安全システム
【課題】作業者の安全を高い信頼性で確保できる安全システムを提供する。
【解決手段】設置エリア内に設置された工作機械や産業用ロボットなどの機械設備に通電して機械設備を起動するには、通電許可用安全プラグホルダ7の複数の装着部7−1〜7−6に、前記複数の安全プラグ10−1〜10−6の全てが装着されていなければならず、一方、前記設置エリア内に作業者が入るための出入り口の扉のロックを解除するためには、前記複数の安全プラグ10−1〜10−6の少なくともいずれか1個を、ロック解除用安全プラグホルダ6の装着部に装着しなければならず、通電許可用安全プラグホルダ7の複数の安全プラグ10−1〜10−6を抜き忘れて扉のロックを解除することはできないようにしている。
【解決手段】設置エリア内に設置された工作機械や産業用ロボットなどの機械設備に通電して機械設備を起動するには、通電許可用安全プラグホルダ7の複数の装着部7−1〜7−6に、前記複数の安全プラグ10−1〜10−6の全てが装着されていなければならず、一方、前記設置エリア内に作業者が入るための出入り口の扉のロックを解除するためには、前記複数の安全プラグ10−1〜10−6の少なくともいずれか1個を、ロック解除用安全プラグホルダ6の装着部に装着しなければならず、通電許可用安全プラグホルダ7の複数の安全プラグ10−1〜10−6を抜き忘れて扉のロックを解除することはできないようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械や産業用ロボットなどの機械設備が設置された設置エリアにおける安全を確保するのに好適な安全システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械や産業用ロボットなどの機械設備が設置された設置エリアの周囲は、安全柵(防護柵)で囲われて作業者が不用意に設置エリア内に入れないようにしている。(例えば、特許文献1参照。)
かかる設置エリアの出入り口の近傍に安全プラグおよび安全プラグホルダを設けておき、設置エリア内に入るときには、作業者が前記安全プラグを安全プラグホルダから引き抜いて携帯することによって、設置エリア内の機械設備が動作できないようにしたものがある。
【特許文献1】特開2004−356069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、作業者が上記安全プラグを引き抜くのを忘れて設置エリア内に入ってしまったような場合には、設置エリア内に作業者がいるにも拘らず、他の作業者が、それに気づかずに機械設備を起動するといった可能性を排除できないという課題がある。
【0004】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、作業者の安全を高い信頼性で確保できる安全システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の安全システムは、機械設備が設置された設置エリアへの出入り口の扉のロックの解除を許可するロック解除許可手段と、前記機械設備に対する通電を許可する通電許可手段と、前記ロック解除許可手段の出力に基づいて、前記ロックの解除を制御するとともに、前記通電許可手段の出力に基づいて、前記機械設備の通電を制御して該機械設備の運転を制御する制御手段とを備え、前記通電許可手段は、複数の安全プラグが着脱自在であって、かつ、前記複数の安全プラグの全てが装着された状態で通電許可信号を出力する通電許可用安全プラグホルダを有するとともに、該通電許可用安全プラグホルダが前記設置エリア外に配置され、前記ロック解除許可手段は、前記安全プラグが着脱自在であって、かつ、前記複数の安全プラグの少なくともいずれか一つが装着された状態でロック解除許可信号を出力するロック解除用安全プラグホルダを有するとともに、該ロック解除用安全プラグホルダが前記設置エリア外に配置され、前記制御手段は、前記ロック解除許可信号が与えられたときに、前記ロックを解除し、前記通電許可信号が与えられていないときには、前記機械設備の運転を禁止するものである。
【0006】
機械設備とは、各種の工作機械、産業用ロボットなどをいう。
【0007】
また、機械設備の運転を制御するとは、機械設備に対する通電を制御して機械設備の起動・停止の制御や動作速度の制御などをいう。
【0008】
出入り口は、設置エリアを囲む安全柵などに設けられるのが好ましい。設置エリアは、柵に限らず、例えば、透明な壁材などで囲われてもよい。
【0009】
安全プラグとは、安全プラグホルダに着脱されるものであって、着脱に応じて、安全プラグホルダの回路の接点を開閉するものをいい、キーのような形状あるいは棒状などの任意の形状であってもよい。
【0010】
安全プラグは、安全プラグホルダの装着部に単に装着するものであってもよいし、装着して回動操作するようなものであってもよい。
【0011】
本発明の安全システムによると、ロック解除用安全プラグホルダと通電許可用安全プラグホルダとは、共通の安全プラグが着脱自在であり、通電許可用安全プラグホルダは、複数の安全プラグの全てが装着されている状態で通電許可信号を出力するので、機械設備に対する通電が許可される状態では、複数の安全プラグの全てが通電許可用安全プラグホルダに装着された状態であり、設置エリアの出入り口の扉のロックを解除するためにロック解除用安全プラグホルダに、装着する安全プラグはなく、したがって、扉のロックを解除できない状態となる。
【0012】
すなわち、扉のロックを解除して設置エリア内に作業者が入る場合には、通電許可用安全プラグホルダに装着されている複数の安全プラグのいずれかの安全プラグを引き抜いてロック解除用安全プラグホルダに安全プラグを装着しなければならず、したがって、通電許可用安全プラグホルダには、複数の安全プラグの少なくともいずれか一つの安全プラグが引き抜かれた状態、したがって、通電許可信号が出力されない状態となり、機械設備への通電が禁止されることになる。
【0013】
つまり、作業者は、通電許可用安全プラグホルダに装着されている複数の安全プラグのいずれかを引き抜いて機械設備への通電を禁止した上で、ロック解除用安全プラグホルダに安全プラグを装着しなければ、扉のロックを解除して設置エリア内に入ることはできない。
【0014】
したがって、作業者が、通電許可用安全プラグホルダに装着されている複数の安全プラグのいずれかの安全プラグを引き抜くのを忘れて設置エリア内に入ることはできず、作業者が扉のロックを解除して設置エリアに入るときには、通電許可用安全プラグホルダに装着されている複数の安全プラグのいずれかの安全プラグが引き抜かれて機械設備に対する通電が禁止された状態、すなわち、機械設備の運転が禁止された状態となるので、設置エリアにおける作業者の安全が確保される。
【0015】
(2)本発明の安全システムの好ましい実施形態では、前記設置エリア内に、前記機械設備の作動を可能にする操作手段を設け、該操作手段は、操作用安全プラグが着脱自在な操作用安全プラグホルダとイネーブルスイッチとを備え、前記操作手段は、前記操作用安全プラグが前記操作用安全プラグホルダに装着された状態で前記イネーブルスイッチの操作を許可するイネーブル許可信号を出力するものであり、前記制御手段は、イネーブル許可信号が与えられていないときには、前記イネーブルスイッチの操作を無効として該操作に応じた前記機械設備の作動を禁止する一方、イネーブル許可信号が与えられているときには、前記通電許可信号に拘らず、前記イネーブルスイッチの操作を有効として該操作に応じて、前記機械設備を作動させるものである。
【0016】
この実施形態によると、作業者が設置エリア内で機械設備のメンテナンスや産業用ロボットのティーチングなどを行なう場合には、操作用安全プラグホルダに操作用安全プラグを装着することによって、通電許可信号に拘らず、すなわち、通電許可信号が与えられていない状態であっても、イネーブルスイッチの操作を有効として該操作に応じて機械設備に通電して機械設備を作動させることができる。
【0017】
(3)上記(2)の実施形態では、前記操作用安全プラグと、前記ロック解除用安全プラグホルダおよび前記通電許可用安全プラグホルダに装着される前記安全プラグとを共用してもよい。
【0018】
この実施形態によると、作業者は、共通の安全プラグを用いて、設置エリアへの出入りができるとともに、設置エリア内で機械設備のメンテナンスや産業用ロボットのティーチングなどを行なうことができる。
【0019】
(4)本発明の安全システムの更に他の実施形態では、前記制御手段は、入力機器からの入力に基づいて、安全出力制御対象に安全出力を与えて前記機械設備の運転を制御するものである。
【0020】
入力機器とは、制御手段に対する入力を与える機器をいい、例えば、非常停止スイッチ、セーフティドアスイッチ、セーフティリミットスイッチ、セーフティライトカーテンなどをいう。
【0021】
安全出力制御対象とは、安全出力によって制御される対象をいい、例えば、マグネットコンタクタ、モータコントローラ、可変モータ、PLCなどをいう。
【0022】
この実施形態によると、設置エリアへの作業者の出入りの安全確保に限らず、生産現場の労働安全を確保することができる。
【0023】
(5)本発明の安全システムの好ましい実施形態では、前記制御手段には、前記出入り口の前記扉の開閉を検知する前記入力機器としてのドアスイッチからの入力が与えられ、前記制御手段は、前記扉が開放している状態では、前記機械設備の運転を禁止するものである。
【0024】
ドアスイッチは、出入り口の扉の開閉の検知のみならず、併せて扉のロックを行なえるのが好ましい。
【0025】
この実施形態によると、設置エリアの出入り口の扉が開放している状態では、機械設備の運転が禁止されるので、安全性が一層向上することになる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、作業者は、通電許可用安全プラグホルダに装着されている複数の安全プラグのいずれかを引き抜くのを忘れると、設置エリアの扉のロックを解除できないので設置エリア内に入ることはできず、作業者が扉のロックを解除して設置エリアに入るときには、通電許可用安全プラグホルダに装着されている安全プラグのいずれかを引き抜いて機械設備に対する通電が禁止された状態としなければならず、設置エリアに入る作業者の安全が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0028】
(実施形態1)
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る安全システムの構成を示す概略平面図である。
【0029】
安全柵1で囲われた設置エリア2内には、複数の機械設備としての3台の産業用ロボット3−1〜3−3が設置されており、安全柵1には、工作エリアである設置エリア2内に作業者が出入りするための出入り口に扉4が設けられている。扉4側には、キースイッチ(図示せず)が設けられる一方、安全柵4の出入り口側には、後述のドアロックスイッチが設けられており、扉4を閉じると、キースイッチがドアロックスイッチに係合して自動的にロックがかかり、扉4を開放できないようになっている。このドアロックスイッチに対して、ロック解除信号を与えることにより、ロックが解除されて扉4の開放が可能となる。この実施形態では、ロック解除信号が与えられている状態では、扉4を閉じてもロックがかからないように構成されている。
【0030】
設置エリア2外の出入り口の近傍には、作業者の出入りを管理する管理ボックス5が設置されている。この管理ボックス5内には、図2に示すように、扉4のロックの解除を許可するロック解除用安全プラグホルダ6、産業用ロボット3−1〜3−3に対する通電を許可する通電許可用安全プラグホルダ7、産業用ロボット3−1〜3−3を非常停止させる非常停止スイッ8チおよび産業用ロボット3−1〜3−3による作業を開始させるための作業スタートスイッチ9が装備されている。
【0031】
