安全杭
本発明は、長手の管材(103)およびこの管材(103)の内側に配置されたロック装置(105)を備える安全杭(101)に関する。安全杭(101)は杭保持装置(201)に取付けることができる。ロック装置(105)はレバーおよび付勢ばね装置(109)を有しており、付勢ばね装置はレバー(107)を付勢させて管材(103)の壁面の内面(131)を押圧させる。レバー(107)には、壁面の第1開口部を通り抜けて張出すロック用突起部(113)と、壁面の第2開口部を通り抜けて張出す解放用突起部(115)とが設けられる。解放用突起部(115)はロック用突起部(113)から或る距離の位置に配置されている。解放用突起部(115)を反付勢方向に作動させることにより、ロック用突起部(113)は管材の外面の内側の解放位置まで後退させることができる。解放用突起部(115)には支持面が設けられ、解放用突起部の支持面は、杭保持装置(201)の支持面に当接させた状態で安全杭(101)を支えるように配置され、解放用突起部(115)がロック用突起部(113)と連動させられるにあたり、解放位置では、解放用突起部が管材の外面から或る程度まで依然として突出したままになるようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細長い管状部材、および、この管状部材の内側に載置されたロック装置を備える安全杭に関するものである。
【背景技術】
【0002】
安全杭は、地面、階段、または、それ以外の場所に設置するための安全障壁として、または、建築中または修繕中の建築物に設けられて作業員や器具が落下するのを防ぐ断崖安全確保材として、安全システムの一部として使用される。安全策は足場用の杭としても利用されることがある。安全杭は杭保持装置に取付けることができるが、杭保持装置は、例えば、地面またはそれ以外の基盤、もしくは、足場用の枠部材などのような一般的な部材に取付けられる、または、載置される特別な支持体である。安全杭を取付けたり取外したりする場合、杭保持装置に安全装置を嵌込んだり、そこから取外したりするのが簡単なのが便利である。幾つかの異なる種類のロック装置でもスナップ式の嵌込み様式で、杭を杭保持装置にロックするものが開発されている。
【0003】
日本特許出願JP-11-152892号において、スナップ式の嵌込み型の手摺ロック装置が開示されている。このロック装置は手摺の管材の一端に配置され、バネによりロック位置に付勢されるレバーを備えている。レバーにはロック用突起部が設けられており、管材の壁面の第1穴を貫通して張出しているとともに、解放用突起部も設けられており、壁面の第2穴を貫通して反対方向に張出している。レバーはシーソーのように作用し、すなわち、両突起部の間に置かれた旋回部を中心として旋回する。付勢ばねはロック用突起部と旋回部との間に設置されて、レバーから管材の壁面の内面まで、解放用突起部と同じ方向すなわちロック用突起部の張出し方向とは反対方向に伸びる。従って、付勢ばねは連続してロック突起部を強制的に第1穴から外に押出し、これと同時に、解放用突起部を強制的に第2穴から外に押出す。ロック用突起部は、手摺受入れ部の内側に載置されると、受入れ部の壁面に設けられた穴を突き抜けて張出すことにより、受入れ部において手摺の管材をロックし、手摺が受入れ部から偶発的に持ち上がるのを防止している。管材の端面は、受入れ部から内向きに延びている、または、受入れ部を通り抜けて延びている留めピンに当接支持されている。従って、留めピンは受入れ部において管材の垂直位置を規定することで、ロック用突起部を受入れ部の壁面の穴と整合させて手摺を支持するように図っている。
【0004】
管材が受入れ部内に載置されてしまうと、ロック用突起部が受入れ部と嵌合して、手摺が受入れ部から外に引き出されるのを防いでいる。手摺を受入れ部から取出すためには、解放用突起部が押し込まれるだけでよい。これにより、レバーが旋回部を中心として旋回し、ロック用突起部が後退して自らが管材の壁面の穴に載置される位置まで移動するが、この位置ではロック用突起部が壁面の外表面から突出することはない。これにより、ロック用突起部は、もはや受入れ部と嵌合状態になることはなく、手摺を取外すことができる。
【0005】
このような先行技術のロック装置は付勢され旋回可能なレバーの好適な原理と協働する。しかしながら、管材を支持してロック装置を正確に整合させるのに、受入れ部の位置に留めピンが存在していることに依存するのは不利である。
【0006】
日本特許出願JP-09-302922号において、ロック装置は第1管材の端部に配置されており、このようなロック装置はバネによりロック位置に向けて付勢されるロック部材を備えている。ロック部材は管材壁面の第1穴を通り抜けて張出すロック用突起部と、壁面の第2穴を通り抜けて同じ方向に張出す解放用突起部とを備えている。第1管材は、これより僅かに直径が大きいとともに壁面にロック用穴が設けられている第2管材と接合することができる。第1管材と第2管材の接合時には、ロック用突起部がロック用穴を通って張出し、第2管材の端部は解放用突起部に当接する。両方の管材を取外すには、解放用突起部を管材の中に押し込むだけでよい。それにより、ロック用突起部が第1管材の内部の位置まで後退する。それにより、ロック用突起部は、もはや第2管材との係合が解除され、第2管材を取外すことができる。重力のような接合力がある場合には、ロック用突起部が解放状態になっても、第2管材が更に第1管材に向けて少しだけ移動するが、解放用突起部が係止後退するだけである。
【0007】
【特許文献1】日本特許出願JP-11-152892号
【特許文献2】日本特許出願JP-09-302922号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような先行技術のロック装置の欠点は、簡単な方法で第1管材を更に第2管材の中に押し込むことができなことであり、これができると多くの状況で有利である。
【0009】
従って、本発明の目的は、先行技術の上述の欠陥を緩和する安全杭を提供することである。
この目的は、添付の特許請求の範囲の請求項1に規定されているような安全杭によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明に従って、細長い管材と、この管材の内側で、その第1端に配置されたロック装置とを備える安全杭が提示される。第1端は杭保持装置に受け入れられるよう構成されている。「杭保持装置」という語は、安全杭の第1端を受け入れるのに適した構成になっている装置なら、あらゆる種類のものを意味する。例えば、第1端は特別に形成された支持装置であってもよいし、または、別な管材の単なる端部であってもよい。ロック装置は、レバーと、付勢ばね装置とを含んでおり、付勢ばね装置は管材の壁面の内面を押圧するようにレバーを付勢させる。レバーは管材壁面の第1開口部を通り抜けて張出して管材壁面の外面から突出するロック用突起部と、管材壁面の第2開口部を通り抜けて張出して管材壁面の外面から突出する解放用突起部とを含んでいる。解放用突起部はロック用突起部から或る距離の位置で、且つ、ロック用突起部よりも管材の第1端から遠隔位置に配置されている。ロック用突起部は、第1作動段階で反付勢方向に解放用突起部を作動させることにより管材の外面の内側の解放位置に後退させることができるが、解放用突起に第1作動力が及ぼされるのを要件とする。解放用突起部には支持面が設けられており、この支持面は安全杭を杭保持装置の支持面に当接させて支持する構成になっている。解放用突起部がロック用突起部と連動させられるにあたり、解放突起部は、解放位置にある時にも依然として壁面の外面から突出している。解放用突起部を突出していない位置に後退させる手段として、第2作動段階で解放用突起部を反付勢方向に更に作動させる方法を採るが、これには、第1の作動力よりも著しく高い第2の作動力が要件となる。
【0011】
解放用突起部に支持面を設けることにより、安全杭は、それを支持する杭保持装置のどの特定の構成からも独立した状態となる。例えば、杭保持装置の支持面は装置端面にすぎない場合もある。しかし、勿論のことながら、所望に応じて、杭保持装置は支持面として機能する何らかの特別な面部分が設けられていてもよい。更に、解放用突起部は、管材の中に押し込まれることでロック突起部を解放した後でも、依然として管材の外面から突出しているせいで、安全杭は解放用突起部の支持面によって支持されたままとなる。これにより、安全杭が杭保持装置の中に更に入り込む危険を排除することができるか、または、そのような危険を少なくとも緩和することができるが、いずれにしても、支持面による支持の持続が無ければ行い得ないことである。しかしながら、以下で更に説明するが、安全杭を杭保持装置の中に更に入り込ませる意図のもとに、解放用突起部を管材の中に更に押し込むことができる実施形態を排除するものではない。
