説明

太陽電池モジュール

【課題】フレームの強度を低下させることなく補強バーをフレームに固定し、より強固な太陽電池モジュールが望まれている。
【解決手段】本発明による太陽電池モジュール1は、太陽電池パネル10と、太陽電池パネル10の外縁部を囲繞するフレーム20と、太陽電池パネル10の背面側においてフレーム20により囲繞された空間を渡って設けられる補強バー30と、を備え、フレーム20は、フレーム本体21と、フレーム本体21よりフレームの内側に延びる固定部25と、を有し、補強バー30は、補強バー30の端部とフレーム20の固定部25とが固定手段により連結して固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物等に設置される太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境問題に対する関心の高まりに伴い、建物の屋上等に太陽電池パネルを用いた太陽光発電装置を設置するケースが増加している。通常、太陽電池パネルは結晶シリコンやガラス板等で構成されているので、そのままでは強度が乏しく、積雪等の荷重で破損してしまう場合がある。そのため、太陽電池パネルの外縁部にフレームを設けることにより強度を高めた太陽電池モジュールを作製して、太陽電池パネルの運搬や設置等が行われている。
【0003】
しかしながら、設置する場所によっては想定以上の荷重が太陽電池パネルにかかり、外縁部にフレームを設けただけでは太陽電池モジュールの強度が不足する場合がある。例えば、積雪量の多い地域では充分な強度が得られないと、太陽電池パネルの中央部分が積雪により撓み、太陽電池パネルが破損する可能性がある。
【0004】
そのため、例えば特許文献1には、太陽電池パネルの裏面を横断するように延び、太陽電池パネルが裏面側に撓んだときに太陽電池パネルを支持する補強フレームを有する太陽電池モジュールが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−114035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の太陽電池モジュールでは、フレームに補強バー(補強リブ、補強フレームとも呼ぶ)を固定するためにフレームの本体部分(以下、フレーム本体)に貫通孔を形成し、フレームの外側よりねじを挿入して補強バーを固定していた。また、特許文献1には、フレームに形成された切欠きを通して補強フレームを配置した後、フレームの外側よりねじを挿入して補強フレームを固定した太陽電池モジュールが記載されている。
【0007】
しかしながら、フレーム本体にねじを通す貫通孔を形成すると、フレーム自体の強度が低下してしまうという問題があった。例えば積雪などにより太陽電池モジュールに荷重がかかった場合、補強バーとフレームとの接合部分でフレームが折れ曲がり、太陽電池パネルが破損する危険性があった。
【0008】
そのため、フレームの強度を低下させることなく補強バーをフレームに固定し、より強固にした太陽電池モジュールが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、太陽電池パネルと、該太陽電池パネルの外縁部を囲繞するフレームと、前記太陽電池パネルの背面側において前記フレームにより囲繞された空間を渡って設けられる補強バーと、を備え、前記フレームは、フレーム本体と、該フレーム本体より前記フレームの内側に延びる固定部と、を有し、前記補強バーは、該補強バーの端部と前記フレームの前記固定部とが固定手段により連結して固定されていることを特徴とする太陽電池モジュールを提供する。
【0010】
また、本発明は、前記固定手段が、前記補強バーの端部を介して前記フレームの内側から前記固定部に挿入されたねじを含む、太陽電池モジュールを提供する。
【0011】
また、本発明は、前記固定手段が、さらにアダプタを含み、該アダプタは前記補強バーの端部に設けられていて、前記ねじは前記アダプタを介して、前記フレームの内側から前記固定部に挿入されている、太陽電池モジュールを提供する。
【0012】
また、本発明は、前記ねじがドリルねじである、太陽電池モジュールを提供する。
【0013】
また、本発明は、前記ねじが挿入される前記固定部の固定面に、挿入時における前記ねじの先端の滑りを防止する滑り防止部を有する、太陽電池モジュールを提供する。
【0014】
また、本発明は、前記滑り防止部が、前記固定部の固定面から突出する突部である、太陽電池モジュールを提供する。
【0015】
また、本発明は、前記滑り防止部は、前記固定部の固定面に形成された溝部である、太陽電池モジュールを提供する。
【0016】