ロック解除用安全プラグホルダ6は、複数、この実施形態では、6個のキー形状の安全プラグ10−1〜10−6がそれぞれ着脱自在な装着部6−1〜6−6を備えており、図3に示すように、いずれか1個の安全プラグ10−1〜10−6を装着して回動操作することによって、並列な6個の接点の内の対応する接点がオンしてロック解除許可信号を出力するものである。
【0032】
なお、6個の安全プラグ10−1〜10−6は、全て同じ構成であり、また、ロック解除用安全プラグホルダ6の各装着部6−1〜6−6も全て同じ構成であり、したがって、安全プラグ10−1〜10−6のロック解除用安全プラグホルダ6に対する装着位置は任意である。
【0033】
通電許可用安全プラグホルダ7は、ロック解除用安全プラグホルダ6と共通の6個の安全プラグ10−1〜10−6がそれぞれ着脱自在な装着部7−1〜7−6を備えており、図4に示すように、6個の安全プラグ10−1〜10−6の全てを装着して回動操作することによって、直列の6個の接点の全ての接点がオンして通電許可信号を出力するものである。通電許可用安全プラグホルダ7の各装着部7−1〜7−6は全て同じ構成であり、安全プラグ10−1〜10−6の通電許可用安全プラグホルダ7に対する装着位置は任意である。
【0034】
図5は、図1の安全システムの構成を示す図であり、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0035】
この実施形態では、上述の非常停止スイッチ8、安全柵4の出入り口側に設けられている上述のドアロックスイッチ11、作業スタートスイッチ9、通電許可用安全プラグホルダ6およびロック解除用安全プラグホルダ7の出力に基づいて、産業用ロボット3−1〜3−3をそれぞれ駆動するモータ3−1M〜3−3Mを制御して産業用ロボット3−1〜3−3の運転を制御する制御手段として、二つの第1,第2のセーフティコントローラ12,13を備えている。
【0036】
この実施の形態のセーフティコントローラは、安全が確保されている状態の時のみ工作機械や産業用ロボットなどの機械設備の動力に電源を供給する安全回路を構成するものであり、本件出願人が先に出願して既に公開されている、例えば、特開2005−31778号公報に開示されているセーフティコントローラと基本的に同様の構成を有している。
【0037】
ここで、先に出願して既に公開されているセーフティコントローラについて、図6に基づいて説明する。
【0038】
図6に示されるセーフティコントローラには、非常停止スイッチ14などの入力機器が接続される単機能ユニット15と、この単機能ユニット15に接続されるとともに、セーフティドアスイッチ16などの入力機器が接続される高機能ユニット17と、この高機能ユニット17にケーブル18を介して接続される増設ユニット19の3種類がある。
【0039】
単機能ユニット15は、非常停止スイッチ14などの入力機器から入力が与えられるとともに、工作機械等を駆動するモータ等への電力の供給・遮断を行なう安全出力制御対象としてのマグネットコンタクタなどに対する安全出力および高機能ユニット17に対する論理接続用信号としての内部安全出力を出力するものである。
【0040】
ここで、論理接続用信号とは、この論理接続用信号を出力する単機能ユニット15と、論理接続用信号が与えられる高機能ユニット17とを論理接続するための接続用信号をいう。この論理接続には、高機能ユニット17の種類によって、AND接続用、OR接続用、あるいは、それらの複合接続用などがあり、用途に応じて所望の論理接続用の高機能ユニット17を選択して使用することができる。
【0041】
単機能ユニット15から安全出力制御対象に対して出力される安全出力と、論理接続用信号とは、その出力の状態が同じ、すなわち、安全出力が、機械設備の稼動を許容する安全側の出力状態であるときには、論理接続用信号も安全側の出力状態であり、また、安全出力が、機械設備の稼動を禁止する危険側の出力状態であるときには、論理接続用信号も危険側の出力状態となる。
【0042】
そこで、マグネットコンタクタなどの安全出力制御対象に対する本来の安全出力に対して、出力状態が同じである論理接続用信号を、内部安全出力という。
【0043】
高機能ユニット17は、非常停止スイッチ、セーフティドアスイッチ16などの入力機器からの入力および単機能ユニット15や前段の高機能ユニット17から出力される論理接続用信号である内部安全出力が内部安全入力として与えられるとともに、工作機械等を駆動するモータ等への電力の供給・遮断を行なう安全出力制御対象としてのマグネットコンタクタなどに対する安全出力および後段の高機能ユニット17に対する論理接続用信号としての内部安全出力を出力するものである。
【0044】
高機能ユニット17から出力される論理接続用信号である内部安全出力も上述と同様に、前段の高機能ユニット17と後段の高機能ユニット17とを論理接続するための接続用信号である。したがって、後段の高機能ユニット17の種類を選択することにより、AND接続、OR接続、あるいは、それらの複合接続などを行なうことが可能である。
【0045】
また、高機能ユニット17から安全出力制御対象に対して出力される安全出力と、論理接続用信号である内部安全出力とは、その出力の状態は同じである。高機能ユニット17は、安全瞬時出力と安全オフディレー出力とを出力可能であるが、内部安全出力は、安全瞬時出力の出力状態と同じ出力状態となっている。
【0046】
ここで、安全瞬時出力とは、安全出力が安全側の状態において、安全入力が安全側から危険側に切り換わったときに、瞬時に危険側に切り換わる安全出力をいい、安全オフディレー出力とは、安全出力が安全側の状態において、安全入力が安全側から危険側に切り換わったときに、設定された時間に亘って安全側の状態を継続した後、遅れて危険側に切り換わる安全出力をいう。
【0047】
なお、図6においては、単機能ユニット15から高機能ユニット17に与えられる内部安全出力および前段の高機能ユニット17から後段の高機能ユニット17に与えられる内部安全出力を破線矢符でそれぞれ示しているが、高機能ユニット17には、単機能ユニット15または前段の高機能ユニット17のいずれか一方からの内部安全出力が与えられるのが好ましい。
【0048】
増設ユニット19は、ケーブル18を介して高機能ユニット17に接続され、高機能ユニット17に同期した安全出力を、工作機械等を駆動するための電力の供給・遮断を行なう安全出力制御対象としてのマグネットコンタクタ等に対して出力するものである。
【0049】
単機能ユニット15は、制御部を構成するCPUを搭載しており、複数の安全入力を入力できるとともに、半導体出力(トランジスタ出力)である複数の安全瞬時出力および論理接続用信号である一つの内部安全出力を出力することができる。
【0050】
高機能ユニット17は、単機能ユニット15と同様に、制御部としてのCPUを搭載しており、複数の安全入力および一つの内部安全入力を入力できるとともに、半導体出力(トランジスタ出力)である複数の安全瞬時出力、複数の安全オフディレー出力および論理接続用信号である一つの内部安全出力を出力することができる。
【0051】
なお、内部安全出力および内部安全入力の数は、上記に限られないのは勿論である。
【0052】
高機能ユニット17の内部安全入力には、単機能ユニット15あるいは前段の高機能ユニット17からの論理接続用信号である内部安全入力が入力されるものであり、この内部安全入力によって、単機能ユニット15あるいは前段の高機能ユニット17に論理接続、すなわち、AND接続、OR接続、あるいは、それらの複合接続などがされることになる。
【0053】
例えば、単機能ユニット15あるいは前段の高機能ユニット17にANDで論理接続される場合には、単機能ユニット15あるいは前段の高機能ユニット17から与えられる内部安全入力と、当該高機能ユニット17の入力機器からの安全入力とがANDで論理接続されるものであり、内部安全入力の入力状態が安全側の状態であって、かつ、当該高機能ユニット17の入力機器からの安全入力の入力状態が安全側の入力状態であるときに、安全側の出力状態の安全出力を出力するものである。
【0054】
この高機能ユニットは、フィードバック/リセット入力を入力することができる。
増設ユニット19は、高機能ユニット17だけでは、出力点数が不足する場合に、必要に応じて増設されるものであり、複数の電磁リレーを内蔵している。この増設ユニット19は、高機能ユニット17からの安全瞬時出力に同期してリレー出力である複数の安全出力を出力する瞬時タイプと、高機能ユニットからの安全オフディレー出力に同期してリレー出力である複数の安全出力を出力するオフディレータイプとがある。
【0055】
図7は、高機能ユニット17の要部のブロック図である。同図において、20,21は、制御部を構成する二つの第1,第2のCPUであり、各CPU20,21で同じ処理を実行して二重化している。各CPU20,21は、CPU間通信ポートを介してソフト処理の同期をとるなどのために通信を行う。
【0056】
22は図示しない設定スイッチなどからの設定内容を格納する不揮発性メモリ、23は動作状態などを表示するLED、24は各部に電源を供給する電源回路である。
【0057】
また、25,26はセーフティドアスイッチや上述の各安全プラグホルダ6,7などの入力機器からの入力が与えられる安全入力回路であり、この図7では、二つの安全入力回路を代表的に示している。
【0058】
27は単機能ユニット15または前段の高機能ユニット17からの論理接続用信号である内部安全入力が与えられる内部安全入力回路である。28は瞬時用の安全出力回路、29はオフディレー用の安全出力回路、30は後段の高機能ユニット17に対して論理接続用信号である内部安全出力を出力する内部安全出力回路、31は増設ユニット19を接続するためのコネクタである。
【0059】
制御部としての第1,第2のCPU20,21は、安全入力回路25,26からの安全入力および接続入力部としての内部安全入力回路27からの内部安全入力に基づいて、プログラムに従って、安全出力回路28,29および内部安全出力回路30を制御して半導体出力(トランジスタ出力)である安全出力および内部安全出力を制御する。内部安全出力回路30は、半導体出力用のトランジスタを備えている。なお、第1のCPU20は、ドアロックスイッチ11に対するロック解除信号を出力する。
【0060】
再び、図5を参照して、この実施形態では、第1のセーフティコントローラ12が、上述の単機能ユニット15に対応し、第2のセーフティコントローラ13が高機能ユニット17に対応する。この実施形態の第2のセーフティコントローラ13は、第1のセーフティコントローラ12にANDで論理接続されるAND接続用のユニットである。
【0061】
第1のセーフティコントローラ12には、入力機器として非常停止スイッチ8から入力が与えられる。
【0062】
第2のセーフティコントローラ13には、入力機器としてのドアロックスイッチ11および作業スタートスイッチ9からの入力が与えられるとともに、通電許可用安全プラグホルダ7およびロック解除用安全プラグホルダ6の出力が与えられ、更に、第1のセーフティコントローラ12から論理接続用信号として内部安全入力が与えられる。
【0063】
次に、代表的な作業の動作手順を説明する。
【0064】
産業用ロボット3−1〜3−3を作動させて作業を開始させたいときには、作業者は、安全柵1の出入り口の扉4を閉止し、これによって、自動的にドアロックスイッチ11のロックが自動的にかかり、閉止信号が第2のセーフティコントローラ13に与えられる。
作業者は、6個の全ての安全プラグ10−1〜10−6を、通電許可用安全プラグホルダ7の各装着部7−1〜7−6にそれぞれ装着してそれぞれ回動操作し、これによって、通電許可用安全プラグホルダ7から通電許可信号が第2のセーフティコントローラ13に与えられる。
【0065】
作業者は、非常停止スイッチ8が解除されていることを確認後、作業スタートスイッチ9を押下する。