【0012】
第1開口部および第2開口部は、例えば、それぞれの突起部の異なる寸法に適した別個の穴であってもよいし、または、1個の細長い共用スリットであってもよい点に留意するべきである。更に、「管・管状」という語は断面形状が円形のものはもとより、多様な多角形の断面形状を有しているものも包含している。
【0013】
更に、解放用突起部は2段階作動式に作動させることができる。解放用突起部に第1作動力が加えられることを要件とする第1作動段階において、解放用突起部は解放位置に達するが、この時でも、解放用突起部は、依然として、或る程度は管材外面から突出している。第1作動力よりも著しく高い第2作動力を要件とする第2作動段階において、解放用突起部は作動により突出しない位置に達する。
【0014】
このように、所望に応じて、管材の壁面の外面の内側に解放用突起部が完全に隠れてしまう状態になるように解放用突起部を作動させることができる。第2作動段階に必要な第1作動力よりも著しく高い力のおかげで、解放用突起部が完全に管材の中に押し込まれてしまうという不測の事態が起こる危険は実質的に緩和される。従って、杭保持装置に安全杭を取付けるのに2点支持を実施することができる。特に、これは、安全杭がメッシュパネルを支えるための一時的な安全障壁に用いられるのを典型例とする断崖安全確保の応用例に有用である。この場合、建造物を積み上げる上述とは異なる複数の段階ごとに杭の高さを変更することができるのが有利なことが多い。この実施形態は、このような応用例において安全杭の高さを変更する簡単な手段を提供する。
【0015】
安全杭の一実施形態によると、安全杭は2段階作動に備えたレバーの構成である。
【0016】
安全杭の一実施形態によると、レバーを吊り下げる態様として、第1作動段階の間は、第1作動力と、その反作用の、付勢ばね装置によって生成される力とが第1の長さ係数を有しているトルクアームに作用し、更に、第2作動段階の間は、第2作動力と、その反作用の、付勢ばね装置によって生成される力とが第2の長さ係数を有しているトルクアームに作用するようにされるが、この場合、第2の長さ係数は第1の長さ係数よりも小さい。換言すると、ロック装置の構成としては、トルクアームのうちの少なくとも一方は第2作動段階の間と第1作動段階の間とで異なるようにする構成となっている。
【0017】
安全杭の一実施形態によると、レバーには第1旋回部が設けられており、第1作動段階の間は、この旋回部を中心としてレバーが旋回する配置にされ、レバーには第2旋回部が更に設けられており、第2作動段階の間は、この旋回部を中心としてレバーが旋回する配置にされている。それにより、2段階機能が有利に達成される。
【0018】
安全杭の一実施形態によると、第1旋回部および第2旋回部は解放用突起部の互いに異なる側に形成され、例えば、レバーの両側端部に形成される。この実施形態においては、とりわけ、上述の、両トルクアームの互いに異なる長さ係数を達成するのが容易である。
【0019】
安全杭の一実施形態によると、レバーには細長い主要部が設けられているが、この主要部は管材の実質的に長手方向軸線の方向に延びているとともに、この主要部は第1旋回部を含んでおり、この主要部には両突起部が接続されており、レバーには細長い端部が更に設けられており、この端部は主要部に対して或る角度をなして接続されているとともに、この端部は第2旋回部を含んでいる。例えば、この実施形態は簡単な方法で実現されるが、その態様は、レバーが第1部分を中心としてまず旋回して、最終的に端部の極端点が管材の壁面の内面に達した時には、端部の極端点を中心として更に旋回する。
【0020】
安全杭の実施形態によると、解放用突起部の2段階式の作動を達成する手段として、バネ装置を単独で使用する方法、または、上述の各種実施形態を組合せた方法がある。例えば、バネ装置のバネ定数は第2段階中のほうが第1段階中よりも大きく、または、バネ装置は少なくとも2種類の互いに異なるばね部材を備えており、ばね部材の少なくとも1つは連続作動され、且つ、ばね部材の少なくとも1つは第2段階中だけ作動され、それにより、第2段階中にバネ装置によって生成される反力を増大させる。
【0021】
本発明の上記の観点、特徴、および、利点と、それ以外の観点、特徴、および、利点は以下に記載されている実施形態から明らかになるとともに、それら実施形態を参照すれば明瞭となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
ここで添付の図面を参照しながら本発明をより詳細に説明してゆく。
本発明による安全杭101の第1の実施形態は管材103およびロック装置105を備えており、ロック装置は管材103の一端104に取付けられている。図面が例示しているのは安全杭101の一部のみであるため、安全杭101の他方端は図示されていない。ロック装置はレバー107および付勢ばね装置109を備えている。この実施形態において、付勢ばね装置は1個のバネ109から構成されており、バネの一方端はレバー107のバネ台座111に取付けられているが、バネ台座は突出形状を呈している。バネ109は管材103に対して略直交方向に延びている。バネ109の長さの選択は、常に少なくとも僅かだけ圧縮することでレバー107を付勢させて管材103の内面131に当接させるように設定されている。レバー107は管材103の長手方向軸線の方向に延びている細長い主要部117と、主要部117の一端に接続されている細長い端部119とを備えているが、端部119は主要部117に対して直交して延びており、すなわち、管材103に対して略直交方向に延びている。主要部117は端部119に近接した位置にロック用突起部113を有しているとともに、解放用突起部115が設けられているが、解放用突起部115はロック用突起部113からレバー107の一端すなわち第1端121に向けて或る距離に配置されており、レバーの第1端121は主要部117の自由端でもある。レバー107の他方端、すなわち、第2端123は端部119の自由端である。
【0023】
ロック用突起部113は、図1aに例示されているような、ロック装置の基本位置すなわちロック位置にある時には、第1開口部125を通り抜けて延びており、この第1開口部125は管材103の貫通孔であり、より詳細に説明すると、管材103の壁面103の貫通孔である。更に、ロック用突起部113は、以下で更に説明するように、杭保持装置と係合することができるようにするために、外面129から突出している。ロック用突起部113には、管材103の端部104に向けて斜行方向にスナップ式に嵌まる面が設けられているとともに、この面とは反対方向を向いている係合面114も有しており、すなわち、係合面114は解放用突起部115に対面している。係合面114は、このロック位置にある状態では、管材103から放射方向に張出している。
【0024】
解放用突起部115は壁面103の第2開口部127を通り抜けて延びて管材103の外面129から突出し、後段で更に説明するように、杭保持装置に取付けられると、杭保持装置と係合して安全杭101に対する支持部材として作用することができるようになる。よって、解放用突起部115には支持面116が設けられているが、この支持面はロック用突起部113の係合面に対面しているとともに係合面に平行に延びている。
【0025】
図1bには解放位置が例示されており、ここでは、解放用突起部115が第1作動段階において作動状態であり、同図では管材の中に押し込まれてはいるものの、依然として外面129から突出したままであるが、ロック位置にある状態よりも突出の程度は少ない。付勢ばね109は、解放用突起部115とレバー107の上述の第1端121との間に設置されているため、これが解放用突起部115を押すと、第1旋回部を構成しているレバー107が第1端121を中心として旋回する。その結果、レバー107の第2端123が第1開口部125とは反対側の内面131に向けて移動し、最終的にはレバー107は内面131に達する。
【0026】
図1cにおいては、杭調節位置が例示されている。同図では、解放用突起部115が第2作動段階において更に作動して突出していない位置まで移動し、すなわち、管材103の外面からもはや突出してはいないが、外面と概ね同一平面に先端が来る位置まで移動する。この第2作動段階の間、レバー107はレバーの第2端123を中心として旋回し、すなわち、内面131と当接しているレバー107の直交方向に延びる端部119の自由端を中心として旋回する。このようにして、レバー107の第2端123は第2旋回部は構成している。
【0027】
