説明

孔型圧延ロールの基準位置決定方法

【課題】圧延スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置調整のための基準位置を容易に決定でき、容易に圧下位置のキャリブレーションを行い得る孔型圧延ロールの基準位置決定方法を提供する。
【解決手段】圧延スタンド200には、圧下方向Yに垂直な方向Xに位置調整可能な2つの孔型圧延ロールR11,R12が配設されている。本発明に係る孔型圧延ロールの基準位置決定方法は、第3直線部L3を具備する孔型圧延ロールR11の第3直線部L3が、第4直線部L4を具備する孔型圧延ロールR12の第4直線部L4に一定の荷重下で接触するまで、第3直線部L3を具備する孔型圧延ロールR11又は第4直線部L4を具備する孔型圧延ロールR12を圧下方向Xに垂直な方向Yに移動させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継目無管や棒鋼等の管状又は棒状の被圧延材を圧延するための圧延スタンドが備える孔型圧延ロールの基準位置決定方法に関する。特に、本発明は、圧延スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置調整のための相対的な基準位置を容易に決定でき、容易に圧下位置のキャリブレーションを行い得る孔型圧延ロールの基準位置決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マンネスマン−マンドレルミル方式による継目無管の製造においては、まず丸ビレット又は角ビレットを加熱炉で加熱した後、穿孔機で穿孔圧延して中空素管を製造する。次に、前記中空素管の内面にマンドレルバーを挿入し、複数の圧延スタンドからなるマンドレルミルで延伸圧延する。その後、管材を絞り圧延機で所定外径に成形圧延して製品を得る。
【0003】
従来より、図1(a)に示すような、各圧延スタンドに対向する2つの孔型圧延ロールR11’、R12’が配設され、隣接する圧延スタンド間で孔型圧延ロールR11’、R12’の圧下方向を90°ずらして交互に配置した2ロール式マンドレルミルや、図1(b)に示すような、各圧延スタンドに圧下方向の成す角が120°となるように3つの孔型圧延ロールR21’、R22’、R23’が配設され、隣接する圧延スタンド間で孔型圧延ロールR21’、R22’、R23’の圧下方向を60°ずらして交互に配置した3ロール式マンドレルミルが用いられている。さらに、図1(c)に示すような、各圧延スタンドに圧下方向の成す角が90°となるように4つの孔型圧延ロールR31’、R32’、R33’、R34’が配設された4ロール式マンドレルミルも適用されている。
【0004】
ここで、マンドレルミルにおける被圧延材の肉厚精度を確保して、さらに偏肉を抑制するには、マンドレルミルの各圧延スタンドが具備する各孔型圧延ロールの圧下位置(被圧延材を圧延する際の、被圧延材に対する各孔型圧延ロールの位置)を適正な位置に設定することが重要である。具体的には、図1に示すように、各孔型圧延ロールの溝底Bが、被圧延材のパスライン中心Oから所望の量だけ均等に離間した位置となることが重要である。しかしながら、各孔型圧延ロール及びその孔型圧延ロールを保持する工具の寸法公差や設置誤差等の影響により、実際には各孔型圧延ロールの圧下位置を設計値通りに設定することは困難である。
【0005】
そこで、2ロール式マンドレルミルにおいては、対向する孔型圧延ロールR11’、R12’を圧下方向(図1(a)の矢符の方向)に移動させ、そのフランジ部F’同士を接触させて一定の荷重で互いに押圧させ、このときの各孔型圧延ロールR11’、R12’の位置を圧下方向の基準位置として、圧下方向の圧下位置を調整する方法が用いられている。具体的には、各孔型圧延ロールR11’、R12’の上記基準位置を決めた後、各孔型圧延ロールR11’、R12’の位置を上記基準位置から圧下方向に均等に移動させる。
【0006】
しかしながら、3ロール式や4ロール式のマンドレルミルの場合、各孔型圧延ロールの位置の相対関係の自由度が大きいため、上記の2ロール式マンドレルミルの場合の方法では孔型圧延ロールの圧下方向の基準位置を適切に決定できない。従って、各孔型圧延ロールの圧下位置を適正な位置に調整できないために、被圧延材の偏肉を抑制することが困難であるという問題がある。
【0007】
特許文献1には、3ロール式マンドレルミルについて、マンドレルミル出側に肉厚測定装置を配置し、該肉厚測定装置で測定した被圧延材の肉厚測定値に基づいて、各孔型圧延ロールの圧下方向の圧下位置を調整する方法が提案されている。しかしながら、最初に圧延する被圧延材については、肉厚測定装置による測定値が無いため、少なくとも当該最初の被圧延材については、各孔型圧延ロールの圧下位置を適正な位置に調整できず、偏肉を抑制することが困難である。
【0008】