【0066】
これによって、第2のセーフティコントローラ13には、第1のセーフティコントローラ12からの安全側の内部安全入力が入力される一方、ドアロックスイッチ11からの扉4が閉止していることを示す安全側の閉止信号が入力され、通電許可用安全プラグホルダ7から安全側の通電許可信号が入力され、更に、作業スタートスイッチ9からスタート信号が入力されるので、第2のセーフティコントローラ13は、各産業用ロボット3−1〜3−3のモータ3−1M〜3−3Mを駆動して産業用ロボット3−1〜3−3の運転を開始する。
【0067】
すなわち、AND接続用の第2のセーフティコントローラ13は、第1のセーフティコントローラ12からの論理接続用の内部安全入力が安全側であって、かつ、当該第2のセーフティコントローラ13に入力される通電許可用安全プラグホルダ7等の入力が安全側であるときに、産業用ロボット3−1〜3−3のモータ3−1M〜3−3Mを駆動して産業用ロボット3−1〜3−3の運転を開始することができ、また、後段にセーフティコントローラが接続されているときには、論理接続用信号として安全側の内部安全出力を出力するものである。
【0068】
したがって、例えば、第1のセーフティコントローラ12に接続されている非常停止スイッチ8が押下されると、第1のセーフティコントローラ12からの内部安全入力が危険側の状態となるので、第2のセーフティコントローラ13は、直ちに産業用ロボット3−1〜3−3のモータ3−1M〜3−3Mの駆動を停止して産業用ロボット3−1〜3−3を停止させるとともに、後段にセーフティコントローラが接続されているときには、論理接続用信号として危険側の内部安全出力を出力するものである。
【0069】
次に、産業用ロボット3−1〜3−3のメンテナンスなどのために作業者が設置エリア2内に入る必要が生じた場合には、例えば、作業が終了して産業用ロボット3−1〜3−3が停止している状態において、通電許可用安全プラグホルダ7に装着されている6個の安全プラグ10−1〜10−6の少なくとも1個を引き抜き、ロック解除用安全プラグホルダ6の装着部6−1〜6−6のいずれかに装着して回動操作する。これによって、第2のセーフティコントローラ13には、通電許可用安全プラグホルダ7から安全側であることを示す通電許可信号が入力されなくなり、すなわち、通電許可用安全プラグホルダ7からの入力が危険側の状態となるので、モータ3−1M〜3−3Mの駆動を禁止して産業用ロボット3−1〜3−3の作動を禁止する。
【0070】
また、ロック解除用安全プラグホルダ6からロック解除許可信号が入力されるので、第2のセーフティコントローラ13は、ドアロックスイッチ11に対して、ロック解除信号を出力してドアロックスイッチ11による扉4のロックを解除して扉4の開放を許容する。
【0071】
作業者は、扉4を開放して設置エリア2内に入って産業用ロボット3−1〜3−3のメンテナンスなどを行なう。この状態では、上述のように、通電許可用安全プラグホルダ7に装着される6個の安全プラグ6−1〜6−6の少なくとも1個は引き抜かれた状態であるので、第2のセーフティコントローラ13は、産業用ロボット3−1〜3−3の作動を禁止し、これによって、設置エリア2における作業者の安全が確保される。なお、この状態では、扉4が開放しているので、ドアロックスイッチ11から扉が閉止していることを示す安全側の閉止信号も入力されず、ドアロックスイッチ11の入力が危険側の状態であるので、産業用ロボット3−1〜3−3が作動することがない。
【0072】
(実施形態2)
図8は、本発明の他の実施形態の図1に対応する概略平面図であり、対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0073】
この実施形態の安全システムでは、作業者が設置エリア2内に入って産業用ロボット3−1〜3−3に対してティーチングなどを行なえるようにするものであり、設置エリア2内には、各産業用ロボット3−1〜3−3に個別的に対応する3個の制御ボックス32−1〜32−3が設置されている。
【0074】
各制御ボックス内32−1〜32−3には、図9に示すように、対応する産業用ロボット3−1〜3−3を非常停止させるための非常停止スイッチ33−1〜33−3と、対応する産業用ロボット3−1〜3−3を手動操作するための操作手段としてイネーブルスイッチ34−1〜34−3および上述の実施形態の6個の安全プラグ10−1〜10−6のいずれかが着脱自在な装着部36−1〜36−3を有する操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3が装備されている。
【0075】
イネーブルスイッチ34−1〜34−3は、制御ボックス32−1〜32−3からスイッチ本体を引き出し、該スイッチ本体を把持して操作するものであり、オフ状態の非操作位置から軽く押し込まれて中間操作位置に変位したときにオン状態となり、この中間操作位置から操作部材がさらに強く押し込まれて完全操作位置に達したときにオフ状態となる3ポジションの公知のスイッチであり、デッドマンスイッチとも称される。
【0076】
操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3は、図10に示すように、6個の安全10−1〜10−6のいずれかを装着部36−1〜36−3に装着して回動操作することにより、イネーブル許可信号を出力するものである。
【0077】
図11は、この実施形態の構成示す図であり、上述の図5に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0078】
この実施形態は、第1,第2のセーフティコントローラ12,13までの構成は、基本的に上述の実施形態と同様であり、この実施形態では、制御手段として、各産業用ロボット3−1〜3−3に個別的に対応する3個の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3が追加されており、各セーフティコントローラ37−1〜37−3によって、各産業用ロボット3−1〜3−3のモータ3−1M〜3−3Mの駆動が制御されて各産業用ロボット3−1〜3−3の運転が制御されるようになっている。
【0079】
これらの第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3は、AND接続用ではなく、前段の第2のセーフティコントローラ13に対して、ORで論理接続されるOR接続用の高機能ユニットである。
【0080】
したがって、前段の第2のセーフティコントローラ13の内部安全出力が危険側であっても、後述のように、イネーブルスイッチ34−1〜34−3によって対応する産業用ロボット3−1〜3−3をそれぞれ作動させることができるものである。
【0081】
OR接続用の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3には、入力機器としての非常停止スイッチ33−1〜33−3およびイネーブルスイッチ34−1〜34−3からの入力がそれぞれ与えられるとともに、操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3からの出力がそれぞれ与えられ、更に、前段の第2のセーフティコントローラ13から論理接続用信号として内部安全入力がそれぞれ与えられる。
【0082】
この第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3は、前段の第2のセーフティコントローラ13から安全側の内部安全入力が与えられているときには、非常停止スイッチ33−1〜33−3が押下されていない安全側であることを条件に、対応する産業用ロボット3−1〜3−3のモータ3−1M〜3−3Mを駆動して産業用ロボット3−1〜3−3を運転するものである。
【0083】
したがって、上述の実施形態で説明したように、前段の第2のセーフティコントローラ13に、第1のセーフティコントローラ12から安全側の内部安全入力が入力される一方、ドアロックスイッチ11からの扉4が閉止していることを示す安全側の閉止信号が入力され、通電許可用安全プラグホルダ7から安全側の通電許可信号が入力され、更に、作業スタートスイッチ9からスタート信号が入力されて、前段の第2のセーフティコントローラ13から安全側の内部安全出力が、後段の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3に与えられたときには、当該後段の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3の非常停止スイッチ33−1〜33−3が押下されていない安全側であることを条件に産業用ロボット3−1〜3−3の運転を開始して作業を開始するものである。
【0084】
更に、この実施形態の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3は、前段の第2のセーフティコントローラ13からの内部安全入力が危険側であっても、非常停止スイッチ33−1〜33−3が押下されていない安全側であることを条件に、安全プラグ10−1〜10−6が操作用安全プラグホルダ35に装着されて該操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3から安全側であるイネーブル許可信号が入力されており、かつ、イネーブルスイッチ34−1〜34−3から操作信号が与えられたときには、操作信号に応じて、対応する産業用ロボット3−1〜3−3のモータ3−1M〜3−3Mを駆動して産業用ロボット3−1〜3−3を個別に作動させるものである。
【0085】
すなわち、この実施形態では、作業者が設置エリア2内に入って、産業用ロボット3−1〜3−3に対するティーチングやメンテナンスなどのために、対応する産業用ロボット3−1〜3−3を手動操作によって個別に作動させることができるものである。
【0086】
この場合、作業者が設置エリア2に入るために、安全柵1の出入り口の扉4のロックを解除するまで手順は、上述の実施形態と同様である。
【0087】
すなわち、作業が終了して産業用ロボット3−1〜3−3が停止している状態において、通電許可用安全プラグホルダ7に装着されている6個の安全プラグ10−1〜10−6の少なくとも1個を引き抜き、ロック解除用安全プラグホルダ6の装着部6−1〜6−6のいずれかに装着して回動操作する。これによって、ロック解除用安全プラグホルダ6からロック解除許可信号が前段の第2のセーフティコントローラ13に入力されるので、第2のセーフティコントローラ13は、ドアロックスイッチ11に対して、ロック解除信号を出力してドアロックスイッチ11によるロックを解除して扉4の開放を許容する。なお、この状態では、通電許可用安全プラグホルダ7には、6個の安全プラグ10−1〜10−6の全てが揃っていないので、前段の第2のセーフティコントローラ13には、通電許可信号が入力されず、第2のセーフティコントローラ13からの論理接続用の内部安全出力は、危険側の状態となり、前段の第2のセーフティコントローラ13の内部安全出力によって産業用ロボット3−1〜3−3が作動することはない。
【0088】
次に、この実施形態では、ロック解除用安全プラグホルダ6から安全プラグ10−1〜10−6を引き吹き、ロックが解除された扉4を開放して設置エリア2内に入り、ティーチングなどを行なうとする産業用ロボット3−1〜3−3に対応する制御ボックス32−1〜32−3内の操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3に、安全プラグ10−1〜10−6を装着して回動操作する。これによって、対応する第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3には、操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3から安全側であるイネーブル許可信号が入力され、対応するイネーブルスイッチ34−1〜34−3の操作が有効な状態となる。
