説明

安定した風味特性をもつコーヒー組成物及び製造方法

【課題】非熟成コーヒー供給源の対象コーヒー成分特性または風味を模倣するために、熟成コーヒー供給源のコーヒー供給源成分特性を変更させる。
【解決手段】コーヒー部分を含むインスタントコーヒー飲料において、前記コーヒー部分は、コーヒー主成分及びN個のコーヒー関連成分を含み、Nは、約1〜約20の範囲の数であり、コーヒー主成分は、第二のコーヒーのコーヒー主成分に対応し、コーヒー関連成分は第二のコーヒーのコーヒー関連成分に対応し、コーヒー主成分の総濃度は第二のコーヒー中の対応するコーヒー主成分の総濃度の約50%より下から約50%より上までの範囲であり、コーヒー主成分の総濃度を各コーヒー関連成分の総濃度で割った値は、第二のコーヒー中の対応するコーヒー主成分の総濃度を第二のコーヒー中の対応するコーヒー関連成分の総濃度で割った値の約50%より下から約50%より上までの範囲であり、その際第二のコーヒーは、コーヒー部分の非熟成バージョンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定した風味特性をもつ新規コーヒー組成物に関する。特に本発明は、安定した、風味をもつコーヒー飲料及び組成物、並びにそれらを含む製品を調製するための新規方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高品質のコーヒー食品及び飲料製品は非常に人気があり、多くの人々の日常の飲食物において益々重要な割合を占めている。しかしながら、これらの高品質コーヒー製品は、購入するのも及び生産するのも共に高価である。こうした理由の一つは原材料の価格である。コーヒー生産の性質(例えば、成長周期、季節、場所など)上、消費者にとって好ましいコーヒーの更なる要望を追加程度の供給で埋め合わせることは困難である。この供給不足は、高品質のコーヒー食品及び飲料製品の生産価格がより高くなるという最終的に消費者が負わなければならない結果をもたらす。
【0003】
価格を下げる一つの手法は、高価格及び低価格のコーヒー品種のブレンド使用である。消費者が好む味の特性を有する高価なコーヒーを、それほど高価でない、それほど味が好ましくないコーヒーの品種とブレンドする。しかしながら、この解決法に欠点がないわけではない。最も顕著なことは、それほど好ましくないコーヒーの品種と、消費者の最終コーヒー製品に対する肯定的な味覚との間に存在する反比例の関係である。使用される「より安い」コーヒーの割合が増加するにつれて、最終コーヒー製品に対する消費者の肯定的な風味の知覚は減少する。
更に、高価格及び低価格コーヒーのブレンドから製造されるコーヒー製品では、しばしば追加の加工及び生産が複雑になり、これは追って生産費及び消費者の購入価格を高くする可能性もある。
【0004】
この手法の例は、ヴァーサニル(Varsanyl)らのEP−A−0282762;ブラッドベリー(Bradbury)らのEP−A−0861596A1の中に見出すことができる。追加例は、オオタケ(Ohtake)らの米国特許第5,993,877号;テイマー(Tamer)らの米国特許第5,853,787号、ワイゼマン(Weisemann)らの米国特許第5,229,155号;及びナッティング(Nutting)の米国特許第2,853,387号の中に見出すことができる。
【0005】
別の手法は、高価値、高価格のコーヒーを廃棄する頻度を少なくすることにより、高価格のコーヒーの所与の供給から得られる収率を最大限にしようとすることであった。典型的には、これは入れられたコーヒー又は抽出されたコーヒーが、給仕されるか又は廃棄される前に保持される時間を伸ばすことにより達成される。しかしながら、コーヒーの保持時間が長くなるにつれて、熟成反応の結果によりコーヒーの風味は品質が劇的に悪化するという特徴がある。コーヒーを保持する時間が長ければ長いほど、及び温度が高ければ高いほど、悪化はより顕著になる。風味の悪化は、入れられたもの及び抽出されたもののような液体コーヒーにおいて特に顕著である。コーヒーの風味が、コーヒーの生産費が回収される時点より前に不安定になる(例えば、熟成で損害を受ける)ことは珍しいことではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、高品質コーヒー製品を生産する上での低価格コーヒーの使用、及び高品質コーヒーの延長使用についての消費者の受け入れの限界に取り組む試みに、多大な努力が払われてきた。一貫性があり、安定しており、高品質であることを保証し、それほど高くない様々なコーヒー材料に容易に適合でき、経済的で使用が簡単な、コーヒーに風味を持たせる組成物及び方法ヘの要求が、依然として当該技術分野において残っている。それ故に、これらの要求に対応し、更なる関連する利益を提供する、組成物及び方法を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願は、2001年2月13日に出願された米国特許仮出願番号第60/268,404号の優先権を主張する。
【0008】
本発明は、安定した風味特性をもつ新規コーヒー組成物に関する。特に本発明は、安定した風味をもつコーヒー組成物、及びそれらを含む製品を調製するための新規方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】コーヒー供給源の、コーヒー供給源の成分特性の表示である。
【図2】対象コーヒーの成分の表示である。
【図3】対象コーヒーの成分の表示である。
【図4】本発明の一実施形態の処理工程を記述する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
前述の態様及び本発明の付随する利益の多くは、以下の詳細な説明を添付図面と併せて参照することにより容易に評価され、同様により良好に理解される。
【0011】
A.定義
本明細書で使用する時、用語「コーヒー供給源」は、所与の発生地域からの、アカネ科コフィア属の植物から得られた飲料供給源として定義される。発生地域とは、コーヒーの生育方法が、同一のコーヒーの苗を利用するコーヒーの生育地域を意味することを当業者は理解している。更に発生地域は、類似の土壌条件、受精条件、生育環境(例えば、降雨量、温度、高度、日光)、及び予備焙煎方法、運送、及び貯蔵条件を受ける。
【0012】
多くのコーヒー種があるが、二つの主要な商業用コーヒー種である、アラビカ種(Coffeaarabica)とカネフォーラ種の一変種であるロブスタ(Coffeacanephoravar.robusta)があることが、当業者により、一般に認識されている。アラビカ種からのコーヒーは、ブラジルに由来する「ブラジル」として頻繁に記述されるものか、又は他の高級コーヒー生産国で生育する「アザーマイルド(OtherMilds)」である。高級アラビカの国は、コロンビア、グアテマラ、スマトラ、インドネシア、コスタリカ、メキシコ、米国(ハワイ)、エルサルバドル、ペルー、ケニア、エチオピア、及びジャマイカを含むものとして一般に認識されている。カネフォーラ種の一変種であるロブスタ(canephoravar.robusta)種からのコーヒーは、アラビカコーヒーの低価格の増量剤として、典型的に使用される。これらのロブスタコーヒーは、西部及び中央アフリカ、インド、東南アジア、インドネシア、及びブラジルの低地域において、典型的には生育する。
【0013】
コーヒー供給源は、チェリー、豆、葉、及び樹皮が挙げられるが、これらに限定されない様々な形態であることができる。更に、コーヒー供給源は、可溶性コーヒー、焙煎して挽いた豆、焙煎して挽いてない豆、焙煎していないコーヒー豆、及び水性の超臨界流体、及び有機溶媒抽出過程を経た乾燥又は液体コーヒー抽出物の形態を取ることができる。コーヒー供給源はまた、カフェイン含有であること、カフェイン抜きであること、又は両方のブレンドであることができる。
【0014】
本明細書で使用する時、用語「コーヒー供給源の成分」は、コーヒー供給源の中に含有される、味に寄与する酸の内の一つとして定義される。酸は、酸の結合形態及び解離形態の組み合わせを意味する用語であることを当業者は理解する。コーヒー供給源の成分は、コーヒー供給源の生育、収穫、加工、焙煎、発酵、調製、運送、及び/又は貯蔵過程の結果として生成又は形成される。
【0015】
本明細書で使用する時、「味に寄与する」とは、コーヒー供給源の中に含有される酸として定義され、その濃度は対象コーヒー中の酸の濃度と同一である、水中の濃度において味により知覚でき、及び焙煎条件に関連しており、又はその濃度はコーヒーの発生地域に伴って変化し、又はその濃度はコーヒーの種類により変化する。味により知覚できるとは、以下の飲料の風味特性:甘い、塩辛い、苦い、ワインのような、酸っぱい、まろやかな、風味が乏しい、鋭い、味気ない、刺激的などの内の一つ以上の知覚認知を変更することとして定義される。
【0016】
本明細書で使用する時、用語「コーヒー供給源の成分特性」は、コーヒー供給源内に存在するコーヒー供給源の成分の濃度として定義される。コーヒー供給源の成分特性は、コーヒー供給源の成分の存在及び濃度を示す、グラフ、表、又は幾つかのその他の好適な視覚表示により表すことができる。
【0017】
本明細書で使用する時、用語「補足的コーヒー供給源の成分」は、味に寄与する酸として定義される。補足的コーヒー供給源の成分の味に寄与する酸は、酸が同じ形態又は異なる形態で存在する可能性はあるが、対象コーヒーの成分に対応する。補足的コーヒー供給源の成分は、以下の群:味に寄与する酸の酸性の形態、味に寄与する酸の陰イオンの形態、並びに味に寄与する酸の金属塩及びアンモニウム塩の形態から選択される一つ以上の形態で存在することができる。
【0018】
本明細書で使用する時、用語「コーヒー供給源の成分調整剤」は、化合物、又は化合物の集合として定義され、一つ以上のコーヒー供給源の成分の知覚できる濃度を調整する。条件を満たすコーヒー供給源の成分の調整剤には、以下のもの:水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、グルコン酸塩、及び硫酸塩との組み合わせによるナトリウム、マグネシウム、カリウム、水素、カルシウム、及びアンモニウム陽イオンの内の一つ以上が挙げられる。コーヒー供給源の成分の調整剤の添加は、一つ以上のコーヒー供給源の成分の、味を知覚できる濃度を加減する。
【0019】
本明細書で使用する時、用語「得られたコーヒー成分」は、コーヒー供給源の成分と、対応する補足的コーヒー供給源の成分との組み合わせとして定義される。
本明細書で使用する時、用語「得られたコーヒー成分特性」は、コーヒー部分の中に存在する、一つ以上の得られたコーヒー成分の濃度として定義される。得られたコーヒー成分特性は、得られたコーヒー成分の存在及び濃度を示す、グラフ、表、又は幾つかのその他の好適な視覚表示により表すことができる。
【0020】
本明細書で使用する時、用語「対象コーヒー」は、望ましいコーヒー飲料又はコーヒー組成物として定義される。対象コーヒーは、所与の発生地域からのアカネ科コフィア属の植物からの豆又は豆のブレンドから一般に得られた、コーヒー成分を含む。しかしながら、対象コーヒーのコーヒー成分はまた、熟成した実、豆、葉、及び樹皮が挙げられるがこれらに限られない、様々なコーヒー材料から得ることができる。更に、対象コーヒーのコーヒー成分は、可溶性コーヒー、焙煎して挽いた豆、焙煎して挽いてない豆、焙煎していないコーヒー豆、及び水性の超臨界流体、及び有機溶媒抽出過程を経た、液体又は乾燥コーヒー抽出物の形態を取ることができる。コーヒー成分はまた、カフェイン含有であること、カフェイン抜きであること、又は両方のブレンドであることができる。
【0021】
本明細書で使用する時、用語「対象コーヒーの成分」は、対象コーヒーのコーヒー成分内に含有された味に寄与する酸の内の一つとして定義される。用語、酸は、酸の結合形態及び非結合形態の組み合わせを意味することを、当業者は理解する。対象コーヒーの成分は、対象コーヒーの生育、収穫、加工、焙煎、発酵、調製、運送、及び/又は貯蔵過程の結果として生成又は形成される。
【0022】
本明細書で使用する時、用語「対象コーヒーの成分特性」は、対象コーヒーのコーヒー成分内に存在する、対象コーヒーの成分の濃度として定義される。対象コーヒーの成分特性は、対象コーヒーの成分の存在及び濃度を示す、グラフ、表、又は幾つかのその他の好適な視覚表示により表すことができる。
【0023】
B.コーヒー供給源
消費者の好ましい風味特性を示すコーヒー飲料及び組成物は、様々なコーヒー供給源から製造される可能性があることが、本発明により判断された。特定の使用に好ましいコーヒー供給源は、コーヒー供給源に関連した利用可能性、費用、及び風味を考慮することにより変化してもよい。更に、コーヒー供給源における不純物、並びに他の成分の度合い及び性質も考慮されてよい。コーヒー飲料組成物は、一つ以上の好適なコーヒー供給源のブレンドから製造されてもよい。
【0024】
本発明のコーヒー飲料及び組成物は、コーヒー部分を含み、及び追加的成分、例えば起泡剤、口あたり増強剤、風味剤、クリーム状成分、不活性充填剤及びキャリア、甘味剤などを任意選択的に含有してもよい。コーヒー部分は、コーヒー供給源、及び必要ないずれかの補足的コーヒー供給源の成分、及び/又はコーヒー供給源の成分の調整剤を含む。
【0025】
コーヒー供給源は、熟成した実、葉、樹皮、可溶性コーヒー、インスタントコーヒー、焙煎して挽いた豆、焙煎して挽いてない豆、焙煎していないコーヒー豆、水性の超臨界流体、及び有機溶媒を含む抽出物が挙げられるが、これらに限定されない様々な形態で存在する。その上、コーヒー供給源は、カフェイン含有であること、カフェイン抜きであること、又は両方のブレンドであることができる。本発明での使用に好適なコーヒー供給源は、様々な不純物及び/又は副生成物を含有してもよいことが認識されている。
【0026】
本発明のコーヒー供給源は、コーヒーの品種(即ち、コーヒーの種類及び発生地域)により定義される。発生地域とは、コーヒーの生育方法が、遺伝学的に類似のコーヒーの苗を利用するコーヒーの生育地域を意味する。更に発生地域には、類似の土壌条件、受精条件、生育環境(例えば、降雨量、温度、高度、日光)、及び予備焙煎方法、運送、及び貯蔵条件がある。種類、発生地域、及びコーヒーの生育、収穫、加工、焙煎、発酵、調製、接ぎ木、遺伝子操作、運送、及び/又は貯蔵過程の条件が、コーヒー供給源の所与の酸の存在及び濃度を決定する。
【0027】
本発明のコーヒー供給源は、以下の酸の一つ以上を含有することが見出された:ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、パルミチン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ヒドロキシ酢酸、イソ酪酸、乳酸、3−ヒドロキシプロパン酸、グリセリン酸、2,3−ジヒドロキシプロパン酸、2−(4−メトキシフェノキシ)プロパン酸、2−ヒドロキシ酪酸、2,4−ジヒドロキシ酪酸、2−メチルブタン酸、イソ吉草酸、メタクリル酸、チグリン酸、アンゲリカ酸、3−メチル−2−ブテン酸、ピルビン酸、2−オキソ酪酸、3−オキソブタン酸、レブリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸、メチルコハク酸、リンゴ酸、酒石酸、2−ヒドロキシグルタル酸、ケトグルタル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、クエン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ピログルタミン酸、ニコチン酸、2−フル酸、安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、1,2,4−トリヒドロキシ安息香酸、バニリン酸、フィチン酸、リン酸、キナ酸、コーヒー酸、フェルラ酸,3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2−プロペン酸、p−クマル酸、o−クマル酸、4−メトキシ桂皮酸、3,4−ジメトキシ桂皮酸、3,4,5−トリメトキシ桂皮酸、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸、3−フェルロイルキナ酸、4−フェルロイルキナ酸、5−フェルロイルキナ酸、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸、p−クマロイルキナ酸、カフェオイルフェルロイルキナ酸。所与のコーヒー供給源内の、具体的な酸の正確な濃度は、選択されたコーヒーの種類、生育及び収穫の条件、及び上記のコーヒー供給源の調製方法に依存する。
【0028】
コーヒー供給源は、その形態により異なる濃度の酸を含有することが見出された。例えば、焙煎していないコーヒー豆は、およそ11重量%の総量11重量%の酸を含有することが見出され、焙煎したコーヒーは、およそ6重量%の総酸含有量であることが見出され、インスタントコーヒーは、およそ16重量%の総酸含有量であることが見出された。
【0029】
C.コーヒー供給源の成分
コーヒー供給源の成分は、所与のコーヒー供給源内に存在する、味に寄与する酸として定義される。本明細書で使用する時、用語「味に寄与する」は、対象コーヒー中の酸の濃度と同一である、水中の濃度において味により知覚できる、コーヒー供給源内に含有される酸として定義される。味により知覚できるとは、以下の風味特性:甘い、塩辛い、苦い、ワインのような、酸っぱい、まろやかな、風味が乏しい、鋭い、味気ない、刺激的などの内の一つ以上の感覚知覚を変更することとして、本明細書において定義される。加えて、味に寄与する酸は、その濃度が以下の現象:焙煎効果、コーヒーの種類の効果、及びコーヒーの発生地域の効果、のうちで少なくとも一つを示す酸である。
【0030】
本明細書で用いられる時、焙煎効果という用語は、焙煎したコーヒー供給源中の酸の濃度と、選択された焙煎条件との間に関係が存在することとして定義される。当業者は、焙煎条件とは、時間、入熱、及び水分として一般に認識されることを理解する。当業者はまた、所与のコーヒー供給源のために選択された焙煎条件は、焙煎時間、焙煎装置、及びハンター(Hunter)L*カラーを特徴とできることを理解する。本明細書で使用する時、色の違いは、ハンター比色計(Huntercolorimeter)上で測定した読みにより、及び具体的には、ハンターCIEスケール(HunterCIEscale)から得られるL*、a*、及びb*により定義される。本明細書に参考として組み入れられる、R.S.ハンター(R.S.Hunter)の「光電色差計(PhotoelectricColorDifferenceMeter)」、米国光学学会誌(J.oftheOpticalSoc.ofAmer.)、48巻(1958年)の985〜995頁を参照のこと。
【0031】
本明細書で使用する時、用語「コーヒーの種類の効果」とは、酸が、生育、収穫、及び加工条件の所与の集合を受けた一つのコーヒーの種類のコーヒー供給源において濃度を有するが、その濃度が同一の生育、収穫、及び加工条件を受けた異なるコーヒーの種類の濃度とは異なることとして定義される。本明細書で使用する時、コーヒーの発生地域の効果とは、酸がコーヒーの生育、収穫、加工、発酵、調製、運送、及び/又は貯蔵過程に依存する濃度を有することとして定義される。
【0032】
所与のコーヒー供給源の成分の存在、及びコーヒー供給源内のその対応する濃度は、多くの要因となる。この要因は、選択された具体的なコーヒー供給源に応じて異なる。しかしながらこれらの中で最も顕著なものは、具体的なコーヒーの種類の選択である。更に、コーヒーの種類の降雨量や温度のような生育条件、受精、収穫、運送、及び貯蔵は、所与のコーヒー供給源の成分の存在及び濃度に大きく寄与する。その上、その後のコーヒーの種類の加工及び調製は、コーヒー供給源の成分の濃度に大幅に影響する。
【0033】
コーヒー供給源の成分は、コーヒー供給源内に様々な形態で存在することができる。コーヒー供給源の成分は、頻繁に味に寄与する酸の酸性の形態で存在する。コーヒー供給源の成分は、酸として、酸の結合形態及び非結合形態の両方の形態で存在する。しかしながら、本発明において好適なコーヒー供給源の成分は、味に寄与する酸の塩としても存在してよいことが見出された。
【0034】
D.コーヒー供給源の成分特性
コーヒー供給源の成分特性は、所与のコーヒー供給源内に存在するコーヒー供給源の成分の濃度として定義される。コーヒー供給源の成分特性は、酸の完全に解離した形態における、pHの値14でのコーヒー供給源の成分の濃度を表す。コーヒー供給源の成分特性は、コーヒー供給源の成分の存在及び濃度を示す、グラフ、表、又は幾つかのその他の好適な視覚表示の形態で表すことができる。
【0035】
表1は、焙煎して挽いたコーヒー供給源(ベトナム・ロブスタであって、テルマロ・バッチ・ロースター(Thermalobatchroaster)上で、ハンター(Hunter)Lカラーが17.68まで、854秒間焙煎されている)の、コーヒー供給源の成分特性を表にした表示である。図1は、同じコーヒー供給源の成分特性の、グラフによる表示である。
【0036】
【表1】