また、本発明は、前記ねじが挿入される前記固定部の固定面が、前記ねじが挿入される方向に対して垂直になるよう形成されている、太陽電池モジュールを提供する。
【0017】
また、本発明は、前記固定部が、前記太陽電池パネルの背面側外縁部を支持する支持部である、太陽電池モジュールを提供する。
【0018】
また、本発明は、前記固定部が、前記フレーム本体の下端から前記フレームの内側に延びるフランジ部である、太陽電池モジュールを提供する。
【0019】
また、本発明は、前記太陽電池パネルと前記補強バーとの間にクッション材を有する、太陽電池モジュールを提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の太陽電池モジュールの補強バーは、補強バーの端部とフレーム本体よりフレームの内側に延びる固定部とが固定手段により連結して固定されている。フレーム本体に影響を与えることなく補強バーを固定、すなわちフレーム本体に貫通孔等を形成することなく補強バーを固定するため、フレームの強度が低下せず、より強固な太陽電池モジュールを提供することができる。
【0021】
また、例えば従来のようにねじ頭等がフレームの外側に露出しないため、太陽電池モジュールの外観を損なうことがなく、太陽電池モジュールを複数、並べて設置した場合、フレームから突出したねじ頭が、隣接する太陽電池モジュールのフレームに当接して傷付けることがない。
【0022】
さらに、補強バーの端部とフレームの内側に延びる固定部とが連結して固定されているので、複数の太陽電池モジュールを隣接して設置した後でも、補強バーの取り外し、交換、追加等をすることができ、設置場所の状況に合わせて、太陽電池モジュールの強度を高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第一実施形態の太陽電池モジュールの構成を示す部分斜視図である。
【図2】第一実施形態の太陽電池モジュールの背面を示す背面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った、太陽電池モジュールの断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿った、太陽電池モジュールの断面図である。
【図5】補強バーの端部を示す部分斜視図である。
【図6】図6(a)は、補強バーの端部がフレームに連結して固定された状態を示す、図4のVIの部分を拡大した部分拡大図であり、図6(b)は、さらにフレームの一部を拡大して示す図である。
【図7】図7(a)〜(c)は、補強バーの端部がフレームの別例に連結して固定された状態を示す断面図である。
【図8】補強バーの端部の別例を示す部分斜視図である。
【図9】第二実施形態の太陽電池モジュールで用いる補強バー及びアダプタの分解斜視図である。
【図10】アダプタを示す斜視図であり、図10(a)は、アダプタ上面の斜視図、10(b)は、アダプタ下面の斜視図である。
【図11】アダプタを介して補強バーの端部がフレームに連結して固定された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。また、以下の実施形態において同一又は類似の構成要素には共通の参照符号を付して示している。
【0025】
(第一実施形態)
図1は、本発明による第一実施形態の太陽電池モジュール1の構成を示す部分斜視図、図2は、太陽電池モジュール1の背面を示す背面図である。図3は、図2のIII−III線に沿った太陽電池モジュール1の断面図、図4は、図2のIV−IV線に沿った太陽電池モジュール1の断面図である。また、図5は、補強バー30の端部を示す部分斜視図である。図6(a)は、補強バー30の端部がフレーム20に連結して固定された状態を示す、図4のVIの部分を拡大した部分拡大図であり、図6(b)は、さらにフレーム20の一部を拡大して示す図である。本実施形態の太陽電池モジュール1は、建物の傾斜屋根や陸屋根等に配置されるものであり、太陽電池パネル10と、その外縁部を囲繞するフレーム20と、太陽電池パネル10の背面側において、フレーム20により囲繞された空間を渡って設けられる補強バー30とから構成されている。なお、本明細書では太陽電池パネル10が太陽に向けて配置される側を正面側又は上側とし、その反対側を背面側又は下側と称する。
【0026】
本実施形態で用いる太陽電池パネル10は、太陽電池(セル)を複数枚直並列接続して必要な電圧と電流を得られるようにし、セルとガラスとを貼り合わせてパネル状に形成したものである。太陽電池パネル10だけでは強度が不足するため、太陽電池パネル10の外縁を囲むようアルミ製のフレーム20を取付けることにより、その強度を高め、太陽電池モジュール1として運搬、設置等を行っている。しかしながら、フレーム20を外縁部に設けるだけでは、強度が不足する場合があり、そのため、本実施形態の太陽電池モジュール1はフレーム20に補強バー30を取付けることができるようになっている。
