媒体の流量を定量するための流量計及びその使用、並びに定量方法
【課題】媒体の低い値及び非常に大きな範囲の質量流量が比較的高い正確度で測定できる方法及び流量計を提供する。
【解決手段】この流量計1は、流量を測定すべき媒体を輸送するための流管21,22を備えている。この流管は、供給端部4及びその下流に配設された吐出し端部6を有している。流量計1には、流管の第一の位置で媒体の流量を測定するための第一の流量センサー11が設けられている。流量計1には、流管の第二の位置で媒体の流量を測定するための第二の流量センサー12が設けられている。
【解決手段】この流量計1は、流量を測定すべき媒体を輸送するための流管21,22を備えている。この流管は、供給端部4及びその下流に配設された吐出し端部6を有している。流量計1には、流管の第一の位置で媒体の流量を測定するための第一の流量センサー11が設けられている。流量計1には、流管の第二の位置で媒体の流量を測定するための第二の流量センサー12が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体の流量を定量するための流量計であって、該流量計は、流量を測定すべき媒体を流送するための流管を備え、流管は、第一の端部及びそれからある距離を置いた第二の端部を有し、かつ、流量計には、流管の第一の位置で媒体の流量を測定するための第一の流量センサーが設けられている流量計に関する。本発明はまた、そのような流量計の使用に関する。本発明はさらに、媒体の流量を定量するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような流量計は、例えばEP2078936により、公知である。この公知の流量計には、システムチップが設けられており、また、この公知の流量計は、開口部が設けられている基板を備え、その開口部内には、流量を測定すべき媒体を流送するための窒化珪素の流管が存在する。EP2068936に記載されている流管は、コリオリ式流量センサーの一部を構成し、非常に低い質量流量を、1g/時よりもはるか低い値まで測定するのに適している。別の実施形態では、流管は、いわゆる熱式流量センサーの一部を構成している。
【0003】
公知の流量計及び公知の定量方法は、それらの正確度及び(又は)測定可能な範囲が限られている。公知の流量計は、非常に満足なものであるが、流量、例えば質量流量が、より正確に、かつ(あるいは)、より大きな測定範囲内で定量できる流量計及び定量方法に対するニーズが存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、流量、好ましくは質量流量を定量するための改良された流量計及び改良された方法を提供することである。さらに、流量、好ましくは非常に低い流量、例えば、1g/時よりもはるかに低い値の質量流量が、比較的高い正確度で測定できる方法及び流量計を提供することが目的である。また、それに加えて、非常に大きな範囲の流量、特に質量流量が測定できる流量計及び定量方法を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、その目的を達成するために、冒頭で記載した種類の流量計を提供し、この流量計は、請求項1の特徴部分に記載した構成で特徴付けられている。この流量計は、流量を測定すべき媒体を流送するための流管を備えている。この流量計には、媒体の流量を測定するための第一の流量センサーが、流管の第一の位置に設けられている。この第一の位置は、第一の端部と第二の端部の間に在る。この流量計にはまた、媒体の流量を測定するための第二の流量センサーが、流管の第二の位置に設けられている。この第二の位置は、第一の端部と第二の端部の間に在る。第一の流量センサー及び第二の流量センサーは、流管を通る流れの流量が、互いに独立的に測定されるよう設計されていることが好ましい。第二の、追加の流量センサーは、測定すべき流量についての追加の情報が引き出せる追加の測定データをもたらすものである。この追加の情報は、流管を通る流れの流量をより正確に測定することを可能にし、かつ(あるいは)流量計の範囲を拡げること(以下でより詳細に説明する)ことを可能にするものである。したがって、この追加の流量センサーを用いることにより、改良された流量計が得られる。本発明の目的は、このようにして達成される。
【発明の効果】
【0006】
従属項の[請求項2]〜[請求項17]の主題事項は、効果的な形態である。以下、これら形態のいくつか及びそれらの利点をより詳細に説明する。
【0007】
第一の流量センサー及び第二の流量センサーは、流量を流管の同じ位置で測定するよう設計することができる。しかしながら、二つの流量センサーの測定の独立性をさらに増大させるためには、第二の位置を第一の位置から隔てるのが好ましい。
【0008】
一形態においては、第一の端部は、供給端部であり、また、第二の端部は、供給端部の下流に位置する吐出し端部である。
【0009】
しかしながら、流管は、二つの端部の間に位置する別の開口部を備え、そして、この別の開口部は、流量を測定すべき媒体を供給又は吐き出すのに適したものとすることが可能である。好ましくは、この別の開口部は、第一の位置と第二の位置との間に位置しており、また、これらの位置は、好ましくは、上記したように、互いに或る距離、隔てられている。このような別の開口部によれば、第一の流量センサーと第二の流量センサーとを並列に位置させることが可能である。別の開口部がない場合は、流量センサーは、直列に位置させる。
【0010】
注目すべきは、流管は、いくつかの流管部分を備えることができること、及び流管は、一体に構成された部品でなくてもよいことである。
【0011】
流量計は、コリオリ式の流量センサーを備えることができる。コリオリ式流量センサーは、当業者には、それ自体公知のものである。第一の流量センサー又は第二の流量センサーは、コリオリ式とすることができる。第一の流量センサー及び第二の流量センサーが共にこのコリオリ式である一形態も考えられる。コリオリ式の流量センサーは、流管における流れで誘起された振動を基に流れの質量流量を測定するのに最適である。
【0012】
一形態においては、流量計は、熱式流量センサーを備えている。このタイプの流量センサーは、当業者には、それ自体公知である。第一の流量センサー又は第二の流量センサーは、熱式流量センサーとすることができる。非常に効果的な一形態においては、以下に説明するように、第一の流量センサー及び第二の流量センサーの両方が、熱式流量センサーである。このようなセンサーは、非常に小さな流れで誘起される温度変化を利用して、非常に低い質量流量を測定するのに最適である。
【0013】
流量計の精度は、第二の流量センサーによって発せられる少なくとも一つの信号を基に第一の流量センサーを校正するための校正手段を、流量計に備えれば、非常に効果的なやり方で向上させることができる。第二の流量センサーからの信号は、第一の流量センサーをチェックするのに使用でき、かつ、必要ならば、第一の流量センサーによって発せられる信号が流量を表わすように、第一の流量センサーを調整するのに使用できる。
【0014】
流量センサーは、特定の測定範囲内の流量を測定するよう設計されている。ここで使用する「測定範囲」の用語は、流量センサーによって(正確に)測定され得る特定のパラメータの値の範囲を意味する、と理解されたい。この意味で、流量センサーによって測定できる下側の限界及び流量センサーによって測定できる上側の限界が重要である。流量センサーが、体積流量を測定するよう設計されている場合は、例えば、上記測定範囲は、ナノリットル/秒単位で表すことができる。第一の流量センサーは、第一の測定範囲内の流量を測定するよう設計されており、また、第二の流量センサーは、第二の測定範囲内の流量を測定するよう設計されている。
【0015】
流量センサーのもう一つの重要な特性は、応答速度である。流量に変化が生ずる場合には、この変化は、流量センサーによって迅速に示されることが重要である。本発明による流量計の応答速度は、流量センサーを二つ使用しているため、比較的高く、精密な応答速度が可能である。
【0016】
流量計の測定可能な範囲を簡単なやり方で拡大するためには、第一の測定範囲と第二の測定範囲とがオーバーラップするように流量センサーを選択すればよい。好ましくは、それら流量センサーは、第一の測定範囲と第二の測定範囲とが部分的にのみオーバーラップするよう構成する。これにより、測定可能な範囲は、簡単に拡大できる。
【0017】
非常に効果的な一形態では、第一の流量センサーを熱式流量センサーにし、かつ、第二の流量センサーをコリオリ式の流量センサーとすることにより、第一の流量センサーの測定範囲を拡大し、かつ(あるいは)、校正することが可能である。
【0018】
第一の流量センサー及び第二の流量センサーが共に熱式流量センサーである一形態では、好ましくは、第一の熱式流量センサーには、温度感知性がありかつ流管に熱的に接続されている第一の抵抗器要素及びそれに対して直列に電気的に接続できる第二の抵抗器要素と;第一の抵抗器要素と第二の抵抗器要素との間で電気的に接続できる第一の電圧測定要素と;第一の抵抗器要素の場所で流管を少なくとも部分的に加熱するための第一の加熱手段とを備えた第一のセンサー回路が設けられており、かつ、第二の熱式流量センサーには、温度感知性がありかつ流管に熱的に接続されている第三の抵抗器要素及びこれに対して直列に電気的に接続できる第四の抵抗器要素と;第三の抵抗器要素と第四の抵抗器要素との間で電気的に接続できる第二の電圧測定要素と;流管を第三の抵抗器要素の場所で少なくとも部分的に加熱するための第二の加熱手段とを備えた第二のセンサー回路が設けられている。この形態では、第一のセンサー回路は、極めて好ましくは、第二のセンサー回路に、上記第一のセンサー回路及び上記第二のセンサー回路がそれぞれホイートストンブリッジの第一の半分及び第二の半分を構成するように、電気的に接続されている。流量は、この場合、流量が比較的正確なやり方で測定できるフルホイートストンブリッジで測定できる。この形態では、ホイートストンブリッジの第一の半分及び第二の半分の両方は、流量を測定するのに別々に使用できる。ホイートストンブリッジの各半分は、別個の熱式流量センサーとみなすことができる。
【0019】
好ましくは、流量計には、抵抗器要素のうちの二つからホイートストンブリッジの第一の半分を選択的に構成し、かつ、残りの抵抗器要素のうちの二つからホイートストンブリッジの第二の半分を選択的に構成する切換え手段が設けられている。切換え手段は、存在する四つの(又は可能的にはそれ以上の)抵抗器要素から四つの抵抗器要素を有するホイートストンブリッジを選択的に構成するのに使用できる。適切な切換えによれば、流量計における測定誤差を排除し、かつ、可能的には、ホイートストンブリッジ(第一の流量センサー)の第一の半分を、ホイートストンブリッジ(第二の流量センサー)の第二の半分によって得られる信号に基づいて補正又は校正することが可能になる。
【0020】
流量計の正確度をさらに向上させるためには、ホイートストンブリッジにおける第二の抵抗器要素及び(又は)第四の抵抗器要素が、温度感知性を有することが好ましい。感温抵抗器要素は、流管に接続することができるが、システムチップの温度を測定するのに、それにより、その温度の変化について校正する目的で使用することもできる。
【0021】
極めて好ましくは、第二の抵抗器要素及び(又は)第四の抵抗器要素は、流管に熱的に接続されている。
【0022】
ホイートストンブリッジの第一の半分は、流管の第一の部分を通る流れの流量を測定するよう設計することができる。ホイートストンブリッジの第二の半分は、流管の第二の部分を通る流れの流量を測定するよう設計することができる。上記部分(第一の部分及び第二の部分)は、互いに同一にすることができる。しかしながら、上記第一の部分及び上記第二の部分が、互いに本質的に隔てられていることが好ましい。一形態においては、第一の抵抗器要素及び第二の抵抗器要素は、流管の第一の部分に接続されており、また、第三の抵抗器要素及び第四の抵抗器要素は、流管の第二の部分に接続されており、これら第一の部分及び第二の部分は、互いに本質的に隔てられている。
【0023】
内部温度勾配の補正を可能にするためには、第一の部分及び第二の部分が、互いに対向して配設されていることが好ましい。上記部分は、互いに平行に延びていることが好ましい。すなわち、上記部分は、上記部分を通る流れの方向が、本質的に互いに対向するように配設されることが好ましい。結果として、熱式センサーからの信号に対する外部の温度勾配の影響は、平均化されることになる。
【0024】
コンパクトで簡単な流量センサーを得るためには、第一の加熱手段が、少なくとも第一の抵抗器要素及び(又は)第二の抵抗器要素を備えることが好ましい。さらに、又は、このこととは別に、第二の加熱手段は、少なくとも第三の抵抗器要素及び(又は)第四の抵抗器要素を備えることができる。
【0025】
本発明による流量計のさらなる利点は、異なる種類の媒体、すなわち、異なる気体及び(又は)液体に対して測定を行なうのに最適であることである。熱式流量センサーをコリオリ式流量センサーと共に使用する場合は、熱式流量センサーを、例えば、媒体の密度の差を補正するため校正することができる。
【0026】