【0037】
E.対象コーヒー、対象コーヒーの成分、及び対象コーヒーの成分特性
本明細書で使用する時、用語「対象コーヒー」は、対象コーヒー飲料又は組成物として定義される。対象コーヒーは、コーヒー成分を含む。本発明の対象コーヒーは、追加的成分、例えば起泡剤、口あたり増強剤、風味剤、クリーム状成分、不活性充填剤及びキャリア、甘味剤などを任意選択的に含有してもよい。
【0038】
対象コーヒーのコーヒー成分は、所与の発生地域からの、アカネ科コフィア属の植物から得られる。対象コーヒーのコーヒー成分は、成熟した実、豆、葉、及び樹皮、及びそれらの混合物が挙げられるがこれらに限られない、様々な形態であることができる。更にコーヒー成分は、可溶性コーヒー、焙煎して挽いた、焙煎して挽いてない豆、焙煎していないコーヒー豆、及び水性の超臨界流体、及び有機溶媒抽出過程を経たコーヒー抽出物の形態を取ることができる。対象コーヒーのコーヒー成分はまた、前述の形態の二つ以上の混合物として存在してもよい。コーヒー成分はまた、カフェイン含有であること、カフェイン抜きであること、又は両方のブレンドであってもよい。
【0039】
対象コーヒーのコーヒー成分は、以下の酸の一つ以上を含有することが見出された:ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、パルミチン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ヒドロキシ酢酸、イソ酪酸、乳酸、3−ヒドロキシプロパン酸、グリセリン酸、2,3−ジヒドロキシプロパン酸、2−(4−メトキシフェノキシ)プロパン酸、2−ヒドロキシ酪酸、2,4−ジヒドロキシ酪酸、2−メチルブタン酸、イソ吉草酸、メタクリル酸、チグリン酸、アンゲリカ酸、3−メチル−2−ブテン酸、ピルビン酸、2−オキソ酪酸、3−オキソブタン酸、レブリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸、メチルコハク酸、リンゴ酸、酒石酸、2−ヒドロキシグルタル酸、ケトグルタル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、クエン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ピログルタミン酸、ニコチン酸、2−フル酸、安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、1,2,4−トリヒドロキシ安息香酸、バニリン酸、フィチン酸、リン酸、キナ酸、コーヒー酸、フェルラ酸,3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2−プロペン酸、p−クマル酸、o−クマル酸、4−メトキシ桂皮酸、3,4−ジメトキシ桂皮酸、3,4,5−トリメトキシ桂皮酸、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸、3−フェルロイルキナ酸、4−フェルロイルキナ酸、5−フェルロイルキナ酸、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸、p−クマロイルキナ酸、カフェオイルフェルロイルキナ酸。対象コーヒーのコーヒー成分内における所与の酸の正確な濃度は、選択されたコーヒーの種類、生育及び収穫の条件、上記のコーヒー成分の調製方法に依存する。
【0040】
対象コーヒーの成分特性は、対象コーヒーのコーヒー成分内に存在する、対象コーヒーの成分の濃度として定義される。対象コーヒーの成分特性は、対象コーヒーの成分の存在及び濃度を示す、グラフ、表、又は幾つかのその他の好適な視覚表示により表すことができる。
【0041】
本発明の一実施形態では、コーヒー成分は、コロンビアン・アラビカ(Colombianarabica)であり、テルマロ・バッチ・ロースター(Thermalobatchroaster)上で、ハンター(Hunter)Lカラーが12.1まで、201秒間焙煎されている。図2は、コロンビアン・アラビカ(Colombianarabica)の対象成分特性の、グラフによる表示である。本発明の別の実施形態では、コーヒー成分は、ケニアAA(KenyaAA)(アラビカ)であり、ジャベツ・バーンズ研究所ロースター(JabezBurnslaboratoryroaster)上で、ハンター(Hunter)Lカラーが18.76まで、10分間焙煎されている。対象成分特性は、図3に示される。
【0042】
本発明の別の実施形態では、コーヒー供給源は、85℃(185°F)で6時間保持された、作りおきの、焙煎して挽いたコーヒーが提供される。この実施形態では、対象コーヒーのコーヒー成分は、何らかの顕著な熟成過程を開始する前の、コーヒーを入れた直後の同じコーヒーである。
【0043】
F.コーヒー供給源の成分の調整剤
コーヒー供給源の成分の調整剤は、化合物、又は化合物の組み合わせとして定義され、これは一つ以上のコーヒー供給源の成分の、知覚できる濃度を調整する。溶液中では、酸は完全に結合した形態で、完全に解離した形態で、又はこの二つの組み合わせとして存在することができる。その結合した状態及び解離した状態で存在する所与の酸の割合は、ある意味では所与の酸の平衡定数(即ちpKa)の関数である。条件を満たすコーヒー供給源の成分の調整剤には:水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、グルコン酸塩、及び硫酸塩との組み合わせによるナトリウム、マグネシウム、カリウム、水素、カルシウム、及びアンモニウム陽イオンが挙げられる。
【0044】
コーヒー供給源の成分の調整剤化合物は、様々な形態で存在することができる。コーヒー供給源の成分の調整剤は、水溶液中、又はその他の幾つかの好適な水性媒質中に存在してもよい。その上、コーヒー供給源の成分の調整剤は、非水性溶液(例えば、油及びグリセリン)中に存在することができる。あるいは、コーヒー供給源の成分の調整剤は、一つ以上の乾燥成分として存在してもよい。
【0045】
コーヒー供給源の成分の調整剤は、コーヒー供給源及びコーヒー供給源の成分の調整剤の性質及び形態により、コーヒー供給源と、多様な方法によって混合することができる。選択されたコーヒー供給源が、焙煎して挽いたコーヒーである場合は、コーヒー供給源の成分の調整剤は、焙煎して挽いたコーヒーに噴霧される、又は混合される水溶液中に存在することができる。あるいは、コーヒー供給源の成分の調整剤は乾燥状態で存在することができ、コーヒー組成物中の焙煎して挽いたコーヒー供給源と混合することができる。コーヒー組成物がコーヒー飲料に変換される場合には、コーヒー供給源の成分の調整剤は、記載された方法において、コーヒー供給源の成分の知覚できる濃度を調整するために働く。溶液中に存在するコーヒー供給源の成分の調整剤はまた、焙煎して挽いてない豆、焙煎していないコーヒー豆、液体コーヒー抽出物、可溶性コーヒー、又はコーヒー供給源のその他の形態(例えば、成熟した実、葉など)にも適用することができる。乾燥状態に存在する、コーヒー供給源の成分の調整剤についても同じである。コーヒー供給源の成分の調整剤は、最終的な消費できるコーヒー飲料の中間体の状態において、いずれかの好適な形態で存在することができる。コーヒー供給源の成分調整剤の形態は、単にコーヒー供給源の成分の知覚濃度を調整できる状態で存在する必要によって、最終的にはコーヒー飲料の消費可能な形態によって制限される。
【0046】
二つ以上の好適な化合物の組み合わせである、コーヒー供給源の成分調整剤は、コーヒー供給源と共に又は別々に組み合わせることができる。更に、複数化合物の成分の調整剤は、それらがコーヒー供給源の成分の知覚濃度を調整できる限り、最終的にはコーヒー飲料の消費可能な形態である限り、異なる状態(例えば、溶液中及び乾燥状態)で存在することができる。
【0047】
本発明のコーヒー供給源の成分の調整剤はまた、有効であるようにコーヒー供給源に直接適用する必要はない。本発明のコーヒー飲料及びコーヒー組成物は、追加的成分、例えば起泡剤、口あたり増強剤、風味剤、クリーム状成分、不活性充填剤及びキャリア、甘味剤などを含んでもよい。コーヒー供給源の成分の調整剤は、これらの追加的成分のいずれかと、それらがコーヒー供給源の成分の知覚濃度を調整できるような好適な状態、最終的にはコーヒー飲料の消費可能な形態で混合されてもよい。
【0048】
G.補足的コーヒー供給源の成分
補足的コーヒー供給源の成分は、味に寄与する酸として定義される。対象コーヒーが、コーヒー供給源の、非熟成の又はそれほど熟成していないバーションである場合には、補足的コーヒー供給源の成分は、コーヒー供給源の成分の味に寄与する酸に対応する、味に寄与する酸であろうが、それは酸の同じ形態又は異なる形態で存在してもよい。対象コーヒーが、コーヒー供給源の非熟成の又はそれほど熟成していないバーションではない場合には、補足的コーヒー供給源の成分は、対象成分特性において好ましい、いかなる味に寄与する酸であってもよい。
【0049】
補足的コーヒー供給源の成分は、味に寄与する酸の酸性の形態(例えば、クエン酸、リンゴ酸、ギ酸、フマル酸、リン酸;2−フル酸;乳酸;酢酸)において、又は味に寄与する酸の塩として(例えば、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、若しくはクエン酸三ナトリウム;クエン酸一カリウム、クエン酸二カリウム、若しくはクエン酸三カリウム;リンゴ酸一ナトリウム、若しくはリンゴ酸二ナトリウム;リンゴ酸一カリウム、若しくはリンゴ酸二カリウム;ギ酸ナトリウム;ギ酸カリウム;フマル酸一ナトリウム、若しくはフマル酸二ナトリウム;フマル酸一カリウム、若しくはフマル酸二カリウム;リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、若しくはリン酸三ナトリウム;リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、若しくはリン酸三カリウム;フル酸ナトリウム;フル酸カリウム;乳酸ナトリウム;乳酸カリウム)のいずれかにおいて存在することができる。
【0050】
補足的供給源の成分は、味に寄与する酸のいずれのものであってもよいが、好ましい味に寄与する酸は、以下の陰イオンの酸:キナ酸塩、乳酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、2−フル酸塩、3−メチルマレート、シトラマレート、ヒドロキシグルタラート、グルタル酸塩、リンゴ酸塩、シトラコナート(Citraconate)、マレイン酸塩、メサコナート(Mesaconate)、シュウ酸塩、フマル酸塩、リン酸塩、及びクエン酸塩である。
【0051】
本発明の補足的コーヒー供給源の成分は、多様な形態で存在してもよい。補足的コーヒー供給源の成分は、水溶液中、又はその他の幾つかの好適な水性媒質中に存在してもよい。その上、補足的コーヒー供給源の成分は、非水性溶液(例えば、油及びグリセリン)中に存在することができる。あるいは、補足的コーヒー供給源の成分は、一つ以上の乾燥成分として存在してもよい。
【0052】
補足的コーヒー供給源の成分は、コーヒー供給源及び補足的コーヒー供給源の成分の性質及び形態により、コーヒー供給源と、多様な方法によって混合することができる。選択されたコーヒー供給源が、焙煎して挽いたコーヒーである場合は、補足的コーヒー供給源の成分は、焙煎して挽いたコーヒーに噴霧される、又は混合される水溶液中に存在することができる。あるいは、補足的コーヒー供給源の成分は、乾燥状態で存在することができ、コーヒー組成物中の焙煎して挽いたコーヒー供給源と混合することができる。コーヒー組成物がコーヒー飲料に変換される場合には、補足的コーヒー供給源の成分は、本明細書に記載された方法において、対応するコーヒー供給源の成分の総濃度を補足するために働く。
【0053】
溶液中に存在する補足的コーヒー供給源の成分はまた、焙煎して挽いてない豆、焙煎していないコーヒー豆、液体コーヒー抽出物、可溶性コーヒー、又はコーヒー供給源のその他の形態(例えば、成熟した実、葉など)に適用することができる。乾燥成分として存在する、補足的コーヒー供給源の成分についても同じである。補足的コーヒー供給源の成分は、最終的な消費できるコーヒー飲料の中間体の状態において、いずれかの好適な形態で存在することができる。補足的コーヒー供給源の成分の正確な形態は、単に対応するコーヒー供給源の成分の総濃度を補足できる状態で存在する必要によって、最終的にはコーヒー飲料の消費可能な形態によって制限される。
【0054】
二つ以上の好適な化合物の組み合わせである、補足的コーヒー供給源の成分は、コーヒー供給源と共に又は別々に組み合わせることができる。更に、複数化合物の補足的コーヒー供給源の成分は、それらが対応するコーヒー供給源の成分の総濃度を補足できる限り、最終的にはコーヒー飲料の消費可能な形態である限り、異なる状態(例えば、溶液中、及び乾燥状態)で存在することができる。
【0055】
本発明の補足的コーヒー供給源の成分は、有効であるようにコーヒー供給源と直接混合する必要はない。本発明のコーヒー飲料及びコーヒー組成物は、追加的成分、例えば起泡剤、口あたり増強剤、風味剤、クリーム状成分、不活性充填剤及びキャリア、甘味剤などを含んでもよい。補足的コーヒー供給源の成分は、これらの追加的成分のいずれかと、それらが対応するコーヒー供給源の成分の総濃度を補足できるような好適な状態、最終的にはコーヒー飲料の消費可能な形態で、混合されてもよい。
【0056】
H.酸の知覚
本出願人は、コーヒーの中に見出される個々の酸が、各々関連する風味の特徴をもつことに気付いた。また出願人は、これらの酸の特定の組み合わせが、酸の特定の組み合わせ、及びそれらに関連する風味の特徴に基づいて特有の風味を示すことに気付いた。味の感覚認知により、溶液中での所与の酸に関連した風味の特徴を知覚する能力はその濃度の関数であるが、必ずしも酸の総濃度に直接に相関するとは限らない。理論によって制限する意図はないが、出願人は、味の感覚認知は、酸が結合形態である時のみ知覚できると考えている。そのため、解離状態における酸の総濃度の一部分は、酸の関連した風味の特徴の味覚にも、又は関連した風味の特徴の組み合わせに基づく特有の風味の知覚にも直接寄与しない。
【0057】
酸が水溶液中において存在する場合に、結合した状態及び解離した状態の両方の状態で存在することは、当業者により理解される。分子の平衡は簡単に次のように表される:
【0058】
【数1】

