説明

夾雑物を含む溶液の濾過装置及び濾過方法

【課題】本発明は、夾雑物を含む溶液から目的成分を効率良く分離することができる濾過装置及び濾過方法を提供することを目的としている。
【解決手段】前処理手段と、流路入口から出口方向に向かって膜透過抵抗が徐々に小さくなるようにされたセラミック膜を含むクロスフロー濾過手段とを含むことを特徴とする夾雑物を含む溶液の濾過装置、及び前記溶液の濾過方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発酵ブロス液等の夾雑物を含む溶液から、夾雑物を分離し、目的とする成分を透過液側に回収する濾過装置及び濾過方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの食品や医薬品が発酵技術により製造されている。発酵は基質を含む溶液に目的化合物を産生する微生物を培養し、基質を発酵させることによって行われる。その結果、発酵ブロス液中に目的とする高分子成分が蓄積される。ついで高分子成分の濾過、濃縮、分離・精製という工程を経て目的とする高分子成分が回収される。
しかし、このような発酵ブロス液中には、目的成分だけでなく、不溶性の固形分、例えば微生物菌体、その凝集物、蛋白凝固物などの有機性、無機性懸濁物質が含まれるため、これらを効率的に分離する必要がある。
従来、前記発酵液中の夾雑物を分離するために、一般的に珪藻土を使用したプレコート濾過が採用されてきた。しかし、珪藻土濾過方法では、目的とする成分の回収率が低下することや、多量の珪藻土を濾過助剤やプレコート剤として使用した後に発生する大量の菌体を含有した廃珪藻土の廃棄処理が大きな問題となっていた。
これを解決するために、上記方法の代替策としてMF(精密濾過)膜を用いたクロスフロー膜分離方法が検討されてきた。しかしこの場合にも、夾雑物が多い場合には、その不溶性固形分が膜面に積層してゲル層を形成し、目的成分が透過液側に回収されにくくなるという問題があった。これを防止するために膜面のクロスフローの流速を大きくしていくと、装置の圧力損失が大きくなり、入口付近の流速が大きくなって、膜表面への夾雑物の積層が過大となり、上記同様に目的成分の透過が阻止されることになる。
このように、発酵ブロス液中の夾雑物を分離する工程において、前記夾雑物により膜の汚染が著しく、その結果、膜の透過流量が早期に低下して、効率よく分離することができないという問題があった。
【0003】
この対策として、従来は、膜分離装置の透過流量が一定以下になると、運転を中断して、ゲル層を逆洗により除去する手段が採用されたり、クロスフロー濾過装置の表面に堆積物が堆積しにくくなるような付加的手段をとることで、運転時間を少しでも延ばす方策が取られていた。
例えば、前者の例として、菌体と目的成分である酵素とを含む発酵液からなる生物系被処理液を膜分離して目的酵素を回収する方法において、定期的に汚染膜に対して温水を使用して逆洗を行う方法(特許文献1参照)や、水処理分野において、蛋白質等で汚染した膜に対して次亜塩素酸塩を添加した逆洗水で逆洗する方法(特許文献2参照)、蛋白質分解酵素と過酸化水素を含む逆洗水を使用する方法(特許文献3参照)が提案されている。
しかし、これらの定期的に逆洗を行う方法は、膜分離工程を周期的に中断し、濃縮水をその都度ブローアウトして温水や薬液を含む逆洗水で逆洗するため、その分、膜分離工程の時間がロスとなるし、洗浄排水も多量となり、その処分を別途考慮する必要がある。
【0004】
一方、膜面に堆積物の付着を遅らせる後者の方法としては、微生物や動物細胞が浮遊している液体から蛋白質を膜分離する際、加水して原液のイオン強度を低下させながら膜濾過する方法が提案されている(特許文献4参照)。
しかし、この方法では、加水により対象液量が増えて処理効率がその分低下するだけでなく、透過液側の蛋白質濃度も低下し、その後工程で行われる蛋白質の濃縮、精製工程の処理効率にも悪影響を与えてしまう。また、濃縮液も多量となり、その処分を別途考慮する必要がある。
さらに発酵液に天然素材等からなる剥離材を添加し、クロスフロー濾過する方法が提案されている(特許文献5参照)。
この方法においては、剥離材を添加した分だけ、処理量が増加すると共に、目的成分に影響を与えないような剥離材を選択しなければならないうえ、膜分離中に剥離材が磨耗、せん断により破砕する結果、系内の懸濁物質を増加させると言う問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開2000−317273号公報