一つのアスペクトによれば、本発明は、本発明による流量計の使用に関する。かかる使用は、ユーザーが、比較的正確なやり方で流量を定量することを可能にするものである。加えて、この流量計の使用は、流量をより大きな測定範囲に亘って定量することを可能にするものである。流量計のこのような使用のさらなる利点は、既に上記したとおりである。
【0027】
一つのアスペクトによれば、好ましくは上述した流量計により媒体の流量を定量する方法が提供される。この方法は、流管を用意するステップA;その流量を定量すべき媒体を流管を通して流送するステップB;流管の第一の位置で媒体の流量を測定するステップC;得られた一つ又はそれ以上の測定データに基づいて、媒体の流量を定量するステップDで構成されている。この方法は、流管の第二の位置で媒体の流量を測定するためのさらなるステップEで特徴付けられている。この方法によれば、流管を通る流れの流量は、二つの異なるステップを行なうことで測定される。好ましくは、上記ステップは、第一の測定が、たとえ第二の測定に影響したとしてもほとんど影響しないように、互いに独立して行なわれる。したがって、第二の位置で測定すれば、測定すべき流量についての追加の情報が引き出せる追加の測定データが得られることになる。上記追加の情報は、既により詳しく説明したように、流管を通る流れの流量をより正確に測定すること、及び(又は)、流量計の範囲を拡大することを可能にするものであるが、この方法に関しては、再び、より具体的に説明する。
従属項である[請求項20]〜[請求項26]の主題事項は、この方法の効果的な形態である。以下、これら形態のいくつか及びそれらの利点をより詳細に説明する。
【0028】
この方法の一形態においては、第二の位置は、第一の位置と異なっている。二つの異なる位置で測定することによって、各種の測定の独立性がさらに高まる。
【0029】
ステップEは、好ましくは、ステップCと同時に行なわれる。同時に測定すれば、各種の測定値を比較する際に、流量に対する時間の影響が、排除されるか、あるいは、影響の程度が少なくとも減ることになる。
【0030】
既に説明したように、第一の測定範囲内の流量がステップCで測定され、また、第二の測定範囲内の流量がステップEで測定されることが、考えられる。上記測定範囲は、互いに同一にすることができるが、互いに異なるようにすることもできる。第一の測定範囲と第二の測定範囲の接続部は、オーバーラップさせることが可能である。第一の測定範囲と第二の測定範囲とは、部分的にのみオーバーラップさせることができる。また、測定範囲は、全くオーバーラップさせないことも考えられる。
【0031】
ステップCを第一の流量センサーで行い、この方法に、ステップEで得られた一つ又はそれ以上の測定データに基づいて第一の流量センサーを補正し、かつ(あるいは)校正するさらなるステップを入れれば、非常に効果的である。
【0032】
好適な一形態では、第一の流量センサーは、熱式流量センサーであり、また、ステップEは、コリオリ式の第二の流量センサーで行なわれる。コリオリ式の流量センサーは、第一の流量センサー、例えば熱式流量センサーを補正し、かつ(あるいは)、校正するのに良好に使用できる。反対に、熱式流量センサーが、コリオリ式流量センサーを校正するのに使用できることは、言うまでもない。
【0033】
以下、添付の図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1a】本発明による流量計の一実施形態の斜視図である。
【図1b】図1aに示した流量計の平面図である。
【図1c】図1aに示した流量計の断面図である。
【図2a】本発明による流量計の一実施形態の斜視図である。
【図2b】本発明による流量計の一実施形態の斜視図である。
【図2c】本発明による流量計の一実施形態の斜視図である。
【図2d】接続部の第一のダイヤグラムを示す。
【図2e】接続部の第二のダイヤグラムを示す。
【図2f】流量計の一実施形態における抵抗器を測定するための可能な回路の概略図である。
【図3a】本発明による流量計の一実施形態の斜視図である。
【図3b】熱式流量センサーの斜視図である。
【図3c】本発明による流量計の一実施形態の斜視図である。
【図3d】本発明による流量計の一実施形態の斜視図である。
【図4a】本発明による流量計の一実施形態の概略平面図である。
【図4b】本発明による流量計の一実施形態の概略平面図である。
【図4c】本発明による流量計の一実施形態の概略平面図である。
【図4d】本発明による流量計の一実施形態の概略平面図である。
【図5a】本発明による流量計の一実施形態の概略図である。
【図5b】本発明による流量計の一実施形態の概略図である。
【図5c】本発明による流量計の一実施形態の概略図である。
【図5d】本発明による流量計の一実施形態の概略図である。
【図6】本発明による流量計の一実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1aは、流量計1を示す。流量計1には、エッチングで作られた二つの開口部51、52を有する単結晶シリコン基板16を備えたシステムチップが設けられている。モノリシックなシステムチップ16は、支持体14、例えば、その上に銅の導体を有するセラミック又はプラスチック材料のPCB(プリント回路基板)上に取り付けられた、互いに対向して配設された二つの永久磁石31、32と一ユニットに組み合わされている。基板16は、Siウェーハから作られ、支持体14に取り付けられている。システムチップと支持体との間の電気的接続部は、グループ81、82、83におけるいわゆるボンドワイヤによって設けられている。
【0036】
システムチップ内及びその上には、流量を測定すべき媒体を流送する流管21、22が設けられている。流管21、22は、供給端部4の形態をなす第一の端部4及びその下流に配設された吐出し端部6の形態をなす第二の端部6を備えている。流管には、流管21、22を通る流れの流量を第一の位置及び第二の位置で測定するための第一の流量センサー11及び第二の流量センサー12が設けられている。
【0037】
流量計1は、第一の開口部51内で自由に懸垂された、図示の実施形態における窒化珪素のコリオリ式管21を有するコリオリ式流量センサー11を備えている。このような流量計は、当業者にとっては、例えば、EP2078936(この文書は、本特許出願書に参照によって組み込まれている)により、それ自体公知のである。このようなセンサーを正しく理解するためには、コリオリ式管を通る流れの質量流量は、上記質量流量に関係付けられるコリオリ式管の振動量に通じると言えば十分である。この振動量は、読取り要素により、読み取ることができる。コリオリ式管は、ループ形であり、このループ形は、この場合、長方形である。他のループ形、例えば、三角形、台形又はU字形ももちろん考えられる。
【0038】
図1に示したシステムチップは、ピラニ圧力センサー18等の絶対圧センサー18を、例えば、基板16内に、あるいは、その上に組み込んで備えることができる。圧力センサー18は、空圧用のコリオリ式管21の測定された振動量を補正するのに使用できる。
【0039】
流管の第二の位置には、第二の開口部52内に固定的に懸垂された窒化珪素の管部21を有する熱式流量センサー12が設けられている。第二の位置は、第一の位置から隔てられている。図1aに示した状態では、熱式流量センサー12の管部21は、開口部と完全に交差しており、また、吐出し端部を有する管部の接続部23は、基板内の埋設チャネル23となっている(図1b参照)。熱式流量センサーは、当業者にとっては、それ自体公知であるが、多くのやり方で構成することができる。以下、熱式流量センサーの有り得るいくつかの実施形態をより詳しく説明する。
【0040】
一実施形態においては、熱式流量センサーは、四つの抵抗器要素を有するホイートストンブリッジ(図示せず)を備えており、そのうちの少なくとも一つの感温抵抗器が、流管に熱的に接続されている。加熱要素は、感温抵抗器の近傍に配置された流管の一部を加熱する。管内の流れは、管内の質量流量にもよるが、下流方向に熱を運ぶことになる。その結果として、感温抵抗器の場所における温度は、感温抵抗器が、それぞれ、加熱要素の下流に配設されているか、あるいは、上流に配設されているかにより、上昇又は下降することになる。温度の上昇又は下降は、感温抵抗器の抵抗に変化をもたらし、これは、次いで、ホイートストンブリッジによって読み取って、流量、好ましくは、媒体の質量流量の測定値に関係付けることができる。
【0041】
一実施形態(図示せず)においては、熱式流量センサーは、互いに対向して配設された、それぞれ感温抵抗器を有する二つの管部を備えている。各感温抵抗器は、ホイートストンブリッジの一つの半分に組み込まれている。熱式流量センサーの別の変形例も、もちろん考えられる。
【0042】
それ自体公知である熱式センサーの一実施形態を図3bに示す。前出の図に示した熱式流量センサー301は、流管320を備えており、これは、基板314の開口部内に固定的に懸垂された二つの窒化珪素の管部321、322を備えている。媒体は、入口304及び出口306を有する埋設チャネルを介して、流管321、322を通して流れることができる。第一の管部上には、管部の中心に、二つのヒータ要素340が配置されている。ヒータ要素340はまた、第二の管部322上にも配置されている。ヒータ340の各側における二つの脚部321、322の間には、二つのサーモパイル331、332が対称的に配置されている。二つの脚部の間には、フィルム341、342が設けられており、このフィルム上には、サーモパイル331、332が支持されている。
【0043】
熱式流量センサーの一実施形態(図示せず)においては、上記熱式流量センサーは、自由に懸垂された略U字形のループ形の管を備えている。自由な管の接続脚部の中心には、加熱抵抗器が配置されている。自由な管の二つの脚部の間には、脚部の間の温度差を測定するためのサーモパイルが配置されており、この温度差が、流量の目安である。このような流量センサーは、例えば、EP774649により公知である。このU字形の管は、U字形の接続脚部で、開口部の対向する壁部に取り付けることができ、あるいは、埋設チャネルを介して基板へと延びるようにすることができる(図2bに示した実施形態と同様)。両方の脚部上で、例えば、その中心にヒータ抵抗器を設けることによって、上記の熱式センサーのダブルバージョンが得られる。ヒータの各側で二つの脚部の間にサーモパイルを対称的に配置することができる。
【0044】
図1bは、図1aのシステムチップの平面図を示す。同様の部品は、同じ符号で示す。図は、システムチップが、第一の接続部4と第二の接続部6との間に延びている流管20を備えていることを明確に示している。第一の開口部51の場所では、流管20は、コリオリ式流量計11の一部を構成している。第二の開口部52の場所では、流管20は、熱式流量センサー12の一部を構成している。媒体は、選択した接続部にもよるが、先ず、熱式流量センサー12の流管部を通して流し、次いで、コリオリ式流量センサー11の流管部を通して流すか、あるいは、その逆にすることができる。二つの流量センサーの選択すべき順序は、限定されていない。
【0045】
図1cは、図1aの装置を示し、熱式流量センサー12の場所における断面図である。この図は、流管20の接続部6(端部部分)と別の流管61との間の流体接続が、圧力ブロック71及び圧力ブロック15によっていかに行なわれるかを明確に示すものである。
【0046】
図2aは、別の実施形態による流量計101を示す。図示の実施形態では、流量計101には、エッチングで作られた開口部152を有する単結晶シリコン基板114を備えたシステムチップが設けられている。システムチップは、図1aを参照して説明したシステムチップと同様に作成することができる。
【0047】
システムチップ内及びその上には、流量を測定すべき媒体を流送するための流管120が設けられている。流管120は、第一の端部104を供給端部104の形態で備えており、かつ、それから距離を隔てて、第二の端部106を、供給端部から下流に位置する吐出し端部106の形態で備えている。流管120は、二つの脚部121、122及び接続部123を有するループ形である。二つの脚部は、開口部152と完全に交差しており、また、基板内には、埋設チャネル123(点線で図示してある)が在り、これが、二つの脚部の接続部を構成している。流管には、流管120を通る流れの流量を第一の位置及び第二の位置で測定するための第一の熱式流量センサー111及び第二の熱式流量センサー112が、設けられている。
【0048】
第一の熱式流量センサー111は第一の脚部121上に設けられている。第一の熱式流量センサー111には、第一の抵抗器要素133が設けられており、これは、温度感知性があり、流管121に熱的に接続されている。第二の抵抗器要素133は、第一の抵抗器要素133から隔てられた場所に設けられている。図示の実施形態では、上記第二の抵抗器要素は、温度感知性があり、流管121に熱的に接続されているが、これは、絶対的に必要なことではない。抵抗器要素131、132は第一のセンサー回路の一部を構成している。第一の抵抗器要素133は第二の抵抗器要素132と電気的に直列に接続されている。第一の電圧測定要素は、第一の抵抗器要素131と第二の抵抗器要素132との間で接続可能である。これら抵抗器要素は、第一の抵抗器要素131の場所で、流管を少なくとも部分的に加熱するための加熱手段を構成している。しかしながら、この目的を念頭に置いて、例えば、図3bを参照して上記したように、別個の加熱要素を設けることも可能である。
