説明

媒体印字装置

【課題】搬送した媒体の印字がズレていたときに、そのズレに合せて搬送する媒体のスキューを矯正する。
【解決手段】可動式プレッシャローラ43を一端側で支持すると共にフィードローラ42に付勢する板バネ部70を設け、板バネ部70のネジ通し角孔73に通るネジ75を緩めて板バネ部70を基準面60側へ向けて可動式プレッシャローラ43の向きを調整し、ネジ通し角孔73に通るネジ75を締めなおし、可動式プレッシャローラ43の向きを固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通帳や取引明細票等の媒体に印字を行う媒体印字装置に関し、特に媒体のスキューを矯正するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の媒体印字装置は、判別部によって搬送している媒体が斜め送り、つまりスキューの状態かを判別し、その判別結果に対応するデータを表示することで、そのデータに従って係員による斜め送りを補正するための調整が行われる(例えば、特許文献1参照。)。このときの調節は調整ねじを回すことによりアームを介して、抵抗ローラを上下方向に移動させるようにしており、これにより抵抗ローラと、その両側に配されて紙幣を搬送ベルトに送りこむ繰出しローラとの仮想外周面のギャップ幅を広げる、あるいはギャップ幅を狭めて、抵抗ローラと紙葉類との摩擦力を調整し媒体が斜め送りとなるのを補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平02−46993号公報(第5頁左欄14行目−同左欄26行目、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、紙葉類と抵抗ローラとの摩擦力の調整により、斜め送りを補正するため、紙葉類と抵抗ローラとの摩擦力がどの程度斜め送りに影響するかを熟知していない係員にとっては、調整に時間がかかってしまう場合があるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するため手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、フィードローラと、該フィードローラと対向するプレッシャローラとにより挟持搬送している媒体へ印字を行う媒体印字装置であって、
前記プレッシャローラは、板バネの一端側に取り付けられて、該板バネによって前記フィードローラ側への付勢力が作用し、該板バネの他端側を中心とし、前記板バネを回転させることで前記プレッシャローラの取り付け角を変えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明は、プレッシャローラの取り付け角を変えることで媒体の搬送方向に対するプレッシャローラの向きを傾けるようになるので、媒体が斜め送りとなってしまったときの状態を矯正することが、摩擦力の調整よりも容易に行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の伝票印字装置を示す説明図
【図2】実施例1における媒体印字装置の各種センサの配置を示す説明図
【図3】実施例1の伝票インサータユニットの下ガイド板を示す上面図
【図4】可動式プレッシャローラに取り付けた板バネを示す説明図
【図5】可動式プレッシャローラの向きを変えた状態を示す説明図
【図6】実施例2の伝票インサータユニットを上方から見た様子を示す説明図
【図7】伝票がスキューしている様子を示す説明図
【図8】実施例3の歯付板バネ部を取り付けた可動式プレッシャローラを示す説明図
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明による媒体印字装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は実施例1の媒体印字装置を示す説明図である。
【0011】
図1において、1は媒体印字装置であり、銀行の窓口等に配設され、窓口の係員等によって操作され、通帳や伝票等の媒体を取り込んでその媒体に設けられた磁気ストライプの読み書き処理や媒体への印字処理を行う機能を有し、通帳インサータユニット10、印字ユニット20、オートターンページユニット30、伝票インサータユニット40等の複数のユニットによって構成されている。