【0089】
作業者は、イネーブルスイッチ34−1〜34−3を操作し、これによって、対応する第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3に、オンの操作信号が入力されると、非常停止スイッチ33−1〜33−3が押下されていない安全側であることを条件に、対応するモータ3−1M〜3−3Mを駆動して対応する産業用ロボット3−1〜3−3を作動させる。
【0090】
これによって、作業者のイネーブルスイッチ34の操作に応じて、対応する産業用ロボット3−1〜3−3を作動させて、ティーチングやメンテンナンスを行なうことができる。
【0091】
図12は、各安全プラグホルダ6,7,35−1〜35−3における安全プラグの装着状態を示す図であり、この図に基づいて、上述の各状態について説明する。なお、操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3は、1個のみを代表的に示している。
【0092】
先ず、同図(a)は産業用ロボット3−1〜3−3の起動許可状態を示しており、6個の安全プラグ10−1〜10−6の全てが、通電許可用安全プラグホルダ7に装着されている状態を示している。この状態は、前段の第2のセーフティコントローラ13に対して、通電許可用安全プラグホルダ7から安全側であることを示す通電許可信号が入力されている状態である。
【0093】
したがって、この状態では、上述のように、前段の第2のセーフティコントローラ13に、第1のセーフティコントローラ12からの安全側の内部安全入力が入力され、ドアロックスイッチ11からの扉4が閉止していることを示す安全側の閉止信号が入力され、作業スタートスイッチ9からスタート信号が入力されることを条件に、後段の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3に、論理接続用の安全側の内部安全入力が入力されることになる。
【0094】
したがって、後段の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3は、非常停止スイッチ33−1〜33−3が押下されていない安全側であることを条件に、対応する各モータ3−1M〜3−3Mを駆動して各産業用ロボット3−1〜3−3の運転を開始して作業を行なうことができるものである。
【0095】
同図(b)は、通電許可用安全プラグホルダ7の6個の安全プラグ10−1〜10−6の1個を引き抜いてロック解除用安全プラグホルダ6に装着して回動操作した状態を示している。
【0096】
通電許可用安全プラグホルダ7には、6個に安全プラグ10−1〜10−6の全てが揃っていないので、前段の第2のセーフティコントローラ13には、通電許可用安全プラグホルダ7から安全側であることを示す通電許可信号が入力されておらず、したがって、前段の第2のセーフティコントローラ13は、後段の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3に対して、論理接続用の危険側の内部安全出力を出力することになる。
後段の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3は、前段の第2のセーフティコントローラ13から危険側の内部安全入力が入力され、また、操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3には、安全プラグが装着されていないので、イネーブルスイッチ34−1〜34−3の操作が有効とされることもなく、各産業用ロボット3−1〜3−3の運転を禁止し、各産業用ロボット3−1〜3−3は停止している。
【0097】
この状態は、ロック解除用安全プラグホルダ6からロック解除許可信号が前段の第2のセーフティコントローラ13に入力され、第2のセーフティコントローラ13は、ドアロックスイッチ11に対して、ロック解除信号を出力してドアロックスイッチ11によるロックを解除して扉4の開放を許容している状態である。
【0098】
したがって、この状態では、作業者は、扉4を開放して設置エリア2内に入って停止している産業用ロボット3−1〜3−3のメンテナンスなどを行なうことができる。
【0099】
同図(c)は、作業者が、ロック解除用安全プラグホルダ6に安全プラグ10−6を装着して操作することにより、安全柵1の出入り口の扉4のロックを解除した後、ロック解除用安全プラグホルダ6から安全プラグ10−6を引き抜いて扉4を開放して設置エリア2に入り、いずれかの産業用ロボット3−1〜3−3に対応する操作用安全プラグ35−1〜35−3に安全プラグ10−6を装着して回動操作した状態を示している。
【0100】
この状態では、通電許可用安全プラグホルダ7に6個の安全プラグ10−1〜10−6の全てが揃っていないので、前段の第2のセーフティコントローラ13には、通電許可用安全プラグホルダ7から安全側であることを示す通電許可信号が入力されておらず、したがって、前段の第2のセーフティコントローラ13は、後段の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3に対して、論理接続用の危険側の内部安全出力を出力することになる。
【0101】
後段の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3は、前段の第2のセーフティコントローラ13から危険側の内部安全入力が入力されるので、操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3に、安全プラグ10−6が装着されていない第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3では、イネーブルスイッチ34−1〜34−3の操作が有効とされる状態でもないので、対応する産業用ロボット3−1〜3−3の運転を禁止し、対応する産業用ロボット3−1〜3−3は停止している。
【0102】
一方、同図(c)に示されるように、操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3に、安全プラグ10−6が装着されている後段の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3では、操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3から安全側であるイネーブル許可信号が入力されてイネーブルスイッチ34−1〜34−3の操作が有効な状態とされ、この状態では、イネーブルスイッチ34−1〜34−3から操作信号が与えられたときには、操作信号に応じて、対応する産業用ロボット3−1〜3−3のモータ3−1M〜3−3Mを駆動して対応する産業用ロボット3−1〜3−3を作動させることができる。
したがって、安全プラグ10−6が装着されている操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3に対応する産業用ロボット3−1〜3−3のみがイネーブルスイッチ34−1〜34−3の操作に応じて作動することになる。
【0103】
(その他の実施形態)
上述の実施形態2では、操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3に着脱される安全プラグを、ロック解除用安全プラグホルダ6および通電許可用安全プラグホルダ7に着脱される安全プラグと共用したけれども、操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3に着脱される安全プラグは、専用の安全プラグとし、例えば、熟練した作業者のみが利用できるようにしてもよい。
【0104】
安全プラグおよび安全プラグホルダは、上述の実施形態の構成に限らず、例えば、マグネットを利用して安全プラグの近接あるいは離間によって接点が開閉する非接触方式としてもよい。
【0105】
制御手段は、セーフティコントローラに限らず、複数の電磁リレーを内蔵したリレーユニットなどを用いて構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、工作機械や産業用ロボットなどの機械設備が設置された設置エリアにおける作業者の安全確保に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る安全システムの概略平面図である。
【図2】図1の管理ボックス内の構成を示す図である。
【図3】ロック解除用安全プラグホルダの構成を示す図である。
【図4】通電許可用安全プラグホルダの構成を示す図である。
【図5】図1の安全システムの構成図である。
【図6】セーフティコントローラを説明するための図である。
【図7】図6の高機能ユニットの構成図である。
【図8】本発明の他の実施形態の概略平面図である。
【図9】図8の制御ボックス内の構成を示す図である。
【図10】操作用安全プラグホルダの構成を示す図である。
【図11】図8の安全システムの構成図である。
【図12】各安全プラグホルダの安全プラグの装着状態を示す図である。
【符号の説明】
【0108】
1 安全柵
2 設置エリア
3−1〜3−3 産業用ロボット
6 ロック解除用安全プラグホルダ
7 通電許可用安全プラグホルダ
10−1〜10−6 通電許可用安全プラグホルダ
12,13 第1,第2のセーフティコントローラ
34−1〜34−3 イネーブルスイッチ
35−1〜35−3 操作用安全プラグホルダ
37−1〜37−3 第3のセーフティコントローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械や産業用ロボットなどの機械設備が設置された設置エリアにおける安全を確保するのに好適な安全システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械や産業用ロボットなどの機械設備が設置された設置エリアの周囲は、安全柵(防護柵)で囲われて作業者が不用意に設置エリア内に入れないようにしている。(例えば、特許文献1参照。)
かかる設置エリアの出入り口の近傍に安全プラグおよび安全プラグホルダを設けておき、設置エリア内に入るときには、作業者が前記安全プラグを安全プラグホルダから引き抜いて携帯することによって、設置エリア内の機械設備が動作できないようにしたものがある。
【特許文献1】特開2004−356069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、作業者が上記安全プラグを引き抜くのを忘れて設置エリア内に入ってしまったような場合には、設置エリア内に作業者がいるにも拘らず、他の作業者が、それに気づかずに機械設備を起動するといった可能性を排除できないという課題がある。
【0004】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、作業者の安全を高い信頼性で確保できる安全システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の安全システムは、機械設備が設置された設置エリアへの出入り口の扉のロックの解除を許可するロック解除許可手段と、前記機械設備に対する通電を許可する通電許可手段と、前記ロック解除許可手段の出力に基づいて、前記ロックの解除を制御するとともに、前記通電許可手段の出力に基づいて、前記機械設備の通電を制御して該機械設備の運転を制御する制御手段とを備え、前記通電許可手段は、複数の安全プラグが着脱自在であって、かつ、前記複数の安全プラグの全てが装着された状態で通電許可信号を出力する通電許可用安全プラグホルダを有するとともに、該通電許可用安全プラグホルダが前記設置エリア外に配置され、前記ロック解除許可手段は、前記安全プラグが着脱自在であって、かつ、前記複数の安全プラグの少なくともいずれか一つが装着された状態でロック解除許可信号を出力するロック解除用安全プラグホルダを有するとともに、該ロック解除用安全プラグホルダが前記設置エリア外に配置され、前記制御手段は、前記ロック解除許可信号が与えられたときに、前記ロックを解除し、前記通電許可信号が与えられていないときには、前記機械設備の運転を禁止するものである。