【0027】
まず、本実施形態で用いるフレーム20について説明する。フレーム20は前述したように、太陽電池パネル10の強度を高めるために、その外縁部に設けられる部材であり、フレーム本体21と、フレーム20により囲繞されたフレーム20の内側の空間に向かってフレーム本体21から幅W1の寸法で延び、太陽電池パネル10の背面側外縁部を支持する支持部22とを備えている。そして、本実施形態の支持部22は、補強バー30の端部と固定手段により連結して補強バー30を固定する固定部25の役割も有している。
【0028】
フレーム20は、さらに、フレーム20により囲まれた内側の空間に向かってフレーム本体21の上端から延び、支持部22によって支持される太陽電池パネル10の正面側外縁部を押さえる押さえ部23を備えている。フレーム20では、支持部22と押さえ部23とにより第一溝部28が形成されている。そして、支持部22と押さえ部23との間隔は、太陽電池パネル10の外縁部の厚みと略同じ寸法となっていて、太陽電池パネル10の外縁部を第一溝部28に挿入することにより、太陽電池パネル10の外縁部を支持部22と押さえ部23とにより保持するようになっている。なお、支持部22の先端部には、太陽電池パネル10の外縁部を挿入しやすいよう案内部22aが設けられている。
【0029】
フレーム20は、フレーム20により囲まれた内側の空間に向かって、フレーム本体21の下端から幅W2の寸法で延びるフランジ部24をさらに備えている。このフランジ部24を備えることにより、フレーム20自体の強度が向上する。また、支持部22とフランジ部24とにより第二溝部29が形成されていて、図から分かるように、フレーム20の断面形状は略E字状になっている。
【0030】
フランジ部24の幅W2は支持部22の幅W1より大きく形成されていて、図4に示すように、フランジ部24は、支持部22の幅W1より越えた部分において、段差24aを有すると共に補強バー30の端部を図で下方から支持している。本実施形態では、支持部22の幅W1は、約6.0mm〜10.0mmの間で形成されていて、フランジ部24の幅W2は約20.0mm〜40.0mmの間で形成されている。しかしながら、幅W1及び幅W2の寸法はこの値に限定されず、太陽電池パネル10の大きさや、太陽電池モジュール1に必要な強度に応じて変更されてよい。
【0031】
また、前述したように本実施形態の支持部22は、補強バー30の端部と固定手段により連結して補強バー30を固定する固定部25の役割も有している。そのため、本実施形態の支持部22でもある固定部25には、固定部25の先端から下方(背面側に向かう方向、図の方向A)に延びる係止部25aが設けられている。そして、フランジ部24には、図に示すように段差24aが設けてあり、補強バー30を取付けるとき、補強バー30は、固定部25の係止部25a及びフランジ部の段差24aにより、第二溝部29に入る手前で係止されるようになっている。詳しくは後述するが、補強バー30の端部を介して、固定部25でもある支持部22に、固定手段であるドリルねじ36を挿入できるようになっている。
【0032】
フレーム20は太陽電池パネル10の各辺と略同じ長さを有するフレーム部材27から構成されていて、フレーム部材27のそれぞれを太陽電池パネル10の外周に嵌め込み、組み立てることにより作製される。
【0033】
次に、本実施形態の補強バー30について説明する。補強バー30は、フレーム20を補強し剛性を高めるために設けられる部材であり、図2〜図4に示すように対向するフレーム部材27の間に渡って、太陽電池パネル10の背面側に取付けられる。補強バー30は、中空部31を有する断面が四角形の棒状部材であり、補強バー30の底面(補強バー30をフレーム20に取付けた場合、太陽電池モジュールの背面側に位置する面)に補強バー30の長手方向に沿ったスリット32が形成されている。そのため補強バー30の断面形状は略C字状になっている。本実施形態の補強バー30は、直接的にはフレーム20の固定部25と連結し上下に動かないよう固定されるが、さらにフランジ部24により下方からも支持されるようになっている。
【0034】
また、補強バー30は、フレームの剛性を高める役割以外にも太陽電池パネル10が積雪により撓み破損することを防止する役割を有している。そのため、補強バー30と太陽電池パネル10との間にクッション材50が設けられている。これは、剛性の高い補強バー30が太陽電池パネル10に直接的に当接すると、補強バー30により太陽電池パネル10を破損してしまう場合があるからである。クッション材50は太陽電池パネル10と補強バー30とに常時接触してもよい。クッション材50は、例えばスポンジ、エラストマ、又は弾性接着剤により作製される。
