説明

字幕等の情報を含むビデオ信号の処理回路

文字情報等がフレーム毎又はフィールド毎に挿入されたビデオ信号を処理する際に、文字情報等の一貫性を損うことなく信号の供給速度と処理速度の違いを吸収することが可能なビデオ信号処理回路を提供することを目的とする。このビデオ信号処理回路は、フレーム毎に付加情報が対応付けられたデジタルビデオ信号の各フレームを第1のレートで受け取り格納するフレームメモリと、フレームメモリからデジタルビデオ信号の各フレームを第2のレートで読み出すフレーム同期ユニットと、フレーム同期ユニットがデジタルビデオ信号の同一のフレームを繰り返し読み出した場合に付加情報を繰り返すことなく、またフレーム同期ユニットがデジタルビデオ信号のあるフレームをスキップして読み出した場合に付加情報をスキップすることなく、付加情報をフレーム同期ユニットが読み出したデジタルビデオ信号に対応付ける処理ユニットを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、一般にビデオ信号処理回路に関し、詳しくは字幕情報等のデータが挿入されたビデオ信号を符号化等するビデオ信号処理回路に関する。
【背景技術】
最近のテレビジョン信号には、クローズドキャプション等の字幕情報や、文字放送情報、番組表情報、更にはコピーガード信号等が含まれている。これらの情報及び信号は、例えばインターレース方式のビデオ信号であれば、トップフィールドとボトムフィールドとにおいて、画像フィールド上部に位置する複数の水平ライン部分に挿入される。
図1A及び1Bは、NTSC方式におけるインターレース方式の各フィールドと文字情報等の挿入位置を示す図である。
図1Aはトップフィールドを示し、図1Bはボトムフィールドを示す。図1Aに示されるように、トップフィールドはライン1からライン263までの水平走査線よりなる。この263本の水平走査線のうちでフィールド上部のライン1からライン21までが、垂直帰線期間に対応する画面に表示されないブランキング期間であり、ここに垂直同期パルスが挿入される。ブランキング期間には更に、テスト信号、字幕情報、文字放送情報、番組表情報、コピーガード信号等を挿入できる。同様に、図1Bに示されるボトムフィールドはライン264からライン525までの水平走査線よりなり、このうちフィールド上部のライン264からライン284までがブランキング期間であり、ここに字幕情報等を挿入することができる。
クローズドキャプション方式の文字データは、トップフィールドのライン21及びボトムフィールドのライン284に、各フィールド16ビットのデータとして挿入される。この16ビットのうちで、2ビットはパリティービットとして用いられる。各フレーム毎に例えば一文字分挿入されている文字データを抽出して複数文字からなる一纏めの字幕とし、制御情報により指定された期間、映像情報に重畳して表示することで、映画等の字幕を作成することができる。
例えばテレビジョン放送によりアナログ信号として供給されたビデオ&オーディオ信号をデジタル信号として録画する場合、ビデオ&オーディオ信号をNTSCデコーダ及びオーディオDAC(デジタル・アナログ・コンバータ)によってデジタル信号に変換する。変換後のデジタル信号を、MPEG2コーデックに入力して符号化することで、MPEG2PS若しくはMPEG2TS方式のストリームに圧縮する。圧縮されたストリームは、MPEG2コーデックのストリーム専用ポートより出力され、CPUにより録画デバイスへDMA転送され格納される。
この際、MPEG2コーデックにより符号化されたビデオフレームのライン21及びライン284に挿入されている文字データは、MPEG2コーデックにより抽出されて、上記ストリーム中に挿入される。
一般に、NTSCデコーダから出力されるデジタルデータのクロック周波数(即ちアナログ信号の供給速度)と、MPEG2コーデックの動作クロックの周波数(即ち符号化の速度)とには僅かながらずれがある。このデータ供給速度と符号化速度とのずれをなくすために、NTSCデコーダから出力される各フレームのデジタルデータを一旦バッファに格納し、バッファから順次フレームデータを読み出して符号化する構成が用いられる。このようにバッファを設けた上で、データ供給速度と符号化速度の違いを随時吸収するために、MPEG2コーデックが必要に応じてあるフレームをスキップしたり、あるフレームをリピートしたりして符号化する。