【0012】
通帳インサータユニット10は、通帳挿入排出口を有し、窓口の係員によって通帳挿入排出口に通帳が挿入されたときに、その通帳を内部に取込む機能を備える他、取込んでいる通帳を通帳挿入排出口から排出する機能を備える。
【0013】
11は通帳搬送路であり、通帳挿入排出口に挿入された通帳に上方から対向する上ガイド板11aと、通帳に下方から対向する下ガイド板11bと、後述するフィードローラ12、可動式プレッシャローラ13、プレッシャローラ14等によって構成される。
上ガイド板11aには、フィードローラ12と幅寄せフィードローラ15の一部を突出させる切り欠きが設けられ、下ガイド板11bには可動式プレッシャローラ13、プレッシャローラ14、幅寄せプレッシャローラ16の一部を突出させるための切り欠きが設けられている。
【0014】
12はフィードローラであり、上ガイド板11aの切り欠きから一部が突出するように取り付けられ、図示しない駆動源からの駆動が伝達して回転する。
【0015】
13は可動式プレッシャローラであり、フィードローラ12に対向配置され、下ガイド板11bの切り欠きから一部が突出するように取り付けられており、フィードローラ12に接触する位置とフィードローラ12から退避した位置との間で動作可能に構成され、その動作は図示しないモータ等によって行われる。
【0016】
14はプレッシャローラであり、可動式プレッシャローラ13よりも印字ユニット20側で、フィードローラ12に対向して下ガイド板11bの切り欠きから一部が突出するように取り付けられている。
【0017】
また、可動式プレッシャローラ13とプレッシャローラ14は、バネ材等の弾性部材によってフィードローラ12側への付勢力が作用し、これによって通帳が搬送されてきたときはその通帳をフィードローラ12に押し付けるようになる。
【0018】
15は幅寄せフィードローラであり、通帳を取込んだときの搬送方向におけるフィードローラ12の上流側で、上ガイド板11aの切り欠きから一部が突出するように配され、かつその回転方向が通帳の幅方向となる向きであって、図示しない駆動源によって回転する。
【0019】
16は幅寄せプレッシャローラであり、下ガイド板11bの切り欠きから一部が突出して幅寄せフィードローラ15に対向して配置されている。
上記の幅寄せフィードローラ15と幅寄せプレッシャローラ16とによって通帳を挟持した状態で、幅寄せフィードローラ15を回転させることで挟持している通帳の位置を幅方向にずらすように機能する。
【0020】
17は搬送切替ブレードであり、通帳搬送路11と後述する伝票搬送路41とが合流する箇所に設けられ、挿入された通帳あるいは伝票を印字ユニット20に導くと共に、印字が行われた通帳を通帳搬送路11へ、印字が行われた伝票を伝票搬送路41に搬送するように搬送方向を切替える。
【0021】
印字ユニット20は、通帳及び伝票に印字を行う機能と、通帳印字においては印字済行の検出等の機能を備える。
【0022】
21は印字ユニット20に設けられた媒体搬送路であり、搬送されてきた通帳や伝票等の媒体に上方から対向する上ガイド板21a、媒体に下方から対向する下ガイド板21b、フィードローラ22、プレッシャローラ23等によって構成され、フィードローラ22とプレッシャローラ23との間で媒体を挟持搬送する。
上ガイド板21aには、フィードローラ22の一部を突出させる切り欠きが設けられ、下ガイド板21bにはプレッシャローラ23の一部を突出させるための切り欠きが設けられている。
【0023】
22はフィードローラであり、上ガイド板21aの切り欠きから一部が突出するように取り付けられ、図示しない駆動源からの駆動が伝達して回転する。
【0024】
23はプレッシャローラであり、フィードローラ22に対向して下ガイド板21bの切り欠きから一部が突出するように取り付けられている。
【0025】
24はイメージ読取部であり、通帳インサータユニット10から搬送されてきた通帳のページマークや、通帳の印字が行われた印字済行を読み取る機能を有する。また図示しない磁気ストライプ読取部は、磁気ストライプに記録された口座番号や通帳種別、印字が行われた頁数等の通帳データを読み取る他、通帳に印字が行われたときに磁気ストライプに最終印字済行とその頁数等を書き込む機能を有する。
【0026】