陰イオンもまた、酸の塩を含有する溶液中に見出される可能性がある。この平衡の数学的関係についてのより詳細な論議は、参考として本明細書に組み入れる、定量的化学分析(QuantitativeChemicalAnalysis)、第4版、ダニエル C.ハリス(DanielC.Harris)著、W.H.フリーマン社(W.H.FreemanandCompany)、1995年、217〜270頁を参照のこと。所与の酸の解離定数Kaは、平衡の三つの成分の関係を、それらのモル濃度により、次のように表している:
a=([H+][陰イオン])/[HA]
水素イオン濃度は、記号pHにより表される。ヘンダーソン−ハッセルバッハ(Henderson−Hasselbach)の等式は、溶液のpHを酸のKaの値に、次のように関係づける:
pH=log([陰イオン]/[HA])−logKa
解離定数の、負の対数は、pKaの値として、pHの値と同様な仕方で知られており、これは次のように水素イオンの負の対数である:
pH−pKa=log([陰イオン]/[HA])
溶液のpHの変化により、結合した形態及び解離した形態の所与の酸の濃度は、その所与の酸のpKaの値に従って、異なる結果となる。そのため、溶液のpHの値が変化するのに従って、酸の特有の風味の特徴の味を知覚する能力、又は特定の風味の特徴の組み合わせによる特有の風味を知覚する能力も変化する。
【0059】
I.コーヒーの熟成
コーヒーを入れること、抽出すること、又はその他の同様な方法のいずれかにより、一旦コーヒーが液体形態になると、コーヒーは熟成過程に移行し始める。本明細書で使用する時、用語「熟成」とは、その過程によりコーヒーの風味特性が、酸性の増加に呼応して変化する過程として定義される。熟成過程は、典型的には苦味及び/又は酸味をコーヒーに付与する。熟成過程の結果による酸性の増加は、コーヒー内に含有されるセルロースの加水分解、アルデヒドの酸への酸化、クロロゲン酸のコーヒー酸及びキナ酸への加水分解、及びキナ酸ラクトンのキナ酸への変換を含む様々な要因により起こることを当該技術は示唆している。
【0060】
理論によって制限する意図はないが、コーヒー中に熟成前に存在する、酸性種の追加量の放出、及び/又は熟成前に存在しない追加の酸性種の放出は、コーヒー内のヒドロニウムイオンの総濃度([H+])を増加すると、出願人は考えている。溶液中のヒドロニウムイオンの総濃度が増加するのに従って、いかなる所与の酸の知覚できる濃度と知覚できない濃度との間の平衡は、知覚できる濃度に有利なように移動する。移動の範囲は、所与の酸のpKa、及びコーヒーのpH値の総体的変化の関数である。
【0061】
より具体的には、コーヒーの中に熟成前に存在する酸性種の追加量が生成され、及び/又は熟成前には存在しない追加の酸性種が生成されるのに従って、これらの酸の関連した風味の特徴は、コーヒーの全体的な風味特性の中心になってくると出願人は考えている。熟成過程の結果により生じた風味特性の変化の正確な性質及び範囲は、幾つかの要因に依存する。これらの要因には、熟成の持続時間、熟成温度、最初のpH、及び生成された追加の酸性種の個性及び量が挙げられるが、これらに限定されない。その上、生成された酸に関連した風味の特徴は、味の感覚認知によりそれらの知覚をする場合に、溶液中のヒドロニウムイオン総濃度とコーヒー中に存在するすべての酸の知覚濃度との相互関連について役割を果たす。
【0062】
出願人は更に、熟成したコーヒー(即ちコーヒー供給源)の風味特性を、対応する非熟成コーヒー(即ち、対象コーヒー)の風味特性に近づける、又はその風味特性を模倣するために調整する方法を採ることにより、熟成過程の好ましくない風味の効果を克服することは可能であることを見出した。熟成したコーヒーの風味特性は、対応しないコーヒーの風味特性に近づける、又はその風味特性を模倣するために調整されてもよいこともまた見出された。
【0063】
出願人は、風味特性調整剤を用いることにより、熟成したコーヒー中の酸の知覚できる濃度と知覚できない濃度との間の平衡は、強制的に知覚できない濃度に有利なように、元の方に移動させられ得ることを、見出した。対応する非熟成コーヒー(又は好ましい場合は対応しないコーヒー)の風味特性は、対象特性中の適切な、関連する酸の十分な量の添加により、次いで模倣され得る。
【0064】
J.特性の模倣及び調整
コーヒー中の各酸は、関連する風味の特徴を有する。コーヒーの酸の特定の組み合わせは、関連する風味の特徴、及びその組み合わせ中の酸の各々の知覚できる濃度との組み合わせに基づく特有の風味特性を示す。そのため風味特性は、関心のある具体的なコーヒーについて同定されることができ、そのコーヒーの風味特性は、そのコーヒー中の少なくとも一部分の酸の濃度の関数である。数学的に、酸の特定の組み合わせによる特有の風味特性は、その組み合わせ内のそれらの酸の濃度の互いの相対比として表される。
【0065】
[A1]:[A2]:...:[An]、この場合、[A(1-n)]は、個々に最初の酸から第n番目の酸までの総濃度である。
【0066】
特定の酸の濃度の一部分は、所与のpHにおいて及び特定の酸のpKaに応じて、味により知覚できる形態(即ち、酸の結合形態)である。そのため、所与の特性の知覚された特有の風味を付与するものは、その組み合わせ内の酸の知覚できる濃度及びそれらの互いの相対比との組み合わせであることが見出された。
【0067】
[HA1]:[HA2]:...:[HAn]、この場合、[HA(1-n)]は、個々に最初の酸から第n番目の酸までの知覚できる濃度である。
【0068】
所与のコーヒー(例えば、コーヒー供給源)の風味特性は、異なるコーヒー(例えば対象コーヒー)の特有の風味特性を模倣するために容易に調整される可能性があることを、出願人は見出した。本明細書で使用する時、用語「模倣する」は、実質的に同様な特有の風味を供給するなどの方法で、近づくこと、真似ること、又は似ていることとして定義される。
【0069】
本明細書で使用する時、用語「対応する酸」は、同じ種類の酸として定義される。しかしながら、当業者は本明細書の開示を読むことにより、対応する酸は、当該の酸と必ずしも同じ形態で存在しなくてはならないわけではないことを理解する。対応する酸は、酸の結合形態において、酸の非結合形態において、酸の塩として、又はそれらの組み合わせとして存在することができる。一例として、第一のコーヒーの中の関心のある酸がリンゴ酸である場合、その時は第二のコーヒーの中の対応する酸もまたリンゴ酸であり得るが、それは上記のように酸の異なる形態で存在してもよい。
【0070】
本明細書の開示を再調査することにより、コーヒーの中に一般に見出される大部分の酸は、関連した風味の特徴を有するが、これらの酸のすべてが、所与のコーヒーの特有の風味特性に対して必ずしも顕著な及び/又は好ましい寄与をするわけではないことは、当業者に理解される。コーヒー中に典型的に存在する酸の中で、これらの内の選択された集合のみが、関連する酸であると考察され得ることを出願人は見出した。
【0071】
本明細書で使用する時、用語「関連する酸」は、対象コーヒー中の酸の濃度と同一である、水中の濃度において味により知覚できる酸として定義され、この酸は選択されたコーヒー焙煎条件、又はコーヒーの発生地域、又はコーヒーの種類により変化する濃度を有する。同様に述べると、用語「関連する酸」は、本明細書において、コーヒー内に見出される味に寄与する酸の内の一つとして定義され、これは対象コーヒー中の酸の濃度と同一である、水中の濃度において味により知覚することができ、以下の現象:コーヒーの焙煎効果、コーヒーの種類の効果、又はコーヒーの発生地域の効果の内の一つ以上を示す。
【0072】
前述の条件(即ち水中での知覚、焙煎効果、種類の効果、発生地域の効果)を満たす、コーヒーの酸のすべてが、必ずしも所与の風味特性を十分に模倣する必要がないことは、本明細書の開示を受け、当業者により更に理解される。価格、利用可能性、使い易さ、製造上の複雑さ、米国食品医薬品局(U.S.FoodandDrugAdministration)のような、適切な管理機関による食品用の酸としての分類、及び微妙に異なる特性の間の、商業的に重要な消費者の好みの違いが挙げられるが、これらに限られない要因は、所与の風味特性を模倣する時に用いられる関連する酸の正確な数及び種類を選択する場合に考慮される必要がある。そのため、所与のコーヒー内で同定される、関連する酸(即ちコーヒー関連成分)の一部のみを用いることがそのコーヒーの特有の風味特性を十分に模倣するために好適であり得る。
【0073】
本明細書で使用する時、用語「主要な酸」は、第一のコーヒー(例えばコーヒー供給源)の中のその酸の総濃度と、第二のコーヒー(例えば対象コーヒー)の中の対応する酸の総濃度との間のその比において、最大の変化を経験する関連する酸として定義される。一例として、三つの関連する酸、酸A、酸B、及び酸Cを含有する第一のコーヒーを選ぶ。酸A、酸B、及び酸Cの総濃度は、個々に100ppm、150ppm、及び200ppmである。次に対応する酸A、B、及びCを同様に含有する第二のコーヒーを選ぶ。第二のコーヒー中の対応する酸の総濃度は、個々に200ppm、450ppm、及び300ppmである。第二のコーヒー中の各酸の、第一のコーヒーの対応する酸への比(即ち第二のコーヒーの酸の総濃度を第一のコーヒーの対応する酸の総濃度で割ったもの)は、個々に2(200ppm/100ppm)、3(450ppm/150ppm)、及び1.5(300ppm/200ppm)である。)従って関連する酸の中で、酸Bはその総濃度の比において最大の変化をするため主要な酸である。
【0074】
コーヒー内の所与の酸の濃度の変化を正確に測定する能力は、分析的に味の感覚認知により濃度の比較できる変化を測定する能力より重大なことを出願人は見出した。好適な消費者の満足できる風味特性の近似を提供するために、第一のコーヒーの風味特性は、第二のコーヒーの風味特性をどれほど綿密に模倣する必要があるか(例えば第一のコーヒーの関連する各酸の総濃度は互いの相対比について、第二のコーヒーの対応する関連する各酸と実質的に同じ互いの相対比を有する)は、二つの特性の間の違いを分析的に測定する能力だけではない違いを正確に知覚する能力の関数である。
【0075】
本発明の一実施形態では、調整コーヒー(即ち、対象コーヒーを模倣するために補足されたコーヒー供給源)の中に見出されるであろうような関連する酸の第一の集合の特有の風味特性が、第二の又は対象コーヒーの特有の風味特性を模倣するために、第二の又は対象コーヒー中に見出されるであろうような関連する酸の第二の集合の特有の風味特性と実質的に同様であるためには、調整コーヒーの主要な酸の総濃度は対象コーヒー中の対応する酸の総濃度の約50%より下から約50%より上までの範囲内になければならないと出願人は判断した。調整コーヒー中の主要な酸の総濃度は、対象コーヒー中の対応する酸の総濃度の約40%より下から約40%より上までの範囲内であることが好ましく、約30%より下から約30%より上までの範囲内の総濃度はより好ましく、約20%より下から約20%より上までの範囲内の総濃度は更により好ましく、約10%より下から約10%より上までの範囲内の総濃度は更により好ましく、及び約5%より下から約5%より上までの範囲内の総濃度は最も好ましい。
【0076】
更に、調整コーヒーの主要な酸の総濃度を調整コーヒーの関連する酸の各々の総濃度で割った値は、対象コーヒー中の対応する主要な酸の総濃度を対象コーヒー中の対応する関連する酸の各々の総濃度で割った値の約50%より下から約50%より上までの範囲内である。換言すれば、N個の関連する酸を有する所与の調整コーヒーについて、調整コーヒーの主要な酸(即ち、コーヒー主成分)の総濃度を調整コーヒーのN個の関連する酸(即ちコーヒー関連成分)の各々の総濃度で割った値は、対象コーヒー中の対応する主要な酸の総濃度を対象コーヒー中の対応するN個の関連する酸の各々の総濃度で割った値の約50%より下から約50%より上までの範囲内である。約40%より下から約40%より上までの範囲内の値が好ましく、約30%より下から約30%より上までの範囲内の値がより好ましく、約20%より下から約20%より上までの範囲内の値が更により好ましく、約10%より下から約10%より上までの範囲内の値が更により好ましく、及び約5%より下から約5%より上までの範囲内の値が最も好ましい。
【0077】
第一のコーヒー(例えば調整コーヒー)中の関連する酸の相対比と、第二のコーヒー(例えば対象コーヒー)中の対応する関連する酸の相対比との間の許容し得る差違は、選択された特定のコーヒー及び味の感覚認知により特定の酸を知覚できる能力の関数である。そのため、第一のコーヒーの特有の風味特性が第二のコーヒーの特有の風味特性を模倣するためには、第一のコーヒーのpHは第一のコーヒーの関連する酸の知覚できる濃度が互いの相対比について、第二のコーヒーの対応する関連する酸の知覚できる濃度と実質的に同じ互いの相対比を有するように調整されなければならない。第一の又は調整コーヒーのpHが、第二のコーヒー(即ち、対象コーヒー)のpHの約2単位より上から約2単位より下の範囲内である場合、好ましくは約1単位より上から約1単位より下の範囲内である場合、より好ましくは約0.5単位より上から約0.5単位より下の範囲内である場合、最も好ましくは約0.2単位より上から約0.2単位より下の範囲内である場合、二つのコーヒーは、関連する酸の実質的に同様な知覚できる濃度を有しその結果、第一の又は調整コーヒーの特有の風味特性は第二のコーヒーの対象とされた特有の風味特性を十分に模倣する。
【0078】
所与の関連する酸の知覚できる濃度は、その酸のpKaの値、及び溶液の全体のpHの関数であるために、コーヒー供給源の成分の、一以上の調整剤の十分な量の添加は、全体のpHの値の調整を通して、関連する酸の知覚できる濃度を調整する。
【0079】
これらの条件は以下のように表すことができる:
i)(.5)(P第二のコーヒー)≦(P第一のコーヒー)≦(1.5)(P第二のコーヒー);
ii)(.5)[(P第二のコーヒー)/(R第二のコーヒー(n))]≦[(P第一のコーヒー)/(R第一のコーヒー(n))]≦(1.5)[(P第二のコーヒー)/(R第二のコーヒー(n))]、nの関連する酸の各々について;
iii)pH第一のコーヒー=pH第二のコーヒー±2単位
上式において、P第一のコーヒーは、第一のコーヒー中の主要な酸の総濃度であり、P第二のコーヒーは、第二のコーヒー中の対応する主要な酸の総濃度であり、R第一のコーヒー(n)は、第一のコーヒー中の第n番目の関連する酸の総濃度であり、R第二のコーヒー(n)は、第二のコーヒー中の対応する第n番目の関連する酸の総濃度であり、pH第一のコーヒーは、第一のコーヒーのpHの値であり、pH第二のコーヒーは、第二のコーヒーのpHの値である。
【0080】
酸の所与の集合の特有の風味特性を定義するのは関連する酸の互いの相対比であるため、第一のコーヒーと第二のコーヒーとの間の関連する酸の総濃度の違いの絶対値は、第二のコーヒーの風味特性を模倣するために第一のコーヒーの特有の風味特性が第二のコーヒーのそれと十分に類似しているかどうかを決定する時に、それほど重要でないことを出願人は更に見出した。そのため、本発明の別の実施形態において、調整コーヒー(対象コーヒーを模倣するために補足されたコーヒー供給源)の中に見出されるであろうような関連する酸の第一の集合の特有の風味特性が、第二の又は対象コーヒーの特有の風味特性を模倣するために第二の又は対象コーヒー中に見出されるであろうような関連する酸の第二の集合の特有の風味特性と実質的に同様であるためには、総濃度調整係数により調整された調整コーヒーの主要な酸の総濃度の相対比が、対象コーヒー中の対応する酸の総濃度の約50%より下から約50%より上までの範囲内である限りこれらの関連する酸の総濃度は係数7まで(即ち1〜7の濃度調整係数)増加させてもよいと出願人は決定した。調整コーヒー中の主要な酸の総濃度は、総濃度調整係数により調整されているが、対象コーヒー中の対応する酸の総濃度の約40%より下から約40%より上までの範囲内が好ましく、総濃度調整係数により調整されているが、総濃度は約30%より下から約30%より上までの範囲内がより好ましく、総濃度調整係数により調整されているが、総濃度は約20%より下から約20%より上までの範囲内が更により好ましく、総濃度調整係数により調整されているが、総濃度は約10%より下から約10%より上までの範囲内が更により好ましく、総濃度調整係数により調整されているが、総濃度は約5%より下から約5%より上までの範囲内が最も好ましい。
【0081】
その上、調整コーヒーの主要な酸の総濃度を、調整コーヒーの関連する酸の各々の総濃度で割った値は、依然として対象コーヒー中の対応する主要な酸の総濃度を、対象コーヒー中の対応する関連する酸の各々の総濃度で割った値の、約50%より下から約50%より上までの範囲内に、依然としてなくてはならない。換言すれば、N個の関連する酸を有する所与の調整コーヒーについて、調整コーヒーの主要な酸(即ち、コーヒー主成分)の総濃度を調整コーヒーのN個の関連する酸(即ちコーヒー関連成分)の各々の総濃度で割った値は、対象コーヒー中の対応する主要な酸の総濃度を、対象コーヒー中の対応するN個の関連する酸の各々の総濃度で割った値の約50%より下から約50%より上までの範囲内である。約40%より下から約40%より上までの範囲内の値が好ましく、約30%より下から約30%より上までの範囲内の値がより好ましく、約20%より下から約20%より上までの範囲内の値が更により好ましく、約10%より下から約10%より上までの範囲内の値が更により好ましく、及び約5%より下から約5%より上までの範囲内の値は最も好ましい。
【0082】
最終的に、第一のコーヒーの特有の風味特性が第二のコーヒーの特有の風味特性を模倣するためには、第一のコーヒーのpHは、第一のコーヒーの関連する酸の知覚できる濃度が互いの相対比について第二のコーヒーの対応する関連する酸の知覚できる濃度と実質的に同じ互いの相対比を有するように調整されなければならない。第一の又は調整コーヒーのpHが、第二のコーヒー(即ち、対象コーヒー)のpHの約2単位より上から約2単位より下の範囲内である場合、好ましくは約1単位より上から約1単位より下の範囲内である場合、より好ましくは約0.5単位より上から約0.5単位より下の範囲内である場合、最も好ましくは約0.2単位より上から約0.2単位より下の範囲内である場合、二つのコーヒーは、関連する酸の実質的に同様な知覚できる濃度を有し、その結果、第一の又は調整コーヒーの特有の風味特性は第二のコーヒーの対象とされた特有の風味特性を十分に模倣する。所与の関連する酸の知覚できる濃度は、その酸のpKaの値及び溶液の全体のpHの関数であるために、コーヒー供給源の成分の一つ以上の調整剤の十分な量の添加は、全体のpHの値の調整を通して関連する酸の知覚できる濃度を調整する。
【0083】
これらの条件は以下のように表すことができる:
i)(M)(.5)(P第二のコーヒー)≦(P第一のコーヒー)≦(M)(1.5)(P第二のコーヒー);
ii)(.5)[(P第二のコーヒー)/(R第二のコーヒー(n))]≦[(P第一のコーヒー)/(R第一のコーヒー(n))]≦(1.5)[(P第二のコーヒー)/(R第二のコーヒー(n))]、関連する酸の各々について;
iii)pH第一のコーヒー=pH第二のコーヒー±2単位
上式において、Mは濃度調整係数であり、約1〜約7の範囲の値を有し、P第一のコーヒーは、第一のコーヒー中の主要な酸の総濃度であり、P第二のコーヒーは、第二のコーヒー中の対応する主要な酸の総濃度であり、R第一のコーヒー(n)は、第一のコーヒー中の第n番目の関連する酸の総濃度であり、R第二のコーヒー(n)は、第二のコーヒー中の対応する第n番目の関連する酸の総濃度であり、pH第一のコーヒーは、第一のコーヒーのpHの値であり、pH第二のコーヒーは、第二のコーヒーのpHの値である。