【特許文献2】特開平03−77629号公報
【特許文献3】特開平9−57074号公報
【特許文献4】特開平8−9991号公報
【特許文献5】特開平2004−73996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、夾雑物を含む溶液から目的成分を効率良く分離することができる濾過装置及び濾過方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するために開発されたもので、濾過手段自体を、堆積物が付着・析出しにくくなるように改良されたクロスフロー濾過装置を使用し、かつ前記濾過手段が最大限の性能を発揮するような前処理手段を組み合わせることで、前記課題を解決したものある。
すなわち、本発明は、
1.前処理手段と、流路入口から出口方向に向かって膜透過抵抗が徐々に小さくなるようにされたセラミック膜を含むクロスフロー濾過手段とを含むことを特徴とする夾雑物を含む溶液の濾過装置、
2.前記クロスフロー濾過手段が、流路入口から出口方向に向かってセラミック膜厚が徐々に薄くなるようにされたものである上記1記載の夾雑物を含む溶液の濾過装置、
3.前記クロスフローの流速が、濃縮側圧力勾配と膜抵抗勾配による透過側圧力損失勾配が同方向で略同一となる流速である上記1又は2記載の夾雑物を含む溶液の濾過装置、
4.前記クロスフローの流速が、5.0m/s以上である上記3記載の夾雑物を含む溶液の濾過装置、
5.前記処理手段が除濁膜装置である上記1〜4のいずれかに記載の夾雑物を含む溶液の濾過装置、
6.前記除濁膜装置がプレコート濾過装置、プリーツ膜濾過装置又は糸巻き型濾過装置である上記5に記載の夾雑物を含む溶液の濾過装置、
7.前記夾雑物を含む溶液が、さらに分子量5万以上の高分子成分を含む動物抽出液、又は発酵ブロス液である上記1〜6のいずれかに記載の夾雑物を含む溶液の濾過装置、
8.前処理工程と、流路入口から出口方向に向かって膜透過抵抗が徐々に小さくなるようにされたセラミック膜を含むクロスフロー濾過工程とを含むことを特徴とする夾雑物を含む溶液の濾過方法。
9.前記前処理工程が濾過装置を用いた工程であり、かつ夾雑物を含む溶液がさらに蛋白を含む溶液である上記8記載の夾雑物を含む溶液の濾過方法、
10.前記前処理工程がpH調整装置を用いた工程であり、かつ夾雑物を含む溶液がさらに多糖類を含む溶液である上記8記載の夾雑物を含む溶液の濾過方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、前記特許文献に記載されたような付加的手段を要せずに、夾雑物を含む溶液から目的成分を効率良く分離することができる濾過装置及び濾過方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明の一実施態様を示すフローシート図である。
すなわち、処理対象となる溶液は原液タンク(循環タンク)1に供給され、前記溶液は循環ポンプ2によって、適切な流速で、前処理手段3と、セラミック膜を内蔵するクロスフロー濾過手段4とに順次供給され、差圧を適切に設定することで、目的成分を含む透過液は前記濾過装置4の二次側に配置された透過液導出配管5から取り出される一方、濃縮液は循環配管6を介して原液タンク1に返送されることにより、上記の処理が繰り返し行われる。なお、図1では、一部の濃縮液が循環系から系外に排出され、前記透過液量と系外排出液量に見合う量の溶液が原液タンク1に供給される。図1のPGは圧力計を示す。
【0010】
本発明で処理対象となるのは夾雑物を含む溶液であり、夾雑物としては具体的には、分散菌体や凝集菌体、菌体破砕物、蛋白凝固物、残留高分子基質、核酸、金属水酸化物等が例示される。このような夾雑物を含む溶液には、回収されて分離・精製される目的成分が含まれており、前記目的成分として、各種蛋白質や、酵素などの生物系高分子化合物の他、コンドロイチン、ヒアルロンサン、ペクチン、キチン、及びキトサン等の高分子多糖類等が挙げられる。本発明における、このような目的成分は、分子量として5万程度以上のものが好ましい。
このような夾雑物と高分子成分とを含む溶液の具体例としては発酵ブロス液、
動植物抽出液、菌体破砕液等が例示される。
【0011】
