孔を形成したウェブの作製方法
ウェブが、分子配向を有するフィルムを備え、成形装置が歯の配列を備える、成形装置を用いて前駆体ウェブに孔を開ける方法が提供される。歯の配列の配向及びフィルムの分子配向は、歯の配向とフィルムの分子配向とがなす相対角度を提供するために予め定められ、修正される。この前駆体ウェブ材料に形成される孔は、最小のアスペクト比を呈する長さ及び幅を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、孔を形成したウェブの作製方法に関する。具体的には、本方法は、最小のアスペクト比を有する3次元の孔を形成したフィルム、不織布、及びそれらの孔を有する積層体の作製に使用可能である。
【背景技術】
【0002】
孔を形成したウェブは、広範な工業製品及び消費者製品に利用される。例えば、孔を形成したフィルム又は孔を形成した不織布は、使い捨ておむつのような使い捨て吸収性物品及び生理用ナプキンなどのような婦人衛生物品における用途で知られている。そのような物品は、典型的には、流体透過性のトップシートと、流体不透過性の通気性バックシートと、トップシートとバックシートとの間に配置される吸収性コアと、を有する。孔を形成したフィルムは、流体透過性のトップシート及び/又は流体不透過性の通気性バックシートを形成するために作製され得る。
【0003】
2006年4月27日付で公開された米国特許出願第2006/0087053号は、逆回転の噛み合いローラーのつかみ部を通してウェブ材料を移動させることによって前駆体ウェブに孔を開けるための方法を開示しており、その第1のローラーは周辺に延在する隆起部及び溝を備え、第2のローラーは、第2のローラーに基底部で接合された、基底部から先端に向けてテーパー状に形成された歯を複数備える。歯の基底部は、横断面幅寸法より大きい横断面長さ寸法を有する。一方のローラーの歯がもう一方のローラー上の溝と噛み合うにつれて、前駆体ウェブ材料に孔が形成される。このプロセスは、ウェブに孔を形成するための効率的かつ費用効果の優れた手段を提供するが、孔のサイズ及び形は、第2のローラーの歯の形及び配向、並びにフィルムを形成する長鎖分子の配向によって制限される。例えば、押出し成形フィルムは大半の長鎖分子が機械方向に配向される分子配向を有し、これは、押出し成形フィルムの場合、押出し成形プロセスを通してフィルムが従う経路である。逆回転ローラーの第2のローラー上の歯の横断面長さもまた、機械方向に整列する。結果的に、押出し成形フィルムに孔を形成するとき、このプロセスはスリットに似た孔を生成する傾向がある。用途によってはスリットも許容可能であるが、通常は、楕円形の穴のような孔が好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第2006/0087053号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、フィルムの分子配向の影響を克服することができ、スリットでなくむしろ楕円形の穴のような孔を生成することができる、フィルム又はフィルム不織布積層体に孔を生成するためのプロセスが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ウェブに孔を開ける方法が開示され、このウェブに生成される孔は、スリットでなくむしろ楕円形の穴によく類似している。その結果得られるウェブは、改善された流体獲得容量、圧縮抵抗、及び審美性を呈する。この方法は、機械方向及び機械横方向を有する前駆体ウェブ材料を提供する工程を含む。この前駆体ウェブは、機械方向及び機械横方向に対する分子配向を有する。後に、ウェブに孔を形成する対の噛み合い部材に通して、ウェブを移動させる。対の噛み合い部材は、隆起部及び溝を有する第1の部材と、基底部及び先端からテーパー状に形成された複数の歯を有する第2の部材とを備える。歯は、その基底部で第2の部材と接合される。歯の基底部は、横断面幅寸法より大きい横断面長さ寸法を有する。歯は、歯の横断面長さ寸法がウェブの優勢な分子配向に対してゼロより大きい角度をなして配置されるように配向される。孔は、第2の部材の歯が第1の部材の溝と噛み合うにつれて前駆体ウェブ材料に形成される。孔は、4.0未満、好ましくは3.0未満のアスペクト比を有する。
【0007】
一実施形態では、対の噛み合い部材は対の逆回転の噛み合いローラーを備える。対の噛み合いローラーは、周囲方向に延在する隆起部及び溝を有する第1のローラーと、第1のローラーの溝と噛み合う歯を有する第2のローラーと、を備える。歯は、基底部から先端へとテーパー状に形成され、横断面幅寸法より大きい横断面長さ寸法を有するその基底部で第2のローラーと接合される。このウェブ材料は、逆回転の噛み合いローラーのつかみ部を通して移動され、孔は、一方のローラーの歯がもう一方のローラーの溝と噛み合うにつれて前駆体ウェブ材料に形成される。
【0008】
代替方法は、機械方向において優勢な分子配向を有する前駆体ウェブ材料を提供する工程と、機械横方向に整列した分子を伴う修正された分子配向を有する塑性変形されたウェブを生成するためにこの前駆体ウェブを機械横方向に塑性変形する工程と、を含む。塑性変形されたウェブは、それ自体に孔を形成するために、逆回転の噛み合いローラー間に形成されるつかみ部を通して移動される。1つのローラーの歯は機械方向に配向される。
【0009】
この方法は、また、逆回転の噛み合いローラーのつかみ部にウェブ材料を通して移動させる前に、ウェブの塑性変形を選択的場所に限定することによって、ウェブの選択的場所により多くの開いた区域を有する孔を開けるためにも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のプロセスの略図。
【図2】本発明の装置の斜視図。
【図3】図2に示した装置の部分の横断面図。
【図4】本発明のプロセス及び装置の別の実施形態の略図。
【図5】図2又は図8に示した装置の部分の斜視図。
【図6】図9に示した装置の部分の拡大斜視図。
【図7】図2に示した装置の歯の代替構成の斜視図。
【図8】図2に示した装置の部分の斜視図。
【図9】図12に示した装置の部分の上面図。
【図10】図12に示した装置の部分の平面図。
【図11】本発明のプロセスによって作製された孔を形成したウェブを大きく拡大した部分の写真。
【図12】図12の孔を形成したウェブの横断面図。
【図13】本発明のプロセスによって作製された孔を形成したウェブを大きく拡大した部分の写真。
【図14】図14の孔を形成したウェブの横断面図。
【図15a】実施例1の試料1に形成された孔の顕微鏡写真。
【図15b】実施例1の試料2に形成された孔の顕微鏡写真。
【図16a】実施例2の試料3に形成された孔の顕微鏡写真。
【図16b】実施例2の試料4に形成された孔の顕微鏡写真。
【図16c】実施例2の試料5に形成された孔の顕微鏡写真。
【図16d】実施例2の試料6に形成された孔の顕微鏡写真。
【図16e】実施例2の試料7に形成された孔の顕微鏡写真。
【図17】漸増伸長装置の部分の横断面図。
【図18a】実施例4の試料8に形成された孔の顕微鏡写真。
【図18b】実施例4の試料9に形成された孔の顕微鏡写真。
【図18c】実施例4の試料10に形成された孔の顕微鏡写真。
【図18d】実施例4の試料11に形成された孔の顕微鏡写真。
【図19a】実施例5の試料12に形成された孔の顕微鏡写真。
【図19b】実施例5の試料13に形成された孔の顕微鏡写真。
【図20A】様々な代替積層体ウェブ構成の略図。
【図20B】様々な代替積層体ウェブ構成の略図。
【図20C】様々な代替積層体ウェブ構成の略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
用語の定義:
本明細書及び請求項中で使用するとき、用語「含む」は、包括的又は非制限的であって、列挙されていない追加の要素、構成要素、又は方法工程を排除しない。
【0012】
「機械方向」又は「MD」は、製造プロセス中に移動するウェブの移動方向と平行な方向である。MDの±45度以内の方向は、機械方向であると見なされる。
【0013】
「機械横方向」又は「CD」は、MDに実質的に垂直であり、かつウェブによって概して画定された平面における方向である。横断方向の45度以内の方向は、横断方向であると見なされる。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「駆動」は、いずれかのプロセスを意味しており、これによって、噛み合う歯と溝により作り出される引張りひずみが、中間のウェブ区域を伸張させる又は引き伸ばす。そのようなプロセスは、通気性フィルム、伸張性複合材料、孔を形成した材料、及び非平坦材料を包含する多数の物品の生産に有用であることが見出されている。不織布ウェブの場合、伸張は、中間のウェブ区域内で、繊維の再配向、坪量の低下、及び/又は制御された繊維破壊を引き起こすことができる。一般的な駆動方法は、例えば、リングロール加工として当該技術分野において既知のプロセスである。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「駆動部材」は、駆動を実行するための歯及び溝を包含する装置を意味する。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「変形域」は、対向する駆動部材の歯と溝が噛み合って駆動を引き起こす区域を意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「パス長さ」は、対向する駆動部材の噛み合っている歯と溝により形成される変形域の長さを意味する。
【0018】
本明細書で使用するとき、「係合深さ」は、対向する駆動部材の噛み合っている歯と溝が相互の中へ延びる程度を意味する。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「不織布ウェブ」は、間に入れられた、しかし織布又は編まれた布地内のような繰り返しのパターン内ではなく、通常無作為に配向された繊維を有さない、個々の繊維又は糸の構造を有するウェブを指す。不織布ウェブ又は布地は、多数のプロセスで形成されており、例えば、メルトブロープロセス、スパンボンドプロセス、ハイドロエンタングリング、及びカーディング熱接着を包含するカードウェブ接着プロセスなどがある。不織布布地の坪量は、通常、1平方メートル当たりのグラム数(gsm)で表される。積層体ウェブの坪量は、構成要素層及びいずれか他の付加構成要素の組み合わせ坪量である。繊維直径は、通常、マイクロメートルで表されるが、繊維寸法は、繊維の単位長さ当りの重量の単位である、デニールでも表すことができる。本発明での使用に好適な積層体ウェブの坪量は、ウェブの最終用途に依存するが、6gsm〜400gsmの範囲にすることができる。例えば、ハンドタオルとして使用する場合、第1及び第2の両ウェブとも、18gsm〜500gsmの坪量を有する不織布ウェブにすることができる。
【0020】
不織布ウェブの構成繊維は、ポリマーの繊維にすることができ、並びにモノコンポーネント、バイコンポーネント、及び/又は2構成、非円形(例えば、毛管チャネル繊維)にすることができ、並びに0.1〜500マイクロメートルの範囲の主要横断面寸法(例えば、丸繊維の場合には直径)を有することができる。不織布ウェブの構成繊維は、また、化学(例えば、PE及びPP)、構成成分(モノ−及びビス−)、デニール(マイクロデニール及び>20デニール)、形(すなわち、毛管及び丸)などのような特徴において異なる、異なる繊維タイプの混合物であってもよい。構成繊維は、約0.1デニール〜約100デニールの範囲にすることができる。
【0021】
本明細書で使用するとき、「スパンボンド繊維」は、紡糸口金の微細で通常は円形の複数の毛管から溶融した熱可塑性材料をフィラメントとして押し出し、押し出されたフィラメントの直径をその後急激に縮径させることによって形成される、比較的小径の繊維を指す。スパンボンド繊維は、収集表面に沈着するとき、一般に粘着性がない。スパンボンド繊維は、一般に連続しており、及び7マイクロメートルより大きい、より具体的には約10〜40マイクロメートルの(少なくとも10のサンプルからの)平均直径を有する。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「メルトブローイング」とは、溶融した熱可塑性材料を、微細で通常は円形の複数の金型毛管を通して、通常は加熱された収束する高速気体(例えば、空気)流の中へ、溶融糸又はフィラメントとして押し出し、この気体流により溶融した熱可塑性材料のフィラメントを細らせてその直径を縮小することによって、繊維が形成されるプロセスを指しており、直径がマイクロファイバー直径となることもある。その後、メルトブローン繊維は、高速気体流により運ばれて、多くはまだ粘着性であるうちに、収集表面上に沈着され、無作為に分散されたメルトブローン繊維のウェブを形成する。メルトブローン繊維は、連続していても連続していなくてもよい、及び平均直径が一般に10マイクロメートルよりも小さい、マイクロファイバーである。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「ポリマー」には、一般にホモポリマー、コポリマー(ブロック、グラフト、ランダム、及び交互性コポリマーなど)、ターポリマーなど、並びにこれらの混合物及び修飾物が含まれるが、これらに限定されない。更に、特に限定しない限り、用語「ポリマー」とは、材料のあらゆる可能な幾何学的構成を含む。その構成としては、アイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチック、及びランダム対称が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「モノコンポーネント」繊維とは、1つのポリマーのみを使用して1つ以上の押出成形機から形成される繊維を指す。これは、1つのポリマーから形成されているが、着色、静電気防止特性、潤滑、親水性などのために、少量の添加剤が添加された繊維を除外することを意味しない。これらの添加剤、例えば着色用の二酸化チタンは、一般に約5重量%未満、より一般的には約2重量%未満の量で存在する。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「バイコンポーネント」繊維は、別個の押出成形機から押し出されるが、共に紡糸されて1つの繊維を形成する、少なくとも2つの異なるポリマーから形成される繊維を指す。バイコンポーネント繊維はまた、複合繊維又は多成分繊維と呼ばれることもある。複数個のポリマーは、バイコンポーネント繊維の横断面にわたって実質的に一定に位置付けされる異なる区域内に配置され、バイコンポーネント繊維の長さに沿って連続して延びる。かかるバイコンポーネント繊維の形状は、例えば、1つのポリマーが別のポリマーにより包囲されるシース/コア配置であってもよく、又はサイド・バイ・サイド配置、パイ型配置、又は「海島型」配置であってもよい。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「2構成繊維」は、同じ押出成形機からブレンドとして押し出される少なくとも2つのポリマーから形成された繊維を指す。2構成繊維は、繊維の横断面積を横切って比較的一定に位置付けされる異なる区域内に配置された様々なポリマー構成成分を有するものではなく、様々なポリマーは通常、繊維の全長に沿って連続ではなく、代わりに、通常は、無作為に開始及び終了する繊維を形成する。2構成繊維はまた、多構成成分繊維と呼ばれることもある。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「丸形でない繊維」は、丸形でない横断面を有する繊維について説明し、「成形繊維」及び「毛管チャネル繊維」を含む。かかる繊維は中実又は中空であり得、それらは、3葉形、デルタ形であり得、外側表面上に毛管チャネルを有する場合がある繊維である。毛管チャネルは、「U形」、「H形」、「C形」、及び「V形」など多様な横断面形が可能である。好ましい1つの毛管チャネル繊維は、Fiber Innovation Technologies(テネシー州Johnson City)から入手可能な4DG繊維と称されるT−401である。T−401繊維は、ポリエチレンテレフタレート(PETポリエステル)である。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「分子配向」は、特定の方向に沿って高分子鎖又は結晶が位置する度について説明する。
【0029】
本明細書で使用するとき、用語「優勢な分子配向」は、特定の方向に沿って高分子鎖の大半が位置する度を説明する。
【0030】
本明細書で使用するとき、用語「塑性変形」は、変形を引き起こす負荷が取り除かれた後に材料に残る変形である。塑性変形は、材料の弾性限度を越える恒久的な変形部である。
【0031】
本明細書において開示される全ての数値範囲に関して、本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、そのような小さい数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように包含すると理解すべきである。加えて、本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのような大きい数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように包含する。更に、本明細書全体を通じて記載されるあらゆる数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るあらゆるより狭い数値範囲を包含し、並びにその数値範囲内のそれぞれの個々の数値をも、そのようなより狭い数値範囲及び個々の数値が全て、あたかも本明細書に明示的に記載されているかの如く包含するものである。
【0032】
本発明は、孔を形成したウェブを作製するために使用される方法及び装置に関して説明する。この孔を形成したウェブは、フィルムと不織布とを含む孔を形成したフィルム又は積層体であることができる。孔は、マイクロ孔及びマクロ孔を含むことができ、前者は、通常の屋内照明で約1メートルの距離から観察者の裸眼に実質的に不可視であり、後者はそのような条件下で可視である。マイクロ孔及び/又は他のエンボス加工又は非平滑化加工は、本発明の装置によってプロセスする前に形成することができる。孔を形成したウェブは、包帯、包装材、失禁用具、おむつ、生理用ナプキン、パンティライナー、タンポン、及び痔治療パッドのような使い捨て吸収性物品、並びに例えば床掃除シート、身体拭きシート、洗濯シートのような他の消費者製品に使用することができる。加えて、本発明のウェブは、自動車、農業、電気、又は工業用途の穿孔ウェブとしても利用することができる。
【0033】
本発明の1つの装置の概略図を図1に示す。前駆体ウェブ20は成形装置150を機械方向(MD)に移動させ、孔6が形成されて、孔を形成したウェブ1を生成する。前駆体ウェブ20は、供給ロール152(若しくは、複合的なウェブ積層体の場合に必要な複数の供給ロール)、又は、フェストゥーンウェブのような、当該技術分野において既知の他の任意の供給手段から供給することができる。一実施形態では、前駆体ウェブ20は、高分子フィルム押出成形機のようなウェブ作製装置から直接供給することができる。形成後、保管のため及び他の製品の構成要素として更にプロセスするために、孔を形成したウェブ1を供給ロール160に巻き取ることができる。あるいは、使い捨て吸収製品のような完成品に組み込むための変換作業を含む、更なる後プロセスへ孔を形成したウェブ1を直接送ってもよい。
【0034】
図1に示されているように、孔を形成したウェブ1は、第1の表面12と第2の表面14とを有する概ね平面の2次元前駆体ウェブ20から形成することができる。前駆体ウェブ20は、高分子フィルムでもよく、又は高分子フィルムと不織布ウェブとの積層体でもよい。第1の表面12は、前駆体ウェブ20の第1の側面、及び孔を形成したウェブ1の第1の側面に相当する。第2の表面14は、前駆体ウェブ20の第2の側面、及び孔を形成したウェブ1の第2の側面に相当する。一般に、「側面」という用語は、本明細書では、フィルムのような概ね2次元のウェブの2つの主表面を説明する用語の一般的な使い方で用いられる。当然、複合又は積層体構造物では、孔を形成したウェブ1の第1の表面12は、最も外側の層又はプライの一方の第1の側面であり、第2の表面14は、他方の最も外側の層又はプライの第2の側面である。