【0049】
第二の熱式流量センサー112は第二の脚部122上に設けられている。第一の熱式流量センサーと同様に、第二の熱式流量センサー112には、温度感知性があり、流管122に熱的に接続されている第三の抵抗器要素133、及びそれと電気的に直列に接続できる第四の抵抗器要素134を備えた第二のセンサー回路が設けられている。図示の実施形態では、第四の抵抗器要素134は、温度感知性があり、流管122と熱的に接続されているが、これは、絶対的に必要なことではない。第二の電圧測定要素は、第三の抵抗器要素133と第四の抵抗器要素134との間で接続可能である。第二の脚部122もまた、第三の抵抗器要素133の場所で、流管122を少なくとも部分的に加熱するための加熱手段を備えている。この実施形態では、抵抗器要素は、加熱要素を構成しているが、他の実施形態も考えられる。
【0050】
図2cは、図2aにおける間隔を置いた二つの管部121、122の概略図である。管部121、122を通る流れの方向を、矢印F1、F2で示してある。第一の管部121では、流れは、図面の左から右に(矢印F1で示す方向に)生じ、第二の管部122では、流れは、反対の方向、すなわち、図面の右から左に(矢印F2で示す方向に)生じる。第一の管部121は、間隔を置いて配置された、温度感知性がある二つの抵抗器131、132を備えている。二つの抵抗器は、図2aを参照して説明したように、ホイートストンブリッジの第一の半分の一部を構成している。抵抗器131、132もまた、管部121を加熱するための加熱要素として構成されている。第二の管部122は、第一の管部121と同様に構成されており、第二の管部122と熱的に接続されている二つの感温抵抗器133、134を備えている。上記抵抗器もまた、第二の管部を加熱するための加熱要素として機能する。破線M0、M0’は、管部を通る流れが全く無い場合の二つの管部の温度プロファイルを示す。
【0051】
流れが生ずると、管部121、122の温度が変化する。これは、実線M1、M1’で概略的に示してある。第一の管部121では、管部の中心(長手方向中央位置)から上流の部分における温度は、その下流の部分における流れ及び上昇の結果として下降することになる。この下降及び上昇で流量の測定がなされる。同じことは、第二の管部122についても当てはまる。流れの結果として、温度は、第二の管部においても同様に連続的に下降し、かつ、上昇する。経時的な温度変化は、感温抵抗器131、132、133、134によって、比較的正確に定量でき、したがって、管部121、122を通る流れも測定可能である。(例えば、基板の一方の側は、他方の側より高温なので)流れの方向F1、F2におけるいかなる温度勾配も平均化され、したがって、第一の管部についての測定結果に対する温度勾配の影響は、第二の管部の測定結果に対する温度勾配の影響と正確に反対である。
【0052】
図2dに示すように、第一の抵抗器要素131及び第二の抵抗器要素132は、ホイートストンブリッジの半分を構成するようなやり方で、電気的に接続することができる。基準抵抗器150、151を用いれば、流量の測定は、第一の抵抗器要素131及び(又は)第二の抵抗器要素132における抵抗変化に基づいて、定量することができる。第三の抵抗器要素133及び第四の抵抗器要素134は、ホイートストンブリッジの半分として接続し、基準抵抗器150、151をホイートストンブリッジの相補的な半分として用いて、同様に構成することができる。
【0053】
特殊な一実施形態では、第一の熱式流量センサー111及び第二の熱式流量センサー112は、図2eで概略的に示したように、電気的に接続されており、第一のセンサー回路及び第二のセンサー回路はホイートストンブリッジの第一の半分及び第二の半分をそれぞれ構成している。この場合、流量はフルホイートストンブリッジで測定できるので、流量は比較的正確なやり方で測定できる。この実施形態では、ホイートストンブリッジの第一の半分及び第二の半分の両方は、流量を別個に測定するのに使用できる。したがって、ホイートストンブリッジの各半分は、別個の熱式流量センサーとみなすことができる。
【0054】
特殊な一実施形態では、ホイートストンブリッジにおける抵抗器は、選択的に接続できる。流量計は、この目的のため、ホイートストンブリッジの第一の半分を抵抗器要素のうちの二つから選択的に構成し、かつ、ホイートストンブリッジの第二の半分を残りの抵抗器要素のうちの二つから選択的に構成する切換え手段を設けることができる。いくつかの構成が可能であり、それら構成は、図2fに示してある。流れ冷却抵抗器(抵抗器の場所の温度が下降する)を破線で示し、かつ、流れ加熱抵抗器(抵抗器の場所の温度が上昇する)を実線で示してある。
【0055】
図2fにおいて、文字Aで示した第一の構成では、流量を測定するのに使用できる測定回路が得られる。この構成では、ホイートストンブリッジの第一の半分は、低温抵抗器R1と高温抵抗器R2で構成され、ホイートストンブリッジの第二の半分も、低温抵抗器R4と高温抵抗器R3で構成されている。図2cに示した状態に対しては、R1は抵抗器要素131に対応し、R2は抵抗器要素132に対応し、R3は抵抗器要素134に対応し、R4は抵抗器要素133に対応する。高温抵抗器R2、R3は、ホイートストンブリッジにおいて、互いにいわば正反対の位置に配設されており、これは、低温抵抗器R1、R4も同様である。各種抵抗器の入替えが考えられるのは、言うまでもない。この構成Aにおける前述の切換えは、固定誤差の補正に使用できる。
【0056】
図2fにおいて、文字Bで示した第二の構成では、測定回路を校正するのに使用できる測定回路が得られる。この構成では、いわゆる共通オフセットが測定できる。この構成では、ホイートストンブリッジの第一の半分は、低温抵抗器R1と高温抵抗器R2で構成され、ホイートストンブリッジの第二の半分も、低温抵抗器R4と高温抵抗器R3で構成されている。高温抵抗器は、いわば互いに他に加えて配設されており、これは、低温抵抗器も同様である。各種抵抗器の入替えが考えられるのは、言うまでもない。
【0057】
図2fにおいて、文字Cで示した第三の構成では、一般に互いに他と反対のホイートストンブリッジの二つの部分から、測定回路が得られる。ホイートストンブリッジの第一の半分は、全ての高温抵抗器R3、R2で構成され、一方、ホイートストンブリッジの第二の半分は、全ての低温抵抗器R1、R4で構成されている。ホイートストンブリッジの測定値は、この場合、ゼロに等しくなるはずである。ずれがある場合は、それについての補正が可能である。各種抵抗器の入替えが考えられるのは、言うまでもない。
【0058】
図2aの流量計101もまた、図1aに示したコリオリ式流量センサー11と組み合せて、熱式流量センサーとして使用可能である。
【0059】
図2bは、図1aの流量計171の図であるが、図1a〜cの熱式流量センサー12が、図2aの流量計101に取り替わっている。事実、ここでは、媒体の流量を三つの(異なる)位置で測定するための三つの流量センサーを有する流管を備えた流量計171となっている。
【0060】
図3aは、合計4個の熱式流量センサーを有する流量計201の一実施形態を示す。この流量計は、入口204及び出口206を有し、かつ、基板214の開口部内に自由に懸垂されている合計4個の管部221、222、223、224有する流管220を備えている。そして、埋設チャネル225、226、227を介して、ループ形のフロート管となっている。各管部は、半分のホイートストンブリッジを備え、各半分は、温度感知性があり、かつ、加熱要素としても働く二つの抵抗器要素(231、232;233、234;235、236;237、238)を備えている。半分のホイートストンブリッジ4個は、選択的に組み合わせて、フルホイートストンブリッジを構成することができる。この実施形態を用いれば、流れの方向(管部の長手方向)における温度勾配、及び、管部の面において、流れの方向に対して垂直な方向の温度勾配の両方を補正することができる。さらに、図2fを参照して上記したように、ホイートストン回路で個々の抵抗器を選択的に接続することができる。
【0061】
図3cは、流管420上に設置した多数の熱式流量センサーを備えた流量計401の一実施形態を示す。この流管もまた、第一の端部404、及び、第二の端部406を有し、これらは、この実施形態では、それぞれ供給端部404及び吐出し端部406となっている。この実施形態においても、数個(合計4個)の管部421、422、423、424が、設けられており、これらは基板414の開口部の間で自由に延びている。各種の管部421、422、423、424は、埋設チャネル425、426、427を介して接続されており、ループ形の流管420を構成している。各管部の中心には、ヒータ要素が設けらている。隣接する管部は、図3bを参照して説明した熱式流量センサーと同様、それぞれのサーモパイル431、432、433、434、435、436によって接続されている。しかしながら、図3cの実施形態は、基板414の面内の温度勾配の補正が可能であるという利点を有している。
【0062】
図3dは、二つの熱式流量センサー533、553が設けられた4個の管部521、522、523、524を備えた流管を有する流量計501の一実施形態を示す。管部は、埋設チャネル525、526、527を介して接続されている。管部は、それぞれ、各管部の中心にヒータ要素540が設けられている。上記ヒータ要素のそれぞれのどちらかの側には、サーモパイル533、553が、配置されている。各サーモパイルは、合計4個の管部に亘って、流れの方向と垂直に延びている。サーモパイル533、553を読み取るための接続部531、532、551、552が設けられている。この実施形態でも、基板514の面における温度勾配の補正が可能である。
【0063】
図4a〜4dは、本発明による流量計の切替えを示す。図において、入口及び出口は一貫してそのようなものとして命名されている。しかしながら、当業者には、出口はまた入口としても使用できること、及びその逆も理解されよう。出口及び入口は、共に、さらなる開口部を利用することにより、出口又は入口としても同時に機能することができることが後に明らかとなるであろう。
【0064】
図4aは、入口604及び出口606を備えた流管620を有する流量計601の一実施形態を示す。流管620は、コリオリ式流量センサー611、及び、例えば図3a、図3c又は図3dで示した熱式流量センサーの形態での熱式流量センサー612を備えている。しかしながら、例えば図3に示した二つの直列に接続されている熱式流量センサー612、613を備えた実施形態も考えられる。コリオリ式流量センサー611及び熱式流量センサー612、613の間には、さらなる入口又は出口605が設けられており、これらは、コリオリ式流量センサー611又は熱式流量センサー(複数も可)612、613をバイパスするために、選択的に使用することができる。
【0065】
一実施形態においては、別の入口又は出口605を、唯一の供給開口部として使用できる。したがって、入口605は、供給端部となり、これにより、コリオリ式流量センサー611は、熱式流量センサー612、613と並列に配置されることになる。したがって、供給端部704は、吐出し開口部として働き、同じことは、吐出し端部706にも当てはまる。さらに、図1bに示した実施形態で言えば、ただ一つのコリオリ式流量センサー11を、ただ一つの熱式流量センサー12と並列に設置することが考えられる。
【0066】
図4bは、入口704及び出口706を備えた流管720を有する流量計701を示す。流管720は、コリオリ式流量センサー711、及び、例えば図2aに示したような二つの並列に接続されている熱式流量センサー712、713を備えている。このように、熱式流量センサーは、二つ以上の熱式流量センサーで効果的に構成することができる。T字形接続部705は、基板714に埋設されており、上記並列接続部を実現するため設けられている。
【0067】
図4cは、入口804及び出口806を備えた流管820を有する流量計801を示す。流管820は、コリオリ式流量センサー811、及び、例えば図2aに示したような熱式流量センサー812を備えている。上記流量計には、熱式流量センサーに並列に接続されている一つ又はそれ以上のシャントチューブ826、827が設けられており、これらシャントチューブは、基板814に埋設されている。シャントチューブ826、827の追加は、コリオリ式流量センサー811を通る流れの流量を、熱式流量センサー812に比べてより大きくし、したがって、流量を個々の流量センサーの範囲に合わせることを可能にするものである。
【0068】
図4dは、コリオリ式流量センサー911、及び、例えば図2aに示したような熱式流量センサー912を有する流量計901を示し、この場合、シャントチューブ926、927は、やや異なって配置されており、正確に言えば、コリオリ式流量センサー911は、熱式流量センサー912より低い流量を受け取るようになっている。
【0069】
図5a〜5dは、少なくとも一つのコリオリ式流量センサー及び少なくとも一つの熱式流量センサーを備えた流管を有する流量計の測定範囲のグラフ表示を示す。コリオリ式流量センサーの測定範囲は、太い破線で示し、熱式流量センサーの測定範囲は、細い実線で示してある。流管を通る実際の媒体の質量流量は、横軸で示してある。センサーからの出力信号は、縦軸で示してある。
【0070】
