学習具、そのプログラムおよび記憶媒体
【課題】文章中の特定部分を効果的に記憶できるようにする。
【解決手段】表示面(表示シート11,表示画面53)に、同一の文章A′が左右方向に間隔をあけて複数表示される。左右に複数表示されている同一の文章A′のうち特定部分(太字部分)の左右方向間隔が他の部分(細字部分)の左右方向間隔と相違されることによって、平行法または交差法によって表示面を目視したときに、該特定部分が該他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる。
【解決手段】表示面(表示シート11,表示画面53)に、同一の文章A′が左右方向に間隔をあけて複数表示される。左右に複数表示されている同一の文章A′のうち特定部分(太字部分)の左右方向間隔が他の部分(細字部分)の左右方向間隔と相違されることによって、平行法または交差法によって表示面を目視したときに、該特定部分が該他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習具、そのプログラムおよび記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外国語の学習、歴史科目の学習、科学関係の科目等、多くの科目分野において文章を読んで学習することが多々行われている。そして、文章中の重要部分となる特定部分を暗記することも多々要求される。
【0003】
特許文献1には、幼児等がゲーム感覚で英単語を楽しく学習できるように、マス目を有するゲーム盤と、マス目に入る大きさで表面側に絵柄とが描かれると共に、裏面側が無表示とされたカードを用意して、教師が発音した英単語に応じた絵柄のカードをいち早く当てた者が、そのカードをゲーム盤上で裏返す権利を獲得して、裏返しされたカードの数が多いものがゲームの勝利者となるようにしたものがある。
【0004】
特許文献2には、携帯型情報処理装置の一種となる電子辞書を利用して、検索した英単語とその翻訳語とを記憶、登録して、検索した単語とその翻訳語からなる使用者独自の単語帳を自動的に作成するものが開示されている。なお、市販の電子辞書にあっては、あらかじめ原語と翻訳語とを対応づけてメモリに記憶させて(辞書機能の設定)、入力手段としての例えばキーボードによって原語を入力すると、入力された原語をメモリに照合することによって翻訳語を決定して、原語とその翻訳語とが表示画面に表示されるものとなっており、立体視ということはなんら認識されていないレベルのものである。
【0005】
非特許文献1には、学習とは関係はないが、紙面に描かれた絵柄を平行法または交差法と呼ばれる手法でもって目視すると、絵柄や絵柄に隠れた隠し絵が立体的に見える立体視状態となるものが開示されている。なお、非特許文献1は、立体視状態で得られる画像の不思議さや美しさを楽しんでもらうためのもので、語学学習との関係については何ら認識されていないものである。
【0006】
【特許文献1】特開2002−32005号公報
【特許文献2】特開平7−234874号公報
【非特許文献1】株式会社宝島社 2003年7月12日発行 「スペシャル版 どんどん目がよくなるマジカル・アイ」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、文章中の特定部分を暗記するということは、単純作業となってあきやすく、極端な場合にはかなりの苦痛を伴うことにもなって、十分な学習効果を得ることが難しいものとなる。その一方で、現代社会においては、あらゆる分野において知識の専門化、高度化が進み、これに比例して、どの分野においても学習プロセスにおける上記のような文章中の特定部分の暗記(記憶)という作業の必要性が急速に増大している状況となっている。
【0008】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その第1の目的は、文章中の特定部分をより効果的に記憶できるようにした学習具を提供することにある。
本発明の第2の目的は、第1の目的を達成させるために必要な手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することにある。
本発明の第3の目的は、上記プログラムを記憶したコンピュータ用の記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記第1の目的を達成するため、本発明にあっては、基本的に、文章を、平行法あるいは交差法によって目視(立体視)することによって、文章中の特定部分が、他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態を得るようにしてある。すなわち、同一の文章を左右方向に間隔をあけて表示させると共に、暗記すべき特定部分の左右方向間隔を他の部分の左右方向間隔と相違させることによって、平行法または交差法によって文章を眺めたときに、特定部分が他の部分に対して前後方向にずれて見えるようにしてある。つまり、平行法または交差法で見たとき、左右に並べられた同じ部分の左右間隔が小さいと手前側に見え、左右間隔が大きいと奥側(後方側)に見えるという原理を利用してある。なお、平行法や交差法での眺め方そのものは特許文献3等で広く知られているが、平行法は遠方を見る見方であるために近視によいとされているので、特に若年層に多い近視の進行を防止あるいは抑制する上で好ましいものとなり、さらには近視の矯正効果をも期待できるものとなる。また、交差法は近くを見るために遠視に良いとされている(老眼の防止あるいは抑制効果や、老眼の矯正が期待できる)。
【0010】
以下、特許請求の範囲における各請求項について説明する。
まず、請求項1においては、前記第1の目的を達成するために、次のような解決手法を採択してある。すなわち、
表示面に、同一の文章が左右方向に間隔をあけて複数表示され、
左右に複数表示されている同一の文章のうち特定部分の左右方向間隔が他の部分の左右方向間隔と相違されることによって、平行法または交差法によって表示面を目視したときに、該特定部分が該他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる、
ようにしてある。上記解決手法によれば、平行法または交差法によって目視したおきに(立体視したときに)、特定部分が他の部分に対して前後方向にずれて見えることになる。平行法または交差法の眺め方を行うために、気持ちを集中させて表示画面を眺めることになり、特定部分の記憶を効果的に行うことが可能となる。また、立体視という日常ではめったに経験しない不思議な現象を体感しつつ学習することになるので、楽しんで学習することもできて、これがより学習効果を高めることになる。さらに、立体視による集中した状態は、特定部分の記憶のみならず、文章の理解をも高めることになり、全体として学習効果が極めて高いものとなる。
【0011】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2〜請求項13に記載のとおりである。すなわち、
コントローラと、互いに内容の相違する複数種の文章を記憶したメモリと、前記表示面を構成すると共に該コントローラによって制御される表示画面と、該コントローラへの指令を行うためのマニュアル操作される入力操作部と、を備えた電子式とされ、
前記コントローラは、前記入力操作部の操作に応じて、前記記憶手段に記憶されている複数種の文章の中から1つの文章を選択すると共に、該選択した1つの同一の文章を左右方向に間隔をあけて複数前記表示画面に表示させる、
ようにしてある(請求項2対応)。この場合、電子式の学習具として構成することができる。
【0012】
前記特定部分が、前記複数種の文章についてそれぞれあらかじめ設定されている、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、特定部分があらかじめ設定されているので、特定部分を確実に記憶するように学習する上で好ましいものとなる。
【0013】
前記コントローラは、前記入力操作部による操作に応じて前記メモリに記憶されている複数種の文章の中から1つの文章を選択すると共に該選択された1つの文章を前記表示画面に表示させ、
前記コントローラは、前記表示画面に表示されている前記選択された1つの文章の中から、前記入力操作部の操作に応じて前記特定部分を設定すると共に、該設定された特定部分を前記メモリに記憶する、
ようにしてある(請求項4対応)。この場合、学習者毎に、特定部分を任意に設定することができる。
【0014】
前記コントローラは、前記入力操作部の入力に応じて新たに作成される文章を前記表示画面に表示させると共に、新たに作成され文章を該入力操作部の操作に応じて前記メモリに記憶させる、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、文章として、あらかじめ用意された内容にとらわれることなく、学習者が作成した任意の文章について特定部分を設定することができる。
【0015】
前記入力操作部が、前記表示画面に対する文章の表示態様として通常モードと立体視モードとを選択指令するように設定され、
前記コントローラは、前記入力操作部によって前記通常モードが選択されたときは同一の文章については1つのみ前記表示画面に表示させる一方、立体視モードが選択されたときは同一の文章を左右方向に間隔をあけて複数表示させ、
さらに、前記立体視モードが選択されているときは、左右に複数表示されている文章のうち特定部分の左右方向間隔が他の部分の左右方向間隔と相違されることによって、平行法または交差法によって該表示画面を目視したときに、該特定部分が該他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる、
ようにしてある(請求項6対応)。この場合、通常モードでは通常に文章を読むことによる学習を行う上で好ましいものとなり、また立体視モードでは特定部分を積極的に特定部分を記憶する学習を行う上で好ましいものとなる。
【0016】
前記コントローラは、前記通常モードでの表示態様のときに前記モード切換部によって前記立体視モードが選択されたときは、該表示画面への表示態様を該立体視モードに切換える一方、該立体視モードでの表示態様のときに前記モード切換部によって該通常モードが選択されたときは、該表示画面への表示態様を該通常モードに切換える、ようにしてある(請求項7対応)。この場合、通常モードと立体視モードとを素早く切換えて、学習効果を向上させることができる。
【0017】
前記立体視モードでは通常モードに比して、前記表示画面に表示される文章の1行あたりの文字数が少なくされる、ようにしてある(請求項8対応)。この場合、限られた面積の表示画面の範囲で、通常モードに適した文章表示と、立体視モードに適した文章表示とを得ることができる。
【0018】
多数枚のシートを束ねた本形式とされ、
各シートの一面側に、同一の文章が左右方向に間隔をあけて複数表示されて、該各シートの一面側を平行法または交差法によって目視したときに、前記特定部分が前記他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる、
ようにしてある(請求項9対応)。この場合、通常の本形式でもって、特定部分が前後方向にすれて見える立体視状態を得ることができる。また、本形式なので、容易かつ安価に提供できる。特に、各シートの一面毎に立体視状態を得ることができる。
【0019】
多数枚のシートを束ねた本形式とされ、
前記表示面が、隣合う2枚の前記シートが見開きされたときに目視される左右一対の面によって構成され、
同一の文章が前記左右一対の面のそれぞれに1つづつ表示されて、該左右一対の面を平行法または交差法によって目視したときに、前記特定部分が前記他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる、
ようにしてある(請求項10対応)。この場合、通常の本形式でもって、特定部分が前後方向にすれて見える立体視状態を得ることができる。また、本形式なので、容易かつ安価に提供できる。特に、左右一対の広いスペースを利用して、立体視状態を得ることができる。
【0020】
多数枚のシートを束ねた本形式とされ、
前記表示面が、隣合う2枚の前記シートが見開きされたときに目視される左右一対の面によって構成され、
前記左右一対の面の一方側面に、同一の文章が1つのみ表示され、