【0035】
前駆体ウェブ20は、高分子フィルムウェブであることができる。一実施形態では、前駆体ウェブ20は、当該技術分野で既知の使い捨て吸収性製品のトップシートとしての使用に好適な高分子ウェブであり得る。高分子フィルムウェブは、変形可能であることができる。本明細書で使用するとき、変形可能な材料とは、弾性限度を超えて伸張させると、新たに形成された形態を実質的に保持する材料を説明する。このような変形可能な材料は、ホモポリマー及びポリマーブレンドのように、化学的に均質であっても不均質であってもよく、平面シート又は積層体のように、構造的に均質であっても不均質であってもよく、又は、これらの材料のいずれかの組み合わせであってもよい。本発明のプロセスは、高分子フィルムを含む材料の形成に使用される。そのような材料としては、単独の高分子フィルム、又は高分子フィルムと不織布など他の材料とを含む積層体が含まれる。
【0036】
本発明のプロセスに利用される変形可能な高分子フィルムウェブは、例えば、結晶質構造における変化又は固体から溶融状態への変化のような、材料の固体状態の分子構造における変化が生じる形質転換温度範囲を有することができる。結果として、上記の形質転換温度範囲では、材料の特定の物理的特性が実質的に変化する。熱可塑性半結晶質フィルムでは、形質転換温度範囲は、超えるとポリマーがゴム状になり破壊せずに弾性変形又は塑性変形をすることが可能な、フィルムのガラス転移温度範囲か、又は、超えるとフィルムが溶融状態になり実質的にそれまでの全ての熱機械的履歴を失う、フィルムの溶解温度範囲である場合がある。
【0037】
高分子フィルムウェブは、そのポリマーの組成及び温度に左右される特徴的なレオロジー特性を有する熱可塑性ポリマーを含むことができる。ガラス転移温度よりも低い温度においては、そのような熱可塑性ポリマーはかなり硬く剛性で、しばしば脆性であり得る。ガラス転移温度未満よりも低い温度においては、分子は、堅く固定された位置にある。ガラス転移温度よりも高いが、溶融温度範囲よりも低い温度においては、熱可塑性ポリマーは粘弾性を呈する。この温度範囲では、熱可塑性材料は一般に、ある程度の結晶化度を有し、概ね可撓性であり、力を受けると、ある程度変形可能である。このような熱可塑性物質の変形性は、変形速度、変形量(寸法的な量)、変形する時間の長さ、及び温度によって決まる。一実施形態では、本発明のプロセスを利用して、この粘弾温度範囲の範囲内の特に熱可塑性フィルムである、熱可塑性ポリマーを含む材料を形成することができる。
【0038】
高分子フィルムウェブは、特定の量の延性を含むことができる。延性とは、本明細書で使用するとき、材料が破損(破裂、破断、又は分離)する前に、材料を変形さたせときに起こる恒久的かつ回復不能な塑性ひずみの量である。延性は、材料に付加されるひずみの率に依存する。本発明のプロセスで形成される材料は、少なくとも約10%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約100%、又は少なくとも約200%、又は少なくとも約500%の最低延性を有することができる。
【0039】
本発明で利用される高分子フィルムウェブは、ポリオレフィン、ナイロン、ポリエステルなどのようなフィルムとして通常は押出し成形又は鋳造される材料を含むことができる。このようなフィルムは、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、並びに、これらの材料をかなりの割合で含むコポリマー及びブレンドのような熱可塑性材料であることができる。このようなフィルムを表面改質剤で処理して、ロータス効果を付与するなど、親水性又は疎水性特性を付与することができる。高分子フィルムウェブは、単層又は多層の平らなフィルムであってもよい。後述されているように、高分子フィルムウェブは、非平滑化するか、エンボス加工か、又は別の方法で、完全に平らかつ平面的な構成から変えることができる。
【0040】
高分子フィルムの物理的特性、特に弾性率は、特定の方向に沿って高分子鎖が位置する度として先に定義した高分子の分子配向に依存する。フィルムの分子配向は、ASTMのD2732−03の方法によって決定することができる。本試験方法は、厚さ0.76mm(0.030インチ)以下のプラスチックフィルム及びシートの所与の試料の温度でのひずみのない線状熱収縮の程度の決定を行う。優勢な分子配向を有するフィルム試料は、優勢な分子配向の方向に主に収縮し、それに対して垂直の方向の収縮の程度は、より小さい。
【0041】
2軸配向された高分子フィルムは、MD及びCDに対して実質的にランダムな配向を有する。「実質的にランダムな分子配向」とは、フィルム加工中の条件のために、MDに配向される長鎖分子の量がCDにおけるそれより有意に高くないことを意味する。言い換えれば、MDにおける長鎖分子の数とCDにおける長鎖分子の数がほぼ同じである。結果として、ランダムな分子配向を有するフィルムは、弾性率、MD、及びCDのような性状の類似を呈することができる。吹き込みフィルムは、2軸配向の高分子フィルムの例である。これと対照的に、優勢な分子配向を有するフィルムは、特定の方向に配向された長鎖分子をより多く有する。例えば、押出し成形フィルムは、CDよりMDに配向された長鎖分子をより多く有することができる。鋳造フィルムは、MDに優勢な分子配向を有するフィルムの例である。高分子フィルムの分子配向は、フィルムを加熱すること及び/又は塑性変形させることによって変更することができる。例えば、MDに優勢な分子配向を有するフィルムは、ひずみを与えてCDに塑性変形し、長鎖ポリマーの配向を変更して2軸又はCD配向の高分子フィルムにすることができる。
【0042】
前駆体ウェブ20は、2つ以上の前駆体ウェブの複合体又は積層体であってもよく、例えば高分子フィルムと不織布との組み合わせを含むことができる。不織布ウェブ又は布地は、例えば、エアレイイングプロセス、メルトブローイングプロセス、スパンボンディングプロセス、水流交絡プロセス、スパンレーシングプロセス、及びカードウェブ接着プロセスのような多くの既知のプロセスから形成されてきた。また、多重ビームスパンボンドプロセスによって作製されるスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)ウェブ及び同様の物(例えば、SMMS、SSMS)のような多層ウェブを利用してもよい。それぞれの構成要素(すなわち、スパンボンド又はメルトブローンの構成要素)が同じポリマーである必要はない。したがって、SMSウェブでは、スパンボンド及びメルトブローンの層が同じポリマーを含む必要はない。
【0043】
不織布ウェブの構成繊維は、ポリマー繊維であることができ、モノコンポーネント、バイコンポーネント、及び/又は2構成繊維、中空繊維、非丸形状繊維(例えば、成形(例えば、3葉)繊維、又は毛管路繊維)であることができ、0.1〜500マイクロメートルの範囲の1マイクロメートル刻みの値の主要横断面寸法(例えば、丸形状繊維の直径、楕円形状繊維の長軸、不規則形状の最長直線寸法)を有することができる。
【0044】
前駆体ウェブ20は、例えば、放射加熱、強制空気加熱、対流加熱によって、又は油加熱したローラー全体の加熱によってなど、当該技術分野において既知の手段によって予熱することができる。前駆体ウェブ20には、しるし、デザイン、ロゴ、又は他の可視若しくは不可視の印刷パターンを予め印刷してもよい。例えば、デザイン及び色を、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、又はオフセット印刷のような当該技術分野において既知の手段によって印刷して、前駆体ウェブ20の少なくとも部分の色を変えることができる。印刷に加えて、前駆体ウェブ20を界面活性剤、ローション、接着剤などのようなコーティングで処理してもよい。前駆体ウェブ20の処理は、噴霧、スロットコーティング、押出加工、又は別の方法で片方又は両方の表面にコーティングを塗布するなど、当該技術分野において既知の手段によって実現することができる。
【0045】
供給ロール152が図1の矢印で示されている方向に回転すると、前駆体ウェブ20は、様々なアイドラーローラー、張力制御ローラーなど(これらのいずれも図示せず)のいずれかの上又は周囲を含め、当該技術分野において既知の手段によって、機械方向で、対の逆回転の噛み合いロール102及び104から形成されるつかみ部116に移動する。対の噛み合いロール102及び104は、ウェブ20に孔を形成して、孔を形成したウェブ1を形成するように動作する。噛み合いロール102及び104を図2により詳細に示す。
【0046】
図2を参照すると、孔を形成したウェブ1に孔を開けるための成形装置150の部分がより詳細に示されている。装置150のこの部分は、図2では成形装置100として示されており、それぞれが軸Aの周囲を回転する対のスチール製噛み合いロール102及び104を備え、軸Aは平行であり、かつ同一平面にある。成形装置100は、以下に図8に関して詳細に示されるように、一定の回転角度にかけてロール104上に前駆体ウェブ20が残るように設計することができるが、図2は、前駆体ウェブ20が成形装置100上のつかみ部116を通って真っ直ぐに進み、孔を形成したウェブ1として出るにつれて原則的に何が起きるかを示す。したがって、図2は、つかみ部116に真っ直ぐに入り真っ直ぐに出て来る孔を形成したウェブ1を示しているが、つかみ部116より前(前駆体20に関して)又は後(孔を形成したウェブ1に関して)に、既定の回転角度にかけて前駆体ウェブ20又は孔を形成したウェブ1をロール102又は104のいずれかに部分的に巻くことも可能である。例えば、つかみ部116を出た後、既定の回転角度にかけて孔を形成したウェブ1をロール104に巻くように導いて、図8に示すように、ロール104の歯110上に孔が静止して「嵌った」まま残るようにすることができる。
【0047】
ローラー102及び104は、スチール製でもアルミニウム製でもよい。一実施形態では、ローラーはステンレススチールで作製することができる。概して、ローラー102及び104は、耐食性かつ耐摩耗性のスチールで作製することができる。
【0048】
ロール102は、ロール102の周辺全体をとぎれずに取り巻いて延びていることができる、複数の隆起部106と対応する溝108とを含むことができる。いくつかの実施形態では、孔を形成したウェブ1において、どの種類のパターンが望ましいかに応じて、ロール102は、隆起部106の一部又は全部が周囲方向に連続的でなく、割れ目又は間隙を有するように、例えば、エッチング、ミリング、又はその他の機械加工などにより、一部が除去されている隆起部106を含むことができる。割れ目又は間隙は、円又は菱形のような単純な幾何学パターンを含むパターンを形成するように配列されてもよいが、ロゴ及び商標のような複雑なパターンを含んでもよい。一実施形態では、ロール102は、後に詳述するロール104の歯110と同様の歯を有することができる。このように、孔を形成したウェブ1の両側に、外向きに延びている部分を有する3次元の孔を有することが可能である。孔に加えて、ロゴ及び/又はデザインを描いたエンボス加工のテクスチャーのマクロパターンを含む、ウェブ1の孔の様々な平面外のマクロ区域を作製することができる。代替実施形態では、ロール102の外面は、結合するロール104上の歯が2つのロールの間に形成されたつかみ部を貫通することを可能にするゴムのようなブラシ又は弾性材を含むことができる。
【0049】
あるいは、ロール102の代わりに、1998年9月8日付でJourdeらに発行された米国特許第5,802,682号に開示されているようなブラシコンベヤを使用してもよい。この実施形態では、結合するロール104上の歯と結合するようにブラシコンベヤを配列して、ロール104とブラシコンベヤとの間に形成されたつかみ部で歯がブラシを貫通するようにすることができる。
【0050】
ロール104はロール102に類似しているが、円周全体にとぎれずに延出することができる隆起部を有さず、ロール104は、ロール104の少なくとも一部分の周りに離間した関係で延出する、周囲方向に離間した歯110の列となるように修正された、周囲方向に延出する複数個の隆起部の列を具備する。ロール104の歯110の個々の列は、対応する溝112により分離される。作動中、ロール102及び104は、ロール102の隆起部106がロール104の溝112内まで伸張し、ロール104の歯110がロール102の溝108内まで伸張するように噛み合う。噛み合わせが、以下で議論される、図7の横断面表示内で極めて詳細に示される。ロール102及び104の両方又はいずれかを、熱油入ローラー又は電気加熱ローラーを組み込むことによるなど、当該技術分野において既知の手段によって加熱することができる。あるいは、ロールの両方又はいずれかを、表面対流によって、又は表面放射によって加熱してもよい。
【0051】
歯110は、ローラー104と接合することができる。「接合」とは、溶接、圧縮嵌め合い、又は別の方法で歯を接合して取り付けることができることを意味する。しかし、「接合」には、ローラー104から余分な材料を取り除くことによって機械加工された歯の場合のような一体的な取り付けも含まれる。歯110がローラー104に接合される位置は、その基底部である。基底部に平行な任意の横断面の位置で、それぞれの歯は非丸形の横断面区域を有することができる。周辺方向において、横断面区域の横断面長さ(下記のように歯の長さに対応する)は、横断面区域の中心でその長さ寸法に垂直に測定された横断面の幅の少なくとも2倍である。代替実施形態では、歯は、円筒形、矩形、又は、対応する望まれる孔の形に依存する他の形のピンを備えることができる。
【0052】
隆起部106及び代表的な歯110を含む噛み合いロール102及び104の部分の横断面が図3に示されている。図示されるように、歯110は、歯高TH(THは、隆起部106高さにも適用され得ることに留意すること、好ましい実施形態において、歯高及び隆起部高さは等しい)、並びにピッチPと示される歯間間隔(又は隆起部間間隔)を有する。図示されているように、係合深さ(DOE)Eは、ロール102及び104の噛み合い度の測定値であり、隆起部106の先端から、歯110の先端までを測定したものである。係合深さE、歯高TH、及びピッチPは、本発明の前駆体ウェブ20の特性及び孔を形成したウェブ1の所望の特徴に応じ、所望によって変えることができる。例えば、概して、ウェブ1の火山形構造物8又は孔6の密度をより高くするためには、以下に説明するように、ピッチはより小さくあるべきであり、かつ歯の横断面長さTL及び歯間隔距離TDもより小さくあるべきである。
【0053】
また、孔を形成したウェブ1の特性及び特徴を変化させるために、歯110のサイズ、形、配向、及び間隔をロール104の周辺及び幅に沿って変えてもよいことも想到される。
【0054】
加えて、ローション、インク、界面活性剤などのような物質を、つかみ部116に入る前の又は後の孔を形成したウェブ1に、スプレー、コーティング、スロットコーティング、押出し、又は別の方法で適用することができる。そのような処理の適用のための当該技術分野において既知の任意のプロセスを利用することができる。
【0055】
一実施形態では、孔を形成したウェブ1は、図4に示すような装置200を通して前駆体ウェブ20を加工することによって形成することができる。装置200のマルチローラー配列は、孔を形成したウェブ1が既定の回転角にかけて歯付きローラー104と接触したままになる既定の滞在時間を提供するように設計される。回転角は、フィルムのタイプ、ローラーの温度、及びウェブの移動速度に依存して最適化することができるが、概して、巻きの角度は少なくとも部分的に、結合するローラーの相対的サイズに依存して少なくとも10度、最高約270度以上であることができる。図のように、上記の図1で装置150のローラー102に関して説明したように、前駆体20は、ローラー105を導くために様々なガイドローラー及び引張部材(図示せず)の周囲で及びロール102A上に導くことができる。ローラー102Aを加熱して、火山形構造物8及び孔6の形成を助けてもよい。一実施形態では、ローラー102を約93℃(200°F)に加熱することができる。
【0056】
図4に示すように、前駆体ウェブ20は、噛み合いローラー104と102Aとの相互係合によって形成されるつかみ部116Aに入る。装置200のローラー104は、図1の装置150に関して上述したような歯付きローラーであることができる。前駆体ウェブ20がつかみ部116Aを通過するにつれて、ローラー104上の歯110は、前駆体ウェブ20を内に及び/又は通って圧して貫通して、火山形構造物8及び孔6を形成する。次に、孔を形成したウェブ1は、ローラー104とローラー102Bとの相互係合によって形成されたつかみ部116Bに到達するまで、回転ローラー104との固定接点を維持する。ローラー102Bは、上記の図1の装置150のローラー102に関して説明したような隆起部及び溝を有することができる。
【0057】
つかみ部116Bを出るにつれ、孔を形成したウェブ1はローラー104から離れてローラー102B上へと導かれ、必要に応じて様々なガイドローラー105を越えてから、更なるプロセス、搬送、又は工業製品への組み込みのための配置のために巻き取られる。一実施形態では、孔を形成したウェブ1は、生理用ナプキンのための製造プロセスに送られ、孔を形成したウェブ1は、トップシートとしてプロセスに供給され、バックシートウェブのような他の構成要素と接合され、最終形状に切断され、包装され、小売販路へと出荷される。別の実施形態では、ウェブはおむつ製品の製造プロセスに送られ、孔を形成したウェブ1はバックシートとしてプロセスに供給され、トップシートのような他の構成要素と接合される。
【0058】
ローラー104から剥離される際に孔を形成したウェブ1が歯110にくっつく傾向がある場合は、多様な加工助剤を必要に応じて加えることができる。例えば、シリコーン又はフッ化炭素のようなくっつき防止処理を加えることができる。様々な潤滑剤、界面活性剤、又は他の加工助剤を前駆体ウェブ20又はローラー104に加えることができる。ウェブをローラーから取り外すのを助ける他の方法としては、エアナイフ又はブラッシングが挙げられる。一実施形態では、ローラー104は、ウェブの取り外しのポイントでローラー102B上に正空気圧をもたらすために内部チャンバ及び手段を有することができる。概して、ローラー104からローラー102Bへの移動の制御は、ウェブ速度、相対ローラー速度(すなわち、ローラー104とローラー102Bの接線速度)、ウェブ張力、及び相対摩擦係数の影響を受ける。当業者に既知のようにこれらのパラメータのそれぞれを変更して、孔を形成したウェブ1のローラー102Bへの望ましい移動を確保することができる。
【0059】
図4に示すような装置を有することによる利益は、孔を形成したウェブ1がローラー104の歯110と接触して「入れ子になる」時間が延長されることである。このようにして、火山形構造物8及び孔6は、硬化までの追加的な時間を有することになり、ローラー104から取り外された後に3次元構成を維持する可能性が高くなる。理論に束縛されることなく、ローラー104の周辺、ローラー102A、104、及び/又は102Bの温度、並びにローラーの摩擦係数を調整することによって、このより長い滞在時間を利用し、孔を形成したウェブ1が加工され得るライン速度を増して、恒久的な3次元の火山形構造物8を作製することができると考えられる。ローラー102A、104、及び/又は102Bの温度は全て同じ温度でもよく、あるいは、異なる温度でもよい。例えば、ローラー102Bを室温以下にする一方で、ローラー102A及び104を加熱することができる。加えて、様々なローラーの速度を同じ速度に維持してもよく、あるいは、ローラーによって異なる速度を確立してもよい。
【0060】
上述したような装置150又は200のローラーのいずれかを加熱する場合、熱膨張を考慮するように注意しなければならない。一実施形態では、図3に示されている寸法、及び本明細書に記載されている寸法は動作温度における寸法であり、隆起部、溝、及び/又は歯の寸法は、熱膨張を考慮して機械加工される。
【0061】