これらの図の全てにおいて、二つの流量センサーからの出力信号が重要である。第一の出力信号はY1軸で表し、第二の出力信号はY2軸で表してある。したがって、問題となる信号は、それぞれ、横軸で示した質量流量Xの特定の範囲を表す二つの信号である。
【0071】
コリオリ式センサーは、本来、質量流量センサーである。したがって、信号は、実際の質量流量にのみ大いに依存する。熱式流量センサーは、より敏感であるが、さらに言えば、流れる媒体の密度及び容量にも敏感である。
【0072】
図5aは、コリオリ式センサー95が、熱式流量センサーの校正手段としていかに使用できるかを示している。コリオリ式センサー95は、特定の感度を有し、bからeの質量流量範囲を有している。これは、熱式流量センサーを校正するのに使用できる。これは、出力信号を、変化しない質量流量でスケーリングすることによって行なうことができる。熱式流量センサーの傾きは、このようにして、特定の媒体の質量流量におけるその感度が、コリオリ式センサーの感度に対応するように校正することができる。この場合、信号93は、コリオリ式センサーと同じ感度を有している。信号91、93は、感度が高すぎ、一方、信号94は、低すぎる。
【0073】
図5bは、熱式流量センサーからの信号が、熱式流量センサーの感度を調整するという目的のために、増幅によっていかに調整できるかを示すものである。二つのセンサーの感度は、特定の質量流量において、熱式流量センサーの適切な増幅量を選択することによって等しくなる。それにより、比較的大きなダイナミック範囲(a〜e)を有する流量計が得られる。二つのセンサーの範囲は、部分的にオーバーラップしている。
【0074】
図5cは、図4cを参照して説明したシャントの使い方を示すものである。図5cは、コリオリ式センサー95と熱式流量センサー91、92、93、94との組合せから得られる出力信号を示す。信号91は、シャント無しの熱式流量センサーを示す。シャントは、熱式流量センサーの感度を犠牲にして測定範囲を拡大することを可能にするものである。熱式流量センサーの下側の範囲は、質量流量軸Xでは、スケーリングされているが、出力信号軸Y2では、スケーリングされていない。
【0075】
図5dは、図4dを参照して上記したシャントの使い方を示すものである。図5dは、コリオリ式センサー91、93、94、95(シャント有り又は無し)と熱式流量センサー92との組合せから得られる出力信号を示す。信号91は、シャント無しのコリオリ式センサーを示す。シャントを使用すれば、測定可能な範囲は拡大するが、感度は、下がることになる。しかしながら、より多くのシャントを使用すれば、測定範囲の下限も拡大する。
【0076】
最後に、図6は、エッチングで作られた二つの開口部51、52を有する単結晶シリコン基板14を備えたシステムチップの一実施形態の概略平面図である。モノリシックシステムチップ16は、互いに対向して配設された二つの永久磁石1031、1032を有する一つのユニットに組み合わせてあり、これは、図1を参照して上記したように、支持体(図示せず)に取り付けてある。システムチップ内及びその上には、流量を測定すべき媒体を流送するための流管1021、1022、1023が有る。この流管1021、1022、1023は、供給端部1004の形態の第一の端部1004及び供給端部の下流に配設された吐出し端部1006の形態の第二の端部1006を備えている。流管には、第一の流量センサー1011及び第二の流量センサー1012が設けられており、これらは共に、コリオリ式流量センサーの形態となっている。コリオリ式流量センサーでは、流管1021、1022を通る流れの流量は、第一の位置及び第二の位置で測定することができる。
【0077】
第一のコリオリ式流量センサー1011は、第二のコリオリ式流量センサー1012に対向して配置されており、第一のコリオリ式流量センサー1011と第二のコリオリ式流量センサーとの間に、鏡映軸が形成されている。
【0078】
図示の実施形態では、流量センサーは、並列に配置されている。しかしながら、第一のコリオリ式センサー1011を第二のコリオリ式センサー1012に接続する管1013の位置では、さらなる接続点が存在し、これは、媒体を供給もしくは吐き出すための開口部をなしている、と考えることができる。この接続点は、好ましくは、供給開口部として使用される。媒体は、供給端部1004(この場合、この接続点は、吐出し開口部として使用されている)を介して、また、吐出し端部1006を介して、システムチップを離れることになる。これは、二つのコリオリ式流量センサーの並列配置を可能にするものである。
【0079】
直列配置では、二つのコリオリ式センサーで差動的に測定することができ、測定信号に対する局所的な外乱を除去することができる。また、コリオリ式センサーの個々の信号を加えることによって、2倍の大きさの信号を測定することができる。
【0080】
並列配置では、第一のコリオリ式センサーに流れの一部のみを通し、第二のコリオリ式センサーに流れの別の一部を通すことが可能である。コリオリ式センサーは、同じ寸法にすることができるが、互いに異なる寸法にすることもでき、異なる流量範囲での測定に好適となる。したがって、第一の流量範囲では、第一のコリオリ式センサーを用いて測定し、第二の流量範囲では、第二のコリオリ式センサーを用いて測定することができ、この場合、第二の流量範囲は、第一の流量範囲と少なくとも部分的に異なっている。
【0081】
図示の実施形態では、システムチップはまた、例えば、ピラニ圧力センサー1018などの絶対圧センサー1018を備えており、これは、空気の圧力に対して、コリオリ式管21の測定された振動量を補正するのに使用される。
【0082】
当業者には、本発明の以上の説明が、好適ないくつかの実施形態を基になされたものであることが理解されよう。しかしながら、本発明は、これらの実施形態に限定されない。
【0083】
以上、本発明は、主として、システムチップを利用した実施形態を基に説明した。しかしながら、本発明を他の(より大きな)流量計に用いることも可能である。
【0084】
等価な変形例、及び(又は)、当業者には自明である、あるいは、自明ではない変形例が、本発明の枠内で、想到可能である。前出の変形例は、添付の特許請求の範囲で定義した範囲内に入り得るものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体の流量を定量するための流量計であって、該流量計は、流量を測定すべき媒体を流送するための流管を備え、流管は、第一の端部及びそれからある距離を置いた第二の端部を有し、かつ、流量計には、流管の第一の位置で媒体の流量を測定するための第一の流量センサーが設けられている流量計に関する。本発明はまた、そのような流量計の使用に関する。本発明はさらに、媒体の流量を定量するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような流量計は、例えばEP2078936により、公知である。この公知の流量計には、システムチップが設けられており、また、この公知の流量計は、開口部が設けられている基板を備え、その開口部内には、流量を測定すべき媒体を流送するための窒化珪素の流管が存在する。EP2068936に記載されている流管は、コリオリ式流量センサーの一部を構成し、非常に低い質量流量を、1g/時よりもはるか低い値まで測定するのに適している。別の実施形態では、流管は、いわゆる熱式流量センサーの一部を構成している。
【0003】
公知の流量計及び公知の定量方法は、それらの正確度及び(又は)測定可能な範囲が限られている。公知の流量計は、非常に満足なものであるが、流量、例えば質量流量が、より正確に、かつ(あるいは)、より大きな測定範囲内で定量できる流量計及び定量方法に対するニーズが存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、流量、好ましくは質量流量を定量するための改良された流量計及び改良された方法を提供することである。さらに、流量、好ましくは非常に低い流量、例えば、1g/時よりもはるかに低い値の質量流量が、比較的高い正確度で測定できる方法及び流量計を提供することが目的である。また、それに加えて、非常に大きな範囲の流量、特に質量流量が測定できる流量計及び定量方法を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、その目的を達成するために、冒頭で記載した種類の流量計を提供し、この流量計は、請求項1の特徴部分に記載した構成で特徴付けられている。この流量計は、流量を測定すべき媒体を流送するための流管を備えている。この流量計には、媒体の流量を測定するための第一の流量センサーが、流管の第一の位置に設けられている。この第一の位置は、第一の端部と第二の端部の間に在る。この流量計にはまた、媒体の流量を測定するための第二の流量センサーが、流管の第二の位置に設けられている。この第二の位置は、第一の端部と第二の端部の間に在る。第一の流量センサー及び第二の流量センサーは、流管を通る流れの流量が、互いに独立的に測定されるよう設計されていることが好ましい。第二の、追加の流量センサーは、測定すべき流量についての追加の情報が引き出せる追加の測定データをもたらすものである。この追加の情報は、流管を通る流れの流量をより正確に測定することを可能にし、かつ(あるいは)流量計の範囲を拡げること(以下でより詳細に説明する)ことを可能にするものである。したがって、この追加の流量センサーを用いることにより、改良された流量計が得られる。本発明の目的は、このようにして達成される。
【発明の効果】
【0006】
従属項の[請求項2]〜[請求項17]の主題事項は、効果的な形態である。以下、これら形態のいくつか及びそれらの利点をより詳細に説明する。
【0007】
第一の流量センサー及び第二の流量センサーは、流量を流管の同じ位置で測定するよう設計することができる。しかしながら、二つの流量センサーの測定の独立性をさらに増大させるためには、第二の位置を第一の位置から隔てるのが好ましい。
【0008】
一形態においては、第一の端部は、供給端部であり、また、第二の端部は、供給端部の下流に位置する吐出し端部である。
【0009】
しかしながら、流管は、二つの端部の間に位置する別の開口部を備え、そして、この別の開口部は、流量を測定すべき媒体を供給又は吐き出すのに適したものとすることが可能である。好ましくは、この別の開口部は、第一の位置と第二の位置との間に位置しており、また、これらの位置は、好ましくは、上記したように、互いに或る距離、隔てられている。このような別の開口部によれば、第一の流量センサーと第二の流量センサーとを並列に位置させることが可能である。別の開口部がない場合は、流量センサーは、直列に位置させる。
【0010】
注目すべきは、流管は、いくつかの流管部分を備えることができること、及び流管は、一体に構成された部品でなくてもよいことである。
【0011】
流量計は、コリオリ式の流量センサーを備えることができる。コリオリ式流量センサーは、当業者には、それ自体公知のものである。第一の流量センサー又は第二の流量センサーは、コリオリ式とすることができる。第一の流量センサー及び第二の流量センサーが共にこのコリオリ式である一形態も考えられる。コリオリ式の流量センサーは、流管における流れで誘起された振動を基に流れの質量流量を測定するのに最適である。
【0012】
一形態においては、流量計は、熱式流量センサーを備えている。このタイプの流量センサーは、当業者には、それ自体公知である。第一の流量センサー又は第二の流量センサーは、熱式流量センサーとすることができる。非常に効果的な一形態においては、以下に説明するように、第一の流量センサー及び第二の流量センサーの両方が、熱式流量センサーである。このようなセンサーは、非常に小さな流れで誘起される温度変化を利用して、非常に低い質量流量を測定するのに最適である。
【0013】
流量計の精度は、第二の流量センサーによって発せられる少なくとも一つの信号を基に第一の流量センサーを校正するための校正手段を、流量計に備えれば、非常に効果的なやり方で向上させることができる。第二の流量センサーからの信号は、第一の流量センサーをチェックするのに使用でき、かつ、必要ならば、第一の流量センサーによって発せられる信号が流量を表わすように、第一の流量センサーを調整するのに使用できる。
【0014】
流量センサーは、特定の測定範囲内の流量を測定するよう設計されている。ここで使用する「測定範囲」の用語は、流量センサーによって(正確に)測定され得る特定のパラメータの値の範囲を意味する、と理解されたい。この意味で、流量センサーによって測定できる下側の限界及び流量センサーによって測定できる上側の限界が重要である。流量センサーが、体積流量を測定するよう設計されている場合は、例えば、上記測定範囲は、ナノリットル/秒単位で表すことができる。第一の流量センサーは、第一の測定範囲内の流量を測定するよう設計されており、また、第二の流量センサーは、第二の測定範囲内の流量を測定するよう設計されている。
【0015】
流量センサーのもう一つの重要な特性は、応答速度である。流量に変化が生ずる場合には、この変化は、流量センサーによって迅速に示されることが重要である。本発明による流量計の応答速度は、流量センサーを二つ使用しているため、比較的高く、精密な応答速度が可能である。
【0016】