【0035】
補強バー30の端部について説明する。図5は、本実施形態の補強バー30の端部を示す部分斜視図である。補強バー30の端部は、フレーム20の固定部25(支持部22)と連結する連結部33を有している。本実施形態の補強バー30の連結部33は、補強バー30の端部上面の一部が補強バー30の軸線に対して傾斜するよう、補強バー30の端部上面の一部を折り曲げることにより形成されている。具体的には、端部上面と側面との接合部分を切断し、さらに端部上面が傾斜するよう曲げ加工を行うことにより連結部33を形成している。連結部33の中央部には、固定手段であるドリルねじ36が通る貫通孔34が形成されていて、ドリルねじ36はフレーム20の内側から、即ち補強バー30のスリット32を経由して貫通孔34を通ることにより、フレーム20の固定部25に挿入できるようになっている。連結部33が傾斜していることで、ドリルねじ36は補強バー30の軸線に対して傾斜した状態で、連結部33に保持されるようになり、作業者はその状態でドリルねじ36をフレーム20の固定部25に挿入して取付けることができる。なお、貫通孔34の内径は、ドリルねじ36のねじ部が通る大きさであれば充分であるが、貫通孔34の内径をドリルねじ36のねじ部の外径よりもわずかに小さく形成することで、取付け時に適度な保持力でドリルねじ36を保持しつつ挿入することができる。
【0036】
本実施形態の補強バー30の幅W3及び高さH1の寸法は約20mm〜30mmの間で形成されている。また、スリット32の幅W4は約5mm〜15mmの間で形成され、ドリルねじ36が容易に通るようになっている。
【0037】
図6(a)は、補強バー30がフレーム20に固定された状態を詳細に示す図であり、図4のVI部分を拡大した部分拡大図である。図に示すように、ドリルねじ36が補強バー30の連結部33を介して固定部25の係止部25aに挿入され、補強バー30の端部が固定部25の係止部25aに連結して、補強バー30がフレーム20に固定される。なお、固定部25(支持部22)の幅W1の寸法は、ドリルねじ36の先端部分が、フレーム本体21に触れないように充分確保されている。
【0038】
図6(b)は、図6(a)の点線で囲まれたB部分におけるフレーム20をさらに拡大して示た図である。図に示すように、ドリルねじ36が挿入される係止部25aの固定面25bには、フレーム20の内側に向けて突出する突部25cが形成されていて、この突部25cにより、作業者は斜めに挿入されたドリルねじ36の先端を係止できるようになっている。すなわちこの突部25cは、ドリルねじ36先端の滑りを防止する滑り防止部として機能し、挿入時において作業者は容易にドリルねじ36を所望の位置に位置決めして挿入することができる。このように、フレーム20の固定部25には、係止部25a、固定面25b及び突部25cが固定部25の一部として形成されている。なお、図示実施形態の滑り防止部は、係止部25aの固定面25bから突出した突部25cであるが、滑り防止部はこの形状に限らず、フレーム部材27の長手方向に沿って固定面25bに凹状に形成された溝部であってもよい。
【0039】
本実施形態の太陽電池モジュール1では、固定手段としてドリルねじ36を用いている。ドリルねじ36は自らねじ穴を形成することができるので、フレーム20の固定部25(支持部22)にねじ穴を予め形成しておく必要がない。そのため、二本以上の補強バー30が必要な場合に補強バー30の取付位置を変更して、補強バー30を取付けることができる。しかしながら、固定部25に予めねじ孔が形成されてあってもよく、その場合、固定手段として通常のねじやタッピングねじを用いて補強バー30をフレーム20に取付けてよい。固定手段としてねじの代わりに釘を用いてもよく、接着剤を用いてフレーム20の固定部25に補強バー30の端部を接着固定してもよい。強度の面からねじを用いて取付けるのが望ましい。
【0040】
図7(a)〜図7(c)は、フレームの別例に補強バー30を固定した状態を示す図である。図7(a)に示すフレーム20は、図6(a)に示すフレーム20に対して、係止部25aの形状が異なっている。図6(a)の係止部25aは、固定部25の先端から略垂直下方(固定部25が延びる方向に対して直角)に延びていたが、図7(a)に示す係止部25aは、係止部25aの固定面25bがドリルねじ36の挿入方向に対して略垂直になるよう形成されている。そのため、フレーム20の内側より補強バー30のスリット32を通してドリルねじ36を挿入しても、ドリルねじ36の先端が滑り難く、作業者はドリルねじ36を容易に位置決めして挿入することができる。