一方、2ロール式マンドレルミルであっても、各孔型圧延ロール及びその孔型圧延ロールを保持する工具の寸法公差や設置誤差等の影響により、図2に示すように、孔型圧延ロールR11’、R12’の圧下方向に垂直な方向(図2に矢符で示す方向)の位置がずれる場合がある。この圧下方向に垂直な方向の位置ずれが生じれば、被圧延材Pに偏肉が生じる。しかし、この位置ずれは、上記の孔型圧延ロールR11’、R12’を圧下方向に移動させて、そのフランジ部同士を接触させる方法では矯正することはできない。
【0009】
特許文献2には、マンドレルミルの下流で測定した被圧延材の肉厚測定値に基づいて、マンドレルミルが備える孔型圧延ロールの各フランジ側の閉め込み量を個別に調整する方法が提案されている。特許文献2に記載の方法によれば、各側の閉め込み量を異ならせることにより、孔型圧延ロールの圧下位置を圧下方向に垂直な方向にも調整可能である。しかしながら、最初に圧延する被圧延材については、肉厚測定値が無いため、少なくとも当該最初の被圧延材については、各孔型圧延ロールの圧下方向に垂直な方向の圧下位置を適正な位置に調整できず、図2に示すような偏肉を抑制することが困難である。これは、3ロール式や4ロール式のマンドレルミルの場合も同様である。
【0010】
以上に述べた従来技術の問題は、マンドレルミルに限るものではなく、孔型圧延ロールを用いて被圧延材を圧延する圧延スタンドに共通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−131706号公報
【特許文献2】特開2003−220403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、斯かる従来技術の問題を解決するために創作されたものであり、継目無管や棒鋼等の管状又は棒状の被圧延材を圧延するための圧延スタンドが備える孔型圧延ロールの基準位置決定方法であって、該圧延スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置調整のための基準位置を容易に決定でき、容易に圧下位置のキャリブレーションを行い得る孔型圧延ロールの基準位置決定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の手段は、2つの孔型圧延ロールが配設された圧延スタンドにおける孔型圧延ロールの基準位置決定方法であって、孔型圧延ロールの圧下方向及び圧下方向に垂直な方向の基準位置を容易に決定でき、容易に圧下位置のキャリブレーションを行い得る孔型圧延ロールの基準位置決定方法を提供するものである。
すなわち、本発明の第1の手段は、複数の孔型圧延ロールが配設された圧延スタンドが備える孔型圧延ロールの圧下位置調整のための基準位置決定方法であって、前記圧延スタンドには、圧下方向に垂直な方向に位置調整可能な2つの孔型圧延ロールが対向する位置に配設されており、各孔型圧延ロールを該孔型圧延ロールの回転軸の中心線を含み被圧延材のパスラインに直交する平面で切断してできる各孔型圧延ロールの断面形状に関して、一方の孔型圧延ロールの断面形状は、圧下方向に平行に延びる第3直線部を少なくとも片側のフランジ部に具備し、他方の孔型圧延ロールの断面形状は、前記第3直線部に対向し、該第3直線部に平行に延びる第4直線部をフランジ部に具備しており、前記第3直線部を具備する孔型圧延ロールの第3直線部が、前記第4直線部を具備する孔型圧延ロールの第4直線部に一定の荷重下で接触するまで、前記第3直線部を具備する孔型圧延ロール又は前記第4直線部を具備する孔型圧延ロールを圧下方向に垂直な方向に移動させることを特徴とする孔型圧延ロールの基準位置決定方法を提供する。
【0014】
本発明の第2の手段は、4つの孔型圧延ロールが配設された圧延スタンドにおける孔型圧延ロールの基準位置決定方法であって、孔型圧延ロールの圧下方向及び圧下方向に垂直な方向の基準位置を容易に決定でき、容易に圧下位置のキャリブレーションを行い得る孔型圧延ロールの基準位置決定方法を提供するものである。
すなわち、本発明の第2の手段は、複数の孔型圧延ロールが配設された圧延スタンドが備える孔型圧延ロールの圧下位置調整のための基準位置決定方法であって、前記圧延スタンドには、それぞれの圧下方向の成す角が90°となるように4つの孔型圧延ロールが配設されており、各孔型圧延ロールを該孔型圧延ロールの回転軸の中心線を含み被圧延材のパスラインに直交する平面で切断してできる各孔型圧延ロールの断面形状に関して、対向する何れか一組の孔型圧延ロールの断面形状は、圧下方向に垂直に延びる第1直線部を両側のフランジ部に具備すると共に、圧下方向に平行に延びる第3直線部を両側のフランジ部に具備し、他の一組の孔型圧延ロールの断面形状は、前記第1直線部に対向し、該第1直線部に平行に延びる第2直線部をフランジ部に具備すると共に、前記第3直線部に対向し、該第3直線部に平行に延びる第4直線部をフランジ部に具備しており、前記第2直線部及び前記第4直線部を具備する前記他の一組の孔型圧延ロールを、前記第1直線部と前記第2直線部とが互いに対向した状態を保つように、圧下方向に開くステップと、前記第1直線部及び前記第3直線部を具備する前記一組の孔型圧延ロールの第1直線部が、前記第2直線部及び前記第4直線部を具備する前記他の一組の孔型圧延ロールの第2直線部に一定の荷重下で接触するまで、前記第1直線部及び前記第