った状態を保持することによって、太陽電池セルの最適傾斜角度を保つことができ、且つ強風時などに、自動的に安全な状態に移行させ得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するために、太陽電池モジュールの設置構造及びその方法としてなされたもので、太陽電池モジュールの設置構造としての特徴は、建造物等の側壁部に太陽電池モジュールが揺動自在に設置され、該太陽電池モジュールを所定の角度で支持する支持手段が設けられ、該支持手段による支持は、前記太陽電池モジュールに太陽電池モジュールの仰角方向の外力が働くことにより解除されることにある。
【0010】
また、本発明は、建造物の壁面等の側壁部に対して揺動可能であり、設置壁面に対して角度を設けることができ、その角度を支持部により保ち、支持は太陽電池モジュールに強風などの外力が働く事により解除され、角度を保った状態での支持が解除された際、太陽電池モジュールは自動的に収納状態に保持されるため、安全であり、特に人間の操作を必要とせず、不在時などに不安全になることも無く、特に注意を払う必要も無い。
【0011】
本発明は、前記外力により前記太陽電池モジュールの支持が解除された際に、前記太陽電池モジュールは自動的に収納状態に保持されることにある。
【0012】
さらに、本発明は、前記太陽電池モジュールには受け部が突設され、該受け部に前記支持手段が接触することにより、前記太陽電池モジュールの角度を保持する。このため、太陽電池モジュールが固定ではなく、接触で保持されるため、外力が働いた際に、容易に収納状態に移行する事ができる。
【0013】
また、前記太陽電池モジュールを揺動させる動力を入力する動力入力手段と、その動力を前記支持手段に伝達する動力伝達手段とを有し、前記駆動部は動力伝達手段からの動力を一方向にのみ駆動し、前記支持手段は太陽電池モジュールを駆動させる駆動部を備えることにある。
【0014】
また、前記動力入力手段に付与される動力により、前記太陽電池モジュールの角度を設けるための支持手段の駆動と連動して、前記太陽電池モジュールを収納状態に保持する手段の解除も行うことにある。かかる本発明は、動力入力手段に付与する入力は、収納状態を保持する手段の解除も同時に行うことができるため、別途部品を設ける必要がなく、各々の操作を別に行う煩雑さがなく、確実な操作が行える。
【0015】
また、前記動力入力手段は、太陽電池モジュールの受光面と反対側である例えば建造物の屋内側にあり、しかも、前記支持手段と別に支持解除手段を有し、該支持解除手段は前記太陽電池モジュールを揺動させることで前記支持手段の支持を解除することにある。
【0016】
本発明の太陽電池モジュールの設置方法は、建造物等の側壁部に太陽電池モジュールを揺動自在に設置し、該太陽電池モジュールを支持手段で所定の角度に支持する太陽電池モジュールの設置方法において、太陽電池モジュールを動力入力手段で揺動させ、所定の角度に支持する太陽電池モジュールにその仰角方向の外力が働いた際に、前記支持手段が解除され、前記太陽電池モジュールは保持可能位置に戻ることにある。
【0017】
かかる本発明の太陽電池モジュールの設置方法は、前記本発明の太陽電池モジュールの設置構造を容易に実施することができる。
【0018】
さらに、本発明の設置方法は、前記太陽電池モジュールが揺動することにより、前記支持手段が収納され、収納保持ロック手段は、自動的に太陽電池モジュールを収納状態に保持することにある。
【0019】
また、前記太陽電池モジュールが支持された状態において、前記動力入力手段に動力を供給し、前記支持手段を太陽電池モジュールの支持状態より仰角方向に駆動することにより、前記支持手段と連動して支持解除手段を駆動し、該支持解除手段が前記太陽電池モジュールを支持することにより、前記支持手段は前記太陽電池モジュールの支持を解除し、前記動力入力手段への動力を中止することにより、前記支持手段および前記支持解除手段の双方の支持が解除されることにある。
【発明の効果】
【0020】
本発明の太陽電池モジュールの設置構造、並びに方法によれば、太陽電池モジュールに強風などの外力が働いた場合、太陽電池モジュールの角度を保った状態での支持が解除され、また、太陽電池モジュールは自動的に収納状態に保持されるため、安全であり、特に人間の操作が不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1〜図23は、本発明に係る太陽電池モジュールの設置構造(太陽電池モジュールを住宅の壁面に設置した場合)の一実施の形態を示す。なお、太陽電池モジュールの設置場所は特に限定されるものではなく、住宅や工場の屋根や、ベランダの手すり面などにも設置可能である。また、太陽電池モジュールの枚数も特に限定は無く、配置についても、上下左右、自由に配置する事ができる。