【0084】
本発明の一つの特に好ましい実施形態において、調整コーヒーの主要な酸の総濃度は、総濃度調整係数により調整されているが、対象コーヒー中の対応する酸の総濃度の約50%より下から約50%より上までの範囲内であり;調整コーヒーの主要な酸の総濃度を調整コーヒーの関連する酸の各々の総濃度で割った値は、対象コーヒー中の対応する主要な酸の総濃度を、対象コーヒー中の対応する関連する酸の各々の総濃度で割った値の、約50%より下から約50%より上までの範囲内であり;第一の又は調整コーヒーのpHは、第二のコーヒー(即ち、対象コーヒー)のpHの約2単位より上から約2単位より下の範囲内であり;調整コーヒーの主要な酸の総濃度を、調整コーヒーの関連する酸の各々の総濃度で割った値は、対象コーヒーの主要な酸の総濃度を対象コーヒー中の対応する関連する酸の各々の総濃度で割った値と等しい。最後の条件は、調整コーヒー中の主要な酸とその他の関連する酸との間の互いの相対比が、対象コーヒー中の主要な酸とその他の関連する酸との間の互いの相対比と等しいことであるとして、再度述べることができる。
【0085】
本発明のこの実施形態のための条件は、以下のように表すことができる:
i)(M)(.5)(P第二のコーヒー)≦(P第一のコーヒー)≦(M)(1.5)(P第二のコーヒー);
ii)(.5)[(P第二のコーヒー)/(R第二のコーヒー(n))]≦[(P第一のコーヒー)/(R第一のコーヒー(n))]≦(1.5)[(P第二のコーヒー)/(R第二のコーヒー(n))]、関連する酸の各々について;
iii)pH第一のコーヒー=pH第二のコーヒー±2単位;
iv)[(P第一のコーヒー)/(R第一のコーヒー(n))]=[(P第二のコーヒー)/(R第二のコーヒー(n))]
あるいは、
[P第一のコーヒー]:[R第一のコーヒー(1)]:...:[R第一のコーヒー(n)]=[P第二のコーヒー]:[R第二のコーヒー(1)]:...:[R第二のコーヒー(n)
上式において、Mは濃度調整係数であり、約1〜約7の範囲の値を有し、P第一のコーヒーは、第一のコーヒー中の主要な酸の総濃度であり、P第二のコーヒーは、第二のコーヒー中の対応する主要な酸の総濃度であり、R第一のコーヒー(n)は、第一のコーヒー中の第n番目の関連する酸の総濃度であり、R第二のコーヒー(n)は、第二のコーヒー中の対応する第n番目の関連する酸の総濃度であり、pH第一のコーヒーは、第一のコーヒーのpHの値であり、pH第二のコーヒーは、第二のコーヒーのpHの値である。
【0086】
本発明の一実施形態は以下の工程を含む。第一に、コーヒー供給源が選択され、コーヒー供給源の成分が同定される。次にコーヒー供給源の成分特性が、本明細書に記載されている方法で、コーヒー供給源の成分の総濃度を示すことにより得られる。同じ方法が、対象コーヒーのコーヒー成分についても行われるが、対象コーヒーの風味特性を決定する工程が、コーヒー供給源の風味特性の獲得と同時発生でなくてもよいことは、本明細書の開示を見ることにより理解される。
【0087】
続いて、コーヒー供給源の成分特性における、コーヒー供給源の成分の濃度が、対象コーヒーの成分特性における、対応する対象コーヒーの成分の濃度と比較される。関連する及び主要な成分が次に同定される。
【0088】
コーヒー供給源の関連成分の濃度は、次に対応する補足的コーヒー供給源の成分により補足される。補足的コーヒー供給源の成分は、十分な量の対応する味に寄与する酸を、コーヒー飲料又は組成物のコーヒー部分に添加し、得られたコーヒー成分(例えばコーヒー供給源の成分と対応する補足的コーヒー供給源の成分の合計)の濃度の相対比が、許容し得る差違内で、対象コーヒーの成分の濃度の相対比に近づくようにする。これは、得られたコーヒー及び対照コーヒーが、同じpHの値において測定された場合、それらが実質的に同様な知覚風味特性を有し、それにより対象コーヒーの風味特性を模倣し、同じ知覚された風味の特徴、及び酸の強度を供給することを確実にする。
【0089】
得られたコーヒーを含む、コーヒー飲料又は組成物は、次いでいかなる消費者の好ましい方法(例えば、カプチーノ、又はラテ、ブラック、冷やしたものとして、別の食品又は飲料製品の風味剤としてなど)で調製されることができる。得られたコーヒーを含む、コーヒー飲料又は組成物のpHが、対象コーヒーのコーヒー成分のpHの値の許容し得る範囲内である場合には、得られたコーヒーは、対象コーヒーのコーヒー成分の風味特性と実質的に同様の反応を示す風味特性を有する。酸の結合形態の濃度は各々、pHの値の変化に呼応して、互いに接近し又は模倣して同様の反応を示す。すべての物質のpHの値は、以下STP(25℃、760mg)という、標準温度及び標準圧力で測定される。
【0090】
K.特性の模倣、及び熟成したコーヒーの調整
本明細書に記載されるように、熟成したコーヒー(即ちコーヒー供給源)の風味特性を、対応する非熟成コーヒー(即ち、対象コーヒー)の風味特性に近づける、又はその風味特性を模倣するように調整する方法を採用することにより、熟成過程の好ましくない風味の効果を克服することが可能であることを、出願人は見出した。熟成したコーヒーの風味特性は、対応しないコーヒーの風味特性に近づける、又はその風味特性を模倣するように調整されてもよいこともまた見出された。
【0091】
本発明の一実施形態において、コーヒー供給源は、作りおきの焙煎して挽いたコーヒーの形態で提供される。入れたての焙煎して挽いたコーヒーの、コーヒー供給源の成分特性が、対象コーヒーの成分特性として将来使うために測定され、及び保持される。コーヒーを入れると、入れ終わったコーヒー供給源は熟成を開始する。出願人は、熟成過程の速度は、温度に非常に関連することを見出した(例えば、コーヒーはより高い温度において、より速く熟成する)。飲む前の時点での、熟成コーヒーのコーヒー供給源の成分特性が、本明細書に記載された方法により測定される。熟成コーヒーのコーヒー供給源の成分特性が、対象コーヒーの成分特性と比較されるが、この対象コーヒーの成分特性は、この実施形態においては、入れたての焙煎して挽いたコーヒーの、コーヒー供給源の成分特性である。熟成コーヒーの中に含有される酸の解離形態に有利に平衡が移動し、それにより酸を味の感覚認知に対して、それほど知覚できないようにするために、好適なコーヒー供給源の成分の調整剤が選択され、熟成コーヒーに添加される。次に、好適な補足的コーヒー供給源の成分の十分な量が、対応する非熟成コーヒーの風味特性を適切に模倣するために、添加される。対象コーヒーを模倣する過程は、消費の直前に発生するかもしれないし、あるいは消費のしばらく前に発生するかもしれないことは、本明細書の開示を読むことにより当業者に理解される。
【0092】
非熟成コーヒーの風味特性が模倣された後でさえも、熟成したコーヒーにおいて熟成過程は継続する。非熟成コーヒーの風味特性の模倣過程は、しかしながら一以上採用されてもよいことを出願人は発見した。本発明の別の実施形態では、6時間の保持時間をもつ、作りおきの焙煎して挽いたコーヒー供給源が提供される。熟成コーヒーの保持時間が2時間の時点で、熟成コーヒーの中に含有される酸の解離形態に有利に平衡が移動し、それにより酸を味の感覚認知に対して、それほど知覚できないようにするために、好適なコーヒー供給源の成分の調整剤が選択され、熟成コーヒーに添加される。好適な補足的コーヒー供給源の成分の十分な量が、対応する非熟成コーヒーの風味特性を適切に模倣するために添加される。この過程は、コーヒーの保持時間が4時間の時点で繰り返される。模倣過程に続いてコーヒーの熟成は継続するが、熟成の開始時点は、入れたてのコーヒーの熟成開始時点に有効に再設定される。そのため、本実施形態において、6時間を経過した作りおきのコーヒーは、対応する2時間を経過したコーヒーの風味特性を有するものとして提供されてもよい。本明細書の開示を読むことにより、この方法は、繰り返してもよい回数を制限されないことが、当業者に理解される。
【0093】
コーヒー供給源の風味特性を長期間にわたって、入れたてのコーヒーの風味特性に、満足のいくように近づけたり、又は模倣するような方法で調整することは可能であることを出願人は更に発見した。この期間は、所与のコーヒーの許容し得る保持時間として定義されてもよく、あるいは所与のコーヒー供給源において、一定量の熟成は起きるがそのまま調整されない期間として定義される。
【0094】
濃縮された液体コーヒー抽出物が、本発明の更に別の実施形態においてコーヒー供給源として提供される。抽出したてであるコーヒーのコーヒー供給源の成分特性は、対象コーヒーの成分特性として将来使うために測定され、保持される。繰り返しの風味特性試験から生み出された、コーヒー供給源の風味特性が、時間が経つとどのように変化するかということについての、先に決定された理解に基づき、熟成コーヒーの中に含有される酸の解離形態に有利に平衡を移動させるために、好適なコーヒー供給源の成分の調整剤が選択され、熟成コーヒーに添加される。これは、酸を味の感覚認知に対して、知覚できにくくするという結果をもたらす。好適な補足的コーヒー供給源の成分の十分な量が、対応する非熟成コーヒーの風味特性を適切に模倣するために、長期間にわたって添加されるが、本実施形態においてこれは8週間である。
【0095】
先に述べたように、対象コーヒーは任意選択的に非熟成の、非対応コーヒーであってもよい。本発明の更に別の実施形態において、液体コーヒー抽出物が、コーヒー供給源として提供される。入れたての焙煎して挽いたコーヒーの、コーヒー供給源の成分特性は、対象コーヒーの成分特性として将来使うために、測定され、保持される。熟成コーヒーの中に含有される酸の解離形態に有利に平衡を移動させるために、好適なコーヒー供給源の成分の調整剤が選択され、熟成コーヒーに添加される。これは、酸を味の感覚認知に対して、知覚できにくくするという結果をもたらす。好適な補足的コーヒー供給源の成分の十分な量が、入れたての焙煎して挽いたコーヒー(即ち、非対応の、非熟成コーヒー)の風味特性を適切に模倣するために、長期間にわたって添加されるが、本実施形態においてこれは10週間である。
【0096】
L.コーヒー飲料及び組成物の調製
図4は、本発明の一実施形態の処理工程の流れ図である。図4を参照すると、工程402は、対象コーヒー成分を含む、対象コーヒー飲料を選択している。対象コーヒー成分は、熟した実、豆、葉、及び樹皮のような様々な形態であることができる。更に、コーヒー成分は、可溶性コーヒー、焙煎して挽いた豆、焙煎して挽いてない豆、焙煎していないコーヒー豆、及び水性の超臨界流体、及び有機溶媒抽出過程を経たコーヒー抽出物の形態を取ることができる。コーヒー成分はまた、カフェイン含有であること、カフェイン抜きであること、又は両方のブレンドであることができる。
対象コーヒー飲料は、追加的成分、例えば起泡剤、口あたり増強剤、風味剤、クリーム状成分、不活性充填剤及びキャリア、甘味剤などを任意選択的に含有してもよい。
【0097】
工程404は、対象コーヒーの成分特性を、関連する対象コーヒーの成分の濃度を示すことにより、得ている。工程406は、対象コーヒーのコーヒー成分のpHの値を測定している。pHの値は、標準温度及び標準圧力で測定される。対象コーヒー飲料の対象コーヒー成分は所与のpHの値を有するかもしれないが、対象コーヒー飲料のpHの値は、追加的成分の存在により、全体として異なる可能性があることを当業者は理解する。
【0098】
工程408は、好適なコーヒー供給源を選択している。コーヒー供給源は、成熟した実、豆、葉、及び樹皮のような様々な形態であることができる。更に、コーヒー供給源は、可溶性コーヒー、焙煎して挽いた豆、焙煎して挽いてない豆、焙煎していないコーヒー豆、及び水性の超臨界流体、及び有機溶媒抽出過程を経たコーヒー抽出物の形態を取ることができる。コーヒー供給源はまた、カフェイン含有であること、カフェイン抜きであること、又は両方のブレンドであることができる。工程410は、コーヒー供給源の成分特性を、コーヒー供給源の関連成分の濃度を示すことにより、得ている。工程412は、コーヒー供給源のpHの値を測定している。pHの値は、標準温度及び標準圧力で測定される。
【0099】
工程414は、コーヒー供給源の成分特性を適切に変性するための、適切な補足的コーヒー供給源の成分、又は一以上のコーヒー供給源の関連成分に対応する成分、及び対象コーヒーの成分、並びにもしあれば必要とされる量を選択している。補足的コーヒー供給源の成分の必要とされる量は、コーヒー供給源の成分と対象コーヒーの成分の総濃度との間の違いにより決定される。必要とされる量はまた、必要な場合は補足的コーヒー供給源の成分の必要とされる量により決定されるが、それは関連する得られたコーヒー供給源成分の、得られたコーヒー成分特性が、対応する酸の対象コーヒーの成分特性と実質的に同様であるように決定され、その結果、得られたコーヒーの成分は、対象コーヒー成分の特有の風味を十分に模倣している。コーヒー供給源の成分の総濃度が、対象コーヒー成分の総濃度より低ければ、十分な量の補足的コーヒー供給源の成分が添加され、その結果、得られたコーヒー供給源の成分の総濃度は、対象コーヒーの成分の総濃度の許容し得る範囲内になる。コーヒー供給源の成分の総濃度が、対象コーヒー成分の総濃度を超えていれば、その時は、補足的コーヒー供給源の成分の添加は、必ずしも必要とされない。しかしながら、すべてのコーヒーの関連成分の濃度が、何らかの倍率調整係数により増加する場合には、補足的コーヒー供給源の成分の使用が必要とされる可能性がある。
【0100】
工程416は、得られたコーヒー供給源の成分の知覚できる濃度を十分に調整し、その結果、それが対応する対象コーヒーの成分のpHの値の、許容し得る範囲内であるようにするために、適切なコーヒー供給源の成分の調整剤、及び必要な量を選択している。これにより、得られたコーヒー部分の特有の風味特性は、対象コーヒー成分の特有の風味特性を好適に模倣することが可能になる。コーヒー供給源の成分の調整剤の必要とされる量は、部分的には、コーヒー供給源及び選択された対象コーヒーのコーヒー成分に依存する。
【0101】
工程418は、選択された補足的コーヒー供給源の成分、及びコーヒー供給源の成分の調整剤を、必要であればコーヒー供給源と混合することにより得られたコーヒー部分を配合している。上記のように、補足的コーヒー供給源の成分及びコーヒー供給源の成分の調整剤は、様々な形態で存在することができ、及び適用されることができる。その上、補足的コーヒー供給源の成分及びコーヒー供給源の成分の調整剤は、同時に適用される必要はない。更に成分は、本発明のコーヒー飲料又は組成物の調製のいかなる時点においても適用されることができる。それらはまたコーヒ供給源と共に又は個々のいずれかにおいて、本発明のコーヒー飲料又は組成物の作成に用いられる、いかなる中間体生成物の形成の間に混合されてもよい。
【0102】
選択されたコーヒー供給源により、補足的コーヒー供給源の成分及びコーヒー供給源の成分の調整剤が、必要であれば、本発明のコーヒー飲料又は組成物に:機械又はその他の分配装置;カップの内側に成分を染み込ませること;濾紙に成分を染み込ませること;前処理した錠剤又は小さな包み;及び製品調製の様々な段階で用いられる水(例えば焙煎後のコーヒーを冷却するために用いられる焙煎急冷用、又は最終的な、消費できるコーヒー飲料を作成するために用いられる水)を通して、供給されることができる。成分及び調整剤はまた、スプレー、コーティング、ソーキング、共混合(co−mixing)、又はその他の好適な方法を介して導入されてもよい。
【0103】
コーヒー供給源が凝集したインスタントコーヒー製品である場合には、例えば本発明の成分及び調整剤は、凝集結合溶液(例えば炭水化物及び/又はデンプン、水、又はその他の好適な界面活性剤)の一部分を介して;凝集の一部分である乾燥形態において;液体形態において凝集粒子にスプレーすることにより;又は他の物理的に不活性な成分(例えば、スクロース、マルトデキストリン)にコーティングすることにより、コーヒー供給源と組み合わせることができる。
【0104】
本明細書の開示を読むことにより、以下の工程の一以上が完全に省略されてもよく、又はおそらく品質管理計画の部分としておそらく定期的に実行されてもよいことは、当業者により理解される。様々な成分特性について得られる分析データの精度、及び添加された補足的コーヒー供給源の各成分、及び/又はコーヒー供給源成分の各調整剤の正確な量により得られたコーヒーの成分特性、及び/又は完成した飲料の得られたコーヒー部分のpHの値は、本発明を実施する上で十分な精度で計算することができる。
【0105】
工程420は、得られたコーヒー供給源の成分の総濃度を示すことにより、得られたコーヒーの成分特性を得ている。工程422は、得られたコーヒー飲料のコーヒー部分のpHの値を測定している。pHの値は、標準温度及び標準圧力で測定される。工程424及び426は、得られたコーヒー成分特性を対象コーヒー成分特性と比較し、コーヒー部分が、対象コーヒーのコーヒー成分の許容し得るpHの範囲内であることを確実にすることにより、結果を有効にすることを必要とする。
【0106】
本発明の遂行のたびに、上記の方法の各工程及びすべての工程が必要とされるわけではないことを、当業者は理解する。必要とされる工程の正確な順序及び数はまた、使用される本発明の特定の遂行に依存する。
【0107】
M.分析方法
(コーヒーの成分の測定方法)
本発明のコーヒー成分は、伝導度検出器と共にアルカリ性陰イオン交換を使用したイオンクロマトグラフィー(IC)により分離され及び定量化される。システムは、ジオネックス DX 500 イオンクロマトグラフ(DionexDX500IonChromatograph)であって、以下のものを含む:
i)IP25 イソクラティックポンプ(IP25IsocraticPump);
ii)EG−40溶離液発生器(EG−40EluentGenerator);
iii)イオンパックATC−1陰イオントラップPN#37151(IonPacATC−1anion−trapPN#37151);
iv)AS50オートサンプラー;
v)LC30クロマトグラフィー・オーブン;
vi)イオンパックAS−11HCカラム(4mm×20cm)(PN 052960);
vii)イオンパックAG−11−HC(PN 052962)ガードカラム;
viii)CD20伝導度検出器;及び
ix)4mm ASRS−ウルトラサプレッサ(ASRS−Ultrasuppressor)。
【0108】
クロマトグラフのカラムは、陰イオン交換ラテックスの70nm直径のミクロビーズが表面に取り付けられた、9−imの高度に架橋したマクロ孔質のエチルビニルベンゼン−ジビニルベンゼン樹脂コアから成る。移動相は、蒸留された脱イオン水から、EG−40溶離液発生器(EG−40EluentGenerator)を用いることにより、電解により生成され、及び以下のことを特徴とする:
1.溶離液A:18Mohm−cm Mill−Q水以上、0.45mmフィルターを通して濾過し、脱気し、連続的に窒素で覆うようにしながらリザーバAに移す。
2.溶離液B:水酸化カリウムカートリッジ(エリューゲン(EluGen)EGC−KOHエリューゲンカートリッジ(EGC−KOHEluGencartridge)、ジオネックス社(DionexInc.))
脱イオン水は、EG40内のエリューゲンカートリッジ(EluGenCartridge)にポンプによって供給される。DC電流がエリューゲンカートリッジ(EluGenCartridge)に印加され、水酸化カリウム溶離液を生成する。得られた移動相の勾配は下記の表2に記載される。
【0109】
【表2】

