説明

定流量弁

【課題】円錐形状のコイル状ばねによる弁体とダンパー装置を備えた定流量弁において、上下方向への遊びに起因する流量特性のバラツキと取付姿勢が変化した場合における流量特性のバラツキを改良する。
【解決手段】弁体をなす円錐形状のコイル状ばね20と、その小径端部21に位置するピストン41を有するダンパー部材40と、円錐形状のコイル状ばね20の大径端部22を支持する弁支持筐体10と、この弁支持筐体10に設けられ、ピストン41が嵌合するダンパー穴14とを備える定流量弁において、円錐形状のコイル状ばね20の大径端部22を弁支持筐体10に対し固定する。すなわち、弁支持筐体10に環状溝15を形成し、この環状溝15に、円錐形状のコイル状ばね20の大径端部22を圧入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を代表とする流体を、その供給圧力の変動に拘わらず、一定流量で装置へ供給することができる定流量弁に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば給湯用温水器には、水道水の供給圧力にバラツキがあっても支障がないように定流量弁が備え付けられている。その一例として、特許文献1及び特許文献2で知られる定流量弁がある。
【0003】
まず、特許文献1の定流量弁は、流体の流路に設置され、流体の圧力変動に応じて流体の通過孔面積を可変とする弁体を、流体の圧力変動に応じて伸縮動作するコイル状ばねにより形成したものである。そして、この弁体をなすコイル状ばねの各巻線間の隙間を、流体の圧力変動に応じて可変となる通過孔面積に対応させると共に、当該コイル状ばねの各巻線間の隙間による通過孔面積と、当該コイル状ばねを境にした流体の差圧の平方根との積がほぼ一定になるように、当該コイル状ばねのばね荷重特性を非線形に設定してなるものである。
【0004】
この特許文献1の定流量弁によれば、例えば水道水の供給圧力の低圧側における圧力損失を0.2kg/cm2以下と少なくできることから、水道水の供給圧力が0.3kg/cm2の低圧地域であっても、例えば給湯用温水器の場合に、設定流量(実施例では15l/min)を充分に供給することができる。従って、給湯用温水器の健全な使用ができるばかりでなく、充分な湯の使用ができることから、利用者に満足を与えることができる。また、コイル状ばねに定流量コントロール機能を与えたことにより、弁の構造を簡略化できると共に、部品も簡略化できたことから、量産化が可能となり、工数の大幅な低減が可能である。従って、性能の良い定流量弁を安価に広く提供することができる。
【0005】
また、特許文献2の定流量弁は、弁体を、流体の圧力変動に応じて伸縮動作し、かつ、流体の圧力変動に応じて可変となる通過孔面積に各巻線間の隙間を対応させてなる円錐形状のコイル状ばねにより形成したものである。そして、この弁体をなす円錐形状のコイル状ばねの流体一次側領域に、上流側ばね座部に挟持される座板部と、この座板部から下流側に向かって自由端がなびくように延びる羽根部とを備え、柔軟な弾性材で形成され、羽根部の略偏平面部表裏の流体差圧力により発生する抑制力によって、当該円錐形状のコイル状ばねの各巻線の稜線を抑えて、各巻線の揺動を抑制する緩衝部材を配置している。また、弁体をなす円錐形状のコイル状ばねの中央部に位置するピストンを有するダンパー部材に、上流側ばね座部及び緩衝部材の座板部を係合して弁組立体を形成している。そして、この弁組立体の中心線上に、ダンパー穴を有する有底状のダンパー筒体を配置し、このダンパー筒体のダンパー穴にダンパー部材のピストンを上下方向摺動自在に嵌合してダンパー装置を構成している。さらに、ピストンをダンパー穴に対し回転不能としたものである。
【0006】
この特許文献2の定流量弁によれば、先ず、円錐形状のコイル状ばねに定流量コントロール機能を与えたことにより、弁の構造を簡略化できるとともに、部品も簡略できたことから、量産化が可能となり、工数の大幅な低減が可能である。従って、性能の良い定流量弁を安価に広く提供することができる。そして、ダンパー装置を設けたことによって、円錐形状のコイル状ばねとプロペラ形状の緩衝部材とをダンパー部材で係合した弁組立体が軸方向に激しく振動しようとしても、その振動が吸収されて取り除かれ、動きが平滑に制御される。従って、定流量特性が安定し、振動発生の起爆剤としての要因が解消される。また、弁部における組立上対面関係にある弁周辺部材の接触関係も比較的良好なものとなり、定流量特性が安定するものとなる。さらに、ピストンとダンパー穴との嵌合部を回転方向の動作が不可能な構造としたことから、弁体をなす円錐形状のコイル状ばねの弁座環境が変化することがない。