【0022】
太陽電池モジュールの設置構造は、図1〜図4、図10および図11に示すように、壁面3に揺動自在に取り付けられた太陽電池モジュール1と、太陽電池モジュール1を壁面3に収納した状態でロックする収納保持ロック手段4と、太陽電池モジュール1に所定の角度を持たせるべく、太陽電池モジュール1を揺動させる動力入力手段としての動力入力装置5と、太陽電池モジュール1を支持する支持部(支持手段)6と、太陽電池モジュールの支持を解除するための支持解除部(支持解除手段)7と、支持部6および支持解除部7に解除自在に係合する受部8とを備えている。
【0023】
前記壁面3には、図1および図2に示すように、収納開口3aが複数形成され、各収納開口3aに太陽電池モジュール1がそれぞれ収納されている。太陽電池モジュール1上部の両側には、図3に示すように、孔11が設けられており、また、壁面3の収納開口3aの内周面側にも孔31がそれぞれ設けられている。太陽電池モジュール1は、これら孔11、孔31に挿入された軸2によって、壁面3に、該軸2を中心として揺動可能取り付けられている。なお、本実施の形態では、軸2は水平方向となっているが、特に水平に限定されるものではない。
【0024】
前記収納保持ロック手段4は、図3に示すように、収納開口3aの下縁に形成された保持ロック手段収納部32に収容されている。収納保持ロック手段4は、図6に示すように、太陽電池モジュール1の下縁部に下方から解除自在にロックする上向きの突起41と、回転軸挿入用の孔42と、歯車部43とから構成されている。収納保持ロック手段4は、回転軸挿入用の孔42に挿通された支持軸44を支点にして、壁面3に回転自在に取り付けられ、太陽電池モジュール1の収納状態において、太陽電池モジュール1を揺動が規制された状態で保持する。収納保持ロック4はバネなどの付勢手段により、常にロック状態を保つような外力を受けている。
【0025】
前記動力入力装置5は、図4、図5、図10および図11に示すように、太陽電池モジュール1の背面側に設けられ、ペダル51と、太陽電池モジュール1を駆動する動力を伝達するためにペダル51の端部に固定された一対の歯車52と、両歯車52の外側に同心状に設けられ且つ収納保持ロック4を駆動する動力を伝達するために、収納保持ロック手段4の歯部43に噛み合う歯車53とから構成されている。ペダル51の端部および各歯車52、53の中心には、回転軸挿入用の孔51aが形成されている。この回転軸挿入用の孔51aに挿通された支持軸55が、壁面3の背面に突設された一対の後壁33、33間に支持されることにより、ペダル51が上下方向に揺動自在になっている。
【0026】
本実施の形態は、歯車52及び歯車53は、各々2枚ずつ設けられているが、この構造については、特に限定されるものではない。また、この動力を入力する手段はペダルに限定されるものではなく、レバーなどの手段でも可能であるし、また、ペダルを動かす動作をモーターなどの動力を利用することもできる。また、本実施の形態は、太陽電池モジュールの背面側の壁にペダルを設けているが、動力入力装置の設置位置は任意に決めることができる。また、本実施の形態は、一枚の太陽電池モジュール1に1台の動力入力装置5を設けているが、1台の動力入力装置5で複数の太陽電池モジュール1を動作させることも可能である。
【0027】
前記支持部6を図7および図9に示す。支持部6は、太陽電池モジュール1と接触し支持する接触部61を一端に有し、他端には歯車63が設けられている。支持部6の両側には、前記支持解除部7と連結する突起64が突設され、歯車63の中心には、回転軸挿入用の孔62が形成されている。歯車63は一方向にのみ支持部本体61と共に回転し、逆方向には共に回転せず空転するような構造(駆動部)となっている。
【0028】
前記支持解除部7を図8および図9に示す。支持解除部7は、支持部6の両側にそれぞれ設けられ、各支持解除部7は、回転軸挿入用の孔71と、支持を解除する際に太陽電池モジュール1側と接触する突起部72と、孔71を中心とする円弧状の長孔73が形成されている。
【0029】
そして、支持部6の孔62と支持解除部7の孔71には、軸14が挿入され、支持解除部7は、支持部6に対して軸14を中心にして自由に回転可能である。支持解除部7に設けられた円弧状の長孔73には、支持部6に設けられた突起64が挿入されている。従って、支持部6と支持解除部7とは、突起64が長孔73内を移動できる範囲内で一定の角度を持って相対回転できるようになっている。
