説明

太陽電池モジュール一体型屋根材の荷姿

【課題】少ない梱包材料費で、太陽電池モジュール一体型屋根材の表面に傷を付けずに荷揚げすることができ、大量輸送に対応した太陽電池モジュール一体型屋根材の荷姿を提供する。
【解決手段】2枚の太陽電池モジュール一体型屋根材1を、太陽電池モジュール2が互いに対向するように、且つ、軒棟方向を一致させ、間に防傷材を挟んで配置し、荷締め荷姿とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の屋根に用いられる屋根材に太陽電池モジュールを搭載した太陽電池モジュール一体型屋根材の荷姿に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュール一体型屋根材の荷姿としては、従来、特許文献1にも記載されているように、箱の内部に複数の仕切を設け、各仕切の間に太陽電池モジュール一体型屋根材を一枚ずつ収納するものであった。
【0003】
【特許文献1】特開2005−153888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の荷姿は、フォークリフトやトラックを使用して、太陽電池モジュール一体型屋根材を大量に輸送するのには適していたが、建設現場において地上から屋根面へ荷揚げする際に下記のような課題があった。
【0005】
建設現場では、荷揚げ機を使用して荷揚げ作業を行う。荷揚げ機とは、地上レベルから屋根レベルまで掛けられたレールに沿って、積載面が上下移動する小型の揚重機である。
【0006】
荷揚げ機の積載面は、幅60cm、奥行30cm程度の大きさしかなく、また、地上レベルで太陽電池モジュール一体型屋根材を荷揚げ機に載せる作業、及び、屋根レベルで荷揚げ機から太陽電池モジュール一体型屋根材を降ろす作業は人手によらなければならない。
【0007】
従来の荷姿は、前記したように内部に仕切りが設けられた箱の中に、太陽電池モジュール一体型屋根材が大量に収納されているため、大きさは荷揚げ機の積載面に載らないほど大きく、また、重さは人手では持ち上げることができないほど重いため、箱の中から、1枚1枚太陽電池モジュールを出して、荷揚げ機へ載せていた。
【0008】
太陽電池モジュール一体型屋根材を荷揚げ機の積載面へ載せる時や、積載面を上下移動させる時、また、荷揚げ機から太陽電池モジュール一体型屋根材を降ろす時、太陽電池モジュール一体型屋根材と荷揚げ機、或いは、太陽電池モジュール一体型屋根材同士が擦れたりぶつかり合ったりすることがあるが、太陽電池モジュール一体型屋根材は、荷揚げ機の上では既に箱から出された状態となっているため、発電する上で最も重要な部分である太陽電池モジュールの表面に傷が付く恐れがあった。
【0009】
太陽電池モジュール一体型屋根材を1枚1枚梱包すれば、荷揚げ時に太陽電池モジュールの表面に傷が付くことを防止することはできるが、特許文献1にも記載されているように、該解決方法には、多くの梱包材料費がかかってしまう。
【0010】
本発明の課題は、太陽電池モジュール一体型屋根材の荷姿を、少ない梱包材料費で、太陽電池モジュール一体型屋根材の表面に傷を付けずに荷揚げできるようにし、且つ、大量輸送にも対応できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1は、太陽電池モジュールとベース材を重ね合わせてなる太陽電池モジュール一体型屋根材の荷姿であって、
2枚の太陽電池モジュール一体型屋根材を、軒棟方向を一致させて表面側を互いに対向させ、防傷材を挟んで荷締めしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2には、上記本発明の第1の太陽電池モジュール一体型屋根材の荷姿を1束とし、少なくとも2束を、軒側を鉛直下方向に向け、太陽電池モジュール一体型屋根材の厚さ方向に並べて箱に収納したことを特徴とする太陽電池モジュール一体型屋根材の荷姿である。
【0013】