【特許文献1】特許第2571335号公報
【特許文献2】特許第3164786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献2の定流量弁において、ピストンとダンパー穴との回転不能な嵌合部、具体的には多角形状による嵌合部における極小さなガタに起因する遊びにより、弁体をなす円錐形状のコイル状ばねに回転方向、中心線に沿った方向及びその直交方向への僅かなズレが生じる。
これにより、弁支持筐体底面の通水穴部との位置関係が僅かに崩れ、弁体をなす円錐形状のコイル状ばねの受圧・動作性に影響を及ぼすことが懸念される。すなわち、上下方向への遊びによる流量特性にバラツキが出る懸念と、定流量弁の取付姿勢が変化した場合に流量特性にバラツキが出る懸念、特に定流量弁がダンパー部を上にした上下逆向きの場合や横向きでの回転による流量特性にバラツキが出る懸念がある。
なお、ピストンとダンパー穴を回転可能な嵌合部とした場合にも同様の懸念が考えられる。
【0008】
本発明の課題は、円錐形状のコイル状ばねによる弁体とダンパー装置を備えた定流量弁において、上下方向への遊びに起因する流量特性のバラツキを改良することである。
また、本発明は、取付姿勢が変化した場合における流量特性のバラツキを改良することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、弁体をなす円錐形状のコイル状ばねと、この円錐形状のコイル状ばねの小径端部に位置するピストンを有するダンパー部材と、前記円錐形状のコイル状ばねの大径端部を支持する弁支持筐体と、この弁支持筐体に設けられ、前記ピストンが嵌合するダンパー穴とを備える定流量弁において、前記円錐形状のコイル状ばねの大径端部を前記弁支持筐体に対し固定したことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の定流量弁であって、前記弁支持筐体に環状溝を形成し、この環状溝に、前記円錐形状のコイル状ばねの大径端部を圧入したことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の定流量弁であって、前記円錐形状のコイル状ばねの大径端部を、前記弁支持筐体と環状部材との間に挟んだことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の定流量弁であって、前記弁支持筐体に環状部材を設け、この環状部材内に、前記円錐形状のコイル状ばねの大径端部を圧入したことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の定流量弁であって、前記弁支持筐体に環状溝を形成する一方、前記円錐形状のコイル状ばねの大径端部に環状部材を設け、この環状部材を前記環状溝に嵌め込んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、弁体をなす円錐形状のコイル状ばねは、その大径端部が弁支持筐体に対し固定されていて移動しないため、上下方向への遊びに起因する流量特性のバラツキを解消して、定流量弁の精度を向上できる。
また、取付姿勢が変化した場合、特にダンパー部を上にした上下逆向きの場合や横向きで回転した場合における流量特性のバラツキを解消して、定流量弁の精度を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は本発明を適用した定流量弁の実施形態1の構成を示すもので、横向きに設置した定流量弁を示しており、10は弁支持筐体、11は弁支持板、12は通孔(通水穴部)、13はダンパー筒体、14はダンパー穴、15は環状溝、20は弁体(円錐形状のコイル状ばね)、21は小径端部、22は大径端部、23は延長部、30は緩衝部材、31は座板、32は羽根、40はダンパー部材、41はピストン、50はダンパー部材押え体である。
【0016】
前記特許文献2で詳細に説明されるように、弁支持筐体10は、図示しない給水管路内を直角に分断するように設けられ、給水管路内に安定させる筒状をなす合成樹脂製のもので、給水管路に当接してゴムパッキンにより気密に嵌合している。なお、弁支持筐体10は金属製でも良い。
弁支持筐体10は、図示のように、給水管路内を直角に分断するように一体に設けた弁支持板11に、円周方向に間隔を開けた複数の通孔(通水穴部)12と、中央部から下流側に向かって突出する、ダンパー装置の一部を構成するダンパー筒体13を有している。ダンパー筒体13は、有底状のダンパー穴14を有するものである。