【0030】
図10および図11に示すように、支持部6と支持解除部7を支持する軸14が、壁面3側に取り付けられ、支持部6と支持解除部7は、垂下した状態となっている。支持部6の歯車63と、動力入力装置5の歯車52には、チェーン9が巻き掛けられている。動力入力装置5の歯車53は、収納保持ロック手段4の歯部43と噛み合っている。歯車63と支持部6とは、前記のように方向性を持って接続されており、歯車63が時計回りに回転した場合、支持部6も同様に時計回りに回転するが、歯車63が反時計回りに回転した場合は、支持部6は回転しない。また、支持部6が、反時計回りに回転した場合、歯車63は回転しないが、時計回りに回転した場合は、歯車63も同様に時計回りに回転する。この構造は自転車の後輪に用いられている歯車とハブをそのまま転用することも可能である。
【0031】
本実施の形態では、支持部6の歯車63とペダル51がチェーン9にて連動連結され、収納保持ロック4の歯車43とペダル51の歯車53が噛み合っているが、この構成は特に限定はなく、歯車63と歯車53が噛み合い、歯車43とペダル51の歯車52がチェーンで結ばれていても良い。
【0032】
前記受け部8は、太陽電池モジュール1の背面150に突設されている。この受け部8は、図14に示すように、太陽電池モジュール1に対して所定の角度傾斜する、第一傾斜面81および第二傾斜面82、82と、突起部83とを有している。第一傾斜面81は、支持部6の接触部61が摺動するものである。第二傾斜面82は、支持解除部7の突起部72の先端部が摺動するように、第一傾斜面81の両側に配置されている。また、両方の第二傾斜面82、82は、第一傾斜面81よりも長く設定されている。突起部83は、第二傾斜面82を摺動する支持解除部7の移動を規制すべく、第二傾斜面82から連続して突出されている。
【0033】
次に、前記太陽電池モジュールの設置構造の動作について説明する。
【0034】
収納状態における太陽電池モジュール1の断面図は図10に示すとおりである。かかる収納状態の太陽電池モジュール1を仰角方向に移動させるために、ペダル51を踏んで太陽電池モジュール1が駆動される直前の同断面図を図12に示す。なお、動作が明確になるよう、壁面などは図面上省略する。
【0035】
ペダル51を踏むと、ペダル51は支持軸55を中心にして下方に回転するため、歯車52は時計回りに回転する。歯車52の動力は、チェーン9を介して支持部6側の歯車63に伝達され、これにより支持部6が軸14を中心に時計回りに回転する。支持部6が回転すると、支持部6の接触部61が太陽電池モジュール1に接触し、支持部6の回転力は、太陽電池モジュール1が軸2を中心として、仰角方向へ回転動作する動力となる。なお、支持解除部7は、突起64が長孔73内を摺動自在なので、自重により支持部6に対して下方(反時計回り)に所定の角度で開いた状態となる。
【0036】
また、歯車52の回転と同時に、歯車53も同方向に回転するため、その歯車53の動力は該歯車53と噛み合っている収納保持ロック手段4の歯車部43に伝達され、これにより収納保持ロック手段4は反時計回り(下方の解除方向)に回転する。図12に示す円弧状の点線16は、軸2を中心として太陽電池モジュール1が移動する軌跡を示したものであり、ペダル51の踏み込み量が更に増すと、収納保持ロック手段4の突起41は更に下降して、太陽電池モジュール1との係合が解除され、太陽電池モジュール1が仰角方向に移動可能となる。
【0037】
更に、支持部6に押されて所定の角度まで回転した太陽電池モジュール1は、ペダルを離しても、支持部6と太陽電池モジュール1側に設けられた受け部8とで所定の角度に支持される(図13参照)。このように太陽電池モジュール1の支持が確定するまでの動作について説明する。図15は支持部6と太陽電池モジュール1側の受け部8との接触部を拡大した断面図である。支持部6は、先端の接触部61を太陽電池モジュール1の背面150に摺動させながら、太陽電池モジュール1を持ち上げていく。受け部8の下端まで到達すると、支持部6の接触部61は太陽電池モジュール1の背面150を離れ、受け部8の第一傾斜面81を摺動し、図16に示すように、エッジ160に到達する。
【0038】
更に支持部6が仰角方向に回転を続けると、支持部6の接触部61はエッジ160を通過し、図17に示すように、太陽電池モジュール1は自重により矢印170の方向(閉じる方向)に移動し、支持部6は、受け部8の上面に接触し載置された状態となる。この状態でペダル51の動力を停止すると、支持部6は自重により反時計回りに回転しようとするが、受け部8が下方から係合するため、回転する事はできず、太陽電池モジュール1を支持することができる。