上述の第1作動段階および第2作動段階の最中に解放用突起部115を管材の中に押し込むのに要する力は、それぞれ異なっている。これは、レバーのトルクアーム作用部相互の異なる長さ係数のせいである。図1bに例示されているように、第1作動段階において、解放用突起部115に加えられる作動力は第1トルクアームA1に作用するが、第1トルクアームA1は、そこに及ぼされる作動力に反作用する、バネ109によって生成される力が加えられる第2トルクアームA2よりも長い。第1トルクアームは解放用突起部115の中心から第1旋回部121まで、第2トルクアームはバネ109の中心から第1旋回部121まで延びている。この結果、第1長さ係数はA1/A2>1を満たす。他方で、第2作動段階においては、図1cで分かるように、解放用突起部115に加えられる作動力はここでは第3トルクアームA3に作用するが、この第3トルクアームA3はバネ109によって使用される第4トルクアームA4よりも短い。第3トルクアームは解放用突起部115の中心から第2旋回部123まで、第4トルクアームはバネ109の中心から第2旋回部123まで延びている。従って、第2長さ係数はA3/A4<1を満たすようになる。第2長さ係数は第1長さ係数よりも小さく、その結果、第2作動段階に要する作動力は第1作動段階に要する作動力よりも高い。
【0028】
図1dは、ロック装置105が管材103に沿って移動することができる取付け・取外し位置を例示している。この位置は、ロック装置105を管材103に挿入する時に採用され、また、適宜、ロック装置を管材103から取外す時にも採用される。この取付け・取外し位置において、突起部113、115は両方とも完全に管材103の内側に入っており、すなわち、管材内面131の内側に位置している。
【0029】
図2aから図2dは杭保持装置201への安全杭101を取付け・取外しと、杭保持装置201に対する安全杭101の位置調節とを例示している。
【0030】
杭保持装置201は管状の保持部材203を有しており、この保持部材の内径は、安全杭101の管材103の外径よりも僅かに大きい。更に、杭保持装置201には係合用開口部205が設けられており、この開口部は管状の保持部材203の壁面の貫通孔である。管状の保持部材203の開放端207から、この開放端207に最も近接して配置されている開口部205の端面である係合面までの距離は、ロック用突起部113の係合面114から解放用突起部115の支持面116までの距離よりも僅かだけ短い。
【0031】
安全杭101を杭保持装置201に向けて移動させてその中に入れる場合には、ロック用突起部113のスナップ式の嵌合面112が開放端207の端面に当たることになる。スナップ式の嵌合面112は、斜行面であるため、開放端207の端面に当接したまま滑る。それにより、図2bに例示されているように、ロック用突起部113はバネ109の付勢力に抗しながら管材103の中に強制的に押込まれる。安全杭101は更に杭保持装置201の中に移動し、最終的には解放用突起部115の支持面116が開放端207の端面にぶつかる。これと同時に、ロック用突起部113は管状の保持部材203の係合用開口部205と整合状態となり、従って、付勢力により係合用開口部205に押通されることになる。その結果、図2cに例示されているロック位置に入る。この位置では、解放用突起部115の支持面116は管状の保持部材203の端部端面に当接する。通例、安全杭は直立位置で使用されるが、そうなると、安全杭、および、これに担架されている柵やメッシュパネルなどの重量が解放用突起部115によって支えられることになる。斯様にして、スナップ式の嵌合面のおかげで取付けが容易に自動的に行えるようになり、すなわち、使用者は安全杭101を杭保持装置201に入れるのに解放用突起部を押す必要がなくなる。
【0032】
ロック位置では、ロック装置105は、このようにして安全杭101を杭保持装置201にロックし、安全杭101が杭保持装置201から外れてしまうという望ましくない事態を防止している。安全杭101を杭保持装置201から取外したい場合は、解放用突起部115を単に押込むだけで、図2bで分かるように、解放位置に移行される。解放用突起部115の操作者が偶発的に解放用突起部115を管材103の中に更に押込むことは無いが、それは、解放位置に達すると抵抗が著しく増大するのに操作者が気づくせいである。この後、安全杭101を除去することができる。
【0033】
安全杭を降下させたければ、すなわち、安全杭を更に杭保持装置201の奥に移動させたければ、解放用突起部115を管材103の中に更に深く押込み、最終的に杭調節位置に移行させる。次に、安全杭101は更に降下されて杭保持装置201の奥深くに移動させられ、図2dを見れば分かるが、同図では、解放用突起部115は杭保持装置201の端部207を通り越して、管状の保持部材203の中を奥へ移動している。
【0034】
安全杭の代替の実施形態、および、より詳細には、ロック装置の代替の実施形態が図3aおよび図3bに例示されている。他の実施形態と同様に、安全杭301は管材303およびロック装置305を含んでいる。ロック装置305はレバー307と、レバー307のバネ台座311に接続されているバネ装置309とを含んでいる。レバー307は管材303の壁面に設けられた開口部321を通り抜けて延びるロック用突起部313と、壁面のまた別な開口部323を通り抜けて延びる解放用突起部315とを有している。レバー307は細長い主要部317および端部319を有している。他の実施形態との主たる相違は端部319であり、この端部319は、ロック装置305を管材303の中に取付ける前は第1位置にあって、主要部317と概ね一線に整列しているか、または、主要部に対して或る角度を成して張出している。ロック装置305を管材303の中に挿入した後は、端部319は主要部317に対して(更に深く)折れ曲がって第2位置に移動し、この位置は図3aに破線で例示されている。端部319が第2位置まで折れ曲がると、ロック用突起部313は管材303の壁面の開口部321と整合していなければならない。実際には、これはロック用装置がロック位置に来ることを意味しており、この位置では、突起部313は開口部321を通り抜け、突起部315は開口部323を通り抜けて張出し、管材303の外面327から突出する。端部319は、折れ曲がって第2位置に達してしまうと、管材303の内側空間の中で管材に対して略直交方向に延びる。この時、端部319はロック装置が管材303から取出されてしまうのを阻止するのに十分な長さがある。これは図3bから明らかであり、同図では、ロック装置は解放位置にあるが、ロック突起部313は管材303の壁面の内面325の内側に後退していない。たとえ解放用突起部315が内面325の内側の或る位置まで押込まれても、依然としてロック用突起部313は開口部321の中に或る程度まで張出したままである。
【0035】
更に別な実施形態が図4aから図4cおよび図5に例示されている。前述のロック装置の実施形態の代わりに、または、それと協働させて、より複雑なバネ装置を利用することができる。図4aから図4cに例示されているように、バネ装置409は2個のバネを備えているが、安全杭の残余の部分は上述の第1の実施形態に類似している。バネ装置409の基本バネ411は上述の実施形態に記載されているバネと一致しており、補助バネ413が付加されている。図4aのロック位置において、補助バネ413が管材403の内面405に達することは無いが、バネの端部と内面405との間には空隙407が存在している。図4bの解放位置において、補助バネ413は内面405と接触させられている。従って、解放用突起部415が調節位置まで移動する第2作動段階の間は、図4cに例示されているように、補助バネの反力が基本バネ411の反力に追加され、上述の実施形態において必要とされたものと比較すると、第2作動段階の間は作動力を増大させることが必要となる。
【0036】
しかしながら、代替例として、図4cにおいて破線で示されているように、角度付けされた端部が存在していないレバー420が利用されている。ここでは、第2旋回部が存在しないせいで、第1作動段階から第2作動段階までの間にトルクアームが変更になることはない。そこで、補助バネ413が単独で2段階機能に備えている。従って、第1作動段階は前述の第1作動段階と一致していることになるが、第2作動段階は、補助バネ413が管材403の内面405に達した瞬間から補助バネ413によって生成される補助反力によって限定される。
【0037】
図5では、代替のバネ装置509が例示されている。この装置はバネを1個しか備えていないが、バネは主要バネ部511と第2バネ部とを含んでおり、この第2バネ部のバネ定数は第1バネ部511のバネ定数よりも大きい。バネ部511、513は直列に接続されている。第1作動段階の間、主要バネ部のみが作動して、第1バネ力を供与する。主要バネ部は第1作動段階の間は完全に圧縮状態になる。その結果、第2作動段階の間、第2のバネ部が作動状態となり、前よりも高いバネ力を供与する。このバネ装置は、上述のバネ装置のいずれであれ、その代用として利用することができる。