このようにして符号化処理で速度の違いを吸収するが、文字データ等はビデオ信号の各フィールドに順番に挿入されているために、フレームがスキップされたりリピートされたりすると、データが欠落したり同一データが2個続いたりすることになる。即ちリピート処理された場合、本来は「TEST」という字幕のはずが、同一データが2個続くことにより例えば「TEEST」となってしまう。またスキップ処理された場合、本来は「TEST」という字幕のはずが、あるデータが欠落して例えば「TET」となってしまう。
以上を鑑みて、文字情報等がフレーム毎又はフィールド毎に挿入されたビデオ信号を処理する際に、文字情報等の一貫性を損うことなく信号の供給速度と処理速度の違いを吸収することが望ましい。

【特許文献1】 特許文献1 特表平9−501808号公報
【特許文献2】 特許文献2 特開2001−24983号公報
【特許文献3】 特許文献3 特開2001−69439号公報
【特許文献2】 特許文献2 特開平11−75113号公報
【発明の開示】
本発明は、上記関連技術の一つ又は複数の問題点を解決するビデオ信号処理回路を提供することを一般的な目的とする。
また本発明は、文字情報等がフレーム毎又はフィールド毎に挿入されたビデオ信号を処理する際に、文字情報等の一貫性を損うことなく信号の供給速度と処理速度の違いを吸収することが可能なビデオ信号処理回路を提供することを更なる具体的な目的とする。
上記目的を達成するために、本発明によるビデオ信号処理回路は、フレーム毎に付加情報が対応付けられたデジタルビデオ信号の各フレームを第1のレートで受け取り格納するフレームメモリと、該フレームメモリから該デジタルビデオ信号の各フレームを第2のレートで読み出すフレーム同期ユニットと、該フレーム同期ユニットが該デジタルビデオ信号の同一のフレームを繰り返し読み出した場合に該付加情報を繰り返すことなく、また該フレーム同期ユニットが該デジタルビデオ信号のあるフレームをスキップして読み出した場合に該付加情報をスキップすることなく、該付加情報を該フレーム同期ユニットが読み出した該デジタルビデオ信号に対応付ける処理ユニットを含むことを特徴とする。
上記ビデオ信号処理回路によれば、第1のレートと第2のレートとの違いによりフレームが繰り返し読み出される場合又はフレームがスキップして読み出される場合であっても、文字情報等の付加情報については繰り返すことも又スキップすることもなくビデオストリームに対応付けるように処理される。従って、文字情報等がフレーム毎又はフィールド毎に挿入されたビデオ信号を処理する際に、文字情報等の一貫性を損うことなく信号の供給速度と処理速度の違いを吸収することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
図1A及び1Bは、インターレース方式の各フィールドと文字情報等の挿入位置を示す図である。
図2は、本発明を適用する対象となるビデオ信号処理回路の一例を示す図である。
図3は、MPEG2コーデック及び接続されるメモリの構成を示すブロック図である。
図4は、CPUがフレームのスキップ・リピート処理に応じてCCDに施す処理を示すフローチャートである。
図5A乃至図5Eは、ビデオデータのフレームとクローズドキャプションデータとの対応について本発明と従来技術との比較を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に、本発明の実施例を添付の図面を用いて詳細に説明する。
図2は、本発明を適用する対象となるビデオ信号処理回路の一例を示す図である。
図2のビデオ信号処理回路10は、MPEG2コーデック11、CPU&インターフェース12、データ格納装置13、NTSCデコーダ14、オーディオADC15、オーディオDAC16、及びNTSCエンコーダ17を含む。ここでADCはアナログ・トゥー・デジタル変換器であり、DACはデジタル・トゥー・アナログ変換器である。