【0006】
機械設備とは、各種の工作機械、産業用ロボットなどをいう。
【0007】
また、機械設備の運転を制御するとは、機械設備に対する通電を制御して機械設備の起動・停止の制御や動作速度の制御などをいう。
【0008】
出入り口は、設置エリアを囲む安全柵などに設けられるのが好ましい。設置エリアは、柵に限らず、例えば、透明な壁材などで囲われてもよい。
【0009】
安全プラグとは、安全プラグホルダに着脱されるものであって、着脱に応じて、安全プラグホルダの回路の接点を開閉するものをいい、キーのような形状あるいは棒状などの任意の形状であってもよい。
【0010】
安全プラグは、安全プラグホルダの装着部に単に装着するものであってもよいし、装着して回動操作するようなものであってもよい。
【0011】
本発明の安全システムによると、ロック解除用安全プラグホルダと通電許可用安全プラグホルダとは、共通の安全プラグが着脱自在であり、通電許可用安全プラグホルダは、複数の安全プラグの全てが装着されている状態で通電許可信号を出力するので、機械設備に対する通電が許可される状態では、複数の安全プラグの全てが通電許可用安全プラグホルダに装着された状態であり、設置エリアの出入り口の扉のロックを解除するためにロック解除用安全プラグホルダに、装着する安全プラグはなく、したがって、扉のロックを解除できない状態となる。
【0012】
すなわち、扉のロックを解除して設置エリア内に作業者が入る場合には、通電許可用安全プラグホルダに装着されている複数の安全プラグのいずれかの安全プラグを引き抜いてロック解除用安全プラグホルダに安全プラグを装着しなければならず、したがって、通電許可用安全プラグホルダには、複数の安全プラグの少なくともいずれか一つの安全プラグが引き抜かれた状態、したがって、通電許可信号が出力されない状態となり、機械設備への通電が禁止されることになる。
【0013】
つまり、作業者は、通電許可用安全プラグホルダに装着されている複数の安全プラグのいずれかを引き抜いて機械設備への通電を禁止した上で、ロック解除用安全プラグホルダに安全プラグを装着しなければ、扉のロックを解除して設置エリア内に入ることはできない。
【0014】
したがって、作業者が、通電許可用安全プラグホルダに装着されている複数の安全プラグのいずれかの安全プラグを引き抜くのを忘れて設置エリア内に入ることはできず、作業者が扉のロックを解除して設置エリアに入るときには、通電許可用安全プラグホルダに装着されている複数の安全プラグのいずれかの安全プラグが引き抜かれて機械設備に対する通電が禁止された状態、すなわち、機械設備の運転が禁止された状態となるので、設置エリアにおける作業者の安全が確保される。
【0015】
(2)本発明の安全システムの好ましい実施形態では、前記設置エリア内に、前記機械設備の作動を可能にする操作手段を設け、該操作手段は、操作用安全プラグが着脱自在な操作用安全プラグホルダとイネーブルスイッチとを備え、前記操作手段は、前記操作用安全プラグが前記操作用安全プラグホルダに装着された状態で前記イネーブルスイッチの操作を許可するイネーブル許可信号を出力するものであり、前記制御手段は、イネーブル許可信号が与えられていないときには、前記イネーブルスイッチの操作を無効として該操作に応じた前記機械設備の作動を禁止する一方、イネーブル許可信号が与えられているときには、前記通電許可信号に拘らず、前記イネーブルスイッチの操作を有効として該操作に応じて、前記機械設備を作動させるものである。
【0016】
この実施形態によると、作業者が設置エリア内で機械設備のメンテナンスや産業用ロボットのティーチングなどを行なう場合には、操作用安全プラグホルダに操作用安全プラグを装着することによって、通電許可信号に拘らず、すなわち、通電許可信号が与えられていない状態であっても、イネーブルスイッチの操作を有効として該操作に応じて機械設備に通電して機械設備を作動させることができる。
【0017】
(3)上記(2)の実施形態では、前記操作用安全プラグと、前記ロック解除用安全プラグホルダおよび前記通電許可用安全プラグホルダに装着される前記安全プラグとを共用してもよい。
【0018】
この実施形態によると、作業者は、共通の安全プラグを用いて、設置エリアへの出入りができるとともに、設置エリア内で機械設備のメンテナンスや産業用ロボットのティーチングなどを行なうことができる。
【0019】
(4)本発明の安全システムの更に他の実施形態では、前記制御手段は、入力機器からの入力に基づいて、安全出力制御対象に安全出力を与えて前記機械設備の運転を制御するものである。
【0020】
入力機器とは、制御手段に対する入力を与える機器をいい、例えば、非常停止スイッチ、セーフティドアスイッチ、セーフティリミットスイッチ、セーフティライトカーテンなどをいう。
【0021】
安全出力制御対象とは、安全出力によって制御される対象をいい、例えば、マグネットコンタクタ、モータコントローラ、可変モータ、PLCなどをいう。
【0022】
この実施形態によると、設置エリアへの作業者の出入りの安全確保に限らず、生産現場の労働安全を確保することができる。
【0023】
(5)本発明の安全システムの好ましい実施形態では、前記制御手段には、前記出入り口の前記扉の開閉を検知する前記入力機器としてのドアスイッチからの入力が与えられ、前記制御手段は、前記扉が開放している状態では、前記機械設備の運転を禁止するものである。
【0024】
ドアスイッチは、出入り口の扉の開閉の検知のみならず、併せて扉のロックを行なえるのが好ましい。
【0025】
この実施形態によると、設置エリアの出入り口の扉が開放している状態では、機械設備の運転が禁止されるので、安全性が一層向上することになる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、作業者は、通電許可用安全プラグホルダに装着されている複数の安全プラグのいずれかを引き抜くのを忘れると、設置エリアの扉のロックを解除できないので設置エリア内に入ることはできず、作業者が扉のロックを解除して設置エリアに入るときには、通電許可用安全プラグホルダに装着されている安全プラグのいずれかを引き抜いて機械設備に対する通電が禁止された状態としなければならず、設置エリアに入る作業者の安全が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0028】
(実施形態1)
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る安全システムの構成を示す概略平面図である。
【0029】
安全柵1で囲われた設置エリア2内には、複数の機械設備としての3台の産業用ロボット3−1〜3−3が設置されており、安全柵1には、工作エリアである設置エリア2内に作業者が出入りするための出入り口に扉4が設けられている。扉4側には、キースイッチ(図示せず)が設けられる一方、安全柵4の出入り口側には、後述のドアロックスイッチが設けられており、扉4を閉じると、キースイッチがドアロックスイッチに係合して自動的にロックがかかり、扉4を開放できないようになっている。このドアロックスイッチに対して、ロック解除信号を与えることにより、ロックが解除されて扉4の開放が可能となる。この実施形態では、ロック解除信号が与えられている状態では、扉4を閉じてもロックがかからないように構成されている。
【0030】
設置エリア2外の出入り口の近傍には、作業者の出入りを管理する管理ボックス5が設置されている。この管理ボックス5内には、図2に示すように、扉4のロックの解除を許可するロック解除用安全プラグホルダ6、産業用ロボット3−1〜3−3に対する通電を許可する通電許可用安全プラグホルダ7、産業用ロボット3−1〜3−3を非常停止させる非常停止スイッ8チおよび産業用ロボット3−1〜3−3による作業を開始させるための作業スタートスイッチ9が装備されている。
【0031】
ロック解除用安全プラグホルダ6は、複数、この実施形態では、6個のキー形状の安全プラグ10−1〜10−6がそれぞれ着脱自在な装着部6−1〜6−6を備えており、図3に示すように、いずれか1個の安全プラグ10−1〜10−6を装着して回動操作することによって、並列な6個の接点の内の対応する接点がオンしてロック解除許可信号を出力するものである。
【0032】
なお、6個の安全プラグ10−1〜10−6は、全て同じ構成であり、また、ロック解除用安全プラグホルダ6の各装着部6−1〜6−6も全て同じ構成であり、したがって、安全プラグ10−1〜10−6のロック解除用安全プラグホルダ6に対する装着位置は任意である。
【0033】
通電許可用安全プラグホルダ7は、ロック解除用安全プラグホルダ6と共通の6個の安全プラグ10−1〜10−6がそれぞれ着脱自在な装着部7−1〜7−6を備えており、図4に示すように、6個の安全プラグ10−1〜10−6の全てを装着して回動操作することによって、直列の6個の接点の全ての接点がオンして通電許可信号を出力するものである。通電許可用安全プラグホルダ7の各装着部7−1〜7−6は全て同じ構成であり、安全プラグ10−1〜10−6の通電許可用安全プラグホルダ7に対する装着位置は任意である。
【0034】
図5は、図1の安全システムの構成を示す図であり、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0035】
この実施形態では、上述の非常停止スイッチ8、安全柵4の出入り口側に設けられている上述のドアロックスイッチ11、作業スタートスイッチ9、通電許可用安全プラグホルダ6およびロック解除用安全プラグホルダ7の出力に基づいて、産業用ロボット3−1〜3−3をそれぞれ駆動するモータ3−1M〜3−3Mを制御して産業用ロボット3−1〜3−3の運転を制御する制御手段として、二つの第1,第2のセーフティコントローラ12,13を備えている。
【0036】
この実施の形態のセーフティコントローラは、安全が確保されている状態の時のみ工作機械や産業用ロボットなどの機械設備の動力に電源を供給する安全回路を構成するものであり、本件出願人が先に出願して既に公開されている、例えば、特開2005−31778号公報に開示されているセーフティコントローラと基本的に同様の構成を有している。
【0037】
ここで、先に出願して既に公開されているセーフティコントローラについて、図6に基づいて説明する。
【0038】
図6に示されるセーフティコントローラには、非常停止スイッチ14などの入力機器が接続される単機能ユニット15と、この単機能ユニット15に接続されるとともに、セーフティドアスイッチ16などの入力機器が接続される高機能ユニット17と、この高機能ユニット17にケーブル18を介して接続される増設ユニット19の3種類がある。
【0039】
単機能ユニット15は、非常停止スイッチ14などの入力機器から入力が与えられるとともに、工作機械等を駆動するモータ等への電力の供給・遮断を行なう安全出力制御対象としてのマグネットコンタクタなどに対する安全出力および高機能ユニット17に対する論理接続用信号としての内部安全出力を出力するものである。
【0040】
ここで、論理接続用信号とは、この論理接続用信号を出力する単機能ユニット15と、論理接続用信号が与えられる高機能ユニット17とを論理接続するための接続用信号をいう。この論理接続には、高機能ユニット17の種類によって、AND接続用、OR接続用、あるいは、それらの複合接続用などがあり、用途に応じて所望の論理接続用の高機能ユニット17を選択して使用することができる。
【0041】