流量計の測定可能な範囲を簡単なやり方で拡大するためには、第一の測定範囲と第二の測定範囲とがオーバーラップするように流量センサーを選択すればよい。好ましくは、それら流量センサーは、第一の測定範囲と第二の測定範囲とが部分的にのみオーバーラップするよう構成する。これにより、測定可能な範囲は、簡単に拡大できる。
【0017】
非常に効果的な一形態では、第一の流量センサーを熱式流量センサーにし、かつ、第二の流量センサーをコリオリ式の流量センサーとすることにより、第一の流量センサーの測定範囲を拡大し、かつ(あるいは)、校正することが可能である。
【0018】
第一の流量センサー及び第二の流量センサーが共に熱式流量センサーである一形態では、好ましくは、第一の熱式流量センサーには、温度感知性がありかつ流管に熱的に接続されている第一の抵抗器要素及びそれに対して直列に電気的に接続できる第二の抵抗器要素と;第一の抵抗器要素と第二の抵抗器要素との間で電気的に接続できる第一の電圧測定要素と;第一の抵抗器要素の場所で流管を少なくとも部分的に加熱するための第一の加熱手段とを備えた第一のセンサー回路が設けられており、かつ、第二の熱式流量センサーには、温度感知性がありかつ流管に熱的に接続されている第三の抵抗器要素及びこれに対して直列に電気的に接続できる第四の抵抗器要素と;第三の抵抗器要素と第四の抵抗器要素との間で電気的に接続できる第二の電圧測定要素と;流管を第三の抵抗器要素の場所で少なくとも部分的に加熱するための第二の加熱手段とを備えた第二のセンサー回路が設けられている。この形態では、第一のセンサー回路は、極めて好ましくは、第二のセンサー回路に、上記第一のセンサー回路及び上記第二のセンサー回路がそれぞれホイートストンブリッジの第一の半分及び第二の半分を構成するように、電気的に接続されている。流量は、この場合、流量が比較的正確なやり方で測定できるフルホイートストンブリッジで測定できる。この形態では、ホイートストンブリッジの第一の半分及び第二の半分の両方は、流量を測定するのに別々に使用できる。ホイートストンブリッジの各半分は、別個の熱式流量センサーとみなすことができる。
【0019】
好ましくは、流量計には、抵抗器要素のうちの二つからホイートストンブリッジの第一の半分を選択的に構成し、かつ、残りの抵抗器要素のうちの二つからホイートストンブリッジの第二の半分を選択的に構成する切換え手段が設けられている。切換え手段は、存在する四つの(又は可能的にはそれ以上の)抵抗器要素から四つの抵抗器要素を有するホイートストンブリッジを選択的に構成するのに使用できる。適切な切換えによれば、流量計における測定誤差を排除し、かつ、可能的には、ホイートストンブリッジ(第一の流量センサー)の第一の半分を、ホイートストンブリッジ(第二の流量センサー)の第二の半分によって得られる信号に基づいて補正又は校正することが可能になる。
【0020】
流量計の正確度をさらに向上させるためには、ホイートストンブリッジにおける第二の抵抗器要素及び(又は)第四の抵抗器要素が、温度感知性を有することが好ましい。感温抵抗器要素は、流管に接続することができるが、システムチップの温度を測定するのに、それにより、その温度の変化について校正する目的で使用することもできる。
【0021】
極めて好ましくは、第二の抵抗器要素及び(又は)第四の抵抗器要素は、流管に熱的に接続されている。
【0022】
ホイートストンブリッジの第一の半分は、流管の第一の部分を通る流れの流量を測定するよう設計することができる。ホイートストンブリッジの第二の半分は、流管の第二の部分を通る流れの流量を測定するよう設計することができる。上記部分(第一の部分及び第二の部分)は、互いに同一にすることができる。しかしながら、上記第一の部分及び上記第二の部分が、互いに本質的に隔てられていることが好ましい。一形態においては、第一の抵抗器要素及び第二の抵抗器要素は、流管の第一の部分に接続されており、また、第三の抵抗器要素及び第四の抵抗器要素は、流管の第二の部分に接続されており、これら第一の部分及び第二の部分は、互いに本質的に隔てられている。
【0023】
内部温度勾配の補正を可能にするためには、第一の部分及び第二の部分が、互いに対向して配設されていることが好ましい。上記部分は、互いに平行に延びていることが好ましい。すなわち、上記部分は、上記部分を通る流れの方向が、本質的に互いに対向するように配設されることが好ましい。結果として、熱式センサーからの信号に対する外部の温度勾配の影響は、平均化されることになる。
【0024】
コンパクトで簡単な流量センサーを得るためには、第一の加熱手段が、少なくとも第一の抵抗器要素及び(又は)第二の抵抗器要素を備えることが好ましい。さらに、又は、このこととは別に、第二の加熱手段は、少なくとも第三の抵抗器要素及び(又は)第四の抵抗器要素を備えることができる。
【0025】
本発明による流量計のさらなる利点は、異なる種類の媒体、すなわち、異なる気体及び(又は)液体に対して測定を行なうのに最適であることである。熱式流量センサーをコリオリ式流量センサーと共に使用する場合は、熱式流量センサーを、例えば、媒体の密度の差を補正するため校正することができる。
【0026】
一つのアスペクトによれば、本発明は、本発明による流量計の使用に関する。かかる使用は、ユーザーが、比較的正確なやり方で流量を定量することを可能にするものである。加えて、この流量計の使用は、流量をより大きな測定範囲に亘って定量することを可能にするものである。流量計のこのような使用のさらなる利点は、既に上記したとおりである。
【0027】
一つのアスペクトによれば、好ましくは上述した流量計により媒体の流量を定量する方法が提供される。この方法は、流管を用意するステップA;その流量を定量すべき媒体を流管を通して流送するステップB;流管の第一の位置で媒体の流量を測定するステップC;得られた一つ又はそれ以上の測定データに基づいて、媒体の流量を定量するステップDで構成されている。この方法は、流管の第二の位置で媒体の流量を測定するためのさらなるステップEで特徴付けられている。この方法によれば、流管を通る流れの流量は、二つの異なるステップを行なうことで測定される。好ましくは、上記ステップは、第一の測定が、たとえ第二の測定に影響したとしてもほとんど影響しないように、互いに独立して行なわれる。したがって、第二の位置で測定すれば、測定すべき流量についての追加の情報が引き出せる追加の測定データが得られることになる。上記追加の情報は、既により詳しく説明したように、流管を通る流れの流量をより正確に測定すること、及び(又は)、流量計の範囲を拡大することを可能にするものであるが、この方法に関しては、再び、より具体的に説明する。
従属項である[請求項20]〜[請求項26]の主題事項は、この方法の効果的な形態である。以下、これら形態のいくつか及びそれらの利点をより詳細に説明する。
【0028】
この方法の一形態においては、第二の位置は、第一の位置と異なっている。二つの異なる位置で測定することによって、各種の測定の独立性がさらに高まる。
【0029】
ステップEは、好ましくは、ステップCと同時に行なわれる。同時に測定すれば、各種の測定値を比較する際に、流量に対する時間の影響が、排除されるか、あるいは、影響の程度が少なくとも減ることになる。
【0030】
既に説明したように、第一の測定範囲内の流量がステップCで測定され、また、第二の測定範囲内の流量がステップEで測定されることが、考えられる。上記測定範囲は、互いに同一にすることができるが、互いに異なるようにすることもできる。第一の測定範囲と第二の測定範囲の接続部は、オーバーラップさせることが可能である。第一の測定範囲と第二の測定範囲とは、部分的にのみオーバーラップさせることができる。また、測定範囲は、全くオーバーラップさせないことも考えられる。
【0031】
ステップCを第一の流量センサーで行い、この方法に、ステップEで得られた一つ又はそれ以上の測定データに基づいて第一の流量センサーを補正し、かつ(あるいは)校正するさらなるステップを入れれば、非常に効果的である。
【0032】
好適な一形態では、第一の流量センサーは、熱式流量センサーであり、また、ステップEは、コリオリ式の第二の流量センサーで行なわれる。コリオリ式の流量センサーは、第一の流量センサー、例えば熱式流量センサーを補正し、かつ(あるいは)、校正するのに良好に使用できる。反対に、熱式流量センサーが、コリオリ式流量センサーを校正するのに使用できることは、言うまでもない。
【0033】
以下、添付の図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1a】本発明による流量計の一実施形態の斜視図である。
【図1b】図1aに示した流量計の平面図である。
【図1c】図1aに示した流量計の断面図である。
【図2a】本発明による流量計の一実施形態の斜視図である。
【図2b】本発明による流量計の一実施形態の斜視図である。
【図2c】本発明による流量計の一実施形態の斜視図である。
【図2d】接続部の第一のダイヤグラムを示す。
【図2e】接続部の第二のダイヤグラムを示す。
【図2f】流量計の一実施形態における抵抗器を測定するための可能な回路の概略図である。
【図3a】本発明による流量計の一実施形態の斜視図である。
【図3b】熱式流量センサーの斜視図である。
【図3c】本発明による流量計の一実施形態の斜視図である。
【図3d】本発明による流量計の一実施形態の斜視図である。
【図4a】本発明による流量計の一実施形態の概略平面図である。
【図4b】本発明による流量計の一実施形態の概略平面図である。
【図4c】本発明による流量計の一実施形態の概略平面図である。
【図4d】本発明による流量計の一実施形態の概略平面図である。
【図5a】本発明による流量計の一実施形態の概略図である。
【図5b】本発明による流量計の一実施形態の概略図である。
【図5c】本発明による流量計の一実施形態の概略図である。
【図5d】本発明による流量計の一実施形態の概略図である。
【図6】本発明による流量計の一実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1aは、流量計1を示す。流量計1には、エッチングで作られた二つの開口部51、52を有する単結晶シリコン基板16を備えたシステムチップが設けられている。モノリシックなシステムチップ16は、支持体14、例えば、その上に銅の導体を有するセラミック又はプラスチック材料のPCB(プリント回路基板)上に取り付けられた、互いに対向して配設された二つの永久磁石31、32と一ユニットに組み合わされている。基板16は、Siウェーハから作られ、支持体14に取り付けられている。システムチップと支持体との間の電気的接続部は、グループ81、82、83におけるいわゆるボンドワイヤによって設けられている。
【0036】
システムチップ内及びその上には、流量を測定すべき媒体を流送する流管21、22が設けられている。流管21、22は、供給端部4の形態をなす第一の端部4及びその下流に配設された吐出し端部6の形態をなす第二の端部6を備えている。流管には、流管21、22を通る流れの流量を第一の位置及び第二の位置で測定するための第一の流量センサー11及び第二の流量センサー12が設けられている。
【0037】
流量計1は、第一の開口部51内で自由に懸垂された、図示の実施形態における窒化珪素のコリオリ式管21を有するコリオリ式流量センサー11を備えている。このような流量計は、当業者にとっては、例えば、EP2078936(この文書は、本特許出願書に参照によって組み込まれている)により、それ自体公知のである。このようなセンサーを正しく理解するためには、コリオリ式管を通る流れの質量流量は、上記質量流量に関係付けられるコリオリ式管の振動量に通じると言えば十分である。この振動量は、読取り要素により、読み取ることができる。コリオリ式管は、ループ形であり、このループ形は、この場合、長方形である。他のループ形、例えば、三角形、台形又はU字形ももちろん考えられる。
【0038】
図1に示したシステムチップは、ピラニ圧力センサー18等の絶対圧センサー18を、例えば、基板16内に、あるいは、その上に組み込んで備えることができる。圧力センサー18は、空圧用のコリオリ式管21の測定された振動量を補正するのに使用できる。
【0039】
流管の第二の位置には、第二の開口部52内に固定的に懸垂された窒化珪素の管部21を有する熱式流量センサー12が設けられている。第二の位置は、第一の位置から隔てられている。図1aに示した状態では、熱式流量センサー12の管部21は、開口部と完全に交差しており、また、吐出し端部を有する管部の接続部23は、基板内の埋設チャネル23となっている(図1b参照)。熱式流量センサーは、当業者にとっては、それ自体公知であるが、多くのやり方で構成することができる。以下、熱式流量センサーの有り得るいくつかの実施形態をより詳しく説明する。
【0040】
一実施形態においては、熱式流量センサーは、四つの抵抗器要素を有するホイートストンブリッジ(図示せず)を備えており、そのうちの少なくとも一つの感温抵抗器が、流管に熱的に接続されている。加熱要素は、感温抵抗器の近傍に配置された流管の一部を加熱する。管内の流れは、管内の質量流量にもよるが、下流方向に熱を運ぶことになる。その結果として、感温抵抗器の場所における温度は、感温抵抗器が、それぞれ、加熱要素の下流に配設されているか、あるいは、上流に配設されているかにより、上昇又は下降することになる。温度の上昇又は下降は、感温抵抗器の抵抗に変化をもたらし、これは、次いで、ホイートストンブリッジによって読み取って、流量、好ましくは、媒体の質量流量の測定値に関係付けることができる。