【0038】
ここまで、本発明による安全杭の各実施形態を説明してきた。これらは、これらに限定されない具体例にすぎないものと理解するべきである。当業者には分かることであるが、本発明の範囲内で多数の修正例および代替実施形態が考えられる。
【0039】
本願の目的に適うように、また特に、添付の特許請求の範囲の各請求項に関連して、「備えている、含んでいる、有している、設けられている、〜から構成されている等」の語は他の構成部材または工程を排除するものではなく、各部材の単数表現はそれら部材が複数存在することを排除するものではなく、これらの語および表現は、本質的に、当業者には明瞭である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1a】本発明による安全杭の一実施形態の一部を長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図1b】安全杭の実施形態の一部を長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図1c】安全杭の実施形態の一部を長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図1d】安全杭の実施形態の一部を長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図2a】図1aから図1dの実施形態を杭保持装置と一緒に長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図2b】図1aから図1dの実施形態を杭保持装置と一緒に長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図2c】図1aから図1dの実施形態を杭保持装置と一緒に長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図2d】図1aから図1dの実施形態を杭保持装置と一緒に長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図3a】本発明による安全杭のまた別な一実施形態を長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図3b】安全杭の実施形態を長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図4a】本発明による安全杭の更に別な一実施形態を長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図4b】安全杭の実施形態を長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図4c】安全杭の実施形態を長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図5】本発明による安全杭のまた別な実施形態を長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、細長い管状部材、および、この管状部材の内側に載置されたロック装置を備える安全杭に関するものである。
【背景技術】
【0002】
安全杭は、地面、階段、または、それ以外の場所に設置するための安全障壁として、または、建築中または修繕中の建築物に設けられて作業員や器具が落下するのを防ぐ断崖安全確保材として、安全システムの一部として使用される。安全策は足場用の杭としても利用されることがある。安全杭は杭保持装置に取付けることができるが、杭保持装置は、例えば、地面またはそれ以外の基盤、もしくは、足場用の枠部材などのような一般的な部材に取付けられる、または、載置される特別な支持体である。安全杭を取付けたり取外したりする場合、杭保持装置に安全装置を嵌込んだり、そこから取外したりするのが簡単なのが便利である。幾つかの異なる種類のロック装置でもスナップ式の嵌込み様式で、杭を杭保持装置にロックするものが開発されている。
【0003】
日本特許出願JP-11-152892号において、スナップ式の嵌込み型の手摺ロック装置が開示されている。このロック装置は手摺の管材の一端に配置され、バネによりロック位置に付勢されるレバーを備えている。レバーにはロック用突起部が設けられており、管材の壁面の第1穴を貫通して張出しているとともに、解放用突起部も設けられており、壁面の第2穴を貫通して反対方向に張出している。レバーはシーソーのように作用し、すなわち、両突起部の間に置かれた旋回部を中心として旋回する。付勢ばねはロック用突起部と旋回部との間に設置されて、レバーから管材の壁面の内面まで、解放用突起部と同じ方向すなわちロック用突起部の張出し方向とは反対方向に伸びる。従って、付勢ばねは連続してロック突起部を強制的に第1穴から外に押出し、これと同時に、解放用突起部を強制的に第2穴から外に押出す。ロック用突起部は、手摺受入れ部の内側に載置されると、受入れ部の壁面に設けられた穴を突き抜けて張出すことにより、受入れ部において手摺の管材をロックし、手摺が受入れ部から偶発的に持ち上がるのを防止している。管材の端面は、受入れ部から内向きに延びている、または、受入れ部を通り抜けて延びている留めピンに当接支持されている。従って、留めピンは受入れ部において管材の垂直位置を規定することで、ロック用突起部を受入れ部の壁面の穴と整合させて手摺を支持するように図っている。
【0004】
管材が受入れ部内に載置されてしまうと、ロック用突起部が受入れ部と嵌合して、手摺が受入れ部から外に引き出されるのを防いでいる。手摺を受入れ部から取出すためには、解放用突起部が押し込まれるだけでよい。これにより、レバーが旋回部を中心として旋回し、ロック用突起部が後退して自らが管材の壁面の穴に載置される位置まで移動するが、この位置ではロック用突起部が壁面の外表面から突出することはない。これにより、ロック用突起部は、もはや受入れ部と嵌合状態になることはなく、手摺を取外すことができる。
【0005】
このような先行技術のロック装置は付勢され旋回可能なレバーの好適な原理と協働する。しかしながら、管材を支持してロック装置を正確に整合させるのに、受入れ部の位置に留めピンが存在していることに依存するのは不利である。
【0006】
日本特許出願JP-09-302922号において、ロック装置は第1管材の端部に配置されており、このようなロック装置はバネによりロック位置に向けて付勢されるロック部材を備えている。ロック部材は管材壁面の第1穴を通り抜けて張出すロック用突起部と、壁面の第2穴を通り抜けて同じ方向に張出す解放用突起部とを備えている。第1管材は、これより僅かに直径が大きいとともに壁面にロック用穴が設けられている第2管材と接合することができる。第1管材と第2管材の接合時には、ロック用突起部がロック用穴を通って張出し、第2管材の端部は解放用突起部に当接する。両方の管材を取外すには、解放用突起部を管材の中に押し込むだけでよい。それにより、ロック用突起部が第1管材の内部の位置まで後退する。それにより、ロック用突起部は、もはや第2管材との係合が解除され、第2管材を取外すことができる。重力のような接合力がある場合には、ロック用突起部が解放状態になっても、第2管材が更に第1管材に向けて少しだけ移動するが、解放用突起部が係止後退するだけである。
【0007】
【特許文献1】日本特許出願JP-11-152892号
【特許文献2】日本特許出願JP-09-302922号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような先行技術のロック装置の欠点は、簡単な方法で第1管材を更に第2管材の中に押し込むことができなことであり、これができると多くの状況で有利である。
【0009】
従って、本発明の目的は、先行技術の上述の欠陥を緩和する安全杭を提供することである。