単機能ユニット15から安全出力制御対象に対して出力される安全出力と、論理接続用信号とは、その出力の状態が同じ、すなわち、安全出力が、機械設備の稼動を許容する安全側の出力状態であるときには、論理接続用信号も安全側の出力状態であり、また、安全出力が、機械設備の稼動を禁止する危険側の出力状態であるときには、論理接続用信号も危険側の出力状態となる。
【0042】
そこで、マグネットコンタクタなどの安全出力制御対象に対する本来の安全出力に対して、出力状態が同じである論理接続用信号を、内部安全出力という。
【0043】
高機能ユニット17は、非常停止スイッチ、セーフティドアスイッチ16などの入力機器からの入力および単機能ユニット15や前段の高機能ユニット17から出力される論理接続用信号である内部安全出力が内部安全入力として与えられるとともに、工作機械等を駆動するモータ等への電力の供給・遮断を行なう安全出力制御対象としてのマグネットコンタクタなどに対する安全出力および後段の高機能ユニット17に対する論理接続用信号としての内部安全出力を出力するものである。
【0044】
高機能ユニット17から出力される論理接続用信号である内部安全出力も上述と同様に、前段の高機能ユニット17と後段の高機能ユニット17とを論理接続するための接続用信号である。したがって、後段の高機能ユニット17の種類を選択することにより、AND接続、OR接続、あるいは、それらの複合接続などを行なうことが可能である。
【0045】
また、高機能ユニット17から安全出力制御対象に対して出力される安全出力と、論理接続用信号である内部安全出力とは、その出力の状態は同じである。高機能ユニット17は、安全瞬時出力と安全オフディレー出力とを出力可能であるが、内部安全出力は、安全瞬時出力の出力状態と同じ出力状態となっている。
【0046】
ここで、安全瞬時出力とは、安全出力が安全側の状態において、安全入力が安全側から危険側に切り換わったときに、瞬時に危険側に切り換わる安全出力をいい、安全オフディレー出力とは、安全出力が安全側の状態において、安全入力が安全側から危険側に切り換わったときに、設定された時間に亘って安全側の状態を継続した後、遅れて危険側に切り換わる安全出力をいう。
【0047】
なお、図6においては、単機能ユニット15から高機能ユニット17に与えられる内部安全出力および前段の高機能ユニット17から後段の高機能ユニット17に与えられる内部安全出力を破線矢符でそれぞれ示しているが、高機能ユニット17には、単機能ユニット15または前段の高機能ユニット17のいずれか一方からの内部安全出力が与えられるのが好ましい。
【0048】
増設ユニット19は、ケーブル18を介して高機能ユニット17に接続され、高機能ユニット17に同期した安全出力を、工作機械等を駆動するための電力の供給・遮断を行なう安全出力制御対象としてのマグネットコンタクタ等に対して出力するものである。
【0049】
単機能ユニット15は、制御部を構成するCPUを搭載しており、複数の安全入力を入力できるとともに、半導体出力(トランジスタ出力)である複数の安全瞬時出力および論理接続用信号である一つの内部安全出力を出力することができる。
【0050】
高機能ユニット17は、単機能ユニット15と同様に、制御部としてのCPUを搭載しており、複数の安全入力および一つの内部安全入力を入力できるとともに、半導体出力(トランジスタ出力)である複数の安全瞬時出力、複数の安全オフディレー出力および論理接続用信号である一つの内部安全出力を出力することができる。
【0051】
なお、内部安全出力および内部安全入力の数は、上記に限られないのは勿論である。
【0052】
高機能ユニット17の内部安全入力には、単機能ユニット15あるいは前段の高機能ユニット17からの論理接続用信号である内部安全入力が入力されるものであり、この内部安全入力によって、単機能ユニット15あるいは前段の高機能ユニット17に論理接続、すなわち、AND接続、OR接続、あるいは、それらの複合接続などがされることになる。
【0053】
例えば、単機能ユニット15あるいは前段の高機能ユニット17にANDで論理接続される場合には、単機能ユニット15あるいは前段の高機能ユニット17から与えられる内部安全入力と、当該高機能ユニット17の入力機器からの安全入力とがANDで論理接続されるものであり、内部安全入力の入力状態が安全側の状態であって、かつ、当該高機能ユニット17の入力機器からの安全入力の入力状態が安全側の入力状態であるときに、安全側の出力状態の安全出力を出力するものである。
【0054】
この高機能ユニットは、フィードバック/リセット入力を入力することができる。
増設ユニット19は、高機能ユニット17だけでは、出力点数が不足する場合に、必要に応じて増設されるものであり、複数の電磁リレーを内蔵している。この増設ユニット19は、高機能ユニット17からの安全瞬時出力に同期してリレー出力である複数の安全出力を出力する瞬時タイプと、高機能ユニットからの安全オフディレー出力に同期してリレー出力である複数の安全出力を出力するオフディレータイプとがある。
【0055】
図7は、高機能ユニット17の要部のブロック図である。同図において、20,21は、制御部を構成する二つの第1,第2のCPUであり、各CPU20,21で同じ処理を実行して二重化している。各CPU20,21は、CPU間通信ポートを介してソフト処理の同期をとるなどのために通信を行う。
【0056】
22は図示しない設定スイッチなどからの設定内容を格納する不揮発性メモリ、23は動作状態などを表示するLED、24は各部に電源を供給する電源回路である。
【0057】
また、25,26はセーフティドアスイッチや上述の各安全プラグホルダ6,7などの入力機器からの入力が与えられる安全入力回路であり、この図7では、二つの安全入力回路を代表的に示している。
【0058】
27は単機能ユニット15または前段の高機能ユニット17からの論理接続用信号である内部安全入力が与えられる内部安全入力回路である。28は瞬時用の安全出力回路、29はオフディレー用の安全出力回路、30は後段の高機能ユニット17に対して論理接続用信号である内部安全出力を出力する内部安全出力回路、31は増設ユニット19を接続するためのコネクタである。
【0059】
制御部としての第1,第2のCPU20,21は、安全入力回路25,26からの安全入力および接続入力部としての内部安全入力回路27からの内部安全入力に基づいて、プログラムに従って、安全出力回路28,29および内部安全出力回路30を制御して半導体出力(トランジスタ出力)である安全出力および内部安全出力を制御する。内部安全出力回路30は、半導体出力用のトランジスタを備えている。なお、第1のCPU20は、ドアロックスイッチ11に対するロック解除信号を出力する。
【0060】
再び、図5を参照して、この実施形態では、第1のセーフティコントローラ12が、上述の単機能ユニット15に対応し、第2のセーフティコントローラ13が高機能ユニット17に対応する。この実施形態の第2のセーフティコントローラ13は、第1のセーフティコントローラ12にANDで論理接続されるAND接続用のユニットである。
【0061】
第1のセーフティコントローラ12には、入力機器として非常停止スイッチ8から入力が与えられる。
【0062】
第2のセーフティコントローラ13には、入力機器としてのドアロックスイッチ11および作業スタートスイッチ9からの入力が与えられるとともに、通電許可用安全プラグホルダ7およびロック解除用安全プラグホルダ6の出力が与えられ、更に、第1のセーフティコントローラ12から論理接続用信号として内部安全入力が与えられる。
【0063】
次に、代表的な作業の動作手順を説明する。
【0064】
産業用ロボット3−1〜3−3を作動させて作業を開始させたいときには、作業者は、安全柵1の出入り口の扉4を閉止し、これによって、自動的にドアロックスイッチ11のロックが自動的にかかり、閉止信号が第2のセーフティコントローラ13に与えられる。
作業者は、6個の全ての安全プラグ10−1〜10−6を、通電許可用安全プラグホルダ7の各装着部7−1〜7−6にそれぞれ装着してそれぞれ回動操作し、これによって、通電許可用安全プラグホルダ7から通電許可信号が第2のセーフティコントローラ13に与えられる。
【0065】
作業者は、非常停止スイッチ8が解除されていることを確認後、作業スタートスイッチ9を押下する。
【0066】
これによって、第2のセーフティコントローラ13には、第1のセーフティコントローラ12からの安全側の内部安全入力が入力される一方、ドアロックスイッチ11からの扉4が閉止していることを示す安全側の閉止信号が入力され、通電許可用安全プラグホルダ7から安全側の通電許可信号が入力され、更に、作業スタートスイッチ9からスタート信号が入力されるので、第2のセーフティコントローラ13は、各産業用ロボット3−1〜3−3のモータ3−1M〜3−3Mを駆動して産業用ロボット3−1〜3−3の運転を開始する。
【0067】
すなわち、AND接続用の第2のセーフティコントローラ13は、第1のセーフティコントローラ12からの論理接続用の内部安全入力が安全側であって、かつ、当該第2のセーフティコントローラ13に入力される通電許可用安全プラグホルダ7等の入力が安全側であるときに、産業用ロボット3−1〜3−3のモータ3−1M〜3−3Mを駆動して産業用ロボット3−1〜3−3の運転を開始することができ、また、後段にセーフティコントローラが接続されているときには、論理接続用信号として安全側の内部安全出力を出力するものである。
【0068】
したがって、例えば、第1のセーフティコントローラ12に接続されている非常停止スイッチ8が押下されると、第1のセーフティコントローラ12からの内部安全入力が危険側の状態となるので、第2のセーフティコントローラ13は、直ちに産業用ロボット3−1〜3−3のモータ3−1M〜3−3Mの駆動を停止して産業用ロボット3−1〜3−3を停止させるとともに、後段にセーフティコントローラが接続されているときには、論理接続用信号として危険側の内部安全出力を出力するものである。
【0069】
次に、産業用ロボット3−1〜3−3のメンテナンスなどのために作業者が設置エリア2内に入る必要が生じた場合には、例えば、作業が終了して産業用ロボット3−1〜3−3が停止している状態において、通電許可用安全プラグホルダ7に装着されている6個の安全プラグ10−1〜10−6の少なくとも1個を引き抜き、ロック解除用安全プラグホルダ6の装着部6−1〜6−6のいずれかに装着して回動操作する。これによって、第2のセーフティコントローラ13には、通電許可用安全プラグホルダ7から安全側であることを示す通電許可信号が入力されなくなり、すなわち、通電許可用安全プラグホルダ7からの入力が危険側の状態となるので、モータ3−1M〜3−3Mの駆動を禁止して産業用ロボット3−1〜3−3の作動を禁止する。
【0070】
また、ロック解除用安全プラグホルダ6からロック解除許可信号が入力されるので、第2のセーフティコントローラ13は、ドアロックスイッチ11に対して、ロック解除信号を出力してドアロックスイッチ11による扉4のロックを解除して扉4の開放を許容する。
【0071】
作業者は、扉4を開放して設置エリア2内に入って産業用ロボット3−1〜3−3のメンテナンスなどを行なう。この状態では、上述のように、通電許可用安全プラグホルダ7に装着される6個の安全プラグ6−1〜6−6の少なくとも1個は引き抜かれた状態であるので、第2のセーフティコントローラ13は、産業用ロボット3−1〜3−3の作動を禁止し、これによって、設置エリア2における作業者の安全が確保される。なお、この状態では、扉4が開放しているので、ドアロックスイッチ11から扉が閉止していることを示す安全側の閉止信号も入力されず、ドアロックスイッチ11の入力が危険側の状態であるので、産業用ロボット3−1〜3−3が作動することがない。
【0072】
(実施形態2)