3直線部を具備する前記一組の孔型圧延ロールを圧下方向に閉めるステップと、前記第1直線部及び前記第3直線部を具備する前記一組の孔型圧延ロールを、前記第3直線部と前記第4直線部とが互いに対向した状態を保つように、圧下方向に均等に開くステップと、前記第2直線部及び前記第4直線部を具備する前記他の一組の孔型圧延ロールの第4直線部が、前記第1直線部及び前記第3直線部を具備する前記一組の孔型圧延ロールの第3直線部に一定の荷重下で接触するまで、前記第2直線部及び前記第4直線部を具備する前記他の一組の孔型圧延ロールを圧下方向に閉めるステップと、を順に実行することを特徴とする孔型圧延ロールの基準位置決定方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、圧延スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置調整のための基準位置を容易に決定できるため、各孔型圧延ロールの圧下位置を適正な位置に調整でき、例えば被圧延材が管状である場合には、その偏肉を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、マンドレルミルを構成する圧延スタンドの例を概略的に示す縦断面図である。
【図2】図2は、圧延スタンドを構成する孔型圧延ロールの横方向の位置ズレを説明する縦断面図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態に係る3ロール式マンドレルミルを構成する圧延スタンドの概略構成と圧下位置調整のための基準位置の決定手順の一例を示す縦断面図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態の変形例に係る3ロール式マンドレルミルを構成する圧延スタンドの概略構成を示す縦断面図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態に係る3ロール式マンドレルミルを構成する圧延スタンドの概略構成と圧下位置調整のための基準位置の決定手順の一例を示す縦断面図である。
【図6】図6は、本発明の第3実施形態に係る2ロール式マンドレルミルを構成する圧延スタンドの概略構成を示す縦断面図である。
【図7】図7は、本発明の第4実施形態に係る4ロール式マンドレルミルを構成する圧延スタンドの概略構成と圧下位置調整のための基準位置の決定手順の一例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図3は、本発明の第1実施形態に係る3ロール式マンドレルミルを構成する圧延スタンドの概略構成と圧下位置調整のための基準位置の決定手順の一例を示す縦断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る圧延スタンド100は、ハウジング(図示せず)と、該ハウジングに各孔型圧延ロールの圧下方向の成す角が120°となるように配設された3つの孔型圧延ロールR21、R22、R23とを備える。
【0018】
本実施形態に係る圧延スタンド100が備える孔型圧延ロールR21、R22、R23の縦断面形状(被圧延材のパスライン(図3(g)の符号Oが被圧延材のパスライン中心を示す)に直交する断面形状)は下記の特徴を有する。すなわち、何れか1つの孔型圧延ロールR21が、その圧下方向(図3(a)のY方向)に垂直に延びる第1直線部L1を両側のフランジ部に具備する。また、他の2つの孔型圧延ロールR22、23が、第1直線部L1に対向し、第1直線部L1に平行に延びる第2直線部L2をフランジ部に具備する。
【0019】
上記構成の圧延スタンド100において、孔型圧延ロールR21、R22、R23の圧下位置調整のためのY方向の基準位置の決定は、例えば、以下のような手順でなされる。
【0020】
まず最初に、初期状態(図3(a)に示す状態)の孔型圧延ロールR21〜R23のうち、図3(b)に示すように、第2直線部L2を具備する孔型圧延ロールR22、R23をそれぞれ圧下方向に開く(パスライン中心Oから遠ざかる方向に移動させる)。次に、図3(c)に示すように、孔型圧延ロールR21を圧下方向に閉める(パスライン中心Oに近づくように移動させる)。以上の動作により、後述するように直線部L1と直線部L2とを接触させる際に、孔型圧延ロールR22のフランジ部F22と孔型圧延ロールR23のフランジ部F23とが接触することを防止可能である。
【0021】
次に、図3(d)に示すように、孔型圧延ロールR22、R23の第2直線部L2が孔型圧延ロールR21の第1直線部L1に一定の荷重下で接触するまで、孔型圧延ロールR22、R23をそれぞれ圧下方向に閉める。この際、孔型圧延ロールR22の直線部L2が設けられていない側のフランジ部F22と、孔型圧延ロールR23の直線部L2が設けられていない側のフランジ部F23とは、接触しないため、第1直線部L1と第2直線部L2との接触を阻害することがない。
【0022】