カラムは32℃の温度に保たれる。流速は、1.5mL/分であり、注入体積は10μLである。データ収集時間は、データ収集速度一秒あたり5点において、55分間である。
【0110】
上記の分析方法は、ジオネックス社出願記録(DionexCorporationApplicationNote)123の「発酵培養液中の無機陰イオンと有機酸の測定(DeterminationofInorganicAnionsandOrganicAcidsinFermentationBroths)」、及びジオネックス社出願記録(DionexCorporationApplicationNote)25の「非アルコール性炭酸飲料中の無機陰イオンと有機酸の測定(DeterminationofInorganicAnionsandOrganicAcidsinNon−AlcoholicCarbonatedBeverages)」に、更に記載されており、これらは参考として本明細書に組み入れられる。
【0111】
コーヒー成分の同定、分離、及び定量化の方法の最初の工程は、分析される物質(コーヒー供給源、対象コーヒー、又はコーヒー部分)のサンプル水溶液を調製することである。サンプル水溶液は、次いで大きな懸濁した汚れを除去するために濾過されなければならない。精製したサンプルを次いで採集し、上記の装置を用いて分析する。
【0112】
一例として、分析される物質が焙煎して挽いたコーヒーである場合、その時は最初に、2.0グラムの焙煎して挽いたコーヒーを、100ml容積測定用フラスコに秤量する。50mlの沸騰したHPLC水をサンプルに添加し、ホットプレート上で10分間沸騰させる。室温に冷却し、HPLC水により、もとの体積に戻す。次に2mlを、0.45mmのナイロン薄膜フィルター(アクロディスク)を通して濾過する。最初の1mlを廃棄し、二番目の1mlをサンプルバイアル瓶に採集して蓋をする。最後に、精製されたサンプルを上記の装置を使用して分析する。
【0113】
分析される物質が、作りおきのコーヒーである場合は、その時はおよそ2mlを0.45mmのナイロン薄膜フィルター(アクロディスク)を通して濾過する。最初の1mlを廃棄し、二番目の1mlをサンプルバイアル瓶に採集して蓋をする。最後に、精製されたサンプルを上記の装置を用いて分析する。
【0114】
分析される物質が、可溶性コーヒーである場合は、1グラムの可溶性コーヒーを、100ml容積測定用フラスコ内に秤量する。50mlの沸騰したHPLC水をサンプルに添加する。溶液をよく混合するために回転し、次いで冷却し、体積に希釈する。次に2mlを、0.45mmのナイロン薄膜フィルター(アクロディスク)を通して濾過する。最初の1mlを廃棄し、二番目の1mlをサンプルバイアル瓶に採集して蓋をする。最後に、精製されたサンプルを上記の装置を使用して分析する。
【0115】
分析される物質がコーヒー抽出物である場合、その時は、0.45mmのナイロン薄膜フィルター(アクロディスク)を通り抜けるために、希釈する必要がある。希釈の程度は、分析される特定のサンプルの粘度に依存する。分析される物質が、上記以外の形態である場合には、上記に概説したように調製される必要がある。調製に続いてすぐ分析されないサンプルは、冷凍保存が必要である。
【0116】
(イオンクロマトグラフィー方法の較正)
検出器の応答を濃度の単位(例えば、百万分の一、mg/lなど)に変換するために較正が必要であることを、当業者は理解する。IC方法の較正は、遊離酸(十分な純度の固体として入手可能である場合)の溶液、又はナトリウム若しくはカリウム塩の溶液を調製することにより実行される。キナ酸、乳酸、酢酸、ギ酸、リンゴ酸、リン酸、及びクエン酸について5段階の較正により、応答因子(RF、ppm/ピーク面積)が測定された。塩が用いられる場合、RF値が遊離酸の濃度(ppm)に対応するように、重量係数が適用される。
【0117】
(キナ酸)
キナ酸(アルドリッチ(Aldrich)77−95−2、純度98%、FW=192.17g/モル)が用いられた。第一の原液が、0.1015gを、100mLの容積測定用フラスコ内に秤量することにより調製された。第二の原液が、10倍の希釈により調製された。
【0118】
5つの較正溶液が、第二の原液を続いて二倍に希釈することにより製造された。フィットは、6〜100ppmの範囲にわたって、直線状(r2=0.9998)であった。
【0119】
(乳酸)
乳酸ナトリウム(シグマ(Sigma)L−7022、純度およそ98%、FW=112.06g/モル)が、CaSO4を含有する乾燥器中で一晩乾燥された。第一の原液が、0.1079gを、100mLの容積測定用フラスコ内に秤量することにより調製された。第二の原液が、10倍の希釈により製造された。5つの較正溶液が、第二の原液を続いて二倍に希釈することにより作製された。フィットは、5〜85ppmの範囲にわたって、直線状(r2=0.9996)であった。
【0120】
(酢酸)
酢酸ナトリウム(シグマ(Sigma)S7545、純度99.0%、FW=82.03g/モル)が使用された。第一の原液が、0.1035gを、100mLの容積測定用フラスコ内に秤量することにより調製された。第二の原液が、10倍の希釈により調製された。
【0121】
5つの較正溶液が、第二の原液を続いて二倍に希釈することにより製造された。5〜75ppmの範囲にわたって、2次のフィット(r2=0.9999)が、直線状フィット(r2=0.984)より好ましかった。
【0122】
(ギ酸)
ギ酸ナトリウム(シグマ(Sigma)S2140、純度99.6%、FW=68.01g/モル)が使用された。第一の原液が、0.1007gを、100mLの容積測定用フラスコ内に秤量することにより調製された。第二の原液が、10倍の希釈により調製された。
【0123】
5つの較正溶液が、第二の原液を続いて二倍に希釈することにより製造された。フィットは、4〜70ppmの範囲にわたって、直線状(r2=0.9990)であった。
【0124】
(リンゴ酸)
リンゴ酸(アルドリッチ(Aldrich)617−48−1、純度99+%、FW=134.09g/モル)が用いられた。第一の原液が、0.1020gを、100mLの容積測定用フラスコ内に秤量することにより調製された。第二の原液が、10倍の希釈により調製された。5つの較正溶液が、第二の原液を続いて二倍に希釈することにより製造された。
【0125】
6〜100ppmの範囲にわたって、2次のフィット(r2=0.9999)が、直線状フィット(r2=0.985)より好ましかった。
【0126】
(リン酸)
リン酸一カリウム(アルドリッチ(Aldrich)7778−77−0、純度99%、FW=136.09g/モル)が使用された。第一の原液が、0.1020gを、100mLの容積測定用フラスコ内に秤量することにより調製された。第二の原液が、10倍の希釈により調製された。5つの較正溶液が、第二の原液を続いて二倍に希釈することにより製造された。フィットは、5〜75ppmの範囲にわたって、直線状(r2=0.9999)であった。
【0127】
(クエン酸)
クエン酸(アルドリッチ(Aldrich)77−92−9、純度99+%、FW=192.12g/モル)が使用された。第一の原液が、0.1034gを、100mLの容積測定用フラスコ内に秤量することにより調製された。第二の原液が、10倍の希釈により調製された。5つの較正溶液が、第二の原液を続いて二倍に希釈することにより製造された。6〜100ppmの範囲にわたって、2次のフィット(r2=0.9999)が、直線状フィット(r2=0.989)より好ましかった。
【実施例1】
【0128】
以下の実施例は、本発明の範囲内の実施形態を更に記載し、説明する。これらの実施例は単に説明の目的だけで示されており、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明の多数の改変が可能であり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0129】
(コーヒー供給源の成分及びコーヒー供給源の成分調整剤の調製)
原液の1モル溶液が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リンゴ酸二ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、リン酸二カリウム、リンゴ酸、クエン酸、リン酸、乳酸、ギ酸、及び酢酸の各々について調製される。個々の例について、適切な物質が、予備混合されて及びその後コーヒー供給源に添加されるか、又はVWRモデル990A1925及びBIOHTモデルAR71005ピペットを使用してコーヒー供給源に添加された。
【0130】
(実施例1)
焙煎して挽いたコーヒーが、60重量%の第一コーヒー及び40重量%の第二コーヒーを含んで調製される。第一のコーヒーは、15.6Lのハンター(Hunter)カラーに焙煎された、中央アメリカのアラビカ(CentralAmericanArabicas)を含む。第二のコーヒーは75%のアラビカと25%のロブスタのブレンドである。この75/25のアラビカ/ロブスタのブレンドは、対象の16.5Lのハンター(Hunter)カラーに焙煎される。第一のコーヒーと第二のコーヒーは共にブレンドされ、続いて平均粒径724ミクロンに挽かれる。
【0131】
液体コーヒー抽出物を含むコーヒー供給源は、上記の焙煎して挽いたコーヒーから調製される。抽出カラムに、6.5Kgの調製した、焙煎して挽いたコーヒー供給源を詰める。好適な抽出カラムには、これに限定されないが、連続的フローカラムが挙げられる。前記カラムは、典型的には、6:1以上の高さ対直径の比、及びコーヒーの顆粒をリテイナーの間に保持しながら、同時に給水の運搬を可能にする穴の開いた最上部と最下部のリテイナーを有する、ステンレス鋼製垂直カラムである。好適なカラムは、デンマーク、ソボー(Soeborg)の、ニロA/S(NiroA/S)から得ることができる。カラムに窒素を勢いよく流し、次いで蒸留すると共に抽出し、水を82℃(180°F)で、1.8リットル/分の速度に下げる。カラムを出た後、抽出物は29℃(85°F)に冷却される。抽出物は、3.89重量%の固体濃度を有する。
【0132】
液体コーヒー抽出物を含むコーヒー供給源を、蒸留水を用いて、固体濃度が0.7重量%まで希釈し、コーヒー供給源の成分特性を本明細書に記載された分析方法によって測定する。コーヒー供給源の成分特性及び濃度の相対比は、表3.1に示される。
【0133】
【表3−1】