また本発明の第3は、上記本発明の第1の太陽電池モジュール一体型屋根材の荷姿を1束とし、少なくとも2束を、軒側を鉛直下方向に向け、太陽電池モジュール一体型屋根材の厚さ方向に並べて箱に収納し、太陽電池モジュール一体型屋根材の棟側と箱の天板との間に支持材を充填し、太陽電池モジュールの出力ケーブル収納用の空間を設けていることを特徴とする太陽電池モジュール一体型屋根材の荷姿である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、少ない梱包材料費で、太陽電池モジュール一体型屋根材の表面に傷を付けずに荷揚げでき、且つ、大量輸送にも対応できる荷姿にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明の荷姿を構成する太陽電池モジュール一体型屋根材の一例の斜視図であり、図2は図1の太陽電池モジュール一体型屋根材の平面図、図3は図2のA−A’断面模式図、図4は図2のB−B’断面模式図、図5は図1の太陽電池モジュール一体型屋根材を屋根面に施工した状態の斜視図、図6は図1の太陽電池モジュール一体型屋根材を屋根面に施工した状態の側断面模式図である。
【0017】
図1〜図4に示すように、本発明の太陽電池モジュール一体型屋根材1は、屋根材としてのベース材10上に、光電変換装置である太陽電池モジュール2を重ね合わせてなる。本例においては、太陽電池モジュール2はベース材10のモジュール搭載部分11上に固定部材20を介して一体固定されている。
【0018】
また、本例の太陽電池モジュール2は薄型太陽電池モジュールであって、扁平な直方体状を呈しており、封止材により光電変換素子が密閉されている。
【0019】
太陽電池モジュール2を搭載するベース材10は、例えば、セメント系の屋根材、粘土瓦または金属瓦等により形成されている。このベース材10は、単純な平板形状であっても構わないが、外観を屋根材に似せるために、モジュール搭載部分11の板厚が薄く形成され、その軒側端部に裏面側(設置面側)に向けて屈曲した着座部12が形成されている。また、図3に示すように、モジュール搭載部分11の中央部には、太陽電池モジュール2の端子ボックス23を収容するための収容凹部11aが形成され、該収容凹部11aは端子ボックス23を下側から覆うように設置側に窪ませて形成されている。
【0020】
また、ベース材10の棟側端部の裏面側には屋根面に当接する側断面逆台形状の脚部13が形成されており、その表面側(非設置面側)には棟側に隣接するベース材10の着座部12が着座する縦方向ラップ部14が延設されている。縦方向ラップ部14は、上記モジュール搭載部分11よりも板厚を増大させて突設され、モジュール搭載部分11に太陽電池モジュール2を配置した場合にその上面と該縦方向ラップ部14の上面とが連続した平面となるように形成されている。この縦方向ラップ部14には、当該屋根材1を釘やビス等で野地板3に固定するための止着孔17が開設されている。この縦方向ラップ部14の長手方向中央部のモジュール搭載部分11側には、太陽電池モジュール2の下部から出力ケーブル22を引き出すための矩形の引き出し凹部19が形成されている。
【0021】
さらに、左右方向(軒棟方向に直交する方向)の一端部には、隣接するベース材10を上側に重ねる横方向ラップ部15が延設されている。横方向ラップ部15は、上記屈曲した着座部12によってベース材10の他端部に区画される下部空間16に配置される。尚、本例では、横方向ラップ部15がベース材10の左端部に延設されているが、これに限るものではなく、ベース材10の右端部に延設してもよい。
【0022】
図5及び図6に示すように、太陽電池モジュール一体型屋根材1は、野地板3等の屋根面上に沿って、瓦等の屋根材を縦横に敷設するように施工される。即ち、野地板3上に太陽電池モジュール一体型屋根材1を配置し、縦方向ラップ部14の止着孔17に不図示の釘やビス等を止着して固定する。左右方向における太陽電池モジュール一体型屋根材1の配置は、図5に示すように、横方向ラップ部15上に左隣りの太陽電池モジュール一体型屋根材1の右端部が重なるように施工される。軒棟方向における太陽電池モジュール一体型屋根材1の配置は、図6に示すように、軒側の太陽電池モジュール一体型屋根材1の縦方向ラップ部14上に棟側の太陽電池モジュール一体型屋根材1の着座部12が着座して重なるように施工される。野地板3上には防水性のルーフ材が敷設される場合もあるが、本実施形態の太陽電池モジュール一体型屋根材1の施工法は基本的に変わらない。
【0023】
このようにして屋根面上に縦横に敷設された複数の太陽電池モジュール2は、出力ケーブル22を接続して直列または/及び並列に電気的に接続される。