次に、図3(e)に示すように、第1直線部L1を具備する孔型圧延ロールR21を圧下方向に開いた後、図3(f)に示すように、第2直線部L2を具備する孔型圧延ロールR22、R23をそれらのフランジ部F22、F23が一定の荷重下で接触するまでそれぞれ圧下方向に均等に閉じる。
【0023】
最後に、図3(g)に示すように、孔型圧延ロールR21の第1直線部L1が孔型圧延ロールR22、R23の第2直線部L2に一定の荷重下で接触するまで、孔型圧延ロールR21を圧下方向に閉める。
【0024】
以上に説明した手順により、孔型圧延ロールR21〜R23の少なくともY方向の基準位置を決定できる。そして、各孔型圧延ロールR21〜R23は、その基準位置(図3(g)に示す位置)の情報に基づき圧下位置のキャリブレーションを行うことができ、被圧延材の偏肉を抑制可能である。なお、基準位置にある各孔型圧延ロールR21〜R23の重心位置とパスライン中心Oとが一致するようにハウジングを移動することにより孔型圧延ロールR21〜R23を一体的に移動させれば、パスライン中心Oを基準とした圧下位置のキャリブレーションが可能である。
【0025】
なお、以上に説明した本実施形態に係る圧延スタンドにおいて、孔型圧延ロールの圧下方向のみならず、圧下方向に垂直な方向の基準位置をも容易に決定するには、図4に示すような圧延スタンド100Aとすることが好ましい。以下、図4に示す圧延スタンド100Aについて、前述した圧延スタンド100との相違点を主として説明する。
【0026】
図4は、本発明の第1実施形態の変形例に係る3ロール式マンドレルミルを構成する圧延スタンドの概略構成を示す縦断面図である。図4に示すように、本実施形態に係る圧延スタンド100Aが備える孔型圧延ロールR21A、R22A、R23Aの縦断面形状は、前述した孔型圧延ロールR21、R22、R23の特徴に加えて、下記の特徴を有する。すなわち、何れか1つの孔型圧延ロールR21Aが、その圧下方向(図4のY方向)に平行に延びる第3直線部L3を少なくとも片側(図4に示す例では両側)のフランジ部に更に具備する。また、他の2つの孔型圧延ロールR22A、R23Aのうち少なくとも一方の孔型圧延ロール(図4に示す例では両方)が、第3直線部L3に対向し、第3直線部L3に平行に延びる第4直線部L4をフランジ部に更に具備する。なお、孔型圧延ロールR21Aが、その圧下方向に垂直に延びる第1直線部L1を両側のフランジ部に具備する点は、前述した孔型圧延ロールR21と同様である。また、孔型圧延ロールR22A、R23Aが、第1直線部L1に対向し、第1直線部L1に平行に延びる第2直線部L2をフランジ部に具備する点は、前述した孔型圧延ロールR22、R23と同様である。
【0027】
上記の構成の圧延スタンド100Aにおいて、孔型圧延ロールR21A、R22A、R23Aの圧下位置調整のためのY方向の基準位置の決定は、例えば、図3を参照して前述した圧延スタンド100と同様の手順でなされる。
【0028】
一方、圧下方向に垂直な方向(図4のX方向)の基準位置の決定は、例えば、Y方向の基準位置を決定した後、図4に示す状態から、孔型圧延ロールR21Aの第3直線部L3が孔型圧延ロールR22A又はR23Aの第4直線部L4に一定の荷重下で接触するまで、孔型圧延ロールR21AをX方向に移動させることにより行われる。図4に示す変形例では、孔型圧延ロールR21Aの両側のフランジ部に第3直線部L3が設けられているため、いずれか一方の第3直線部L3をこれに対向する第4直線部L4に接触させても良いし、或いは、第3直線部L3の間隔と第4直線部L4の間隔とを略同等とし、この第4直線部L4の間に第3直線部L3が嵌め込まれるように、孔型圧延ロールR21AのX方向の基準位置を決定することも可能である。なお、孔型圧延ロールR21AのX方向の基準位置の決定は、X方向に進退する駆動機構(シリンダ装置等)を孔型圧延ロールに取り付けることで実現可能であるが、特許文献2に記載の技術と同様に、Y方向に進退する駆動機構を孔型圧延ロールの回転軸方向両側に取り付け、両駆動機構の進退量を異ならせることによっても実現可能である(後者の場合、孔型圧延ロールはY方向と同時にX方向にも移動し得るが、両駆動機構の進退量の方向を逆にし絶対値を同じ量とすれば、X方向にのみ移動することも可能である)。
【0029】
以上に説明した手順により、本変形例に係る圧延スタンド100Aによれば、孔型圧延ロールR21A〜R23AのY方向のみならず、X方向の基準位置をも決定することができる。そして、各孔型圧延ロールR21A〜R23Aは、その基準位置の情報に基づき圧下位置のキャリブレーションを行うことができ、被圧延材の偏肉をより一層抑制可能である。
【0030】
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係る3ロール式マンドレルミルを構成する圧延スタンドの概略構成と圧下位置調整のための基準位置の決定手順の一例を示す縦断面図である。図5に示すように、本実施形態に係る圧延スタンド100Bは、ハウジング(図示せず)と、該ハウジングに各孔型圧延ロールの圧下方向の成す角が120°となるように配設された3つの孔型圧延ロールR21B、R22B、R23Bとを備える。
【0031】
