説明

媒体処理装置

【課題】 従来の現金自動取引装置では剛性の劣化した紙幣を正確に判別することが困難な為、剛性が劣化の紙幣は正常な紙幣として誤って処理されることがあり装置の信頼性を十分確保できない。
【解決手段】 搬送路上に送風手段を設けて、該手段により、搬送路上の紙幣に送風して撓ませ、発光部から光を照射してその受光量に基づいて媒体の劣化を判定する。また、送風時の紙幣の画像を解析することにより媒体の劣化を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から取り込んだ媒体の剛性が劣化しているかどうかを判別し、その判別結果により所定の動作を行う媒体処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9は従来から使用されている媒体処理装置の一例である現金自動取引装置1の外観を示す外観図である。また図10には現金自動取扱装置1に搭載された主な装置の構成を示している。
【0003】
現金自動取引装置1には顧客との取引の際に装置前面の接客口から紙幣を受け入れ、所定の取引の後、必要に応じて出金する入出金処理を行う紙幣入出金部2、顧客が所持している磁気カードを受け入れて、当該カードに記録されている情報を読み出したり書き換えたりするカードリードプリンタ部3、顧客の通帳を受け入れて、当該通帳に取引した内容や金額を印字する通帳プリンタ部4、表示画面に各種情報を表示して顧客にガイダンス、操作指示等を行う顧客操作表示部5により構成されている。また、紙幣入出金部2には紙幣判別部7が設けられている。紙幣判別部7では紙幣入出金部2に取り込んだ紙幣の破れや痛み具合を判別し、不良紙幣を特定する。これらの各構成は現金自動取引装置1内に搭載されたメイン制御部6により制御されている。
【0004】
実際の取引に当たっては顧客が装置の前に立つと装置前面に設けられて図示しないセンサにより、顧客の存在を検知し、当該検知の信号に基づきメイン制御部6が顧客操作表示部5にサービス画面の表示の指示を送信する。顧客操作表示部5では種々のサービス画面が表示されて、顧客が所望する手続きの処理に誘導する。顧客が紙幣の入金を伴う取引を希望している場合、金額、暗証番号等の情報を顧客が入力した後、紙幣入出金部2の接客口を開いて入金の受付けるとともに、顧客が所定の紙幣をまとめて入金する。
【0005】
顧客が接客口から一括投入した複数の紙幣は、接客口から紙幣入出金部2に設けられた搬送路上に送出される段階で一枚ずつ分離される。そして一枚搬送される毎に金種判別及び不良紙幣の判別を行い、判別の結果、正常な紙幣は紙幣入出金部2内に設けられた金種別に紙幣収納庫に格納される。
【0006】
その後、紙幣収納庫に格納された紙幣は顧客操作表示部5を介して入力される顧客の要求に従い、必要に応じて格納された紙幣を取り出した後、接客口まで搬送し顧客の要求した金額の紙幣を返却する。
【特許文献1】特開2002−197507号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した現金自動取引装置では、取り込まれた紙幣は搬送路上を一枚ずつ搬送されるが、取り扱われる紙幣が破れていたり、剛性が劣化していると紙幣の搬送詰まりの原因となることがある。そのような障害を防ぐためにこのような不良紙幣を装置内に取り込む毎に速やかに特定して、このような紙幣を顧客に返金しないで装置内に保留し、再使用しないようにすれば、装置の信頼性が高まると同時に顧客サービスの向上の観点からも有益である。
【0008】
その為、従来から現金自動取引装置などの、媒体を大量に取扱う装置においては、媒体の紙質や痛み具合を判別する手段が内部に設けられていることが多い。
【0009】
