説明

太陽電池特性取得回路および太陽電池制御装置

【課題】太陽電池の最大出力電力を簡易に取得する。
【解決手段】太陽電池特性取得回路11は、太陽電池13の端子にコンデンサC11を接続する構成を備えている。ここで、太陽電池13を短絡状態(スイッチS11,S12をオン状態)から開放状態(スイッチS11をオフ状態)にすることによって、太陽電池13の端子に接続されたコンデンサC11に過渡的な電圧および電流を発生させることができる。つまり、コンデンサC11の電位が0Vから開放電圧Vocにまで変化する。その変化の際に、所定のサンプリング時間間隔で、電流値および電圧値が測定される。そして、測定した電流値および電圧値を用いて算出した電力値の中から、最大出力電力値を求め、その最大出力電力値となるときの電圧値を示す最大出力動作電圧値を取得し、最大出力動作電圧値に基づいて、最大電力点に追従するように昇圧チョッパ回路12を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池の最大出力電力を取得する太陽電池特性取得回路および太陽電池制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池の電流電圧特性および電力電圧特性について、それぞれ図5(a),(b),(c)を用いて説明する。
図5(a)に示した電流電圧特性は、太陽電池表面のすべての箇所において、日射強度が等しい場合の特性である。図5(a)に示すように、太陽電池の出力電流(縦軸)は、出力電圧(横軸)を増加させた場合、ほぼ一定状態から開放電圧Voc近辺で急激に低下するようなカーブに沿って変化する。したがって、太陽電池の出力電力は、出力電流と出力電圧との積で表されるので、図5(b)に示すように、出力電圧に対して、ピーク(最大電力点)を持つように変化する。
【0003】
そこで、太陽電池から最大出力電力Pmを取り出すために、出力電圧の制御が行われている。この制御は、最大電力点追従制御(以降、MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御と称する。)と呼ばれている。ここで、図5(a)に示すように、最大出力電力Pmのときの出力電圧を、最大出力動作電圧VPmと称することにする。
【0004】
ところで、太陽電池の周辺に存在する障害物によって太陽電池表面に影が生じた場合、または落ち葉や鳥獣の糞等が太陽電池表面に付着した場合には(部分影発生時には)、太陽電池表面の日射強度に偏りが生じるため、電力電圧特性は、図5(c)のようになる。すなわち、出力電圧(横軸)に対して、出力電力(縦軸)が複数のピークを持つようになる。図5(c)では、電力電圧特性は、2つのピークの場合を表しているが、3つ以上のピークを持つ場合もある。このように、出力電力が複数のピークを持つ場合、MPPT制御では、真の最大電力点以外の極大点(ピーク)に追従してしまうという問題があり、真の最大電力点を追跡可能な制御を実現することが課題とされている。
【0005】
ここで、MPPT制御の従来技術として、山登り法、特許文献1に記載の方法、および特許文献2に記載の方法について、以下に説明する。
【0006】
(山登り法)
一般的に、MPPT制御は、図5(d)に示す構成で行われる。図5(d)中のDC/DC(直流/直流)コンバータは、制御信号によって、PWM(Pulse Width Modulation)制御を行っている。PWM制御は、図5(e)に示すように、出力電圧をPWMデューティ比によって変化させて、太陽電池の最大電力点に追従するようにPWMデューティ比を選択する処理を実行している。このPWM制御を実現するアルゴリズムとして広く用いられているのが山登り法である。山登り法は、PWMデューティ比を常に変化させながら出力電力を測定し、PWMデューティ比を変化した前後における出力電力の大小を比較する。そして、変化の後の出力電力が、変化の前の出力電力より増加していれば同じ方向に更にPWMデューティ比を増加し、変化の後の出力電力が減少していればPWMデューティ比を逆方向に戻す。これを繰り返すことにより、結果として太陽電池の出力電力は最大電力点に追従するようになる。しかし、この山登り法は、太陽電池の出力電力が図5(c)に示すような複数のピークを持つ場合には、真の最大電力点以外の極大点に追従してしまう虞がある。
【0007】
そこで、どのような電力電圧特性の形状に対しても、常に最大電力点を取得できるようにするために、まず、電流電圧特性を取得して電力電圧特性を算出し、算出した電力電圧特性に基づいて真の最大電力点を求めることが検討されている。この検討では、太陽電池を短絡状態から開放状態にまで変化させて、太陽電池の電流電圧特性を取得できるようにする方法として、特許文献1に記載の方法や特許文献2に記載の方法が開示されている。