前記左右一対の面の他方側面に、前記一方側面に表示されている文章と同一の文章が左右に間隔をあけて複数表示されて、該他方側面を平行法または交差法によって目視したときに、前記特定部分が前記他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる、
ようにしてある(請求項11対応)。この場合、通常の本形式でもって、特定部分が前後方向にすれて見える立体視状態を得ることができる。また、本形式なので、容易かつ安価に提供できる。特に、通常視用の一方側面を目視することによって、読むことに集中した学習を行うことができ、また立体視用の他方側面を目視することによって特定部分を効果的に記憶する学習を行うことができる(通常の本と立体視用の本とが合体した形式)。
を立体視状態で見ることができて、
【0021】
前記文章中に画像が含まれており、
前記特定部分として、前記画像の説明部分が含まれている、
ようにしてある(請求項12対応)。この場合、画像が含まれる文章において、画像に関する説明部分を効果的に記憶する上で好ましいものとなる。
【0022】
前記立体視状態のときに、前記特定部分が全て第1の同一平面上にあるように見え、前記他の部分が全て該第1の同一平面とは前後方向にずれた第2の同一平面上にあるように見えるように設定されている、ようにしてある(請求項13対応)。この場合、立体視状態のときに全体的に整然と見えて、特定部分を効果的に記憶する上で好ましいものとなる。
【0023】
前記第2の目的を達成するために、次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項14に記載のように、
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
入力操作に応じて、互いに内容の相違する複数種の文章を記憶したメモリから1つの文章を選択する手順と、
立体視モードが選択されているときに、前記選択された1つの同一の文章を左右方向に間隔をあけて複数前記表示画面に表示させると共に、左右に複数表示されている同一の文章のうち特定部分の左右方向間隔が他の部分の左右方向間隔と相違させることによって、平行法または交差法によって該表示画面を目視したときに、該特定部分が該他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視モードでの表示態様を得る手順と、
を備えているようにしてある。上記解決手法によれば、請求項2に対応した学習具を構成するためのプログラムが提供される。
【0024】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項15,請求項16下に記載のとおりである。すなわち、
通常モードが選択されているときに、前記選択された1つの同一の文章を1つだけ前記表示画面に表示させる手順と、
前記通常モードでの表示態様のときに前記立体視モードが選択されたときに、該立体視モードでの表示態様とする手順と、
前記立体視モードでの表示態様のときに前記通常モードが選択されたときに、該通常モードでの表示態様とする手順と、
をさらに備えている、ようにしてある(請求項15対応)。この場合、請求項6および請求項7に対応した学習具を構成するためのプログラムが提供される。
【0025】
前記通常モードでの表示態様において、入力操作に応じて、前記表示画面に表示されている文章の中から前記特定部分を選択させる手順と、
前記選択された前記特定部分をメモリに記憶させる手順と、
をさらに備えているようにしてある(請求項16対応)。この場合、請求項4に対応した学習具を構成するプログラムが提供される。
【0026】
前記第3の目的を達成するため、本発明におけるコンピュータの読取可能な記憶媒体にあっては、請求項14〜請求項16のいずれか1項に記載のプログラムを記憶したものとされている。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、文章中の特定部分を効果的に記憶させることができ、また文章の理解をも高めることができ、全体として学習効果が極めて高いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は、通常の文章の一例を示すものであり、理科の学習の一環として星座に関する学習を行うための横書きの文章Aとされている。この文章Aにおいて、実施形態では、「◎オリオン座について・・・・・・リゲルである。」までが第1文A1とされ、この第1文に続く「オリオン座は・・・・見ることができる。」までが第2文A2とされている。文章Aは、平行法または交差法による立体視を行っても、立体視状態がなんら得られない通常の文章表示である。
【0029】
図2は、図1の文章Aを、左右方向に間隔をあけて複数(実施形態では2つ)並べて配置したものである。すなわち、それぞれ横書きとされた左右の各文章A′の内容は、図1に示す文章Aの内容と全く同一とされている。ただし、各文章A′の1行あたりの文字数が、図1の文章Aの場合に比して少なくされている。
【0030】
立体視状態を得るために、左右の文章A′中における共通の特定部分の左右方向間隔が、他の部分の左右方向間隔と相違されている。より具体的には、実施形態では、「太字」で示す部分が全て特定部分とされ、「細字」で示す部分が全て他の部分とされている。すなわち、太字とされた特定部分は、上から順に、「オリオン座」、「冬」、「オリオン座」、「三つ星」、「2つ」、「一等星」、「右肩」、「赤い星」、「ベテルギウス」、「左脚」、「青白い星」、「リゲル」、「冬」、「夏の夜明け頃」である。
【0031】
」
上記特定部分の例えば左右端位置同士での左右方向間隔が、他の部分の例えば左右端位置同士での左右方向間隔と相違されている。実施形態では、特定部分の左右方向間隔が、他の部分の左右方向間隔に比して小さく設定されている。これにより、平行法または交差法によって左右の文章A′を同時に目視したとき、上記特定部分が他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態となる。なお、平行法で見たときは、特定部分が他の部分に対して前方(手前)側にずれて見え、交差法で見たときは特定部分が他の部分に対して後方(奥前)側にずれて見える立体視状態となる。なお、実施形態では、特定部分同士の間でも前後方向にずれて見えるような設定となっており、例えば、上から7行目〜10行目にかけての部分においては、「赤い星」、「ベテルギウス」、「青白い星」、「リゲル」は、「右肩」、「左脚」に対して、平行法で見たときにより手前側に見える設定とされている。なお、全ての特定部分が同一平面上にあるように見える設定とすることもできる(全ての特定部分の例えば左右端位置同士での左右間隔を互いに等しく設定するもので、全ての特定部分が第1の同一平面上に見え、他の部分が全て第2の同一平面上に見え、第1と第2の各平面が互いに前後方向にずれて見える態様)。
【0032】
立体視状態とするために、学習者は、気持ちを集中させて文章(文章の表示された面)を眺めることになり、集中力が極めて向上された状態とされる。このように、集中力向上状態で学習できて、特定部分の記憶を効果的に行うことが可能となる。また、立体視状態という日常ではめったに経験しない不思議な現象を体感しつつ学習することになるので、楽しんで学習することもできて、これがより学習効果を高めることになる。なお、同一の文章を複数表示すると共に、前後方向にずれて見える表示要素の数を数多く設定することによって、記憶効果が飛躍的に高められることになる(同一文章の表示数は3以上であってもよく、同一の特定部分も3以上であってもよい)。
【0033】
なお、平行法は遠方を見る見方であるために近視によいとされているので、特に若年層に多い近視の進行を防止あるいは抑制する上で好ましいものとなり、さらには近視の矯正効果をも期待できるものとなる。また、交差法は近くを見るために遠視に良いとされている(老眼の防止あるいは抑制効果や、老眼の矯正が期待できる)。なお、通常の学習では、左脳が活発に働く状況であるが、立体視を行っているときは右脳が活発に働くことを期待できるという可能性がある。
【0034】
図3は、図2の変形例を示すもので、全ての文字を「細字」で表示したものである。すなわち、図2に示す特定部分となる太字部分が、他の部分と同様に細字とされている。
【0035】
図4は、文章Aを、縦書き状態でもって立体視用に設定した例を示す。すなわち、文章Aにおける第1文がA1′として左右方向に間隔をあけて2つ並べて配置されている。また、2つの第1文A′の左方において、第2文がA2′として左右方向に間隔をあけて2つ並べて配置されている。なお、特定部分と他の部分の設定は、図2,図3の場合と同じである。図4においても、平行法または交差法によって目視したときに、特定部分が他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態が得られる。なお、第1文A1′と第2文A2′とに分けて表示したのは、左右で共通の表示部分が、左右方向に大きく離れ過ぎると、立体視状態を得にくくなるため、複数の第1文A1′と複数の第2文A2′とを左右に分けて表示したものであり、文章によっては、1つの文章を複数の文に分けて表示しなくてもよいものである。
【0036】
図5は、本発明の別の実施形態を示すものである。本実施形態では、医学に関する文章としてあり、「心臓粘液腫」に関して学習するためのものとなっている。図5では、文章が、文字の他に、画像(実施形態ではイラストと写真の2種類)を含むものとなっている。そして、特定部分としては、例えば「心臓粘液腫」、「粘液腫」、「概念」、「75%」、「左房」、「臨床症状」、「発熱」、「腫瘍塞栓」とされている。図5の場合も、平行法または交差法で見たときに、上記特定部分が他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態が得られる。図5において、イラストの特定箇所を示す「「粘液腫」が、特定部分とされている。なお、画像の一部あるいは全部を特定部分として設定することもできる。
【0037】
図6は、前述した立体視用の表示を行えるようにした電子式学習装置DJの一例を示すものである。図6に示す電子式学習装置DJは、携帯型の電子辞書として構成されて、本体部50と、本体部50に対して開閉される蓋部51とを有する。本体部50の表面には、各種スイッチ等を配設してなるキーボード52(各種スイッチの集合したもの)が構成される。また、蓋部51の内面には、表示画面53が構成されている(表示画面53が、図1〜図5で示す文章が表示された表示面に相当するものとなる)。表示画面53は、例えば、液晶式、プラズマ式、有機EL式等の薄型ディスプレイによって構成されている。
【0038】
前記キーボード52は、各種スイッチの総称として示され、各種スイッチとしては、次のようなものが設定されている。スイッチ60は、ON/OFFスイッチであり、電子式学習装置DJの電源をONあるいはOFFする際に操作される(例えばプッシュ・プッシュ式)。スイッチ61〜64は、各種機能の選択スイッチで、例えば、スイッチ61は英和選択用、スイッチ62は和英選択用、スイッチ63は英英選択用、スイッチ64は文章選択用とされている。スイッチ65は、文字入力キーで、多数のスイッチを近接して配設することにより構成されており、アルファベットのAからZまでの各文字を入力するためのものとなっている。
【0039】
スイッチ66は、実質的に複数(実施形態では4つ)のスイッチから構成されて、表示画面53に表示された複数の選択内容のうちいずれか1つの表示内容を選択したり、選択部分の指定を行うものである(選択用カーソルの移動用)。スイッチ67は、入力された表示内容の「訳」(表示内容が原語等の場合)を表示させる指令したり、選択を「決定」するためのものである。例えば、スイッチ64が操作されて後述する文章モードが選択されたときに、文章中の「ある部分」が選択された状態で、スイッチ61を例えば押圧操作することにより、上記「ある部分」が特定部分として設定されて、記憶される。
【0040】
