説明

太陽電池モジュール

【課題】摩擦係数が小さい屋根材の上にも安定して設置できる太陽電池モジュールを得ること。
【解決手段】受光面側の透光性基板と裏面側の耐候性基板との間に複数の太陽電池セルを封止した太陽電池パネル8と、太陽電池パネル8の周縁部に装着されるフレーム9とを備える太陽電池モジュールであって、フレーム9よりも摩擦係数が大きい合成樹脂を材料として形成され、フレーム9の太陽電池パネル8の裏面側に設置される滑り止め治具10を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の太陽電池セルを配列して配線で接続した太陽電池セルアレイの表裏面を封止材で挟み、さらに表面封止材側はガラス、裏面封止材側はバックシートで挟み込み、外周部に外枠フレームをはめ込んだ太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な太陽電池モジュールのフレームの材質には、アルマイト処理を施したアルミニウムが使用されており、フレームは下面が平面の構造を持つ。
【0003】
上記構造の対象電池モジュールの一例として、特許文献1に開示される発明がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−063692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の太陽電池モジュールは、フレームがアルミニウム材であり、かつフレーム下面が平面であるため、瓦などの摩擦係数が小さい屋根材の上に安定して設置することが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、摩擦係数が小さい屋根材の上にも安定して設置できる太陽電池モジュールを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、受光面側の透光性基板と裏面側の耐候性基板との間に複数の太陽電池セルを封止した太陽電池パネルと、太陽電池パネルの周縁部に装着されるフレームとを備える太陽電池モジュールであって、フレームの太陽電池パネルの裏面側に設置される滑り止め部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、摩擦係数が小さい瓦などの屋根材の上に設置した場合でも、屋根から滑り落ちることを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施の形態1に係る太陽電池モジュールが有する太陽電池パネルの分解斜視図である。
【図2】図2は、実施の形態1に係る太陽電池モジュールの分解斜視図である。
【図3】図3は、実施の形態1に係る太陽電池モジュールの断面図である。
【図4】図4は、太陽電池モジュールを屋根材の上に設置した状態を示す図である。
【図5】図5は、実施の形態2に係る太陽電池モジュールの構成を示す斜視図である。
【図6】図6は、太陽電池モジュールを固定金具に設置した状態の一例を示す図である。
【図7】図7は、平らな面に置いた太陽電池モジュールの側断面図である。
【図8】図8は、実施の形態3に係る太陽電池モジュールの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる太陽電池モジュールの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る太陽電池モジュールが有する太陽電池パネルの分解斜視図である。図2は、実施の形態1に係る太陽電池モジュールの分解斜視図である。本実施の形態に係る太陽電池モジュールは、太陽電池セル3を複数個配列させて配線4で接続して太陽電池セルアレイ7とし、受光面側封止材2と裏面側封止材5とで挟み込み、さらに透光性基板1とバックシート6とで挟み込んだ太陽電池パネル8を有する構成である。太陽電池パネル8の周囲にはフレーム9が装着される。フレーム9は、アルミニウムなどの金属材料で形成されている。
【0012】
図3は、実施の形態1に係る太陽電池モジュールの断面図である。フレーム9の下側には滑り止め防止部材としての滑り止め治具10が設置されている。滑り止め治具10は、フレーム9よりも摩擦係数が大きい合成樹脂を材料として形成されている。滑り止め治具10は、不図示のネジや金具などを用いてフレーム9に固定されている。
【0013】
図4は、太陽電池モジュールを屋根材の上に設置した状態を示す図である。図4に示すように、瓦などの滑りやすい屋根材11の上に太陽電池モジュールを設置した場合でも、太陽電池モジュールに作用する自重(矢印A)に抗して、滑り止め治具10が摩擦力(矢印B)を発生させ、太陽電池モジュールの滑落は防止される。
【0014】
また、複数枚の太陽電池モジュールを重ねる場合、フレーム9は別の太陽電池モジュールの透光性基板と接触せず、滑り止め治具10が透光性基板1に接触する。これにより、太陽電池モジュールを重ねて積む場合には滑り止め治具10が緩衝材として機能し、透光性基板1に傷がつくことを防止できる。
【0015】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係る太陽電池モジュールの構成を示す斜視図である。本実施の形態においては、合成樹脂で形成された滑り止め治具10は、フレーム9の下面の角部に配置されている。
【0016】
図6は、太陽電池モジュールを固定金具12に設置した状態の一例を示す図である。フレーム9の下面の角部に滑り止め治具10を有することにより、太陽電池モジュールと固定金具12との固定作業時に、固定金具12と滑り止め治具10とが干渉しない構造となる。
【0017】
図7は、平らな面に置いた太陽電池モジュールの側断面図である。フレーム9の下面の角部に滑り止め治具10を配置することにより、太陽電池モジュールを平らな面に置いても、フレーム9の下面と載置面とに隙間(矢印C)が生じるため、隙間を利用して太陽電池モジュールを容易に持ち上げることが可能である。
【0018】
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態3に係る太陽電池モジュールの構成を示す図である。図8(a)は、実施の形態3に係る太陽電池モジュールの部分斜視図でありフレーム9の一部分を切り欠いて示している。図8(b)は、実施の形態3に係る太陽電池モジュールの部分側面図である。本実施の形態においては、フレーム9の下面には被係合部としての係合穴9aが設けられている。また、滑り止め治具10には鉤状の凸部10aが設けられており、係合部9aに引っかけることでネジや金具を用いることなく滑り止め治具10をフレーム9に固定できるようになっている。
【0019】
本実施の形態では、滑り止め治具10をフレーム9から容易に取り外すことができるため、滑り止め治具10の再利用が可能となる。
【0020】
上記の実施の形態においては、滑り止め防止部材として滑り止め治具10をフレーム9の下面に着脱可能に設置する構成を例としたが、フレーム9の下面に滑り止め防止部材として合成樹脂で形成されたシール材を貼り付けることでも同様の効果が得られる。この場合、シール材をネジや金具でフレーム9に取り付け可能な形状とする必要がないため、コストを低減できる。
【符号の説明】
【0021】
1 透光性基板
2 受光面側封止材
3 太陽電池セル
4 配線
5 裏面側封止材
6 バックシート
7 太陽電池セルアレイ
8 太陽電池パネル
9 フレーム
10 滑り止め治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光面側の透光性基板と裏面側の耐候性基板との間に複数の太陽電池セルを封止した太陽電池パネルと、該太陽電池パネルの周縁部に装着されるフレームとを備える太陽電池モジュールであって、
前記フレームの前記太陽電池パネルの裏面側に設置される滑り止め部材を備えることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記太陽電池パネルは矩形状であり、
前記フレームは前記太陽電池パネルの四辺の各々に装着され、
前記滑り止め部材が、前記フレームが形成する四辺形の四隅に配置されることを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記滑り止め部材を、前記フレームに着脱自在に設置することを特徴とする請求項1又は2記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記フレーム及び前記滑り止め部材の一方は係合部を有し、他方は被係合部を有し、前記滑り止め部材は前記係合部と前記被係合部との係合によって前記フレームに固定されることを特徴とする請求項3記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記滑り止め部材が、前記フレームに貼り付けられることを特徴とする請求項1又は2記載の太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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