25は印字部であり、通帳や伝票に印字を施すための印字ヘッド25aとプラテン25bとを備えて、通帳印字および伝票印字を行う機能を有する。
【0027】
オートターンページユニット30は、通帳の頁めくりを自動的に行う頁めくり機構を備えており、印字ユニット20から搬送されてきた通帳の頁めくりを行う。
【0028】
31はターンページ搬送路であり、上方から通帳と対向する上ガイド板31a、下方から通帳と対向する下ガイド板31b、フィードローラ32、プレッシャローラ33等によって構成され、印字ユニット20から通帳を図示しない頁めくり機構へと搬送する。
上ガイド板31aにはフィードローラ32の一部を突出させる切り欠きが設けられ、下ガイド板31bにはプレッシャローラ33の一部を突出させるための切り欠きが設けられている。
【0029】
フィードローラ32は、上ガイド板31aの切り欠きから一部が突出するように取り付けられ、図示しない駆動源からの駆動が伝達して回転する。
【0030】
プレッシャローラ33は、フィードローラ32に対向して下ガイド板31bの切り欠きから一部が突出するように取り付けられている。
【0031】
伝票インサータユニット40は、伝票挿入排出口を有し、窓口の係員によって伝票挿入排出口に伝票が挿入されたときに、その伝票を内部に取込む機能を備える他、取込んでいる伝票を伝票挿入排出口から排出する機能を備える。
【0032】
41は伝票搬送路であり、伝票挿入排出口に挿入された伝票に上方から対向する上ガイド板41aと、伝票に下方から対向する下ガイド板41bと、フィードローラ42、可動式プレッシャローラ43等によって構成される。
上ガイド板41aには、フィードローラ42と幅寄せフィードローラ45の一部を突出させる切り欠きが設けられ、下ガイド板41bには可動式プレッシャローラ43、幅寄せプレッシャローラ46の一部を突出させるための切り欠きが設けられている。
【0033】
42はフィードローラであり、上ガイド板41aの切り欠きから一部が突出するように取り付けられ、図示しない駆動源からの駆動が伝達して回転する。
【0034】
43は可動式プレッシャローラであり、フィードローラ42に対向配置され、下ガイド板41bの切り欠きから一部が突出するように取り付けられており、フィードローラ42に接触する位置からフィードローラ42から退避した位置との間で昇降動作可能に構成され、その動作は図示しない昇降機構によって行われる。
【0035】
また、可動式プレッシャローラ43は、バネ材等の弾性部材によってフィードローラ42側への付勢力が作用し、これによって伝票が搬送されてきたときはその伝票をフィードローラ42に押し付けるようになる。
【0036】
45は幅寄せフィードローラであり、通帳を取込んだときの搬送方向におけるフィードローラ42の上流側で、上ガイド板41aの切り欠きから一部が突出するように配され、かつその回転方向が通帳の幅方向となる向きであって、図示しない駆動源によって回転する。
【0037】
46は幅寄せプレッシャローラであり、下ガイド板41bの切り欠きから一部が突出して幅寄せフィードローラ45に対向して配置され、幅寄せフィードローラ45に接触する位置と退避した位置との間で昇降動作可能に構成され、その動作は図示しない昇降機構によって行われる。
上記の幅寄せフィードローラ45と幅寄せプレッシャローラ46とによって伝票を挟持した状態で、幅寄せフィードローラ45を回転させることで媒体の位置を幅方向にずらすように機能する。
【0038】
図2は実施例1における媒体印字装置の各種センサの配置を示す説明図である。
【0039】
図2において、18aは通帳挿入検知センサであって通帳搬送路11の幅寄せフィードローラ15とフィードローラ12間に配され、通帳挿入排出口に挿入された通帳を検知するセンサである。
18bは通帳取込監視センサであって、通帳を搬送する方向に沿って並ぶ2つの可動プレッシャローラ13間に配され、通帳挿入排出口から通帳搬送路11に取り込んだ通帳を検知するセンサである。
【0040】
18cは通帳搬送監視センサであって、可動式プレッシャローラ13とプレッシャローラ14間に配され、通帳搬送路11によって搬送している通帳を検知するセンサである。
【0041】
26は読取監視センサであって、媒体搬送路21のイメージ読取部24よりも通帳インサータユニット10側に位置してイメージ読取部24で通帳の磁気ストライプの読み取りを開始するタイミングを監視するためのセンサである。