【0008】
(特許文献1に記載の方法)
特許文献1には、図6(a)に示す回路(説明に関連する部分のみ記載)を用いて、太陽電池81の電流電圧特性を取得することが記載されている。図6(a)では、電力変換回路(昇圧型DC/DCコンバータ)80が、図5(d)に記載のDC/DCコンバータに相当している。図6(a)では、電力変換回路(昇圧型DC/DCコンバータ)80に対して、専用回路を付加せずに、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)84をオン/オフさせることによって、電流電圧特性が取得される。そして、特許文献1では、MOSFET84をオン状態にすることによって、インダクタL84を流れる電流を零から短絡電流にまで変化させることができると記載している(段落0028等)。しかし、この回路では、MOSFET84をオフ状態としても、太陽電池81を開放状態にすることができない。つまり、この回路では、太陽電池81の出力電圧は、負荷に掛かる電圧にまでしか変化させることができない。したがって、負荷に掛かる電圧が、太陽電池81の開放電圧Vocを下回っている場合には、真の最大電力点を取得できないという問題がある。
【0009】
(特許文献2に記載の方法)
特許文献2に記載の回路は、図6(b)に示すように(説明に関連する部分のみ記載)、太陽電池91の短絡状態から開放状態までの電流電圧特性を取得するために、昇圧回路94の前段にスイッチ92,93を設けている。この回路では、スイッチ93をオン状態にすることにより、太陽電池91を短絡状態にすることが可能である。また、スイッチ92,93をオフ状態にすることにより太陽電池91を開放状態にすることが可能である。ただし、出力電圧を0Vと開放電圧Vocとの間の中間状態に設定するために、双方のスイッチ92,93のオン/オフ時間の長さを調節する必要がある(段落0045)。つまり、特許文献2に記載の回路では、電流電圧特性を取得するために、スイッチ92,93の制御が煩雑になるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−280220号公報(図3参照)
【特許文献2】特開2008−300745号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明では、太陽電池の最大出力電力を簡易に取得する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、太陽電池の一対の出力端子(高電位側の端子および低電位側の端子)と、昇圧チョッパ回路の一対の入力端子との間に電流電圧特性を取得するための太陽電池特性取得回路を設置する。太陽電池特性取得回路は、少なくとも、コンデンサとスイッチとで構成する。コンデンサは、太陽電池の高電位側の端子およびスイッチの接続点と、太陽電池の低電位側の端子および昇圧チョッパ回路の低電位側の端子の接続点との間に接続する。スイッチは、太陽電池の高電位側の端子およびコンデンサの接続点と、昇圧チョッパ回路の高電位側の端子との間に接続する。そして、太陽電池特性取得回路のスイッチおよび昇圧チョッパ回路のスイッチの双方をオン状態にすることによって、太陽電池の短絡状態を形成する。また、短絡状態から、開放状態(太陽電池特性取得回路のスイッチをオフ状態)にすることによって、太陽電池特性取得回路のコンデンサに、過渡的な電圧および電流を発生させることができる。そして、太陽電池の電位を、0Vの状態から太陽電池の開放状態の電位にまで変化させ、その時の電圧値および電流値を所定のサンプリング時間間隔で取得する。
【0013】
また、太陽電池特性取得回路を備えた太陽電池制御装置は、取得した電圧値および電流値を用いて電力値を算出し、算出した電力値の中から最大出力電力値を取得し、最大出力電力値となるときの電圧値を示す最大出力動作電圧値を取得する。そして、太陽電池制御装置は、取得した最大出力動作電圧値に基づいて、最大電力点に追従するように昇圧チョッパ回路を制御する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、太陽電池の最大出力電力を簡易に取得する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態における太陽電池特性を取得する回路構成例(昇圧チョッパ用)を示す図である。
【図2A】本実施形態における太陽電池特性を取得する回路構成例(降圧チョッパ用)を示す図である。