この目的は、添付の特許請求の範囲の請求項1に規定されているような安全杭によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明に従って、細長い管材と、この管材の内側で、その第1端に配置されたロック装置とを備える安全杭が提示される。第1端は杭保持装置に受け入れられるよう構成されている。「杭保持装置」という語は、安全杭の第1端を受け入れるのに適した構成になっている装置なら、あらゆる種類のものを意味する。例えば、第1端は特別に形成された支持装置であってもよいし、または、別な管材の単なる端部であってもよい。ロック装置は、レバーと、付勢ばね装置とを含んでおり、付勢ばね装置は管材の壁面の内面を押圧するようにレバーを付勢させる。レバーは管材壁面の第1開口部を通り抜けて張出して管材壁面の外面から突出するロック用突起部と、管材壁面の第2開口部を通り抜けて張出して管材壁面の外面から突出する解放用突起部とを含んでいる。解放用突起部はロック用突起部から或る距離の位置で、且つ、ロック用突起部よりも管材の第1端から遠隔位置に配置されている。ロック用突起部は、第1作動段階で反付勢方向に解放用突起部を作動させることにより管材の外面の内側の解放位置に後退させることができるが、解放用突起に第1作動力が及ぼされるのを要件とする。解放用突起部には支持面が設けられており、この支持面は安全杭を杭保持装置の支持面に当接させて支持する構成になっている。解放用突起部がロック用突起部と連動させられるにあたり、解放突起部は、解放位置にある時にも依然として壁面の外面から突出している。解放用突起部を突出していない位置に後退させる手段として、第2作動段階で解放用突起部を反付勢方向に更に作動させる方法を採るが、これには、第1の作動力よりも著しく高い第2の作動力が要件となる。
【0011】
解放用突起部に支持面を設けることにより、安全杭は、それを支持する杭保持装置のどの特定の構成からも独立した状態となる。例えば、杭保持装置の支持面は装置端面にすぎない場合もある。しかし、勿論のことながら、所望に応じて、杭保持装置は支持面として機能する何らかの特別な面部分が設けられていてもよい。更に、解放用突起部は、管材の中に押し込まれることでロック突起部を解放した後でも、依然として管材の外面から突出しているせいで、安全杭は解放用突起部の支持面によって支持されたままとなる。これにより、安全杭が杭保持装置の中に更に入り込む危険を排除することができるか、または、そのような危険を少なくとも緩和することができるが、いずれにしても、支持面による支持の持続が無ければ行い得ないことである。しかしながら、以下で更に説明するが、安全杭を杭保持装置の中に更に入り込ませる意図のもとに、解放用突起部を管材の中に更に押し込むことができる実施形態を排除するものではない。
【0012】
第1開口部および第2開口部は、例えば、それぞれの突起部の異なる寸法に適した別個の穴であってもよいし、または、1個の細長い共用スリットであってもよい点に留意するべきである。更に、「管・管状」という語は断面形状が円形のものはもとより、多様な多角形の断面形状を有しているものも包含している。
【0013】
更に、解放用突起部は2段階作動式に作動させることができる。解放用突起部に第1作動力が加えられることを要件とする第1作動段階において、解放用突起部は解放位置に達するが、この時でも、解放用突起部は、依然として、或る程度は管材外面から突出している。第1作動力よりも著しく高い第2作動力を要件とする第2作動段階において、解放用突起部は作動により突出しない位置に達する。
【0014】
このように、所望に応じて、管材の壁面の外面の内側に解放用突起部が完全に隠れてしまう状態になるように解放用突起部を作動させることができる。第2作動段階に必要な第1作動力よりも著しく高い力のおかげで、解放用突起部が完全に管材の中に押し込まれてしまうという不測の事態が起こる危険は実質的に緩和される。従って、杭保持装置に安全杭を取付けるのに2点支持を実施することができる。特に、これは、安全杭がメッシュパネルを支えるための一時的な安全障壁に用いられるのを典型例とする断崖安全確保の応用例に有用である。この場合、建造物を積み上げる上述とは異なる複数の段階ごとに杭の高さを変更することができるのが有利なことが多い。この実施形態は、このような応用例において安全杭の高さを変更する簡単な手段を提供する。
【0015】
安全杭の一実施形態によると、安全杭は2段階作動に備えたレバーの構成である。
【0016】
安全杭の一実施形態によると、レバーを吊り下げる態様として、第1作動段階の間は、第1作動力と、その反作用の、付勢ばね装置によって生成される力とが第1の長さ係数を有しているトルクアームに作用し、更に、第2作動段階の間は、第2作動力と、その反作用の、付勢ばね装置によって生成される力とが第2の長さ係数を有しているトルクアームに作用するようにされるが、この場合、第2の長さ係数は第1の長さ係数よりも小さい。換言すると、ロック装置の構成としては、トルクアームのうちの少なくとも一方は第2作動段階の間と第1作動段階の間とで異なるようにする構成となっている。
【0017】
安全杭の一実施形態によると、レバーには第1旋回部が設けられており、第1作動段階の間は、この旋回部を中心としてレバーが旋回する配置にされ、レバーには第2旋回部が更に設けられており、第2作動段階の間は、この旋回部を中心としてレバーが旋回する配置にされている。それにより、2段階機能が有利に達成される。
【0018】
安全杭の一実施形態によると、第1旋回部および第2旋回部は解放用突起部の互いに異なる側に形成され、例えば、レバーの両側端部に形成される。この実施形態においては、とりわけ、上述の、両トルクアームの互いに異なる長さ係数を達成するのが容易である。
【0019】
安全杭の一実施形態によると、レバーには細長い主要部が設けられているが、この主要部は管材の実質的に長手方向軸線の方向に延びているとともに、この主要部は第1旋回部を含んでおり、この主要部には両突起部が接続されており、レバーには細長い端部が更に設けられており、この端部は主要部に対して或る角度をなして接続されているとともに、この端部は第2旋回部を含んでいる。例えば、この実施形態は簡単な方法で実現されるが、その態様は、レバーが第1部分を中心としてまず旋回して、最終的に端部の極端点が管材の壁面の内面に達した時には、端部の極端点を中心として更に旋回する。
【0020】
安全杭の実施形態によると、解放用突起部の2段階式の作動を達成する手段として、バネ装置を単独で使用する方法、または、上述の各種実施形態を組合せた方法がある。例えば、バネ装置のバネ定数は第2段階中のほうが第1段階中よりも大きく、または、バネ装置は少なくとも2種類の互いに異なるばね部材を備えており、ばね部材の少なくとも1つは連続作動され、且つ、ばね部材の少なくとも1つは第2段階中だけ作動され、それにより、第2段階中にバネ装置によって生成される反力を増大させる。
【0021】
本発明の上記の観点、特徴、および、利点と、それ以外の観点、特徴、および、利点は以下に記載されている実施形態から明らかになるとともに、それら実施形態を参照すれば明瞭となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
ここで添付の図面を参照しながら本発明をより詳細に説明してゆく。
本発明による安全杭101の第1の実施形態は管材103およびロック装置105を備えており、ロック装置は管材103の一端104に取付けられている。図面が例示しているのは安全杭101の一部のみであるため、安全杭101の他方端は図示されていない。ロック装置はレバー107および付勢ばね装置109を備えている。この実施形態において、付勢ばね装置は1個のバネ109から構成されており、バネの一方端はレバー107のバネ台座111に取付けられているが、バネ台座は突出形状を呈している。バネ109は管材103に対して略直交方向に延びている。バネ109の長さの選択は、常に少なくとも僅かだけ圧縮することでレバー107を付勢させて管材103の内面131に当接させるように設定されている。レバー107は管材103の長手方向軸線の方向に延びている細長い主要部117と、主要部117の一端に接続されている細長い端部119とを備えているが、端部119は主要部117に対して直交して延びており、すなわち、管材103に対して略直交方向に延びている。主要部117は端部119に近接した位置にロック用突起部113を有しているとともに、解放用突起部115が設けられているが、解放用突起部115はロック用突起部113からレバー107の一端すなわち第1端121に向けて或る距離に配置されており、レバーの第1端121は主要部117の自由端でもある。レバー107の他方端、すなわち、第2端123は端部119の自由端である。
【0023】
ロック用突起部113は、図1aに例示されているような、ロック装置の基本位置すなわちロック位置にある時には、第1開口部125を通り抜けて延びており、この第1開口部125は管材103の貫通孔であり、より詳細に説明すると、管材103の壁面103の貫通孔である。更に、ロック用突起部113は、以下で更に説明するように、杭保持装置と係合することができるようにするために、外面129から突出している。ロック用突起部113には、管材103の端部104に向けて斜行方向にスナップ式に嵌まる面が設けられているとともに、この面とは反対方向を向いている係合面114も有しており、すなわち、係合面114は解放用突起部115に対面している。係合面114は、このロック位置にある状態では、管材103から放射方向に張出している。