図5は、孔を形成したウェブ1を作製するのに有用な、複数の歯110を有するローラー104の一実施形態の一部を示す。図6は、図5に示した歯110の拡大図である。図6に示されるように、それぞれの歯110は、基底部111、歯先端112、前縁LE、及び後縁TEを有する。歯先端112は、概ね尖っているか、鈍く尖っているか、又は別の方法で前駆体ウェブ20を伸張及び/又は穿刺するように成形される。歯110は、概ね平らなブレードのような形状を有することができる。すなわち、横断面が概ね円形の丸いピンのような形状とは対照的に、歯110は、一方を伸ばされて、概ね非円形の細長い横断面形状を有することができる。例えば、その基底部111において、歯110の横断面は、少なくとも2つ、又は少なくとも約3つ、又は少なくとも約5つ、又は少なくとも約7つ、又は少なくとも約10、又はそれ以上のTL/TWの歯のアスペクト比ARを呈する歯の長さTL及び歯の幅TWを有し得る。一実施形態では、横断面寸法のアスペクト比ARは、歯高に対して実質的に一定のままである。
【0062】
ローラー104の一実施形態では、歯110は、歯110の基底部111にて前縁LEから後縁TEまで概ね測定される、約1.25mmの均一横断面長さ寸法TLと、基底部にて周辺長さ寸法に対して概ね垂直に測定される、約0.3mmの歯の横断面幅TWとを有し得る。歯は、約1.5mmの距離TDをおいて周囲方向に互いから均等に離間し得る。前駆体ウェブ20から、約5gsm〜約200gsmの範囲の坪量を有する柔らかい繊維状の3次元の孔を形成したウェブ1を作製するために、ロール104の歯110は、約0.5mm〜約3mmの範囲の長さTL、約0.3mm〜約1mmの歯幅TW、約0.5mm〜約3mmの間隔TD、約0.5mm〜約10mmの範囲の歯高TH、及び約1mm(0.040インチ)〜2.54mm(0.100インチ)のピッチPを有することができる。係合深さEは、約0.5mm〜約5mm(最高で歯高THに近づくまで)であり得る。
【0063】
当然、係合深さE、ピッチP、歯高TH、間隔TD、及び歯横断面長さTLは、孔6の所望のサイズ、間隔、及び面密度(孔を形成したウェブ1の単位面積当たりの孔6の数)を達成するために、それぞれ互いに独立に変えられてもよい。例えば、生理用ナプキン及び他の吸収性物品に使用するのに好適な孔を形成したフィルム及び不織布を作製するために、基底部における歯の横断面長さTLは、約2.032mm〜約3.81mmの範囲であり得、歯幅TWは、約0.508mm〜約1.27mmの範囲であり得、歯間隔TDは、約1.0mm〜約1.94mmの範囲であり得、ピッチPは、約1.106mm〜約2.54mmの範囲であり得、及び歯高THは、約2.032mm〜約6.858mmであり得る。係合深さEは、約0.5mm〜約5mmであり得る。歯の先端112の曲率半径Rは、0.001mm〜約0.009mmであり得る。理論に束縛されるものではないが、基底部における歯の長さTLは、約0.254mm〜約12.7mmの範囲であり得、歯幅TWは、約0.254mm〜約5.08mmの範囲であり得、歯間隔TDは、約0.0mm〜約25.4mm(又はそれ以上)の範囲であり得、ピッチPは、約1.106mm〜約7.62mmの範囲であり得、歯高THは、0.254mm〜約18mmの範囲であり得、及び係合の深さEは、0.254mm〜約6.35mmの範囲であり得ると考えられている。開示された範囲のそれぞれに関して、寸法は、最小寸法から最大寸法までの範囲内で、0.001mmの増分で変更可能であることが本明細書に開示され、本開示は、範囲限界及び全ての中間寸法を0.001mmの増分(増分が0.0001mmの増分で変化するものとして開示される曲率半径Rを除く)で教示することが本明細書に開示される。
【0064】
理論に束縛されず、かつ現在係属中の工具設計と一貫して、本発明の方法及び装置に他の寸法を使用することも可能であると考えられる。例えば、基底部における歯の長さTLは、約0.254mm〜約12.7mmの範囲であり得、4.42mm、4.572mm、及び約5.56mmを含むことができ、歯幅TWは、約0.254mm〜約5.08mmの範囲であり得、1.78mmを含むことができ、歯間隔TDは、約0.0mm〜約25.4mmの範囲であり得、2.032mmを含むことができ、ピッチPは、約1.106mm〜約7.62mmの範囲であり得、歯高THは、0.254mm〜約18mmの範囲であり得、5.08mmを含むことができ、及び係合深さEは、0.254mm〜約6.35mmの範囲であり得る。曲率半径は、約0.00mm〜約6.35mmの範囲であり得る。開示された範囲のそれぞれに関して、寸法は、最小寸法から最大寸法までの範囲内で、0.001mmの増分で変更可能であることが本明細書に開示され、本開示は、範囲限界及び全ての中間寸法を0.001mmの増分(増分が0.0001mmの増分で変化するものとして開示される曲率半径Rを除く)で教示することが本明細書に開示される。
【0065】
一実施形態では、孔を形成したウェブ1の火山形構造物8及び/又は孔6を作製するために、LE及びTEを、サメの歯のような形として説明され得る全体として錐体又は、錐台形の点に向かってテーパー状に形成しなくてはならない。図10に示されるように、全体として先の尖った錐体のサメ歯形は、6つの側面114を有することができ、それぞれの側面は全体として三角形である。2つの側面の頂点は前縁LEを作り、2つの側面の頂点は歯110の後縁TEを作る。先端縁又は後縁の頂点は比較的鋭くてもよく、又は丸い曲率半径を有するように機械加工されてもよい。歯の先端の曲率半径は、0.013cm(0.005インチ)であり得る。
【0066】
他の歯の形を用いて孔を作製してもよい。例えば、図7に示されるように、図5に示される全体として錐体形を切頭して、先端112の鋭さを取り除いてもよい。切頭は、概ね平らな領域120が歯110の遠位端に作られるように基底部111から既定の距離で行うことができる。概ね平らな領域120は、歯110の横断面形に対応する面形を有することができる。したがって、概ね平らな領域120は細長くてもよく、すなわち、幅寸法より大きい長さ寸法及び歯110のアスペクト比に対応するアスペクト比ARを有することができる。一実施形態では、平らな領域120は概して鋭い頂点で側面114に移行することができるか、あるいは、その移行が曲率半径であって、滑らかで、丸く、平らな歯の先端をもたらすことができる。
【0067】
別の実施形態では、図8に示されるように、歯110はローラー104の表面に対して概ね垂直に延在する少なくとも1つの縁を有することができる。図8でローラー104の部分斜視図に示されるように、例えば、サメのヒレに似た歯は、歯の先端112に向かって角度をなして延在する前縁LE及び歯の先端112に向かって基底部111から概ね垂直に延在する後縁TLを有することができる。別の実施形態では、歯110は同じ形を有することができるが、前縁と後縁が逆になり、したがって、概ね垂直の縁が前縁になる。
【0068】
図9は、図8に示したローラー104の部分の上面図である。図の実施形態には様々な寸法が示されており、前縁及び後縁を作っている側面114がなす角度が含まれる。同様に、図10は、図8に示される歯の詳細であり、代表的な寸法を示す。概して、図の寸法は、使い捨て吸収性物品のトップシートとして有用な3次元成形フィルムの作製に有益であると現在考えられているが、全ての寸法は前駆体ウェブ20の所望の孔の密度、間隔、サイズ、及びウェブの型式に依存して必要に応じて変えられてもよい。
【0069】
理論に束縛されるものではないが、比較的鋭い先端を歯110に有することは、歯110が前駆体ウェブ20を「きれいに」、すなわち局所的かつ明確に、穿刺貫通することを可能にするので、結果的にもたらされる孔を形成したウェブ1は、主に「エンボス加工」のものというよりむしろ主に「孔を形成した」のものとして説明され得る。一実施形態では、前駆体ウェブ20の穿刺はウェブ20をほとんど変形しないきれいな穿刺であるので、結果的にもたらされるウェブは実質的に2次元の穿孔ウェブとなる。
【0070】
孔を形成したフィルム
2つの代表的な3次元の孔を形成した成形フィルムウェブ1を図11〜14の顕微鏡写真に示す。図11は、1平方メートル当たり約25グラムの坪量を有する概ね平面のポリエチレンフィルム前駆体ウェブ20から作製した3次元の孔を形成したウェブ1の部分を示す。図11に示される孔6は、前駆体ウェブ20を恒久的に変形させて第1の側面12から外向きに延びる複数の個別の離間配置された火山様構造物8を形成するために、伸張され押し通された前駆体ウェブ20を有する加熱されたロール104上の歯110の作用によって形成された。図12〜15に示されるようなウェブは、約93℃(200°F)に加熱されたロール102及び104のつかみ部116を通して加工することによって作製することができる。概して、装置100のライン速度及び十分な加熱は、歯110のサイズ、いずれかのロールの巻きの角度、並びに/又は前駆体ウェブ20の型式及び坪量に依存するものであり、それら全ては当該技術分野において周知の手段によって必要に応じて変えてもよい。
【0071】
図12の横断面に示されるように、孔6は火山様構造物8を通して孔を形成したウェブ1の第1の側面12と第2の側面14とを流体蓮通させる。火山様構造物8は、Z方向に有意な配向を有する変形されたフィルムの連続した側壁9を有し、使用中のZ方向の圧縮に抵抗することができるよう比較的剛性であり得る。図12及び13の孔を形成したウェブ1の非変形部分は、流体不透過性であり得る。
【0072】
孔を形成したウェブ1の単位面積当りの孔6の数、すなわち孔6の面密度は、1平方センチメートル当たり1つの孔6から、1平方センチメートル当たり最高60個の孔6までの範囲で変化させてもよい。最終用途に応じて、1平方センチメートル当り少なくとも10個、又は少なくとも20個の孔6が存在し得る。一般的に、面密度は、孔を形成したウェブ1の全領域に渡って均一である必要はないが、孔6は、線、ストリップ、バンド、円などのような、予め定められた形状を有する領域内のような、孔を形成したウェブ1のある領域内にのみに存在し得る。一実施形態では、孔を形成したウェブ1が、例えば生理ナプキンのトップシートとして使用される場合、孔6は、流体の浸入が生じるパッドの中央部に対応する領域のみに存在してもよい。
【0073】
したがって、成形装置100との関連で理解できるように、孔を形成したウェブ1の孔6は、概ね平面かつ2次元と称することのできる前駆体ウェブ20を機械的に変形させることによって作製される。「平面」かつ「2次元」とは、火山形構造物8の形成によって付与された明確な平面外のZ方向の3次元性を有する孔を形成したウェブ1と比較して、ウェブが平坦であることを単純に意味する。「平面」かつ「2次元」は、任意の特定の平坦さ、平滑さ、又は次元性を暗示する意味ではない。したがって、柔らかい繊維状の不織布ウェブは、その作られたままの状態において平面であることができる。前駆体ウェブ20がつかみ部116を通るにつれて、ロール104の歯110はロール102の溝108に入り、同時に材料を前駆体ウェブ20の平面外に促して、恒久的な火山様構造物8及び孔6を形成する。実質的に、歯110は前駆体ウェブ20を「押す」又は「穿刺」する。歯110の先端部が前駆体ウェブ20を押して貫通すると、ウェブ材料を歯110によって前駆体ウェブ20の面外に促すことができ、Z方向に伸張及び/又は塑性変形させることができ、結果的に恒久的な火山様構造物8及び孔6の形成がもたらされる。前駆体ウェブの延性及び他の、ガラス転移温度及び結晶性のような材料特性は、比較的恒久的な3次元変形を孔を形成したウェブ1がどれだけ保持するかを決定する。
【0074】
図13及び14は、前駆体ウェブ20が平らなフィルムではなく、微小な段差2によって事前に非平滑化されたフィルムである、3次元の孔を形成したウェブ1の別の実施形態を示している。段差2は、突出部、エンボス、穴などであることができる。図示されている実施形態では、段差2もまた、ハイドロフォーミングプロセスによって形成された火山形のミクロ孔である。好適なハイドロフォーミングプロセスは、1986年9月2日にCurroらに発行された米国特許第4,609,518号に開示されている多相ハイドロフォーミングプロセスの第1の相である。図14及び15に示されるウェブに利用されるハイドロフォーミングスクリーンは「100メッシュ」スクリーンであって、このフィルムはTredegar Film Products(インディアナ州Terre Haute)から入手された。孔6は、装置100においてロール104の歯110によって形成された。
【0075】
図14の横断面に示されるように、一実施形態では、ロール104の歯110によって形成される孔6は第1の側面12から離れる方向に延在し、一方、ハイドロフォーミングによって形成されるミクロ孔のような段差2は第2の側面14から離れて延在する。また、段差2は、柔軟な触感を提供するテクスチャーをもたらす孔のない突出部、微細繊維、又はエンボスであることができる。柔軟さは、使い捨て吸収性物品にウェブ1がトップシートとして使用されるときに有益であり、火山形構造物8及び孔6を形成するための本明細書に開示された方法は、特に、火山形構造物8及び孔6が使い捨て吸収性物品の生産ラインで作製されるとき、微細なテクスチャーの段差2の保存に効果的である。このようにして、柔軟で順応性のある使い捨て吸収性物品用トップシートは、物品の身体に面する表面として第2の側面14が段差2を有する孔を形成したウェブ1を用いるときに実現することができる。
【0076】
図11〜14に示されているフィルム実施形態の孔6は、図2に示されているような装置上で作製しており、図2では、装置100は、1つのパターン付きロール、例えばロール104、及び1つのパターン無し溝付きロール102を有するように配列されている。しかしながら、特定の実施形態において、それぞれのロールの同一の、又は異なる対応区域において、同一の、又は異なるパターンを有する2つのパターン付きロールを使用することによってつかみ部116を形成することが好ましいこともある。このような装置は、孔を形成したウェブ1の両側から突出している孔6と共に、孔を形成したウェブ1内にマクロのテクスチャー、例えば、段差、ミクロ孔、又はミクロパターンがエンボスされたウェブを作製することができる。同様に、追加的な構造物8及び/又は孔6を有するように孔を形成したウェブ1を再加工するように、複数の装置100を有することが望ましい場合がある。例えば、孔を形成したウェブ1上の火山形構造物8のより高い面密度は、2つ以上の装置100を通して前駆体ウェブ20を加工することによって達成され得る。
【0077】
また、孔を形成したウェブ1の特性及び特徴を変化させるために、歯110のサイズ、形、配向、及び間隔をロール104の周辺及び幅に沿って変えてもよいことも想到される。孔6の数、間隔、及び大きさは、歯110の形、数、間隔、及び大きさを変えると共に、必要に応じてロール104及び/又はロール102に対応する寸法的変化を加えることによって変えることができる。この変化は、前駆体ウェブ20において可能な変化及び加工工程における、例えばライン速度、ロール温度のような変化、並びに他の加工後の変化とともに、多くの目的のために多くの異なる孔を形成したウェブ1を作製することを可能にする。
【0078】
本明細書に記載されているプロセスによって生成された孔のサイズは、対応する歯110のサイズ及び形並びに他の前述のプロセスパラメーターに関係するが、孔の実際の形が、前駆体ウェブ20を形成する長鎖分子の分子配向との相対的なロール104上の歯110の配向に関係することが見出された。言い換えれば、フィルムの分子配向に対してある角度をなして置かれた歯が、フィルムの分子配向に対して平行に整列した歯によって形成された細長い形の孔のアスペクト比より比較的小さいアスペクト比(L/W)を有する楕円形の孔を形成することが見出された。事実、フィルムの分子配向に対して垂直に整列した歯は、1.0に近いアスペクト比(L/W)を有する楕円形の孔を形成し、フィルムの分子配向に対して平行に整列した歯は、5.0を超えるアスペクト比を有する孔を形成し得ることが見出された。
【0079】
理論によって束縛されるものではないが、歯はフィルムウェブを穿刺するとき、長鎖分子を切断又は破壊して、分子の引き離しを引き起こす。歯が加熱されると、応力緩和又は融解が生じて、長鎖分子の収縮を引き起こす一方でそれを平衡点に戻すことができる。結果的に、MD配向の歯は、MD配向のフィルムを穿刺するときに、より少ない長鎖分子に影響を及ぼしてスリットをもたらし、CD配向の歯は、MD配向のフィルムにおいてより多くの長鎖分子に影響を及ぼすので、より大きくより丸い孔をもたらすと考えられる。したがって、最小アスペクト比を有する楕円形の孔の形成は、歯の配向とフィルムの分子配向との相対角度が0°を超えるように、好ましくは歯の配向とフィルムの分子配向との相対角度が約30°〜約90°の範囲であるように、歯の配向及び/又はフィルムの分子配向を変更することによって達成し得ることが見出された。より好ましくは、相対角度は約90°である。
【0080】
例えば、図2に示される成形装置100のロール104上の歯110は、歯の横断面長さTLがMDに整列するように配向される。そのようなMD整列の歯は、MDに優勢な分子配向を有するフィルムにスリット又は細長い形の孔を生成することができる。これと比べ、歯の横断面長さTLがCDに整列するように配向した歯110の場合、歯は、MDに優勢な分子配向を有するフィルムに楕円形の孔を生成することになる。したがって、最小アスペクト比、好ましくは約4.0未満のアスペクト比を有するMD配向のフィルムに孔を生成するために、ロール上の歯の配向を構成することができる。
【実施例】
【0081】
(実施例1)
試料は、マイクロ孔を有する100メッシュのフィルムを0.13cm(0.050インチ)のピッチの成形装置に通すことによって作製した。試料1では、歯をMDに配向した。試料2では、歯をCDに配向した。両方のフィルムを、温度75℃及びライン速度15メートル/分(50フィート/分)で加工した。試料1の図15aは、MD配向の歯によって生成された孔を示し、試料2の図15bは、CDに配向された歯によってもたらされた。図のように、孔の長さは同じままだが、幅は増加し、それによってアスペクト比は減少している。
【0082】
【表1】
【0083】
(実施例2)
フィルムの分子配向に対する歯の配向の影響を評価することができるように、歯に対してフィルム試料を配向することによって試料に孔を形成した。0.13cm(0.050インチ)のピッチの噛み合いプレートを、米国特許第7,024,939号及び同第7,062,983号に記載されている高速リサーチプレス上で用いて、100メッシュのフィルム試料に孔を形成した。試料を矩形の試験片(50mm×200mm)に切断した。5つの異なる試料を用意し、それぞれをフィルムの機械方向に対して異なる角度で切断した。試料3では、試料はフィルムの機械方向と整列させて切断し、したがってこれは、0°の配向角度を有するとして指定される。試料7は、試料の長さ寸法をフィルムの横断方向と整列させて切断し、したがってこれは、90°の配向角度を有するとして指定される。その他の試料は、フィルムの機械方向に対して30°、45°、及び60°で切断した。試験では、試料の長さ寸法を噛み合いプレート上の歯の横断面長さ寸法と整列させた。このようにして、歯の横断面長さ寸法と、フィルムの優勢な分子配向(MD)との間の角度を変えて、孔の質への影響を決定した。両方の工具プレートの温度は100℃に設定し、条件は、ロール直径205.84mm、ウェブ速度7.0メートル/秒(滞在時間69ミリ秒)、及び係合深さ2.39mmとなるように設定した。10個の孔の長さ及び幅を測定して平均し、アスペクト比を計算した。下表に示す結果は、フィルムの機械方向に対して角度をなして配向された歯で孔が形成された試料のアスペクト比が、歯とフィルムの機械方向とを同じ方向に整列させたものより低いアスペクト比を有することを実証している。図16a〜16eは試料3〜7にそれぞれ形成された孔の顕微鏡写真である。
【0084】
【表2】
【0085】
代替方法として、フィルムに孔を形成する前に、フィルムを塑性変形させることによって分子配向を修正して、歯の配向とフィルムの分子配向との間の相対角度を最適化してもよい。例えば、MD配向のフィルムの分子配向を、ウェブを塑性変形させることによってCDに変更し、CDに配列された長鎖分子をより高い割合でもたらすことができる。好ましくは、優勢な分子配向がMDからCDに変更されるように、MD配向のフィルムを塑性変形させることができる。次いで、修正されたウェブは、低減されたアスペクト比を有する楕円形の孔をもたらすMD配向の歯によって形成されるつかみ部を通過することができる。
【0086】