【0024】
本例の太陽電池モジュール一体型屋根材1では、固定部材20を介して、ベース材10上に太陽電池モジュール2が一体的に固定されている。図4に示すように、本例の固定部材20は側断面形状が略コ字状を呈しており、太陽電池モジュール2の裏面側の部位をモジュール搭載部分11にボルトやネジ等で固定する。従って、モジュール搭載部分11には該ボルトやネジを固定するための貫通孔18が形成されている。
【0025】
また、図2に示すように、太陽電池モジュール2の裏面、即ちベース材10に対向する面には、そのケーブル接続部24を軒側へ向けて端子ボックス23が配設されている。この端子ボックス23は、太陽電池モジュール2の出力端子を密閉保護するボックスであり、該ケーブル接続部24に接続された出力ケーブル22は、湾曲しながら反対側の棟側へ折り返され、ベース材10の棟側に位置する引き出し凹部19から外部へ引き出されている。
【0026】
次に、本発明の荷姿の構成について、図1〜図4に示した太陽電池モジュール一体型屋根材1を用いた場合を例に挙げて説明する。
【0027】
本発明においては、太陽電池モジュール一体型屋根材1を2枚一組で1束の荷姿(1)とする。図8は係る荷姿(1)の断面模式図であり、図9はその正面模式図、図10は平面模式図である。
【0028】
本発明においては、図8〜図10に示すように、2枚の太陽電池モジュール一体型屋根材1を表面、即ち太陽電池モジュール2側が互いに対向し、且つ軒棟方向が一致するように配置し、太陽電池モジュール2間に防傷材31を挟んで荷締め、荷姿(1)とする。本例においては、バンド32により荷締めている。
【0029】
本発明において荷締めに用いられるバンド32の材質は、通常の荷締めに使用される汎用のもので良く、例えば、ポリプロピレン製のPPバンドは強度、作業性ともに優れているため好適に使用することができる。
【0030】
また、バンド32の位置は、太陽電池モジュール一体型屋根材1の裏面側に突出している固定部材20のネジ部にかからないようにした方がよい。該ネジ部がバンド32を傷付け、バンド32が切れてしまう恐れがあるからである。
【0031】
防傷材31の材質は、紙、段ボール、ポリエチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ウレタン等が使用できる。
【0032】
太陽電池モジュール一体型屋根材1の質量は1枚当たり7kg程度であり、よって、1束の質量は約14kgである。通常、作業時に作業者が1人で持つことができる質量は25kg以下であるので、この質量ならば、太陽電池モジュール一体型屋根材1を荷揚げ機に載せる作業や、荷揚げ機から太陽電池モジュール一体型屋根材1を降ろす作業を、人手によって行うことができる。
【0033】
また、太陽電池モジュール一体型屋根材1の表面が露出していないので、太陽電池モジュール一体型屋根材1と荷揚げ機、或いは、太陽電池モジュール一体型屋根材1同士が擦れたりぶつかり合ったりしても、発電する上で最も重要な部分である太陽電池モジュール2の表面に傷が付くことはない。
【0034】
また、太陽電池モジュール一体型屋根材1の質量が、例えば1枚当たり6kgであれば、太陽電池モジュール一体型屋根材1の表面同士、裏面同士を合わせ、4枚1束として荷締めしても構わない。この場合、1束約24kgとなるが前述の25kgを下回るため問題はない。
【0035】
但し、太陽電池モジュール一体型屋根材1の表面同士、裏面同士を合わせて1束を形成する場合、奇数枚を1束とすることは好ましくない。最も外側に位置する太陽電池モジュール一体型屋根材1は、荷姿同士が接触する際に出来る傷の防止のため、太陽電池モジュール2表面が荷姿の外側へ向くことを避けなければならないが、表面が外側へ向いてしまう太陽電池モジュール2が存在してしまうからである。
【0036】
この荷姿(1)は、梱包材が防傷材31とバンド32だけであるので、1枚1枚梱包する方法に比べて、梱包材料費の低減が図れる。
【0037】
図16に本発明に用いられる防傷材31の一例の斜視図を、図17に該防傷材31を太陽電池モジュール一体型屋根材1の上に載せた状態を示す。
【0038】