【0024】
解放用突起部115は壁面103の第2開口部127を通り抜けて延びて管材103の外面129から突出し、後段で更に説明するように、杭保持装置に取付けられると、杭保持装置と係合して安全杭101に対する支持部材として作用することができるようになる。よって、解放用突起部115には支持面116が設けられているが、この支持面はロック用突起部113の係合面に対面しているとともに係合面に平行に延びている。
【0025】
図1bには解放位置が例示されており、ここでは、解放用突起部115が第1作動段階において作動状態であり、同図では管材の中に押し込まれてはいるものの、依然として外面129から突出したままであるが、ロック位置にある状態よりも突出の程度は少ない。付勢ばね109は、解放用突起部115とレバー107の上述の第1端121との間に設置されているため、これが解放用突起部115を押すと、第1旋回部を構成しているレバー107が第1端121を中心として旋回する。その結果、レバー107の第2端123が第1開口部125とは反対側の内面131に向けて移動し、最終的にはレバー107は内面131に達する。
【0026】
図1cにおいては、杭調節位置が例示されている。同図では、解放用突起部115が第2作動段階において更に作動して突出していない位置まで移動し、すなわち、管材103の外面からもはや突出してはいないが、外面と概ね同一平面に先端が来る位置まで移動する。この第2作動段階の間、レバー107はレバーの第2端123を中心として旋回し、すなわち、内面131と当接しているレバー107の直交方向に延びる端部119の自由端を中心として旋回する。このようにして、レバー107の第2端123は第2旋回部は構成している。
【0027】
上述の第1作動段階および第2作動段階の最中に解放用突起部115を管材の中に押し込むのに要する力は、それぞれ異なっている。これは、レバーのトルクアーム作用部相互の異なる長さ係数のせいである。図1bに例示されているように、第1作動段階において、解放用突起部115に加えられる作動力は第1トルクアームA1に作用するが、第1トルクアームA1は、そこに及ぼされる作動力に反作用する、バネ109によって生成される力が加えられる第2トルクアームA2よりも長い。第1トルクアームは解放用突起部115の中心から第1旋回部121まで、第2トルクアームはバネ109の中心から第1旋回部121まで延びている。この結果、第1長さ係数はA1/A2>1を満たす。他方で、第2作動段階においては、図1cで分かるように、解放用突起部115に加えられる作動力はここでは第3トルクアームA3に作用するが、この第3トルクアームA3はバネ109によって使用される第4トルクアームA4よりも短い。第3トルクアームは解放用突起部115の中心から第2旋回部123まで、第4トルクアームはバネ109の中心から第2旋回部123まで延びている。従って、第2長さ係数はA3/A4<1を満たすようになる。第2長さ係数は第1長さ係数よりも小さく、その結果、第2作動段階に要する作動力は第1作動段階に要する作動力よりも高い。
【0028】
図1dは、ロック装置105が管材103に沿って移動することができる取付け・取外し位置を例示している。この位置は、ロック装置105を管材103に挿入する時に採用され、また、適宜、ロック装置を管材103から取外す時にも採用される。この取付け・取外し位置において、突起部113、115は両方とも完全に管材103の内側に入っており、すなわち、管材内面131の内側に位置している。
【0029】
図2aから図2dは杭保持装置201への安全杭101を取付け・取外しと、杭保持装置201に対する安全杭101の位置調節とを例示している。
【0030】
杭保持装置201は管状の保持部材203を有しており、この保持部材の内径は、安全杭101の管材103の外径よりも僅かに大きい。更に、杭保持装置201には係合用開口部205が設けられており、この開口部は管状の保持部材203の壁面の貫通孔である。管状の保持部材203の開放端207から、この開放端207に最も近接して配置されている開口部205の端面である係合面までの距離は、ロック用突起部113の係合面114から解放用突起部115の支持面116までの距離よりも僅かだけ短い。
【0031】
安全杭101を杭保持装置201に向けて移動させてその中に入れる場合には、ロック用突起部113のスナップ式の嵌合面112が開放端207の端面に当たることになる。スナップ式の嵌合面112は、斜行面であるため、開放端207の端面に当接したまま滑る。それにより、図2bに例示されているように、ロック用突起部113はバネ109の付勢力に抗しながら管材103の中に強制的に押込まれる。安全杭101は更に杭保持装置201の中に移動し、最終的には解放用突起部115の支持面116が開放端207の端面にぶつかる。これと同時に、ロック用突起部113は管状の保持部材203の係合用開口部205と整合状態となり、従って、付勢力により係合用開口部205に押通されることになる。その結果、図2cに例示されているロック位置に入る。この位置では、解放用突起部115の支持面116は管状の保持部材203の端部端面に当接する。通例、安全杭は直立位置で使用されるが、そうなると、安全杭、および、これに担架されている柵やメッシュパネルなどの重量が解放用突起部115によって支えられることになる。斯様にして、スナップ式の嵌合面のおかげで取付けが容易に自動的に行えるようになり、すなわち、使用者は安全杭101を杭保持装置201に入れるのに解放用突起部を押す必要がなくなる。
【0032】
ロック位置では、ロック装置105は、このようにして安全杭101を杭保持装置201にロックし、安全杭101が杭保持装置201から外れてしまうという望ましくない事態を防止している。安全杭101を杭保持装置201から取外したい場合は、解放用突起部115を単に押込むだけで、図2bで分かるように、解放位置に移行される。解放用突起部115の操作者が偶発的に解放用突起部115を管材103の中に更に押込むことは無いが、それは、解放位置に達すると抵抗が著しく増大するのに操作者が気づくせいである。この後、安全杭101を除去することができる。
【0033】
安全杭を降下させたければ、すなわち、安全杭を更に杭保持装置201の奥に移動させたければ、解放用突起部115を管材103の中に更に深く押込み、最終的に杭調節位置に移行させる。次に、安全杭101は更に降下されて杭保持装置201の奥深くに移動させられ、図2dを見れば分かるが、同図では、解放用突起部115は杭保持装置201の端部207を通り越して、管状の保持部材203の中を奥へ移動している。
【0034】
安全杭の代替の実施形態、および、より詳細には、ロック装置の代替の実施形態が図3aおよび図3bに例示されている。他の実施形態と同様に、安全杭301は管材303およびロック装置305を含んでいる。ロック装置305はレバー307と、レバー307のバネ台座311に接続されているバネ装置309とを含んでいる。レバー307は管材303の壁面に設けられた開口部321を通り抜けて延びるロック用突起部313と、壁面のまた別な開口部323を通り抜けて延びる解放用突起部315とを有している。レバー307は細長い主要部317および端部319を有している。他の実施形態との主たる相違は端部319であり、この端部319は、ロック装置305を管材303の中に取付ける前は第1位置にあって、主要部317と概ね一線に整列しているか、または、主要部に対して或る角度を成して張出している。ロック装置305を管材303の中に挿入した後は、端部319は主要部317に対して(更に深く)折れ曲がって第2位置に移動し、この位置は図3aに破線で例示されている。端部319が第2位置まで折れ曲がると、ロック用突起部313は管材303の壁面の開口部321と整合していなければならない。実際には、これはロック用装置がロック位置に来ることを意味しており、この位置では、突起部313は開口部321を通り抜け、突起部315は開口部323を通り抜けて張出し、管材303の外面327から突出する。端部319は、折れ曲がって第2位置に達してしまうと、管材303の内側空間の中で管材に対して略直交方向に延びる。この時、端部319はロック装置が管材303から取出されてしまうのを阻止するのに十分な長さがある。これは図3bから明らかであり、同図では、ロック装置は解放位置にあるが、ロック突起部313は管材303の壁面の内面325の内側に後退していない。たとえ解放用突起部315が内面325の内側の或る位置まで押込まれても、依然としてロック用突起部313は開口部321の中に或る程度まで張出したままである。