スイッチ68は、表示画面53の表示内容を、1つ前の状態に復帰させるためのものである。スイッチ69は、表示画面53の表示内容を、1画面分一挙に変更するためのものである(次の表示内容への変更用と前の表示内容への変更用との2つのスイッチで構成)。スイッチ70〜74は、通常の辞書として使用するときに使用されるもので、表示画面53に表示されている「語」に関連して、スイッチ70は「成句」を選択するものであり、スイッチ71は「用例」を選択するものであり、スイッチ72は「熟語」を選択するものであり、スイッチ73は「類似語」を選択するものであり、スイッチ74は表示画面53において選択されている関連用語への「ジャンプ」を選択するものである。以上説明したスイッチ60〜674は、市販の電子辞書において広く用いられているものであり、これ以上の詳細な説明は省略する。なお、スイッチ、特にスイッチ70〜74は、本発明における立体視用の特別のスイッチとして機能させるようにすることもできる。
【0041】
スイッチ80は、本発明特有のスイッチであり、立体視モードでの表示態様と、通常モードでの表示態様とを選択するものである(例えばプッシュ・プッシュ式)。スイッチ80によって通常モードが選択されているときは、表示画面53には、立体視用の特別な表示がなんら行われることがなく、市販の電子辞書の表示態様と全く同じような表示態様とされる。すなわち、スイッチ64によって後述する文章モードが選択されたときは、通常モードでは図1に示すように同一の文章Aについては1つのみ表示画面53に表示される一方、立体視モードが選択されたときは、図2あるいは図3に示すように、同一の文章A′が左右方向に間隔をあけて複数表示される。立体視モードが選択されたときは、立体視用の表示であることを示すべく、表示画面53の一部(隅)に、例えば「3D」という識別表示81が行われるようになっている。
【0042】
立体視モードと通常モードとは、スイッチ80を操作する毎に切換えられる。すなわち、表示画面53に通常モードでの表示が行われている状態でスイッチ80を操作することにより、立体視モードでの表示態様に切換えられる。逆に、表示画面53に立体視モードで表示が行われている状態でスイッチ80を操作することにより、通常モードでの表示態様に切換えらえる。なお、立体視モード選択用のスイッチと、通常モード選択用のスイッチとを別個独立して設けるようにしてもよい。
【0043】
図7は、図7に示す電子式学習装置DJの回路構成をブロック図的に示すものであり、図中Uは、マイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラ(制御ユニット)を示す。コントローラUは、CPUと、OS(オペレーティングシステム)を記憶したメモリと、複数種の文章(例えば図1に示す文章Aや図5に示す文章で、分野の相違する文章、例えば歴史、理科、語学等複数種の科目についての文章を記憶したものでよく、あるいは1つの科目に関する複数種の文章を記憶したものであってもよい)を記憶したメモリと、電源とを内蔵している。なお、OS用と文章用の2つのメモリを共通の1つのメモリで兼用させてもよく、また、文章用のメモリを、分野別の文章毎に別々のメモリとして構成してもよい。なお、実施形態では、文章用メモリには、各文章毎に、記憶すべき重要事項(重要用語等)が、特定部分としてあらかじめ設定されている(例えば、特定部分のみを太字で表示したり、特別な色表示させるように記憶)。このコントローラUに対して、前述した各種スイッチ60〜64、66〜74,80からの操作信号が入力され、入力された操作信号に応じて、表示画面53の表示内容が切換えられることになる。
【0044】
図8〜図11は、上記コントローラUによる制御内容(機能)を示すフローチャートであり、文章の立体視に関連した表示制御機能に着目したものとなっている。以下、このフローチャートについて説明するが、スイッチ64の操作によって「文章モード」が選択されている場合が前提とされている。なお、以下の説明でSはステップを示す。
【0045】
まず、図8は、スイッチ64が操作されることによって起動されて、S1において、表示画面53に、複数のメニューが提示されて、どのメニュを選択するかの要求が行われる。提示されるメニューとしては、実施形態では、例えば「文章表示」、「文章作成」、「特定部分設定」の3種類とされている。次いで、S2において、メニューの選択が行われたか否かが判別される。このS2の判別でNOのときはS1に戻ってメニュの選択を待つことになる。S2の判別でYESのときは、S3において、選択されたメニューに応じた処理が実行される。
【0046】
図9は、図8で提示された「文章表示」のメニューが選択された場合の処理例が示される。まず、S11において、メモリに記憶されている複数種の文章が表示画面53に提示されて、どの文章を選択するかの要求が行われる。次いで、S12において、1つの文章が選択されたか否かが判別される。このS12の判別でNOのときは、S11に戻って、文章が選択されるのを待つことになる。
【0047】
上記S12の判別でYESのときは、S13において、立体視モードが選択されているか否かが判別される(スイッチ80の操作状況の判別)。このS13の判別でNOのときは、S14において、通常モードでの表示が行われる(同一の文章が1つのみ表示画面53に表示される)。S14の後、S15において、スイッチ80が操作されたか否か、つまり立体視モードへの切換えが要求されたか否かが判別される。このS15の判別でNOのときは、S14に戻って、通常モードでの表示が継続される。通常モードでの表示形態のときは、学習者は、表示画面53に表示されている文章を読むことによる学習を行うことになる(長い文章はスクロール操作して表示画面53に表示させる)。
【0048】
前記S13の判別でYESのとき、あるいは前記S15の判別でYESのときは、それぞれS16に移行して、立体視モードでの表示とされる。すなわち、表示画面53に、同一の文章が左右方向に間隔をあけて複数表示される(図2あるいは図3に示すような表示態様で、特定部分と他の部分とが設定されている)。この立体視モードにおいて、表示画面53を平行法または交差法で目視することにより、特定部分が他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態が得られることになる。
【0049】
上記S16の後、S17において、スイッチ80が操作されたか否か、つまり通常モードでの表示に切換えることが要求されたか否かが判別される。このS17の判別でNOのときは、S16へ戻って、立体視モードでの表示が継続される(特定部分を記憶するのに好適な表示形態での学習の継続)。また、S17の判別でYESのときは、S14に移行して、通常モードでの表示とされる。
【0050】
通常モードあるいは立体視モードでの表示が行われている状態で、スイッチ80以外の他のスイッチが操作されると、操作されたスイッチに応じた処理内容へと変更される。例えばスイッチ64が操作されると、図8の処理へと移行される。なお、ON/OFFスイッチ60を操作した場合は勿論のこと、各種スイッチがなんら操作されることなくあらかじめ設定した所定時間(例えば2分)継続すると、電源が自動的にOFFされる。
【0051】
図10は、図8において提示された「文章作成」のメニューが選択されたときの処理内容が示される。まず、S21において、表示画面53に、文章を入力するように要求する表示が行われる。この状態で、キーボード65を操作して表示画面中に文字入力が行うことが可能とされ、多くの文字を入力することによって文章が作成されていくことになる(ワープロ機能)。この後、S22において、文章入力が完了されたか否かが判別される。このS22における判別は、例えば、表示画面53の隅に「文章入力完了のばあいはスイッチ○○を操作して下さい」というを表示をしておいて、「スイッチ○○」が操作されたか否かを判別することにより行うことができる。S22の判別でNOのときは、S21へ戻って文章の入力が継続されることになる。
【0052】
上記S22の判別でYESのときは、S23において、表示画面53に、今回作成した文章の「タイトル名」の入力を促す表示が行われる。この後、S23において、タイトル名が入力されたか否かが判別され、このS24の判別でNOのときは、S23へ戻る。S24の判別でYESのときは、入力された(作成された)文章が、そのタイトル名と共にメモリに記憶されることになる。勿論、記憶された文章は、図9のS11においてそのタイトル名が表示されることによって、後に選択できる(表示画面53に表示できる)ものである。
【0053】
図11は、図8のメニュー選択において、「特定部分設定」が選択されたときの処理となる。まず、S31,S32の処理によって、特定部分を設定すべき文章の選択が行われる(図9のS11,S12の処理に対応)。
【0054】
S32の判別でYESとなって、特定部分を設定すべき文章が選択されると、選択された文章(1つの文章)が表示画面53に表示されると共に(通常モードでの表示形態とされる)、特定部分として設定する部分を選択することを促す表示が行われる。この後S34において、特定部分とすべき部分が指定されたか否かが判別される。このS34の判別でNOのときはS33に戻る。
【0055】
上記S34の判別でYESのときは、文章中の「ある部分」(学習者が積極的に記憶したいと欲する用語等)を選択すると、S35において、この選択された「ある部分が」が特定部分としてメモリに一時的に記憶される。この後、S36において、特定部分として設定する部分の指定が全て終了したか否かが判別される
このS36における判別は、例えば、表示画面53の隅に「特定部分の設定完了のばあいはスイッチ○○を操作して下さい」というを表示をしておいて、「スイッチ○○」が操作されたか否かを判別することにより行うことができる。このS36の判別でNOのときは、S33へ戻って、特定部分の設定が継続されることになる(特定部分を複数数箇所設定する)。
【0056】
上記S36の判別でYESのときは、S37において、指定(設定)された特定部分が、その文章と対応させて、メモリに記憶されることになる。勿論、図11の処理によって学習者によって設定された特定部分は、立体視モードでの文章表示のときに、他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる。
【0057】
図12〜図14は、それぞれ本発明の別の実施形態を示すもので、多数のシートを束ねた(綴った)本形式として、各シートに表示された文章を立体視できるようにしたものである。
【0058】
まず、図12の例は、各シート11の一面側にそれぞれ、同一の文章を左右方向に間隔をあけて複数(実施形態では2つ)表示したものとなっている。図12では、見開いた状態で、左側の頁に、文章A′が左右に2つ並べて表示されている(図2あるいは図3の表示に相当)。また、右側の頁に、文章A′とは別の文章となるが、互いに同一の文章C′が左右方向に間隔をあけて複数(実施形態では複数)表示したものとなっている。なお、図2に示す文章A′は、星座に関するものなので、一般的には文章C′も星座に関するものが表示されることになる(本が星座に関する学習用)。図12の例では、各シート11の一面側(各頁)のみでもって、立体視状態が得られる表示形態とされ、立体視表示すべき文章をを多数収録するのに好適となる。
【0059】
図13は、本を見開いたときに、左側頁に1つの文章A′が表示され、また右側頁にも同一の文章A′が表示されている。見開いた左右の頁を平行法または交差法で同時に目視することによって、文章A′中の特定部分が他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態が得られる。ただし、左頁のみあるいは右頁のみを平行法又は交差法で目視しても、立体視状態は得られないものとなる。図13の表示形態は、シート11が小さい面積とされた小型本の場合に、立体視状態を得るようにする上で好ましいものとなる。また、図13の例では、左頁のみあるいは右頁のみを目視することによって、文章A′を立体視ではなくもっぱら通常の見方で読むという学習を行う場合に好適ともなる。
【0060】
図14は、本を見開いた左右一対の面(頁)の一方側(実施形態では左頁)に、文章Aが表示され(図1の表示形態)、右頁に文章A′が左右方向に間隔をあけて複数(実施形態では2つ)表示されている。これにより、左頁を見るときは、もっぱら文章Aを読むという学習に適したものとなる。また、右頁のみを平行法または交差法によって目視することにより、文章A′中の特定部分が他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態が得られて、文章A′中(つまり文章A中)の特定部分を記憶するのに効果的となる。図14の例は、文章を読む途中で、その特定部分を立体視を利用して積極的に記憶したい場合に好適となる。