【0041】
図7(b)に示すフレーム120は、図6(a)に示すフレーム20に対して固定部125の位置が異なっている。図7(b)の固定部125は、支持部122とは別にフレーム本体121からフレーム120の内側に直接延びるよう形成されていて、補強バー30の端部と連結している。
【0042】
図7(c)に示すフレーム220は、フランジ部224が固定部225となっていて、フランジ部224より係止部225aが図で上方に延び、補強バー30の端部と連結している。このように、固定部は支持部に限定されず、フレーム本体から直接延びるよう形成されてよく、また、フランジ部を利用してもよい。
【0043】
図8は、補強バーの端部の別例を示す図である。図5に示す補強バー30の端部は、端部上面を斜めに折り曲げることにより実現していたが、図8に示す補強バー130は、補強バー130の端面に、貫通孔134が形成された連結部133を接着又は溶接により固着して作製されている。貫通孔134は補強バー130の上面の近くに形成されていて、ドリルねじ36を補強バー130の軸線に対して平行に挿入して、連結部133を固定部25に連結する。
【0044】
図5に示す補強バー30は端部の一部を切断し、さらに穴あけや曲げ加工等をすることにより連結部33を形成していたが、図8に示す補強バー130の場合、別部材として作製された連結部133を補強バー130の端面に固着するだけなので容易に作製することができる。
【0045】
なお、本実施形態の補強バー30の断面形状は、上述したように中空部31を有する四角形状である。しかしながら、補強バー30は、その端部においてフレーム20の固定部25と連結する連結部33を有し、ドリルねじ36等をフレーム20の内側から挿入可能な空間があれば、他の部分の断面形状は別形状であってよく、例えばH型、I型、中実な四角形状であってもよい。
【0046】
また、本実施形態のフレーム20及び補強バー30はアルミ製であり、フレーム20の各フレーム部材27及び補強バー30はアルミの押出成形により作製されている。フレーム20及び補強バー30の材質について特に限定はせず、木製や樹脂製であってもよい。耐久性や強度の面から金属製、特に軽量で取扱いやすいアルミ製であるのが望ましい。
【0047】
以上、本実施形態について添付図を用いて説明した。本発明は、太陽電池パネルと太陽電池パネルの外縁部を囲繞するフレームと、そのフレームにより囲繞された空間を渡って設けられる補強バーとを備えた太陽電池モジュールであって、補強バーが、フレーム本体から内側に延びる固定部と補強バーの端部とが固定手段により連結されて、固定された太陽電池モジュールである。本発明の太陽電池モジュールは、フレームの固定部と補強バーの端部とが固定手段により連結しているので、従来のようにフレーム本体に貫通孔を形成する必要がない。そのため、フレームの強度が低下せず、より強固な太陽電池モジュールを提供することができる。
【0048】
また、従来のようにフレームの外側からねじを挿入しないため、ねじ頭が露出せず太陽電池モジュールの外観を損なうことがない。また、太陽電池モジュールを複数並べて設置した場合でもねじ頭が隣接する太陽電池モジュールのフレームに当接して傷付けることがない。フレームの内側から補強バーを固定しているので、太陽電池モジュールを複数並べて設置した後でも、補強バーの取り外し、交換、追加等ができる。そのため、太陽電池モジュールを設置した場所の気候等の状況に合わせて、太陽電池モジュールの強度を高めることが可能である。また、ドリルねじを用いることで、フレームの固定部に予めねじ穴を形成する必要がなく、そのため補強バーを取付ける位置が自由になり、必要とされる強度に応じて補強バーの本数を増加させることができる。また、工場で補強バーを取付けるだけでなく、設置現場で後付けすることができる。
【0049】
(第二実施形態)
次に、本発明による第二実施形態の太陽電池モジュール2について図を用いて説明する。第一実施形態の太陽電池モジュール1との違いは、補強バーをフレームに固定する固定手段がさらにアダプタを含むことである。以下ではアダプタを含む固定手段について説明する。
【0050】