【0035】
更に別な実施形態が図4aから図4cおよび図5に例示されている。前述のロック装置の実施形態の代わりに、または、それと協働させて、より複雑なバネ装置を利用することができる。図4aから図4cに例示されているように、バネ装置409は2個のバネを備えているが、安全杭の残余の部分は上述の第1の実施形態に類似している。バネ装置409の基本バネ411は上述の実施形態に記載されているバネと一致しており、補助バネ413が付加されている。図4aのロック位置において、補助バネ413が管材403の内面405に達することは無いが、バネの端部と内面405との間には空隙407が存在している。図4bの解放位置において、補助バネ413は内面405と接触させられている。従って、解放用突起部415が調節位置まで移動する第2作動段階の間は、図4cに例示されているように、補助バネの反力が基本バネ411の反力に追加され、上述の実施形態において必要とされたものと比較すると、第2作動段階の間は作動力を増大させることが必要となる。
【0036】
しかしながら、代替例として、図4cにおいて破線で示されているように、角度付けされた端部が存在していないレバー420が利用されている。ここでは、第2旋回部が存在しないせいで、第1作動段階から第2作動段階までの間にトルクアームが変更になることはない。そこで、補助バネ413が単独で2段階機能に備えている。従って、第1作動段階は前述の第1作動段階と一致していることになるが、第2作動段階は、補助バネ413が管材403の内面405に達した瞬間から補助バネ413によって生成される補助反力によって限定される。
【0037】
図5では、代替のバネ装置509が例示されている。この装置はバネを1個しか備えていないが、バネは主要バネ部511と第2バネ部とを含んでおり、この第2バネ部のバネ定数は第1バネ部511のバネ定数よりも大きい。バネ部511、513は直列に接続されている。第1作動段階の間、主要バネ部のみが作動して、第1バネ力を供与する。主要バネ部は第1作動段階の間は完全に圧縮状態になる。その結果、第2作動段階の間、第2のバネ部が作動状態となり、前よりも高いバネ力を供与する。このバネ装置は、上述のバネ装置のいずれであれ、その代用として利用することができる。
【0038】
ここまで、本発明による安全杭の各実施形態を説明してきた。これらは、これらに限定されない具体例にすぎないものと理解するべきである。当業者には分かることであるが、本発明の範囲内で多数の修正例および代替実施形態が考えられる。
【0039】
本願の目的に適うように、また特に、添付の特許請求の範囲の各請求項に関連して、「備えている、含んでいる、有している、設けられている、〜から構成されている等」の語は他の構成部材または工程を排除するものではなく、各部材の単数表現はそれら部材が複数存在することを排除するものではなく、これらの語および表現は、本質的に、当業者には明瞭である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1a】本発明による安全杭の一実施形態の一部を長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図1b】安全杭の実施形態の一部を長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図1c】安全杭の実施形態の一部を長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図1d】安全杭の実施形態の一部を長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図2a】図1aから図1dの実施形態を杭保持装置と一緒に長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図2b】図1aから図1dの実施形態を杭保持装置と一緒に長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図2c】図1aから図1dの実施形態を杭保持装置と一緒に長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図2d】図1aから図1dの実施形態を杭保持装置と一緒に長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図3a】本発明による安全杭のまた別な一実施形態を長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図3b】安全杭の実施形態を長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図4a】本発明による安全杭の更に別な一実施形態を長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図4b】安全杭の実施形態を長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図4c】安全杭の実施形態を長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【図5】本発明による安全杭のまた別な実施形態を長手方向軸線の方向に例示した、概略縦断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い管材と、前記管材の内側で、その第1端に配置されたロック装置とを備えた安全杭であって、前記第1端は杭保持装置に受け入れられるよう構成されており、前記ロック装置は、レバーと、付勢ばね装置とを含んでおり、前記付勢ばね装置は前記管材の壁面の内面を押圧するように前記レバーを付勢させ、前記レバーは前記管材の壁面の第1開口部を通り抜けて張出して管材壁面の外面から突出するロック用突起部と、前記管材壁面の第2開口部を通り抜けて張出して管材壁面の外面から突出する解放用突起部とを含んでおり、前記解放用突起部はロック用突起部から或る距離の位置で、且つ、前記ロック用突起部よりも前記管材の第1端から遠隔位置に配置されており、前記ロック用突起部は、第1作動段階で反付勢方向に前記解放用突起部を作動させることにより前記管材の外面の内側の解放位置に後退させることができるが、解放用突起に第1作動力が及ぼされるのを要件とし、前記解放用突起部には支持面が設けられており、前記支持面は前記安全杭を前記杭保持装置の支持面に当接させて支持する構成になっており、前記解放用突起部が前記ロック用突起部と連動させられるにあたり、解放突起部は、解放位置にある時にも、依然として前記管材の外面から突出しているように構成され、前記解放用突起部を突出していない位置に後退させる手段として、第2作動段階で解放用突起部を反付勢方向に更に作動させる方法を採るために、前記第1の作動力よりも著しく高い第2の作動力が要件となることを特徴とする、安全杭。
【請求項2】
前記レバーは、前記第1作動段階および前記第2作動段階を実施するような構成になっていることを特徴とする、請求項1に記載の安全杭。
【請求項3】
前記レバーが吊り下げられる態様として、前記第1作動段階の間は、前記第1の作動力とそれに対する反作用である、前記付勢ばね装置によって生成される力とが第1の長さ係数を有しているトルクアームに作用し、更に、前記第2作動段階の間は、第2作動力とそれに対する反作用である、付勢ばね装置によって生成される力とが第2の長さ係数を有しているトルクアームに作用するように構成され、第2の長さ係数は第1の長さ係数よりも小さいことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の安全杭。
【請求項4】
前記レバーには第1旋回部が設けられており、前記第1作動段階の間は前記第1旋回部を中心としてレバーが旋回する構成にされており、前記レバーには第2旋回部が更に設けられており、前記第2作動段階の間は、前記第2旋回部を中心としてレバーが旋回する構成にされていることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の安全杭。
【請求項5】
前記第1旋回部および前記第2旋回部は前記解放用突起部の互いに異なる側に形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の安全杭。
【請求項6】
前記第1旋回部および前記第2旋回部は前記レバーの両側端部に形成されていることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の安全杭。