【0039】
次に、太陽電池モジュール1が、所定の角度に設定された状態から支持を解除し、収納状態に移行する動作について説明する。
【0040】
上記太陽電池モジュール1の支持状態にてペダル51を離すと、収納保持ロック4に収納状態に戻ろうとする時計回りの力が作用しているため、ペダル51の歯車53に収納保持ロック4の歯車43からの動力が伝達され、歯車53は反時計回りに回転し、ペダル51は初期状態に復帰する。尚、図示していないが、ペダル51が初期状態よりも踏み込みと反対方向に回転しないようストッパーを設けている。
【0041】
この時、支持部6側の歯車63は、支持部6が停止した状態で歯車52と噛み合ったチェーン9により反時計回りに回転する。この状態から、もう一度ペダルを踏むと、受け部8上の支持部6は時計回りに回転し、太陽電池モジュール1を更に仰角方向に回転させる動力を発生する。この支持部6の回転に伴って、支持解除部7も時計回りに回転するが、支持解除部7の突起72の先端面が、受け部8の第二傾斜面82を摺動し、更に太陽電池モジュール1を仰角方向に回転させ、支持部6は太陽電池モジュール1から離間する。
【0042】
支持部6は、歯車63の駆動力により位置を維持しており、太陽電池モジュール1は支持解除部7によって支持された状態となる(図19参照)。更にペダルを踏み込むと、受け部8に設けられた突起83に支持解除部7の突起72が下方から接触し、それ以上ペダルを踏み込むことができなくなる(図20参照)。
【0043】
この状態でペダル51を離すと、支持部6は位置を維持する力を失い、反時計回りに回転を始める。支持解除部7も、その突起72と受け部8の傾斜面82との接触面で摩擦を受けながら、反時計回りに回転を始める。支持部6の先端である接触部61は支持解除部7により太陽電池モジュール1が支持されている間に、受け部8と接触することなく、軌道210上を通り抜け、図21に示す状態となり、その後は、太陽電池モジュール1、支持部6、支持解除部7がほぼ同体となって反時計回りの回転をし、太陽電池モジュール1の自重によって収納保持ロック4を押し下げ、収納状態に移行する。
【0044】
ここで、太陽電池モジュール1は、通常枠なしで1平方メートル当たりおおよそ2〜5Kgある。太陽電池モジュール1は、重力に対して壁面方向(閉じる方向)に回動するため、本実施の形態の場合は太陽電池モジュール平面に対して法線方向の動力が作用する。つまり、支持解除部7と太陽電池モジュール1の背面150との接触面がモジュール背面150と同一平面である場合(支持解除部7をモジュール1の背面150に直接に接触させる場合)で考えた場合に、図20に示すようにモジュール1の背面150と支持解除部7との間の角度θ1が、90度未満の場合は支持解除部7が下方向に動く力を受け、90度以上では上方に押し上げられる力を受ける。
【0045】
本実施形態のように太陽電池モジュール1の背面150とは異なる面同士の接触の場合(受け部8を設けた場合)は、受け部8と支持解除部7との接触面の状態(摩擦係数、接触面の向き)により、支持解除部7が自然落下するかどうか決定される。例えば同図に示す支持解除部7と受け部8の傾斜面82との間の角度θ2が鈍角の場合で、且つその接触面の摩擦係数が0の場合は、支持解除部7はペダル51を離した際に、自然落下するが、θ2の角度と、支持解除部7および受け部8の接触面の摩擦係数を所定の値に設定することで、自然落下が始まる時間を操作できる。
【0046】
つまり、太陽電池モジュール1が重力により回動することで、θ2の角度が小さくなり状態が変わることで自然落下の開始ポイントが操作できる。例えば、ペダル5を放した後、前半は傾斜面82と突起72の湾曲部の接触面には摩擦力が加わり、一定時間(数秒)傾斜面82の平面を突起72が接触しながらスライドし自然落下が抑制される(図21参照)。その間に支持部6は支持部8の下方に通り過ぎ、太陽電池モジュール1及び支持解除部7の回動により力のバランスが崩れ支持解除部7の自然落下が開始する。
【0047】
なお、便宜上で角度θ1を90度未満の場合を例示したが、角度θ1が90度を超える範囲でも角度θ2と前記摩擦係数のバランス条件が整えば同様の現象が起こり得る。好ましくは本実施の形態のように傾斜面82を配置し、角度θ2が90度以上に設定することでモジュール1の回動を促進し、角度θ1を略90とすることで荷重を支持解除部7に効率よく伝えることができる。
【0048】