太陽電池モジュール一体型屋根材1において、太陽電池モジュール2とベース材10とが接着材等で一体化されていて、固定部材20が用いられていない場合、防傷材31の平面形状は単純な長方形でよい。しかしながら、太陽電池モジュール一体型屋根材1が、図1に示すように固定部材20で一体化されている場合、図16,図17に示すように防傷材31の形状は、該固定部材20に当たる部分が切り欠かれている方がよい。
【0039】
尚、図17の防傷材31の切り欠き部分において、固定部材20の横に余分な切り欠きがあるように見えるが、この部分には、対向させる太陽電池モジュール一体型屋根材1の固定部材20が挿入される。固定部材20は、ベース材10の横方向ラップ部15を除く長手方向の寸法の中心から等距離の位置に設けられているため、太陽電池モジュール一体型屋根材1同士を対向させたとき、横方向ラップ部15の寸法の分、固定部材20の位置がずれるからである。
【0040】
防傷材31の厚さについては、以下の通りである。
【0041】
太陽電池モジュール一体型屋根材1が、接着材等で一体化されていて、固定部材20が用いられていない場合は、太陽電池モジュール2の透光性表面材同士の接触による傷が付かなければよく、防傷材31の厚さは特に問わない。
【0042】
しかし、固定部材20を用いており、太陽電池モジュール一体型屋根材1を対向させたときに、対向する固定部材20同士が一部でもぶつかる場合には、防傷材31の厚さは、荷姿(1)を形成した状態で、太陽電池モジュール2の表面から固定部材20が突出している寸法の2倍を超える寸法が好ましい。図8に示すように、固定部材20同士がぶつからないようにするためである。
【0043】
固定部材20を用いていても、太陽電池モジュール一体型屋根材1を対向させた時に、対向する固定部材20同士がぶつからない場合には、防傷材31の厚さは、荷姿(1)を形成した状態で太陽電池モジュール2の表面から固定部材20が突出している寸法を超える寸法が好ましい。固定部材20と、対向する太陽電池モジュール一体型屋根材1の太陽電池モジュール2の透光性表面材が、ぶつからないようにするためである。
【0044】
対向する固定部材20同士がぶつかるかどうかは、横方向ラップ部15の長手方向の寸法と、固定部材20の長手方向の寸法により決まる。即ち、横方向ラップ部15の長手方向の寸法が大きいほど、対向する固定部材20同士は、位置のずれ量が大きくなり、ぶつかりにくくなる。また、固定部材20そのものの長手方向の寸法が小さいほど、対向する固定部材20同士はぶつかりにくくなる。
【0045】
図18、図20は本発明に用いられる他の防傷材31の例の斜視図であり、図19、図21はそれぞれ、図18,図20の該防傷材31を太陽電池モジュール一体型屋根材1に載せた状態を示す。図20の防傷材31は、平面形状が単純な長方形をしているが、短辺の寸法を、太陽電池モジュール一体型屋根材1の固定部材20間の距離(縦方向)よりも短くしてある。
【0046】
さらに、上記した太陽電池モジュール一体型屋根材1を2枚で1束とした荷姿(1)を2束以上並べた荷姿(2)について説明する。
【0047】
図11は係る荷姿(2)の断面模式図であり、図12はその正面模式図、図13は平面模式図である。尚、図11において荷姿(1)を荷締めているバンドは便宜上省略した。
【0048】
本発明の荷姿(2)は、本発明の荷姿(1)を少なくとも2束、太陽電池モジュール一体型屋根材1の軒側を鉛直下方向に向け、太陽電池モジュール一体型屋根材1の厚さ方向に並べて箱41に収納する。
【0049】
係る箱41の材質は、紙、段ボール、木、合板、合成樹脂等、特に限定されない。また、不図示の出力ケーブル22は、荷姿(1)の2枚の太陽電池モジュール一体型屋根材1の間に挿入されている。
【0050】
このような荷姿(2)においては、箱41の天板をカッター等で開封する際、箱41の中の出力ケーブルを傷つけないよう、箱41の天板の下に中蓋を設けてもよい。また、箱41の底抜けを防止するために、箱41の底板の上に中敷を設けてもよい。
【0051】
本発明の荷姿を構成する太陽電池モジュール一体型屋根材1としては、図7に示すように、横方向ラップ部15を含む長手方向の中心から等距離(A,B)の位置に、少なくとも1対の脚部13を有していることにより、図11及び図13に示すように、箱41に収納した際に、荷姿(1)同士の脚部13の位置が合致し、箱41の中で荷姿(1)が揺れ動きにくく、より安定した荷姿となる。
【0052】
