説明

太陽電池モジュール設置構造

【課題】 野地板などの屋根下地材と太陽電池モジュールとの間に入り込んだ水を排水することができるとともに、太陽電池モジュールが高温となることを抑制することができる太陽電池モジュール設置構造を提供する。
【解決手段】 太陽電池モジュール設置構造1は、少なくとも防水処理を施した勾配屋根下地に太陽電池モジュール6を設置する太陽電池モジュール設置構造1であって、野地板3上に勾配方向に対して直角な複数の列を作って設置される複数のスペーサ4と、該複数のスペーサ4列にそれぞれ架設される2以上の水平フレーム5と、棟側Mの端部及び軒側Nの端部がそれぞれ前記水平フレーム5に載置される太陽電池モジュール6と、該太陽電池モジュール6を前記水平フレーム5に固定する固定手段7と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の屋根に太陽電池モジュールを取り付ける太陽電池モジュール設置構造に関し、特に、勾配屋根下地に屋根材を設置せずに太陽電池モジュールを設置する太陽電池モジュールの設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の屋根に太陽電池モジュールを設置する太陽電池モジュール設置構造としては、屋根の勾配に対して平行に野地板上に設けられる縦桟と、この縦桟に対して直角に野地板上に設けられる横桟と、により形成された矩形の枠体に太陽電池モジュールを嵌め込んで、ボルトなどで固定する(特許文献1、特許文献2参照)構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−163815号公報
【特許文献2】特開2009−263874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような太陽電池モジュールの設置構造においては、アスファルトルーフィング等の防水処理を施した野地板上に矩形の枠体を直接固定し、この枠体に太陽電池モジュールをはめ込むので、太陽電池モジュールと野地板との間に雨水などが入り込んだ場合に、横桟の棟側の水が排水され難い問題がある。
【0005】
また、太陽電池モジュールは高温下では出力電圧が低下し易いが、上述のように野地板上に枠体を直接固定し、太陽電池モジュールをはめ込む構成の場合、太陽電池モジュールと野地板との間に閉じられた保温空間が生じ、太陽電池モジュールの熱を放出することができず、太陽電池モジュールが高温になり、出力電圧の低下を招く虞がある。
【0006】
そこで本発明は、野地板などの屋根下地材と太陽電池モジュールとの間に入り込んだ水を排水することができるとともに、太陽電池モジュールが高温となることを抑制することができる太陽電池モジュール設置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の太陽電池モジュール設置構造は、少なくとも防水処理を施した勾配屋根下地に太陽電池モジュールを設置する太陽電池モジュール設置構造であって、前記勾配屋根下地上に勾配方向に対して直角に複数の列を作って設置される複数のスペーサと、該複数のスペーサ列にそれぞれ架設される複数の水平フレームと、棟側の端部及び軒側の端部がそれぞれ前記水平フレームに載置される太陽電池モジュールと、該太陽電池モジュールを前記水平フレームに固定する固定手段と、を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の太陽電池モジュール設置構造は、前記勾配屋根下地が更に不燃処理を施したものであることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の太陽電池モジュール設置構造は、前記固定手段は、前記水平フレームから上方に突出する複数のボルトと、前記ボルトを挿通するボルト孔が形成され前記太陽電池モジュールの端部を押さえるプレートと、前記ボルトに螺着して前記プレートを前記太陽電池モジュール端部に固定するナットと、を有することを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の太陽電池モジュール設置構造は、少なくとも最も棟側に形成された水平フレームに棟側から流れる水が前記太陽電池モジュールの下方に侵入することを防止するとともに、前記太陽電池モジュール下方の空気を排気する排気経路が形成された水切りが設けられることを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の太陽電池モジュール設置構造は、前記棟側水切りは、軒側の端部が前記最も棟側に形成された水平フレームに固定されるとともに、棟側の端部が前記勾配屋根下地に固定されるものであって、当該棟側水切りの中間部には、棟側が軒側よりも上に位置するように断面略S字状又は断面Z字状に折り曲げられ、その中間で下方に向けて排出孔が設けられることを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の太陽電池モジュール設置構造は、前記棟側水切は、軒側の端部が前記最も棟側に形成された水平フレームに固定されるとともに、棟側の端部が当該棟側水切よりも棟側の勾配屋根下地に敷設される屋根材の下方に配置され、前記勾配屋根下地に勾配方向に対して直角な列を作って設置された水切用スペーサに固定されることを特徴としている。