【図2B】図2Aに示す回路の変形例を示す図である。
【図3】本実施形態における太陽電池制御装置の構成例を示す図である。
【図4】太陽電池制御装置の処理部の処理フロー例を示す図である。
【図5】太陽電池の特性およびMPPT制御の従来技術を説明するための図であり、(a)は太陽電池の電流電圧特性を表し、(b)は太陽電池の電力電圧特性を表し、(c)は部分影発生時の電力電圧特性を表し、(d)はMPPT制御の構成を表し、(e)は出力電圧とPWMデューティ比の関係を表す。
【図6】公知の回路構成を示す図であり、(a)は特許文献1に記載の回路例を表し、(b)は特許文献2に記載の回路例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態(以降、「本実施形態」と称す。)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
(太陽電池特性取得回路)
太陽電池の電流電圧特性を取得するために昇圧チョッパ回路の前段に設置する太陽電池特性取得回路について、図1を用いて説明する。
図1に示すように、太陽電池特性取得回路11は、太陽電池13の出力端子と昇圧チョッパ回路12の入力端子との間に接続される。
【0018】
太陽電池13は、図1に示すように、出力を取り出す一対の出力端子、すなわち、高電位側の端子T13a(以降、第1の端子T13aと称する。)、および低電位側の端子T13b(以降、第2の端子T13bと称する。)を備えている。
【0019】
昇圧チョッパ回路12は、図1に示すように、インダクタL12、スイッチ(第1のスイッチ)S12、ダイオードD12、およびコンデンサC12によって構成される。なお、スイッチS12は、実際には、高速にスイッチングするためにトランジスタ等で構成される。
【0020】
太陽電池特性取得回路11は、図1に示すように、コンデンサC11(請求項に記載のコンデンサ)、スイッチ(第2のスイッチ)S11、およびダイオードD11によって構成される。コンデンサC11は、太陽電池13の第1の端子T13aおよびスイッチS11の接続点N1と、第2の端子T13bおよび昇圧チョッパ回路の一対の入力端子のうちの低電位側の端子の接続点N2との間に接続される。また、スイッチS11は、第1の端子T13aと昇圧チョッパ回路12の高電位側の端子(具体的には、インダクタL12)との間に接続される。ダイオードD11のカソードは、スイッチS11および昇圧チョッパ回路の高電位側の端子の接続点に接続され、ダイオードD11のアノードは、第2の端子T13bおよび昇圧チョッパ回路12の低電位側の端子の接続点に接続される。
【0021】
なお、電圧センサ14は電圧値を所定のサンプリング時間間隔で測定し、電流センサ15は電流値を所定のサンプリング時間間隔で測定する。電圧センサ14および電流センサ15は、太陽電池13と太陽電池特性取得回路11との間に設置される。
【0022】
太陽電池13を短絡状態にする場合、太陽電池特性取得回路11のスイッチ(第2のスイッチ)S11および昇圧チョッパ回路12のスイッチ(第1のスイッチ)S12の双方をオン状態とする。次に、スイッチ(第2のスイッチ)S11をオフ状態にして、太陽電池13を開放状態にする。そして、短絡状態から開放状態へ変化した場合、コンデンサC11によって、過渡的な電圧および電流を発生させることができる。つまり、コンデンサC11は、太陽電池13の出力電圧を0Vの状態から開放電圧まで連続的に変化させる。なお、開放状態においては、スイッチS12の状態は、オン状態であってもオフ状態であっても構わない。そして、電圧センサ14および電流センサ15それぞれは、過渡的な電圧および電流の値を、所定のサンプリング時間間隔で測定する。このようにして、電流電圧特性が取得される。
【0023】
なお、ダイオードD11は、電流電圧特性を取得するために直接必要となるものではないが、スイッチS11をオフ状態にしたときに、昇圧チョッパ回路12のインダクタL12に蓄えられた磁気エネルギの逃げ道を確保するために設けられることが好ましい。
【0024】
次に、太陽電池の電流電圧特性を取得するために降圧チョッパ回路の前段に設置する太陽電池特性取得回路について、図2Aを用いて説明する。
図2Aに示すように、太陽電池特性取得回路21aは、太陽電池13の出力端子と降圧チョッパ回路22の入力端子との間に接続される。なお、図2Aにおいて、図1と同様の、太陽電池13、第1の端子T13a、第2の端子T13b、電圧センサ14、および電流センサ15については、説明を省略する。
【0025】