前処理工程で使用される前処理手段3は、特に粗大な夾雑物を荒取りしたり、分離対象物の特性を変化させることによって、後述のセラミック膜を含むクロスフロー濾過装置4の性能を最大限に発揮するように作用を発揮する。
このような前処理手段として、具体的には、後述の濾過装置に装着されるセラミック膜よりも大きな孔径、例えば1〜50μmのMF装置、カートリッジフィルター、プレコート濾過装置、プリーツ型濾過装置、糸巻き型濾過装置、及び遠心分離機等の濾過装置やpH調整装置等が例示される。とりわけ、除濁膜として使用されるプレコート濾過装置、プリーツ膜濾過装置又は糸巻き型濾過装置が好ましい。
前記濾過装置のうち、遠心分離機を除く濾過装置は、除濁膜装置と呼ばれる装置を使用することができる。遠心分離機も、各種の形式のものが市販されており、これらから採用することができる。また、pH調整装置は、装置内にpH計が設けられ、その値に応じて被対象液に硫酸、塩酸等の酸や、水酸化ナトリウム溶液やアンモニア水等のアルカリ剤を添加して、被処理液を所望のpHに調整する装置である。
これらは、夾雑物の種類や大きさ等、及び目的成分等に応じて適宜選択されるが、例えば、凝集菌体のような粗大な夾雑物の場合には、上記手段のうち、濾過装置や遠心分離機が採用される。又、高分子成分が蛋白又は高分子多糖類で、夾雑物が粗大蛋白や蛋白凝固体等の場合には、pH調整装置を採用し、例えば溶液を酸性に調整して前記蛋白凝固体を変性して、後工程のセラミック膜を含むクロスフロー濾過手段で効率よく目的成分を分離することが可能となる。
なお、濾材を含む濾過装置を使用した場合には、差圧が設定以上となったときや濾過速度が一定以下に低下したときには、逆洗を行うか、新品と取り替えればよい。
【0012】
次に、セラミック膜を含むクロスフロー濾過工程で使用されるクロスフロー濾過手段4を説明する。
クロスフロー濾過手段4に使用される膜は、セラミックからなる精密濾過膜が好適に使用される。前記セラミック膜原料としては、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、ムライト、カーボン、炭化珪素、チタニア、ジルコニアなどが挙げられる。前記膜の形状は管状、平膜状、中空糸状、プリーツ状及びスパイラル状など、任意の形状を採用することができるが、製造容易性や取り扱い性の面から、管状膜が好ましい。
本発明のセラミック膜の孔径としては、発酵ブロス液等の対象液中に含まれる精製目的とする高分子成分の分子量や、夾雑物の種類、及び大きさ等に応じて決めれば良いが、通常0.1μm以上、好ましくは、0.5〜1μmのものを選択する。
【0013】
本発明のクロスフロー濾過手段4では、濾過装置の流路入口から出口に向かって膜透過抵抗が徐々に小さくなるように成形されたセラミック膜を採用する。このような膜はセラミックを焼結する際、流路入口から出口に向かってセラミックの充填密度を徐々に小さくしたり、一定厚さで焼結後、膜厚が流路入口から出口に向かって徐々に薄く成形する等行うことによって製造することができる。また、セラミックを流路入口から出口に向かって均一になるように製造し、その後、透過液側にプラスチックシートや金属ホイルなどにより、透過液量が流路入口から出口に向かって大きくなるような障害壁を形成させて製造することもできる。
このようなクロスフロー濾過装置4を採用することにより、流路入口から出口に向かって透過流量が増え、濾過装置入口での過度な堆積物の発生を防止することが可能となる。
【0014】
本発明においては、前記濾過手段4はクロスフローにより運転される。
ここで、クロスフローとは、前記濾過手段の濾過膜に膜間差圧を与えつつ、膜表面に平行に液流を与え、濾液は濾過膜を通過して流路と直行する方向に排出されると共に、平行流によるせん断力により、堆積ケーク層の一部を剥離して、堆積ケーク層を最小に保持しながら濾過を行う方法である。
本発明の場合、前記クロスフロー濾過手段の流速(線速度)は、運転に先立って、採用したセラミック膜を用いて、濃縮側圧力勾配と膜抵抗勾配による透過側圧力損失勾配が同方向で略同一となる流速を求めて設定する。
これは、換言すると、膜の入口から出口にかけて、いずれの場所においても、透過流束がほぼ一定となる速度に設定するということである。
このような前記クロスフロー濾過手段の流速は、一般的に言うと、通常5.0m/s以上、好ましくは5〜7m/s程度に設定すると、夾雑物の濃度分極形成を阻害し、良好なクロスフローを実現することができる。