【0013】
請求項7に記載の太陽電池モジュール設置構造は、前記スペーサは勾配屋根下地を固定する垂木に固定されることを特徴としている。
【0014】
請求項8に記載の太陽電池モジュール設置構造は、複数の太陽電池モジュールがその上面が面一に連設され、該複数の太陽電池モジュールの間隙に防水ガスケットが設けられることを特徴としている。
【0015】
請求項9に記載の太陽電池モジュール設置構造は、前記プレートは、前記防水ガスケットの端部を覆うように設置される板状であって、前記ボルトに固定される固定孔が形成されるとともに、下面に防水材を備えることを特徴としている。
【0016】
請求項10に記載の太陽電池モジュール設置構造は、複数の太陽電池モジュールがその上面が面一に連設され、該複数の太陽電池モジュールの間隙を覆う下面に防水材を備えた防水プレートが設けられることを特徴としている。
【0017】
請求項11に記載の太陽電池モジュール設置構造は、水平に設置された前記防水プレートの上面に長手方向に沿って起立する雪止突条が形成されたことを特徴としている。
【0018】
請求項12に記載の太陽電池モジュール設置構造は、少なくとも最も軒側に設置された前記水平フレームから突出する前記ボルトに固定されるアングル状の雪止プレートを備えることを特徴としている。
【0019】
請求項13に記載の太陽電池モジュール設置構造は、最も軒側に設置された前記水平フレームに吸気孔が形成された化粧板金が設けられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の太陽電池モジュール設置構造によると、水平フレームが複数のスペーサ列に架設されているので、水平フレームと、勾配屋根下地との間に間隙が形成されることになり、太陽電池モジュールと勾配屋根下地との間に入り込んだ水をこの間隙を通過させて排水することができる。また、水平フレームと勾配屋根下地との間の間隙は空気を通過させることができるので、軒側の水平フレームと勾配屋根下地との間の間隙から外気を取り込んで、棟側の水平フレームと勾配屋根下地との間の間隙から排出することで、太陽電池モジュールと勾配屋根下地との間の空間を換気することができ、太陽電池モジュールが高温となることを抑制することができる。
【0021】
請求項2に記載の太陽電池モジュール設置構造によると、防水処理された勾配屋根下地が更に不燃処理を施されているので、不燃性の屋根材を太陽電池モジュールの下に敷設する必要がなく、また、太陽電池モジュール自体が不燃認定を受けていない太陽電池モジュールを設置することができ、材料コストを下げることができるとともに、屋根の重量を軽くすることができる。
【0022】
請求項3に記載の太陽電池モジュール設置構造によると、上方に突出するボルトを用いて、極めて簡単に太陽電池モジュールを固定することができる。
【0023】
請求項4に記載の太陽電池モジュール設置構造によると、太陽電池モジュールと勾配屋根下地との間に水が侵入することを抑制しつつ、太陽電池モジュール下方の空気を棟側に排気することができる。
【0024】
請求項5に記載の太陽電池モジュール設置構造によると、棟側水切の中間部には、棟側が軒側よりも上に位置するように断面略S字状又は断面Z字状に折り曲げられ、その中間で下方に向けて排出孔が設けられるので、排出孔から水を侵入を抑制しつつ、太陽電池モジュール下方の空気を排気することができる。
【0025】
請求項6に記載の太陽電池モジュール設置構造によると、棟側水切の棟側の端部が屋根材の下方に配置されたスペーサに固定されるので、屋根材の上面を流れる水は棟側水切の上面を流れて太陽電池モジュールの上面に伝わるので、太陽電池モジュールの下方に水が侵入することを防ぐことができ、また、スペーサに棟側水切の棟側の端部が固定されることにより、棟側水切の棟側の端部と勾配屋根下地との間に間隙ができるので、太陽電池モジュール下方の空気をこの間隙から棟側に排出することができる。
【0026】