図8は、本発明の他の実施形態の図1に対応する概略平面図であり、対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0073】
この実施形態の安全システムでは、作業者が設置エリア2内に入って産業用ロボット3−1〜3−3に対してティーチングなどを行なえるようにするものであり、設置エリア2内には、各産業用ロボット3−1〜3−3に個別的に対応する3個の制御ボックス32−1〜32−3が設置されている。
【0074】
各制御ボックス内32−1〜32−3には、図9に示すように、対応する産業用ロボット3−1〜3−3を非常停止させるための非常停止スイッチ33−1〜33−3と、対応する産業用ロボット3−1〜3−3を手動操作するための操作手段としてイネーブルスイッチ34−1〜34−3および上述の実施形態の6個の安全プラグ10−1〜10−6のいずれかが着脱自在な装着部36−1〜36−3を有する操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3が装備されている。
【0075】
イネーブルスイッチ34−1〜34−3は、制御ボックス32−1〜32−3からスイッチ本体を引き出し、該スイッチ本体を把持して操作するものであり、オフ状態の非操作位置から軽く押し込まれて中間操作位置に変位したときにオン状態となり、この中間操作位置から操作部材がさらに強く押し込まれて完全操作位置に達したときにオフ状態となる3ポジションの公知のスイッチであり、デッドマンスイッチとも称される。
【0076】
操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3は、図10に示すように、6個の安全10−1〜10−6のいずれかを装着部36−1〜36−3に装着して回動操作することにより、イネーブル許可信号を出力するものである。
【0077】
図11は、この実施形態の構成示す図であり、上述の図5に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0078】
この実施形態は、第1,第2のセーフティコントローラ12,13までの構成は、基本的に上述の実施形態と同様であり、この実施形態では、制御手段として、各産業用ロボット3−1〜3−3に個別的に対応する3個の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3が追加されており、各セーフティコントローラ37−1〜37−3によって、各産業用ロボット3−1〜3−3のモータ3−1M〜3−3Mの駆動が制御されて各産業用ロボット3−1〜3−3の運転が制御されるようになっている。
【0079】
これらの第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3は、AND接続用ではなく、前段の第2のセーフティコントローラ13に対して、ORで論理接続されるOR接続用の高機能ユニットである。
【0080】
したがって、前段の第2のセーフティコントローラ13の内部安全出力が危険側であっても、後述のように、イネーブルスイッチ34−1〜34−3によって対応する産業用ロボット3−1〜3−3をそれぞれ作動させることができるものである。
【0081】
OR接続用の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3には、入力機器としての非常停止スイッチ33−1〜33−3およびイネーブルスイッチ34−1〜34−3からの入力がそれぞれ与えられるとともに、操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3からの出力がそれぞれ与えられ、更に、前段の第2のセーフティコントローラ13から論理接続用信号として内部安全入力がそれぞれ与えられる。
【0082】
この第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3は、前段の第2のセーフティコントローラ13から安全側の内部安全入力が与えられているときには、非常停止スイッチ33−1〜33−3が押下されていない安全側であることを条件に、対応する産業用ロボット3−1〜3−3のモータ3−1M〜3−3Mを駆動して産業用ロボット3−1〜3−3を運転するものである。
【0083】
したがって、上述の実施形態で説明したように、前段の第2のセーフティコントローラ13に、第1のセーフティコントローラ12から安全側の内部安全入力が入力される一方、ドアロックスイッチ11からの扉4が閉止していることを示す安全側の閉止信号が入力され、通電許可用安全プラグホルダ7から安全側の通電許可信号が入力され、更に、作業スタートスイッチ9からスタート信号が入力されて、前段の第2のセーフティコントローラ13から安全側の内部安全出力が、後段の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3に与えられたときには、当該後段の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3の非常停止スイッチ33−1〜33−3が押下されていない安全側であることを条件に産業用ロボット3−1〜3−3の運転を開始して作業を開始するものである。
【0084】
更に、この実施形態の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3は、前段の第2のセーフティコントローラ13からの内部安全入力が危険側であっても、非常停止スイッチ33−1〜33−3が押下されていない安全側であることを条件に、安全プラグ10−1〜10−6が操作用安全プラグホルダ35に装着されて該操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3から安全側であるイネーブル許可信号が入力されており、かつ、イネーブルスイッチ34−1〜34−3から操作信号が与えられたときには、操作信号に応じて、対応する産業用ロボット3−1〜3−3のモータ3−1M〜3−3Mを駆動して産業用ロボット3−1〜3−3を個別に作動させるものである。
【0085】
すなわち、この実施形態では、作業者が設置エリア2内に入って、産業用ロボット3−1〜3−3に対するティーチングやメンテナンスなどのために、対応する産業用ロボット3−1〜3−3を手動操作によって個別に作動させることができるものである。
【0086】
この場合、作業者が設置エリア2に入るために、安全柵1の出入り口の扉4のロックを解除するまで手順は、上述の実施形態と同様である。
【0087】
すなわち、作業が終了して産業用ロボット3−1〜3−3が停止している状態において、通電許可用安全プラグホルダ7に装着されている6個の安全プラグ10−1〜10−6の少なくとも1個を引き抜き、ロック解除用安全プラグホルダ6の装着部6−1〜6−6のいずれかに装着して回動操作する。これによって、ロック解除用安全プラグホルダ6からロック解除許可信号が前段の第2のセーフティコントローラ13に入力されるので、第2のセーフティコントローラ13は、ドアロックスイッチ11に対して、ロック解除信号を出力してドアロックスイッチ11によるロックを解除して扉4の開放を許容する。なお、この状態では、通電許可用安全プラグホルダ7には、6個の安全プラグ10−1〜10−6の全てが揃っていないので、前段の第2のセーフティコントローラ13には、通電許可信号が入力されず、第2のセーフティコントローラ13からの論理接続用の内部安全出力は、危険側の状態となり、前段の第2のセーフティコントローラ13の内部安全出力によって産業用ロボット3−1〜3−3が作動することはない。
【0088】
次に、この実施形態では、ロック解除用安全プラグホルダ6から安全プラグ10−1〜10−6を引き吹き、ロックが解除された扉4を開放して設置エリア2内に入り、ティーチングなどを行なうとする産業用ロボット3−1〜3−3に対応する制御ボックス32−1〜32−3内の操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3に、安全プラグ10−1〜10−6を装着して回動操作する。これによって、対応する第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3には、操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3から安全側であるイネーブル許可信号が入力され、対応するイネーブルスイッチ34−1〜34−3の操作が有効な状態となる。
【0089】
作業者は、イネーブルスイッチ34−1〜34−3を操作し、これによって、対応する第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3に、オンの操作信号が入力されると、非常停止スイッチ33−1〜33−3が押下されていない安全側であることを条件に、対応するモータ3−1M〜3−3Mを駆動して対応する産業用ロボット3−1〜3−3を作動させる。
【0090】
これによって、作業者のイネーブルスイッチ34の操作に応じて、対応する産業用ロボット3−1〜3−3を作動させて、ティーチングやメンテンナンスを行なうことができる。
【0091】
図12は、各安全プラグホルダ6,7,35−1〜35−3における安全プラグの装着状態を示す図であり、この図に基づいて、上述の各状態について説明する。なお、操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3は、1個のみを代表的に示している。
【0092】
先ず、同図(a)は産業用ロボット3−1〜3−3の起動許可状態を示しており、6個の安全プラグ10−1〜10−6の全てが、通電許可用安全プラグホルダ7に装着されている状態を示している。この状態は、前段の第2のセーフティコントローラ13に対して、通電許可用安全プラグホルダ7から安全側であることを示す通電許可信号が入力されている状態である。
【0093】
したがって、この状態では、上述のように、前段の第2のセーフティコントローラ13に、第1のセーフティコントローラ12からの安全側の内部安全入力が入力され、ドアロックスイッチ11からの扉4が閉止していることを示す安全側の閉止信号が入力され、作業スタートスイッチ9からスタート信号が入力されることを条件に、後段の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3に、論理接続用の安全側の内部安全入力が入力されることになる。
【0094】
したがって、後段の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3は、非常停止スイッチ33−1〜33−3が押下されていない安全側であることを条件に、対応する各モータ3−1M〜3−3Mを駆動して各産業用ロボット3−1〜3−3の運転を開始して作業を行なうことができるものである。
【0095】
同図(b)は、通電許可用安全プラグホルダ7の6個の安全プラグ10−1〜10−6の1個を引き抜いてロック解除用安全プラグホルダ6に装着して回動操作した状態を示している。
【0096】
通電許可用安全プラグホルダ7には、6個に安全プラグ10−1〜10−6の全てが揃っていないので、前段の第2のセーフティコントローラ13には、通電許可用安全プラグホルダ7から安全側であることを示す通電許可信号が入力されておらず、したがって、前段の第2のセーフティコントローラ13は、後段の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3に対して、論理接続用の危険側の内部安全出力を出力することになる。
後段の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3は、前段の第2のセーフティコントローラ13から危険側の内部安全入力が入力され、また、操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3には、安全プラグが装着されていないので、イネーブルスイッチ34−1〜34−3の操作が有効とされることもなく、各産業用ロボット3−1〜3−3の運転を禁止し、各産業用ロボット3−1〜3−3は停止している。