【0061】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。表示される文章としては、日本語に限らず、英語等の外国語であってもよく、言語の相違は問わないものである。同一の文章を左右方向に間隔をあけて表示される同一文章の数は、3以上であってもよいが、全体として左右方向にあまり大きな距離を有すると立体視状態が得にくくなるので、2または3に設定するのが好ましい。通常モードで縦書き表示のときに、立体視モードでは縦書きの場合は勿論のこと横書きの表示とすることもできる。立体視モード用の縦書き表示のときに、1行毎に同一の文章を左右方向に並べるようにしてもよい(1行となる同一文の隣に同一文が1行並べて表示されるもので、2行1セットでの立体視用の表示)。
【0062】
電子式学習装置DJとしては、携帯型の専用の電子辞書として構成する他、パーソナルコンピュータを利用したり、表示画面53を有する適宜の情報処理装置を利用することができ、例えば、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)、ゲーム機、携帯電話を利用して構成することもできる。特に、携帯可能な情報処理装置を利用して電子式学習装置を構成した場合は、通学途中や通勤途中において、語学学習を行う上で好ましいものとなる。
【0063】
メモリに記憶される文章は、通常モード用のみを用意して、立体視モードで表示を行うときは、通常モードで選択される1つの文章を複数設定して、表示画面53に左右方向に間隔をあけて表示するようにすることが、コスト低減等の上で好ましいものとなり、また既存の文章を記憶可能な電子辞書等に対して、表示画面53への表示態様を立体視モード用に変更する機能(ソフト的あるいはハード的のいずれでも可能)のみを追加するだけですむことになる。勿論、通常モード用とは別個に、立体視モード専用の文章を記憶しておくようにしてもよく、この場合は、立体視モード用に特化した表示内容として、記憶効果をより十分に高める等の上で好ましいものとなる(例えば、図2や図3のような表示形態でもって記憶しておく)。
【0064】
コンピュータが読み取り可能な記憶媒体(CD−ROM、DVD−ROM、フラッシュメモリ等)に、立体視モードでの表示を行わせるためのプログラム(必要に応じて立体視モード専用の辞書)を記憶させて、既存の情報処理装置で実行させることによって、手軽に立体視モードでの表示を行わせることができる。すなわち、本発明は、立体視モードでの表示を行わせるコンピュータ用のプログラムの提供や、このプログラムを記憶したコンピュータ用の記憶媒体の提供するものであり、さらに立体視モード用の専用の辞書(文章)の提供をも暗黙的に含むものである。
【0065】
図12〜図14に示す本形式とする場合、各シート11を例えば接着剤や連結ヒモで結合して容易には分離できないようにしてもよいが、各シート11を個々独立して加除できる加除式として構成してもよい。すなわち、例えば各シート11の各側端部に連結用孔を形成して、この開口孔をバインダの連結具に通すことによって本を構成するようにしてもよい。本形式とすることなく、立体視用の表示形態とされた多数枚のシート11が、互いに個々独立して分離できる形式であってもよい(互いに分離された形式でもって1セット化されるもので、53枚のカードで構成されるトランプカードのような形式とする)。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。また、
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】通常モードでの文章の表示態様を示す図。
【図2】図1の文章を立体視モード用に表示する例を示す図。
【図3】図1の文章を立体視モード用に表示する別の例を示す図。
【図4】図1の文章を立体視モード用に表示するさらに別の例を示す図。
【図5】立体視モード用に表示された文章の別の例を示す図。
【図6】電子式学習装置の一例を示す斜視図。
【図7】図6に示す電子式学習装置の回路構成例を示すブロック図。
【図8】図7に示すコントローラの制御例を示すフローチャート。
【図9】図7に示すコントローラの制御例を示すフローチャート。
【図10】図7に示すコントローラの制御例を示すフローチャート。
【図11】図7に示すコントローラの制御例を示すフローチャート。
【図12】文章を、本形式で立体視用に表示する場合の例を示す図。
【図13】文章を、本形式で立体視用に表示する場合の別の例を示す図。
【図14】文章を、本形式で立体視用に表示する場合のさらに別の例を示す図。
【符号の説明】
【0067】
DJ:電子式学習装置
11:シート
50:本体部
51:蓋部
52:キーボード(入力手段で、各種スイッチ群)
53:表示画面
64:スイッチ(文章モード選択用)
65:スイッチ(文字入力用の多数のキー)
80:モード切換スイッチ
81:識別符合(立体視モード選択を示す)
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習具、そのプログラムおよび記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外国語の学習、歴史科目の学習、科学関係の科目等、多くの科目分野において文章を読んで学習することが多々行われている。そして、文章中の重要部分となる特定部分を暗記することも多々要求される。
【0003】
特許文献1には、幼児等がゲーム感覚で英単語を楽しく学習できるように、マス目を有するゲーム盤と、マス目に入る大きさで表面側に絵柄とが描かれると共に、裏面側が無表示とされたカードを用意して、教師が発音した英単語に応じた絵柄のカードをいち早く当てた者が、そのカードをゲーム盤上で裏返す権利を獲得して、裏返しされたカードの数が多いものがゲームの勝利者となるようにしたものがある。
【0004】
特許文献2には、携帯型情報処理装置の一種となる電子辞書を利用して、検索した英単語とその翻訳語とを記憶、登録して、検索した単語とその翻訳語からなる使用者独自の単語帳を自動的に作成するものが開示されている。なお、市販の電子辞書にあっては、あらかじめ原語と翻訳語とを対応づけてメモリに記憶させて(辞書機能の設定)、入力手段としての例えばキーボードによって原語を入力すると、入力された原語をメモリに照合することによって翻訳語を決定して、原語とその翻訳語とが表示画面に表示されるものとなっており、立体視ということはなんら認識されていないレベルのものである。
【0005】
非特許文献1には、学習とは関係はないが、紙面に描かれた絵柄を平行法または交差法と呼ばれる手法でもって目視すると、絵柄や絵柄に隠れた隠し絵が立体的に見える立体視状態となるものが開示されている。なお、非特許文献1は、立体視状態で得られる画像の不思議さや美しさを楽しんでもらうためのもので、語学学習との関係については何ら認識されていないものである。
【0006】
【特許文献1】特開2002−32005号公報
【特許文献2】特開平7−234874号公報
【非特許文献1】株式会社宝島社 2003年7月12日発行 「スペシャル版 どんどん目がよくなるマジカル・アイ」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、文章中の特定部分を暗記するということは、単純作業となってあきやすく、極端な場合にはかなりの苦痛を伴うことにもなって、十分な学習効果を得ることが難しいものとなる。その一方で、現代社会においては、あらゆる分野において知識の専門化、高度化が進み、これに比例して、どの分野においても学習プロセスにおける上記のような文章中の特定部分の暗記(記憶)という作業の必要性が急速に増大している状況となっている。
【0008】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その第1の目的は、文章中の特定部分をより効果的に記憶できるようにした学習具を提供することにある。
本発明の第2の目的は、第1の目的を達成させるために必要な手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することにある。
本発明の第3の目的は、上記プログラムを記憶したコンピュータ用の記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記第1の目的を達成するため、本発明にあっては、基本的に、文章を、平行法あるいは交差法によって目視(立体視)することによって、文章中の特定部分が、他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態を得るようにしてある。すなわち、同一の文章を左右方向に間隔をあけて表示させると共に、暗記すべき特定部分の左右方向間隔を他の部分の左右方向間隔と相違させることによって、平行法または交差法によって文章を眺めたときに、特定部分が他の部分に対して前後方向にずれて見えるようにしてある。つまり、平行法または交差法で見たとき、左右に並べられた同じ部分の左右間隔が小さいと手前側に見え、左右間隔が大きいと奥側(後方側)に見えるという原理を利用してある。なお、平行法や交差法での眺め方そのものは特許文献3等で広く知られているが、平行法は遠方を見る見方であるために近視によいとされているので、特に若年層に多い近視の進行を防止あるいは抑制する上で好ましいものとなり、さらには近視の矯正効果をも期待できるものとなる。また、交差法は近くを見るために遠視に良いとされている(老眼の防止あるいは抑制効果や、老眼の矯正が期待できる)。
【0010】
以下、特許請求の範囲における各請求項について説明する。
まず、請求項1においては、前記第1の目的を達成するために、次のような解決手法を採択してある。すなわち、
表示面に、同一の文章が左右方向に間隔をあけて複数表示され、
左右に複数表示されている同一の文章のうち特定部分の左右方向間隔が他の部分の左右方向間隔と相違されることによって、平行法または交差法によって表示面を目視したときに、該特定部分が該他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる、
ようにしてある。上記解決手法によれば、平行法または交差法によって目視したおきに(立体視したときに)、特定部分が他の部分に対して前後方向にずれて見えることになる。平行法または交差法の眺め方を行うために、気持ちを集中させて表示画面を眺めることになり、特定部分の記憶を効果的に行うことが可能となる。また、立体視という日常ではめったに経験しない不思議な現象を体感しつつ学習することになるので、楽しんで学習することもできて、これがより学習効果を高めることになる。さらに、立体視による集中した状態は、特定部分の記憶のみならず、文章の理解をも高めることになり、全体として学習効果が極めて高いものとなる。
【0011】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2〜請求項13に記載のとおりである。すなわち、
コントローラと、互いに内容の相違する複数種の文章を記憶したメモリと、前記表示面を構成すると共に該コントローラによって制御される表示画面と、該コントローラへの指令を行うためのマニュアル操作される入力操作部と、を備えた電子式とされ、
前記コントローラは、前記入力操作部の操作に応じて、前記記憶手段に記憶されている複数種の文章の中から1つの文章を選択すると共に、該選択した1つの同一の文章を左右方向に間隔をあけて複数前記表示画面に表示させる、
ようにしてある(請求項2対応)。この場合、電子式の学習具として構成することができる。
【0012】
前記特定部分が、前記複数種の文章についてそれぞれあらかじめ設定されている、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、特定部分があらかじめ設定されているので、特定部分を確実に記憶するように学習する上で好ましいものとなる。
【0013】
前記コントローラは、前記入力操作部による操作に応じて前記メモリに記憶されている複数種の文章の中から1つの文章を選択すると共に該選択された1つの文章を前記表示画面に表示させ、
前記コントローラは、前記表示画面に表示されている前記選択された1つの文章の中から、前記入力操作部の操作に応じて前記特定部分を設定すると共に、該設定された特定部分を前記メモリに記憶する、