図9は、本実施形態の太陽電池モジュール2で用いる補強バー230の端部と、補強バー230に取付けるアダプタ240とを示す分解斜視図である。図10は、補強バー230に取付けるアダプタ240を示す斜視図であり、図10(a)はアダプタ240上面の斜視図、図10(b)はアダプタ240下面の斜視図である。図11は、アダプタ240を介して補強バー230の端部がフレーム20に連結して固定された状態を示す断面図である。本実施形態の太陽電池モジュール2の太陽電池パネル10及びフレーム20は、第一実施形態で説明した太陽電池パネル10及びフレーム20と同様であるのでその説明は省略する。また、補強バー230は第一実施形態の補強バー30と同様、中空部231を有する断面が四角形状の棒状部材であり、底面にスリット232を有するものであるが、補強バー230の端部は特に加工されておらず、単に開口したものとなっている。なお、第二実施形態における補強バー230は、第一実施形態の補強バー30と同様、固定部25の係止部25a及びフランジ部24の段差により、第二溝部29に入る手前で係止される。また、フレーム20の固定部25には、係止部a、固定面25b及び突部25cが固定部25の一部として形成されている。
【0051】
本実施形態で用いられるアダプタ240は、図9に示すように補強バー230の端部に挿入できるよう形成されている。アダプタ240は一般に固定用ブロックと称される場合がある。アダプタ240は合成樹脂製であり、型枠成形により作製される。そのため、複雑な形状でありながらも、容易に大量生産することができる。アダプタ240を用いることで、補強バー230の端部を加工する必要がなくなると共に、補強バー230、延いては太陽電池モジュールの製造コストを下げることができる。また、アダプタ240を補強バー30の端部に嵌め込むことにより完成するので、設置現場においても容易に組み立てることができる。
【0052】
アダプタ240について図を用いてさらに説明する。アダプタ240は、補強バー230の端部の開口から中空部231に挿入される本体241と、端部の開口を塞ぐ蓋部242とから構成されている。アダプタ240の本体241の外形は、中空部231の形状に対応するよう形成されている。また、蓋部242は補強バー230の端部の外形に合わせて形成されていて、本体241が挿入された後、蓋部242が補強バー230の開口を塞ぐようになっている。アダプタ240の本体241には、補強バー230のスリット232を経由してドリルねじ36を通す傾斜溝部243が、補強バー230の軸線に対して傾斜するよう形成されていて、傾斜溝部243の端部においては、ドリルねじ36のねじ部のみが通るよう貫通孔244が形成されている。貫通孔244の内径はドリルねじ36のねじ部の外径と同じか、その外径より小さいのが望ましい。
【0053】
なお、アダプタ240の蓋部242の一部において、図10(a)に示すよう切欠部245が形成されている。これは、アダプタ240を取付けた補強バー230をフレーム20に挿入する際、一旦、フレーム20の対角線上に補強バー230を配置してから、補強バーの中心を軸にして回転させることで、対向するフレーム部材27の固定部(支持部22)に、補強バー230の両方の端部を同時に配置する。回転する際、若干ではあるが、補強バー230の対角線の長さが補強バー230の長さよりも長いので、アダプタ240がフレーム20の固定部25に引っ掛かる。そのため、切欠部245をアダプタ240に形成することで、フレーム20に無理な力をかけることなく固定部25に接合することができ、補強バー230を容易に配置することができる。
【0054】
アダプタ240は、図9のE方向に補強バー230の端部に挿入された後、フレーム20に配置される。図11は、アダプタ240を介してフレーム20に補強バー230の端部を連結して、補強バー230が固定された状態を示す断面図であり、第一実施形態の図6に対応する図である。図11に示すように、フレーム20に配置された補強バー230は、ドリルねじ36をフレーム20の内側から、補強バー230のスリット232を通り、アダプタ240を介して、フレーム20の固定部25に挿入される。アダプタ240を用いることで、ドリルねじ36のねじ部が通る貫通孔244の深さDを長くすることができ、ドリルねじ36の挿入方向を確実にすることができる。そのため、ドリルねじ36の先端が係止部25aにおいて滑り難く、作業者は固定部25にドリルねじ36を容易に位置決めして挿入することができる。
【0055】
なお、本実施形態では合成樹脂製のアダプタ240について説明したが、アダプタ240の材質に特に限定はなく、木製や金属製であってもよい。取扱いの容易性を鑑みると、アダプタ240は合成樹脂製であることが望ましい。
【0056】