降圧チョッパ回路22は、インダクタL22、スイッチ(第3のスイッチ)S22、ダイオードD22(第1のダイオード)、およびコンデンサC22によって構成される。なお、スイッチS22は、実際には、高速にスイッチングするためにトランジスタ等で構成される。
【0026】
太陽電池特性取得回路21aは、図2Aに示すように、コンデンサC21(請求項に記載のコンデンサ)およびスイッチ(第4のスイッチ)S21によって構成される。コンデンサC21は、太陽電池13の高電位側の端子T13aおよび降圧チョッパ回路22の一対の入力端子のうちの高電位側の端子の接続点N3と、太陽電池13の低電位側の端子T13bおよび降圧チョッパの低電位側の端子の接続点N4との間に接続される。また、スイッチS21は、降圧チョッパ回路22のダイオードD22と並列に接続される。なお、スイッチS21およびダイオードD22は、逆並列ダイオードを内蔵したトランジスタを用いることにより、実装に用いる部品点数を増加させることなく、共存させることができる。
【0027】
太陽電池13を短絡状態にする場合、太陽電池特性取得回路21aのスイッチ(第4のスイッチ)S21および降圧チョッパ回路22のスイッチ(第3のスイッチ)S22の双方をオン状態とする。次に、降圧チョッパ回路22のスイッチ(第3のスイッチ)S22をオフ状態にして、太陽電池13を開放状態にする。そして、短絡状態から開放状態へ変化した場合、コンデンサC21によって、過渡的な電圧および電流を発生させることができる。つまり、コンデンサC21は、太陽電池13の出力電圧を0Vの状態から開放電圧まで連続的に変化させる。なお、開放状態においては、スイッチS21の状態は、オン状態であってもオフ状態であっても構わない。そして、電圧センサ14および電流センサ15それぞれは、過渡的な電圧および電流の値を、所定のサンプリング時間間隔で測定する。このようにして、電流電圧特性が取得される。
【0028】
図2Bは、図2Aの変形例を示したものである。図2Bと図2Aの回路との違いは、図2BではダイオードD21(第2のダイオード)が追加されていることである。ダイオードD21のアノードは、降圧チョッパ回路22のスイッチS22およびダイオード22のカソードの接続点に接続され、ダイオードD21のカソードは、降圧チョッパ回路22のインダクタL22に接続される。このダイオードD21は、電流電圧特性を取得するために、直接必要となるものではないが、スイッチS21をオン状態にしたときに、コンデンサC22に蓄積されたエネルギがスイッチS21を通って放電されることを防ぐために設けられることが好ましい。
【0029】
(太陽電池制御装置)
次に、前記した太陽電池特性取得回路11,21a,21bのいずれかを備え、太陽電池13の最大出力電力を取得する制御を実行する太陽電池制御装置の構成例について、図3を用いて説明する(適宜、図1,2A,2B参照)。
【0030】
太陽電池制御装置30は、太陽電池13の最大出力電力を取得する制御を実行する。太陽電池制御装置30は、太陽電池特性取得部31、処理部32、およびチョッパ部33によって構成される。太陽電池13から出力される電流および電圧の値は、センサ34によって測定され、太陽電池特性取得部31に取得される。また、太陽電池制御装置30は、太陽電池13の最大出力電力を、不図示のインバータやDC/DCコンバータ等へ出力する。
【0031】
太陽電池特性取得部31は、前記した太陽電池特性取得回路11,21a,21bのいずれかを備える。具体的には、太陽電池特性取得部31は、チョッパ部33が昇圧チョッパであれば、太陽電池特性取得回路11を備える。また、太陽電池特性取得部31は、チョッパ部33が降圧チョッパであれば、太陽電池特性取得回路21a,21bのいずれかを備える。太陽電池特性取得部31のスイッチS11,S21は、特性取得指示部321から出力される特性取得指示情報に基づいて、制御情報生成部326によって生成される制御情報によって制御される。また、太陽電池特性取得部31は、センサ34が測定した電流値および電圧値を取得し、取得した電流値および電圧値を処理部32へ送信する。
【0032】
処理部32は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメインメモリによって構成され、図示しない記憶部に記憶されているアプリケーションプログラムをメインメモリに展開して、特性取得指示部321、電流値電圧値取得部322、電力演算部323、最大電力取得部324、最大出力動作電圧値取得部325、および制御情報生成部326を具現化する。
【0033】