ようにしてある(請求項4対応)。この場合、学習者毎に、特定部分を任意に設定することができる。
【0014】
前記コントローラは、前記入力操作部の入力に応じて新たに作成される文章を前記表示画面に表示させると共に、新たに作成され文章を該入力操作部の操作に応じて前記メモリに記憶させる、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、文章として、あらかじめ用意された内容にとらわれることなく、学習者が作成した任意の文章について特定部分を設定することができる。
【0015】
前記入力操作部が、前記表示画面に対する文章の表示態様として通常モードと立体視モードとを選択指令するように設定され、
前記コントローラは、前記入力操作部によって前記通常モードが選択されたときは同一の文章については1つのみ前記表示画面に表示させる一方、立体視モードが選択されたときは同一の文章を左右方向に間隔をあけて複数表示させ、
さらに、前記立体視モードが選択されているときは、左右に複数表示されている文章のうち特定部分の左右方向間隔が他の部分の左右方向間隔と相違されることによって、平行法または交差法によって該表示画面を目視したときに、該特定部分が該他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる、
ようにしてある(請求項6対応)。この場合、通常モードでは通常に文章を読むことによる学習を行う上で好ましいものとなり、また立体視モードでは特定部分を積極的に特定部分を記憶する学習を行う上で好ましいものとなる。
【0016】
前記コントローラは、前記通常モードでの表示態様のときに前記モード切換部によって前記立体視モードが選択されたときは、該表示画面への表示態様を該立体視モードに切換える一方、該立体視モードでの表示態様のときに前記モード切換部によって該通常モードが選択されたときは、該表示画面への表示態様を該通常モードに切換える、ようにしてある(請求項7対応)。この場合、通常モードと立体視モードとを素早く切換えて、学習効果を向上させることができる。
【0017】
前記立体視モードでは通常モードに比して、前記表示画面に表示される文章の1行あたりの文字数が少なくされる、ようにしてある(請求項8対応)。この場合、限られた面積の表示画面の範囲で、通常モードに適した文章表示と、立体視モードに適した文章表示とを得ることができる。
【0018】
多数枚のシートを束ねた本形式とされ、
各シートの一面側に、同一の文章が左右方向に間隔をあけて複数表示されて、該各シートの一面側を平行法または交差法によって目視したときに、前記特定部分が前記他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる、
ようにしてある(請求項9対応)。この場合、通常の本形式でもって、特定部分が前後方向にすれて見える立体視状態を得ることができる。また、本形式なので、容易かつ安価に提供できる。特に、各シートの一面毎に立体視状態を得ることができる。
【0019】
多数枚のシートを束ねた本形式とされ、
前記表示面が、隣合う2枚の前記シートが見開きされたときに目視される左右一対の面によって構成され、
同一の文章が前記左右一対の面のそれぞれに1つづつ表示されて、該左右一対の面を平行法または交差法によって目視したときに、前記特定部分が前記他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる、
ようにしてある(請求項10対応)。この場合、通常の本形式でもって、特定部分が前後方向にすれて見える立体視状態を得ることができる。また、本形式なので、容易かつ安価に提供できる。特に、左右一対の広いスペースを利用して、立体視状態を得ることができる。
【0020】
多数枚のシートを束ねた本形式とされ、
前記表示面が、隣合う2枚の前記シートが見開きされたときに目視される左右一対の面によって構成され、
前記左右一対の面の一方側面に、同一の文章が1つのみ表示され、
前記左右一対の面の他方側面に、前記一方側面に表示されている文章と同一の文章が左右に間隔をあけて複数表示されて、該他方側面を平行法または交差法によって目視したときに、前記特定部分が前記他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる、
ようにしてある(請求項11対応)。この場合、通常の本形式でもって、特定部分が前後方向にすれて見える立体視状態を得ることができる。また、本形式なので、容易かつ安価に提供できる。特に、通常視用の一方側面を目視することによって、読むことに集中した学習を行うことができ、また立体視用の他方側面を目視することによって特定部分を効果的に記憶する学習を行うことができる(通常の本と立体視用の本とが合体した形式)。
を立体視状態で見ることができて、
【0021】
前記文章中に画像が含まれており、
前記特定部分として、前記画像の説明部分が含まれている、
ようにしてある(請求項12対応)。この場合、画像が含まれる文章において、画像に関する説明部分を効果的に記憶する上で好ましいものとなる。
【0022】
前記立体視状態のときに、前記特定部分が全て第1の同一平面上にあるように見え、前記他の部分が全て該第1の同一平面とは前後方向にずれた第2の同一平面上にあるように見えるように設定されている、ようにしてある(請求項13対応)。この場合、立体視状態のときに全体的に整然と見えて、特定部分を効果的に記憶する上で好ましいものとなる。
【0023】
前記第2の目的を達成するために、次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項14に記載のように、
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
入力操作に応じて、互いに内容の相違する複数種の文章を記憶したメモリから1つの文章を選択する手順と、
立体視モードが選択されているときに、前記選択された1つの同一の文章を左右方向に間隔をあけて複数前記表示画面に表示させると共に、左右に複数表示されている同一の文章のうち特定部分の左右方向間隔が他の部分の左右方向間隔と相違させることによって、平行法または交差法によって該表示画面を目視したときに、該特定部分が該他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視モードでの表示態様を得る手順と、
を備えているようにしてある。上記解決手法によれば、請求項2に対応した学習具を構成するためのプログラムが提供される。
【0024】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項15,請求項16下に記載のとおりである。すなわち、
通常モードが選択されているときに、前記選択された1つの同一の文章を1つだけ前記表示画面に表示させる手順と、
前記通常モードでの表示態様のときに前記立体視モードが選択されたときに、該立体視モードでの表示態様とする手順と、
前記立体視モードでの表示態様のときに前記通常モードが選択されたときに、該通常モードでの表示態様とする手順と、
をさらに備えている、ようにしてある(請求項15対応)。この場合、請求項6および請求項7に対応した学習具を構成するためのプログラムが提供される。
【0025】
前記通常モードでの表示態様において、入力操作に応じて、前記表示画面に表示されている文章の中から前記特定部分を選択させる手順と、
前記選択された前記特定部分をメモリに記憶させる手順と、
をさらに備えているようにしてある(請求項16対応)。この場合、請求項4に対応した学習具を構成するプログラムが提供される。
【0026】
前記第3の目的を達成するため、本発明におけるコンピュータの読取可能な記憶媒体にあっては、請求項14〜請求項16のいずれか1項に記載のプログラムを記憶したものとされている。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、文章中の特定部分を効果的に記憶させることができ、また文章の理解をも高めることができ、全体として学習効果が極めて高いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は、通常の文章の一例を示すものであり、理科の学習の一環として星座に関する学習を行うための横書きの文章Aとされている。この文章Aにおいて、実施形態では、「◎オリオン座について・・・・・・リゲルである。」までが第1文A1とされ、この第1文に続く「オリオン座は・・・・見ることができる。」までが第2文A2とされている。文章Aは、平行法または交差法による立体視を行っても、立体視状態がなんら得られない通常の文章表示である。
【0029】
図2は、図1の文章Aを、左右方向に間隔をあけて複数(実施形態では2つ)並べて配置したものである。すなわち、それぞれ横書きとされた左右の各文章A′の内容は、図1に示す文章Aの内容と全く同一とされている。ただし、各文章A′の1行あたりの文字数が、図1の文章Aの場合に比して少なくされている。
【0030】
立体視状態を得るために、左右の文章A′中における共通の特定部分の左右方向間隔が、他の部分の左右方向間隔と相違されている。より具体的には、実施形態では、「太字」で示す部分が全て特定部分とされ、「細字」で示す部分が全て他の部分とされている。すなわち、太字とされた特定部分は、上から順に、「オリオン座」、「冬」、「オリオン座」、「三つ星」、「2つ」、「一等星」、「右肩」、「赤い星」、「ベテルギウス」、「左脚」、「青白い星」、「リゲル」、「冬」、「夏の夜明け頃」である。
【0031】
」
上記特定部分の例えば左右端位置同士での左右方向間隔が、他の部分の例えば左右端位置同士での左右方向間隔と相違されている。実施形態では、特定部分の左右方向間隔が、他の部分の左右方向間隔に比して小さく設定されている。これにより、平行法または交差法によって左右の文章A′を同時に目視したとき、上記特定部分が他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態となる。なお、平行法で見たときは、特定部分が他の部分に対して前方(手前)側にずれて見え、交差法で見たときは特定部分が他の部分に対して後方(奥前)側にずれて見える立体視状態となる。なお、実施形態では、特定部分同士の間でも前後方向にずれて見えるような設定となっており、例えば、上から7行目〜10行目にかけての部分においては、「赤い星」、「ベテルギウス」、「青白い星」、「リゲル」は、「右肩」、「左脚」に対して、平行法で見たときにより手前側に見える設定とされている。なお、全ての特定部分が同一平面上にあるように見える設定とすることもできる(全ての特定部分の例えば左右端位置同士での左右間隔を互いに等しく設定するもので、全ての特定部分が第1の同一平面上に見え、他の部分が全て第2の同一平面上に見え、第1と第2の各平面が互いに前後方向にずれて見える態様)。
【0032】
立体視状態とするために、学習者は、気持ちを集中させて文章(文章の表示された面)を眺めることになり、集中力が極めて向上された状態とされる。このように、集中力向上状態で学習できて、特定部分の記憶を効果的に行うことが可能となる。また、立体視状態という日常ではめったに経験しない不思議な現象を体感しつつ学習することになるので、楽しんで学習することもできて、これがより学習効果を高めることになる。なお、同一の文章を複数表示すると共に、前後方向にずれて見える表示要素の数を数多く設定することによって、記憶効果が飛躍的に高められることになる(同一文章の表示数は3以上であってもよく、同一の特定部分も3以上であってもよい)。
【0033】
なお、平行法は遠方を見る見方であるために近視によいとされているので、特に若年層に多い近視の進行を防止あるいは抑制する上で好ましいものとなり、さらには近視の矯正効果をも期待できるものとなる。また、交差法は近くを見るために遠視に良いとされている(老眼の防止あるいは抑制効果や、老眼の矯正が期待できる)。なお、通常の学習では、左脳が活発に働く状況であるが、立体視を行っているときは右脳が活発に働くことを期待できるという可能性がある。
【0034】
図3は、図2の変形例を示すもので、全ての文字を「細字」で表示したものである。すなわち、図2に示す特定部分となる太字部分が、他の部分と同様に細字とされている。
【0035】