【0017】
弁体をなす円錐形状のコイル状ばね20は金属製で、その変位量に対する通過孔面積の変化状況の特性が、密着側に向かうにしたがって減少する右下がりの非線形特性である。
緩衝部材30は、柔軟性のある合成ゴムや合成樹脂製でプロペラ形状のものあり、中央部に貫通孔を有する円板状の座板31と、この座板31の周囲から放射方向(例えば座板31の直径方向に対向する2本)に伸びた羽根32とによって構成されていて、コイル状ばね20のサージングを防止する機能を備えたものである。
ダンパー部材40は、円板状のもので、その中心部にピストン41を一体に有している。
【0018】
そして、緩衝部材30とコイル状ばね20の小径端部21が、ダンパー部材40に対しリング42を間に介在して互いに係合されており、このダンパー部材40と合わせて弁組立体が構成されている。
なお、ダンパー部材40は合成樹脂製であるが、金属製でも良い。また、リング42は、合成樹脂製のもので、柔軟な合成ゴムや合成樹脂で成形される緩衝部材30の座板31部をコイル状ばね20の巻線端角から保護する機能を有するものである。なお、リング42は金属製でも良い。
さらに、ダンパー部材40を押えるダンパー部材押え体50が弁支持筐体10内に圧入嵌合されている。ダンパー部材押え体50は合成樹脂製のもので、このダンパー部材押え体50には、図示しない通孔(通水穴部)が形成される。なお、ダンパー部材押え体50は金属製でも良い。
【0019】
ダンパー装置は、弁組立体のピストン41を、周囲流体を介在させて、ダンパー筒体13のダンパー穴14に挿入して嵌合連結することによって構成されている。このダンパー装置の機能は、流体によって弁組立体が軸方向に激しく振動しようとしたとき、その動きをダンパー穴14内の介在流体の抵抗で吸収して、そのブレーキ作用により平滑な動きに制御するものである。従って、ピストン41の径に対するダンパー穴14の径の嵌合隙間を適切に調整することによって、ダンパー穴14に出入りする流体量を調整し、平滑な動作への緩衝度合いが決まる。
ダンパー穴14とピストン41の断面形状は多角形で形成されており、これにより、弁組立体は、上下方向には摺動自在であるが、回転方向は制限されたものとなっている。なお、ダンパー穴14に対するピストン41の嵌合部の断面形状は、多角形に限定されるものではなく、回転方向が制限できるものであれば良く、例えば、キー溝とキーの関係等でも良い。
【0020】
以上の定流量弁は、前記特許文献2で詳細に説明されるように、使用開始前の状態で給水管路からの水圧を受けると、弁組立体は、受圧面積で圧を感知して、円錐形状のコイル状ばね20のばね力に抗して、下流側に向かって応動し、流量コントロールが安定した状態に至る。一方、この応動によって、ダンパー装置では、ピストン41が押し上げられるが、ダンパー穴14の介在流体の抵抗を受けながら、徐々に流量コントロールの安定位置に至る。その安定に至るまでの時間は、ピストン41の嵌合隙間から押し出される介在流体量によって決まる。
【0021】
この流量コントロールの安定時において、弁組立体は常に変動する水圧に応動して上下動するが、その上動は円錐形状のコイル状ばね20のばね力によって引き上げられる。この場合、ダンパー装置では、ピストン41がダンパー穴14から退避することになるから、周囲流体をピストン41の嵌合隙間からダンパー穴14に引き込むことになる。従って、この場合においても、ピストン41はダンパー穴14の介在流体の抵抗を受ける。このように弁組立体は、上下動に対する如何なる動きでもダンパー装置の抵抗を受けて緩慢に動作をする。従って、弁組立体が、外的であれ内的であれ振動を受けた場合においては、同様に緩慢な動作となり、その振動の性質を平滑に変更し、その結果、サージングを防止するに至る。また、ダンパー装置によるサージング防止の進行中においても、円錐形状のコイル状ばね20の固有振動数から来る振動は、プロペラ形状の緩衝部材30によって抑制される。
【0022】