これらの従来の一般的な媒体判別装置では紙幣のイメージ画像を画像処理することにより判別を行っているが、該方法では紙幣の「歪み」や「しわ」等の紙幣の弱り具合に由来する微細な特徴を検出するのが困難な為、紙幣の破れは比較的容易に判別が可能であるものの、破れてはいないが剛性の劣化した紙幣を正確に特定することは難しい。その為、装置の信頼性の向上を目的として、破れは生じていないが剛性の劣化した紙幣と正常な紙幣を正確に判別できる媒体判別装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記したような従来技術が有する課題に対して、本発明では紙幣に送風する送風手段と、紙幣に光を照射する発光手段と、前記光が反射されて生じる反射光を受光する受光手段とを備え、前記送風手段が送風するとともに光を紙幣に照射して受光手段が受光した受光量により紙幣の剛性が劣化しているか否かを識別するようにした。
【発明の効果】
【0011】
上記した本発明では、送風手段により送風する構造をしたので、正常な紙幣ならば生じにくい撓みを、剛性の劣化した紙幣についてのみ生じさせるころができ、紙幣判別の基準となる特徴を誇張することにより紙幣の優劣を確実に確実に検出することができる。また剛性が劣化していると判断した紙幣をリジェクト庫に収納し、出金しないようにすることにより、装置内を不良な紙幣が還流しないようにして媒体詰まりを防ぐとともに、顧客に不良な紙幣を返却することがなくなり顧客サービスを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明を実施するための最良の形態である実施例1乃至4について順次説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1は、送風手段が送風するとともに発光手段から光を媒体に照射し、受光手段が受光した受光量により紙幣の剛性が劣化しているか否かを識別するものである。
【0014】
(構成)
図1は実施例1の紙幣判別部7を示した構成図である。紙幣判別部7は現金自動取引装置1の搬送路B上に設置される。紙幣判別部7は紙幣に送風する送風部10、紙幣Aに光を照射する発光部9、紙幣Aからの反射光を受光する受光部11からなる。本実施例の構成では、送風部10、発光部9、受光部11は搬送路Bの紙幣Aの上方に配置される。搬送路Bの送風部10に対向する位置には、紙幣Aより面積が小さい凹部14が形成されている。
【0015】
また、搬送路Bの上流で紙幣Aを検出するセンサ12、受光部11で測定される正常な紙幣の平均の受光量を基準受光量として記録しておく基準受光量記憶部13からなる。上記の構成は紙幣判別制御部8により制御される。
【0016】
(動作)
次に本発明の実施例1の動作について説明する。図3は実施例1の動作フローチャートであり、以下、図中のS1〜S11の各ステップに従って説明する。
【0017】
顧客は、取引項目の選択、カード及び通帳の挿入、暗証番号照合等の所定の手続きを終えると、所持している紙幣を接客口に一括投入する。紙幣は一枚毎分離されたのち搬送されて紙幣判別部7に到達する。紙幣Aが紙幣判別部7付近に接近するとセンサ12が紙幣Aの先端を検出し、同時に紙幣判別制御部8に紙幣が検出されたことを通知する紙幣検出信号を送信する(S1)。紙幣判別制御部8は当該信号を受信すると紙幣判定部7の動作を起動する。
【0018】
紙幣Aはセンサ12の位置から所定量だけ搬送されて紙幣Aの中央部分が送風部10の直下に位置したところで停止する(S2)。このとき、紙幣Aは凹部14の縁に紙幣の端部が支えられることにより、凹部14に落下することなく姿勢を維持する。その後、紙幣Aの所定の位置に位置付けられたことを図示しないセンサが検知して紙幣判別制御部8に検知信号を発し、これを紙幣判別制御部8が受信すると、送風の準備が整ったものとして紙幣判別制御部8より送風部10に送風開始の指示が発信されて紙幣Aに送風を開始する(S3)。そして送風と同時に発光部9を発光させる(S4)。
【0019】
ここで、紙幣Aが正常な紙幣である場合は十分な剛性を有しているので、図1に示すように、送風されても紙幣Aが凹部14の縁に紙幣の端部が支えられたまま撓むことがなく発光部9からの光は紙幣Aの表面で反射し、その大部分が受光部11に受光される(S5)。受光部11が紙幣Aからの反射光を検出すると、紙幣判別制御部8は、基準受光量記憶部13から予め記録されている基準受光量を読み出す(S6)とともに、図示しないメモリに格納されている紙幣判定プログラムを組み込んで実行し、検出された受光量と基準受光量を比較する(S8)。なお、当該プログラムには受光部11での受光量が基準受光量より大きい場合、または等しい場合は紙幣Aは剛性が劣化していないと判定し、受光部11での受光量が基準受光量より小さい場合は紙幣Aは剛性が劣化していると判定するアルゴリズムが組み込まれている。