また、膜出口側に圧力調整弁を設置し、通常、平均膜間差圧(TMP)が0.20MPa以下となるように、調整することが好ましい。
【0015】
クロスフロー濾過装置では、一般に入口部において圧力損失が大きいので、ゲル層が形成されやすいが、上記のような流路入口から出口に向かって膜透過抵抗が徐々に小さくなるように成形されたセラミック膜を採用することにより、入口部でのゲル層形成が大幅に低減され、長時間に渡って効率よく運転することが可能となる。
このように種々の改良を行って、クロスフロー運転を継続することで、従来よりも遥かに長時間、膜分離運転が可能となるが、それでも透過流量が一定以下に低下した場合や、差圧が設定以上になった場合には、運転を中断して逆洗を行う。
逆洗は膜分離装置の透過液側(二次側)から清水を供給して、濃縮側(一次側)に通水し、表面に堆積した堆積物を剥離する。このとき、目的成分に影響を与えない洗浄剤や酸化剤等を添加しても良い。
本発明では、セラミック膜を用いたクロスフロー濾過装置自体を堆積物が付着しにくい構造としただけでなく、前記濾過装置の性能を最大限に発揮するような前処理手段を有機的に組み合わせたので、通常のセラミック膜や有機高分子膜を装着した場合と比較すると、原液によっても異なるが、通常、運転時間を1.5〜3倍程度伸ばすことができる。
【0016】
こうして夾雑物と目的高分子成分とを含む溶液は循環されつつ、夾雑物が濃縮液側に、高分子成分や他に低分子共存塩類及び低分子等の夾雑物があれば、それらが一緒に透過液導出配管5から排出される。このようにして排出された透過液は、次工程でさらに精製を行うことによって目的成分が得えられる。一方、濃縮液は必要に応じてさらに処理を行い、系外に排出して処分する。
なお、透過液から前記高分子成分をさらに精製する方法としては、イオン交換樹脂を用いたクロマトグラフィー法、吸着法、限外濾過膜や逆浸透膜による膜分離法等が採用される。
上記説明では、前処理手段は循環系内に設置された例を示したが、これに限定されず、例えば図1の原液タンク1の上流側に記載した所に前処理手段7を設けてもよい。この場合には、原液供給ポンプ(図示せず)により、原液を先ずこの前処理手段7に送って粗大夾雑物を分離してから原液タンク1に供給することになる。場合によっては、前処理手段3及び7を両方設けても良い。
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0017】
(実施例1、比較例1)
図1において、前処理手段3として孔径10μmのカートリッジフィルター(キュノ製、マイクロワインド型)、及び孔径0.8μm、膜面積0.35m2の内圧式のセラミック膜を装着した精密濾過装置4をそれぞれ採用して、動物抽出液(ゼラチン6質量%、不溶性固形分0.5%)を処理対象溶液として、体積濃縮倍数が4倍となるようにクロスフロー運転を行った。なお、膜面での流速は5m/s(入口圧力0.3MPa)、TMPは0.2MPa、温度は50℃に設定し、所定時間運転を行った。
一方、比較例1として、上記の実施例1において、溶液を前処理手段3に供給することなく、同一の精密濾過装置4に直接供給した以外は同一条件にて運転を行った。
実施例1と比較例1の結果を図2に示す。
図2より、本発明実施例においては、前処理手段と精密濾過装置との作用により、比較例に比べて運転時間が多くなるほど回収率が向上することがわかる。
【0018】
(実施例2及び3、比較例2)
図1において、前処理手段3として、槽内にpH計を設け、酸を自動注入して被処理液のpHを自動的に調整するpH調整装置(東亜ディーケーケー社製)を、クロスフロー装置としては実施例1と同じ精密濾過装置4を採用し、硫酸によって溶液をpH2に調整(実施例2)、及びpH6.5に調整(実施例3)した。
pH8の軟骨抽出液(高分子多糖類(分子量約80,000のコンドロイチン)1200mg/lと不溶性固形分0.7%を含む)を処理対象溶液として、実施例1同様の条件でクロスフロー運転を行い、運転時間毎の透過液量を測定した。
一方、比較例2として、上記の実施例2において、溶液を前処理手段に供給することなく、前記精密濾過装置4に直接供給した以外は同一条件にて運転を行った。
実施例2及び3と比較例2の結果を図3に示す。
図3より、本発明実施例2においては、運転時間が多くなるほど、透過液量が直線的に増加した。一方、比較例2においては、透過流量は実施例2及び3同様に増加するが、実施例2及び3に比較すると、伸び率において大幅に劣ることがわかる。