請求項7に記載の太陽電池モジュール設置構造によると、スペーサは勾配屋根下地を固定する垂木に固定されているので、確実に太陽電池モジュールを固定することができる。
【0027】
請求項8に記載の太陽電池モジュール設置構造によると、複数の太陽電池モジュールが水平に連設され、該複数の太陽電池モジュールの間隙に防水ガスケットが設けられているので、太陽電池モジュールの間から雨水などが太陽電池モジュールと勾配屋根下地との間に侵入することを防止することができる。
【0028】
請求項9に記載の太陽電池モジュール設置構造によると、ガスケットの端部を下面に防水材が形成された端部プレートが覆っているので、ガスケットの端部に隙間ができて太陽電池モジュールと勾配屋根下地との間に雨水などが侵入することを防止することができる。端部プレートは、太陽電池モジュールを固定するために形成されたボルトに固定されるので確実に固定することができる。
【0029】
請求項10に記載の太陽電池モジュール設置構造によると、複数連設される太陽電池モジュールの間隙を防水プレートが覆っているので、太陽電池モジュールの間から雨水などが太陽電池モジュールと勾配屋根下地との間に侵入することを防止することができる。
【0030】
請求項11に記載の太陽電池モジュール設置構造によると、前記防水プレートの上面に雪止突条が形成されているので、太陽電池モジュールの上面に積もった雪が勾配屋根から一気に滑り落ちることを防ぐことができる。
【0031】
請求項12に記載の太陽電池モジュール設置構造によると、少なくも最も軒側の水平フレームに雪止プレートが設置されているので、太陽電池モジュールの上面に積もった雪が勾配屋根から一気に滑り落ちることを防ぐことができる。
【0032】
請求項13に記載の太陽電池モジュール設置構造によると、最も軒側に設置された水平フレームに吸気孔が形成された化粧板金が設けられているので、デザイン性を良くしつつ、確実に太陽電池モジュールと勾配屋根下地との間の換気を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】太陽電池モジュール設置構造の全体構成を示す断面図。
【図2】太陽電池モジュール設置構造のスペーサ、水平フレーム、及び固定手段の構成を示す断面図。
【図3】棟側水切の構成を示す断面図。
【図4】化粧板金の構成を示す断面図。
【図5】水平フレームの構成を示す省略斜視図。
【図6】側部水切の構成を示す断面図。
【図7】太陽電池モジュール設置構造の全体構成を示す正面図。
【図8】プレートのバリエーションを示す正面図。
【図9】防水ガスケットを用いて太陽電池モジュール同士の間隙を防水した状態を示す断面図。
【図10】防水ガスケットの端部をプレートが覆っている状態を示す正面図。
【図11】防水プレートを用いて太陽電池モジュール同士の間隙を防水した状態を示す断面図。
【図12】雪止突条を設けた防水プレートを示す断面図。
【図13】棟側水切の別の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の太陽電池モジュール設置構造1の最良の実施形態について各図を参照しつつ説明する。太陽電池モジュール設置構造1は、図1から図4に示すように、小屋組を構成する垂木2に固定され勾配屋根下地を形成する野地板3の上に、屋根瓦などの屋根材を敷設せずに設置される。この太陽電池モジュール設置構造1は、野地板上に水平な複数の列を作って設置される複数のスペーサ4と、複数のスペーサ4列にそれぞれ水平に架設される2以上の水平フレーム5と、棟側Mの端部及び軒側Nの端部がそれぞれ前記水平フレーム5に載置される太陽電池モジュール6と、この太陽電池モジュール6を水平フレーム5に固定する固定手段7と、を主要構成として形成される。
【0035】
この太陽電池モジュール設置構造1を固定する野地板3は、例えば合板により形成されるものであり、上面に防水シート31が敷設されるとともに、不燃材シート32が敷設されている。防水シート31は、例えばアスファルトルーフィング材が用いられるが、これに限定されるものではなく、屋根下地に敷設される防水シート31として適切な性能を有する種々のシートを用いることができる。また、不燃材シート32は、建築基準法所定の不燃材として国土交通省に認定された所謂不燃認定シートである。この不燃材シート32は、例えば、ガラス系基材に、無機系充填材と合成樹脂を主成分とするエマルションを含浸、塗布して形成されたものであって、且つ、表面に防滑処理を施したシートが用いられる。なお、不燃材シート32としてはこれに限定されるものではなく、所定の不燃認定を取得することができる材料であれば、他の種々の材料を用いることもできる。
【0036】