前駆体ウェブの分子配向を修正するために、ウェブを伸張するか又は予ひずみを与えて、図1に示される成形装置100を通過させる前にウェブを塑性変形させる。一実施形態では、ウェブを漸増的伸張によって塑性変形させて前駆体ウェブを伸張することができる。本明細書で使用するとき、用語「漸増的伸張」は、リングロール加工とも呼ばれ、緊密に離間した位置でウェブが支えられ、次いで、これらの緊密に離間した位置の間でウェブの支えられていない区間が伸張されるプロセスである。これは、ウェブの移動方向に対して垂直の回転軸を有する対の噛み合い波形ロールの間に形成されたつかみ部にウェブを通過させることによって達成し得る。機械方向及び横断方向の伸張のために設計された漸増的伸張ロールは、米国特許第4,223,059号に記載されている。
【0087】
図17は、それぞれの対向する駆動ロールの歯252と溝254との間の材料のウェブ234を漸増的に伸張させるつかみ部における、それぞれの対向する駆動ロールの歯252と溝254との相互係合を示す、拡大された断片的な横断面図である。図示されるように、不織布ウェブであり得るウェブ234の部分が、相互係合する歯と溝との間に受け入れられている。歯と溝との相互係合により、ウェブ234の横方向に間隔の離れた部分が、歯252によって対向する溝254の中に押し込まれている。駆動ロールの間を通過しているうちに、対向する溝254の中にウェブ234を押し込んでいる歯252の力が、ロール上の歯及び溝の配向次第で機械方向又は機械横方向に作用する引張応力をウェブ234内に課す。引張応力は、隣接する歯252の先端の間に存在する及びその間の空間を渡る中間ウェブ区域258を、機械方向又は機械横方向に伸張させる又は伸ばすことができ、このことは、中間ウェブ区域258のそれぞれにおいて、ウェブ厚さの局部的減少という結果を得ることができる。不織布ウェブの場合、伸張は、中間のウェブ区域258内で、繊維の再配向、坪量の低下、及び制御された繊維破壊を引き起こすことができる。
【0088】
隣接する歯の間に存在するウェブ234の部分は局所的に伸張されるが、歯の先端と接触しているウェブの部分は、同程度の拡張を受けない可能性がある。歯252の丸い外側端部の表面と歯の外側端部において歯表面に接触しているウェブ234の隣接区域260との間に存在する摩擦力のために、歯の外側端部の歯表面に相対的なウェブ表面のこれらの部分の摺動運動は、最小限である。その結果、場合によっては、歯先端の表面に接触しているウェブの区域におけるウェブ234の特性は、中間ウェブ区域258に生じるウェブ特性の変化と比較して、わずかしか変化しない。
【0089】
ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリエステルを含むいくつかの材料は、商業用生産での漸増的伸張に伴う高速のひずみに耐えることができない。そのような材料は、米国特許公開出願第2008/0224351 A1号に記載されているプロセス装置に従って低速度のひずみで漸増的に伸張することができる。本公開特許は、比較的低いひずみ速度でウェブを漸増的に伸張させるための駆動部材を使用する、方法及び装置を提供する。駆動部材は、駆動ベルト及び単一の駆動部材を包含し、駆動ベルト及び単一の駆動部材が、補完し、変形域においてある係合深さで相互に係合する、複数の歯及び溝を含む。係合深さは、変形域にわたって直線的に増加可能である。代表的な実施形態では、変形域は、変形域内で駆動ベルトと単一の駆動部材との間に挿入されたウェブが低ひずみ速度で漸増的に伸張されるように、変形域の少なくとも一部にわたって直線的に増加するように制御することができる。
【0090】
本発明で有用な別の型式の伸張装置はテンターである。テンターは、フィルム伸張プロセスでの横方向の伸張に使用されてきた。テンター装置は、フィルムの対向する縁に沿ってフィルムを把持する握り部又はクリッパーを有する。伸張は、長手方向の動きに対する対向する縁の握り部又はクリッパーの開きによって生じる。そのような装置は、米国特許第3,816,584号に記載されている。
【0091】
ウェブを塑性変形させるための他の方法としては、ハイドロフォーミング及び真空成形が挙げられる。
【0092】
伸張の後、ウェブは、対の逆回転噛み合いロール102及び104を備えるつかみ部116へ機械方向に続行する。対の噛み合いロール102及び104は、ウェブ1に孔を形成するように動作する。噛み合いロール102及び104を図2により詳細に示す。
【0093】
(実施例3)
フィルム試料は、ASTM D2732−03の方法に従って収縮試験される。正方形の試料(それぞれの片は10cm(4インチ))を100メッシュのフィルムから切断し、100℃のグリセロールに30秒間含浸してから取り出し、寸法を再測定した。それぞれの材料について5つの標本を試験し、結果を平均した。予ひずみを与えないと、100メッシュのフィルム試料は機械方向での収縮を呈したが、横断方向では呈さず、この材料が機械方向において優勢な配向であることを示した。ウェブを横断方向に漸増的に伸張することによってフィルムに予ひずみを与えた。漸増的伸張後、100メッシュの試料は横断方向での追加的収縮を呈し、分子配向が横断方向にも導入されたことを示した。表1のデータは、横断方法の収縮の規模(及びしたがって分子配向)が、リングロール加工中に採用された係合深さとともに増加することを実証している。
【0094】
【表3】
【0095】
(実施例4)
ウェブの予ひずみが孔に与える影響を例示するために、孔開け前に100メッシュのフィルムをリングロール加工した。0.13cm(0.050インチ)のピッチの噛み合いロールを396メートル/分(1300フィート/分)の速度でオンラインで使用し、100メッシュのフィルムに孔を形成した。下記に示したデータは、孔開け前にフィルムをリングロール加工することが孔のアスペクト比の減少、孔のサイズの増加、及びフィルムの空気透過性の増加をもたらすことを例示している。図18a〜18dは試料8〜11にそれぞれ形成された孔の顕微鏡写真である。
【0096】
【表4】
【0097】
(実施例5)
フィルムへの予ひずみあり及びなしで、平らなフィルムに孔を形成した。0.13cm(0.050インチ)のピッチの噛み合いプレートを高速リサーチプレス上で使用して、平らなフィルム試料(インディアナ州Terra HauteのTredegar Film Productsから入手したTS3 Flatフィルム)に孔を形成した。孔形成プレート温度は100℃に設定し、結合リングロールプレート温度は22℃に設定した。プロセス条件は、2.6mmの係合深さで3.125メートル/秒のウェブ速度になるように設定した。その結果得られたフィルム(試料12)は、わずかに開いた、スリットのように見える、アスペクト比が20の孔を有していた。同じフィルムの別の試料は、高速リサーチプレス上で同じ条件下で孔を開ける前に、横断方向に手で50%伸張した。その結果得られたフィルム(試料13)は、アスペクト比が3.4の開いた孔を有していた。図19a及び19bは試料12及び13にそれぞれ形成された孔の顕微鏡写真である。
【0098】
【表5】
【0099】
ゾーンに予ひずみを与え、ひずみを与えられた領域と与えられていない領域を有するウェブを形成してから前駆体ウェブに孔を形成し、ひずみを与えられた領域と与えられていない領域で異なる孔径をもたらすことができる。ひずみを与えられた領域と与えられていない領域は連続であっても不連続であってもよく、MD及びCDの両方に行うことができる。
【0100】
(実施例6)
孔を開ける前に、100メッシュのフィルムをゾーンで漸増的に伸張して、それぞれのゾーンが異なる孔径を有する孔のゾーンを形成した。100メッシュのフィルムの試料を、その中央部分だけが作用されるように、ピッチ0.10cm(0.040インチ)、幅7.6cm(3インチ)のリングロールに通した。リングロールの係合深さは、0.11cm(0.045インチ)であった。次いで、ピッチ0.13cm(0.050インチ)の成形装置を、係合深さ0.11cm(0.045インチ)、ライン速度396メートル/分(1300フィート/分)で使用して、フィルムに孔を形成した。歯付きロールの温度は94℃、結合ロールの温度は99℃であった。得られた孔を形成したフィルムは、大きい孔を有する中央帯と、より小さい孔を有する側部帯を有していた。
【0101】
積層体
孔を形成したウェブ1は、例示の実施形態において、単層の前駆体ウェブ20から作製される単層のウェブとして開示されているが、必ずしもそうでなくてもよい。例えば、2つ以上の層又はプライを有する積層体又は複合体である前駆体ウェブ20を使用してもよい。概して、孔を形成したウェブ1の上記説明は、側壁9が1つ以上の前駆体ウェブ材料を含む積層前駆体から形成されたウェブ1が火山様構造物8で構成され得るという認識を含む。例えば、複合前駆体ウェブの材料の1つが非常に低い伸展性を有する場合、歯110は概ねきれいに穿刺することができ、したがって、火山様構造物の側壁9に材料を寄与しない。したがって、複合体又は積層体の前駆体ウェブ20から作製された3次元ウェブは、全ての前駆体ウェブ材料より少ない材料を含む火山様の側壁9を孔6に含むことができる。
【0102】
図20A〜20Cは、第1の表面12と第2の表面14とを有する2層複合体ウェブ1の多様な構成の概略図を示し、第2の表面12から火山形構造物8が延出している。概して、20A及び20Bとして指定された2つの前駆体ウェブのそれぞれは、高分子フィルム又は不織布ウェブのいずれかであることができ、上述のような装置150又は200によって、層をなす関係においてともに加工される。延性及び伸展性のようなそれぞれの特性によっては、前駆体ウェブ20A又は20Bの一方が延出して、図19A及び19Cに示したような3次元の火山様構造物8を形成することができるという結果になり得る。前駆体ウェブ20A又は20Bの他方は、単に穿刺されて、2次元の孔を形成し、したがって実質的に3次元の構造物を一切形成しないことができる。しかし、図19Bに示すように、前駆体ウェブ20A又は20Bの両方が平面外に延出して、3次元の火山様構造物8を形成してもよい。
【0103】
複合積層体の前駆体ウェブ20から作製される多層の孔を形成したウェブ1は、単層の孔を形成したウェブ1に勝る有意な利点を有することができる。例えば、2つの前駆体ウェブ20A及び20Bを用いる多層の孔を形成したウェブ1からの孔6は、2つの前駆体ウェブをともに「ロック」する「入れ子」の関係になった繊維(不織布ウェブの場合に)又は伸張フィルム(フィルムウェブの場合に)を含むことができる。このロックする構成の1つの利点は、入れ子状態が、層間の接着剤又は追加的な熱結合を用いずに又は必要とせずに積層体ウェブを形成することを可能にすることであるが、接着剤又は熱結合は存在してもよい。他の実施形態では、隣接するフィルム層より大きい伸展性を不織布ウェブ層の繊維が有するように、多層ウェブを選択することができる。そのようなウェブでは、不織布層から繊維を押し上げて、火山形構造物8の側壁9にほとんど又は全く材料を寄与せずに上位フィルム層に通すことによって、孔6を生成することができる。
【0104】
多層の孔を形成したウェブ1では、それぞれの前駆体ウェブは異なる材料特性を有することができ、それによって、孔を形成したウェブ1に有益な特性をもたらすことができる。例えば、2つ(以上)の前駆体ウェブ(例えば、第1及び第2の前駆体ウェブ20A及び20B)を備える孔を形成したウェブ1は、使い捨て吸収性物品のトップシートとして使用するために有益な流体取扱い特性を有することができる。使い捨て吸収性物品での優れた流体取扱いのために、例えば、第2の前駆体ウェブ20Bは、上位フィルム層(すなわち、使い捨て吸収性物品のトップシートとして使用されるときに身体に接触する面)を形成することができ、比較的疎水性のポリマーで構成されることができる。第1の前駆体ウェブ20Aは不織布の繊維状ウェブであることができ、比較的親水性の繊維から構成される下位層(すなわち、使い捨て吸収性物品で使用されるとき、トップシートと吸収性コアとの間に配置される)を形成することができる。上位の比較的疎水性の層の上に沈着した流体は、すばやく下位の、比較的親水性の層に送られることができる。使い捨て吸収性物品の用途によっては、それらの層の相対的疎水性を逆にするか、又は別の方法で修正してもよい。概して、孔を形成したウェブ1の流体取扱い特性を最適化するために、孔を形成したウェブ1の様々な層の材料特性を、当該技術分野において既知の手段によって変更又は修正することが可能である。
【0105】
使い捨て吸収性物品に使用するための孔を形成したウェブを形成するための上述のような装置150又は200の明確な便益は、そのような物品を作製するための既存のプロセスにおいて、装置150又は200を単位操作として適応し、位置づける能力である。例えば、孔を形成したウェブ1は、生理用ナプキンのような吸収性物品のトップシートであってもよい。おそらくは地理的に遠隔な場所でオフラインで孔を形成したウェブを作製するのでなく、生理用ナプキンを作製する生産ラインに成形装置150をトップシート材料の供給とともにラインに含めて設置することによって、孔を形成したウェブ1をオンラインで作製することができる。そのようにすることは、いくつかの明確な利点をもたらす。第1に、生理用ナプキン生産ラインに直接に、トップシートに孔を開ける成形装置150を有することは、真空成形又はハイドロフォーミングのような従来のプロセスによって作製されると費用がかさむ場合がある、孔を形成したウェブを購入する必要をなくす。第2に、生理用ナプキン生産ライン上での孔の形成は、3次元の火山形領域がさらされる圧縮及び平坦化の量を最小限にする。例えば、3次元の孔を形成した成形フィルムウェブを生産しロールで出荷すると、成形フィルムの孔のかなりの量の圧縮及び圧縮永久歪みが起こる。そのような圧縮は、流体透過性トップシートとしてのウェブの動作に悪影響を及ぼす。第3に、歯付きの領域が既定のパターンで作製されるように歯付きロール104を構成することによって、孔を形成したトップシートの孔を形成した部分を既定パターンで形成することができる。例えば、孔が生理用ナプキンの中間部分にのみ配置される場合に、トップシートをオンラインで作製することができる。同様に、孔を形成した領域が、チャネル、しるし、色信号などを含む他の可視の構成要素と位置合わせされるように孔を形成することができる。
【0106】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0107】
明示的に除外されるか、あるいは限定されない限り、本明細書に引用するすべての文書は、相互参照する、又は関連するいかなる特許又は特許出願をも含めて、参照によってそれらのすべての内容が本明細書に組み込まれる。いかなる文書の引用も、それが、本願にて開示若しくは特許請求される発明に対する先行技術であること、又は、それが単独で、あるいは任意の他の参照文献との組み合わせで、そのようないかなる発明をも教示、暗示、又は開示することを認めるものではない。更に、本書における用語の意味又は定義が、参照によって組み込まれる文書における同じ用語の意味又は定義と対立する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が優先されるものとする。
【0108】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、孔を形成したウェブの作製方法に関する。具体的には、本方法は、最小のアスペクト比を有する3次元の孔を形成したフィルム、不織布、及びそれらの孔を有する積層体の作製に使用可能である。
【背景技術】
【0002】
孔を形成したウェブは、広範な工業製品及び消費者製品に利用される。例えば、孔を形成したフィルム又は孔を形成した不織布は、使い捨ておむつのような使い捨て吸収性物品及び生理用ナプキンなどのような婦人衛生物品における用途で知られている。そのような物品は、典型的には、流体透過性のトップシートと、流体不透過性の通気性バックシートと、トップシートとバックシートとの間に配置される吸収性コアと、を有する。孔を形成したフィルムは、流体透過性のトップシート及び/又は流体不透過性の通気性バックシートを形成するために作製され得る。
【0003】
2006年4月27日付で公開された米国特許出願第2006/0087053号は、逆回転の噛み合いローラーのつかみ部を通してウェブ材料を移動させることによって前駆体ウェブに孔を開けるための方法を開示しており、その第1のローラーは周辺に延在する隆起部及び溝を備え、第2のローラーは、第2のローラーに基底部で接合された、基底部から先端に向けてテーパー状に形成された歯を複数備える。歯の基底部は、横断面幅寸法より大きい横断面長さ寸法を有する。一方のローラーの歯がもう一方のローラー上の溝と噛み合うにつれて、前駆体ウェブ材料に孔が形成される。このプロセスは、ウェブに孔を形成するための効率的かつ費用効果の優れた手段を提供するが、孔のサイズ及び形は、第2のローラーの歯の形及び配向、並びにフィルムを形成する長鎖分子の配向によって制限される。例えば、押出し成形フィルムは大半の長鎖分子が機械方向に配向される分子配向を有し、これは、押出し成形フィルムの場合、押出し成形プロセスを通してフィルムが従う経路である。逆回転ローラーの第2のローラー上の歯の横断面長さもまた、機械方向に整列する。結果的に、押出し成形フィルムに孔を形成するとき、このプロセスはスリットに似た孔を生成する傾向がある。用途によってはスリットも許容可能であるが、通常は、楕円形の穴のような孔が好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第2006/0087053号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、フィルムの分子配向の影響を克服することができ、スリットでなくむしろ楕円形の穴のような孔を生成することができる、フィルム又はフィルム不織布積層体に孔を生成するためのプロセスが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ウェブに孔を開ける方法が開示され、このウェブに生成される孔は、スリットでなくむしろ楕円形の穴によく類似している。その結果得られるウェブは、改善された流体獲得容量、圧縮抵抗、及び審美性を呈する。この方法は、機械方向及び機械横方向を有する前駆体ウェブ材料を提供する工程を含む。この前駆体ウェブは、機械方向及び機械横方向に対する分子配向を有する。後に、ウェブに孔を形成する対の噛み合い部材に通して、ウェブを移動させる。対の噛み合い部材は、隆起部及び溝を有する第1の部材と、基底部及び先端からテーパー状に形成された複数の歯を有する第2の部材とを備える。歯は、その基底部で第2の部材と接合される。歯の基底部は、横断面幅寸法より大きい横断面長さ寸法を有する。歯は、歯の横断面長さ寸法がウェブの優勢な分子配向に対してゼロより大きい角度をなして配置されるように配向される。孔は、第2の部材の歯が第1の部材の溝と噛み合うにつれて前駆体ウェブ材料に形成される。孔は、4.0未満、好ましくは3.0未満のアスペクト比を有する。
【0007】
一実施形態では、対の噛み合い部材は対の逆回転の噛み合いローラーを備える。対の噛み合いローラーは、周囲方向に延在する隆起部及び溝を有する第1のローラーと、第1のローラーの溝と噛み合う歯を有する第2のローラーと、を備える。歯は、基底部から先端へとテーパー状に形成され、横断面幅寸法より大きい横断面長さ寸法を有するその基底部で第2のローラーと接合される。このウェブ材料は、逆回転の噛み合いローラーのつかみ部を通して移動され、孔は、一方のローラーの歯がもう一方のローラーの溝と噛み合うにつれて前駆体ウェブ材料に形成される。
【0008】
代替方法は、機械方向において優勢な分子配向を有する前駆体ウェブ材料を提供する工程と、機械横方向に整列した分子を伴う修正された分子配向を有する塑性変形されたウェブを生成するためにこの前駆体ウェブを機械横方向に塑性変形する工程と、を含む。塑性変形されたウェブは、それ自体に孔を形成するために、逆回転の噛み合いローラー間に形成されるつかみ部を通して移動される。1つのローラーの歯は機械方向に配向される。
【0009】
この方法は、また、逆回転の噛み合いローラーのつかみ部にウェブ材料を通して移動させる前に、ウェブの塑性変形を選択的場所に限定することによって、ウェブの選択的場所により多くの開いた区域を有する孔を開けるためにも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のプロセスの略図。
【図2】本発明の装置の斜視図。
【図3】図2に示した装置の部分の横断面図。
【図4】本発明のプロセス及び装置の別の実施形態の略図。
【図5】図2又は図8に示した装置の部分の斜視図。
【図6】図9に示した装置の部分の拡大斜視図。
【図7】図2に示した装置の歯の代替構成の斜視図。
【図8】図2に示した装置の部分の斜視図。
【図9】図12に示した装置の部分の上面図。