このような荷姿(2)を、パレットの上に水平方向に並べたり、鉛直方向に積み重ねたりすれば、太陽電池モジュール一体型屋根材1を大量輸送することができる。また、パレットの上に並べたり積み重ねたりした後は、バンドやストレッチフィルムを巻けば、輸送中の荷崩れが起きにくくなる。
【0053】
図11,図12に示すように、本発明においては荷姿(2)において太陽電池モジュール一体型屋根材1の軒側を鉛直下方向に向けるため、係る荷姿(2)を鉛直方向に積み重ねた場合、上段の重量は、下段の太陽電池モジュール一体型屋根材1のベース材10が受けることになる。従って、太陽電池モジュール2には荷重がかからず、太陽電池モジュール2が破損する恐れがない。
【0054】
また、図14,図15は、本発明の荷姿(2)の別の実施形態である荷姿(3)を示す断面模式図及び正面断面模式図である。尚、図14においては荷姿(1)を荷締めているバンドは便宜上省略した。
【0055】
本例では、荷姿(2)と同様に、荷姿(1)を少なくとも2束、太陽電池モジュール一体型屋根材1の軒側を鉛直下方向に向け、太陽電池モジュール一体型屋根材1の厚さ方向に並べて箱に入れてある。さらに、本例においては、太陽電池モジュール一体型屋根材1の棟側と箱41の天板との間に空間を設け、該空間の一部に支持材51を充填し、出力ケーブル22収納用の空間を設けている。箱41の材質は、紙、段ボール、木、合板、合成樹脂等、特に限定されない。
【0056】
本例においても、前記荷姿(2)と同様に、箱41の天板をカッター等で開封する際、箱の中の出力ケーブル22を傷つけないよう、箱41の天板の下に中蓋を設けてもよく、また、箱41の底抜けを防止するために、箱41の底板の上に中敷を設けてもよい。
【0057】
本例の荷姿(3)では、箱41の中にケーブル22収納用の空間が設けられているため、荷姿(2)のような、出力ケーブル22を荷姿(1)の2枚の太陽電池モジュール一体型屋根材1の間に挿入する作業が不要となり、梱包作業の効率が良い。
【0058】
また、支持材51の材質は、上段の重量に耐えられるものであれば何でもよいが、段ボール、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、紙、木等が使用できる。
【0059】
本発明の荷姿(3)に用いる太陽電池モジュール一体型屋根材1としても、荷姿(2)と同様に、図7に示すように、横方向ラップ部15を含む長手方向の中心から等距離(A,B)の位置に、少なくとも1対の脚部13を有していることにより、図14に示すように、箱41に収納した際に、荷姿(1)同士の脚部13の位置が合致し、箱41の中で荷姿(1)が揺れ動きにくく、より安定した荷姿となる。
【0060】
このような荷姿(3)を、パレットの上に水平方向に並べたり、鉛直方向に積み重ねたりすれば、太陽電池モジュール一体型屋根材1を大量輸送することができる。また、パレットの上に並べたり積み重ねたりした後は、バンドやストレッチフィルムを巻けば、輸送中の荷崩れが起きにくくなる。
【0061】
図14,図15に示すように、本発明においては荷姿(3)において太陽電池モジュール一体型屋根材1の軒側を鉛直下方向に向けるため、係る荷姿(3)を鉛直方向に積み重ねた場合、上段の重量は、下段の支持材51や、太陽電池モジュール一体型屋根材1のベース材10が受けることになる。従って、太陽電池モジュール2や出力ケーブル22には荷重がかからず、太陽電池モジュール2や出力ケーブル22が破損する恐れがない。
【0062】
次に、太陽電池モジュール一体型屋根材の梱包から施工までの流れを説明する。例として、荷姿(1)及び荷姿(3)を用いる。
〔1〕工場において、太陽電池モジュール一体型屋根材2枚の間に防傷材を挟み、バンドで荷締めし、荷姿(1)を形成する。
〔2〕パレットの上に段ボール箱を置き、その中に、上記荷姿(1)を複数束、入れる。
〔3〕荷姿(1)の上に支持材を入れる。
〔4〕中蓋を入れる。
〔5〕段ボール箱の蓋を閉め、ガムテープで封止し、荷姿(3)を形成する。
〔6〕パレットの上で、〔2〕〜〔5〕の作業を繰り返し、複数の荷姿(3)を並べ、また、積み上げる。
〔7〕パレット単位でバンドを用いて荷締めする。
〔8〕パレット単位でストレッチフィルムを巻く。
〔9〕フォークリフトを使用し、パレット単位でトラックに載せる。
〔10〕トラックで工場から建設現場まで輸送する。