【0097】
この状態は、ロック解除用安全プラグホルダ6からロック解除許可信号が前段の第2のセーフティコントローラ13に入力され、第2のセーフティコントローラ13は、ドアロックスイッチ11に対して、ロック解除信号を出力してドアロックスイッチ11によるロックを解除して扉4の開放を許容している状態である。
【0098】
したがって、この状態では、作業者は、扉4を開放して設置エリア2内に入って停止している産業用ロボット3−1〜3−3のメンテナンスなどを行なうことができる。
【0099】
同図(c)は、作業者が、ロック解除用安全プラグホルダ6に安全プラグ10−6を装着して操作することにより、安全柵1の出入り口の扉4のロックを解除した後、ロック解除用安全プラグホルダ6から安全プラグ10−6を引き抜いて扉4を開放して設置エリア2に入り、いずれかの産業用ロボット3−1〜3−3に対応する操作用安全プラグ35−1〜35−3に安全プラグ10−6を装着して回動操作した状態を示している。
【0100】
この状態では、通電許可用安全プラグホルダ7に6個の安全プラグ10−1〜10−6の全てが揃っていないので、前段の第2のセーフティコントローラ13には、通電許可用安全プラグホルダ7から安全側であることを示す通電許可信号が入力されておらず、したがって、前段の第2のセーフティコントローラ13は、後段の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3に対して、論理接続用の危険側の内部安全出力を出力することになる。
【0101】
後段の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3は、前段の第2のセーフティコントローラ13から危険側の内部安全入力が入力されるので、操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3に、安全プラグ10−6が装着されていない第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3では、イネーブルスイッチ34−1〜34−3の操作が有効とされる状態でもないので、対応する産業用ロボット3−1〜3−3の運転を禁止し、対応する産業用ロボット3−1〜3−3は停止している。
【0102】
一方、同図(c)に示されるように、操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3に、安全プラグ10−6が装着されている後段の第3のセーフティコントローラ37−1〜37−3では、操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3から安全側であるイネーブル許可信号が入力されてイネーブルスイッチ34−1〜34−3の操作が有効な状態とされ、この状態では、イネーブルスイッチ34−1〜34−3から操作信号が与えられたときには、操作信号に応じて、対応する産業用ロボット3−1〜3−3のモータ3−1M〜3−3Mを駆動して対応する産業用ロボット3−1〜3−3を作動させることができる。
したがって、安全プラグ10−6が装着されている操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3に対応する産業用ロボット3−1〜3−3のみがイネーブルスイッチ34−1〜34−3の操作に応じて作動することになる。
【0103】
(その他の実施形態)
上述の実施形態2では、操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3に着脱される安全プラグを、ロック解除用安全プラグホルダ6および通電許可用安全プラグホルダ7に着脱される安全プラグと共用したけれども、操作用安全プラグホルダ35−1〜35−3に着脱される安全プラグは、専用の安全プラグとし、例えば、熟練した作業者のみが利用できるようにしてもよい。
【0104】
安全プラグおよび安全プラグホルダは、上述の実施形態の構成に限らず、例えば、マグネットを利用して安全プラグの近接あるいは離間によって接点が開閉する非接触方式としてもよい。
【0105】
制御手段は、セーフティコントローラに限らず、複数の電磁リレーを内蔵したリレーユニットなどを用いて構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、工作機械や産業用ロボットなどの機械設備が設置された設置エリアにおける作業者の安全確保に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る安全システムの概略平面図である。
【図2】図1の管理ボックス内の構成を示す図である。
【図3】ロック解除用安全プラグホルダの構成を示す図である。
【図4】通電許可用安全プラグホルダの構成を示す図である。
【図5】図1の安全システムの構成図である。
【図6】セーフティコントローラを説明するための図である。
【図7】図6の高機能ユニットの構成図である。
【図8】本発明の他の実施形態の概略平面図である。
【図9】図8の制御ボックス内の構成を示す図である。
【図10】操作用安全プラグホルダの構成を示す図である。
【図11】図8の安全システムの構成図である。
【図12】各安全プラグホルダの安全プラグの装着状態を示す図である。
【符号の説明】
【0108】
1 安全柵
2 設置エリア
3−1〜3−3 産業用ロボット
6 ロック解除用安全プラグホルダ
7 通電許可用安全プラグホルダ
10−1〜10−6 通電許可用安全プラグホルダ
12,13 第1,第2のセーフティコントローラ
34−1〜34−3 イネーブルスイッチ
35−1〜35−3 操作用安全プラグホルダ
37−1〜37−3 第3のセーフティコントローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械設備が設置された設置エリアへの出入り口の扉のロックの解除を許可するロック解除許可手段と、
前記機械設備に対する通電を許可する通電許可手段と、
前記ロック解除許可手段の出力に基づいて、前記ロックの解除を制御するとともに、前記通電許可手段の出力に基づいて、前記機械設備の通電を制御して該機械設備の運転を制御する制御手段とを備え、
前記通電許可手段は、複数の安全プラグが着脱自在であって、かつ、前記複数の安全プラグの全てが装着された状態で通電許可信号を出力する通電許可用安全プラグホルダを有するとともに、該通電許可用安全プラグホルダが前記設置エリア外に配置され、
前記ロック解除許可手段は、前記安全プラグが着脱自在であって、かつ、前記複数の安全プラグの少なくともいずれか一つが装着された状態でロック解除許可信号を出力するロック解除用安全プラグホルダを有するとともに、該ロック解除用安全プラグホルダが前記設置エリア外に配置され、
前記制御手段は、前記ロック解除許可信号が与えられたときに、前記ロックを解除し、 前記通電許可信号が与えられていないときには、前記機械設備の運転を禁止することを特徴とする安全システム。
【請求項2】
前記設置エリア内に、前記機械設備の作動を可能にする操作手段を設け、該操作手段は、操作用安全プラグが着脱自在な操作用安全プラグホルダとイネーブルスイッチとを備え、前記操作手段は、前記操作用安全プラグが前記操作用安全プラグホルダに装着された状態で前記イネーブルスイッチの操作を許可するイネーブル許可信号を出力するものであり、
前記制御手段は、イネーブル許可信号が与えられていないときには、前記イネーブルスイッチの操作を無効として該操作に応じた前記機械設備の作動を禁止する一方、イネーブル許可信号が与えられているときには、前記通電許可信号に拘らず、前記イネーブルスイッチの操作を有効として該操作に応じて、前記機械設備を作動させる請求項1に記載の安全システム。
【請求項3】
前記操作用安全プラグと、前記ロック解除用安全プラグホルダおよび前記通電許可用安全プラグホルダに装着される前記安全プラグとを共用する請求項2に記載の安全システム。
【請求項4】
前記制御手段は、入力機器からの入力に基づいて、安全出力制御対象に安全出力を与えて前記機械設備の運転を制御するものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の安全システム。
【請求項5】
前記制御手段には、前記出入り口の前記扉の開閉を検知する前記入力機器としてのドアスイッチからの入力が与えられ、前記制御手段は、前記扉が開放している状態では、前記機械設備の運転を禁止するものである請求項4に記載の安全システム。
【請求項1】
機械設備が設置された設置エリアへの出入り口の扉のロックの解除を許可するロック解除許可手段と、
前記機械設備に対する通電を許可する通電許可手段と、
前記ロック解除許可手段の出力に基づいて、前記ロックの解除を制御するとともに、前記通電許可手段の出力に基づいて、前記機械設備の通電を制御して該機械設備の運転を制御する制御手段とを備え、
前記通電許可手段は、複数の安全プラグが着脱自在であって、かつ、前記複数の安全プラグの全てが装着された状態で通電許可信号を出力する通電許可用安全プラグホルダを有するとともに、該通電許可用安全プラグホルダが前記設置エリア外に配置され、
前記ロック解除許可手段は、前記安全プラグが着脱自在であって、かつ、前記複数の安全プラグの少なくともいずれか一つが装着された状態でロック解除許可信号を出力するロック解除用安全プラグホルダを有するとともに、該ロック解除用安全プラグホルダが前記設置エリア外に配置され、
前記制御手段は、前記ロック解除許可信号が与えられたときに、前記ロックを解除し、 前記通電許可信号が与えられていないときには、前記機械設備の運転を禁止することを特徴とする安全システム。
【請求項2】
前記設置エリア内に、前記機械設備の作動を可能にする操作手段を設け、該操作手段は、操作用安全プラグが着脱自在な操作用安全プラグホルダとイネーブルスイッチとを備え、前記操作手段は、前記操作用安全プラグが前記操作用安全プラグホルダに装着された状態で前記イネーブルスイッチの操作を許可するイネーブル許可信号を出力するものであり、
前記制御手段は、イネーブル許可信号が与えられていないときには、前記イネーブルスイッチの操作を無効として該操作に応じた前記機械設備の作動を禁止する一方、イネーブル許可信号が与えられているときには、前記通電許可信号に拘らず、前記イネーブルスイッチの操作を有効として該操作に応じて、前記機械設備を作動させる請求項1に記載の安全システム。
【請求項3】
前記操作用安全プラグと、前記ロック解除用安全プラグホルダおよび前記通電許可用安全プラグホルダに装着される前記安全プラグとを共用する請求項2に記載の安全システム。
【請求項4】
前記制御手段は、入力機器からの入力に基づいて、安全出力制御対象に安全出力を与えて前記機械設備の運転を制御するものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の安全システム。
【請求項5】
前記制御手段には、前記出入り口の前記扉の開閉を検知する前記入力機器としてのドアスイッチからの入力が与えられ、前記制御手段は、前記扉が開放している状態では、前記機械設備の運転を禁止するものである請求項4に記載の安全システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−198560(P2007−198560A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20577(P2006−20577)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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