例えばテレビジョン放送により供給されたアナログ・ビデオ信号とアナログ・オーディオ信号とが、それぞれNTSCデコーダ14とオーディオADC15とに入力される。NTSCデコーダ14は、アナログ・ビデオ信号をデジタル・ビデオ信号に変換して、MPEG2コーデック11に供給する。オーディオADC15は、アナログ・オーディオ信号をデジタル・オーディオ信号に変換して、MPEG2コーデック11に供給する。
MPEG2コーデック11は、データが供給されるフレームレートに従ってデジタル・ビデオ信号をフレームメモリに一時的に格納する。またMPEG2コーデック11は、自らが要求するフレームレートに従ってフレームメモリから1フレーム分のデータを読み出す。この動作により、要求フレームレートが供給フレームレートよりも速い場合には同一のフレームを繰り返し読み出すことになり、また要求フレームレートが供給フレームレートよりも遅い場合には途中でフレームがとばされることになる。
MPEG2コーデック11は、フレームメモリから読み出したビデオデータを符号化し、別経路で符号化されたオーディオデータと多重化し、圧縮されたMPEG2ストリームとしてCPU&インターフェース12に供給する。CPU&インターフェース12は、供給されたストリームをデータ格納装置13に転送する。データ格納装置13は、例えばハードディスクドライブやDVDドライブ等であり、ビデオデータ及びオーディオデータからなるストリームを記憶媒体に格納する。
再生等の復号化時には、CPU&インターフェース12がデータ格納装置13からビデオデータ及びオーディオデータを含むストリームを読み出し、ビデオデータ及びオーディオデータを分離し、それぞれのデータを復号化する。復号化されたオーディオデータはオーディオDAC16によりアナログ・オーディオ信号に変換される。また復号化されたビデオデータはNTSCエンコーダ17によりアナログ・ビデオ信号に変換される。
図3は、MPEG2コーデック11及び接続されるメモリの構成を示すブロック図である。
図3のMPEG2コーデック11は、RAM21に接続される。RAM21は、ビデオ信号をフレーム毎に格納するフレームメモリ21A及びクローズドキャプションデータ(CCD)を格納するCCDテーブル21Bを含む。
図3のMPEG2コーデック11は、フレームシンクロナイザ31、CCDスライサ32、CPU33、MPEG2ビデオエンコーダ34、MPEG1オーディオエンコーダ35、MPEG2マルチプレクサ36、MPEG2デマルチプレクサ37、MPEG2ビデオデコーダ38、及びMPEG1オーディオデコーダ39を含む。
フレームシンクロナイザ31は、入力されたデジタルビデオ信号を、CCDスライサ32を介してRAM21のフレームメモリ21Aに書き込む。フレームメモリ21Aは2バンク構成となっており、各バンクは1フレーム分のメモリ容量を有し、1フレーム分のビデオデータを格納する。フレームシンクロナイザ31は、入力ビデオ信号をフレームメモリ21Aの2つのバンクに交互に書き込む。1つのバンクに対する1フレーム分のビデオデータの書き込みが終了すると、CPU33に対して割り込みを発行する(フレーム割り込み)。
またフレームシンクロナイザ31は、MPEG2ビデオエンコーダ34からの要求に応答して、フレームメモリ21Aからビデオデータを1フレーム分読み出して、読み出したビデオデータをMPEG2ビデオエンコーダ34に転送する。この際にビデオデータを1フレーム分読み出す対象となる転送元のバンクは、時間的に古いビデオデータが書き込まれているバンクである。従って、フレームメモリ21Aに格納されている2つのフレームのうち、先に格納されたものが常に先に転送される。
外部から入力されるビデオ信号と、MPEG2ビデオエンコーダ34の要求は同期していない。従って、外部からの入力ビデオ信号のフレームレートとMPEG2ビデオエンコーダ34が要求するフレームレートとには、若干のずれが生じる場合がある。この場合であっても、上記のように、フレームシンクロナイザ31がMPEG2ビデオエンコーダ34の要求に応答して2つのフレームデータのうち常に古い方を読み出すように動作することで、フレームレートのずれは吸収される。即ち、MPEG2ビデオエンコーダ34の要求レートが高い場合は、結果的にフレームをとばす処理(スキップ処理)が実行され、またMPEG2ビデオエンコーダ34の要求レートが低い場合は、結果的に同じフレームを転送する処理(リピート処理)が実行されることになる。