27は印字監視センサであって、イメージ読取部24と印字ヘッド25aとの間に位置して印字部25で印字を行うタイミングを監視するためのセンサである。
【0042】
34は通帳検知センサであって、ターンページ搬送路31のフィードローラ32よりも印字ユニット20側に配され、ターンページ搬送路31に搬送されてきた通帳を検知する機能を有し、これによって検知したタイミングに合わせて頁めくり機構が動作するようになる。
【0043】
47は伝票挿入検知センサであり、幅寄せフィードローラ45とフィードローラ42間
に配され、伝票挿入排出口に挿入された伝票を検知するセンサである。
48は伝票取込監視センサであり、伝票を搬送する方向に沿って並ぶ2つの可動式プレッシャローラ43間に配され、伝票挿入排出口から伝票搬送路41に取り込んだ伝票を検知するセンサである。
49は伝票搬送監視センサであり、伝票を印字ユニット20側へ搬送したときの搬送方向におけるフィードローラ42よりも下流に配され、伝票搬送路41によって搬送している伝票を検知するセンサである。
【0044】
ここで、図3は実施例1の伝票インサータユニットの下ガイド板を示す上面図である。
【0045】
図3において、60は基準面であり、伝票インサータユニット40の伝票搬送路41による搬送方向に対する伝票の幅方向の片側に設けられており、搬送される伝票の位置の基準となってこれに沿って搬送されるようになる。
【0046】
なお、上記の通帳インサータユニット10、印字ユニット20、ターンページユニット30にも同様に基準面が設けられている。
【0047】
また、図3に示すように可動式プレッシャローラ43は2列に並べて配され、同様にしてフィードローラ12、可動式プレッシャローラ13、プレッシャローラ14、フィードローラ22、プレッシャローラ23、フィードローラ32、プレッシャローラ33、フィードローラ42についても2列に並べられているものとする。
【0048】
図4は可動式プレッシャローラに取り付けた板バネを示す説明図であり、(a)は上面から見た様子を示し、(b)は側方から見た様子を示している。
【0049】
図4において、70は板バネ部であり、伝票インサータユニット40の可動式プレッシャローラ43に取り付けられており、一方の端部で可動式プレッシャローラ43の回転軸72を支持し、他方の端部に貫通孔71を設けてネジ75を貫通させ、そのネジ75が図4(b)に示すように下ガイド板41bの一部であるブラケット76のねじ穴に嵌まることで板バネ部70がブラケット76に締結されるようになっている。
【0050】
なお、可動式プレッシャローラ43と板バネ部70、回転軸72は一体となっており、板バネ部70の一方の端部は回転軸72の回転を妨げないように取り付けられている。
【0051】
また、板バネ部70は通帳インサータユニット10の可動式プレッシャローラ13やプレッシャローラ14に取り付けているものとする。
【0052】
73はネジ通し角孔であり、ネジ75の径よりも大きい幅となっている角穴であって回転軸72の軸方向と平行に延びている。
【0053】
このネジ通し角孔73にもネジ75が通っており、そのネジ75はブラケット76側の対応する位置に設けられたねじ穴に嵌まり、板バネ部70が貫通孔71の箇所を中心に回動しないようにブラケット76に固定するため、ネジ通し角孔73とそこに通るネジ75とによって板バネ部70の固定手段として機能する。
【0054】
なお、板バネ部70のネジ通し角孔73を貫通するネジ75が係員の手によって緩められたときは、そのネジ通し角孔73の幅に応じた範囲、つまり緩められたネジ75がネジ通し角孔73の端部に当接する範囲で、板バネ部70が回動可能となる。
ここでの回動は、板バネ部70の他端の貫通孔にネジ75が通っていることから、他端を中心に、一端側を可動式プレッシャローラ43、回転軸72と共に、搬送される伝票の面と平行な向きの回動、つまり図4に示す矢印A方向および矢印B方向への回動となる。
【0055】
ここで、図5は可動式プレッシャローラの向きを変えた状態を示す説明図であって、上述したように板バネ部70の他端を中心に、一端側を可動式プレッシャローラ43、回転軸72と共に回動させることで、例えば図5に示す矢印の方向に可動式プレッシャローラ43を回動させ、その向きを調整できる。
【0056】
上述した構成の作用における伝票処理を行う場合について説明する。