【0020】
図1の状態では、紙幣Aが正常な紙幣である場合は十分な剛性を有しており送風により撓むことがないので、発光部9からの光の大部分が受光部11に受光される。その為、受光部11により検出される受光量は、基準受光量とほぼ等しい値か大きい値となり判定プログラムにより紙幣Aは正常な紙幣として使用するに十分な剛性を有している判定される。これにより紙幣Aは正常な紙幣として通常の紙幣処理を引き続き行う(S9)。
【0021】
一方、紙幣Aが剛性の劣化した紙幣の場合は、図2に示すように、紙幣Aの中央部分が風圧により徐々に撓んで、凹部14の底部に向かって膨らんで突出する。この紙幣Aの撓みにより、発光部9からの光は紙幣Aの撓み部分で反射され反射角がずれて受光部11での受光量が減少する。その結果、受光部11により検出される受光量は、基準受光量より小さい値を採るので、判定プログラムにより紙幣Aは剛性が劣化しており、使用不可能な紙幣である判定する。その後、紙幣Aは使用不能であることを示す信号が紙幣判別制御部8を介してメイン制御部6に発信され、メイン制御部6は顧客操作表示部5に顧客の投入した紙幣に使用不可能な紙幣が含まれている旨を表示して顧客に通知したのち、当該紙幣を接客口に返送して顧客に返金する処理を行う(S10)。
【実施例2】
【0022】
本発明の実施例2は送風手段からの送風により紙幣を撓ませるとともに発光部から紙幣に光を照射して、紙幣により拡散した光を複数の受光部により受光し、紙幣の剛性の劣化を検出するものである。
【0023】
(構成)
実施例2の紙幣判別部7は、実施例1と同様に搬送路B上に設置され、送風部10、発光部9、センサ12、基準受光量記憶部13を有している。なお、本実施例が実施例1と異なるのは、図4に示したように紙幣からの拡散光を受光ために複数の受光部11a、11bを備えている点であり、当該複数の受光部は搬送路B及び紙幣Aの上方で発光部9及び送風部10の周囲に配置されている。
【0024】
(動作)
次に実施例2の動作について説明する。なお本実施例の動作は実施例1と同様であるので図3の実施例1の動作フローチャート及び図4を用いる。以下、図3中のS1〜S10の各ステップに沿って説明する。
【0025】
顧客が接客口に挿入した紙幣は一枚毎搬送されて紙幣判別部7に到達する。紙幣Aが紙幣判別部7付近に接近するとセンサ12が紙幣Aの先端を検出すると同時に紙幣判別制御部8に紙幣が検出されたことを通知する紙幣検出信号を送信する(S1)。紙幣判別制御部8は、同時に紙幣判別制御部8に紙幣が検出されたことを通知する紙幣検出信号を送信する。これにより紙幣判定の動作が起動する。
【0026】
その後、紙幣Aは所定量だけ搬送されて紙幣Aの中央部分が送風部10の直下に位置したところで停止する(S2)。紙幣Aが停止を図示しないセンサが検知して紙幣判別制御部8に検知信号を発し、これを紙幣判別制御部8が受信すると、送風の準備が整ったものとして紙幣判別制御部8より送風部10に送風開始の指示が発信されて紙幣Aに送風を開始する(S3)。
【0027】
また送風と同時に発光部9を発光させる(S4)。発光部9からの光は紙幣Aの表面で反射し、その大部分が受光部11a、11bに受光される(S5)。受光部11a、11bが紙幣Aからの拡散光を検出すると、紙幣判別制御部8は、基準受光量記憶部13から予め記録されている基準受光量を読み出す(S6)とともに、図示しないメモリに格納されている紙幣判定プログラムを組み込んで実行し、検出された受光量と基準受光量を比較する(S8)。なお、当該プログラムには受光部11a、11bでの受光量がそれぞれ基準受光量より大きい場合、または等しい場合は紙幣Aは剛性が劣化していないと判定し、受光部11a、11bのいすれかの受光量が基準受光量より小さい場合は紙幣Aは剛性が劣化していると判定するアルゴリズムが組み込まれている。
【0028】