フレームシンクロナイザ31は、スキップ処理又はリピート処理が実行されたことを検知し、何れの処理が実行されたかを示すデータを、フレームシンクロナイザ内部のレジスタにフレーム転送開始時に格納する。またフレームシンクロナイザ31は、MPEG2ビデオエンコーダ34にフレームを転送する際、フレームの先頭データの転送を開始した時点(スキップ・リピート時はレジスタセット後)で、CPU33に割り込みをかける(エンコード開始割り込み)。CPU33は、この割り込みに応答して上記レジスタからスキップ処理又はリピート処理を示すデータを読むことにより、何れの処理が実行されたかを知ることができる。
CCDスライサ32は、入力されたビデオ信号の各フィールドから16ビットのCCD(クローズドキャプションデータ)を抽出し、抽出したCCDを内部レジスタに保持する。また、CCDを検出できたか否かを示すレジスタも設けられる。CPU33は、フレーム割り込みに応答してこれらのレジスタを読むことにより、CCDの有無や両フィールドのCCDを抽出し、CPU33のワークメモリ内に格納する。CPU33は、フレームのスキップ・リピート処理に応じてCCDに所定の処理を施した後に、RAM21の所定の領域に確保されているCCDテーブル21BにCCDデータを書き込む。なおこの書き込みのタイミングは、エンコード開始割り込みに応答するタイミングとなる。
MPEG2ビデオエンコーダ34は、フレームシンクロナイザ31によりフレームメモリ21Aから転送される各フレームのビデオデータを順次符号化し、MPEG2ビデオストリームを生成する。またMPEG2ビデオエンコーダ34は更に、CCDテーブル21Bに保持されているCCDを、順にMPEG2ビデオストリーム中に挿入する。
MPEG1オーディオエンコーダ35は、外部から供給されるオーディオデータを符号化し、MPEG2マルチプレクサ36に供給する。MPEG2マルチプレクサ36は、MPEG2ビデオエンコーダ34から供給されるMPEG2ビデオストリームとMPEG1オーディオエンコーダ35から供給されるMPEG1オーディオストリームを多重化し、MPEG2PS/TSストリームとして外部に出力する。
MPEG2デマルチプレクサ37は、外部から入力されるMPEG2PS/TSストリームをビデオストリームとオーディオストリームとに分離して、MPEG2ビデオデコーダ38とMPEG1オーディオデコーダ39とに供給する。MPEG2ビデオデコーダ38は、ビデオストリームを復号化して、ビデオ出力として外部に供給する。MPEG1オーディオデコーダ39は、オーディオストリームを復号化して、オーディオ出力として外部に供給する。
図4は、CPU33がフレームのスキップ・リピート処理に応じてCCDに施す処理を示すフローチャートである。この処理は、上述のようにCPU33がCCDテーブル21BにCCDデータを書き込む際に実行される。
まずスキップ処理及びリピート処理の何れも実行されなかった場合(通常通りにフレームが転送された場合)の処理について説明する。
図4のステップST1で、CPU33は、フレームシンクロナイザ31内部のレジスタ(スキップリピートレジスタ)からスキップ処理又はリピート処理を示すデータを読み出す。
ステップST2で、CPU33は、スキップリピートレジスタの内容がリピート処理を示すか否かを判定する。リピート処理ではない通常の場合であるので、ステップST4に進む。
ステップST4で、CPU33は、スキップリピートレジスタの内容がスキップ処理を示すか否かを判定する。スキップ処理ではない通常の場合であるので、ステップST6に進む。
ステップST6で、CPU33は、Nが0以上であるか否かを判定する。ここでNは初期値が0であり、スキップ処理される度に1ずつインクリメントされるカウント値である(ステップST5)。Nが0以上の場合は後程説明することとし、ここではNは0であるとする。
ステップST8で、CPU33は、CCDテーブル21B(CCD挿入レジスタ)にデータAを書き込む。ここでデータAとは、CPUワークメモリ領域に保持されている最も古いCCDである。
次にステップST10で、CPU33のワークメモリ領域からデータAを削除する。
以上のようにして、通常通りにフレームが転送された場合には、フレームの順番どおりに、CCDがCPU33のワークメモリ領域からCCDテーブル21Bに転送される。