図4は、文章Aを、縦書き状態でもって立体視用に設定した例を示す。すなわち、文章Aにおける第1文がA1′として左右方向に間隔をあけて2つ並べて配置されている。また、2つの第1文A′の左方において、第2文がA2′として左右方向に間隔をあけて2つ並べて配置されている。なお、特定部分と他の部分の設定は、図2,図3の場合と同じである。図4においても、平行法または交差法によって目視したときに、特定部分が他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態が得られる。なお、第1文A1′と第2文A2′とに分けて表示したのは、左右で共通の表示部分が、左右方向に大きく離れ過ぎると、立体視状態を得にくくなるため、複数の第1文A1′と複数の第2文A2′とを左右に分けて表示したものであり、文章によっては、1つの文章を複数の文に分けて表示しなくてもよいものである。
【0036】
図5は、本発明の別の実施形態を示すものである。本実施形態では、医学に関する文章としてあり、「心臓粘液腫」に関して学習するためのものとなっている。図5では、文章が、文字の他に、画像(実施形態ではイラストと写真の2種類)を含むものとなっている。そして、特定部分としては、例えば「心臓粘液腫」、「粘液腫」、「概念」、「75%」、「左房」、「臨床症状」、「発熱」、「腫瘍塞栓」とされている。図5の場合も、平行法または交差法で見たときに、上記特定部分が他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態が得られる。図5において、イラストの特定箇所を示す「「粘液腫」が、特定部分とされている。なお、画像の一部あるいは全部を特定部分として設定することもできる。
【0037】
図6は、前述した立体視用の表示を行えるようにした電子式学習装置DJの一例を示すものである。図6に示す電子式学習装置DJは、携帯型の電子辞書として構成されて、本体部50と、本体部50に対して開閉される蓋部51とを有する。本体部50の表面には、各種スイッチ等を配設してなるキーボード52(各種スイッチの集合したもの)が構成される。また、蓋部51の内面には、表示画面53が構成されている(表示画面53が、図1〜図5で示す文章が表示された表示面に相当するものとなる)。表示画面53は、例えば、液晶式、プラズマ式、有機EL式等の薄型ディスプレイによって構成されている。
【0038】
前記キーボード52は、各種スイッチの総称として示され、各種スイッチとしては、次のようなものが設定されている。スイッチ60は、ON/OFFスイッチであり、電子式学習装置DJの電源をONあるいはOFFする際に操作される(例えばプッシュ・プッシュ式)。スイッチ61〜64は、各種機能の選択スイッチで、例えば、スイッチ61は英和選択用、スイッチ62は和英選択用、スイッチ63は英英選択用、スイッチ64は文章選択用とされている。スイッチ65は、文字入力キーで、多数のスイッチを近接して配設することにより構成されており、アルファベットのAからZまでの各文字を入力するためのものとなっている。
【0039】
スイッチ66は、実質的に複数(実施形態では4つ)のスイッチから構成されて、表示画面53に表示された複数の選択内容のうちいずれか1つの表示内容を選択したり、選択部分の指定を行うものである(選択用カーソルの移動用)。スイッチ67は、入力された表示内容の「訳」(表示内容が原語等の場合)を表示させる指令したり、選択を「決定」するためのものである。例えば、スイッチ64が操作されて後述する文章モードが選択されたときに、文章中の「ある部分」が選択された状態で、スイッチ61を例えば押圧操作することにより、上記「ある部分」が特定部分として設定されて、記憶される。
【0040】
スイッチ68は、表示画面53の表示内容を、1つ前の状態に復帰させるためのものである。スイッチ69は、表示画面53の表示内容を、1画面分一挙に変更するためのものである(次の表示内容への変更用と前の表示内容への変更用との2つのスイッチで構成)。スイッチ70〜74は、通常の辞書として使用するときに使用されるもので、表示画面53に表示されている「語」に関連して、スイッチ70は「成句」を選択するものであり、スイッチ71は「用例」を選択するものであり、スイッチ72は「熟語」を選択するものであり、スイッチ73は「類似語」を選択するものであり、スイッチ74は表示画面53において選択されている関連用語への「ジャンプ」を選択するものである。以上説明したスイッチ60〜674は、市販の電子辞書において広く用いられているものであり、これ以上の詳細な説明は省略する。なお、スイッチ、特にスイッチ70〜74は、本発明における立体視用の特別のスイッチとして機能させるようにすることもできる。
【0041】
スイッチ80は、本発明特有のスイッチであり、立体視モードでの表示態様と、通常モードでの表示態様とを選択するものである(例えばプッシュ・プッシュ式)。スイッチ80によって通常モードが選択されているときは、表示画面53には、立体視用の特別な表示がなんら行われることがなく、市販の電子辞書の表示態様と全く同じような表示態様とされる。すなわち、スイッチ64によって後述する文章モードが選択されたときは、通常モードでは図1に示すように同一の文章Aについては1つのみ表示画面53に表示される一方、立体視モードが選択されたときは、図2あるいは図3に示すように、同一の文章A′が左右方向に間隔をあけて複数表示される。立体視モードが選択されたときは、立体視用の表示であることを示すべく、表示画面53の一部(隅)に、例えば「3D」という識別表示81が行われるようになっている。
【0042】
立体視モードと通常モードとは、スイッチ80を操作する毎に切換えられる。すなわち、表示画面53に通常モードでの表示が行われている状態でスイッチ80を操作することにより、立体視モードでの表示態様に切換えられる。逆に、表示画面53に立体視モードで表示が行われている状態でスイッチ80を操作することにより、通常モードでの表示態様に切換えらえる。なお、立体視モード選択用のスイッチと、通常モード選択用のスイッチとを別個独立して設けるようにしてもよい。
【0043】
図7は、図7に示す電子式学習装置DJの回路構成をブロック図的に示すものであり、図中Uは、マイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラ(制御ユニット)を示す。コントローラUは、CPUと、OS(オペレーティングシステム)を記憶したメモリと、複数種の文章(例えば図1に示す文章Aや図5に示す文章で、分野の相違する文章、例えば歴史、理科、語学等複数種の科目についての文章を記憶したものでよく、あるいは1つの科目に関する複数種の文章を記憶したものであってもよい)を記憶したメモリと、電源とを内蔵している。なお、OS用と文章用の2つのメモリを共通の1つのメモリで兼用させてもよく、また、文章用のメモリを、分野別の文章毎に別々のメモリとして構成してもよい。なお、実施形態では、文章用メモリには、各文章毎に、記憶すべき重要事項(重要用語等)が、特定部分としてあらかじめ設定されている(例えば、特定部分のみを太字で表示したり、特別な色表示させるように記憶)。このコントローラUに対して、前述した各種スイッチ60〜64、66〜74,80からの操作信号が入力され、入力された操作信号に応じて、表示画面53の表示内容が切換えられることになる。
【0044】
図8〜図11は、上記コントローラUによる制御内容(機能)を示すフローチャートであり、文章の立体視に関連した表示制御機能に着目したものとなっている。以下、このフローチャートについて説明するが、スイッチ64の操作によって「文章モード」が選択されている場合が前提とされている。なお、以下の説明でSはステップを示す。
【0045】
まず、図8は、スイッチ64が操作されることによって起動されて、S1において、表示画面53に、複数のメニューが提示されて、どのメニュを選択するかの要求が行われる。提示されるメニューとしては、実施形態では、例えば「文章表示」、「文章作成」、「特定部分設定」の3種類とされている。次いで、S2において、メニューの選択が行われたか否かが判別される。このS2の判別でNOのときはS1に戻ってメニュの選択を待つことになる。S2の判別でYESのときは、S3において、選択されたメニューに応じた処理が実行される。
【0046】
図9は、図8で提示された「文章表示」のメニューが選択された場合の処理例が示される。まず、S11において、メモリに記憶されている複数種の文章が表示画面53に提示されて、どの文章を選択するかの要求が行われる。次いで、S12において、1つの文章が選択されたか否かが判別される。このS12の判別でNOのときは、S11に戻って、文章が選択されるのを待つことになる。
【0047】
上記S12の判別でYESのときは、S13において、立体視モードが選択されているか否かが判別される(スイッチ80の操作状況の判別)。このS13の判別でNOのときは、S14において、通常モードでの表示が行われる(同一の文章が1つのみ表示画面53に表示される)。S14の後、S15において、スイッチ80が操作されたか否か、つまり立体視モードへの切換えが要求されたか否かが判別される。このS15の判別でNOのときは、S14に戻って、通常モードでの表示が継続される。通常モードでの表示形態のときは、学習者は、表示画面53に表示されている文章を読むことによる学習を行うことになる(長い文章はスクロール操作して表示画面53に表示させる)。
【0048】
前記S13の判別でYESのとき、あるいは前記S15の判別でYESのときは、それぞれS16に移行して、立体視モードでの表示とされる。すなわち、表示画面53に、同一の文章が左右方向に間隔をあけて複数表示される(図2あるいは図3に示すような表示態様で、特定部分と他の部分とが設定されている)。この立体視モードにおいて、表示画面53を平行法または交差法で目視することにより、特定部分が他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態が得られることになる。
【0049】
上記S16の後、S17において、スイッチ80が操作されたか否か、つまり通常モードでの表示に切換えることが要求されたか否かが判別される。このS17の判別でNOのときは、S16へ戻って、立体視モードでの表示が継続される(特定部分を記憶するのに好適な表示形態での学習の継続)。また、S17の判別でYESのときは、S14に移行して、通常モードでの表示とされる。
【0050】
通常モードあるいは立体視モードでの表示が行われている状態で、スイッチ80以外の他のスイッチが操作されると、操作されたスイッチに応じた処理内容へと変更される。例えばスイッチ64が操作されると、図8の処理へと移行される。なお、ON/OFFスイッチ60を操作した場合は勿論のこと、各種スイッチがなんら操作されることなくあらかじめ設定した所定時間(例えば2分)継続すると、電源が自動的にOFFされる。
【0051】
図10は、図8において提示された「文章作成」のメニューが選択されたときの処理内容が示される。まず、S21において、表示画面53に、文章を入力するように要求する表示が行われる。この状態で、キーボード65を操作して表示画面中に文字入力が行うことが可能とされ、多くの文字を入力することによって文章が作成されていくことになる(ワープロ機能)。この後、S22において、文章入力が完了されたか否かが判別される。このS22における判別は、例えば、表示画面53の隅に「文章入力完了のばあいはスイッチ○○を操作して下さい」というを表示をしておいて、「スイッチ○○」が操作されたか否かを判別することにより行うことができる。S22の判別でNOのときは、S21へ戻って文章の入力が継続されることになる。
【0052】
上記S22の判別でYESのときは、S23において、表示画面53に、今回作成した文章の「タイトル名」の入力を促す表示が行われる。この後、S23において、タイトル名が入力されたか否かが判別され、このS24の判別でNOのときは、S23へ戻る。S24の判別でYESのときは、入力された(作成された)文章が、そのタイトル名と共にメモリに記憶されることになる。勿論、記憶された文章は、図9のS11においてそのタイトル名が表示されることによって、後に選択できる(表示画面53に表示できる)ものである。
【0053】
図11は、図8のメニュー選択において、「特定部分設定」が選択されたときの処理となる。まず、S31,S32の処理によって、特定部分を設定すべき文章の選択が行われる(図9のS11,S12の処理に対応)。