特性取得指示部321は、太陽電池13の電流電圧特性を取得するために、太陽電池特性取得部31およびチョッパ部33のスイッチ(スイッチS11,S21,S12,S22)を制御するための特性取得指示情報を、制御情報生成部326に出力する。この特性取得指示情報の出力は、所定の周期で行われる。
【0034】
電流値電圧値取得部322は、太陽電池特性取得部31から、電流値および電圧値を取得する。
【0035】
電力演算部323は、電流値電圧値取得部322によって取得された電流値および電圧値を用いて、電力値を算出する。
【0036】
最大電力取得部324は、電力演算部323において算出された電力値の中で最大となる、最大出力電力値を取得する。
【0037】
最大出力動作電圧値取得部325は、最大電力取得部324によって取得された最大出力電力値となるときの電圧値を示す最大出力動作電圧値を取得する。
【0038】
制御情報生成部326は、特性取得指示部321から特性取得指示情報を受信した場合、その特性取得指示情報に基づいて、太陽電池特性取得部31およびチョッパ部33のスイッチを制御するための制御情報を最優先で生成する。そして、制御情報生成部326は、スイッチを制御するための制御情報を太陽電池特性取得部31およびチョッパ部33に出力する。
【0039】
また、制御情報生成部326は、最大出力動作電圧値取得部325から最大出力動作電圧値を取得した場合、太陽電池13の出力電圧を最大出力動作電圧値とする制御情報を生成する。そして、制御情報生成部326は、太陽電池13の出力電圧を最大出力動作電圧値とする制御情報をチョッパ部33に出力する。
【0040】
また、制御情報生成部326は、最大出力動作電圧値となるように制御情報を生成した後には、取得した最大電力動作電圧値を初期値として山登り法等の公知の方法に基づいて決定した電圧値に、太陽電池13の出力電圧を制御するための制御情報を生成する。そして、制御情報生成部326は、山登り法等の公知の方法に基づいて決定した電圧値によって制御するための制御情報をチョッパ部33に出力する。
【0041】
チョッパ部33は、例えば、図1に示すような昇圧チョッパ回路または図2A,2Bに示すような降圧チョッパ回路である。チョッパ部33では、処理部32から受信した制御情報に基づいて、スイッチ(S12,S22)がPWM制御される。
【0042】
次に、太陽電池制御装置30の処理部32の処理フロー例について、図4を用いて説明する(適宜、図1,2A,2B,3参照)。なお、図4に示す処理フローは、特性取得指示部321が、特性取得指示情報を出力してから、次の特性取得指示情報を出力するまでの、所定の周期の1サイクル分を示している。
【0043】
ステップS401では、特性取得指示部321は、特性取得指示情報を、制御情報生成部326に出力する。具体的には、特性取得指示部321は、太陽電池特性取得部31のスイッチS11,S21およびチョッパ部33のスイッチS12,S22をオン状態にし、その後、スイッチS11,S22をオフ状態にする特性取得指示情報を出力する。なお、特性取得指示部321は、所定の周期で特性取得指示情報を出力する。また、所定の周期は、図示しないタイマによって計測されるものとする。
【0044】
ステップS402では、制御情報生成部326は、特性取得指示部321から取得した特性取得指示情報に基づいて、太陽電池特性取得部31のスイッチS11,S12およびチョッパ部33のスイッチS21,S22を操作するための制御情報を生成する。
【0045】
ステップS403では、太陽電池特性取得部31は、太陽電池13の短絡状態から開放状態に至る過渡状態における電流値および電圧値をセンサ34から取得し、取得した電流値および電圧値を処理部32へ送信する。
【0046】
ステップS404では、電力演算部323は、取得した電流値および電圧値を用いて、電力値を算出する。
【0047】
ステップS405では、最大電力取得部324は、ステップS404において算出された電力値の中で最大となる、最大出力電力値を取得する。
【0048】
ステップS406では、最大出力動作電圧値取得部325は、ステップS405において取得された最大出力電力値となるときの電圧値を示す最大出力動作電圧値を取得する。
【0049】
ステップS407では、制御情報生成部326は、取得した最大出力動作電圧値に基づいて、太陽電池13の出力電圧を最大出力動作電圧値とする制御情報を生成する。
【0050】
ステップS408では、制御情報生成部326は、山登り法等の公知の方法に基づいて制御情報を生成する。具体的には、制御情報生成部326は、取得した最大電力動作電圧値を初期値として山登り法等の公知の方法に基づいて決定した電圧値に、太陽電池13の出力電圧を制御するための制御情報を生成する。
【0051】