【図10】図12に示した装置の部分の平面図。
【図11】本発明のプロセスによって作製された孔を形成したウェブを大きく拡大した部分の写真。
【図12】図12の孔を形成したウェブの横断面図。
【図13】本発明のプロセスによって作製された孔を形成したウェブを大きく拡大した部分の写真。
【図14】図14の孔を形成したウェブの横断面図。
【図15a】実施例1の試料1に形成された孔の顕微鏡写真。
【図15b】実施例1の試料2に形成された孔の顕微鏡写真。
【図16a】実施例2の試料3に形成された孔の顕微鏡写真。
【図16b】実施例2の試料4に形成された孔の顕微鏡写真。
【図16c】実施例2の試料5に形成された孔の顕微鏡写真。
【図16d】実施例2の試料6に形成された孔の顕微鏡写真。
【図16e】実施例2の試料7に形成された孔の顕微鏡写真。
【図17】漸増伸長装置の部分の横断面図。
【図18a】実施例4の試料8に形成された孔の顕微鏡写真。
【図18b】実施例4の試料9に形成された孔の顕微鏡写真。
【図18c】実施例4の試料10に形成された孔の顕微鏡写真。
【図18d】実施例4の試料11に形成された孔の顕微鏡写真。
【図19a】実施例5の試料12に形成された孔の顕微鏡写真。
【図19b】実施例5の試料13に形成された孔の顕微鏡写真。
【図20A】様々な代替積層体ウェブ構成の略図。
【図20B】様々な代替積層体ウェブ構成の略図。
【図20C】様々な代替積層体ウェブ構成の略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
用語の定義:
本明細書及び請求項中で使用するとき、用語「含む」は、包括的又は非制限的であって、列挙されていない追加の要素、構成要素、又は方法工程を排除しない。
【0012】
「機械方向」又は「MD」は、製造プロセス中に移動するウェブの移動方向と平行な方向である。MDの±45度以内の方向は、機械方向であると見なされる。
【0013】
「機械横方向」又は「CD」は、MDに実質的に垂直であり、かつウェブによって概して画定された平面における方向である。横断方向の45度以内の方向は、横断方向であると見なされる。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「駆動」は、いずれかのプロセスを意味しており、これによって、噛み合う歯と溝により作り出される引張りひずみが、中間のウェブ区域を伸張させる又は引き伸ばす。そのようなプロセスは、通気性フィルム、伸張性複合材料、孔を形成した材料、及び非平坦材料を包含する多数の物品の生産に有用であることが見出されている。不織布ウェブの場合、伸張は、中間のウェブ区域内で、繊維の再配向、坪量の低下、及び/又は制御された繊維破壊を引き起こすことができる。一般的な駆動方法は、例えば、リングロール加工として当該技術分野において既知のプロセスである。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「駆動部材」は、駆動を実行するための歯及び溝を包含する装置を意味する。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「変形域」は、対向する駆動部材の歯と溝が噛み合って駆動を引き起こす区域を意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「パス長さ」は、対向する駆動部材の噛み合っている歯と溝により形成される変形域の長さを意味する。
【0018】
本明細書で使用するとき、「係合深さ」は、対向する駆動部材の噛み合っている歯と溝が相互の中へ延びる程度を意味する。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「不織布ウェブ」は、間に入れられた、しかし織布又は編まれた布地内のような繰り返しのパターン内ではなく、通常無作為に配向された繊維を有さない、個々の繊維又は糸の構造を有するウェブを指す。不織布ウェブ又は布地は、多数のプロセスで形成されており、例えば、メルトブロープロセス、スパンボンドプロセス、ハイドロエンタングリング、及びカーディング熱接着を包含するカードウェブ接着プロセスなどがある。不織布布地の坪量は、通常、1平方メートル当たりのグラム数(gsm)で表される。積層体ウェブの坪量は、構成要素層及びいずれか他の付加構成要素の組み合わせ坪量である。繊維直径は、通常、マイクロメートルで表されるが、繊維寸法は、繊維の単位長さ当りの重量の単位である、デニールでも表すことができる。本発明での使用に好適な積層体ウェブの坪量は、ウェブの最終用途に依存するが、6gsm〜400gsmの範囲にすることができる。例えば、ハンドタオルとして使用する場合、第1及び第2の両ウェブとも、18gsm〜500gsmの坪量を有する不織布ウェブにすることができる。
【0020】
不織布ウェブの構成繊維は、ポリマーの繊維にすることができ、並びにモノコンポーネント、バイコンポーネント、及び/又は2構成、非円形(例えば、毛管チャネル繊維)にすることができ、並びに0.1〜500マイクロメートルの範囲の主要横断面寸法(例えば、丸繊維の場合には直径)を有することができる。不織布ウェブの構成繊維は、また、化学(例えば、PE及びPP)、構成成分(モノ−及びビス−)、デニール(マイクロデニール及び>20デニール)、形(すなわち、毛管及び丸)などのような特徴において異なる、異なる繊維タイプの混合物であってもよい。構成繊維は、約0.1デニール〜約100デニールの範囲にすることができる。
【0021】
本明細書で使用するとき、「スパンボンド繊維」は、紡糸口金の微細で通常は円形の複数の毛管から溶融した熱可塑性材料をフィラメントとして押し出し、押し出されたフィラメントの直径をその後急激に縮径させることによって形成される、比較的小径の繊維を指す。スパンボンド繊維は、収集表面に沈着するとき、一般に粘着性がない。スパンボンド繊維は、一般に連続しており、及び7マイクロメートルより大きい、より具体的には約10〜40マイクロメートルの(少なくとも10のサンプルからの)平均直径を有する。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「メルトブローイング」とは、溶融した熱可塑性材料を、微細で通常は円形の複数の金型毛管を通して、通常は加熱された収束する高速気体(例えば、空気)流の中へ、溶融糸又はフィラメントとして押し出し、この気体流により溶融した熱可塑性材料のフィラメントを細らせてその直径を縮小することによって、繊維が形成されるプロセスを指しており、直径がマイクロファイバー直径となることもある。その後、メルトブローン繊維は、高速気体流により運ばれて、多くはまだ粘着性であるうちに、収集表面上に沈着され、無作為に分散されたメルトブローン繊維のウェブを形成する。メルトブローン繊維は、連続していても連続していなくてもよい、及び平均直径が一般に10マイクロメートルよりも小さい、マイクロファイバーである。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「ポリマー」には、一般にホモポリマー、コポリマー(ブロック、グラフト、ランダム、及び交互性コポリマーなど)、ターポリマーなど、並びにこれらの混合物及び修飾物が含まれるが、これらに限定されない。更に、特に限定しない限り、用語「ポリマー」とは、材料のあらゆる可能な幾何学的構成を含む。その構成としては、アイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチック、及びランダム対称が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「モノコンポーネント」繊維とは、1つのポリマーのみを使用して1つ以上の押出成形機から形成される繊維を指す。これは、1つのポリマーから形成されているが、着色、静電気防止特性、潤滑、親水性などのために、少量の添加剤が添加された繊維を除外することを意味しない。これらの添加剤、例えば着色用の二酸化チタンは、一般に約5重量%未満、より一般的には約2重量%未満の量で存在する。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「バイコンポーネント」繊維は、別個の押出成形機から押し出されるが、共に紡糸されて1つの繊維を形成する、少なくとも2つの異なるポリマーから形成される繊維を指す。バイコンポーネント繊維はまた、複合繊維又は多成分繊維と呼ばれることもある。複数個のポリマーは、バイコンポーネント繊維の横断面にわたって実質的に一定に位置付けされる異なる区域内に配置され、バイコンポーネント繊維の長さに沿って連続して延びる。かかるバイコンポーネント繊維の形状は、例えば、1つのポリマーが別のポリマーにより包囲されるシース/コア配置であってもよく、又はサイド・バイ・サイド配置、パイ型配置、又は「海島型」配置であってもよい。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「2構成繊維」は、同じ押出成形機からブレンドとして押し出される少なくとも2つのポリマーから形成された繊維を指す。2構成繊維は、繊維の横断面積を横切って比較的一定に位置付けされる異なる区域内に配置された様々なポリマー構成成分を有するものではなく、様々なポリマーは通常、繊維の全長に沿って連続ではなく、代わりに、通常は、無作為に開始及び終了する繊維を形成する。2構成繊維はまた、多構成成分繊維と呼ばれることもある。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「丸形でない繊維」は、丸形でない横断面を有する繊維について説明し、「成形繊維」及び「毛管チャネル繊維」を含む。かかる繊維は中実又は中空であり得、それらは、3葉形、デルタ形であり得、外側表面上に毛管チャネルを有する場合がある繊維である。毛管チャネルは、「U形」、「H形」、「C形」、及び「V形」など多様な横断面形が可能である。好ましい1つの毛管チャネル繊維は、Fiber Innovation Technologies(テネシー州Johnson City)から入手可能な4DG繊維と称されるT−401である。T−401繊維は、ポリエチレンテレフタレート(PETポリエステル)である。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「分子配向」は、特定の方向に沿って高分子鎖又は結晶が位置する度について説明する。
【0029】
本明細書で使用するとき、用語「優勢な分子配向」は、特定の方向に沿って高分子鎖の大半が位置する度を説明する。
【0030】
本明細書で使用するとき、用語「塑性変形」は、変形を引き起こす負荷が取り除かれた後に材料に残る変形である。塑性変形は、材料の弾性限度を越える恒久的な変形部である。
【0031】
本明細書において開示される全ての数値範囲に関して、本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、そのような小さい数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように包含すると理解すべきである。加えて、本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのような大きい数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように包含する。更に、本明細書全体を通じて記載されるあらゆる数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るあらゆるより狭い数値範囲を包含し、並びにその数値範囲内のそれぞれの個々の数値をも、そのようなより狭い数値範囲及び個々の数値が全て、あたかも本明細書に明示的に記載されているかの如く包含するものである。
【0032】
本発明は、孔を形成したウェブを作製するために使用される方法及び装置に関して説明する。この孔を形成したウェブは、フィルムと不織布とを含む孔を形成したフィルム又は積層体であることができる。孔は、マイクロ孔及びマクロ孔を含むことができ、前者は、通常の屋内照明で約1メートルの距離から観察者の裸眼に実質的に不可視であり、後者はそのような条件下で可視である。マイクロ孔及び/又は他のエンボス加工又は非平滑化加工は、本発明の装置によってプロセスする前に形成することができる。孔を形成したウェブは、包帯、包装材、失禁用具、おむつ、生理用ナプキン、パンティライナー、タンポン、及び痔治療パッドのような使い捨て吸収性物品、並びに例えば床掃除シート、身体拭きシート、洗濯シートのような他の消費者製品に使用することができる。加えて、本発明のウェブは、自動車、農業、電気、又は工業用途の穿孔ウェブとしても利用することができる。
【0033】
本発明の1つの装置の概略図を図1に示す。前駆体ウェブ20は成形装置150を機械方向(MD)に移動させ、孔6が形成されて、孔を形成したウェブ1を生成する。前駆体ウェブ20は、供給ロール152(若しくは、複合的なウェブ積層体の場合に必要な複数の供給ロール)、又は、フェストゥーンウェブのような、当該技術分野において既知の他の任意の供給手段から供給することができる。一実施形態では、前駆体ウェブ20は、高分子フィルム押出成形機のようなウェブ作製装置から直接供給することができる。形成後、保管のため及び他の製品の構成要素として更にプロセスするために、孔を形成したウェブ1を供給ロール160に巻き取ることができる。あるいは、使い捨て吸収製品のような完成品に組み込むための変換作業を含む、更なる後プロセスへ孔を形成したウェブ1を直接送ってもよい。
【0034】
図1に示されているように、孔を形成したウェブ1は、第1の表面12と第2の表面14とを有する概ね平面の2次元前駆体ウェブ20から形成することができる。前駆体ウェブ20は、高分子フィルムでもよく、又は高分子フィルムと不織布ウェブとの積層体でもよい。第1の表面12は、前駆体ウェブ20の第1の側面、及び孔を形成したウェブ1の第1の側面に相当する。第2の表面14は、前駆体ウェブ20の第2の側面、及び孔を形成したウェブ1の第2の側面に相当する。一般に、「側面」という用語は、本明細書では、フィルムのような概ね2次元のウェブの2つの主表面を説明する用語の一般的な使い方で用いられる。当然、複合又は積層体構造物では、孔を形成したウェブ1の第1の表面12は、最も外側の層又はプライの一方の第1の側面であり、第2の表面14は、他方の最も外側の層又はプライの第2の側面である。
【0035】
前駆体ウェブ20は、高分子フィルムウェブであることができる。一実施形態では、前駆体ウェブ20は、当該技術分野で既知の使い捨て吸収性製品のトップシートとしての使用に好適な高分子ウェブであり得る。高分子フィルムウェブは、変形可能であることができる。本明細書で使用するとき、変形可能な材料とは、弾性限度を超えて伸張させると、新たに形成された形態を実質的に保持する材料を説明する。このような変形可能な材料は、ホモポリマー及びポリマーブレンドのように、化学的に均質であっても不均質であってもよく、平面シート又は積層体のように、構造的に均質であっても不均質であってもよく、又は、これらの材料のいずれかの組み合わせであってもよい。本発明のプロセスは、高分子フィルムを含む材料の形成に使用される。そのような材料としては、単独の高分子フィルム、又は高分子フィルムと不織布など他の材料とを含む積層体が含まれる。
【0036】
本発明のプロセスに利用される変形可能な高分子フィルムウェブは、例えば、結晶質構造における変化又は固体から溶融状態への変化のような、材料の固体状態の分子構造における変化が生じる形質転換温度範囲を有することができる。結果として、上記の形質転換温度範囲では、材料の特定の物理的特性が実質的に変化する。熱可塑性半結晶質フィルムでは、形質転換温度範囲は、超えるとポリマーがゴム状になり破壊せずに弾性変形又は塑性変形をすることが可能な、フィルムのガラス転移温度範囲か、又は、超えるとフィルムが溶融状態になり実質的にそれまでの全ての熱機械的履歴を失う、フィルムの溶解温度範囲である場合がある。
【0037】
高分子フィルムウェブは、そのポリマーの組成及び温度に左右される特徴的なレオロジー特性を有する熱可塑性ポリマーを含むことができる。ガラス転移温度よりも低い温度においては、そのような熱可塑性ポリマーはかなり硬く剛性で、しばしば脆性であり得る。ガラス転移温度未満よりも低い温度においては、分子は、堅く固定された位置にある。ガラス転移温度よりも高いが、溶融温度範囲よりも低い温度においては、熱可塑性ポリマーは粘弾性を呈する。この温度範囲では、熱可塑性材料は一般に、ある程度の結晶化度を有し、概ね可撓性であり、力を受けると、ある程度変形可能である。このような熱可塑性物質の変形性は、変形速度、変形量(寸法的な量)、変形する時間の長さ、及び温度によって決まる。一実施形態では、本発明のプロセスを利用して、この粘弾温度範囲の範囲内の特に熱可塑性フィルムである、熱可塑性ポリマーを含む材料を形成することができる。
【0038】
高分子フィルムウェブは、特定の量の延性を含むことができる。延性とは、本明細書で使用するとき、材料が破損(破裂、破断、又は分離)する前に、材料を変形さたせときに起こる恒久的かつ回復不能な塑性ひずみの量である。延性は、材料に付加されるひずみの率に依存する。本発明のプロセスで形成される材料は、少なくとも約10%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約100%、又は少なくとも約200%、又は少なくとも約500%の最低延性を有することができる。
【0039】
本発明で利用される高分子フィルムウェブは、ポリオレフィン、ナイロン、ポリエステルなどのようなフィルムとして通常は押出し成形又は鋳造される材料を含むことができる。このようなフィルムは、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、並びに、これらの材料をかなりの割合で含むコポリマー及びブレンドのような熱可塑性材料であることができる。このようなフィルムを表面改質剤で処理して、ロータス効果を付与するなど、親水性又は疎水性特性を付与することができる。高分子フィルムウェブは、単層又は多層の平らなフィルムであってもよい。後述されているように、高分子フィルムウェブは、非平滑化するか、エンボス加工か、又は別の方法で、完全に平らかつ平面的な構成から変えることができる。
【0040】
高分子フィルムの物理的特性、特に弾性率は、特定の方向に沿って高分子鎖が位置する度として先に定義した高分子の分子配向に依存する。フィルムの分子配向は、ASTMのD2732−03の方法によって決定することができる。本試験方法は、厚さ0.76mm(0.030インチ)以下のプラスチックフィルム及びシートの所与の試料の温度でのひずみのない線状熱収縮の程度の決定を行う。優勢な分子配向を有するフィルム試料は、優勢な分子配向の方向に主に収縮し、それに対して垂直の方向の収縮の程度は、より小さい。
【0041】
2軸配向された高分子フィルムは、MD及びCDに対して実質的にランダムな配向を有する。「実質的にランダムな分子配向」とは、フィルム加工中の条件のために、MDに配向される長鎖分子の量がCDにおけるそれより有意に高くないことを意味する。言い換えれば、MDにおける長鎖分子の数とCDにおける長鎖分子の数がほぼ同じである。結果として、ランダムな分子配向を有するフィルムは、弾性率、MD、及びCDのような性状の類似を呈することができる。吹き込みフィルムは、2軸配向の高分子フィルムの例である。これと対照的に、優勢な分子配向を有するフィルムは、特定の方向に配向された長鎖分子をより多く有する。例えば、押出し成形フィルムは、CDよりMDに配向された長鎖分子をより多く有することができる。鋳造フィルムは、MDに優勢な分子配向を有するフィルムの例である。高分子フィルムの分子配向は、フィルムを加熱すること及び/又は塑性変形させることによって変更することができる。例えば、MDに優勢な分子配向を有するフィルムは、ひずみを与えてCDに塑性変形し、長鎖ポリマーの配向を変更して2軸又はCD配向の高分子フィルムにすることができる。
【0042】
前駆体ウェブ20は、2つ以上の前駆体ウェブの複合体又は積層体であってもよく、例えば高分子フィルムと不織布との組み合わせを含むことができる。不織布ウェブ又は布地は、例えば、エアレイイングプロセス、メルトブローイングプロセス、スパンボンディングプロセス、水流交絡プロセス、スパンレーシングプロセス、及びカードウェブ接着プロセスのような多くの既知のプロセスから形成されてきた。また、多重ビームスパンボンドプロセスによって作製されるスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)ウェブ及び同様の物(例えば、SMMS、SSMS)のような多層ウェブを利用してもよい。それぞれの構成要素(すなわち、スパンボンド又はメルトブローンの構成要素)が同じポリマーである必要はない。したがって、SMSウェブでは、スパンボンド及びメルトブローンの層が同じポリマーを含む必要はない。