【0054】
S32の判別でYESとなって、特定部分を設定すべき文章が選択されると、選択された文章(1つの文章)が表示画面53に表示されると共に(通常モードでの表示形態とされる)、特定部分として設定する部分を選択することを促す表示が行われる。この後S34において、特定部分とすべき部分が指定されたか否かが判別される。このS34の判別でNOのときはS33に戻る。
【0055】
上記S34の判別でYESのときは、文章中の「ある部分」(学習者が積極的に記憶したいと欲する用語等)を選択すると、S35において、この選択された「ある部分が」が特定部分としてメモリに一時的に記憶される。この後、S36において、特定部分として設定する部分の指定が全て終了したか否かが判別される
このS36における判別は、例えば、表示画面53の隅に「特定部分の設定完了のばあいはスイッチ○○を操作して下さい」というを表示をしておいて、「スイッチ○○」が操作されたか否かを判別することにより行うことができる。このS36の判別でNOのときは、S33へ戻って、特定部分の設定が継続されることになる(特定部分を複数数箇所設定する)。
【0056】
上記S36の判別でYESのときは、S37において、指定(設定)された特定部分が、その文章と対応させて、メモリに記憶されることになる。勿論、図11の処理によって学習者によって設定された特定部分は、立体視モードでの文章表示のときに、他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる。
【0057】
図12〜図14は、それぞれ本発明の別の実施形態を示すもので、多数のシートを束ねた(綴った)本形式として、各シートに表示された文章を立体視できるようにしたものである。
【0058】
まず、図12の例は、各シート11の一面側にそれぞれ、同一の文章を左右方向に間隔をあけて複数(実施形態では2つ)表示したものとなっている。図12では、見開いた状態で、左側の頁に、文章A′が左右に2つ並べて表示されている(図2あるいは図3の表示に相当)。また、右側の頁に、文章A′とは別の文章となるが、互いに同一の文章C′が左右方向に間隔をあけて複数(実施形態では複数)表示したものとなっている。なお、図2に示す文章A′は、星座に関するものなので、一般的には文章C′も星座に関するものが表示されることになる(本が星座に関する学習用)。図12の例では、各シート11の一面側(各頁)のみでもって、立体視状態が得られる表示形態とされ、立体視表示すべき文章をを多数収録するのに好適となる。
【0059】
図13は、本を見開いたときに、左側頁に1つの文章A′が表示され、また右側頁にも同一の文章A′が表示されている。見開いた左右の頁を平行法または交差法で同時に目視することによって、文章A′中の特定部分が他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態が得られる。ただし、左頁のみあるいは右頁のみを平行法又は交差法で目視しても、立体視状態は得られないものとなる。図13の表示形態は、シート11が小さい面積とされた小型本の場合に、立体視状態を得るようにする上で好ましいものとなる。また、図13の例では、左頁のみあるいは右頁のみを目視することによって、文章A′を立体視ではなくもっぱら通常の見方で読むという学習を行う場合に好適ともなる。
【0060】
図14は、本を見開いた左右一対の面(頁)の一方側(実施形態では左頁)に、文章Aが表示され(図1の表示形態)、右頁に文章A′が左右方向に間隔をあけて複数(実施形態では2つ)表示されている。これにより、左頁を見るときは、もっぱら文章Aを読むという学習に適したものとなる。また、右頁のみを平行法または交差法によって目視することにより、文章A′中の特定部分が他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態が得られて、文章A′中(つまり文章A中)の特定部分を記憶するのに効果的となる。図14の例は、文章を読む途中で、その特定部分を立体視を利用して積極的に記憶したい場合に好適となる。
【0061】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。表示される文章としては、日本語に限らず、英語等の外国語であってもよく、言語の相違は問わないものである。同一の文章を左右方向に間隔をあけて表示される同一文章の数は、3以上であってもよいが、全体として左右方向にあまり大きな距離を有すると立体視状態が得にくくなるので、2または3に設定するのが好ましい。通常モードで縦書き表示のときに、立体視モードでは縦書きの場合は勿論のこと横書きの表示とすることもできる。立体視モード用の縦書き表示のときに、1行毎に同一の文章を左右方向に並べるようにしてもよい(1行となる同一文の隣に同一文が1行並べて表示されるもので、2行1セットでの立体視用の表示)。
【0062】
電子式学習装置DJとしては、携帯型の専用の電子辞書として構成する他、パーソナルコンピュータを利用したり、表示画面53を有する適宜の情報処理装置を利用することができ、例えば、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)、ゲーム機、携帯電話を利用して構成することもできる。特に、携帯可能な情報処理装置を利用して電子式学習装置を構成した場合は、通学途中や通勤途中において、語学学習を行う上で好ましいものとなる。
【0063】
メモリに記憶される文章は、通常モード用のみを用意して、立体視モードで表示を行うときは、通常モードで選択される1つの文章を複数設定して、表示画面53に左右方向に間隔をあけて表示するようにすることが、コスト低減等の上で好ましいものとなり、また既存の文章を記憶可能な電子辞書等に対して、表示画面53への表示態様を立体視モード用に変更する機能(ソフト的あるいはハード的のいずれでも可能)のみを追加するだけですむことになる。勿論、通常モード用とは別個に、立体視モード専用の文章を記憶しておくようにしてもよく、この場合は、立体視モード用に特化した表示内容として、記憶効果をより十分に高める等の上で好ましいものとなる(例えば、図2や図3のような表示形態でもって記憶しておく)。
【0064】
コンピュータが読み取り可能な記憶媒体(CD−ROM、DVD−ROM、フラッシュメモリ等)に、立体視モードでの表示を行わせるためのプログラム(必要に応じて立体視モード専用の辞書)を記憶させて、既存の情報処理装置で実行させることによって、手軽に立体視モードでの表示を行わせることができる。すなわち、本発明は、立体視モードでの表示を行わせるコンピュータ用のプログラムの提供や、このプログラムを記憶したコンピュータ用の記憶媒体の提供するものであり、さらに立体視モード用の専用の辞書(文章)の提供をも暗黙的に含むものである。
【0065】
図12〜図14に示す本形式とする場合、各シート11を例えば接着剤や連結ヒモで結合して容易には分離できないようにしてもよいが、各シート11を個々独立して加除できる加除式として構成してもよい。すなわち、例えば各シート11の各側端部に連結用孔を形成して、この開口孔をバインダの連結具に通すことによって本を構成するようにしてもよい。本形式とすることなく、立体視用の表示形態とされた多数枚のシート11が、互いに個々独立して分離できる形式であってもよい(互いに分離された形式でもって1セット化されるもので、53枚のカードで構成されるトランプカードのような形式とする)。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。また、
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】通常モードでの文章の表示態様を示す図。
【図2】図1の文章を立体視モード用に表示する例を示す図。
【図3】図1の文章を立体視モード用に表示する別の例を示す図。
【図4】図1の文章を立体視モード用に表示するさらに別の例を示す図。
【図5】立体視モード用に表示された文章の別の例を示す図。
【図6】電子式学習装置の一例を示す斜視図。
【図7】図6に示す電子式学習装置の回路構成例を示すブロック図。
【図8】図7に示すコントローラの制御例を示すフローチャート。
【図9】図7に示すコントローラの制御例を示すフローチャート。
【図10】図7に示すコントローラの制御例を示すフローチャート。
【図11】図7に示すコントローラの制御例を示すフローチャート。
【図12】文章を、本形式で立体視用に表示する場合の例を示す図。
【図13】文章を、本形式で立体視用に表示する場合の別の例を示す図。
【図14】文章を、本形式で立体視用に表示する場合のさらに別の例を示す図。
【符号の説明】
【0067】
DJ:電子式学習装置
11:シート
50:本体部
51:蓋部
52:キーボード(入力手段で、各種スイッチ群)
53:表示画面
64:スイッチ(文章モード選択用)
65:スイッチ(文字入力用の多数のキー)
80:モード切換スイッチ
81:識別符合(立体視モード選択を示す)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面に、同一の文章が左右方向に間隔をあけて複数表示され、
左右に複数表示されている同一の文章のうち特定部分の左右方向間隔が他の部分の左右方向間隔と相違されることによって、平行法または交差法によって表示面を目視したときに、該特定部分が該他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる、
ことを特徴とする学習具。
【請求項2】
請求項1において、
コントローラと、互いに内容の相違する複数種の文章を記憶したメモリと、前記表示面を構成すると共に該コントローラによって制御される表示画面と、該コントローラへの指令を行うためのマニュアル操作される入力操作部と、を備えた電子式とされ、
前記コントローラは、前記入力操作部の操作に応じて、前記記憶手段に記憶されている複数種の文章の中から1つの文章を選択すると共に、該選択した1つの同一の文章を左右方向に間隔をあけて複数前記表示画面に表示させる、
ことを特徴とする学習具。
【請求項3】
請求項2において、
前記特定部分が、前記複数種の文章についてそれぞれあらかじめ設定されている、ことを特徴とする学習具。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、
前記コントローラは、前記入力操作部による操作に応じて前記メモリに記憶されている複数種の文章の中から1つの文章を選択すると共に該選択された1つの文章を前記表示画面に表示させ、
前記コントローラは、前記表示画面に表示されている前記選択された1つの文章の中から、前記入力操作部の操作に応じて前記特定部分を設定すると共に、該設定された特定部分を前記メモリに記憶する、
ことを特徴とする学習具。
【請求項5】
請求項4において、
前記コントローラは、前記入力操作部の入力に応じて新たに作成される文章を前記表示画面に表示させると共に、新たに作成され文章を該入力操作部の操作に応じて前記メモリに記憶させる、ことを特徴とする学習具。
【請求項6】
請求項2ないし請求項5のいずれか1項において、
前記入力操作部が、前記表示画面に対する文章の表示態様として通常モードと立体視モードとを選択指令するように設定され、
前記コントローラは、前記入力操作部によって前記通常モードが選択されたときは同一の文章については1つのみ前記表示画面に表示させる一方、立体視モードが選択されたときは同一の文章を左右方向に間隔をあけて複数表示させ、
さらに、前記立体視モードが選択されているときは、左右に複数表示されている文章のうち特定部分の左右方向間隔が他の部分の左右方向間隔と相違されることによって、平行法または交差法によって該表示画面を目視したときに、該特定部分が該他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる、
ことを特徴とする学習具。
【請求項7】
請求項6において、
前記コントローラは、前記通常モードでの表示態様のときに前記モード切換部によって前記立体視モードが選択されたときは、該表示画面への表示態様を該立体視モードに切換えると一方、該立体視モードでの表示態様のときに前記モード切換部によって該通常モードが選択されたときは、該表示画面への表示態様を該通常モードに切換える、ことを特徴とする学習具。