以上、本実施形態について添付図を用いて説明した。本実施形態の太陽電池モジュールは、補強バーの端部をフレームの固定部に固定する固定手段として、補強バーの端部に取付けられるアダプタをさらに含む。本実施形態の太陽電池モジュールも、第一実施形態と同様、フレームの内側から補強バーの端部をフレームの固定部に固定していることから、フレーム本体に貫通孔を形成する必要がなく、フレームの強度が低下しないため、より強固な太陽電池モジュールを提供することができる。また、アダプタを別部材として提供することにより補強バーの端部を直接的に加工する必要が無く、製造コストをより安価にすることができる。アダプタを用いることで、ドリルねじのねじ部を通す貫通孔をより長くすることができ、ドリルねじを挿入する方向が定めやすくなると共に、ドリルねじの先端が固定部において滑り難くなり、作業者は容易に補強バーの端部をフレームの固定部に固定することができる。
【符号の説明】
【0057】
1、2 太陽電池モジュール
10 太陽電池パネル
20、120、220 フレーム
21、121、221 フレーム本体
22、122、222 支持部
22a 案内部
23 押さえ部
24、124、224 フランジ部
25、125、225 固定部
25a、125a、225a 係止部
25b 固定面
25c 突部
27 フレーム部材
28 第一溝部
29 第二溝部
30、130、230 補強バー
31、231 中空部
32、232 スリット
33、133 連結部
34、134 貫通孔
36、236 ドリルねじ
50 クッション材
240 アダプタ
241 本体
242 蓋部
243 傾斜溝部
244 貫通孔
245 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルと、
該太陽電池パネルの外縁部を囲繞するフレームと、
前記太陽電池パネルの背面側において前記フレームにより囲繞された空間を渡って設けられる補強バーと、を備え、
前記フレームは、フレーム本体と、該フレーム本体より前記フレームの内側に延びる固定部と、を有し、
前記補強バーは、該補強バーの端部と前記フレームの前記固定部とが固定手段により連結して固定されている、ことを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記固定手段は、前記補強バーの端部を介して前記フレームの内側から前記固定部に挿入されたねじを含む、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記固定手段は、さらにアダプタを含み、該アダプタは前記補強バーの端部に設けられていて、前記ねじは前記アダプタを介して、前記フレームの内側から前記固定部に挿入されている、請求項2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記ねじはドリルねじである、請求項2又は3に記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記ねじが挿入される前記固定部の固定面に、挿入時における前記ねじの先端の滑りを防止する滑り防止部を有する、請求項2から4に記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記滑り防止部は、前記固定部の固定面から突出する突部である、請求項5に記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記滑り防止部は、前記固定部の固定面に形成された溝部である、請求項5に記載の太陽電池モジュール。
【請求項8】
前記ねじが挿入される前記固定部の固定面は、前記ねじが挿入される方向に対して垂直になるよう形成されている、請求項2から7の何れか一項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項9】
前記固定部は、前記太陽電池パネルの背面側外縁部を支持する支持部である、請求項1から8の何れか一項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項10】
前記固定部は、前記フレーム本体の下端から前記フレームの内側に延びるフランジ部である、請求項1から8の何れか一項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項11】
前記太陽電池パネルと前記補強バーとの間にクッション材を有する、請求項1から10の何れか一項に記載の太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−55122(P2013−55122A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190654(P2011−190654)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000186913)昭和シェル石油株式会社 (322)
【Fターム(参考)】