本実施形態に係る圧延スタンド100Bが備える孔型圧延ロールR21B、R22B、R23Bの縦断面形状(被圧延材のパスライン(図5(h)の符号Oが被圧延材のパスライン中心を示す)に直交する断面形状)は、第1実施形態と異なり、特徴を有する必要はなく、従来(図1(b)参照)と同様の形状とすることが可能である。ただし、本実施形態に係る圧延スタンド100Bは、少なくとも何れか2つ(本実施形態では3つ)の孔型圧延ロールR21B、R22B、R23Bが、3つの孔型圧延ロールR21B、R22B、R23Bの両側のフランジ部が互いに接触する位置(図5(h)に示す位置)よりも、更に圧下方向に閉まる(被圧延材のパスライン中心Oに近づくように移動する)ことが可能とされている点に特徴を有する。この構成は、例えば、孔型圧延ロールR21B、R22B、R23Bにそれぞれ取り付けられ、各孔型圧延ロールR21B、R22B、R23Bを圧下方向に進退させる駆動機構(シリンダ装置等)のストロークを、図5(h)に示す状態よりも被圧延材のパスライン中心Oに近づく方向に延ばすことにより実現可能である。
【0032】
上記構成の圧延スタンド100Bにおいて、孔型圧延ロールR21B、R22B、R23Bの圧下位置調整のための各孔型圧延ロールの圧下方向の基準位置の決定は、例えば、以下のような手順でなされる。
【0033】
孔型圧延ロールR21Bの圧下方向の基準位置を決定するには、まず最初に、初期状態(図5(a)に示す状態)の孔型圧延ロールR21B〜R23Bのうち、図5(b)に示すように、孔型圧延ロールR21B、R22Bをそれぞれ圧下方向に開く(パスライン中心Oから遠ざかる方向に移動させる)。この際、後述するように孔型圧延ロールR23Bを圧下方向に閉めたとき(図5(c)に示す状態になったとき)に、孔型圧延ロールR23Bのフランジ部が孔型圧延ロールR21Bのフランジ部と接触しない位置となるまで、孔型圧延ロールR21Bを開く。また、後述するように孔型圧延ロールR23Bを圧下方向に閉めたとき(図5(c)に示す状態になったとき)に、孔型圧延ロールR23Bが孔型圧延ロールR22Bに干渉しない位置となるまで、孔型圧延ロールR22Bを開く。
【0034】
次に、図5(c)に示すように、孔型圧延ロールR23Bを図5(h)に示す位置よりも更に圧下方向に閉めた後(パスライン中心Oに近づくように移動させた後)、孔型圧延ロールR21Bのフランジ部が孔型圧延ロールR23Bの側面に一定の荷重下で接触するまで、孔型圧延ロールR21Bを圧下方向に閉める。この際、孔型圧延ロールR23Bの側面は孔型圧延ロールR23Bの圧下方向に平行に延びているため、孔型圧延ロールR21Bのフランジ部が孔型圧延ロールR23Bの側面と接触する位置(孔型圧延ロールR21Bの圧下方向(図5(c)のY1方向)の位置)は、孔型圧延ロールR23Bの閉め量(図5(h)に示す位置からの移動量)に関わらず一定である。従って、上記の手順により、孔型圧延ロールR21Bの圧下方向の基準位置を決定できる。
【0035】
次に、孔型圧延ロールR22Bの圧下方向の基準位置を決定するには、初期状態(図5(a)に示す状態)の孔型圧延ロールR21B〜R23Bのうち、図5(d)に示すように、孔型圧延ロールR22B、R23Bをそれぞれ圧下方向に開く(パスライン中心Oから遠ざかる方向に移動させる)。この際、後述するように孔型圧延ロールR21Bを圧下方向に閉めたとき(図5(e)に示す状態になったとき)に、孔型圧延ロールR21Bのフランジ部が孔型圧延ロールR22Bのフランジ部と接触しない位置となるまで、孔型圧延ロールR22Bを開く。また、後述するように孔型圧延ロールR21Bを圧下方向に閉めたとき(図5(e)に示す状態になったとき)に、孔型圧延ロールR21Bが孔型圧延ロールR23Bに干渉しない位置となるまで、孔型圧延ロールR23Bを開く。
【0036】
次に、図5(e)に示すように、孔型圧延ロールR21Bを図5(h)に示す位置よりも更に圧下方向に閉めた後(パスライン中心Oに近づくように移動させた後)、孔型圧延ロールR22Bのフランジ部が孔型圧延ロールR21Bの側面に一定の荷重下で接触するまで、孔型圧延ロールR22Bを圧下方向に閉める。この際、孔型圧延ロールR21Bの側面は孔型圧延ロールR21Bの圧下方向に平行に延びているため、孔型圧延ロールR22Bのフランジ部が孔型圧延ロールR21Bの側面と接触する位置(孔型圧延ロールR22Bの圧下方向(図5(e)のY2方向)の位置)は、孔型圧延ロールR21Bの閉め量(図5(h)に示す位置からの移動量)に関わらず一定である。従って、上記の手順により、孔型圧延ロールR22Bの圧下方向の基準位置を決定できる。
【0037】
最後に、孔型圧延ロールR23Bの圧下方向の基準位置を決定するには、初期状態(図5(a)に示す状態)の孔型圧延ロールR21B〜R23Bのうち、図5(f)に示すように、孔型圧延ロールR21B、R23Bをそれぞれ圧下方向に開く(パスライン中心Oから遠ざかる方向に移動させる)。この際、後述するように孔型圧延ロールR22Bを圧下方向に閉めたとき(図5(g)に示す状態になったとき)に、孔型圧延ロールR22Bのフランジ部が孔型圧延ロールR23Bのフランジ部と接触しない位置となるまで、孔型圧延ロールR23Bを開く。また、後述するように孔型圧延ロールR22Bを圧下方向に閉めたとき(図5(g)に示す状態になったとき)に、孔型圧延ロールR22Bが孔型圧延ロールR21Bに干渉しない位置となるまで、孔型圧延ロールR21Bを開く。