紙幣Aが正常な紙幣である場合は十分な剛性を有しており送風により撓むことがないので、発光部9からの光の大部分が受光部11a、11bに受光される。その為、受光部11a、11bにより検出される受光量は、基準受光量とほぼ等しい値か大きい値となり判定プログラムにより紙幣Aは正常な紙幣として使用するに十分な剛性を有している判定される。これにより紙幣Aは正常な紙幣として通常の紙幣処理を引き続き行う(S9)。
【0029】
一方、紙幣Aが剛性の劣化した紙幣の場合は、図4に示すように、紙幣Aの中央部分が風圧により徐々に撓んで、凹部14の底部に向かって膨らんで突出する。この紙幣Aの撓みにより、発光部9からの光は紙幣Aの撓み部分で拡散光の反射角がずれて受光部11a、11bでの受光量が減少する。その結果、受光部11a、11bにより検出される受光量は、基準受光量より小さい値を採るので、判定プログラムにより紙幣Aは剛性が劣化しており、使用不可能な紙幣である判定する。その後、紙幣Aは使用不能であることを示す信号が紙幣判別制御部8を介してメイン制御部6に発信され、メイン制御部6は顧客操作表示部5に顧客の投入した紙幣に使用不可能な紙幣が含まれている旨を表示して顧客に通知したのち、当該紙幣を接客口に返送して顧客に返金する処理を行う(S10)。
【0030】
本実施例では1つの発光部から発せられた光が、紙幣の表面で拡散して生じた拡散光を複数の受光部で検出するようにしたので、1つの受光部を有する実施例1の構成より、より精度の高い判別を行うことができる。
【実施例3】
【0031】
(構成)
実施例3の紙幣判別部7は、実施例1と同様に搬送路B上に設置され、紙幣に送風する送風部10、紙幣に光を照射する発光部9、センサ12、基準受光量記憶部13を有している。なお、本実施例は、図5に示したように発光部9及び受光部11を搬送路の下部に設け、紙幣の上方から送風部10により送風して紙幣を撓ませるとともに、発光部9から受光部11に発せられた光が撓んだ紙幣により遮断されることにより紙幣の剛性の劣化を検出するようにした点で実施例1と異なる。
【0032】
(動作)
以下では、図3を用いて本発明の実施例2の動作について説明する。分実施例の動作は実施例1と同様なので、図3の実施例1の動作フローチャートと図5を用いて説明する。以降、図3のS1〜S12の各ステップは沿って説明する。
【0033】
顧客が紙幣を紙幣入金部4の接客口に挿入する。挿入された紙幣Aが紙幣判別部7付近に接近するとセンサ12が紙幣Aの先端を検出し、同時に紙幣判別制御部8に紙幣が検出されたことを通知する紙幣検出信号を送信する(S1)。紙幣判別制御部8はこれを受信すると紙幣判定部7の動作を起動する。その後、紙幣Aは所定量だけ搬送されて紙幣Aの中央部分が送風部10の直下に位置したところで停止する(S2)。紙幣Aが停止を図示しないセンサが検知して紙幣判別制御部8に検知信号を発し、これを紙幣判別制御部8が受信すると、送風の準備が整ったものとして紙幣判別制御部8より送風部10に送風開始の指示が発信されて紙幣Aに送風を開始する(S3)。
【0034】
また送風と同時に発光部9を発光させる(S4)。光は、凹部14を通過して受光部11へ到達する。受光部11が発光部9からの光を検出(S5)すると、紙幣判別制御部8は、基準受光量記憶部13から予め記録されている基準受光量を読み出す(S6)と共に送風を停止し(S7)、図示しないメモリに格納されている判定プログラムを組み込んで実行し、検出された受光量と基準受光量を比較する(S8)。なお、当該プログラムには受光部11での受光量が基準受光量より大きい場合、または等しい場合は紙幣Aは剛性が劣化していないと判定し、受光部11での受光量が基準受光量より小さい場合は紙幣Aは剛性が劣化していると判定するアルゴリズムが組み込まれている。
【0035】
紙幣Aが正常な紙幣である場合は、十分な剛性を有しており送風により撓むことがないので、発光部9からの光は紙幣Aに遮断されないので、その大部分が受光部11に受光される。その為、受光部11により検出される受光量は、基準受光量とほぼ等しい値か大きい値となり判定プログラムにより紙幣Aは正常な紙幣として使用するに十分な剛性を有している判定される。これにより紙幣Aは正常な紙幣として通常の紙幣処理を引き続き行う(S9)。
【0036】