【0041】
一実施形態(図示せず)においては、熱式流量センサーは、互いに対向して配設された、それぞれ感温抵抗器を有する二つの管部を備えている。各感温抵抗器は、ホイートストンブリッジの一つの半分に組み込まれている。熱式流量センサーの別の変形例も、もちろん考えられる。
【0042】
それ自体公知である熱式センサーの一実施形態を図3bに示す。前出の図に示した熱式流量センサー301は、流管320を備えており、これは、基板314の開口部内に固定的に懸垂された二つの窒化珪素の管部321、322を備えている。媒体は、入口304及び出口306を有する埋設チャネルを介して、流管321、322を通して流れることができる。第一の管部上には、管部の中心に、二つのヒータ要素340が配置されている。ヒータ要素340はまた、第二の管部322上にも配置されている。ヒータ340の各側における二つの脚部321、322の間には、二つのサーモパイル331、332が対称的に配置されている。二つの脚部の間には、フィルム341、342が設けられており、このフィルム上には、サーモパイル331、332が支持されている。
【0043】
熱式流量センサーの一実施形態(図示せず)においては、上記熱式流量センサーは、自由に懸垂された略U字形のループ形の管を備えている。自由な管の接続脚部の中心には、加熱抵抗器が配置されている。自由な管の二つの脚部の間には、脚部の間の温度差を測定するためのサーモパイルが配置されており、この温度差が、流量の目安である。このような流量センサーは、例えば、EP774649により公知である。このU字形の管は、U字形の接続脚部で、開口部の対向する壁部に取り付けることができ、あるいは、埋設チャネルを介して基板へと延びるようにすることができる(図2bに示した実施形態と同様)。両方の脚部上で、例えば、その中心にヒータ抵抗器を設けることによって、上記の熱式センサーのダブルバージョンが得られる。ヒータの各側で二つの脚部の間にサーモパイルを対称的に配置することができる。
【0044】
図1bは、図1aのシステムチップの平面図を示す。同様の部品は、同じ符号で示す。図は、システムチップが、第一の接続部4と第二の接続部6との間に延びている流管20を備えていることを明確に示している。第一の開口部51の場所では、流管20は、コリオリ式流量計11の一部を構成している。第二の開口部52の場所では、流管20は、熱式流量センサー12の一部を構成している。媒体は、選択した接続部にもよるが、先ず、熱式流量センサー12の流管部を通して流し、次いで、コリオリ式流量センサー11の流管部を通して流すか、あるいは、その逆にすることができる。二つの流量センサーの選択すべき順序は、限定されていない。
【0045】
図1cは、図1aの装置を示し、熱式流量センサー12の場所における断面図である。この図は、流管20の接続部6(端部部分)と別の流管61との間の流体接続が、圧力ブロック71及び圧力ブロック15によっていかに行なわれるかを明確に示すものである。
【0046】
図2aは、別の実施形態による流量計101を示す。図示の実施形態では、流量計101には、エッチングで作られた開口部152を有する単結晶シリコン基板114を備えたシステムチップが設けられている。システムチップは、図1aを参照して説明したシステムチップと同様に作成することができる。
【0047】
システムチップ内及びその上には、流量を測定すべき媒体を流送するための流管120が設けられている。流管120は、第一の端部104を供給端部104の形態で備えており、かつ、それから距離を隔てて、第二の端部106を、供給端部から下流に位置する吐出し端部106の形態で備えている。流管120は、二つの脚部121、122及び接続部123を有するループ形である。二つの脚部は、開口部152と完全に交差しており、また、基板内には、埋設チャネル123(点線で図示してある)が在り、これが、二つの脚部の接続部を構成している。流管には、流管120を通る流れの流量を第一の位置及び第二の位置で測定するための第一の熱式流量センサー111及び第二の熱式流量センサー112が、設けられている。
【0048】
第一の熱式流量センサー111は第一の脚部121上に設けられている。第一の熱式流量センサー111には、第一の抵抗器要素133が設けられており、これは、温度感知性があり、流管121に熱的に接続されている。第二の抵抗器要素133は、第一の抵抗器要素133から隔てられた場所に設けられている。図示の実施形態では、上記第二の抵抗器要素は、温度感知性があり、流管121に熱的に接続されているが、これは、絶対的に必要なことではない。抵抗器要素131、132は第一のセンサー回路の一部を構成している。第一の抵抗器要素133は第二の抵抗器要素132と電気的に直列に接続されている。第一の電圧測定要素は、第一の抵抗器要素131と第二の抵抗器要素132との間で接続可能である。これら抵抗器要素は、第一の抵抗器要素131の場所で、流管を少なくとも部分的に加熱するための加熱手段を構成している。しかしながら、この目的を念頭に置いて、例えば、図3bを参照して上記したように、別個の加熱要素を設けることも可能である。
【0049】
第二の熱式流量センサー112は第二の脚部122上に設けられている。第一の熱式流量センサーと同様に、第二の熱式流量センサー112には、温度感知性があり、流管122に熱的に接続されている第三の抵抗器要素133、及びそれと電気的に直列に接続できる第四の抵抗器要素134を備えた第二のセンサー回路が設けられている。図示の実施形態では、第四の抵抗器要素134は、温度感知性があり、流管122と熱的に接続されているが、これは、絶対的に必要なことではない。第二の電圧測定要素は、第三の抵抗器要素133と第四の抵抗器要素134との間で接続可能である。第二の脚部122もまた、第三の抵抗器要素133の場所で、流管122を少なくとも部分的に加熱するための加熱手段を備えている。この実施形態では、抵抗器要素は、加熱要素を構成しているが、他の実施形態も考えられる。
【0050】
図2cは、図2aにおける間隔を置いた二つの管部121、122の概略図である。管部121、122を通る流れの方向を、矢印F1、F2で示してある。第一の管部121では、流れは、図面の左から右に(矢印F1で示す方向に)生じ、第二の管部122では、流れは、反対の方向、すなわち、図面の右から左に(矢印F2で示す方向に)生じる。第一の管部121は、間隔を置いて配置された、温度感知性がある二つの抵抗器131、132を備えている。二つの抵抗器は、図2aを参照して説明したように、ホイートストンブリッジの第一の半分の一部を構成している。抵抗器131、132もまた、管部121を加熱するための加熱要素として構成されている。第二の管部122は、第一の管部121と同様に構成されており、第二の管部122と熱的に接続されている二つの感温抵抗器133、134を備えている。上記抵抗器もまた、第二の管部を加熱するための加熱要素として機能する。破線M0、M0’は、管部を通る流れが全く無い場合の二つの管部の温度プロファイルを示す。
【0051】
流れが生ずると、管部121、122の温度が変化する。これは、実線M1、M1’で概略的に示してある。第一の管部121では、管部の中心(長手方向中央位置)から上流の部分における温度は、その下流の部分における流れ及び上昇の結果として下降することになる。この下降及び上昇で流量の測定がなされる。同じことは、第二の管部122についても当てはまる。流れの結果として、温度は、第二の管部においても同様に連続的に下降し、かつ、上昇する。経時的な温度変化は、感温抵抗器131、132、133、134によって、比較的正確に定量でき、したがって、管部121、122を通る流れも測定可能である。(例えば、基板の一方の側は、他方の側より高温なので)流れの方向F1、F2におけるいかなる温度勾配も平均化され、したがって、第一の管部についての測定結果に対する温度勾配の影響は、第二の管部の測定結果に対する温度勾配の影響と正確に反対である。
【0052】
図2dに示すように、第一の抵抗器要素131及び第二の抵抗器要素132は、ホイートストンブリッジの半分を構成するようなやり方で、電気的に接続することができる。基準抵抗器150、151を用いれば、流量の測定は、第一の抵抗器要素131及び(又は)第二の抵抗器要素132における抵抗変化に基づいて、定量することができる。第三の抵抗器要素133及び第四の抵抗器要素134は、ホイートストンブリッジの半分として接続し、基準抵抗器150、151をホイートストンブリッジの相補的な半分として用いて、同様に構成することができる。
【0053】
特殊な一実施形態では、第一の熱式流量センサー111及び第二の熱式流量センサー112は、図2eで概略的に示したように、電気的に接続されており、第一のセンサー回路及び第二のセンサー回路はホイートストンブリッジの第一の半分及び第二の半分をそれぞれ構成している。この場合、流量はフルホイートストンブリッジで測定できるので、流量は比較的正確なやり方で測定できる。この実施形態では、ホイートストンブリッジの第一の半分及び第二の半分の両方は、流量を別個に測定するのに使用できる。したがって、ホイートストンブリッジの各半分は、別個の熱式流量センサーとみなすことができる。
【0054】
特殊な一実施形態では、ホイートストンブリッジにおける抵抗器は、選択的に接続できる。流量計は、この目的のため、ホイートストンブリッジの第一の半分を抵抗器要素のうちの二つから選択的に構成し、かつ、ホイートストンブリッジの第二の半分を残りの抵抗器要素のうちの二つから選択的に構成する切換え手段を設けることができる。いくつかの構成が可能であり、それら構成は、図2fに示してある。流れ冷却抵抗器(抵抗器の場所の温度が下降する)を破線で示し、かつ、流れ加熱抵抗器(抵抗器の場所の温度が上昇する)を実線で示してある。
【0055】
図2fにおいて、文字Aで示した第一の構成では、流量を測定するのに使用できる測定回路が得られる。この構成では、ホイートストンブリッジの第一の半分は、低温抵抗器R1と高温抵抗器R2で構成され、ホイートストンブリッジの第二の半分も、低温抵抗器R4と高温抵抗器R3で構成されている。図2cに示した状態に対しては、R1は抵抗器要素131に対応し、R2は抵抗器要素132に対応し、R3は抵抗器要素134に対応し、R4は抵抗器要素133に対応する。高温抵抗器R2、R3は、ホイートストンブリッジにおいて、互いにいわば正反対の位置に配設されており、これは、低温抵抗器R1、R4も同様である。各種抵抗器の入替えが考えられるのは、言うまでもない。この構成Aにおける前述の切換えは、固定誤差の補正に使用できる。
【0056】
図2fにおいて、文字Bで示した第二の構成では、測定回路を校正するのに使用できる測定回路が得られる。この構成では、いわゆる共通オフセットが測定できる。この構成では、ホイートストンブリッジの第一の半分は、低温抵抗器R1と高温抵抗器R2で構成され、ホイートストンブリッジの第二の半分も、低温抵抗器R4と高温抵抗器R3で構成されている。高温抵抗器は、いわば互いに他に加えて配設されており、これは、低温抵抗器も同様である。各種抵抗器の入替えが考えられるのは、言うまでもない。
【0057】
図2fにおいて、文字Cで示した第三の構成では、一般に互いに他と反対のホイートストンブリッジの二つの部分から、測定回路が得られる。ホイートストンブリッジの第一の半分は、全ての高温抵抗器R3、R2で構成され、一方、ホイートストンブリッジの第二の半分は、全ての低温抵抗器R1、R4で構成されている。ホイートストンブリッジの測定値は、この場合、ゼロに等しくなるはずである。ずれがある場合は、それについての補正が可能である。各種抵抗器の入替えが考えられるのは、言うまでもない。
【0058】
図2aの流量計101もまた、図1aに示したコリオリ式流量センサー11と組み合せて、熱式流量センサーとして使用可能である。
【0059】
図2bは、図1aの流量計171の図であるが、図1a〜cの熱式流量センサー12が、図2aの流量計101に取り替わっている。事実、ここでは、媒体の流量を三つの(異なる)位置で測定するための三つの流量センサーを有する流管を備えた流量計171となっている。
【0060】
図3aは、合計4個の熱式流量センサーを有する流量計201の一実施形態を示す。この流量計は、入口204及び出口206を有し、かつ、基板214の開口部内に自由に懸垂されている合計4個の管部221、222、223、224有する流管220を備えている。そして、埋設チャネル225、226、227を介して、ループ形のフロート管となっている。各管部は、半分のホイートストンブリッジを備え、各半分は、温度感知性があり、かつ、加熱要素としても働く二つの抵抗器要素(231、232;233、234;235、236;237、238)を備えている。半分のホイートストンブリッジ4個は、選択的に組み合わせて、フルホイートストンブリッジを構成することができる。この実施形態を用いれば、流れの方向(管部の長手方向)における温度勾配、及び、管部の面において、流れの方向に対して垂直な方向の温度勾配の両方を補正することができる。さらに、図2fを参照して上記したように、ホイートストン回路で個々の抵抗器を選択的に接続することができる。
【0061】