【0038】
次に、図5(g)に示すように、孔型圧延ロールR22Bを図5(h)に示す位置よりも更に圧下方向に閉めた後(パスライン中心Oに近づくように移動させた後)、孔型圧延ロールR23Bのフランジ部が孔型圧延ロールR22Bの側面に一定の荷重下で接触するまで、孔型圧延ロールR23Bを圧下方向に閉める。この際、孔型圧延ロールR22Bの側面は孔型圧延ロールR22Bの圧下方向に平行に延びているため、孔型圧延ロールR23Bのフランジ部が孔型圧延ロールR22Bの側面と接触する位置(孔型圧延ロールR23Bの圧下方向(図5(g)のY3方向)の位置)は、孔型圧延ロールR22Bの閉め量(図5(h)に示す位置からの移動量)に関わらず一定である。従って、上記の手順により、孔型圧延ロールR23Bの圧下方向の基準位置を決定できる。
【0039】
以上に説明した手順により、孔型圧延ロールR21B〜R23Bの少なくとも圧下方向の基準位置を決定できる。そして、各孔型圧延ロールR21B〜R23Bは、その基準位置の情報に基づき圧下位置のキャリブレーションを行うことができ、被圧延材の偏肉を抑制可能である。なお、基準位置にある各孔型圧延ロールR21B〜R23Bの重心位置とパスライン中心Oとが一致するようにハウジングを移動することにより孔型圧延ロールR21B〜R23Bを一体的に移動させれば、パスライン中心Oを基準とした圧下位置のキャリブレーションが可能である。
【0040】
なお、本実施形態では、3つの孔型圧延ロールR21B、R22B、R23Bの全てが、図5(h)に示す位置よりも更に圧下方向に閉まることが可能とされ、孔型圧延ロールR23Bを図5(h)に示す位置よりも更に圧下方向に閉めることにより孔型圧延ロールR21Bの圧下方向の基準位置を決定し、孔型圧延ロールR21Bを図5(h)に示す位置よりも更に圧下方向に閉めることにより孔型圧延ロールR22Bの圧下方向の基準位置を決定し、孔型圧延ロールR22Bを図5(h)に示す位置よりも更に圧下方向に閉めることにより孔型圧延ロールR23Bの圧下方向の基準位置を決定する例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限るものではなく、少なくとも何れか2つの孔型圧延ロールが、図5(h)に示す位置よりも更に圧下方向に閉まることが可能であればよい。例えば、2つの孔型圧延ロールR22B、R23Bが図5(h)に示す位置よりも更に圧下方向に閉まることが可能であれば、孔型圧延ロールR23Bを図5(h)に示す位置よりも更に圧下方向に閉め、孔型圧延ロールR21Bのフランジ部を孔型圧延ロールR23Bの一方の側面に接触させることにより孔型圧延ロールR21Bの圧下方向の基準位置を決定すると共に、孔型圧延ロールR22Bのフランジ部を孔型圧延ロールR23Bの他方の側面に接触させることにより孔型圧延ロールR22Bの圧下方向の基準位置を決定することができる。そして、孔型圧延ロールR22Bを図5(h)に示す位置よりも更に圧下方向に閉め、前述と同様に、孔型圧延ロールR23Bのフランジ部を孔型圧延ロールR22Bの側面に接触させることにより、孔型圧延ロールR23Bの圧下方向の基準位置を決定することができる。このように、少なくとも何れか2つの孔型圧延ロールが、図5(h)に示す位置よりも更に圧下方向に閉まることが可能であれば、3つの孔型圧延ロールR21B〜R23Bの全てについて、圧下方向の基準位置を決定可能である。
【0041】
<第3実施形態>
図6は、本発明の第3実施形態に係る2ロール式マンドレルミルを構成する圧延スタンドの概略構成を示す縦断面図である。図6に示すように、本実施形態に係る圧延スタンド200は、ハウジング(図示せず)と、該ハウジングに配設された対向する2つの孔型圧延ロールR11、R12とを備える。
【0042】
本実施形態に係る圧延スタンド200が備える孔型圧延ロールR11、R12の縦断面形状(被圧延材のパスライン(図6の符号Oが被圧延材のパスライン中心を示す)に直交する断面形状)は下記の特徴を有する。すなわち、一方の孔型圧延ロールR11が、その圧下方向(図6のY方向)に平行に延びる第3直線部L3を少なくとも片側(本実施形態では両側)のフランジ部に具備する。また、他方の孔型圧延ロールR12が、第3直線部L3に対向し、第3直線部L3に平行に延びる第4直線部L4をフランジ部に具備する。
【0043】
上記構成の圧延スタンド200において、孔型圧延ロールR11、R12の圧下位置調整のための基準位置の決定は、例えば、以下のような手順でなされる。
【0044】
Y方向の基準位置の決定は、従来と同様に、孔型圧延ロールR11、R12を圧下方向に閉めて(パスライン中心Oに近づくように移動させて)、そのフランジ部同士を一定の荷重下で接触させることにより行われる。
【0045】