液体抽出物コーヒー供給源のpHが、オリオン(ORION)モデル290A pH計を使用して測定される。pHは5.062であることが観測される。液体コーヒー抽出物を含むコーヒー供給源は、マイクロサーミックス(MicroThermics)モデル25DH UHT/HTST装置の中で、予熱温度82℃(180°F)、流速2リットル/分、保持温度143℃(290°F)、及び保持時間6秒間を使用して加熱される。液体コーヒー抽出物は、温度7℃(45°F)に冷却され、及び瓶の中に充填される。
【0134】
各瓶の中に、コーヒー供給源の成分特性の調整剤(水酸化ナトリウム)、及び関連する酸のための補足的コーヒー供給源の成分を添加する。添加された、コーヒー供給源の成分特性の調整剤、及び補足的コーヒー供給源の成分の量及び種類を表3.2に示す。関連する酸についての、得られたコーヒー供給源の成分特性、及びこれらの酸の濃度の相対比を、表3.3に示す。
【0135】
【表3−2】

コーヒー供給源の成分特性調整剤、及び補足的コーヒー供給源の成分の添加に続いて、コーヒーのpHは、5.488であることが測定される。瓶は次いで、パートロウ(Partlow)モデルMRC5000温度管理システムにより監視された、29℃(85°F)の温度管理室に2週間設置される。2週間の終わりに、瓶は取り出され、コーヒーのpHは、5.133であることが測定される。得られたコーヒー供給源の成分特性、及び得られたコーヒー供給源の成分の濃度の相対比が測定される。それらの値は、表3.3に示される。得られたコーヒー供給源の成分特性は、対象コーヒーの供給源の成分特性と比較され、その差もまた表3.3に示される。
【0136】
【表3−3】