なお、本実施形態においては、防水シート31と不燃材シート32とそれぞれ設けているが、本発明の太陽電池モジュール設置構造をを固定する野地板3には、例えば防水性及び不燃性を有する1種類のシートを敷設してもよい。
【0037】
複数のスペーサ4は、直方体に形成された樹脂製であって、互いに平行な複数の水平列をなして複数設置される。このスペーサ4を設置する位置は、野地板3の下に垂木2が設けられている位置が好ましい。スペーサ4を固定するビス8が野地板3を貫通してその先端が垂木2に固定されるので、より強固にスペーサ4を固定することができる。このスペーサ4の下面には、更に防水性を有するブチルテープからなる防水層41が貼着されており、スペーサ4を固定するために野地板3を貫通する貫通孔から水が侵入することを確実に防止している。
【0038】
水平フレーム5は、図5に示すように、アルミニウム合金又は鋼板により形成された長手材であり、長手方向に沿って中央が突出して凸部51が形成されるとともに、両側に長手方向に沿って溝状の凹部52が形成されている。凸部51には、所定間隔毎にボルト挿入孔53が形成されている。また、凹部52には、ビス8を挿入するビス孔54が所定間隔毎に形成されている。図2に示すように、水平フレーム5は水平に複数設けられたスペーサ4に架設されて、凹部52に形成されたビス孔54に挿入したビス8をスペーサ4及び野地板3を貫通させて固定している。また、太陽電池モジュール6は矩形平板状に形成され、太陽光から電力を発生させるパネルであり、棟側Mと軒側Nの2本の水平フレーム5の間に嵌め込まれる。
【0039】
固定手段7は、水平フレーム5の凸部51に形成されたボルト挿入孔53に挿入されて先端が上方に突出するボルト71と、水平フレーム5の間に嵌め込まれた太陽電池モジュール6の上側からボルト71に外嵌し、太陽電池モジュール6の端部を押さえるプレート72と、プレート72の上からボルト71に螺着してプレート72を太陽電池モジュール6端部に押し付けるナット73と、を有している。ナット73には弾性体で形成された保護カバー74が上側から被されている。また、プレート72の下面には防水性を有するブチルテープが防水材75として貼り付けられており、このプレート72と太陽電池モジュール6との間から雨水などが侵入することを防いでいる。
【0040】
プレート72は、図7及び図8に示すように、太陽電池モジュール6を固定する位置により十字状、丁字状、又は鉤括弧状に形成されている。このプレート72にはボルト71に外嵌する1又は2のボルト孔76が形成されており、これらボルト孔76にボルト71を挿入して、ナット73で螺着することにより固定している。図8に示すように、本実施形態においては、プレート72は、太陽電池モジュール6の4隅に配置しているが、太陽電池モジュール6の軒側Nの端部又は棟側Mの端部であれば4隅に限定されるものではない。
【0041】
図3に示すように、最も棟側Mに形成された水平フレーム5の凸部51の軒側Nには、太陽電池モジュール6の端部がボルト71及びプレート72によって固定されているとともに、凸部51の棟側Mには棟側水切9が設けられている。この棟側水切9は、勾配屋根を流れる雨水が太陽電池モジュール6と野地板3との間の空間に侵入しないように、棟側Mの端部が野地板3に固定されるとともに、軒側Nの端部が太陽電池フレームの上面と面一になるように、水平フレーム5に固定されている。また、この棟側水切9の中間部は、棟側Mが上に、軒側Nが下になるように略S字状又は略Z字状に折り曲げられており、S字状又はZ字状のほぼ真ん中に太陽電池モジュール6と野地板3との間の空間から外部に空気を排出する排出孔91が下側に向けて形成されて排気経路を構成している。これにより、棟側Mから流れる水は太陽電池モジュール6の下方に侵入することがなく、一方、太陽電池モジュール6下方の空気は外部に排気することができる。
【0042】
なお、棟側水切9の形状は上述のものに限定されるものではなく、例えば図13に示すように、軒側の端部が前記最も棟側Mに形成された水平フレーム5に固定されるとともに、棟側Mの端部が当該棟側水切9よりも棟側Mの野地板3に敷設される瓦などの屋根材19を受ける瓦桟20が架設され、野地板3に勾配方向に対して直角に列を作って設置された水切用スペーサ21に固定されることものであってもよい。このように構成すると、棟側水切9の棟側の端部は屋根材19の下方に配置されることとなるので、屋根材19の上面を流れた水は棟側水切9の上面を伝って、太陽電池モジュール6上面に流れるので、太陽電池モジュール6と野地板3との間に水が侵入することを抑制できる。
【0043】
またこの最も棟側Mの水平フレーム5に設けられているボルト71の先端には、アングル形状の雪止プレート10が固定されている。この雪止プレート10により降雪時に太陽電池モジュール6の上面を雪が一気に滑り落ちることを防止している。