【0043】
不織布ウェブの構成繊維は、ポリマー繊維であることができ、モノコンポーネント、バイコンポーネント、及び/又は2構成繊維、中空繊維、非丸形状繊維(例えば、成形(例えば、3葉)繊維、又は毛管路繊維)であることができ、0.1〜500マイクロメートルの範囲の1マイクロメートル刻みの値の主要横断面寸法(例えば、丸形状繊維の直径、楕円形状繊維の長軸、不規則形状の最長直線寸法)を有することができる。
【0044】
前駆体ウェブ20は、例えば、放射加熱、強制空気加熱、対流加熱によって、又は油加熱したローラー全体の加熱によってなど、当該技術分野において既知の手段によって予熱することができる。前駆体ウェブ20には、しるし、デザイン、ロゴ、又は他の可視若しくは不可視の印刷パターンを予め印刷してもよい。例えば、デザイン及び色を、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、又はオフセット印刷のような当該技術分野において既知の手段によって印刷して、前駆体ウェブ20の少なくとも部分の色を変えることができる。印刷に加えて、前駆体ウェブ20を界面活性剤、ローション、接着剤などのようなコーティングで処理してもよい。前駆体ウェブ20の処理は、噴霧、スロットコーティング、押出加工、又は別の方法で片方又は両方の表面にコーティングを塗布するなど、当該技術分野において既知の手段によって実現することができる。
【0045】
供給ロール152が図1の矢印で示されている方向に回転すると、前駆体ウェブ20は、様々なアイドラーローラー、張力制御ローラーなど(これらのいずれも図示せず)のいずれかの上又は周囲を含め、当該技術分野において既知の手段によって、機械方向で、対の逆回転の噛み合いロール102及び104から形成されるつかみ部116に移動する。対の噛み合いロール102及び104は、ウェブ20に孔を形成して、孔を形成したウェブ1を形成するように動作する。噛み合いロール102及び104を図2により詳細に示す。
【0046】
図2を参照すると、孔を形成したウェブ1に孔を開けるための成形装置150の部分がより詳細に示されている。装置150のこの部分は、図2では成形装置100として示されており、それぞれが軸Aの周囲を回転する対のスチール製噛み合いロール102及び104を備え、軸Aは平行であり、かつ同一平面にある。成形装置100は、以下に図8に関して詳細に示されるように、一定の回転角度にかけてロール104上に前駆体ウェブ20が残るように設計することができるが、図2は、前駆体ウェブ20が成形装置100上のつかみ部116を通って真っ直ぐに進み、孔を形成したウェブ1として出るにつれて原則的に何が起きるかを示す。したがって、図2は、つかみ部116に真っ直ぐに入り真っ直ぐに出て来る孔を形成したウェブ1を示しているが、つかみ部116より前(前駆体20に関して)又は後(孔を形成したウェブ1に関して)に、既定の回転角度にかけて前駆体ウェブ20又は孔を形成したウェブ1をロール102又は104のいずれかに部分的に巻くことも可能である。例えば、つかみ部116を出た後、既定の回転角度にかけて孔を形成したウェブ1をロール104に巻くように導いて、図8に示すように、ロール104の歯110上に孔が静止して「嵌った」まま残るようにすることができる。
【0047】
ローラー102及び104は、スチール製でもアルミニウム製でもよい。一実施形態では、ローラーはステンレススチールで作製することができる。概して、ローラー102及び104は、耐食性かつ耐摩耗性のスチールで作製することができる。
【0048】
ロール102は、ロール102の周辺全体をとぎれずに取り巻いて延びていることができる、複数の隆起部106と対応する溝108とを含むことができる。いくつかの実施形態では、孔を形成したウェブ1において、どの種類のパターンが望ましいかに応じて、ロール102は、隆起部106の一部又は全部が周囲方向に連続的でなく、割れ目又は間隙を有するように、例えば、エッチング、ミリング、又はその他の機械加工などにより、一部が除去されている隆起部106を含むことができる。割れ目又は間隙は、円又は菱形のような単純な幾何学パターンを含むパターンを形成するように配列されてもよいが、ロゴ及び商標のような複雑なパターンを含んでもよい。一実施形態では、ロール102は、後に詳述するロール104の歯110と同様の歯を有することができる。このように、孔を形成したウェブ1の両側に、外向きに延びている部分を有する3次元の孔を有することが可能である。孔に加えて、ロゴ及び/又はデザインを描いたエンボス加工のテクスチャーのマクロパターンを含む、ウェブ1の孔の様々な平面外のマクロ区域を作製することができる。代替実施形態では、ロール102の外面は、結合するロール104上の歯が2つのロールの間に形成されたつかみ部を貫通することを可能にするゴムのようなブラシ又は弾性材を含むことができる。
【0049】
あるいは、ロール102の代わりに、1998年9月8日付でJourdeらに発行された米国特許第5,802,682号に開示されているようなブラシコンベヤを使用してもよい。この実施形態では、結合するロール104上の歯と結合するようにブラシコンベヤを配列して、ロール104とブラシコンベヤとの間に形成されたつかみ部で歯がブラシを貫通するようにすることができる。
【0050】
ロール104はロール102に類似しているが、円周全体にとぎれずに延出することができる隆起部を有さず、ロール104は、ロール104の少なくとも一部分の周りに離間した関係で延出する、周囲方向に離間した歯110の列となるように修正された、周囲方向に延出する複数個の隆起部の列を具備する。ロール104の歯110の個々の列は、対応する溝112により分離される。作動中、ロール102及び104は、ロール102の隆起部106がロール104の溝112内まで伸張し、ロール104の歯110がロール102の溝108内まで伸張するように噛み合う。噛み合わせが、以下で議論される、図7の横断面表示内で極めて詳細に示される。ロール102及び104の両方又はいずれかを、熱油入ローラー又は電気加熱ローラーを組み込むことによるなど、当該技術分野において既知の手段によって加熱することができる。あるいは、ロールの両方又はいずれかを、表面対流によって、又は表面放射によって加熱してもよい。
【0051】
歯110は、ローラー104と接合することができる。「接合」とは、溶接、圧縮嵌め合い、又は別の方法で歯を接合して取り付けることができることを意味する。しかし、「接合」には、ローラー104から余分な材料を取り除くことによって機械加工された歯の場合のような一体的な取り付けも含まれる。歯110がローラー104に接合される位置は、その基底部である。基底部に平行な任意の横断面の位置で、それぞれの歯は非丸形の横断面区域を有することができる。周辺方向において、横断面区域の横断面長さ(下記のように歯の長さに対応する)は、横断面区域の中心でその長さ寸法に垂直に測定された横断面の幅の少なくとも2倍である。代替実施形態では、歯は、円筒形、矩形、又は、対応する望まれる孔の形に依存する他の形のピンを備えることができる。
【0052】
隆起部106及び代表的な歯110を含む噛み合いロール102及び104の部分の横断面が図3に示されている。図示されるように、歯110は、歯高TH(THは、隆起部106高さにも適用され得ることに留意すること、好ましい実施形態において、歯高及び隆起部高さは等しい)、並びにピッチPと示される歯間間隔(又は隆起部間間隔)を有する。図示されているように、係合深さ(DOE)Eは、ロール102及び104の噛み合い度の測定値であり、隆起部106の先端から、歯110の先端までを測定したものである。係合深さE、歯高TH、及びピッチPは、本発明の前駆体ウェブ20の特性及び孔を形成したウェブ1の所望の特徴に応じ、所望によって変えることができる。例えば、概して、ウェブ1の火山形構造物8又は孔6の密度をより高くするためには、以下に説明するように、ピッチはより小さくあるべきであり、かつ歯の横断面長さTL及び歯間隔距離TDもより小さくあるべきである。
【0053】
また、孔を形成したウェブ1の特性及び特徴を変化させるために、歯110のサイズ、形、配向、及び間隔をロール104の周辺及び幅に沿って変えてもよいことも想到される。
【0054】
加えて、ローション、インク、界面活性剤などのような物質を、つかみ部116に入る前の又は後の孔を形成したウェブ1に、スプレー、コーティング、スロットコーティング、押出し、又は別の方法で適用することができる。そのような処理の適用のための当該技術分野において既知の任意のプロセスを利用することができる。
【0055】
一実施形態では、孔を形成したウェブ1は、図4に示すような装置200を通して前駆体ウェブ20を加工することによって形成することができる。装置200のマルチローラー配列は、孔を形成したウェブ1が既定の回転角にかけて歯付きローラー104と接触したままになる既定の滞在時間を提供するように設計される。回転角は、フィルムのタイプ、ローラーの温度、及びウェブの移動速度に依存して最適化することができるが、概して、巻きの角度は少なくとも部分的に、結合するローラーの相対的サイズに依存して少なくとも10度、最高約270度以上であることができる。図のように、上記の図1で装置150のローラー102に関して説明したように、前駆体20は、ローラー105を導くために様々なガイドローラー及び引張部材(図示せず)の周囲で及びロール102A上に導くことができる。ローラー102Aを加熱して、火山形構造物8及び孔6の形成を助けてもよい。一実施形態では、ローラー102を約93℃(200°F)に加熱することができる。
【0056】
図4に示すように、前駆体ウェブ20は、噛み合いローラー104と102Aとの相互係合によって形成されるつかみ部116Aに入る。装置200のローラー104は、図1の装置150に関して上述したような歯付きローラーであることができる。前駆体ウェブ20がつかみ部116Aを通過するにつれて、ローラー104上の歯110は、前駆体ウェブ20を内に及び/又は通って圧して貫通して、火山形構造物8及び孔6を形成する。次に、孔を形成したウェブ1は、ローラー104とローラー102Bとの相互係合によって形成されたつかみ部116Bに到達するまで、回転ローラー104との固定接点を維持する。ローラー102Bは、上記の図1の装置150のローラー102に関して説明したような隆起部及び溝を有することができる。
【0057】
つかみ部116Bを出るにつれ、孔を形成したウェブ1はローラー104から離れてローラー102B上へと導かれ、必要に応じて様々なガイドローラー105を越えてから、更なるプロセス、搬送、又は工業製品への組み込みのための配置のために巻き取られる。一実施形態では、孔を形成したウェブ1は、生理用ナプキンのための製造プロセスに送られ、孔を形成したウェブ1は、トップシートとしてプロセスに供給され、バックシートウェブのような他の構成要素と接合され、最終形状に切断され、包装され、小売販路へと出荷される。別の実施形態では、ウェブはおむつ製品の製造プロセスに送られ、孔を形成したウェブ1はバックシートとしてプロセスに供給され、トップシートのような他の構成要素と接合される。
【0058】
ローラー104から剥離される際に孔を形成したウェブ1が歯110にくっつく傾向がある場合は、多様な加工助剤を必要に応じて加えることができる。例えば、シリコーン又はフッ化炭素のようなくっつき防止処理を加えることができる。様々な潤滑剤、界面活性剤、又は他の加工助剤を前駆体ウェブ20又はローラー104に加えることができる。ウェブをローラーから取り外すのを助ける他の方法としては、エアナイフ又はブラッシングが挙げられる。一実施形態では、ローラー104は、ウェブの取り外しのポイントでローラー102B上に正空気圧をもたらすために内部チャンバ及び手段を有することができる。概して、ローラー104からローラー102Bへの移動の制御は、ウェブ速度、相対ローラー速度(すなわち、ローラー104とローラー102Bの接線速度)、ウェブ張力、及び相対摩擦係数の影響を受ける。当業者に既知のようにこれらのパラメータのそれぞれを変更して、孔を形成したウェブ1のローラー102Bへの望ましい移動を確保することができる。
【0059】
図4に示すような装置を有することによる利益は、孔を形成したウェブ1がローラー104の歯110と接触して「入れ子になる」時間が延長されることである。このようにして、火山形構造物8及び孔6は、硬化までの追加的な時間を有することになり、ローラー104から取り外された後に3次元構成を維持する可能性が高くなる。理論に束縛されることなく、ローラー104の周辺、ローラー102A、104、及び/又は102Bの温度、並びにローラーの摩擦係数を調整することによって、このより長い滞在時間を利用し、孔を形成したウェブ1が加工され得るライン速度を増して、恒久的な3次元の火山形構造物8を作製することができると考えられる。ローラー102A、104、及び/又は102Bの温度は全て同じ温度でもよく、あるいは、異なる温度でもよい。例えば、ローラー102Bを室温以下にする一方で、ローラー102A及び104を加熱することができる。加えて、様々なローラーの速度を同じ速度に維持してもよく、あるいは、ローラーによって異なる速度を確立してもよい。
【0060】
上述したような装置150又は200のローラーのいずれかを加熱する場合、熱膨張を考慮するように注意しなければならない。一実施形態では、図3に示されている寸法、及び本明細書に記載されている寸法は動作温度における寸法であり、隆起部、溝、及び/又は歯の寸法は、熱膨張を考慮して機械加工される。
【0061】
図5は、孔を形成したウェブ1を作製するのに有用な、複数の歯110を有するローラー104の一実施形態の一部を示す。図6は、図5に示した歯110の拡大図である。図6に示されるように、それぞれの歯110は、基底部111、歯先端112、前縁LE、及び後縁TEを有する。歯先端112は、概ね尖っているか、鈍く尖っているか、又は別の方法で前駆体ウェブ20を伸張及び/又は穿刺するように成形される。歯110は、概ね平らなブレードのような形状を有することができる。すなわち、横断面が概ね円形の丸いピンのような形状とは対照的に、歯110は、一方を伸ばされて、概ね非円形の細長い横断面形状を有することができる。例えば、その基底部111において、歯110の横断面は、少なくとも2つ、又は少なくとも約3つ、又は少なくとも約5つ、又は少なくとも約7つ、又は少なくとも約10、又はそれ以上のTL/TWの歯のアスペクト比ARを呈する歯の長さTL及び歯の幅TWを有し得る。一実施形態では、横断面寸法のアスペクト比ARは、歯高に対して実質的に一定のままである。
【0062】
ローラー104の一実施形態では、歯110は、歯110の基底部111にて前縁LEから後縁TEまで概ね測定される、約1.25mmの均一横断面長さ寸法TLと、基底部にて周辺長さ寸法に対して概ね垂直に測定される、約0.3mmの歯の横断面幅TWとを有し得る。歯は、約1.5mmの距離TDをおいて周囲方向に互いから均等に離間し得る。前駆体ウェブ20から、約5gsm〜約200gsmの範囲の坪量を有する柔らかい繊維状の3次元の孔を形成したウェブ1を作製するために、ロール104の歯110は、約0.5mm〜約3mmの範囲の長さTL、約0.3mm〜約1mmの歯幅TW、約0.5mm〜約3mmの間隔TD、約0.5mm〜約10mmの範囲の歯高TH、及び約1mm(0.040インチ)〜2.54mm(0.100インチ)のピッチPを有することができる。係合深さEは、約0.5mm〜約5mm(最高で歯高THに近づくまで)であり得る。
【0063】
当然、係合深さE、ピッチP、歯高TH、間隔TD、及び歯横断面長さTLは、孔6の所望のサイズ、間隔、及び面密度(孔を形成したウェブ1の単位面積当たりの孔6の数)を達成するために、それぞれ互いに独立に変えられてもよい。例えば、生理用ナプキン及び他の吸収性物品に使用するのに好適な孔を形成したフィルム及び不織布を作製するために、基底部における歯の横断面長さTLは、約2.032mm〜約3.81mmの範囲であり得、歯幅TWは、約0.508mm〜約1.27mmの範囲であり得、歯間隔TDは、約1.0mm〜約1.94mmの範囲であり得、ピッチPは、約1.106mm〜約2.54mmの範囲であり得、及び歯高THは、約2.032mm〜約6.858mmであり得る。係合深さEは、約0.5mm〜約5mmであり得る。歯の先端112の曲率半径Rは、0.001mm〜約0.009mmであり得る。理論に束縛されるものではないが、基底部における歯の長さTLは、約0.254mm〜約12.7mmの範囲であり得、歯幅TWは、約0.254mm〜約5.08mmの範囲であり得、歯間隔TDは、約0.0mm〜約25.4mm(又はそれ以上)の範囲であり得、ピッチPは、約1.106mm〜約7.62mmの範囲であり得、歯高THは、0.254mm〜約18mmの範囲であり得、及び係合の深さEは、0.254mm〜約6.35mmの範囲であり得ると考えられている。開示された範囲のそれぞれに関して、寸法は、最小寸法から最大寸法までの範囲内で、0.001mmの増分で変更可能であることが本明細書に開示され、本開示は、範囲限界及び全ての中間寸法を0.001mmの増分(増分が0.0001mmの増分で変化するものとして開示される曲率半径Rを除く)で教示することが本明細書に開示される。
【0064】
理論に束縛されず、かつ現在係属中の工具設計と一貫して、本発明の方法及び装置に他の寸法を使用することも可能であると考えられる。例えば、基底部における歯の長さTLは、約0.254mm〜約12.7mmの範囲であり得、4.42mm、4.572mm、及び約5.56mmを含むことができ、歯幅TWは、約0.254mm〜約5.08mmの範囲であり得、1.78mmを含むことができ、歯間隔TDは、約0.0mm〜約25.4mmの範囲であり得、2.032mmを含むことができ、ピッチPは、約1.106mm〜約7.62mmの範囲であり得、歯高THは、0.254mm〜約18mmの範囲であり得、5.08mmを含むことができ、及び係合深さEは、0.254mm〜約6.35mmの範囲であり得る。曲率半径は、約0.00mm〜約6.35mmの範囲であり得る。開示された範囲のそれぞれに関して、寸法は、最小寸法から最大寸法までの範囲内で、0.001mmの増分で変更可能であることが本明細書に開示され、本開示は、範囲限界及び全ての中間寸法を0.001mmの増分(増分が0.0001mmの増分で変化するものとして開示される曲率半径Rを除く)で教示することが本明細書に開示される。
【0065】
一実施形態では、孔を形成したウェブ1の火山形構造物8及び/又は孔6を作製するために、LE及びTEを、サメの歯のような形として説明され得る全体として錐体又は、錐台形の点に向かってテーパー状に形成しなくてはならない。図10に示されるように、全体として先の尖った錐体のサメ歯形は、6つの側面114を有することができ、それぞれの側面は全体として三角形である。2つの側面の頂点は前縁LEを作り、2つの側面の頂点は歯110の後縁TEを作る。先端縁又は後縁の頂点は比較的鋭くてもよく、又は丸い曲率半径を有するように機械加工されてもよい。歯の先端の曲率半径は、0.013cm(0.005インチ)であり得る。
【0066】
他の歯の形を用いて孔を作製してもよい。例えば、図7に示されるように、図5に示される全体として錐体形を切頭して、先端112の鋭さを取り除いてもよい。切頭は、概ね平らな領域120が歯110の遠位端に作られるように基底部111から既定の距離で行うことができる。概ね平らな領域120は、歯110の横断面形に対応する面形を有することができる。したがって、概ね平らな領域120は細長くてもよく、すなわち、幅寸法より大きい長さ寸法及び歯110のアスペクト比に対応するアスペクト比ARを有することができる。一実施形態では、平らな領域120は概して鋭い頂点で側面114に移行することができるか、あるいは、その移行が曲率半径であって、滑らかで、丸く、平らな歯の先端をもたらすことができる。
【0067】