以上の定流量弁によれば、前記特許文献2で詳細に説明されるように、弁体をなす円錐形状のコイル状ばね20によって、流体の通過抵抗の発生が少なく、圧力損失が非常に少ないものとなるといった効果、プロペラ形状の緩衝部材30の採用によって得られるサージング防止効果に加えて、ダンパー装置を設けたことによって、弁組立体が軸方向に激しく振動しようとしても、その振動が吸収されて取り除かれ、動きが平滑に制御される。また、ピストン41とダンパー穴14との嵌合部の断面形状を多角形状としたことにより、回転方向の動作が不可能な構造としたことから、円錐形状のコイル状ばね20の弁座環境が変化することがない。従って、定流量特性が安定し、振動発生の起爆剤としての要因が解消される。また、弁部における組立上対面関係にある弁周辺部材の接触関係も比較的良好なものとなり、定流量特性が安定するものとなる。
【0023】
以上の定流量弁において、図示のように、弁支持板11の外周部に環状溝15を形成する。
そして、弁体をなす円錐形状のコイル状ばね20は、大径端部22に延長部23を形成する。この大径端部22の延長部23を弁支持板11の環状溝15内に圧入することで、円錐形状のコイル状ばね20の大径端部22を弁支持板11に対し固定する。
【0024】
この結果、弁体をなす円錐形状のコイル状ばね20は、その大径端部22が弁支持板11に対し固定されていて、弁支持筐体10底面の通孔(通水穴部)12と円錐形状のコイル状ばね20との位置関係を拘束状態に保持できるため、弁体をなす円錐形状のコイル状ばね20が移動しないものとなる。
従って、定流量弁の中心線に沿った方向への遊びに起因する流量特性のバラツキを解消できるとともに、定流量弁の取付姿勢が変化した場合、特に実施形態のように、横向きで回転した場合においても、流量特性のバラツキを解消できるため、定流量弁の精度を向上できるものとなる。
【0025】
(実施形態2)
図2は本発明を適用した定流量弁の実施形態2の構成を示すもので、横向きに設置した定流量弁を示しており、前述した実施形態1と同様、10は弁支持筐体、11は弁支持板、12は通孔(通水穴部)、13はダンパー筒体、14はダンパー穴、20は弁体(円錐形状のコイル状ばね)、21は小径端部、22は大径端部、30は緩衝部材、31は座板、32は羽根、40はダンパー部材、41はピストン、50はダンパー部材押え体であって、51は環状部材である。
【0026】
この実施形態2では、図示のように、弁支持筐体10の内部に環状部材51を設けている。この環状部材51は、緩衝部材30の羽根32の干渉を回避する大径部52を有している。
すなわち、弁体をなす円錐形状のコイル状ばね20の大径端部22に環状部材51を重ねて弁支持筐体10の内周に圧入する。なお、環状部材51は合成樹脂製であるが、金属製またはゴム製でも良い。
【0027】
そして、ダンパー部材押え体50を弁支持筐体10内に圧入することで、環状部材51の大径部52にダンパー部材押え体50を重ねる。なお、環状部材51がゴム製の場合、弁支持筐体10の内周に圧入もしくは、ダンパー部材押え体50で挟み込む。
こうして、弁体をなす円錐形状のコイル状ばね20の大径端部22を、弁支持板11と環状部材51との間に挟み込んだ状態にして、円錐形状のコイル状ばね20の大径端部22を弁支持板11に対し固定する。
従って、このような固定構造とした定流量弁によっても、前述した実施形態1と同様の作用効果が得られる。
【0028】
(実施形態3)
図3は本発明を適用した定流量弁の実施形態3の構成を示すもので、横向きに設置した定流量弁を示しており、前述した実施形態1と同様、10は弁支持筐体、11は弁支持板、12は通孔(通水穴部)、13はダンパー筒体、14はダンパー穴、20は弁体(円錐形状のコイル状ばね)、21は小径端部、22は大径端部、30は緩衝部材、31は座板、32は羽根、40はダンパー部材、41はピストン、50はダンパー部材押え体であって、17は環状部材である。
【0029】
この実施形態3では、図示のように、弁支持筐体10の内周面に筒状の環状部材17を圧入して、この環状部材17を弁支持板11に突き当てる。なお、環状部材17は合成樹脂製でも金属製でも良い。
そして、この筒状の環状部材17内に、弁体をなす円錐形状のコイル状ばね20の大径端部22を圧入することで、円錐形状のコイル状ばね20の大径端部22を弁支持筐体10の内周に対し固定する。
従って、このような固定構造とした定流量弁によっても、前述した実施形態1と同様の作用効果が得られる。
なお、環状部材17は弁支持筐体10と一体構造としても良い。
【0030】
(実施形態4)
図4は本発明を適用した定流量弁の実施形態4の構成を示すもので、横向きに設置した定流量弁を示しており、前述した実施形態1と同様、10は弁支持筐体、11は弁支持板、12は通孔(通水穴部)、13はダンパー筒体、14はダンパー穴、20は弁体(円錐形状のコイル状ばね)、21は小径端部、22は大径端部、30は緩衝部材、31は座板、32は羽根、40はダンパー部材、41はピストン、50はダンパー部材押え体であって、18は環状溝、19は環状部材である。