次に、強風などにより、太陽電池モジュール1が仰角方向に回転するような外力を受けた場合について説明する。
【0049】
太陽電池モジュール1が仰角方向への外力220により仰角方向に移動すると、支持部6と受け部8の位置関係は図22のようになり、支持部6は受け部8の支持を失うため、自重により矢印221方向の力を受け、反時計回りに回転する。また、太陽電池モジュール1も支持部6による支持を失うため、自重により収納位置へと反時計回りに回転する。強風のように連続して外力を受け続ける場合に備えて、太陽電池モジュールの自重のみではなく、バネなどにより、常に反時計回りに力を与えておくことも可能である。
【0050】
また、太陽電池モジュール1がある角度以上は仰角方向に回転しないよう制限する機能を付加しておくことも可能であり、図23に示すように、上記減衰力を持たせる機能も付加して、付加的にダンパー230を使用することもできる。なお、かかるダンパー230は、太陽電池モジュール1の収納方向の移動に対して減衰力を持たせることにより、収納状態に移行する時に壁面と太陽電池モジュールの衝突の衝撃を緩和する構造とすることができる。
【0051】
次に、太陽電池モジュール1を複数の角度にて支持可能とする実施の形態を示す。太陽電池モジュール1を複数の角度にて支持するには、図10に示すように、太陽電池モジュール1の上下方向に、複数個の受け部8、8Aを所定の間隔をおいて設けることにより達成することができる。尚、最も大きい角度の位置(太陽電池モジュール1の上部)には実施形態1の前記受け部8を設けることで、それ以外の受け部8Aは、必ずしも解除用の第二傾斜面を設ける必要はない。したがって、前記太陽電池モジュールの設置側に対する角度を複数設定できる。かかる本発明は、太陽電池モジュールと太陽の最適な角度は季節ごとに異なるが、該太陽電池モジュールと側壁部の角度を複数設定できるため、太陽電池セルの最適傾斜角度に対して自由に太陽電池モジュールの角度を変えることができる。前記動力入力手段と、前記支持手段とが離れた位置に配置されることが好ましい。このように、動力入力手段と、支持手段とを離れた位置に配置するため、屋根に設置した太陽電池モジュールの角度を変更したり、屋外に設置された太陽電池モジュールを屋内から操作したりすることができる。
【0052】
かかる支持解除の方法は、太陽電池モジュール1の支持状態からペダルを踏む事により、最も大きい角度の支持の状態まで持ち上げ、さらにペダルを踏む事により、上記実施形態1の受け部8の支持を解除する。この解除により、太陽電池モジュール1、支持部6、支持解除部7がそれぞれ反時計回りの回転をするが、上記ダンパー230を設け、支持部6、支持解除部7が収納状態になった後、太陽電池モジュール1が収納状態となり、支持部6、支持解除部7と太陽電池モジュール1の背面150が干渉しないように減衰力を与える。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る一実施の形態を説明するための太陽電池モジュールの設置構造の斜視図である。
【図2】図1の太陽電池モジュールと壁面に角度を持たせた斜視図である。
【図3】図1の太陽電池モジュールのうち1枚を拡大した斜視図である。
【図4】本実施の形態の太陽電池モジュールの背面側から見た斜視図である。
【図5】外部より動力を入力するペダルが接続された部品の斜視図である。
【図6】収納保持ロックの斜視図である。
【図7】太陽電池モジュールを支持する支持部の斜視図である。
【図8】太陽電池モジュールの支持を解除するための支持解除部の斜視図である。
【図9】支持部と支持解除部の組立状態を示す斜視図である。
【図10】図1のA−A断面図である。
【図11】図10のペダル近辺の拡大断面図である。
【図12】ペダルを踏んで太陽電池モジュールが駆動される直前のペダル近辺の拡大断面図である。
【図13】太陽電池モジュールが所定の角度に保持されている状態を示す断面図である。
【図14】受け部の斜視図である。
【図15】支持部と太陽電池モジュール側の受け部との接触部を拡大した支持部断面図である。
【図16】支持部の先端が受け部のエッジに到達した時の支持部拡大断面図である。
【図17】太陽電池モジュールの位置が確定した時の支持部拡大図である。
【図18】太陽電池モジュールの位置が確定した時の断面図である。
【図19】支持部の支持が解除され支持解除部の支持に移行した時の支持部拡大図である。
【図20】ペダルが踏めなくなった時の支持部拡大図である。
【図21】ペダルに入力がなくなった際の支持部拡大図である。
【図22】外力が働いた時の支持部拡大図である。