【0057】
係員が媒体印字装置1の伝票挿入排出口に伝票を挿入すると、媒体印字装置1は伝票インサータユニット40の伝票挿入検知センサ47によって伝票を検知し、図示しない昇降機構によって幅寄せプレッシャローラ46を上昇させ、幅寄せフィードローラ45に押し付けるようにする。これによって伝票が幅寄せフィードローラ45と幅寄せプレッシャローラ46間で挟持されるようになる。
【0058】
次に幅寄せフィードローラ45を回転させることで、挟持している伝票を基準面60に接触する位置まで寄せる。
【0059】
伝票が基準面60に接触したことを図示しないセンサ等によって認識すると、可動式プレッシャローラ43を上昇させることで、フィードローラ42に押し付けることで、伝票をフィードローラ42と可動式プレッシャローラ43とで挟持した状態にしてフィードローラ42を回転させて伝票を搬送していく。
【0060】
このとき搬送切替ブレード17の向きは、搬送中の伝票を印字ユニット20に導くための向きにしておき、フィードローラ42と可動式プレッシャローラ43とにより挟持搬送している伝票は印字ユニット20へと向かうようになる。
【0061】
なお、伝票インサータユニット40は、伝票を印字ユニット20に搬送した後、可動式プレッシャローラ43を下降させてフィードローラ42から退避した位置に移動させるようにする。
【0062】
印字ユニット20は、搬送されてきた伝票をフィードローラ22とプレッシャローラ23とで挟持し、フィードローラ22を回転させて挟持している伝票を搬送していき、媒体搬送路21の途中に配された印字部25によって伝票印字を行い、その伝票を伝票挿入排出口から排出するために、フィードローラ22の回転方向を反転させることで挟持している伝票を伝票インサータユニット40に向かって搬送する。
【0063】
伝票インサータユニット40は、印字ユニット20から伝票が搬送されてくると、可動式プレッシャローラ43をフィードローラ42に押し付ける位置まで上昇させることで、伝票をフィードローラ42と可動式プレッシャローラ43とで挟持し、フィードローラ42を回転させることで伝票を伝票挿入排出口へと搬送して排出する。
【0064】
係員は排出された伝票をもとに印字がズレた状態(スキューの状態)であるか否かの確認を行う。
スキューの状態を確認した係員は、例えば伝票インサータユニット40の取り外し等を行い、可動式プレッシャローラ43に取り付けている板バネ部70のネジ通し角孔73に通るネジ75を緩めて板バネ部70を図4(a)の矢印A方向に示す基準面60側を向くように可動式プレッシャローラ43の向きを調整し、ネジ通し角孔73に通るネジ75を締めなおすことで可動式プレッシャローラ43の向きを固定する。
【0065】
そして、伝票インサータユニット40を媒体印字装置1内のもとの位置に戻すための取り付けを行う。このようにして可動式プレッシャローラ43の向きを調整し伝票印字処理で印字のズレが発生しないように、搬送する伝票の向きを矯正する。
【0066】
なお、上記では伝票の向きを矯正する場合で説明したが、通帳の向きを矯正する場合は、通帳インサータユニット10の可動式プレッシャローラ13の向きを上記と同様の方法により調整するものとする。
【0067】
以上説明したように、本実施例では、可動式プレッシャローラを基準面に向けることで、伝票がスキューして基準面から離れてしまうのを矯正し、上述した従来技術のように抵抗ローラの上下移動による抵抗ローラと媒体との摩擦力の調整によって行うよりも容易となるという効果が得られる。
【0068】
また、スキューを矯正したことで、伝票に行う印字がズレてしまうのを防止することができる。
【実施例2】
【0069】
図6は実施例2の伝票インサータユニットを上方から見た様子を示す説明図である。
【0070】
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。また本実施例における伝票印字処理は上記実施例1と同様に行うが、このときに発生した伝票のスキュー角を算出して表示画面に表示することが相違する。
【0071】
本実施例の伝票搬送監視センサ49は、図6に示すように伝票の幅方向に沿って2つ並べて設けられており、その間隔は通過する伝票を確実に検知できる程度の幅とする。