【0019】
(実施例4、実施例5)
図1において、前処理装置3として孔径100μmのカートリッジフィルター(キュノ製、マイクロワインド型)、及びクロスフロー濾過装置として、実施例1で用いたものと同じ装置をそれぞれ採用し、pH7の発酵ブロス液(プロテアーゼ10質量%、菌体数3×106CFU)を処理対象溶液として、体積濃縮倍数が8倍となるようにクロスフロー運転を行った。なお、膜面での流速は5m/s(入口圧力0.3MPa)(実施例4)、3m/s(入口圧力0.27MPa)(実施例5)、TMPは共に0.2MPa、温度は10℃に設定し、所定時間運転を行った。
実施例4及び実施例5の結果を図4に示す。
図4より、実施例4においては、運転時間が多くなるほど回収率は急激に増加することがわかる。一方、実施例5の流速が3m/sの場合は、回収率は運転時間が多くなるほど増加するが、実施例4に比べると、増加率は劣る。これらから、クロスフロー流速が回収率に影響を及ぼすことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、発酵ブロス液等の、夾雑物を含む溶液等から夾雑物を効率よく分離することができ、発酵ブロス液等から有用高分子成分を回収する等、広く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】濾過装置の一例のフローシートを示す図である。
【図2】実施例1と比較例1との結果を示す図である。
【図3】実施例2及び3と比較例2との結果を示す図である。
【図4】実施例4及び5の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
1 原液タンク(循環タンク)
2 循環ポンプ
3、7 前処理手段
4 セラミック膜を内蔵するクロスフロー濾過手段
5 透過液導出配管
6 循環配管
PG 圧力計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前処理手段と、流路入口から出口方向に向かって膜透過抵抗が徐々に小さくなるようにされたセラミック膜を含むクロスフロー濾過手段とを含むことを特徴とする夾雑物を含む溶液の濾過装置。
【請求項2】
前記クロスフロー濾過手段が、流路入口から出口方向に向かってセラミック膜厚が徐々に薄くなるようにされたものである請求項1記載の夾雑物を含む溶液の濾過装置。
【請求項3】
前記クロスフローの流速が、濃縮側圧力勾配と膜抵抗勾配による透過側圧力損失勾配が同方向で略同一となる流速である請求項1又は2記載の夾雑物を含む溶液の濾過装置。
【請求項4】
前記クロスフローの流速が、5.0m/s以上である請求項3記載の夾雑物を含む溶液の濾過装置。
【請求項5】
前記処理手段が除濁膜装置である請求項1〜4のいずれかに記載の夾雑物を含む溶液の濾過装置。
【請求項6】
前記除濁膜装置がプレコート濾過装置、プリーツ膜濾過装置又は糸巻き型濾過装置である請求項5に記載の夾雑物を含む溶液の濾過装置。
【請求項7】
前記夾雑物を含む溶液が、さらに分子量5万以上の高分子成分を含む動物抽出液、又は発酵ブロス液である請求項1〜6のいずれかに記載の夾雑物を含む溶液の濾過装置。
【請求項8】
前処理工程と、流路入口から出口方向に向かって膜透過抵抗が徐々に小さくなるようにされたセラミック膜を含むクロスフロー濾過工程とを含むことを特徴とする夾雑物を含む溶液の濾過方法。
【請求項9】
前記前処理工程が濾過装置を用いた工程であり、かつ夾雑物を含む溶液がさらに蛋白を含む溶液である請求項8記載の夾雑物を含む溶液の濾過方法。
【請求項10】
前記前処理工程がpH調整装置を用いた工程であり、かつ夾雑物を含む溶液がさらに多糖類を含む溶液である請求項8記載の夾雑物を含む溶液の濾過方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−148661(P2009−148661A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327009(P2007−327009)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(599022328)株式会社トライテック (5)
【Fターム(参考)】