【0044】
最も軒側Nに設置された水平フレーム5には、図4及び図11に示すように太陽電池モジュール6と野地板3との間の空間に外気を取り入れる吸気口12が複数列設された化粧板金11が固定されている。これにより、太陽電池モジュール設置構造1の軒側Nのデザイン性を向上させつつ、確実に太陽電池モジュール6と野地板3との間の換気を行うことができる。また、最も軒側Nに設置された水平フレーム5に設けられるボルト71の先端にも、アングル形状の雪止プレート10が固定されている。この雪止プレート10により降雪時に太陽電池モジュール6の上面を雪が一気に滑り落ちることを防止している。
【0045】
太陽電池モジュール設置構造1の両側には図6に示すように、それぞれ側部水切13が形成されており、側部から太陽電池モジュール6と野地板3との間の空間に水が侵入することを防いでいる。
【0046】
太陽電池モジュール6同士の間隙には、図9に示すように、弾性体からなる防水ガスケット14が水密よく挿入され固定されている。これにより太陽電池モジュール6の上面を流れる水が太陽電池モジュール6同士の間隙から太陽電池モジュール6と野地板3との間の空間に侵入することを防ぐことができる。なお、この防水ガスケット14の端部は、図10に示すように、プレート72に覆われており、防水ガスケット14の端部から水が太陽電池モジュール6と野地板3との間に侵入することを防ぐことができる。
【0047】
太陽電池モジュール6同士の間隙には、防水ガスケット14に換えて、図11に示すように、下面にブチルテープなどの防水材16が貼付された防水プレート15を設置してもよい。防水プレート15は、太陽電池モジュール6の一辺の長さよりも僅かに短く形成されており、水平フレーム5から突出するボルト71の間の太陽電池モジュール6同士の間隙に水平方向及び勾配方向に設置される。この防水プレート15の下面には太陽電池モジュール6同士の間隙よりも短い幅で2本の位置合わせ突条17が長手方向に沿って形成されており、これによって防水プレート15の下面に貼付されている防水材16が確実に太陽電池モジュール6の端部に貼り付いて、太陽電池モジュール6と防水プレート15とを水密的に固定することができる。
【0048】
なお、水平方向に設置された防水プレート15の上面には、図12に示すように、長手方向に沿って起立する雪止突条18を設けてもよい。太陽電池モジュール6に雪が降り積もっても雪止突条18によって止められるので、太陽電池モジュール6の上面を雪が一気に滑り落ちることを防止できる。なお、雪止突条18は、図12(A)に示すように防水プレート15の上面の中央に沿って設けてもよいし、また、図12(B)に示すように防水プレート15の上面の側縁に沿って設けてもよい。
【0049】
以上のように本実施形態の太陽電池モジュール設置構造1によると、水平フレーム5がスペーサ4に架設されており、この水平フレーム5に太陽電池モジュール6が嵌め込まれているので、太陽電池モジュール6を確実に固定して設置することができるとともに、万が一、太陽電池モジュール6と野地板3との間の空間に水が侵入しても野地板3上を水が流下して排水することができる。さらに、この太陽電池モジュール6と野地板3との間の空間は、軒側Nから棟側Mまで換気経路が連通しているので、太陽光により温められた太陽電池モジュール6が下部空間に放出した熱が滞留せずに棟側Mに排出されるので、太陽電池モジュール6を空冷することができる。
【0050】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る太陽電池モジュール設置構造1は主に住宅の勾配屋根に設置される太陽電池モジュール6を取り付ける構造として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0052】
1 太陽電池モジュール設置構造
2 垂木
3 野地板(勾配屋根下地)
4 スペーサ
5 水平フレーム
6 太陽電池モジュール
7 固定手段
9 棟側水切(水切り)
10 雪止プレート
11 化粧板金
12 吸気口
14 防水ガスケット
15 防水プレート
16 防水材
18 雪止突条
31 防水シート
32 不燃材シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも防水処理を施した勾配屋根下地に太陽電池モジュールを設置する太陽電池モジュール設置構造であって、
前記勾配屋根下地上に勾配方向に対して直角に複数の列を作って設置される複数のスペーサと、
該複数のスペーサ列にそれぞれ架設される複数の水平フレームと、