本実施例の媒体印字装置1はCRT等の表示画面を有しているものとし、また媒体印字装置1の図示しない制御部と図示しない記憶部に格納された制御プログラムによって、2つの伝票搬送監視センサ49による伝票検知の時間差に基づいて、伝票のスキュー角を算出するスキュー角算出手段を有する。
【0072】
ここで図7は伝票がスキューしている様子を示す説明図である。
【0073】
スキュー角算出手段によるスキュー角の算出は、伝票の搬送速度と伝票搬送監視センサ49間の長さ、伝票検知の時間差等の基づいて求めるものであって、搬送速度をV、伝票搬送監視センサ49間の長さをB、2つの伝票搬送監視センサ49による伝票検知の時間差をΔT、一方の伝票搬送監視センサ49が伝票を検知した瞬間における他方の伝票搬送監視センサ49から伝票までの長さをA(=V×ΔTとなる。)とした場合、図7に示すスキュー角θは次の式(1)で表わすことができる。
【0074】
θ=tan−1(A/B) ・・・式(1)
このようにして、搬送中の伝票にスキューが発生した際は、可動式プレッシャローラ43を伝票の幅寄せに適した角度に固定するために、伝票が伝票搬送監視センサ49を通過したときの状態にもとづいてスキュー角θを算出して印字した伝票の排出と共に、算出したスキュー角θを表示画面に表示することで、媒体印字装置1を操作する係員にスキュー角θを知らせるようにする。
【0075】
そして係員は上記実施例1と同様にして可動式プレッシャローラ43に取り付けている板バネ部70のネジ通し角孔73に通るネジを緩めることで、可動式プレッシャローラ43の向きを調整して、印字のズレを矯正する。
【0076】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1の効果に加えて、算出したスキュー角を表示することによって係員にとっては、スキュー角に基づいて可動式プレッシャローラの向きを決めることができるので、より正確に印字のズレを矯正することができる。
【実施例3】
【0077】
本実施例では上記実施例1、2の板バネ部70の代わりに歯付板バネ部80を可動式プレッシャローラ43に取り付けている点が相違する。
【0078】
図8は実施例3の歯付板バネ部を取り付けた可動式プレッシャローラを示す説明図である。
【0079】
図8において、80は歯付板バネ部であり、伝票インサータユニット40の可動式プレッシャローラ43に取り付けられており、一方の端部を可動式プレッシャローラ43の回転軸72に取り付け、他方の端部が歯付ギア85に噛み合う歯が形成された円弧形のギアとなっている。
【0080】
歯付板バネ部80は、中央部付近に孔を設けその孔に上記実施例1のブラケット76等に固定するためのネジが貫通することで、その箇所を回転支点81として回動可能となっている。
歯付ギア85は媒体印字装置1内部の図示しないアクチュエータからの駆動が伝達して回転するものであって、その歯付ギア85の回転により、歯が噛み合っている歯付板バネ部80の他端が回転し、結果歯付板バネ部80が回動するようになる。
【0081】
また、本実施例の媒体印字装置1は、図示しない記憶部に伝票のスキュー角に対応して伝票のスキューを矯正するための可動式プレッシャローラ43の調整角を記憶しているものとし、図示しない制御部と記憶部とによりスキュー角に応じた調整角で、歯付ギア85の回転により歯付板バネ部80を回動させて可動式プレッシャローラ43の向きを調整する調整手段を備えている。
【0082】
そのため、搬送中の伝票にスキューが発生した際は、上記実施例2の場合と同様に伝票が伝票搬送監視センサ49を通過したときの状態にもとづいてスキュー角θを算出して印字した伝票を排出する。
そして、歯付ギア85を回転させることで歯付板バネ部80を回動させ、可動式プレッシャローラ43を、上記で算出したスキュー角θに応じた調整角の分だけ回動させて可動式プレッシャローラ43の向きを調整する。
【0083】
以上説明したように、本実施例は上記各実施例の効果に加えて、歯付ギアを回転させて歯付板バネ部と共に可動式プレッシャローラ43を回動させて、自動的に向きを調整するので係員の手で行う調整と比較してより精度が高い調整を行うことができる。
【0084】
なお、上記実施例3では歯付ギア85を回転させるためのアクチュエータが媒体印字装置内部に設けられているものとして説明したが、これに限るものではなく歯付ギアを回転させるときには外部からアクチュエータによって歯付ギアを回転させるようにしてもよく、このようにすることによって媒体印字装置の小型化を図ることができるという効果が得られる。