一方、紙幣Aが剛性の劣化した紙幣の場合は、図2に示すように、紙幣Aの中央部分が風圧により徐々に撓んで、凹部14の底部に向かって膨らんで突出する。この紙幣Aの撓みにより、発光部9からの光は紙幣Aの撓み部分で遮断され受光部11での受光量が減少する。その結果、受光部11により検出される受光量は、基準受光量より小さい値となり、判定プログラムにより紙幣Aは剛性が劣化しており、使用不可能な紙幣である判定される。その後、紙幣Aは使用不能であることを示す信号が紙幣判別制御部8を介してメイン制御部6に発信され、メイン制御部6は顧客操作表示部5に顧客の投入した紙幣に使用不可能な紙幣が含まれている旨を表示して顧客に通知したのち、当該紙幣を接客口に返送して顧客に返金する処理を行う(S10)。
【0037】
実施例3の発明では、搬送路の下部に発光部及び受光部を配置するようにしたので、実施例1の構成と比べ装置をより小型化できるというメリットがある。
【実施例4】
【0038】
本願実施例4の発明は、送風手段により紙幣に送風するとともに撓んだ紙幣の画像を取得する画像撮影手段を有するものであり、当該手段により取得した、撓んだ紙幣の画像の特徴を抽出して正規の紙幣と比較をおこない紙幣の剛性の劣化を検出するものである。
【0039】
(構成)
図6は実施例1の紙幣判別部7の構成図である。紙幣判別部7は搬送路B上に設置される。紙幣判別部7は紙幣に送風する送風部10、カメラ15からなる。カメラ15は搬送路B上の紙幣の全体が一つの画像に取り込めるように配置される。またカメラ15が撮影した紙幣の画像から後述する各種特徴値を抽出する特徴抽出部、基準となる特徴値と照合して、紙幣の剛性の劣化の有無を判定する特徴照合部、正常な紙幣から抽出した特徴値を予め基準として記録しておく紙幣特徴記憶部を設けている。また紙幣判別制御部8はこれらの構成を制御している。
【0040】
(動作)
次に実施例4の動作を説明する。図8は本実施例の動作のフローチャートであり、以下、同図のS1〜S10の各ステップに沿って説明する。
【0041】
顧客が接客口により入金した紙幣は搬送路を搬送された後、紙幣判定部7の上流部分に達するとセンサ12により紙幣Aの先端が検知される(S1)。センサ12は紙幣Aを検出したことを示す紙幣検出信号を紙幣判別制御部8に送信しこれによりされ紙幣判定部7が起動する。
【0042】
その後、紙幣Aは、その中央部が送風部10の直下に位置するように所定量だけ搬送されて停止する(S2)。紙幣Aが停止すると図示しないセンサにより紙幣Aを検出したことを示す信号が紙幣判別制御部8に発信される。紙幣判別制御部8は当該信号を受信すると送風の準備が整ったものとして紙幣判送風部10に送風開始の指示を発信し、送風部10は紙幣Aに送風を開始する(S3)。
【0043】
送風が開始されると、正常な紙幣の場合は、送風されても紙幣Aは撓むことなく、一定時間だけ送風が続けられた後、紙幣判別制御部8からカメラ15に撮影開始の信号が発せられ、紙幣のイメージ画像が撮影される(S4)。その結果、図7(a)のように、撓みや歪みのない正常な紙幣の画像を得ることができる。一方、剛性の劣化した紙幣の場合は、送風されると大きな撓みを生じる。上述した正常な紙幣の場合と同様にカメラ15により撮影おこなうと、歪みが大きい図7(b)のような紙幣の画像を得る。
【0044】
紙幣の画像を取得後、紙幣判別制御部8は送風部10に送風を停止する信号を送信し、送風部10は送風を停止する。紙幣Aの画像は図示しないメモリに転送(S6)され紙幣の特徴の抽出を行う(S7)。特徴の抽出に当たっては、例えば、紙幣の4つの角が直角かどうかを判定したり、周囲の4辺の直線性、輪郭の全体長などの特徴を特徴値として抽出する。これらの紙幣の画像の抽出特徴は、撓みの大きい剛性の劣化した紙幣では正常な紙幣の場合と比べ小さい値になる傾向にあるので、正常な紙幣と、剛性の劣化した紙幣との特徴値の差が大きいければ、容易に両者を判別することができる。
【0045】
また、別の異なる方法としては紙幣画像の領域を複数の格子に分割し、各格子内の画素の分布を数値化してテンプレートデータを生成し、正常の紙幣のより同様に生成した基準テンプレートを用いてテンプレートマッチングにより判定を行うことも可能である。この場合、各格子内毎に距離値を算出し、測定している紙幣から生成されたテンプレートデータと基準点テンプレートとの距離を算出する。この距離値が一定以上ある場合は、測定された紙幣が正規の紙幣とかけ離れている場合は紙幣の剛性が劣化しており使用不能であると判定する(S8)。