次にリピート処理が実行された場合の処理について説明する。
図4のステップST1で、CPU33は、フレームシンクロナイザ31内部のレジスタ(スキップリピートレジスタ)からスキップ処理又はリピート処理を示すデータを読み出す。
ステップST2で、CPU33は、スキップリピートレジスタの内容がリピート処理を示すか否かを判定する。これ場合はリピート処理を示すので、ステップST3に進む。
ステップST3において、CPU33は、CCDテーブル21B(CCD挿入レジスタ)にNULL(データ無しを示すコード)を書き込む。
次にステップST10で、CPU33のワークメモリ領域からデータAを削除する。
以上のようにして、あるフレームがリピートされた場合には、リピートされたフレームについて対応するCCDをリピートするのではなく、NULLを書き込むこととする。これによりリピートされたフレームの文字データが繰り返し表示されることを避けることができる。
なおリピート処理時にNULLを書き込む動作は、フレームと文字データとの対応を正しいタイミング関係に保つために必要となる。即ち、リピート処理時にNULLを書き込んでおかないと、本来は次のフレームに対応すべき文字データが、リピート処理によって繰り返されたフレームに対応付けられることになってしまう。上記のようにリピート処理時にNULLを書き込むことで、フレームと文字データとの対応を正しく保つことができる。
ここで、リピート処理時にNULLを書き込む動作は、必ずしもリピート処理を実行したフレームの時に行う必要は無い。リピート処理を実行した時には何も書き込むことなく、リピート処理が実行された旨を記憶しておき、後続するフレームの何れかにおいて適当なタイミングでNULLを書き込むようにしてもよい。このような動作によっても、リピート処理によりずれたフレームと文字データとの対応関係を正しいタイミング関係に戻すことができる。また或いは、予め余計なNULLを書き込んでおいて、リピート処理を実行した時には何も書き込まないようにしてもよい。即ち、予めタイミングをずらしておいて、リピート処理を実行した時に正しいタイミングに戻すようにしてもよい。何れの方法を取るにしても、重要なのはリピート処理の回数と同一の数のNULLを何れかのタイミングで挿入することで、長い時間間隔で見たときにフレームと文字データとの対応を正しく保つことである。
次にスキップ処理が実行された場合の処理について説明する。
図4のステップST1で、CPU33は、フレームシンクロナイザ31内部のレジスタ(スキップリピートレジスタ)からスキップ処理又はリピート処理を示すデータを読み出す。
ステップST2で、CPU33は、スキップリピートレジスタの内容がリピート処理を示すか否かを判定する。リピート処理ではないスキップ処理の場合であるので、ステップST4に進む。
ステップST4で、CPU33は、スキップリピートレジスタの内容がスキップ処理を示すか否かを判定する。この場合はスキップ処理であるので、ステップST5に進む。
ステップST5で、カウント値Nを1だけ増加させる。前述のようにNは初期値が0であり、スキップ処理される度に1ずつインクリメントされるカウント値である
ステップST6で、CPU33は、Nが0以上であるか否かを判定する。この場合Nは0以上であり、ステップST7に進む。
ステップST7で、CPU33は、CPUワークメモリ領域の最も古いCCDであるデータAがNULLであるか否かを判定する。ここで例えば字幕データの場合には、CCDのデータレートは通常の会話の文字のデータレートよりも遥かに高いので、あるフレームに附随するCCDはNULLデータであることが頻繁にあると考えて良い。NULLデータでない場合には、ステップST8に進む。
ステップST8で、CPU33は、CCDテーブル21B(CCD挿入レジスタ)にデータAを書き込む。
次にステップST10で、CPU33のワークメモリ領域からデータAを削除する。
なおステップST7でCPUワークメモリ領域の最も古いCCDであるデータAがNULLであると判断された場合には、ステップST9でNが1減少されて、データA(NULL)をCCDテーブル21Bに書き込むことなく、ステップST10でデータAを削除する。従って、フレームがスキップされた場合であっても、対応するCCDが不要なデータ(NULL)である場合には、そのCCDを破棄することにより、フレームとCCDとのタイミング関係を正しい関係に保つことができる。