棟側の端部及び軒側の端部がそれぞれ前記水平フレームに載置される太陽電池モジュールと、
該太陽電池モジュールを前記水平フレームに固定する固定手段と、
を備えることを特徴とする太陽電池モジュール設置構造。
【請求項2】
前記勾配屋根下地が更に不燃処理を施したものであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール設置構造。
【請求項3】
前記固定手段は、前記水平フレームから上方に突出する複数のボルトと、前記ボルトを挿通するボルト孔が形成され前記太陽電池モジュールの端部を押さえるプレートと、前記ボルトに螺着して前記プレートを前記太陽電池モジュール端部に固定するナットと、を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の太陽電池モジュール設置構造。
【請求項4】
少なくとも最も棟側に形成された水平フレームに棟側から流れる水が前記太陽電池モジュールの下方に侵入することを防止するとともに、前記太陽電池モジュール下方の空気を排気する排気経路が形成された棟側水切りが設けられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の太陽電池モジュール設置構造。
【請求項5】
前記棟側水切りは、軒側の端部が前記最も棟側に形成された水平フレームに固定されるとともに、棟側の端部が前記勾配屋根下地に固定されるものであって、
当該棟側水切りの中間部には、棟側が軒側よりも上に位置するように断面略S字状又は断面Z字状に折り曲げられ、その中間で下方に向けて排出孔が設けられることを特徴とする請求項4に記載の太陽電池モジュール設置構造。
【請求項6】
前記棟側水切は、軒側の端部が前記最も棟側に形成された水平フレームに固定されるとともに、棟側の端部が当該棟側水切よりも棟側の勾配屋根下地に敷設される屋根材の下方に配置され、前記勾配屋根下地に勾配方向に対して直角な列を作って設置された水切用スペーサに固定されることを特徴とする請求項4に記載の太陽電池モジュール設置構造。
【請求項7】
前記スペーサは勾配屋根下地を固定する垂木に固定されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の太陽電池モジュール設置構造。
【請求項8】
複数の太陽電池モジュールがその上面が面一に連設され、該複数の太陽電池モジュールの間隙に防水ガスケットが設けられることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の太陽電池モジュール設置構造。
【請求項9】
前記プレートは、前記防水ガスケットの端部を覆うように設置される板状であって、前記ボルトに固定される固定孔が形成されるとともに、下面に防水材を備えることを特徴とする請求項8に記載の太陽電池モジュール設置構造。
【請求項10】
複数の太陽電池モジュールがその上面が面一に連設され、該複数の太陽電池モジュールの間隙を覆う下面に防水材を備えた防水プレートが設けられることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の太陽電池モジュール設置構造。
【請求項11】
水平に設置された前記防水プレートの上面に長手方向に沿って起立する雪止突条が形成されたことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池モジュール設置構造。
【請求項12】
少なくとも最も軒側に設置された前記水平フレームから突出する前記ボルトに固定されるアングル状の雪止プレートを備えることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の太陽電池モジュール設置構造。
【請求項13】
最も軒側に設置された前記水平フレームに吸気孔が形成された化粧板金が設けられることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の太陽電池モジュール設置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−246617(P2012−246617A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116917(P2011−116917)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(397031577)株式会社ヨネキン (16)
【出願人】(596037460)株式会社エプコ (14)
【出願人】(391011548)田島応用化工株式会社 (19)
【Fターム(参考)】