以上、本実施形態における太陽電池特性取得回路11,21a,21bは、太陽電池13の一対の出力端子(高電位側の端子T13aおよび低電位側の端子T13b)にコンデンサC11,C21を接続する構成を備えている。この構成において、太陽電池13を短絡状態から開放状態にすることによって、太陽電池13の出力端子間に接続されたコンデンサC11,C21に過渡的な電圧および電流を発生させることができる。つまり、コンデンサC11,C21の電位を0Vから開放電圧Vocにまで変化させることができる。その変化の際に、所定のサンプリング時間間隔で、電流センサ15および電圧センサ14によって、それぞれ電流値および電圧値が測定される。なお、電流値および電圧値の測定は、所定の周期によって行われる。
【0052】
さらに、太陽電池特性取得回路11,21a,21bのいずれかを備えた太陽電池制御装置30は、測定した電流値および電圧値を用いて算出した電力値の中から、最大出力電力値を求め、その最大出力電力値となるときの電圧値を示す最大出力動作電圧値を取得する。そして、太陽電池制御装置30は、取得した最大出力動作電圧値に基づいて、最大電力点に追従するようにチョッパ部33を制御する。つまり、太陽電池制御装置30は、太陽電池制御装置30は、このような構成を有しているので、太陽電池13の最大出力電力を簡易に取得することができる。
【0053】
また、最大出力動作電圧値は所定の周期によって行われる電流値および電圧値の測定の度に取得されるので、太陽電池制御装置30は、次に最大出力動作電圧値を取得するまでの間は、取得した最大電力動作電圧値を初期値として山登り法等の公知の方法に基づいて決定した電圧値に、太陽電池13の出力電圧を制御する。なお、所定の周期が短い場合には、山登り法等の公知の方法を用いずに、ステップS406において取得した最大出力動作電圧値のみを用いて制御を行っても構わない。
【0054】
また、本実施形態では、太陽電池13を短絡状態から開放状態にするケースについて説明したが、太陽電池13を開放状態から短絡状態にしても、本実施形態と同様の電流値および電圧値を測定することができる。また、太陽電池特性取得部31のスイッチS11,S21およびチョッパ部33のスイッチS12,S22をオン状態にするとは、同時にスイッチS11,S21およびスイッチS12,S22をオン状態にしても良いし、スイッチS12,S22がオン状態のときに、スイッチS11,S21をオン状態にしても良いし、その逆に、S11,S212がオン状態のときに、スイッチスイッチS12,S2をオン状態にしても構わない。
【0055】
また、本実施形態の太陽電池制御装置30は、インバータを含めた構成としても構わない。
【符号の説明】
【0056】
11,21a,21b 太陽電池特性取得回路
12 昇圧チョッパ回路
13 太陽電池
14 電圧センサ
15 電流センサ
22 降圧チョッパ回路
30 太陽電池制御装置
31 太陽電池特性取得部
32 処理部
33 チョッパ部
34 センサ
321 電流値電圧値取得部
322 電力演算部
323 最大電力取得部
324 最大出力動作電圧値取得部
325 制御情報生成部
C11,C21 コンデンサ(コンデンサ)
C12,C22 コンデンサ
D11,D12 ダイオード
D21 ダイオード(第2のダイオード)
D22 ダイオード(第1のダイオード)
L12,L22 インダクタ
N1,N2,N3,N4 接続点
S11 スイッチ(第2のスイッチ)
S12 スイッチ(第1のスイッチ)
S21 スイッチ(第4のスイッチ)
S22 スイッチ(第3のスイッチ)
T13a 高電位側の端子(出力端子)
T13b 低電位側の端子(出力端子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池と、直流電圧を昇圧するための第1のスイッチを少なくとも備える昇圧チョッパ回路との間に設置する太陽電池特性取得回路であって、
前記太陽電池の一対の出力端子のうちの高電位側の端子と、前記昇圧チョッパ回路の一対の入力端子のうちの高電位側の端子との間に接続される第2のスイッチと、
前記太陽電池の前記高電位側の端子および前記第2のスイッチの接続点と、前記太陽電池の一対の出力端子のうちの低電位側の端子および前記昇圧チョッパ回路の一対の入力端子のうちの低電位側の端子の接続点との間に接続されるコンデンサと、
前記第2のスイッチを制御するとともに前記太陽電池の特性を取得する処理部と、
を備え、
前記処理部は、前記太陽電池の特性の取得処理として、