【0046】
上記のような特徴値を基にした紙幣の判定を行い、正規の紙幣と検出した紙幣との間に特徴値の差異が小さい場合は、送風により生じた紙幣Aの撓みが少なく、紙幣は十分な剛性を有しており使用可能であると判定して、通常の紙幣処理を行う(S9)。また、正規の紙幣と検出した紙幣との間に特徴値の差異が大きい場合は、送風により生じた紙幣を検出した撓みが大きく、紙幣は剛性が劣化しており、使用不可能であるとして、リジェクト処置を行い、装置内に保留するか顧客に通知した後返金する(S10)。
【0047】
なお、本発明では、上述した実施例1〜4のすべての実施例について、組み合わせて実施することができる。例えば、実施例2と実施例3、4、実施例1と実施例3、4などの組み合わせを実施することにより、さらなる判別性能の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例1の形態の構成図である。
【図2】本発明の実施例1の剛性が劣化した紙幣の検出を示す図である。
【図3】本発明の実施例1の動作のフローチャート図である。
【図4】本発明の実施例2の剛性が劣化した紙幣の検出を示す図である。
【図5】本発明の実施例3の剛性が劣化した紙幣の検出を示す図である。
【図6】本発明の実施例4の構成図である。
【図7】本発明の実施例4の撮影された紙幣の画像イメージを示す図である。
【図8】本発明の実施例4の動作フローチャートである。
【図9】従来の現金自動取引装置の外観図である。
【図10】従来の現金自動取引装置の構成図である。
【符号の説明】
【0049】
1 装置
2 紙幣入出金部
3 カードリードライタ部
4 通帳プリンタ部
5 顧客操作表示部
6 メイン制御部
7 紙幣判別部
8 紙幣判別制御部
9 発光部
10 送風部
11 受光部
12 センサ
13 基準受光量記憶部
14 凹部
15 カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を取り込んで装置内に格納した後、排出して再利用する媒体処理装置において
前記媒体に送風する送風手段と、
前記媒体に光を照射する発光手段と、
前記媒体で反射した光を受光する受光手段と、
前記送風の時に、前記発光手段から光を前記媒体に照射し、前記受光手段が受光することにより前記紙幣の剛性が劣化しているか否かを判別する判別手段とを有することを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
媒体を取り込んで装置内に格納した後、排出して再利用する媒体処理装置において
前記媒体に送風する送風手段と、
前記媒体に光を照射する発光手段と、
前記媒体で拡散した光を受光する複数の受光手段と、
前記送風の時に、前記発光手段から光を前記媒体に照射し、前記受光手段が受光することにより前記紙幣の剛性が劣化しているか否かを判別する判別手段とを有することを特徴とする媒体処理装置。
【請求項3】
媒体を取り込んで装置内に格納した後、排出して再利用する媒体処理装置において
前記媒体に送風する送風手段と、
前記媒体に光を照射する発光手段と、
前記光を直接受光する受光手段とを備え、
前記送風の時に前記媒体に光を照射し、前記媒体が前記光を遮断し、前記受光手段が受光した受光量により前記紙幣の剛性が劣化しているか否かを識別することを特徴とする媒体処理装置。
【請求項4】
媒体を取り込んで装置内に格納した後、排出して再利用する媒体処理装置において
前記媒体に送風する送風手段と、
前記媒体の画像を取得する画像取得手段とを備え、
前記送風手段が送風するとともに前記画像を取得して、該画像を解析することにより紙幣の剛性が劣化しているか否かを識別することを特徴とする媒体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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