図3cは、流管420上に設置した多数の熱式流量センサーを備えた流量計401の一実施形態を示す。この流管もまた、第一の端部404、及び、第二の端部406を有し、これらは、この実施形態では、それぞれ供給端部404及び吐出し端部406となっている。この実施形態においても、数個(合計4個)の管部421、422、423、424が、設けられており、これらは基板414の開口部の間で自由に延びている。各種の管部421、422、423、424は、埋設チャネル425、426、427を介して接続されており、ループ形の流管420を構成している。各管部の中心には、ヒータ要素が設けらている。隣接する管部は、図3bを参照して説明した熱式流量センサーと同様、それぞれのサーモパイル431、432、433、434、435、436によって接続されている。しかしながら、図3cの実施形態は、基板414の面内の温度勾配の補正が可能であるという利点を有している。
【0062】
図3dは、二つの熱式流量センサー533、553が設けられた4個の管部521、522、523、524を備えた流管を有する流量計501の一実施形態を示す。管部は、埋設チャネル525、526、527を介して接続されている。管部は、それぞれ、各管部の中心にヒータ要素540が設けられている。上記ヒータ要素のそれぞれのどちらかの側には、サーモパイル533、553が、配置されている。各サーモパイルは、合計4個の管部に亘って、流れの方向と垂直に延びている。サーモパイル533、553を読み取るための接続部531、532、551、552が設けられている。この実施形態でも、基板514の面における温度勾配の補正が可能である。
【0063】
図4a〜4dは、本発明による流量計の切替えを示す。図において、入口及び出口は一貫してそのようなものとして命名されている。しかしながら、当業者には、出口はまた入口としても使用できること、及びその逆も理解されよう。出口及び入口は、共に、さらなる開口部を利用することにより、出口又は入口としても同時に機能することができることが後に明らかとなるであろう。
【0064】
図4aは、入口604及び出口606を備えた流管620を有する流量計601の一実施形態を示す。流管620は、コリオリ式流量センサー611、及び、例えば図3a、図3c又は図3dで示した熱式流量センサーの形態での熱式流量センサー612を備えている。しかしながら、例えば図3に示した二つの直列に接続されている熱式流量センサー612、613を備えた実施形態も考えられる。コリオリ式流量センサー611及び熱式流量センサー612、613の間には、さらなる入口又は出口605が設けられており、これらは、コリオリ式流量センサー611又は熱式流量センサー(複数も可)612、613をバイパスするために、選択的に使用することができる。
【0065】
一実施形態においては、別の入口又は出口605を、唯一の供給開口部として使用できる。したがって、入口605は、供給端部となり、これにより、コリオリ式流量センサー611は、熱式流量センサー612、613と並列に配置されることになる。したがって、供給端部704は、吐出し開口部として働き、同じことは、吐出し端部706にも当てはまる。さらに、図1bに示した実施形態で言えば、ただ一つのコリオリ式流量センサー11を、ただ一つの熱式流量センサー12と並列に設置することが考えられる。
【0066】
図4bは、入口704及び出口706を備えた流管720を有する流量計701を示す。流管720は、コリオリ式流量センサー711、及び、例えば図2aに示したような二つの並列に接続されている熱式流量センサー712、713を備えている。このように、熱式流量センサーは、二つ以上の熱式流量センサーで効果的に構成することができる。T字形接続部705は、基板714に埋設されており、上記並列接続部を実現するため設けられている。
【0067】
図4cは、入口804及び出口806を備えた流管820を有する流量計801を示す。流管820は、コリオリ式流量センサー811、及び、例えば図2aに示したような熱式流量センサー812を備えている。上記流量計には、熱式流量センサーに並列に接続されている一つ又はそれ以上のシャントチューブ826、827が設けられており、これらシャントチューブは、基板814に埋設されている。シャントチューブ826、827の追加は、コリオリ式流量センサー811を通る流れの流量を、熱式流量センサー812に比べてより大きくし、したがって、流量を個々の流量センサーの範囲に合わせることを可能にするものである。
【0068】
図4dは、コリオリ式流量センサー911、及び、例えば図2aに示したような熱式流量センサー912を有する流量計901を示し、この場合、シャントチューブ926、927は、やや異なって配置されており、正確に言えば、コリオリ式流量センサー911は、熱式流量センサー912より低い流量を受け取るようになっている。
【0069】
図5a〜5dは、少なくとも一つのコリオリ式流量センサー及び少なくとも一つの熱式流量センサーを備えた流管を有する流量計の測定範囲のグラフ表示を示す。コリオリ式流量センサーの測定範囲は、太い破線で示し、熱式流量センサーの測定範囲は、細い実線で示してある。流管を通る実際の媒体の質量流量は、横軸で示してある。センサーからの出力信号は、縦軸で示してある。
【0070】
これらの図の全てにおいて、二つの流量センサーからの出力信号が重要である。第一の出力信号はY1軸で表し、第二の出力信号はY2軸で表してある。したがって、問題となる信号は、それぞれ、横軸で示した質量流量Xの特定の範囲を表す二つの信号である。
【0071】
コリオリ式センサーは、本来、質量流量センサーである。したがって、信号は、実際の質量流量にのみ大いに依存する。熱式流量センサーは、より敏感であるが、さらに言えば、流れる媒体の密度及び容量にも敏感である。
【0072】
図5aは、コリオリ式センサー95が、熱式流量センサーの校正手段としていかに使用できるかを示している。コリオリ式センサー95は、特定の感度を有し、bからeの質量流量範囲を有している。これは、熱式流量センサーを校正するのに使用できる。これは、出力信号を、変化しない質量流量でスケーリングすることによって行なうことができる。熱式流量センサーの傾きは、このようにして、特定の媒体の質量流量におけるその感度が、コリオリ式センサーの感度に対応するように校正することができる。この場合、信号93は、コリオリ式センサーと同じ感度を有している。信号91、93は、感度が高すぎ、一方、信号94は、低すぎる。
【0073】
図5bは、熱式流量センサーからの信号が、熱式流量センサーの感度を調整するという目的のために、増幅によっていかに調整できるかを示すものである。二つのセンサーの感度は、特定の質量流量において、熱式流量センサーの適切な増幅量を選択することによって等しくなる。それにより、比較的大きなダイナミック範囲(a〜e)を有する流量計が得られる。二つのセンサーの範囲は、部分的にオーバーラップしている。
【0074】
図5cは、図4cを参照して説明したシャントの使い方を示すものである。図5cは、コリオリ式センサー95と熱式流量センサー91、92、93、94との組合せから得られる出力信号を示す。信号91は、シャント無しの熱式流量センサーを示す。シャントは、熱式流量センサーの感度を犠牲にして測定範囲を拡大することを可能にするものである。熱式流量センサーの下側の範囲は、質量流量軸Xでは、スケーリングされているが、出力信号軸Y2では、スケーリングされていない。
【0075】
図5dは、図4dを参照して上記したシャントの使い方を示すものである。図5dは、コリオリ式センサー91、93、94、95(シャント有り又は無し)と熱式流量センサー92との組合せから得られる出力信号を示す。信号91は、シャント無しのコリオリ式センサーを示す。シャントを使用すれば、測定可能な範囲は拡大するが、感度は、下がることになる。しかしながら、より多くのシャントを使用すれば、測定範囲の下限も拡大する。
【0076】
最後に、図6は、エッチングで作られた二つの開口部51、52を有する単結晶シリコン基板14を備えたシステムチップの一実施形態の概略平面図である。モノリシックシステムチップ16は、互いに対向して配設された二つの永久磁石1031、1032を有する一つのユニットに組み合わせてあり、これは、図1を参照して上記したように、支持体(図示せず)に取り付けてある。システムチップ内及びその上には、流量を測定すべき媒体を流送するための流管1021、1022、1023が有る。この流管1021、1022、1023は、供給端部1004の形態の第一の端部1004及び供給端部の下流に配設された吐出し端部1006の形態の第二の端部1006を備えている。流管には、第一の流量センサー1011及び第二の流量センサー1012が設けられており、これらは共に、コリオリ式流量センサーの形態となっている。コリオリ式流量センサーでは、流管1021、1022を通る流れの流量は、第一の位置及び第二の位置で測定することができる。
【0077】
第一のコリオリ式流量センサー1011は、第二のコリオリ式流量センサー1012に対向して配置されており、第一のコリオリ式流量センサー1011と第二のコリオリ式流量センサーとの間に、鏡映軸が形成されている。
【0078】
図示の実施形態では、流量センサーは、並列に配置されている。しかしながら、第一のコリオリ式センサー1011を第二のコリオリ式センサー1012に接続する管1013の位置では、さらなる接続点が存在し、これは、媒体を供給もしくは吐き出すための開口部をなしている、と考えることができる。この接続点は、好ましくは、供給開口部として使用される。媒体は、供給端部1004(この場合、この接続点は、吐出し開口部として使用されている)を介して、また、吐出し端部1006を介して、システムチップを離れることになる。これは、二つのコリオリ式流量センサーの並列配置を可能にするものである。
【0079】
直列配置では、二つのコリオリ式センサーで差動的に測定することができ、測定信号に対する局所的な外乱を除去することができる。また、コリオリ式センサーの個々の信号を加えることによって、2倍の大きさの信号を測定することができる。
【0080】
並列配置では、第一のコリオリ式センサーに流れの一部のみを通し、第二のコリオリ式センサーに流れの別の一部を通すことが可能である。コリオリ式センサーは、同じ寸法にすることができるが、互いに異なる寸法にすることもでき、異なる流量範囲での測定に好適となる。したがって、第一の流量範囲では、第一のコリオリ式センサーを用いて測定し、第二の流量範囲では、第二のコリオリ式センサーを用いて測定することができ、この場合、第二の流量範囲は、第一の流量範囲と少なくとも部分的に異なっている。
【0081】
図示の実施形態では、システムチップはまた、例えば、ピラニ圧力センサー1018などの絶対圧センサー1018を備えており、これは、空気の圧力に対して、コリオリ式管21の測定された振動量を補正するのに使用される。
【0082】
当業者には、本発明の以上の説明が、好適ないくつかの実施形態を基になされたものであることが理解されよう。しかしながら、本発明は、これらの実施形態に限定されない。
【0083】
以上、本発明は、主として、システムチップを利用した実施形態を基に説明した。しかしながら、本発明を他の(より大きな)流量計に用いることも可能である。
【0084】
等価な変形例、及び(又は)、当業者には自明である、あるいは、自明ではない変形例が、本発明の枠内で、想到可能である。前出の変形例は、添付の特許請求の範囲で定義した範囲内に入り得るものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の流量を定量するための流量計であって、該流量計は、流量を測定すべき媒体を流送するための流管を備え、流管は、第一の端部と、該第一の端部から距離を置いて配設された第二の端部を有し、媒体の流量を流管の第一の位置で測定するための第一の流量センサーが設けられている流量計において、流量計には、流管の第二の位置で媒体の流量測定するための第二の流量センサーが設けられていることを特徴とする流量計。
【請求項2】
第二の位置は、第一の位置から隔てられていることとする請求項1に記載の流量計。
【請求項3】
流量計は、コリオリ式の流量センサーを備えており、第一の流量センサーと第二の流量センサーの少なくとも一方は、コリオリ式であることとする請求項1または請求項2に記載の流量計。
【請求項4】
流量計は、熱式流量センサーを備え、第一の流量センサーと第二の流量センサーの少なくとも一方は、熱式流量センサーであることとする請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載の流量計。
【請求項5】
流量計は、第二の流量センサーによって伝えられる少なくとも一つの信号に基づいて第一の流量センサーを校正するための校正手段を備えていることとする請求項1ないし請求項4のうちのいずれか一つに記載の流量計。
【請求項6】
第一の流量センサーは熱式流量センサーであり、第二の流量センサーはコリオリ式の流量センサーであることとする請求項1ないし請求項5のうちのいずれか一つに記載の流量計。
【請求項7】
第一の流量センサーは第一の測定範囲内の流量を測定するよう設計されており、第二の流量センサーは第二の測定範囲内の流量を測定するよう設計されていることとする請求項1ないし請求項6のうちのいずれか一つに記載の流量計。
【請求項8】
第一の測定範囲と第二の測定範囲とはオーバーラップしていることとする請求項7に記載の流量計。