別の実施形態では、図8に示されるように、歯110はローラー104の表面に対して概ね垂直に延在する少なくとも1つの縁を有することができる。図8でローラー104の部分斜視図に示されるように、例えば、サメのヒレに似た歯は、歯の先端112に向かって角度をなして延在する前縁LE及び歯の先端112に向かって基底部111から概ね垂直に延在する後縁TLを有することができる。別の実施形態では、歯110は同じ形を有することができるが、前縁と後縁が逆になり、したがって、概ね垂直の縁が前縁になる。
【0068】
図9は、図8に示したローラー104の部分の上面図である。図の実施形態には様々な寸法が示されており、前縁及び後縁を作っている側面114がなす角度が含まれる。同様に、図10は、図8に示される歯の詳細であり、代表的な寸法を示す。概して、図の寸法は、使い捨て吸収性物品のトップシートとして有用な3次元成形フィルムの作製に有益であると現在考えられているが、全ての寸法は前駆体ウェブ20の所望の孔の密度、間隔、サイズ、及びウェブの型式に依存して必要に応じて変えられてもよい。
【0069】
理論に束縛されるものではないが、比較的鋭い先端を歯110に有することは、歯110が前駆体ウェブ20を「きれいに」、すなわち局所的かつ明確に、穿刺貫通することを可能にするので、結果的にもたらされる孔を形成したウェブ1は、主に「エンボス加工」のものというよりむしろ主に「孔を形成した」のものとして説明され得る。一実施形態では、前駆体ウェブ20の穿刺はウェブ20をほとんど変形しないきれいな穿刺であるので、結果的にもたらされるウェブは実質的に2次元の穿孔ウェブとなる。
【0070】
孔を形成したフィルム
2つの代表的な3次元の孔を形成した成形フィルムウェブ1を図11〜14の顕微鏡写真に示す。図11は、1平方メートル当たり約25グラムの坪量を有する概ね平面のポリエチレンフィルム前駆体ウェブ20から作製した3次元の孔を形成したウェブ1の部分を示す。図11に示される孔6は、前駆体ウェブ20を恒久的に変形させて第1の側面12から外向きに延びる複数の個別の離間配置された火山様構造物8を形成するために、伸張され押し通された前駆体ウェブ20を有する加熱されたロール104上の歯110の作用によって形成された。図12〜15に示されるようなウェブは、約93℃(200°F)に加熱されたロール102及び104のつかみ部116を通して加工することによって作製することができる。概して、装置100のライン速度及び十分な加熱は、歯110のサイズ、いずれかのロールの巻きの角度、並びに/又は前駆体ウェブ20の型式及び坪量に依存するものであり、それら全ては当該技術分野において周知の手段によって必要に応じて変えてもよい。
【0071】
図12の横断面に示されるように、孔6は火山様構造物8を通して孔を形成したウェブ1の第1の側面12と第2の側面14とを流体蓮通させる。火山様構造物8は、Z方向に有意な配向を有する変形されたフィルムの連続した側壁9を有し、使用中のZ方向の圧縮に抵抗することができるよう比較的剛性であり得る。図12及び13の孔を形成したウェブ1の非変形部分は、流体不透過性であり得る。
【0072】
孔を形成したウェブ1の単位面積当りの孔6の数、すなわち孔6の面密度は、1平方センチメートル当たり1つの孔6から、1平方センチメートル当たり最高60個の孔6までの範囲で変化させてもよい。最終用途に応じて、1平方センチメートル当り少なくとも10個、又は少なくとも20個の孔6が存在し得る。一般的に、面密度は、孔を形成したウェブ1の全領域に渡って均一である必要はないが、孔6は、線、ストリップ、バンド、円などのような、予め定められた形状を有する領域内のような、孔を形成したウェブ1のある領域内にのみに存在し得る。一実施形態では、孔を形成したウェブ1が、例えば生理ナプキンのトップシートとして使用される場合、孔6は、流体の浸入が生じるパッドの中央部に対応する領域のみに存在してもよい。
【0073】
したがって、成形装置100との関連で理解できるように、孔を形成したウェブ1の孔6は、概ね平面かつ2次元と称することのできる前駆体ウェブ20を機械的に変形させることによって作製される。「平面」かつ「2次元」とは、火山形構造物8の形成によって付与された明確な平面外のZ方向の3次元性を有する孔を形成したウェブ1と比較して、ウェブが平坦であることを単純に意味する。「平面」かつ「2次元」は、任意の特定の平坦さ、平滑さ、又は次元性を暗示する意味ではない。したがって、柔らかい繊維状の不織布ウェブは、その作られたままの状態において平面であることができる。前駆体ウェブ20がつかみ部116を通るにつれて、ロール104の歯110はロール102の溝108に入り、同時に材料を前駆体ウェブ20の平面外に促して、恒久的な火山様構造物8及び孔6を形成する。実質的に、歯110は前駆体ウェブ20を「押す」又は「穿刺」する。歯110の先端部が前駆体ウェブ20を押して貫通すると、ウェブ材料を歯110によって前駆体ウェブ20の面外に促すことができ、Z方向に伸張及び/又は塑性変形させることができ、結果的に恒久的な火山様構造物8及び孔6の形成がもたらされる。前駆体ウェブの延性及び他の、ガラス転移温度及び結晶性のような材料特性は、比較的恒久的な3次元変形を孔を形成したウェブ1がどれだけ保持するかを決定する。
【0074】
図13及び14は、前駆体ウェブ20が平らなフィルムではなく、微小な段差2によって事前に非平滑化されたフィルムである、3次元の孔を形成したウェブ1の別の実施形態を示している。段差2は、突出部、エンボス、穴などであることができる。図示されている実施形態では、段差2もまた、ハイドロフォーミングプロセスによって形成された火山形のミクロ孔である。好適なハイドロフォーミングプロセスは、1986年9月2日にCurroらに発行された米国特許第4,609,518号に開示されている多相ハイドロフォーミングプロセスの第1の相である。図14及び15に示されるウェブに利用されるハイドロフォーミングスクリーンは「100メッシュ」スクリーンであって、このフィルムはTredegar Film Products(インディアナ州Terre Haute)から入手された。孔6は、装置100においてロール104の歯110によって形成された。
【0075】
図14の横断面に示されるように、一実施形態では、ロール104の歯110によって形成される孔6は第1の側面12から離れる方向に延在し、一方、ハイドロフォーミングによって形成されるミクロ孔のような段差2は第2の側面14から離れて延在する。また、段差2は、柔軟な触感を提供するテクスチャーをもたらす孔のない突出部、微細繊維、又はエンボスであることができる。柔軟さは、使い捨て吸収性物品にウェブ1がトップシートとして使用されるときに有益であり、火山形構造物8及び孔6を形成するための本明細書に開示された方法は、特に、火山形構造物8及び孔6が使い捨て吸収性物品の生産ラインで作製されるとき、微細なテクスチャーの段差2の保存に効果的である。このようにして、柔軟で順応性のある使い捨て吸収性物品用トップシートは、物品の身体に面する表面として第2の側面14が段差2を有する孔を形成したウェブ1を用いるときに実現することができる。
【0076】
図11〜14に示されているフィルム実施形態の孔6は、図2に示されているような装置上で作製しており、図2では、装置100は、1つのパターン付きロール、例えばロール104、及び1つのパターン無し溝付きロール102を有するように配列されている。しかしながら、特定の実施形態において、それぞれのロールの同一の、又は異なる対応区域において、同一の、又は異なるパターンを有する2つのパターン付きロールを使用することによってつかみ部116を形成することが好ましいこともある。このような装置は、孔を形成したウェブ1の両側から突出している孔6と共に、孔を形成したウェブ1内にマクロのテクスチャー、例えば、段差、ミクロ孔、又はミクロパターンがエンボスされたウェブを作製することができる。同様に、追加的な構造物8及び/又は孔6を有するように孔を形成したウェブ1を再加工するように、複数の装置100を有することが望ましい場合がある。例えば、孔を形成したウェブ1上の火山形構造物8のより高い面密度は、2つ以上の装置100を通して前駆体ウェブ20を加工することによって達成され得る。
【0077】
また、孔を形成したウェブ1の特性及び特徴を変化させるために、歯110のサイズ、形、配向、及び間隔をロール104の周辺及び幅に沿って変えてもよいことも想到される。孔6の数、間隔、及び大きさは、歯110の形、数、間隔、及び大きさを変えると共に、必要に応じてロール104及び/又はロール102に対応する寸法的変化を加えることによって変えることができる。この変化は、前駆体ウェブ20において可能な変化及び加工工程における、例えばライン速度、ロール温度のような変化、並びに他の加工後の変化とともに、多くの目的のために多くの異なる孔を形成したウェブ1を作製することを可能にする。
【0078】
本明細書に記載されているプロセスによって生成された孔のサイズは、対応する歯110のサイズ及び形並びに他の前述のプロセスパラメーターに関係するが、孔の実際の形が、前駆体ウェブ20を形成する長鎖分子の分子配向との相対的なロール104上の歯110の配向に関係することが見出された。言い換えれば、フィルムの分子配向に対してある角度をなして置かれた歯が、フィルムの分子配向に対して平行に整列した歯によって形成された細長い形の孔のアスペクト比より比較的小さいアスペクト比(L/W)を有する楕円形の孔を形成することが見出された。事実、フィルムの分子配向に対して垂直に整列した歯は、1.0に近いアスペクト比(L/W)を有する楕円形の孔を形成し、フィルムの分子配向に対して平行に整列した歯は、5.0を超えるアスペクト比を有する孔を形成し得ることが見出された。
【0079】
理論によって束縛されるものではないが、歯はフィルムウェブを穿刺するとき、長鎖分子を切断又は破壊して、分子の引き離しを引き起こす。歯が加熱されると、応力緩和又は融解が生じて、長鎖分子の収縮を引き起こす一方でそれを平衡点に戻すことができる。結果的に、MD配向の歯は、MD配向のフィルムを穿刺するときに、より少ない長鎖分子に影響を及ぼしてスリットをもたらし、CD配向の歯は、MD配向のフィルムにおいてより多くの長鎖分子に影響を及ぼすので、より大きくより丸い孔をもたらすと考えられる。したがって、最小アスペクト比を有する楕円形の孔の形成は、歯の配向とフィルムの分子配向との相対角度が0°を超えるように、好ましくは歯の配向とフィルムの分子配向との相対角度が約30°〜約90°の範囲であるように、歯の配向及び/又はフィルムの分子配向を変更することによって達成し得ることが見出された。より好ましくは、相対角度は約90°である。
【0080】
例えば、図2に示される成形装置100のロール104上の歯110は、歯の横断面長さTLがMDに整列するように配向される。そのようなMD整列の歯は、MDに優勢な分子配向を有するフィルムにスリット又は細長い形の孔を生成することができる。これと比べ、歯の横断面長さTLがCDに整列するように配向した歯110の場合、歯は、MDに優勢な分子配向を有するフィルムに楕円形の孔を生成することになる。したがって、最小アスペクト比、好ましくは約4.0未満のアスペクト比を有するMD配向のフィルムに孔を生成するために、ロール上の歯の配向を構成することができる。
【実施例】
【0081】
(実施例1)
試料は、マイクロ孔を有する100メッシュのフィルムを0.13cm(0.050インチ)のピッチの成形装置に通すことによって作製した。試料1では、歯をMDに配向した。試料2では、歯をCDに配向した。両方のフィルムを、温度75℃及びライン速度15メートル/分(50フィート/分)で加工した。試料1の図15aは、MD配向の歯によって生成された孔を示し、試料2の図15bは、CDに配向された歯によってもたらされた。図のように、孔の長さは同じままだが、幅は増加し、それによってアスペクト比は減少している。
【0082】
【表1】
【0083】
(実施例2)
フィルムの分子配向に対する歯の配向の影響を評価することができるように、歯に対してフィルム試料を配向することによって試料に孔を形成した。0.13cm(0.050インチ)のピッチの噛み合いプレートを、米国特許第7,024,939号及び同第7,062,983号に記載されている高速リサーチプレス上で用いて、100メッシュのフィルム試料に孔を形成した。試料を矩形の試験片(50mm×200mm)に切断した。5つの異なる試料を用意し、それぞれをフィルムの機械方向に対して異なる角度で切断した。試料3では、試料はフィルムの機械方向と整列させて切断し、したがってこれは、0°の配向角度を有するとして指定される。試料7は、試料の長さ寸法をフィルムの横断方向と整列させて切断し、したがってこれは、90°の配向角度を有するとして指定される。その他の試料は、フィルムの機械方向に対して30°、45°、及び60°で切断した。試験では、試料の長さ寸法を噛み合いプレート上の歯の横断面長さ寸法と整列させた。このようにして、歯の横断面長さ寸法と、フィルムの優勢な分子配向(MD)との間の角度を変えて、孔の質への影響を決定した。両方の工具プレートの温度は100℃に設定し、条件は、ロール直径205.84mm、ウェブ速度7.0メートル/秒(滞在時間69ミリ秒)、及び係合深さ2.39mmとなるように設定した。10個の孔の長さ及び幅を測定して平均し、アスペクト比を計算した。下表に示す結果は、フィルムの機械方向に対して角度をなして配向された歯で孔が形成された試料のアスペクト比が、歯とフィルムの機械方向とを同じ方向に整列させたものより低いアスペクト比を有することを実証している。図16a〜16eは試料3〜7にそれぞれ形成された孔の顕微鏡写真である。
【0084】
【表2】
【0085】
代替方法として、フィルムに孔を形成する前に、フィルムを塑性変形させることによって分子配向を修正して、歯の配向とフィルムの分子配向との間の相対角度を最適化してもよい。例えば、MD配向のフィルムの分子配向を、ウェブを塑性変形させることによってCDに変更し、CDに配列された長鎖分子をより高い割合でもたらすことができる。好ましくは、優勢な分子配向がMDからCDに変更されるように、MD配向のフィルムを塑性変形させることができる。次いで、修正されたウェブは、低減されたアスペクト比を有する楕円形の孔をもたらすMD配向の歯によって形成されるつかみ部を通過することができる。
【0086】
前駆体ウェブの分子配向を修正するために、ウェブを伸張するか又は予ひずみを与えて、図1に示される成形装置100を通過させる前にウェブを塑性変形させる。一実施形態では、ウェブを漸増的伸張によって塑性変形させて前駆体ウェブを伸張することができる。本明細書で使用するとき、用語「漸増的伸張」は、リングロール加工とも呼ばれ、緊密に離間した位置でウェブが支えられ、次いで、これらの緊密に離間した位置の間でウェブの支えられていない区間が伸張されるプロセスである。これは、ウェブの移動方向に対して垂直の回転軸を有する対の噛み合い波形ロールの間に形成されたつかみ部にウェブを通過させることによって達成し得る。機械方向及び横断方向の伸張のために設計された漸増的伸張ロールは、米国特許第4,223,059号に記載されている。
【0087】
図17は、それぞれの対向する駆動ロールの歯252と溝254との間の材料のウェブ234を漸増的に伸張させるつかみ部における、それぞれの対向する駆動ロールの歯252と溝254との相互係合を示す、拡大された断片的な横断面図である。図示されるように、不織布ウェブであり得るウェブ234の部分が、相互係合する歯と溝との間に受け入れられている。歯と溝との相互係合により、ウェブ234の横方向に間隔の離れた部分が、歯252によって対向する溝254の中に押し込まれている。駆動ロールの間を通過しているうちに、対向する溝254の中にウェブ234を押し込んでいる歯252の力が、ロール上の歯及び溝の配向次第で機械方向又は機械横方向に作用する引張応力をウェブ234内に課す。引張応力は、隣接する歯252の先端の間に存在する及びその間の空間を渡る中間ウェブ区域258を、機械方向又は機械横方向に伸張させる又は伸ばすことができ、このことは、中間ウェブ区域258のそれぞれにおいて、ウェブ厚さの局部的減少という結果を得ることができる。不織布ウェブの場合、伸張は、中間のウェブ区域258内で、繊維の再配向、坪量の低下、及び制御された繊維破壊を引き起こすことができる。
【0088】
隣接する歯の間に存在するウェブ234の部分は局所的に伸張されるが、歯の先端と接触しているウェブの部分は、同程度の拡張を受けない可能性がある。歯252の丸い外側端部の表面と歯の外側端部において歯表面に接触しているウェブ234の隣接区域260との間に存在する摩擦力のために、歯の外側端部の歯表面に相対的なウェブ表面のこれらの部分の摺動運動は、最小限である。その結果、場合によっては、歯先端の表面に接触しているウェブの区域におけるウェブ234の特性は、中間ウェブ区域258に生じるウェブ特性の変化と比較して、わずかしか変化しない。
【0089】
ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリエステルを含むいくつかの材料は、商業用生産での漸増的伸張に伴う高速のひずみに耐えることができない。そのような材料は、米国特許公開出願第2008/0224351 A1号に記載されているプロセス装置に従って低速度のひずみで漸増的に伸張することができる。本公開特許は、比較的低いひずみ速度でウェブを漸増的に伸張させるための駆動部材を使用する、方法及び装置を提供する。駆動部材は、駆動ベルト及び単一の駆動部材を包含し、駆動ベルト及び単一の駆動部材が、補完し、変形域においてある係合深さで相互に係合する、複数の歯及び溝を含む。係合深さは、変形域にわたって直線的に増加可能である。代表的な実施形態では、変形域は、変形域内で駆動ベルトと単一の駆動部材との間に挿入されたウェブが低ひずみ速度で漸増的に伸張されるように、変形域の少なくとも一部にわたって直線的に増加するように制御することができる。
【0090】
本発明で有用な別の型式の伸張装置はテンターである。テンターは、フィルム伸張プロセスでの横方向の伸張に使用されてきた。テンター装置は、フィルムの対向する縁に沿ってフィルムを把持する握り部又はクリッパーを有する。伸張は、長手方向の動きに対する対向する縁の握り部又はクリッパーの開きによって生じる。そのような装置は、米国特許第3,816,584号に記載されている。
【0091】
ウェブを塑性変形させるための他の方法としては、ハイドロフォーミング及び真空成形が挙げられる。
【0092】
伸張の後、ウェブは、対の逆回転噛み合いロール102及び104を備えるつかみ部116へ機械方向に続行する。対の噛み合いロール102及び104は、ウェブ1に孔を形成するように動作する。噛み合いロール102及び104を図2により詳細に示す。
【0093】
(実施例3)
フィルム試料は、ASTM D2732−03の方法に従って収縮試験される。正方形の試料(それぞれの片は10cm(4インチ))を100メッシュのフィルムから切断し、100℃のグリセロールに30秒間含浸してから取り出し、寸法を再測定した。それぞれの材料について5つの標本を試験し、結果を平均した。予ひずみを与えないと、100メッシュのフィルム試料は機械方向での収縮を呈したが、横断方向では呈さず、この材料が機械方向において優勢な配向であることを示した。ウェブを横断方向に漸増的に伸張することによってフィルムに予ひずみを与えた。漸増的伸張後、100メッシュの試料は横断方向での追加的収縮を呈し、分子配向が横断方向にも導入されたことを示した。表1のデータは、横断方法の収縮の規模(及びしたがって分子配向)が、リングロール加工中に採用された係合深さとともに増加することを実証している。
【0094】
【表3】
【0095】
(実施例4)
ウェブの予ひずみが孔に与える影響を例示するために、孔開け前に100メッシュのフィルムをリングロール加工した。0.13cm(0.050インチ)のピッチの噛み合いロールを396メートル/分(1300フィート/分)の速度でオンラインで使用し、100メッシュのフィルムに孔を形成した。下記に示したデータは、孔開け前にフィルムをリングロール加工することが孔のアスペクト比の減少、孔のサイズの増加、及びフィルムの空気透過性の増加をもたらすことを例示している。図18a〜18dは試料8〜11にそれぞれ形成された孔の顕微鏡写真である。
【0096】
【表4】
【0097】
(実施例5)