前記第1のスイッチがオン状態のときに、前記第2のスイッチをオン状態にして前記太陽電池の出力端子間の短絡状態を形成した後に、前記第2のスイッチをオフ状態にして前記太陽電池の出力端子間の開放状態を形成することで、前記コンデンサが、前記太陽電池の出力端子間に過渡的な電圧および電流を発生させるようにして前記太陽電池の特性を取得する処理、
または、
前記第2のスイッチをオフ状態にして、前記太陽電池の出力端子間の開放状態を形成した後に、前記第1のスイッチがオン状態のときに前記第2のスイッチをオン状態にして前記太陽電池の出力端子間に短絡状態を形成することで、前記コンデンサが、前記太陽電池の出力端子間に過渡的な電圧および電流を発生させるようにして前記太陽電池の特性を取得する処理、
を行うことを特徴とする太陽電池特性取得回路。
【請求項2】
前記処理部は、
前記第1のスイッチのオン状態またはオフ状態を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池特性取得回路。
【請求項3】
太陽電池と、直流電圧を降圧するための第3のスイッチおよび第1のダイオードを少なくとも備える降圧チョッパ回路との間に設置する太陽電池特性取得回路であって、
前記降圧チョッパ回路の第1のダイオードと並列に接続される第4のスイッチと、
前記太陽電池の一対の出力端子のうちの高電位側の端子および前記第3のスイッチの接続点と、前記太陽電池の一対の出力端子のうちの低電位側の端子および前記降圧チョッパ回路の一対の入力端子のうちの低電位側の端子の接続点との間に接続されるコンデンサと、
前記第4のスイッチを制御するとともに前記太陽電池の特性を取得する処理部と、
を備え、
前記処理部は、前記太陽電池の特性の取得処理として、
前記第3のスイッチがオン状態のときに、前記第4のスイッチをオン状態にして前記太陽電池の出力端子間の短絡状態を形成した後に、前記第3のスイッチがオフ状態で前記太陽電池の出力端子間の開放状態が形成されることで、前記コンデンサが、前記太陽電池の出力端子間に過渡的な電圧および電流を発生させるようにして前記太陽電池の特性を取得する処理、
または、
前記第3のスイッチがオフ状態で前記太陽電池の出力端子間の開放状態が形成された後に、前記第3のスイッチがオン状態のときに前記第4のスイッチをオン状態にして前記太陽電池の出力端子間の短絡状態を形成することで、前記コンデンサが、前記太陽電池の出力端子間に過渡的な電圧および電流を発生させるようにして前記太陽電池の特性を取得する処理、
を行うことを特徴とする太陽電池特性取得回路。
【請求項4】
前記降圧チョッパ回路は高電位側にインダクタを備え、
前記降圧チョッパ回路の前記第3のスイッチおよび前記第1のダイオードのカソードとの接続点と第2のダイオードのアノードを接続し、前記降圧チョッパ回路のインダクタと前記第2のダイオードのカソードを接続する
ことを特徴とする請求項3に記載の太陽電池特性取得回路。
【請求項5】
前記処理部は、
前記第3のスイッチのオン状態またはオフ状態を制御する
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の太陽電池特性取得回路。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の太陽電池特性取得回路を備え、太陽電池の一対の出力端子間の電流値および電圧値を取得する太陽電池特性取得部と、
昇圧チョッパ回路を備えるチョッパ部と、
前記取得した電流値および電圧値を用いて算出した電力値の中から、最大出力電力値を求め、前記最大出力電力値となるときの電圧値を示す最大出力動作電圧値に基づいて、前記太陽電池から最大出力電力を取得するように前記チョッパ部を制御する制御情報を生成する処理部と、
を備えることを特徴とする太陽電池制御装置。
【請求項7】
請求項3ないし請求項5のいずれか一項に記載の太陽電池特性取得回路を備え、太陽電池の一対の出力端子間の電流値および電圧値を取得する太陽電池特性取得部と、
降圧チョッパ回路を備えるチョッパ部と、
前記取得した電流値および電圧値を用いて算出した電力値の中から、最大出力電力値を求め、前記最大出力電力値となるときの電圧値を示す最大出力動作電圧値に基づいて、前記太陽電池から最大出力電力を取得するように前記チョッパ部を制御する制御情報を生成する処理部と、
を備えることを特徴とする太陽電池制御装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−174070(P2012−174070A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36509(P2011−36509)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】