【請求項7】
前記レバーには細長い主要部が設けられており、前記主要部は前記管材の実質的に長軸線方向に延びており、前記主要部は前記第1旋回部を含んでおり、更に、前記主要部には前記解放用突起部および前記ロック用突起部が接続されており、また、前記レバーには細長い端部が更に設けられており、前記端部は前記主要部に対して或る角度をなして接続されているとともに、前記端部は前記第2旋回部を含んでいることを特徴とする、請求項4から請求項6のいずれかに記載の安全杭。
【請求項8】
前記端部は、前記管材に前記ロック装置を取付ける前に前記主要部に対して第1位置にくる構成にされるとともに、前記端部は、前記管材の奥まで前記レバーを入れた後で、且つ、前記ロック用突起部を前記第2開口部と整合させた後で、前記主要部に対して第2位置まで折れ曲がる構成にされており、前記端部は、前記ロック用突起部が前記管材の内面の内側の位置まで後退させられるのを阻止するのに十分な長さを有していることを特徴とする、請求項7に記載の安全杭。
【請求項9】
前記付勢ばね装置の前記バネ定数は、前記第1作動段階の間に比べて前記第2作動段階の間のほうが大きくなることを特徴とする、請求項2から請求項8のいずれかに記載の安全杭。
【請求項10】
前記付勢ばね装置は、主要ばね部材および二次ばね部材を有しており、前記主要ばね部材は前記付勢動作を供与し、前記二次ばね部材は前記第2作動段階の間は前記主要ばね部材と共通の動作を実施することを特徴とする、請求項9に記載の安全杭。
【請求項11】
前記付勢ばね装置は少なくとも1個のバネを有しており、前記バネは主要バネ部分および二次バネ部分を含んでおり、前記二次バネ部分は前記主要バネ部分に直列に接続されているとともに前記主要バネ部分に比べてバネ定数が大きいことを特徴とする、請求項9または請求項10に記載の安全杭。
【請求項12】
前記ロック用突起部には斜行するスナップ式の嵌合面が設けられていることを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれかに記載の安全杭。
【請求項1】
細長い管材と、前記管材の内側で、その第1端に配置されたロック装置とを備えた安全杭であって、前記第1端は杭保持装置に受け入れられるよう構成されており、前記ロック装置は、レバーと、付勢ばね装置とを含んでおり、前記付勢ばね装置は前記管材の壁面の内面を押圧するように前記レバーを付勢させ、前記レバーは前記管材の壁面の第1開口部を通り抜けて張出して管材壁面の外面から突出するロック用突起部と、前記管材壁面の第2開口部を通り抜けて張出して管材壁面の外面から突出する解放用突起部とを含んでおり、前記解放用突起部はロック用突起部から或る距離の位置で、且つ、前記ロック用突起部よりも前記管材の第1端から遠隔位置に配置されており、前記ロック用突起部は、第1作動段階で反付勢方向に前記解放用突起部を作動させることにより前記管材の外面の内側の解放位置に後退させることができるが、解放用突起に第1作動力が及ぼされるのを要件とし、前記解放用突起部には支持面が設けられており、前記支持面は前記安全杭を前記杭保持装置の支持面に当接させて支持する構成になっており、前記解放用突起部が前記ロック用突起部と連動させられるにあたり、解放突起部は、解放位置にある時にも、依然として前記管材の外面から突出しているように構成され、前記解放用突起部を突出していない位置に後退させる手段として、第2作動段階で解放用突起部を反付勢方向に更に作動させる方法を採るために、前記第1の作動力よりも著しく高い第2の作動力が要件となることを特徴とする、安全杭。
【請求項2】
前記レバーは、前記第1作動段階および前記第2作動段階を実施するような構成になっていることを特徴とする、請求項1に記載の安全杭。
【請求項3】
前記レバーが吊り下げられる態様として、前記第1作動段階の間は、前記第1の作動力とそれに対する反作用である、前記付勢ばね装置によって生成される力とが第1の長さ係数を有しているトルクアームに作用し、更に、前記第2作動段階の間は、第2作動力とそれに対する反作用である、付勢ばね装置によって生成される力とが第2の長さ係数を有しているトルクアームに作用するように構成され、第2の長さ係数は第1の長さ係数よりも小さいことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の安全杭。
【請求項4】
前記レバーには第1旋回部が設けられており、前記第1作動段階の間は前記第1旋回部を中心としてレバーが旋回する構成にされており、前記レバーには第2旋回部が更に設けられており、前記第2作動段階の間は、前記第2旋回部を中心としてレバーが旋回する構成にされていることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の安全杭。
【請求項5】
前記第1旋回部および前記第2旋回部は前記解放用突起部の互いに異なる側に形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の安全杭。
【請求項6】
前記第1旋回部および前記第2旋回部は前記レバーの両側端部に形成されていることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の安全杭。
【請求項7】
前記レバーには細長い主要部が設けられており、前記主要部は前記管材の実質的に長軸線方向に延びており、前記主要部は前記第1旋回部を含んでおり、更に、前記主要部には前記解放用突起部および前記ロック用突起部が接続されており、また、前記レバーには細長い端部が更に設けられており、前記端部は前記主要部に対して或る角度をなして接続されているとともに、前記端部は前記第2旋回部を含んでいることを特徴とする、請求項4から請求項6のいずれかに記載の安全杭。
【請求項8】
前記端部は、前記管材に前記ロック装置を取付ける前に前記主要部に対して第1位置にくる構成にされるとともに、前記端部は、前記管材の奥まで前記レバーを入れた後で、且つ、前記ロック用突起部を前記第2開口部と整合させた後で、前記主要部に対して第2位置まで折れ曲がる構成にされており、前記端部は、前記ロック用突起部が前記管材の内面の内側の位置まで後退させられるのを阻止するのに十分な長さを有していることを特徴とする、請求項7に記載の安全杭。
【請求項9】
前記付勢ばね装置の前記バネ定数は、前記第1作動段階の間に比べて前記第2作動段階の間のほうが大きくなることを特徴とする、請求項2から請求項8のいずれかに記載の安全杭。
【請求項10】
前記付勢ばね装置は、主要ばね部材および二次ばね部材を有しており、前記主要ばね部材は前記付勢動作を供与し、前記二次ばね部材は前記第2作動段階の間は前記主要ばね部材と共通の動作を実施することを特徴とする、請求項9に記載の安全杭。
【請求項11】
前記付勢ばね装置は少なくとも1個のバネを有しており、前記バネは主要バネ部分および二次バネ部分を含んでおり、前記二次バネ部分は前記主要バネ部分に直列に接続されているとともに前記主要バネ部分に比べてバネ定数が大きいことを特徴とする、請求項9または請求項10に記載の安全杭。
【請求項12】
前記ロック用突起部には斜行するスナップ式の嵌合面が設けられていることを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれかに記載の安全杭。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【公表番号】特表2009−524784(P2009−524784A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552265(P2008−552265)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【国際出願番号】PCT/SE2007/000062
【国際公開番号】WO2007/086795
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(506373527)コンビセイフ インターナショナル アクチボラゲット (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【国際出願番号】PCT/SE2007/000062
【国際公開番号】WO2007/086795
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(506373527)コンビセイフ インターナショナル アクチボラゲット (1)
【Fターム(参考)】
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