フィルムへの予ひずみあり及びなしで、平らなフィルムに孔を形成した。0.13cm(0.050インチ)のピッチの噛み合いプレートを高速リサーチプレス上で使用して、平らなフィルム試料(インディアナ州Terra HauteのTredegar Film Productsから入手したTS3 Flatフィルム)に孔を形成した。孔形成プレート温度は100℃に設定し、結合リングロールプレート温度は22℃に設定した。プロセス条件は、2.6mmの係合深さで3.125メートル/秒のウェブ速度になるように設定した。その結果得られたフィルム(試料12)は、わずかに開いた、スリットのように見える、アスペクト比が20の孔を有していた。同じフィルムの別の試料は、高速リサーチプレス上で同じ条件下で孔を開ける前に、横断方向に手で50%伸張した。その結果得られたフィルム(試料13)は、アスペクト比が3.4の開いた孔を有していた。図19a及び19bは試料12及び13にそれぞれ形成された孔の顕微鏡写真である。
【0098】
【表5】
【0099】
ゾーンに予ひずみを与え、ひずみを与えられた領域と与えられていない領域を有するウェブを形成してから前駆体ウェブに孔を形成し、ひずみを与えられた領域と与えられていない領域で異なる孔径をもたらすことができる。ひずみを与えられた領域と与えられていない領域は連続であっても不連続であってもよく、MD及びCDの両方に行うことができる。
【0100】
(実施例6)
孔を開ける前に、100メッシュのフィルムをゾーンで漸増的に伸張して、それぞれのゾーンが異なる孔径を有する孔のゾーンを形成した。100メッシュのフィルムの試料を、その中央部分だけが作用されるように、ピッチ0.10cm(0.040インチ)、幅7.6cm(3インチ)のリングロールに通した。リングロールの係合深さは、0.11cm(0.045インチ)であった。次いで、ピッチ0.13cm(0.050インチ)の成形装置を、係合深さ0.11cm(0.045インチ)、ライン速度396メートル/分(1300フィート/分)で使用して、フィルムに孔を形成した。歯付きロールの温度は94℃、結合ロールの温度は99℃であった。得られた孔を形成したフィルムは、大きい孔を有する中央帯と、より小さい孔を有する側部帯を有していた。
【0101】
積層体
孔を形成したウェブ1は、例示の実施形態において、単層の前駆体ウェブ20から作製される単層のウェブとして開示されているが、必ずしもそうでなくてもよい。例えば、2つ以上の層又はプライを有する積層体又は複合体である前駆体ウェブ20を使用してもよい。概して、孔を形成したウェブ1の上記説明は、側壁9が1つ以上の前駆体ウェブ材料を含む積層前駆体から形成されたウェブ1が火山様構造物8で構成され得るという認識を含む。例えば、複合前駆体ウェブの材料の1つが非常に低い伸展性を有する場合、歯110は概ねきれいに穿刺することができ、したがって、火山様構造物の側壁9に材料を寄与しない。したがって、複合体又は積層体の前駆体ウェブ20から作製された3次元ウェブは、全ての前駆体ウェブ材料より少ない材料を含む火山様の側壁9を孔6に含むことができる。
【0102】
図20A〜20Cは、第1の表面12と第2の表面14とを有する2層複合体ウェブ1の多様な構成の概略図を示し、第2の表面12から火山形構造物8が延出している。概して、20A及び20Bとして指定された2つの前駆体ウェブのそれぞれは、高分子フィルム又は不織布ウェブのいずれかであることができ、上述のような装置150又は200によって、層をなす関係においてともに加工される。延性及び伸展性のようなそれぞれの特性によっては、前駆体ウェブ20A又は20Bの一方が延出して、図19A及び19Cに示したような3次元の火山様構造物8を形成することができるという結果になり得る。前駆体ウェブ20A又は20Bの他方は、単に穿刺されて、2次元の孔を形成し、したがって実質的に3次元の構造物を一切形成しないことができる。しかし、図19Bに示すように、前駆体ウェブ20A又は20Bの両方が平面外に延出して、3次元の火山様構造物8を形成してもよい。
【0103】
複合積層体の前駆体ウェブ20から作製される多層の孔を形成したウェブ1は、単層の孔を形成したウェブ1に勝る有意な利点を有することができる。例えば、2つの前駆体ウェブ20A及び20Bを用いる多層の孔を形成したウェブ1からの孔6は、2つの前駆体ウェブをともに「ロック」する「入れ子」の関係になった繊維(不織布ウェブの場合に)又は伸張フィルム(フィルムウェブの場合に)を含むことができる。このロックする構成の1つの利点は、入れ子状態が、層間の接着剤又は追加的な熱結合を用いずに又は必要とせずに積層体ウェブを形成することを可能にすることであるが、接着剤又は熱結合は存在してもよい。他の実施形態では、隣接するフィルム層より大きい伸展性を不織布ウェブ層の繊維が有するように、多層ウェブを選択することができる。そのようなウェブでは、不織布層から繊維を押し上げて、火山形構造物8の側壁9にほとんど又は全く材料を寄与せずに上位フィルム層に通すことによって、孔6を生成することができる。
【0104】
多層の孔を形成したウェブ1では、それぞれの前駆体ウェブは異なる材料特性を有することができ、それによって、孔を形成したウェブ1に有益な特性をもたらすことができる。例えば、2つ(以上)の前駆体ウェブ(例えば、第1及び第2の前駆体ウェブ20A及び20B)を備える孔を形成したウェブ1は、使い捨て吸収性物品のトップシートとして使用するために有益な流体取扱い特性を有することができる。使い捨て吸収性物品での優れた流体取扱いのために、例えば、第2の前駆体ウェブ20Bは、上位フィルム層(すなわち、使い捨て吸収性物品のトップシートとして使用されるときに身体に接触する面)を形成することができ、比較的疎水性のポリマーで構成されることができる。第1の前駆体ウェブ20Aは不織布の繊維状ウェブであることができ、比較的親水性の繊維から構成される下位層(すなわち、使い捨て吸収性物品で使用されるとき、トップシートと吸収性コアとの間に配置される)を形成することができる。上位の比較的疎水性の層の上に沈着した流体は、すばやく下位の、比較的親水性の層に送られることができる。使い捨て吸収性物品の用途によっては、それらの層の相対的疎水性を逆にするか、又は別の方法で修正してもよい。概して、孔を形成したウェブ1の流体取扱い特性を最適化するために、孔を形成したウェブ1の様々な層の材料特性を、当該技術分野において既知の手段によって変更又は修正することが可能である。
【0105】
使い捨て吸収性物品に使用するための孔を形成したウェブを形成するための上述のような装置150又は200の明確な便益は、そのような物品を作製するための既存のプロセスにおいて、装置150又は200を単位操作として適応し、位置づける能力である。例えば、孔を形成したウェブ1は、生理用ナプキンのような吸収性物品のトップシートであってもよい。おそらくは地理的に遠隔な場所でオフラインで孔を形成したウェブを作製するのでなく、生理用ナプキンを作製する生産ラインに成形装置150をトップシート材料の供給とともにラインに含めて設置することによって、孔を形成したウェブ1をオンラインで作製することができる。そのようにすることは、いくつかの明確な利点をもたらす。第1に、生理用ナプキン生産ラインに直接に、トップシートに孔を開ける成形装置150を有することは、真空成形又はハイドロフォーミングのような従来のプロセスによって作製されると費用がかさむ場合がある、孔を形成したウェブを購入する必要をなくす。第2に、生理用ナプキン生産ライン上での孔の形成は、3次元の火山形領域がさらされる圧縮及び平坦化の量を最小限にする。例えば、3次元の孔を形成した成形フィルムウェブを生産しロールで出荷すると、成形フィルムの孔のかなりの量の圧縮及び圧縮永久歪みが起こる。そのような圧縮は、流体透過性トップシートとしてのウェブの動作に悪影響を及ぼす。第3に、歯付きの領域が既定のパターンで作製されるように歯付きロール104を構成することによって、孔を形成したトップシートの孔を形成した部分を既定パターンで形成することができる。例えば、孔が生理用ナプキンの中間部分にのみ配置される場合に、トップシートをオンラインで作製することができる。同様に、孔を形成した領域が、チャネル、しるし、色信号などを含む他の可視の構成要素と位置合わせされるように孔を形成することができる。
【0106】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0107】
明示的に除外されるか、あるいは限定されない限り、本明細書に引用するすべての文書は、相互参照する、又は関連するいかなる特許又は特許出願をも含めて、参照によってそれらのすべての内容が本明細書に組み込まれる。いかなる文書の引用も、それが、本願にて開示若しくは特許請求される発明に対する先行技術であること、又は、それが単独で、あるいは任意の他の参照文献との組み合わせで、そのようないかなる発明をも教示、暗示、又は開示することを認めるものではない。更に、本書における用語の意味又は定義が、参照によって組み込まれる文書における同じ用語の意味又は定義と対立する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が優先されるものとする。
【0108】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブに孔を開ける方法であって、
a.機械方向及び機械横方向を有する前駆体ウェブ材料を提供する工程であって、前記ウェブが前記機械方向及び前記機械横方向に対して優勢な分子配向を有する、工程と、
b.第1の部材と第2の部材とを備える成形装置を提供する工程であって、前記第1の部材が結合部材を備え、前記第2の部材が基底部及び先端からテーパー状に形成された歯を複数備え、前記歯は前記基底部で前記第2の部材に接合され、それぞれの歯の前記基底部は横断面幅寸法より大きい横断面長さ寸法を有し、それぞれの歯は、前記歯の前記横断面長さ寸法が前記ウェブの前記優勢な分子配向に対してゼロより大きい角度をなして配置されるように配向される、工程と、
c.前記前駆体ウェブ材料を噛み合い部材に通して移動させる工程であって、前記第2の部材上の前記歯が前記結合部材を貫通するにつれて前記前駆体ウェブ材料に孔が形成される、工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記成形装置が対の逆回転ローラーを備え、前記第1の部材が第1のローラーを備え、前記第2の部材が、列に配列された前記歯を有する第2のローラーを備え、それぞれの列は前記第2のローラーの周辺に少なくとも部分的に延在し、前記前駆体ウェブが、前記前駆体ウェブに孔を形成する前記逆回転ローラーの間に形成されるつかみ部を通って移動する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のローラーが、前記第2のローラー上の前記歯と前記つかみ部で噛み合う、周囲方向に延在する隆起部及び溝を備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のローラーが、ブラシを形成する放射状に延在した剛毛を備えていて、これが前記第2のローラー上の前記歯と前記つかみ部で結合する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のローラーが加熱される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記歯が、少なくとも6面を有する全体として錐体形であり、前記面が実質的に三角形であり、実質的に一点に向かってテーパー状に形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記横断面長さ寸法及び横断面幅寸法が長さ対幅のアスペクト比を画定し、前記アスペクト比が少なくとも2.0である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記歯が、前記第2のローラーの一体的な突起部である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記優勢な分子配向が前記機械方向にあり、それぞれの歯が前記機械方向に対して約30度を超える角度をなして配向される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記前駆体ウェブ材料に形成された前記孔が、4.0未満のアスペクト比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、使い捨て吸収性物品製造プロセスにおける単位操作であり、前記方法が、前記孔を形成した前駆体ウェブを、前記使い捨て吸収性物品製造プロセスへ送る工程を更に含み、前記前駆体ウェブが、前記使い捨て吸収性物品の構成要素を形成するために変換される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ウェブに孔を開ける方法であって、
a.機械方向及び機械横方向を有する前駆体ウェブ材料を提供する工程であって、前記ウェブが前記機械方向において優勢な分子配向を有する、工程と、
b.前記前駆体ウェブを前記機械横方向に塑性変形する工程と、
c.成形装置を提供する工程と、
d.前記塑性変形された前駆体ウェブ材料を前記成形装置に通して移動させる工程であって、前記成形装置が前記ウェブを貫通してそれに孔を形成する、工程と、を含む、方法。
【請求項13】
前記成形装置が、対の逆回転する噛み合いローラーを備えていてその間につかみ部を形成し、第1のローラーは周囲方向に延在する隆起部と溝とを備え、第2のローラーは放射状に延在する貫通部材を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記貫通部材が、基底部及び先端からテーパー状に形成された歯を複数備え、前記歯が前記基底部で前記第2のローラーに接合され、前記歯の前記基底部が、横断面幅寸法より大きい横断面長さ寸法を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、使い捨て吸収性物品製造プロセスにおける単位操作であり、前記方法が、前記孔を形成した前駆体ウェブを、前記使い捨て吸収性物品製造プロセスへ送る工程を更に含み、前記前駆体ウェブが、前記使い捨て吸収性物品の構成要素を形成するように変換される、請求項12に記載の方法。
【請求項1】
ウェブに孔を開ける方法であって、
a.機械方向及び機械横方向を有する前駆体ウェブ材料を提供する工程であって、前記ウェブが前記機械方向及び前記機械横方向に対して優勢な分子配向を有する、工程と、
b.第1の部材と第2の部材とを備える成形装置を提供する工程であって、前記第1の部材が結合部材を備え、前記第2の部材が基底部及び先端からテーパー状に形成された歯を複数備え、前記歯は前記基底部で前記第2の部材に接合され、それぞれの歯の前記基底部は横断面幅寸法より大きい横断面長さ寸法を有し、それぞれの歯は、前記歯の前記横断面長さ寸法が前記ウェブの前記優勢な分子配向に対してゼロより大きい角度をなして配置されるように配向される、工程と、
c.前記前駆体ウェブ材料を噛み合い部材に通して移動させる工程であって、前記第2の部材上の前記歯が前記結合部材を貫通するにつれて前記前駆体ウェブ材料に孔が形成される、工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記成形装置が対の逆回転ローラーを備え、前記第1の部材が第1のローラーを備え、前記第2の部材が、列に配列された前記歯を有する第2のローラーを備え、それぞれの列は前記第2のローラーの周辺に少なくとも部分的に延在し、前記前駆体ウェブが、前記前駆体ウェブに孔を形成する前記逆回転ローラーの間に形成されるつかみ部を通って移動する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のローラーが、前記第2のローラー上の前記歯と前記つかみ部で噛み合う、周囲方向に延在する隆起部及び溝を備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のローラーが、ブラシを形成する放射状に延在した剛毛を備えていて、これが前記第2のローラー上の前記歯と前記つかみ部で結合する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のローラーが加熱される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記歯が、少なくとも6面を有する全体として錐体形であり、前記面が実質的に三角形であり、実質的に一点に向かってテーパー状に形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記横断面長さ寸法及び横断面幅寸法が長さ対幅のアスペクト比を画定し、前記アスペクト比が少なくとも2.0である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記歯が、前記第2のローラーの一体的な突起部である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記優勢な分子配向が前記機械方向にあり、それぞれの歯が前記機械方向に対して約30度を超える角度をなして配向される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記前駆体ウェブ材料に形成された前記孔が、4.0未満のアスペクト比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、使い捨て吸収性物品製造プロセスにおける単位操作であり、前記方法が、前記孔を形成した前駆体ウェブを、前記使い捨て吸収性物品製造プロセスへ送る工程を更に含み、前記前駆体ウェブが、前記使い捨て吸収性物品の構成要素を形成するために変換される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ウェブに孔を開ける方法であって、
a.機械方向及び機械横方向を有する前駆体ウェブ材料を提供する工程であって、前記ウェブが前記機械方向において優勢な分子配向を有する、工程と、
b.前記前駆体ウェブを前記機械横方向に塑性変形する工程と、
c.成形装置を提供する工程と、
d.前記塑性変形された前駆体ウェブ材料を前記成形装置に通して移動させる工程であって、前記成形装置が前記ウェブを貫通してそれに孔を形成する、工程と、を含む、方法。
【請求項13】
前記成形装置が、対の逆回転する噛み合いローラーを備えていてその間につかみ部を形成し、第1のローラーは周囲方向に延在する隆起部と溝とを備え、第2のローラーは放射状に延在する貫通部材を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記貫通部材が、基底部及び先端からテーパー状に形成された歯を複数備え、前記歯が前記基底部で前記第2のローラーに接合され、前記歯の前記基底部が、横断面幅寸法より大きい横断面長さ寸法を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、使い捨て吸収性物品製造プロセスにおける単位操作であり、前記方法が、前記孔を形成した前駆体ウェブを、前記使い捨て吸収性物品製造プロセスへ送る工程を更に含み、前記前駆体ウェブが、前記使い捨て吸収性物品の構成要素を形成するように変換される、請求項12に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図16a】
【図16b】
【図16c】
【図16d】
【図16e】
【図17】
【図18a】
【図18b】
【図18c】
【図18d】
【図19a】
【図19b】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図16a】
【図16b】
【図16c】
【図16d】
【図16e】
【図17】
【図18a】
【図18b】
【図18c】
【図18d】
【図19a】
【図19b】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【公表番号】特表2012−517536(P2012−517536A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549206(P2011−549206)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/022790
【国際公開番号】WO2010/090974
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/022790
【国際公開番号】WO2010/090974
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
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