【図23】太陽電池モジュールにダンパーを設けた側面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 太陽電池モジュール
3 取り付け壁面
31 壁面孔
4 収納保持ロック
43 歯車部
52、53 歯車
6 太陽電池モジュールの支持部(支持手段)
63 歯車
7 支持解除部(支持解除手段)
9 チェーン
8 太陽電池モジュール側の受け部
150 太陽電池モジュールの裏面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁部に太陽電池モジュールが揺動自在に設置され、該太陽電池モジュールを所定の角度で支持する支持手段が設けられ、該支持手段による支持は、前記太陽電池モジュールに太陽電池モジュールの仰角方向の外力が働くことにより解除されることを特徴とする太陽電池モジュールの設置構造。
【請求項2】
前記外力により前記太陽電池モジュールの支持が解除された際に、前記太陽電池モジュールは自動的に収納状態に保持されることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの設置構造。
【請求項3】
前記太陽電池モジュールには受け部が突設され、該受け部に前記支持手段が接触することにより、前記太陽電池モジュールの角度を保持することを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュールの設置構造。
【請求項4】
前記太陽電池モジュールを揺動させる動力を入力する動力入力手段と、その動力を前記支持手段に伝達する動力伝達手段とを有し、前記支持手段は太陽電池モジュールを駆動させる駆動部を備え、前記駆動部は動力伝達手段からの動力を一方向にのみ駆動することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの設置構造。
【請求項5】
前記動力入力手段に付与される動力により、前記太陽電池モジュールの角度を設けるための支持手段の駆動と連動して、前記太陽電池モジュールを収納状態に保持する手段の解除も行うことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池モジュールの設置構造。
【請求項6】
前記動力入力手段は、太陽電池モジュールの受光面と反対側にあることを特徴とする請求項5に記載の太陽電池モジュールの設置構造。
【請求項7】
前記請求項1記載の支持手段と別に支持解除手段を有し、該支持解除手段は前記太陽電池モジュールを揺動させることで前記支持手段の支持を解除することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの設置構造。
【請求項8】
側壁部に太陽電池モジュールを揺動自在に設置し、該太陽電池モジュールを支持手段で所定の角度に支持する太陽電池モジュールの設置方法において、
太陽電池モジュールを動力入力手段で揺動させ、所定の角度に支持する太陽電池モジュールにその仰角方向の外力が働いた際に、前記支持手段が解除され、前記太陽電池モジュールは保持可能位置に戻ることを特徴とする太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項9】
前記太陽電池モジュールが揺動することにより、前記支持手段が収納され、収納保持ロック手段は、自動的に太陽電池モジュールを収納状態に保持することを特徴とする請求項8に記載の太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項10】
前記太陽電池モジュールが支持された状態において、前記動力入力手段に動力を供給し、前記支持手段を前記太陽電池モジュールの支持状態より仰角方向に駆動することにより、前記支持手段と連動して前記支持解除手段を駆動し、該支持解除手段が前記太陽電池モジュールを支持することにより、前記支持手段は前記太陽電池モジュールの支持を解除し、前記動力入力手段への動力を中止することにより、前記支持手段および前記支持解除手段の双方の支持が解除されることを特徴とする請求項9に記載の太陽電池モジュールの設置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−245496(P2006−245496A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62711(P2005−62711)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】