フレームがスキップされ、対応するCCDが必要なデータである場合(ステップST7でNの場合)には、ステップST8でCCDを書き込むことになる。従って、フレームとCCDとのタイミング関係がずれることになる。この場合には、ステップST9が実行されないので、Nは0以上の値に留まることになる。その後、スキップ処理及びリピート処理の何れも実行されなかった場合(通常通りにフレームが転送された場合)が発生すると、ステップST6でNが0以上としてステップST7が実行される。ステップST7において、ワークメモリ領域の最も古いCCDであるデータAがNULLであると判定される場合には、そのCCDを破棄することにより、フレームとCCDとのタイミングを正しい関係に戻すことができる。なお複数回スキップ処理が実行されNが大きな数となっている場合には、1回のCCDの破棄でタイミングが正しい関係に戻るのではなく、複数回の破棄が繰り返されて初めてタイミングが正しい関係に戻ることになる。
以上のようにして、スキップ処理が実行された場合であっても、必要なCCDをワークメモリ領域からCCDテーブル21Bに書き込むことで、字幕の文字が飛ばされることを防ぐことができる。またフレームとCCDとのタイミングを考慮しながら、NULLデータを適宜スキップすることで、フレームとCCDとのタイミングを正しい関係に維持或いは戻すことができる。
図5A乃至図5Eは、本発明と従来技術との比較を示す図である。
図5Aは、入力として外部から供給されるビデオデータのフレーム「画像」及びクローズドキャプションデータ「CCD」との関係を示す図である。図示されるように画像1にはCCD(A,B)が挿入されており、画像2にはCCD(C,D)、画像3にはCCD(E,F)、画像4にはCCD(G,H)が挿入されている。
図5Bは、フレーム2がスキップされた場合に従来得られるビデオストリームを示す図である。図に示されるように、画像2がスキップされるのと同時にCCD(C,D)も飛ばされてしまい、本来「ABCDEFGH」となるべき字幕が「ABEFGH」となってしまう。
図5Cは、フレーム2がスキップされた場合に本発明により得られるビデオストリームを示す図である。図に示されるように、画像2をスキップしても、対応するCCD(C,D)を破棄することなくデータ保持するので、本来「ABCDEFGH」となるべき字幕が正しく表示されることになる。
図5Dは、フレーム2がリピートされた場合に従来得られるビデオストリームを示す図である。図に示されるように、画像2がリピートされるのと同時にCCD(C,D)もリピートされてしまう。この結果、本来「ABCDEFGH」となるべき字幕が「ABCDCDEFGH」となってしまう。
図5Eは、フレーム2がリピートされた場合に本発明により得られるビデオストリームを示す図である。図に示されるように、画像2をリピートしても、対応するCCD(C,D)をリピートすることなく処理するので、本来「ABCDEFGH」となるべき字幕が正しく表示されることになる。
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で様々な変形が可能である。
例えば本実施例では、スキップ処理及びリピート処理はハードウエアが検出するものとしたが、フレーム割り込みとエンコード開始割り込みの回数をカウントして比較することで、CPUによるソフトフェア処理で検出してもよい。
また本実施例では、CCDはハードウエアが検出しているが、フレームメモリ内に保持された画像データをCPUが直接読むことにより、CPUによるソフトフェア処理で検出してもよい。
また本実施例は、クローズドキャプションを例として説明したが、本発明は字幕情報だけでなく、テスト信号、文字放送情報、番組表情報、コピーガード信号等、フレーム毎にブランキング期間等に挿入される情報一般に適用可能なものである。