【請求項9】
第一の測定範囲と第二の測定範囲とは部分的にのみオーバーラップしていることとする請求項8に記載の流量計。
【請求項10】
第一の流量センサー及び第二の流量センサーは共に、熱式流量センサーであることとする請求項1ないし請求項5そして請求項7ないし請求項9のうちのいずれか一つに記載の流量計。
【請求項11】
第一の熱式センサーには、
* 温度感知性があり、かつ、流管に熱的に接続されている第一の抵抗器要素及びこれ に電気的に直列な第二の抵抗器要素を備えた第一のセンサー回路と、
* 第一の抵抗器要素と第二の抵抗器要素との間を電気的に接続可能な第一の電圧測定 要素と、
* 流管を第一の抵抗器要素の場所で少なくとも部分的に加熱するための第一の加熱手 段と、
が設けられており、
かつ、第二の 熱式流量センサーには、
* 温度感知性があり、かつ、流管に熱的に接続されている第三の抵抗器要素及びこれ に電気的に直列な第四の抵抗器要素を備えた第二のセンサー回路と、
* 第三の抵抗器要素と第四の抵抗器要素との間を電気的に接続可能な第二の電圧測定 要素と、
* 流管を第三の抵抗器要素の場所で少なくとも部分的に加熱するための第二の加熱手 段と、
が設けられており、
第一のセンサー回路は、上記第一のセンサー回路及び上記第二のセンサー回路がそれぞれホイートストンブリッジの第一の半分及び第二の半分を構成するように、第二のセンサー回路に電気的に接続されていることとする請求項10に記載の流量計。
【請求項12】
流量計には、抵抗器要素のうちの二つからホイートストンブリッジの第一の半分を選択的に構成し、かつ残りの抵抗器要素のうちの二つからホイートストンブリッジの第二の半分を選択的に構成するための切換え手段が設けられていることとする請求項11に記載の流量計。
【請求項13】
第二の抵抗器要素と第四の抵抗器要素の少なくとも一方は温度感知性を有することとする請求項11又は請求項12に記載の流量計。
【請求項14】
第二の抵抗器要素と第四の抵抗器要素の少なくとも一方は流管に熱的に接続されていることとする請求項11ないし請求項13のうちのいずれか一つに記載の流量計。
【請求項15】
第一の抵抗器要素及び第二の抵抗器要素は流管の第一の部分に接続されており、かつ、第三の抵抗器要素及び第四の抵抗器要素は流管の第二の部分に接続されており、これら第一の部分及び第二の部分は互いに隔てられていることとする請求項11ないし請求項14のうちのいずれか一つに記載の流量計。
【請求項16】
第一の部分及び前記第二の部分は互いに対向して配設されており、好ましくは、互いに平行して延びていることとする請求項15に記載の流量計。
【請求項17】
第一の加熱手段が第一の抵抗器要素と第二の抵抗器要素の少なくとも一方を備える条件と、第二の加熱手段が第三の抵抗器要素と第四の抵抗器要素の少なくとも一方を備える条件との少なくとも一方の条件を具備していることとする請求項11ないし請求項16のうちのいずれか一つに記載の流量計。
【請求項18】
請求項11ないし請求項17のうちのいずれか一つに記載の流量計の使用。
【請求項19】
好ましくは請求項11ないし請求項17のうちのいずれか一つに記載の流量計によって、媒体の流量を定量する方法であって、該方法は、
A) 流管を用意するステップと、
B) 流管を通る流れを定量すべき媒体を流送するステップと、
C) 流管の第一の位置で媒体の流量を測定するステップと、
D) 得られた一つ又はそれ以上の測定データに基づいて媒体の流量を定量するステップと、
を備え、
この方法は、
E) 媒体の流量を流管の第二の位置で測定するさらなるステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項20】
第二の位置は第一の位置とは異なることとする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ステップEはステップCと同時に行なわれることとする請求項19又は請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ステップCにて第一の測定範囲内の流量が測定され、かつ、ステップEにて第二の測定範囲内の流量が測定されることとする請求項19、請求項20そして請求項21のうちの一つに記載の方法。
【請求項23】
第一の測定範囲及び第二の測定範囲はオーバーラップしていることとする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
第一の測定範囲及び第二の測定範囲は部分的にのみオーバーラップしていることとする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ステップCは第一の流量センサーで行なわれ、かつ、この方法は、ステップEで得られた一つ又はそれ以上の測定データに基づいて、第一の流量センサーの補正と校正の少なくとも一方を行うさらなるステップを備えることとする請求項19ないし請求項24のうちのいずれか一つに記載の方法。
【請求項26】
第一の流量センサーは熱式流量センサーであり、かつ、ステップEはコリオリ式の第二の流量センサーで行なわれることとする請求項19ないし請求項25のうちのいずれか一つに記載の方法。
【請求項1】
媒体の流量を定量するための流量計であって、該流量計は、流量を測定すべき媒体を流送するための流管を備え、流管は、第一の端部と、該第一の端部から距離を置いて配設された第二の端部を有し、媒体の流量を流管の第一の位置で測定するための第一の流量センサーが設けられている流量計において、流量計には、流管の第二の位置で媒体の流量測定するための第二の流量センサーが設けられていることを特徴とする流量計。
【請求項2】
第二の位置は、第一の位置から隔てられていることとする請求項1に記載の流量計。
【請求項3】
流量計は、コリオリ式の流量センサーを備えており、第一の流量センサーと第二の流量センサーの少なくとも一方は、コリオリ式であることとする請求項1または請求項2に記載の流量計。
【請求項4】
流量計は、熱式流量センサーを備え、第一の流量センサーと第二の流量センサーの少なくとも一方は、熱式流量センサーであることとする請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載の流量計。
【請求項5】
流量計は、第二の流量センサーによって伝えられる少なくとも一つの信号に基づいて第一の流量センサーを校正するための校正手段を備えていることとする請求項1ないし請求項4のうちのいずれか一つに記載の流量計。
【請求項6】
第一の流量センサーは熱式流量センサーであり、第二の流量センサーはコリオリ式の流量センサーであることとする請求項1ないし請求項5のうちのいずれか一つに記載の流量計。
【請求項7】
第一の流量センサーは第一の測定範囲内の流量を測定するよう設計されており、第二の流量センサーは第二の測定範囲内の流量を測定するよう設計されていることとする請求項1ないし請求項6のうちのいずれか一つに記載の流量計。
【請求項8】
第一の測定範囲と第二の測定範囲とはオーバーラップしていることとする請求項7に記載の流量計。
【請求項9】
第一の測定範囲と第二の測定範囲とは部分的にのみオーバーラップしていることとする請求項8に記載の流量計。
【請求項10】
第一の流量センサー及び第二の流量センサーは共に、熱式流量センサーであることとする請求項1ないし請求項5そして請求項7ないし請求項9のうちのいずれか一つに記載の流量計。
【請求項11】
第一の熱式センサーには、
* 温度感知性があり、かつ、流管に熱的に接続されている第一の抵抗器要素及びこれ に電気的に直列な第二の抵抗器要素を備えた第一のセンサー回路と、
* 第一の抵抗器要素と第二の抵抗器要素との間を電気的に接続可能な第一の電圧測定 要素と、
* 流管を第一の抵抗器要素の場所で少なくとも部分的に加熱するための第一の加熱手 段と、
が設けられており、
かつ、第二の 熱式流量センサーには、
* 温度感知性があり、かつ、流管に熱的に接続されている第三の抵抗器要素及びこれ に電気的に直列な第四の抵抗器要素を備えた第二のセンサー回路と、
* 第三の抵抗器要素と第四の抵抗器要素との間を電気的に接続可能な第二の電圧測定 要素と、
* 流管を第三の抵抗器要素の場所で少なくとも部分的に加熱するための第二の加熱手 段と、
が設けられており、
第一のセンサー回路は、上記第一のセンサー回路及び上記第二のセンサー回路がそれぞれホイートストンブリッジの第一の半分及び第二の半分を構成するように、第二のセンサー回路に電気的に接続されていることとする請求項10に記載の流量計。
【請求項12】
流量計には、抵抗器要素のうちの二つからホイートストンブリッジの第一の半分を選択的に構成し、かつ残りの抵抗器要素のうちの二つからホイートストンブリッジの第二の半分を選択的に構成するための切換え手段が設けられていることとする請求項11に記載の流量計。
【請求項13】
第二の抵抗器要素と第四の抵抗器要素の少なくとも一方は温度感知性を有することとする請求項11又は請求項12に記載の流量計。
【請求項14】
第二の抵抗器要素と第四の抵抗器要素の少なくとも一方は流管に熱的に接続されていることとする請求項11ないし請求項13のうちのいずれか一つに記載の流量計。
【請求項15】
第一の抵抗器要素及び第二の抵抗器要素は流管の第一の部分に接続されており、かつ、第三の抵抗器要素及び第四の抵抗器要素は流管の第二の部分に接続されており、これら第一の部分及び第二の部分は互いに隔てられていることとする請求項11ないし請求項14のうちのいずれか一つに記載の流量計。
【請求項16】
第一の部分及び前記第二の部分は互いに対向して配設されており、好ましくは、互いに平行して延びていることとする請求項15に記載の流量計。
【請求項17】
第一の加熱手段が第一の抵抗器要素と第二の抵抗器要素の少なくとも一方を備える条件と、第二の加熱手段が第三の抵抗器要素と第四の抵抗器要素の少なくとも一方を備える条件との少なくとも一方の条件を具備していることとする請求項11ないし請求項16のうちのいずれか一つに記載の流量計。
【請求項18】
請求項11ないし請求項17のうちのいずれか一つに記載の流量計の使用。
【請求項19】
好ましくは請求項11ないし請求項17のうちのいずれか一つに記載の流量計によって、媒体の流量を定量する方法であって、該方法は、
A) 流管を用意するステップと、
B) 流管を通る流れを定量すべき媒体を流送するステップと、
C) 流管の第一の位置で媒体の流量を測定するステップと、
D) 得られた一つ又はそれ以上の測定データに基づいて媒体の流量を定量するステップと、
を備え、
この方法は、
E) 媒体の流量を流管の第二の位置で測定するさらなるステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項20】
第二の位置は第一の位置とは異なることとする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ステップEはステップCと同時に行なわれることとする請求項19又は請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ステップCにて第一の測定範囲内の流量が測定され、かつ、ステップEにて第二の測定範囲内の流量が測定されることとする請求項19、請求項20そして請求項21のうちの一つに記載の方法。
【請求項23】
第一の測定範囲及び第二の測定範囲はオーバーラップしていることとする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
第一の測定範囲及び第二の測定範囲は部分的にのみオーバーラップしていることとする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ステップCは第一の流量センサーで行なわれ、かつ、この方法は、ステップEで得られた一つ又はそれ以上の測定データに基づいて、第一の流量センサーの補正と校正の少なくとも一方を行うさらなるステップを備えることとする請求項19ないし請求項24のうちのいずれか一つに記載の方法。
【請求項26】
第一の流量センサーは熱式流量センサーであり、かつ、ステップEはコリオリ式の第二の流量センサーで行なわれることとする請求項19ないし請求項25のうちのいずれか一つに記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6】
【公開番号】特開2013−33026(P2013−33026A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−126662(P2012−126662)
【出願日】平成24年6月4日(2012.6.4)
【出願人】(596167974)ベルキン ビーブイ (13)
【氏名又は名称原語表記】BERKIN B.V.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−126662(P2012−126662)
【出願日】平成24年6月4日(2012.6.4)
【出願人】(596167974)ベルキン ビーブイ (13)
【氏名又は名称原語表記】BERKIN B.V.
【Fターム(参考)】
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