一方、圧下方向に垂直な方向(図6のX方向)の基準位置の決定は、孔型圧延ロールR11の第3直線部L3が孔型圧延ロールR12の第4直線部L4に一定の荷重下で接触するまで、孔型圧延ロールR11又はR12をX方向に移動させることにより行われる。本実施形態では、孔型圧延ロールR11の両側のフランジ部に第3直線部L3が設けられているため、いずれか一方の第3直線部L3をこれに対向する第4直線部L4に接触させても良いし、或いは、第3直線部L3の間隔と第4直線部L4の間隔とを略同等とし、この第4直線部L4の間に第3直線部L3が嵌め込まれるように、孔型圧延ロールR11又はR12のX方向の基準位置を決定することも可能である。なお、孔型圧延ロールR11又はR12のX方向の基準位置の決定は、X方向に進退する駆動機構(シリンダ装置等)を孔型圧延ロールに取り付けることで実現可能であるが、特許文献2に記載の技術と同様に、Y方向に進退する駆動機構を孔型圧延ロールの回転軸方向両側に取り付け、両駆動機構の進退量を異ならせることによっても実現可能である(ただし、後者の場合、孔型圧延ロールはY方向と同時にX方向にも移動することになる)。
【0046】
以上に説明した手順により、孔型圧延ロールR11、R12のX方向及びY方向の基準位置を決定できる。そして、各孔型圧延ロールR11、R12は、その基準位置の情報に基づき圧下位置のキャリブレーションを行うことができ、被圧延材の偏肉を抑制可能である。なお、基準位置にある各孔型圧延ロールR11、R12の重心位置とパスライン中心Oとが一致するようにハウジングを移動することにより孔型圧延ロールR11、R12を一体的に移動させれば、パスライン中心Oを基準とした圧下位置のキャリブレーションが可能である。
【0047】
<第4実施形態>
図7は、本発明の第4実施形態に係る4ロール式マンドレルミルを構成する圧延スタンドの概略構成と圧下位置調整のための基準位置の決定手順の一例を示す縦断面図である。図7に示すように、本実施形態に係る圧延スタンド300は、ハウジング(図示せず)と、該ハウジングに各孔型圧延ロールの圧下方向の成す角が90°となるように配設された4つの孔型圧延ロールR31、R32、R33、R34とを備える。
【0048】
本実施形態に係る圧延スタンド300が備える孔型圧延ロールR31、R32、R33、R34の縦断面形状(被圧延材のパスライン(図7(c)、(e)の符号Oが被圧延材のパスライン中心を示す)に直交する断面形状)は下記の特徴を有する。すなわち、対向する一組の孔型圧延ロールR31、R33のうち少なくとも一方(本実施形態では両方)の孔型圧延ロールが、その圧下方向(図7(a)のY方向)に垂直に延びる第1直線部L1を両側のフランジ部に具備すると共に、その圧下方向に平行に延びる第3直線部L3を両側のフランジ部に具備する。また、他の一組の孔型圧延ロールR32、R34が、第1直線部L1に対向し、第1直線部L1に平行に延びる第2直線部L2をフランジ部に具備すると共に、第3直線部L3に対向し、第3直線部L3に平行に延びる第4直線部L4をフランジ部に具備する。
【0049】
上記構成の圧延スタンド300において、孔型圧延ロールR31、R32、R33、R34の圧下位置調整のための基準位置の決定は、例えば、以下のような手順でなされる。
【0050】
まず最初に、初期状態(図7(a)に示す状態)の孔型圧延ロールR31〜R34のうち、図7(b)に示すように、第2直線部L2及び第4直線部L4を具備する孔型圧延ロールR32、R34をそれぞれ圧下方向に開く(パスライン中心から遠ざかる方向に移動させる)。この際、第1直線部L1と第2直線部L2とが互いに対向した状態(Y方向に見てオーバーラップする部分を有する状態)を保つように孔型圧延ロールR32、R34を開く。次に、図7(c)に示すように、孔型圧延ロールR31、R33の第1直線部L1が孔型圧延ロールR32、R34の第2直線部L2に一定の荷重下で接触するまで、孔型圧延ロールR31、R33をそれぞれ圧下方向に閉める(パスライン中心に近づくように移動させる)。この際、前述のように、予め孔型圧延ロールR32、R34を圧下方向に開いた状態としており、孔型圧延ロールR31〜R34のフランジ部の他の部位が互いに接触することがないため、第1直線部L1と第2直線部L2との接触は阻害されない。
【0051】
以上に説明した手順により、孔型圧延ロールR31〜R34のY方向の基準位置を決定できる。
【0052】
次に、図7(d)に示すように、第1直線部L1及び第3直線部L3を具備する孔型圧延ロールR31、R33をそれぞれ圧下方向に均等に開く(パスライン中心Oから遠ざかる方向に移動させる)。この際、第3直線部L3と第4直線部L4とが互いに対向した状態(X方向に見てオーバーラップする部分を有する状態)を保つように孔型圧延ロールR31、R33を開く。次に、図7(e)に示すように、孔型圧延ロールR32、R34の第4直線部L4が孔型圧延ロールR31、R33の第3直線部L3に一定の荷重下で接触するまで、孔型圧延ロールR32、R34をそれぞれ圧下方向に閉める(パスライン中心Oに近づくように移動させる)。この際、前述のように、予め孔型圧延ロールR31、R33を圧下方向に開いた状態としており、孔型圧延ロールR31〜R34のフランジ部の他の部位が互いに接触することがないため、第3直線部L3と第4直線部L4との接触は阻害されない。