得られたコーヒー、及び対象コーヒーにおける、知覚できる形態の関連する酸の濃度は、同じpHの値5.062(抽出したてのコーヒー供給源のpH値)を使用して計算される。得られたコーヒーにおける知覚できる濃度は、対象コーヒー(即ち、抽出したてのコーヒー供給源)における、対応する関連する酸の知覚できる濃度と、少なくとも同じ程度に大きいことが見出された。
【0137】
(実施例2)
実施例1の液体抽出物のコーヒー供給源を利用する。コーヒー供給源を、蒸留水を使用して、固体濃度が0.7重量%まで希釈し、コーヒー供給源の成分特性を本明細書に記載された分析方法によって測定する。コーヒー供給源の成分特性及び濃度の相対比は、表4.1に示される。
【0138】
【表4−1】

液体抽出コーヒー供給源のpHが、オリオン(ORION)モデル290A pH計を使用して測定される。pHは5.059であることが観測される。コーヒー供給源は、マイクロサーミックス(MicroThermics)モデル25DH UHT/HTST装置の中で、予熱温度82℃(180°F)、流速2リットル/分、保持温度143℃(290°F)、及び保持時間6秒間を使用して加熱される。液体コーヒー抽出物は、温度7℃(45°F)に冷却され、瓶の中に充填される。二つの10gのアリコートが取られ、シンチレーションバイアル瓶に設置される。
【0139】
各バイアル瓶の中に、コーヒー供給源の成分特性の調整剤(水酸化ナトリウム)、及び同定された関連する酸のための補足的コーヒー供給源の成分を添加する。添加された、コーヒー供給源の成分特性の調整剤、及び補足的コーヒー供給源の成分の量及び種類を表4.2に示す。関連する酸についての、得られたコーヒー供給源の成分特性、及びこれらの酸の濃度の相対比を、表4.3に示す。
【0140】
【表4−2】

風味特性調整剤、及び補足的コーヒー供給源の成分の添加に続いて、アリコートのpHは、5.439であることが測定される。バイアル瓶は次いで、パートロウ(Partlow)モデルMRC5000温度管理システムにより監視された、29℃(85°F)の温度管理室に2週間設置される。2週間の終わりに、バイアル瓶は取り出され、アリコートのpHは、5.059であることが測定される。得られたコーヒー供給源の成分特性、及び得られたコーヒー供給源の成分の濃度の相対比が測定される。それらの値は、表4.3に示される。得られたコーヒー供給源の成分特性は、対象コーヒーの供給源の成分特性と比較され、その差もまた表4.3に示される。
【0141】
【表4−3】

得られたコーヒー及び対象コーヒーにおける知覚できる形態の関連する酸の濃度は、同じpHの値5.059(抽出したてのコーヒー供給源のpH値)を使用して計算される。得られたコーヒーにおける知覚できる濃度は、対象コーヒー(即ち、抽出したてのコーヒー供給源)における対応する関連する酸の知覚できる濃度と、少なくとも同じ程度に大きいことが見出された。
【0142】
(実施例3)
実施例1の液体抽出物のコーヒー供給源を利用する。コーヒー供給源を、蒸留水を用いて、固体濃度が0.7重量%まで希釈し、コーヒー供給源の成分特性を本明細書に記載された分析方法によって測定する。コーヒー供給源の成分特性及び濃度の相対比は、表5.1に示される。
【0143】
【表5−1】

液体抽出コーヒー供給源のpHが、オリオン(ORION)モデル290A pH計を使用して測定される。pHは5.059であることが観測される。コーヒー供給源は、マイクロサーミックス(MicroThermics)モデル25DH UHT/HTST装置の中で、予熱温度82℃(180°F)、流速2リットル/分、保持温度143℃(290°F)、及び保持時間6秒間を使用して加熱される。液体コーヒー抽出物は、温度7℃(45°F)に冷却され、瓶の中に充填される。二つの10gのアリコートが取られ、シンチレーションバイアル瓶に設置される。
【0144】
各バイアル瓶の中に、コーヒー供給源の成分特性の調整剤(水酸化ナトリウム)、及び同定された関連する酸のための補足的コーヒー供給源の成分を添加する。添加されたコーヒー供給源の成分特性の調整剤、及び補足的コーヒー供給源の成分の量及び種類を表5.2に示す。関連する酸についての得られたコーヒー供給源の成分特性、及びこれらの酸の濃度の相対比を、表5.3に示す。
【0145】
【表5−2】

コーヒー供給源の成分特性調整剤、及び補足的コーヒー供給源の成分の添加に続いて、アリコートのpHは、5.426であることが測定される。バイアル瓶は次いで、パートロウ(Partlow)モデルMRC5000温度管理システムにより監視された、29℃(85°F)の温度管理室に2週間設置される。2週間の終わりに、バイアル瓶は取り出され、アリコートのpHは、5.148であることが測定される。得られたコーヒー供給源の成分特性、及び得られたコーヒー供給源の成分濃度の相対比が測定される。それらの値は、表5.3に示される。得られたコーヒー供給源の成分特性は、対象コーヒーの供給源の成分特性と比較され、その差もまた表5.3に示される。
【0146】
【表5−3】

得られたコーヒー、及び対象コーヒーにおける、知覚できる形態の関連する酸の濃度は、同じpHの値5.059(抽出したてのコーヒー供給源のpH値)を使用して計算される。得られたコーヒーにおける知覚できる濃度は、対象コーヒー(即ち、抽出したてのコーヒー供給源)における、対応する関連する酸の知覚できる濃度と、少なくとも同じ程度に大きいことが見出された。
【0147】
(実施例4)
実施例1の液体抽出コーヒー供給源を利用する。コーヒー供給源を、蒸留水を使用して、固体濃度が0.7重量%まで希釈し、コーヒー供給源の成分特性を本明細書に記載された分析方法によって測定する。コーヒー供給源の成分特性及び濃度の相対比は、表6.1に示される。
【0148】
【表6−1】

液体抽出物の5リットルのサンプルが採集される。サンプルバイアル瓶中の液体抽出コーヒー供給源のpHが、オリオン(ORION)モデル290A pH計を使用して測定される。pHは5.059であることが観測される。5リットルサンプルに、コーヒー供給源の成分特性の調整剤(水酸化ナトリウム)、及び同定された関連する酸のための補足的コーヒー供給源の成分を添加する。添加された、コーヒー供給源の成分特性の調整剤、及び補足的コーヒー供給源の成分の量及び種類を表6.2に示す。
【0149】
コーヒー供給源は、マイクロサーミックス(MicroThermics)モデル25DH UHT/HTST装置の中で、予熱温度82℃(180°F)、流速2リットル/分、保持温度143℃(290°F)、及び保持時間6秒間を使用して加熱される。液体コーヒー抽出物は、温度7℃(45°F)に冷却され、瓶の中に充填される。関連する酸についての、得られたコーヒー供給源の成分特性、及びこれらの酸の濃度の相対比を、表6.3に示す。
【0150】
【表6−2】

コーヒー供給源の成分特性調整剤、及び補足的コーヒー供給源の成分の添加に続いて、コーヒーのpHは、5.245であることが測定される。次いで、瓶に詰められたコーヒーは、パートロウ(Partlow)モデルMRC5000温度管理システムにより監視された29℃(85°F)の温度管理室に2週間設置される。2週間の終わりに、瓶に詰められたコーヒーは取り出され、コーヒーのpHは、4.929であることが測定される。得られたコーヒー供給源の成分特性、及び得られたコーヒー供給源の成分の濃度の相対比が測定される。それらの値は、表6.3に示される。得られたコーヒー供給源の成分特性は対象コーヒーの供給源の成分特性と比較され、その差もまた表6.3に示される。
【0151】
【表6−3】

得られたコーヒー、及び対象コーヒーにおける知覚できる形態の関連する酸の濃度は、同じpHの値5.059(抽出したてのコーヒー供給源のpHの値)を使用して計算される。得られたコーヒーにおける知覚できる濃度は、対象コーヒー(即ち、抽出したてのコーヒー供給源)における対応する関連する酸の知覚できる濃度と、少なくとも同じ程度に大きいことが見出された。
【0152】
(実施例5)
実施例1の液体抽出コーヒー供給源を利用する。蒸留水を使用して、コーヒー供給源を固体濃度が0.7重量%まで希釈し、コーヒー供給源の成分特性を本明細書に記載された分析方法によって測定する。コーヒー供給源の成分特性及び濃度の相対比は、表7.1に示される。
【0153】
【表7−1】

液体抽出物の5リットルのサンプルが採集される。サンプル中の液体抽出コーヒー供給源のpHが、オリオン(ORION)モデル290A pH計を使用して測定される。pHは5.059であることが観測される。5リットルサンプルに、コーヒー供給源の成分特性の調整剤(水酸化ナトリウム)、及び同定された関連する酸のための補足的コーヒー供給源の成分を添加する。添加されたコーヒー供給源の成分特性の調整剤、及び補足的コーヒー供給源の成分の量及び種類を表7.2に示す。
【0154】
コーヒー供給源は、マイクロサーミックス(MicroThermics)モデル25DH UHT/HTST装置の中で、予熱温度82℃(180°F)、流速2リットル/分、保持温度143℃(290°F)、及び保持時間6秒間を使用して加熱される。液体コーヒー抽出物は、温度7℃(45°F)に冷却され、瓶の中に充填される。関連する酸についての、得られたコーヒー供給源の成分特性、及びこれらの酸の濃度の相対比を、表7.3に示す。
【0155】
【表7−2】

コーヒー供給源の成分特性調整剤、及び補足的コーヒー供給源の成分の添加に続いて、瓶に詰められたコーヒーのpHは、5.239であることが測定される。瓶は次いで、パートロウ(Partlow)モデルMRC5000温度管理システムにより監視された、29℃(85°F)の温度管理室に2週間設置される。2週間の終わりに瓶は取り出され、コーヒーのpHは、4.935であることが測定される。得られたコーヒー供給源の成分特性、及び得られたコーヒー供給源の成分の濃度の相対比が測定される。それらの値は、表7.3に示される。得られたコーヒー供給源の成分特性は、対象コーヒーの供給源の成分特性と比較され、その差もまた表7.3に示される。
【0156】
【表7−3】

得られたコーヒー、及び対象コーヒーにおける知覚できる形態の関連する酸の濃度は、同じpHの値5.059(抽出したてのコーヒー供給源のpH値)を使用して計算される。
得られたコーヒーにおける知覚できる濃度は、対象コーヒー(即ち、抽出したてのコーヒー供給源)における、対応する関連する酸の知覚できる濃度と少なくとも同じ程度に大きいことが見出された。
【0157】
(実施例6)
焙煎して挽いたコーヒーが、65重量%の中央アメリカのアラビカ(CentralAmericanArabica)、及び35重量%のベトナム・ロブスタを含んで調製される。ブレンドは、20.2Lのハンター(Hunter)カラーに共に焙煎される。焙煎されたコーヒーは、続いて平均粒径725ミクロンに挽かれる。
【0158】
液体コーヒー抽出物を含むコーヒー供給源は、上記の焙煎して挽いたコーヒーから調製される。実施例1の抽出カラムに、5.9Kgの調製された焙煎して挽いたコーヒー供給源を詰める。カラムに窒素を勢いよく流し、次いで蒸留すると共に抽出し、水を82℃(180°F)で、1.8リットル/分の速度に下げる。カラムを出た後、抽出物は29℃(85°F)に冷却される。抽出物は、4.2重量%の固体濃度を有する。
【0159】
蒸留水を用いて液体コーヒー抽出物を含むコーヒー供給源を固体濃度が0.7重量%まで希釈し、コーヒー供給源の成分特性を本明細書に記載された分析方法によって測定する。コーヒー供給源の成分特性及び濃度の相対比は、表8.1に示される。
【0160】
【表8−1】