【請求項8】
請求項6または請求項7において、
前記立体視モードでは通常モードに比して、前記表示画面に表示される文章の1行あたりの文字数が少なくされる、ことを特徴とする学習具。
【請求項9】
請求項1において、
多数枚のシートを束ねた本形式とされ、
各シートの一面側に、同一の文章が左右方向に間隔をあけて複数表示されて、該各シートの一面側を平行法または交差法によって目視したときに、前記特定部分が前記他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる、
ことを特徴とする学習具。
【請求項10】
請求項1において、
多数枚のシートを束ねた本形式とされ、
前記表示面が、隣合う2枚の前記シートが見開きされたときに目視される左右一対の面によって構成され、
同一の文章が前記左右一対の面のそれぞれに1つづつ表示されて、該左右一対の面を平行法または交差法によって目視したときに、前記特定部分が前記他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる、
ことを特徴とする学習具。
【請求項11】
請求項1において、
多数枚のシートを束ねた本形式とされ、
前記表示面が、隣合う2枚の前記シートが見開きされたときに目視される左右一対の面によって構成され、
前記左右一対の面の一方側面に、同一の文章が1つのみ表示され、
前記左右一対の面の他方側面に、前記一方側面に表示されている文章と同一の文章が左右に間隔をあけて複数表示されて、該他方側面を平行法または交差法によって目視したときに、前記特定部分が前記他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる、
ことを特徴とする学習具。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか1項において、
前記文章中に画像が含まれており、
前記特定部分として、前記画像の説明部分が含まれている、
ことを特徴とする学習具。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか1項において、
前記立体視状態のときに、前記特定部分が全て第1の同一平面上にあるように見え、前記他の部分が全て該第1の同一平面とは前後方向にずれた第2の同一平面上にあるように見えるように設定されている、ことを特徴とする学習具。
【請求項14】
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
入力操作に応じて、互いに内容の相違する複数種の文章を記憶したメモリから1つの文章を選択する手順と、
立体視モードが選択されているときに、前記選択された1つの同一の文章を左右方向に間隔をあけて複数前記表示画面に表示させると共に、左右に複数表示されている同一の文章のうち特定部分の左右方向間隔が他の部分の左右方向間隔と相違させることによって、平行法または交差法によって該表示画面を目視したときに、該特定部分が該他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視モードでの表示態様を得る手順と、
を備えていることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
請求項14において、
通常モードが選択されているときに、前記選択された1つの同一の文章を1つだけ前記表示画面に表示させる手順と、
前記通常モードでの表示態様のときに前記立体視モードが選択されたときに、該立体視モードでの表示態様とする手順と、
前記立体視モードでの表示態様のときに前記通常モードが選択されたときに、該通常モードでの表示態様とする手順と、
をさらに備えている、ことを特徴とするとプログラム。
【請求項16】
請求項14または請求項15において、
前記通常モードでの表示態様において、入力操作に応じて、前記表示画面に表示されている文章の中から前記特定部分を選択させる手順と、
前記選択された前記特定部分をメモリに記憶させる手順と、
をさらに備えていることを特徴とするプログラム。
【請求項17】
請求項14ないし請求項16に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項1】
表示面に、同一の文章が左右方向に間隔をあけて複数表示され、
左右に複数表示されている同一の文章のうち特定部分の左右方向間隔が他の部分の左右方向間隔と相違されることによって、平行法または交差法によって表示面を目視したときに、該特定部分が該他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる、
ことを特徴とする学習具。
【請求項2】
請求項1において、
コントローラと、互いに内容の相違する複数種の文章を記憶したメモリと、前記表示面を構成すると共に該コントローラによって制御される表示画面と、該コントローラへの指令を行うためのマニュアル操作される入力操作部と、を備えた電子式とされ、
前記コントローラは、前記入力操作部の操作に応じて、前記記憶手段に記憶されている複数種の文章の中から1つの文章を選択すると共に、該選択した1つの同一の文章を左右方向に間隔をあけて複数前記表示画面に表示させる、
ことを特徴とする学習具。
【請求項3】
請求項2において、
前記特定部分が、前記複数種の文章についてそれぞれあらかじめ設定されている、ことを特徴とする学習具。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、
前記コントローラは、前記入力操作部による操作に応じて前記メモリに記憶されている複数種の文章の中から1つの文章を選択すると共に該選択された1つの文章を前記表示画面に表示させ、
前記コントローラは、前記表示画面に表示されている前記選択された1つの文章の中から、前記入力操作部の操作に応じて前記特定部分を設定すると共に、該設定された特定部分を前記メモリに記憶する、
ことを特徴とする学習具。
【請求項5】
請求項4において、
前記コントローラは、前記入力操作部の入力に応じて新たに作成される文章を前記表示画面に表示させると共に、新たに作成され文章を該入力操作部の操作に応じて前記メモリに記憶させる、ことを特徴とする学習具。
【請求項6】
請求項2ないし請求項5のいずれか1項において、
前記入力操作部が、前記表示画面に対する文章の表示態様として通常モードと立体視モードとを選択指令するように設定され、
前記コントローラは、前記入力操作部によって前記通常モードが選択されたときは同一の文章については1つのみ前記表示画面に表示させる一方、立体視モードが選択されたときは同一の文章を左右方向に間隔をあけて複数表示させ、
さらに、前記立体視モードが選択されているときは、左右に複数表示されている文章のうち特定部分の左右方向間隔が他の部分の左右方向間隔と相違されることによって、平行法または交差法によって該表示画面を目視したときに、該特定部分が該他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる、
ことを特徴とする学習具。
【請求項7】
請求項6において、
前記コントローラは、前記通常モードでの表示態様のときに前記モード切換部によって前記立体視モードが選択されたときは、該表示画面への表示態様を該立体視モードに切換えると一方、該立体視モードでの表示態様のときに前記モード切換部によって該通常モードが選択されたときは、該表示画面への表示態様を該通常モードに切換える、ことを特徴とする学習具。
【請求項8】
請求項6または請求項7において、
前記立体視モードでは通常モードに比して、前記表示画面に表示される文章の1行あたりの文字数が少なくされる、ことを特徴とする学習具。
【請求項9】
請求項1において、
多数枚のシートを束ねた本形式とされ、
各シートの一面側に、同一の文章が左右方向に間隔をあけて複数表示されて、該各シートの一面側を平行法または交差法によって目視したときに、前記特定部分が前記他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる、
ことを特徴とする学習具。
【請求項10】
請求項1において、
多数枚のシートを束ねた本形式とされ、
前記表示面が、隣合う2枚の前記シートが見開きされたときに目視される左右一対の面によって構成され、
同一の文章が前記左右一対の面のそれぞれに1つづつ表示されて、該左右一対の面を平行法または交差法によって目視したときに、前記特定部分が前記他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる、
ことを特徴とする学習具。
【請求項11】
請求項1において、
多数枚のシートを束ねた本形式とされ、
前記表示面が、隣合う2枚の前記シートが見開きされたときに目視される左右一対の面によって構成され、
前記左右一対の面の一方側面に、同一の文章が1つのみ表示され、
前記左右一対の面の他方側面に、前記一方側面に表示されている文章と同一の文章が左右に間隔をあけて複数表示されて、該他方側面を平行法または交差法によって目視したときに、前記特定部分が前記他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視状態とされる、
ことを特徴とする学習具。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか1項において、
前記文章中に画像が含まれており、
前記特定部分として、前記画像の説明部分が含まれている、
ことを特徴とする学習具。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか1項において、
前記立体視状態のときに、前記特定部分が全て第1の同一平面上にあるように見え、前記他の部分が全て該第1の同一平面とは前後方向にずれた第2の同一平面上にあるように見えるように設定されている、ことを特徴とする学習具。
【請求項14】
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
入力操作に応じて、互いに内容の相違する複数種の文章を記憶したメモリから1つの文章を選択する手順と、
立体視モードが選択されているときに、前記選択された1つの同一の文章を左右方向に間隔をあけて複数前記表示画面に表示させると共に、左右に複数表示されている同一の文章のうち特定部分の左右方向間隔が他の部分の左右方向間隔と相違させることによって、平行法または交差法によって該表示画面を目視したときに、該特定部分が該他の部分に対して前後方向にずれて見える立体視モードでの表示態様を得る手順と、
を備えていることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
請求項14において、
通常モードが選択されているときに、前記選択された1つの同一の文章を1つだけ前記表示画面に表示させる手順と、
前記通常モードでの表示態様のときに前記立体視モードが選択されたときに、該立体視モードでの表示態様とする手順と、
前記立体視モードでの表示態様のときに前記通常モードが選択されたときに、該通常モードでの表示態様とする手順と、
をさらに備えている、ことを特徴とするとプログラム。
【請求項16】
請求項14または請求項15において、
前記通常モードでの表示態様において、入力操作に応じて、前記表示画面に表示されている文章の中から前記特定部分を選択させる手順と、
前記選択された前記特定部分をメモリに記憶させる手順と、
をさらに備えていることを特徴とするプログラム。
【請求項17】
請求項14ないし請求項16に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−133975(P2009−133975A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−308798(P2007−308798)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(506395138)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(506395138)
【Fターム(参考)】
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