また本実施例では、スキップされたフレームの付加データ(CCD)がNULLであるか否かを判断して、NULLの場合には該付加データもスキップする構成としたが、スキップされたフレームの付加データが重要であるか否かを判断して、重要でない場合には該付加データもスキップする構成としてよい。あるデータが重要であるか否かは、付加情報の種類(番組表情報、コピーガード信号等の種類)に依存するので、付加情報の種類に応じて予めスキップ可能なデータ(重要度の低いデータ)及びスキップ不可能なデータ(重要度の高いデータ)を決めておけばよい。

【図2】

【図3】

【図4】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム毎に付加情報が対応付けられたデジタルビデオ信号の各フレームを第1のレートで受け取り格納するフレームメモリと、
該フレームメモリから該デジタルビデオ信号の各フレームを第2のレートで読み出すフレーム同期ユニットと、
該フレーム同期ユニットが該デジタルビデオ信号の同一のフレームを繰り返し読み出した場合に該付加情報を繰り返すことなく、また該フレーム同期ユニットが該デジタルビデオ信号のあるフレームをスキップして読み出した場合に該付加情報をスキップすることなく、該付加情報を該フレーム同期ユニットが読み出した該デジタルビデオ信号に対応付ける処理ユニット
を含むことを特徴とするビデオ信号処理回路。
【請求項2】
該フレーム同期ユニットが該フレームメモリから読み出した該デジタルビデオ信号の各フレームを符号化するビデオエンコーダを更に含むことを特徴とする請求項1記載のビデオ信号処理回路。
【請求項3】
該付加情報は文字情報であることを特徴とする請求項1記載のビデオ信号処理回路。
【請求項4】
該処理ユニットは、該フレーム同期ユニットが該デジタルビデオ信号の同一のフレームを2度続けて読み出した場合に、該2度目に読み出されたフレームに対応する該付加情報をNULLデータで置き換えることを特徴とする請求項3記載のビデオ信号処理回路。
【請求項5】
該処理ユニットは、該フレーム同期ユニットが該デジタルビデオ信号のあるフレームをスキップして読み出した場合に、該スキップされたフレームに対応する該付加情報が所定の重要度の低いデータであるときには該対応する該付加情報を破棄し、該対応する該付加情報が所定の重要度の低いデータでないときには該対応する該付加情報を保持することを特徴とする請求項1記載のビデオ信号処理回路。
【請求項6】
該処理ユニットは、該デジタルビデオ信号のあるフレームがスキップされながらも該付加情報をスキップしない場合に、後のフレームにおいて該付加情報が所定の重要度の低いデータであることを検出すると、該後のフレームの該付加情報をスキップすることを特徴とする請求項1記載のビデオ信号処理回路。
【請求項7】
該重要度の低いデータはNULLデータであることを特徴とする請求項6記載のビデオ信号処理回路。
【請求項8】
フレーム毎に付加情報が対応付けられたデジタルビデオ信号のフレームがリピートされたか或いはスキップされたかを検出し、
該検出結果に応じて該付加情報を処理する
各段階を含むことを特徴とするビデオ信号処理方法。
【請求項9】
該付加情報を処理する段階は、該デジタルビデオ信号の同一のフレームを2度続けることにより該リピートが検出された場合に、該2度目に読み出されたフレームに対応する該付加情報をNULLデータで置き換える段階を含むことを特徴とする請求項8記載のビデオ信号処理方法。
【請求項10】
該付加情報を処理する段階は、該デジタルビデオ信号のあるフレームがスキップされ該スキップが検出された場合に、該スキップされたフレームに対応する該付加情報が所定の重要度の低いデータであるときには該対応する該付加情報を破棄し、該対応する該付加情報が所定の重要度の低いデータでないときには該対応する該付加情報を保持する段階を含むことを特徴とする請求項8記載のビデオ信号処理方法。

【国際公開番号】WO2005/002224
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【発行日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−503225(P2005−503225)
【国際出願番号】PCT/JP2003/008210
【国際出願日】平成15年6月27日(2003.6.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】