液体抽出物の5リットルのサンプルが収集される。サンプル中の液体抽出コーヒー供給源のpHが、オリオン(ORION)モデル290A pH計を使用して測定される。pHは4.96であると観測された。コーヒー供給源は、マイクロサーミックス(MicroThermics)モデル25DH UHT/HTST装置の中で、予熱温度82℃(180°F)、流速2リットル/分、保持温度143℃(290°F)、及び保持時間6秒間を用いて加熱される。液体コーヒー抽出物は、温度7℃(45°F)に冷却され、瓶の中に充填される。
【0161】
瓶は次いで、パートロウ(Partlow)モデルMRC5000温度管理システムにより監視された29℃(85°F)の温度管理室に2週間設置される。瓶に詰められた抽出物サンプルに、コーヒー供給源の成分特性の調整剤(水酸化ナトリウム)、及び同定された関連する酸のための補足的コーヒー供給源の成分を添加する。添加された風味特性の調整剤、及び補足的コーヒー供給源の成分の量及び種類を表8.2に示す。関連する酸についての、得られたコーヒー供給源の成分特性、及びこれらの酸の濃度の相対比を、表8.3に示す。
【0162】
【表8−2】

コーヒー供給源の成分特性調整剤、及び補足的コーヒー供給源の成分の添加に続いて、アリコートのpHは4.97であることが測定される。得られたコーヒー供給源の成分特性、及び得られたコーヒー供給源の成分の濃度の相対比が測定される。
【0163】
それらの値は、表8.3に示される。得られたコーヒー供給源の成分特性は、対象コーヒーの供給源の成分特性と比較され、その差もまた表8.3に示される。
【0164】
【表8−3】

得られたコーヒー及び対象コーヒーにおける知覚できる形態の関連する酸の濃度は、同じpHの値4.96(抽出したてのコーヒー供給源のpH値)を使用して計算される。得られたコーヒーにおける知覚できる濃度は、対象コーヒー(即ち、抽出したてのコーヒー供給源)における、対応する関連する酸の知覚できる濃度と、少なくとも同じ程度に大きいことが見出された。
【0165】
(実施例7)
焙煎して挽いたコーヒーが、65重量%の中央アメリカのアラビカ(CentralAmericanArabica)、及び35重量%のベトナム・ロブスタを含んで調製される。ブレンドは、20.2Lのハンター(Hunter)カラーに共に焙煎される。焙煎されたコーヒーは、続いて平均粒径725ミクロンに挽かれる。
【0166】
液体コーヒー抽出物を含むコーヒー供給源は、上記の焙煎して挽いたコーヒーから調製される。実施例1の抽出カラムに、5.9Kgの調製された焙煎して挽いたコーヒー供給源を詰める。カラムに窒素を勢いよく流し、次いで、蒸留すると共に抽出し、水を82℃(180°F)で、1.8リットル/分の速度に下げる。カラムを出た後、抽出物は29℃(85°F)に冷却される。抽出物は、4.2重量%の固体濃度を有する。
【0167】
蒸留水を用いて、液体コーヒー抽出物を含むコーヒー供給源を固体濃度が0.7重量%まで希釈し、コーヒー供給源の成分特性を本明細書に記載された分析方法によって測定する。コーヒー供給源の成分特性及び濃度の相対比は、表9.1に示される。
【0168】
【表9−1】

液体抽出物の5リットルのサンプルが採集される。サンプル中の液体抽出コーヒー供給源のpHが、オリオン(ORION)モデル290A pH計を使用して測定される。pHは4.96であると観測される。コーヒー供給源は、マイクロサーミックス(MicroThermics)モデル25DH UHT/HTST装置の中で、予熱温度82℃(180°F)、流速2リットル/分、保持温度143℃(290°F)、及び保持時間6秒間を使用して加熱される。液体コーヒー抽出物は、温度7℃(45°F)に冷却され、瓶の中に充填される。
【0169】
瓶は次いで、パートロウ(Partlow)モデルMRC5000温度管理システムにより監視された29℃(85°F)の温度管理室に2週間設置される。瓶に詰められた抽出物サンプルに、コーヒー供給源の成分特性の調整剤(水酸化ナトリウム)、及び同定された関連する酸のための補足的コーヒー供給源の成分を添加する。添加されたコーヒー供給源の成分特性の調整剤及び補足的コーヒー供給源の成分の量及び種類を、表9.2に示す。関連する酸についての得られたコーヒー供給源の成分特性及びこれらの酸の濃度の相対比を、表9.3に示す。
【0170】
【表9−2】

コーヒー供給源の成分特性調整剤、及び補足的コーヒー供給源の成分の添加に続いて、アリコートのpHは、4.98であることが測定される。得られたコーヒー供給源の成分特性、及び得られたコーヒー供給源の成分の濃度の相対比が測定される。それらの値は、表9.3に示される。得られたコーヒー供給源の成分特性は、対象コーヒーの供給源の成分特性と比較され、その差もまた表9.3に示される。
【0171】
【表9−3】

得られたコーヒー、及び対象コーヒーにおける知覚できる形態の関連する酸の濃度は、同じpHの値4.96(抽出したてのコーヒー供給源のpH値)を使用して計算される。得られたコーヒーにおける知覚できる濃度は、対象コーヒー(即ち、抽出したてのコーヒー供給源)における、対応する関連する酸の知覚できる濃度と少なくとも同じ程度に大きいことが見出された。
【0172】
本発明の幾つかの実施形態を今まで記載してきたが、前述のものは説明のためだけのものであり、限定するものではなく例示のためだけに提示されていることは、当業者には明白なはずである。多数の他の実施形態及び変更は、添付の請求項により定義される本発明の範囲内に収まるものとして考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熟成コーヒー供給源のコーヒー供給源成分特性を、非熟成コーヒー供給源の対象コーヒー成分特性を模倣するために変更させる方法であって、熟成コーヒー供給源および非熟成コーヒー供給源がそれぞれ味に寄与する複数の酸を含み、
該方法は、
a)非熟成コーヒー供給源の対象コーヒー成分特性を、非熟成コーヒー供給源中の味に寄与する2つ以上の酸の濃度を測定することにより決定する工程、
b)熟成コーヒー供給源に対するコーヒー供給源成分特性を、熟成コーヒー供給源中の味に寄与する2つ以上の酸の濃度を測定することにより決定する工程、
c)主要な味に寄与する酸、および関連する味に寄与する1つ以上の酸を特定するために、対象コーヒー成分特性をコーヒー供給源成分特性と対比する工程であって、主要な味に寄与する酸および関連する味に寄与する1つ以上の酸が非熟成コーヒー供給源および熟成コーヒー供給源中の味に寄与する酸に対応する工程、
d)熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸の濃度を、非熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸の濃度の50%から150%までの範囲内に調整する工程、および、
e)熟成コーヒー供給源中のそれぞれの関連する味に寄与する酸の濃度をRCSの値に調整し、それによって、コーヒー供給源成分特性を変更し、非熟成コーヒー供給源の対象コーヒー成分特性を模倣する工程であって、
CSは以下の式で示される範囲内であり、
(0.5)(PTC / RTC) ≦ (PCS / RCS) ≦ (1.5)(PTC / RTC)
PTCは、非熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸の濃度、
RTCは、非熟成コーヒー供給源中の関連する味に寄与する酸の濃度、
PCSは、熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸の濃度である工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
熟成コーヒー供給源が、酢酸、乳酸、リンゴ酸、ギ酸、クエン酸、リン酸、およびこれらの塩、並びに、それらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの味に寄与する酸を含むことを特徴とする前記請求項1に記載の方法。
【請求項3】
非熟成コーヒー供給源が、酢酸、乳酸、リンゴ酸、ギ酸、クエン酸、リン酸、およびこれらの塩、並びに、それらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの味に寄与する酸を含むことを特徴とする前記請求項1に記載の方法。
【請求項4】
熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸および関連する味に寄与する酸の濃度が、熟成コーヒー供給源中へ、補足的コーヒー供給源成分、コーヒー供給源成分調整剤、およびそれらの組合せからなる群から選択される十分な量の1つ以上の成分を加えることにより調整されることを特徴とする前記請求項1に記載の方法。
【請求項5】
補足的コーヒー供給源成分が、酢酸、乳酸、リンゴ酸、ギ酸、クエン酸、リン酸、およびこれらの塩、並びに、それらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも2つの剤を含むことを特徴とする前記請求項4に記載の方法。
【請求項6】
コーヒー供給源成分調整剤が、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、水素、カルシウム、水酸化物およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの剤を含むことを特徴とする前記請求項4に記載の方法。
【請求項7】
対象コーヒー成分特性が、酢酸、乳酸、リンゴ酸、ギ酸、クエン酸、リン酸、およびこれらの塩、並びに、それらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも3つの味に寄与する酸を測定することにより決定されることを特徴とする前記請求項4に記載の方法。
【請求項8】
熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸および関連する味に寄与する酸の濃度が、熟成コーヒー供給源中へ、酢酸、乳酸、リンゴ酸、ギ酸、クエン酸、リン酸、およびこれらの塩、並びに、それらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の剤を加えることにより決定されることを特徴とする前記請求項1に記載の方法。
【請求項9】
熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸および関連する味に寄与する酸の濃度が、熟成コーヒー供給源中へ、酢酸、乳酸、リンゴ酸、ギ酸、クエン酸、リン酸、およびこれらの塩、並びに、それらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも3つの剤を加えることにより決定されることを特徴とする前記請求項8に記載の方法。
【請求項10】
熟成コーヒー供給源および非熟成コーヒー供給源のそれぞれが、約1〜約20の範囲内の数であるN個の関連する味に寄与する酸を含むことを特徴とする前記請求項1に記載の方法。
【請求項11】
熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸の濃度を非熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸の濃度の約50%から150%の範囲内とする調整が、熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸の濃度を非熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸の濃度の約80%から120%の範囲内に調整することを含むことを特徴とする前記請求項1に記載の方法。
【請求項12】
熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸の濃度を非熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸の濃度の約50%から150%の範囲内とする調整が、熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸の濃度を非熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸の濃度の約90%から110%の範囲内に調整することを含むことを特徴とする前記請求項1に記載の方法。
【請求項13】
熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸の濃度を非熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸の濃度の約50%から150%の範囲内とする調整が、熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸の濃度を非熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸の濃度の約95%から105%の範囲内に調整することを含むことを特徴とする前記請求項1に記載の方法。
【請求項14】
熟成コーヒー供給源を用いて非熟成コーヒー風味を模倣する方法であって、熟成コーヒー供給源が味に寄与する複数の酸を含み、
該方法は、
a)所望の非熟成コーヒー風味を示す非熟成コーヒー供給源を選択する工程であって、非熟成コーヒー供給源が味に寄与する複数の酸を含み、
b)対象コーヒー成分特性を決定するために、非熟成コーヒー供給源中の味に寄与する2つ以上の酸に対する濃度を測定する工程であって、対象コーヒー成分特性が所望の非熟成コーヒー風味に関連しており、
c)非熟成コーヒー供給源のpHを決定する工程であって、非熟成コーヒー供給源の該pH値が所望の非熟成コーヒー風味に関連しており、
d)熟成コーヒー供給源を選択する工程、
e)コーヒー供給源成分特性を決定するために、熟成コーヒー供給源中の味に寄与する2つ以上の酸に対する濃度を測定する工程、
f)熟成コーヒー供給源のpHを決定する工程、
g)主要な味に寄与する酸および関連する味に寄与する1つ以上の酸を特定するために、対象コーヒー成分特性をコーヒー供給源成分特性と対比する工程であって、主要な味に寄与する酸および関連する味に寄与する1つ以上の酸が非熟成コーヒー供給源および熟成コーヒー供給源中の個々の味に寄与する酸に対応し、
h)熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸の濃度を、非熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸の濃度の50%から150%までの範囲内に調整する工程、および、
i)熟成コーヒー供給源中のそれぞれの関連する味に寄与する酸の濃度をRCSの値に調整する工程であって、該RCSは以下の式で示される範囲内であり、
(0.5)(PTC/RTC) ≦ (PCS/RCS) ≦ (1.5)(PTC/RTC)
PTCは、非熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸の濃度、
RTCは、非熟成コーヒー供給源中の関連する味に寄与する酸の濃度、
PCSは、熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸の濃度、であり、
j)熟成コーヒー供給源中の主要な味に寄与する酸および関連する味に寄与する酸の濃度を調整した後、熟成コーヒー供給源中のpHを、非熟成コーヒー供給源のpH値の2単位下から2単位上までの範囲内のpH値へ調整し、所望の非熟成コーヒー風味を模倣する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
非熟成コーヒー供給源に関連した安定な風味特性を有する熟成コーヒー供給源を含むコーヒー飲料組成物の製造法であって、
該方法は、
a)前記請求項2の方法による工程、および、任意選択的に、
b)コーヒー飲料組成物に1以上の追加の風味が加えられて、非熟成コーヒー供給源に関連した安定な風味特性を有する該コーヒー飲料組成物を製造する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
起泡剤、口あたり増強剤、クリーム状成分、不活性充填剤、キャリア、甘味剤およびそれらの組合せからなる群から選択される1以上の成分を加える工程をさらに含むことを特徴とする前記請求項15に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−279010(P2009−279010A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201935(P2009−201935)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【分割の表示】特願2002−563779(P2002−563779)の分割
【原出願日】平成14年2月13日(2002.2.13)
【出願人】(508332265)ザ フォルジャーズ コーヒー カンパニー (4)
【Fターム(参考)】