【0085】
また、上記各実施例の媒体印字装置を通帳と伝票を取扱う装置として説明したが、これに限らずいかなる種類の券を処理する装置であってもよいし、また銀行の窓口に設けたものに限るのではなく、いかなる場所に設けた装置であってもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 媒体印字装置
10 通帳インサータユニット
11 通帳搬送路
11a、21a、31a、41a 上ガイド板
11b、21b、31b、41b 下ガイド板
12、22、32、42 フィードローラ
13、43 可動式プレッシャローラ
14、23、33 プレッシャローラ
15、45 幅寄せフィードローラ
16、46 幅寄せプレッシャローラ
17 搬送切替ブレード
18a 通帳挿入検知センサ
18b 通帳取込監視センサ
18c 通帳搬送監視センサ
20 印字ユニット
21 媒体搬送路
24 イメージ読取部
25 印字部
25a 印字ヘッド
25b プラテン
26 読取監視センサ
27 印字監視センサ
30 オートターンページユニット
31 ターンページ搬送路
34 通帳検知センサ
40 伝票インサータユニット
41 伝票搬送路
47 伝票挿入検知センサ
48 伝票取込監視センサ
49 伝票搬送監視センサ
60 基準面
70 板バネ部
71 貫通孔
72 回転軸
73 ネジ通し角孔
75 ネジ
76 ブラケット
80 歯付板バネ部
81 回転支点
85 歯付ギア




【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送するフィードローラと、該フィードローラ側に媒体を押し付けるプレッシャローラと、媒体の搬送の基準となる基準面とを有し、該基準面に沿って搬送した媒体に印字を行う媒体印字装置であって、
前記プレッシャローラを一端側で支持すると共に前記フィードローラ側に付勢する板バネを設け、
該板バネは、一端が搬送される媒体の面に平行な向きで回動するように他端が回転可能に支持され、その回動を固定するための固定手段を備え、
前記板バネを前記基準面側に回動させ、前記固定手段によって固定することで、前記基準面側に向いた前記プレッシャローラを固定することを特徴とする媒体印字装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体印字装置において、
前記固定手段は、前記板バネに設けた前記プレッシャローラの軸方向と平行に延びる角孔と、該角孔よりも径の小さいネジとによって構成したことを特徴とする媒体印字装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の媒体印字装置において、
媒体を検知するセンサを、媒体の幅方向に2つ並べて設け、前記プレッシャローラを媒体の幅寄せに適した角度に固定するために、2つのセンサの間隔と、各センサで媒体を検知した際の時間差と、媒体の搬送速度とによって搬送されてきた媒体のスキュー角を算出することを特徴とする媒体印字装置。
【請求項4】
請求項3に記載の媒体印字装置において、
表示画面を設け、
搬送している媒体のスキュー角を算出したときに、その算出したスキュー角を前記表示画面に表示することを特徴とする媒体印字装置。
【請求項5】
請求項3に記載の媒体印字装置において、
前記板バネの他端を円弧形のギアとして形成し、その歯に噛み合うギアを設けてこの両ギアを前記固定手段とし、
媒体のスキュー角に対応する前記プレッシャローラの向きを調整する角度を記憶する記憶部を有し、
スキュー角を算出したときに、そのスキュー角をもとに前記記憶部から前記プレッシャローラの向きを調整する角度を読み出し、前記ギアを回転させて前記プレッシャローラを前記読み出した角度の分だけ回動するように制御することを特徴とする媒体印字装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−247955(P2010−247955A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99390(P2009−99390)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】