〔11〕建設現場において、トラックに付属する小型のクレーンを使用し、トラックからパレット単位で降ろす。
〔12〕荷姿(3)の段ボール箱を開封し、荷姿(1)を荷揚げ機の積載面に人手で載せる。
〔13〕荷揚げ機の積載面を、屋根面まで移動させる。
〔14〕荷姿(1)を荷揚げ機の積載面から、屋根面に人手で降ろす。
〔15〕荷姿(1)のバンドを切り、太陽電池モジュール一体型屋根材2枚に分離する。
〔16〕太陽電池モジュール一体型屋根材を屋根面に施工する。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、建物の屋根に用いられる屋根材に太陽電池モジュールを搭載した太陽電池モジュール一体型屋根材の保管、搬送に係る荷姿に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の荷姿を構成する太陽電池モジュール一体型屋根材の一例の斜視図である。
【図2】図1の太陽電池モジュール一体型屋根材を示す平面図である。
【図3】図2のA−A’断面図である。
【図4】図2のB−B’断面図である。
【図5】図1の太陽電池モジュール一体型屋根材を屋根面に施工した状態の斜視図である。
【図6】図1の太陽電池モジュール一体型屋根材を屋根面に施工した状態の側断面図である。
【図7】図1の太陽電池モジュール一体型屋根材の背面図である。
【図8】本発明の荷姿(1)の一実施形態の断面模式図である。
【図9】図8の荷姿(1)の正面模式図である。
【図10】図8の荷姿(1)の平面模式図である。
【図11】本発明の荷姿(2)の一実施形態の断面図である。
【図12】図11の荷姿(2)の正面模式図である。
【図13】図11の荷姿(2)の平面模式図である。
【図14】本発明の荷姿(3)の一実施形態の断面模式図である。
【図15】図14の荷姿(3)の正面模式図である。
【図16】本発明に用いられる防傷材の一例の斜視図である。
【図17】図16の防傷材を太陽電池モジュール一体型屋根材に載せた状態を示す正面図である。
【図18】本発明に用いられる防傷材の他の例の斜視図である。
【図19】図18の防傷材を太陽電池モジュール一体型屋根材に載せた状態を示す正面図である。
【図20】本発明に用いられる防傷材の他の例の斜視図である。
【図21】図20の防傷材を太陽電池モジュール一体型屋根材に載せた状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 太陽電池モジュール一体型屋根材
2 太陽電池モジュール
3 野地板
10 ベース材
11 モジュール搭載部分
11a 収容凹部
12 着座部
13 脚部
14 縦方向ラップ部
15 横方向ラップ部
16 下部空間
17 止着孔
18 貫通孔
19 引き出し凹部
20 固定部材
22 出力ケーブル
23 端子ボックス
24 ケーブル接続部
31 防傷材
32 バンド
41 箱
51 支持材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールとベース材を重ね合わせてなる太陽電池モジュール一体型屋根材の荷姿であって、
2枚の太陽電池モジュール一体型屋根材を、軒棟方向を一致させて表面側を互いに対向させ、防傷材を挟んで荷締めしてあることを特徴とする太陽電池モジュール一体型屋根材の荷姿。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池モジュール一体型屋根材の荷姿を1束とし、少なくとも2束を、軒側を鉛直下方向に向け、太陽電池モジュール一体型屋根材の厚さ方向に並べて箱に収納したことを特徴とする太陽電池モジュール一体型屋根材の荷姿。
【請求項3】
請求項1に記載の太陽電池モジュール一体型屋根材の荷姿を1束とし、少なくとも2束を、軒側を鉛直下方向に向け、太陽電池モジュール一体型屋根材の厚さ方向に並べて箱に収納し、太陽電池モジュール一体型屋根材の棟側と箱の天板との間に支持材を充填し、太陽電池モジュールの出力ケーブル収納用の空間を設けていることを特徴とする太陽電池モジュール一体型屋根材の荷姿。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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