【0053】
以上に説明した手順により、前述した孔型圧延ロールR31〜R34のY方向の基準位置の決定に加え、X方向の基準位置を決定することができる。そして、各孔型圧延ロールR31〜R34は、その基準位置の情報に基づき圧下位置のキャリブレーションを行うことができ、被圧延材の偏肉を抑制可能である。なお、X方向及びY方向の基準位置から圧下方向に均等に移動させた位置にある各孔型圧延ロールR31〜R34の重心位置とパスライン中心Oとが一致するようにハウジングを移動することにより孔型圧延ロールR31〜R34を一体的に移動させれば、パスライン中心Oを基準とした圧下位置のキャリブレーションが可能である。
【符号の説明】
【0054】
100、100A、100B、200、300・・・圧延スタンド
L1・・・第1直線部
L2・・・第2直線部
L3・・・第3直線部
L4・・・第4直線部
R11、R12・・・孔型圧延ロール
R21、R21A、R21B、R22、R22A、R22B、R23、R23A、R23B・・・孔型圧延ロール
R31、R32、R33、R34・・・孔型圧延ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の孔型圧延ロールが配設された圧延スタンドが備える孔型圧延ロールの圧下位置調整のための基準位置決定方法であって、
前記圧延スタンドには、圧下方向に垂直な方向に位置調整可能な2つの孔型圧延ロールが対向する位置に配設されており、
各孔型圧延ロールを該孔型圧延ロールの回転軸の中心線を含み被圧延材のパスラインに直交する平面で切断してできる各孔型圧延ロールの断面形状に関して、
一方の孔型圧延ロールの断面形状は、圧下方向に平行に延びる第3直線部を少なくとも片側のフランジ部に具備し、
他方の孔型圧延ロールの断面形状は、前記第3直線部に対向し、該第3直線部に平行に延びる第4直線部をフランジ部に具備しており、
前記第3直線部を具備する孔型圧延ロールの第3直線部が、前記第4直線部を具備する孔型圧延ロールの第4直線部に一定の荷重下で接触するまで、前記第3直線部を具備する孔型圧延ロール又は前記第4直線部を具備する孔型圧延ロールを圧下方向に垂直な方向に移動させることを特徴とする孔型圧延ロールの基準位置決定方法。
【請求項2】
複数の孔型圧延ロールが配設された圧延スタンドが備える孔型圧延ロールの圧下位置調整のための基準位置決定方法であって、
前記圧延スタンドには、それぞれの圧下方向の成す角が90°となるように4つの孔型圧延ロールが配設されており、
各孔型圧延ロールを該孔型圧延ロールの回転軸の中心線を含み被圧延材のパスラインに直交する平面で切断してできる各孔型圧延ロールの断面形状に関して、
対向する何れか一組の孔型圧延ロールの断面形状は、圧下方向に垂直に延びる第1直線部を両側のフランジ部に具備すると共に、圧下方向に平行に延びる第3直線部を両側のフランジ部に具備し、
他の一組の孔型圧延ロールの断面形状は、前記第1直線部に対向し、該第1直線部に平行に延びる第2直線部をフランジ部に具備すると共に、前記第3直線部に対向し、該第3直線部に平行に延びる第4直線部をフランジ部に具備しており、
前記第2直線部及び前記第4直線部を具備する前記他の一組の孔型圧延ロールを、前記第1直線部と前記第2直線部とが互いに対向した状態を保つように、圧下方向に開くステップと、
前記第1直線部及び前記第3直線部を具備する前記一組の孔型圧延ロールの第1直線部が、前記第2直線部及び前記第4直線部を具備する前記他の一組の孔型圧延ロールの第2直線部に一定の荷重下で接触するまで、前記第1直線部及び前記第3直線部を具備する前記一組の孔型圧延ロールを圧下方向に閉めるステップと、
前記第1直線部及び前記第3直線部を具備する前記一組の孔型圧延ロールを、前記第3直線部と前記第4直線部とが互いに対向した状態を保つように、圧下方向に均等に開くステップと、
前記第2直線部及び前記第4直線部を具備する前記他の一組の孔型圧延ロールの第4直線部が、前記第1直線部及び前記第3直線部を具備する前記一組の孔型圧延ロールの第3直線部に一定の荷重下で接触するまで、前記第2直線部及び前記第4直線部を具備する前記他の一組の孔型圧延ロールを圧下方向に閉めるステップと、
を順に実行することを特徴とする孔型圧延ロールの基準位置決定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−63471(P2013−63471A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−4249(P2013−4249)
【出願日】平成25年1月15日(2013.1.15)
【分割の表示】特願2007−144648(P2007−144648)の分割
【原出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000006655)新日鐵住金株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】