【0031】
この実施形態4では、図示のように、弁支持板11の外周部に環状溝18を形成する。
また、弁体をなす円錐形状のコイル状ばね20の大径端部22には、金属製の環状部材19を溶接して一体化する。
こうして、円錐形状のコイル状ばね20の大径端部22に設けた環状部材19を、弁支持板11の環状溝18に圧入して嵌め込んだ状態にすることで、円錐形状のコイル状ばね20の大径端部22を弁支持板11に対し固定する。
従って、このような固定構造とした定流量弁によっても、前述した実施形態1と同様の作用効果が得られる。
【0032】
以上の実施形態において、横向きに設置した定流量弁について説明したが、定流量弁の姿勢がダンパー部を上にした上下逆向きの場合においても同様の作用効果が得られる。
すなわち、定流量弁の姿勢がダンパー部を上にした上下逆向きの場合、下側の弁体をなす円錐形状のコイル状の大径端部が弁支持板から浮いてしまうことから、上下方向への遊びに起因する流量特性のバラツキが懸念される。
ところが、本発明によれば、弁体をなす円錐形状のコイル状の大径端部は弁支持筐体に対し固定されていて移動しないため、定流量弁の姿勢がダンパー部を上にした上下逆向きの場合において、特に上下方向への遊びに起因する流量特性のバラツキを解消でき、従って、定流量弁の精度を向上できる。
【0033】
なお、以上の実施形態においては、緩衝部材を備える定流量弁としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、緩衝部材を備えない定流量弁であっても良い。
また、ダンパー穴とピストンの嵌合部分に関し、実施形態では断面形状を多角形として回転不能構造としたが、断面形状を円形として回転可能構造としても良い。
さらに、実施形態では、弁体をなす円錐形状のコイル状ばねを金属製としたが、SMA(Shape Memory Alloy、形状記憶合金)製や合成樹脂製でも良い。
また、弁体をなす円錐形状のコイル状ばねの大径端部と弁支持筐体との固定の仕方についても、以上の各実施形態のみに限らず任意である。
さらに、定流量弁の具体的な配置の仕方や流量制御すべき流体の種類等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明を適用した定流量弁の実施形態1の構成を示すもので、横向きに設置した定流量弁を示す中央縦断面図である。
【図2】本発明を適用した定流量弁の実施形態2の構成を示すもので、横向きに設置した定流量弁を示す中央縦断面図である。
【図3】本発明を適用した定流量弁の実施形態3の構成を示すもので、横向きに設置した定流量弁を示す中央縦断面図である。
【図4】本発明を適用した定流量弁の実施形態4の構成を示すもので、横向きに設置した定流量弁を示す中央縦断面図である。
【符号の説明】
【0035】
10 弁支持筐体
11 弁支持板
12 通孔(通水穴部)
13 ダンパー筒体
14 ダンパー穴
15 環状溝
17 環状部材
18 環状溝
19 環状部材
20 弁体(円錐形状のコイル状ばね)
21 小径端部
22 大径端部
23 延長部
30 緩衝部材
31 座板
32 羽根
40 ダンパー部材
41 ピストン
42 リング
50 ダンパー部材押え体
51 環状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体をなす円錐形状のコイル状ばねと、この円錐形状のコイル状ばねの小径端部に位置するピストンを有するダンパー部材と、前記円錐形状のコイル状ばねの大径端部を支持する弁支持筐体と、この弁支持筐体に設けられ、前記ピストンが嵌合するダンパー穴とを備える定流量弁において、
前記円錐形状のコイル状ばねの大径端部を前記弁支持筐体に対し固定したことを特徴とする定流量弁。
【請求項2】
前記弁支持筐体に環状溝を形成し、
この環状溝に、前記円錐形状のコイル状ばねの大径端部を圧入したことを特徴とする請求項1に記載の定流量弁。
【請求項3】
前記円錐形状のコイル状ばねの大径端部を、前記弁支持筐体と環状部材との間に挟んだことを特徴とする請求項1に記載の定流量弁。
【請求項4】
前記弁支持筐体に環状部材を設け、
この環状部材内に、前記円錐形状のコイル状ばねの大径端部を圧入したことを特徴とする請求項1に記載の定流量弁。
【請求項5】
前記弁支持筐体に環状溝を形成する一方、
前記円錐形状のコイル状ばねの大径端部に環状部材を設け、
この環状部材を前記環状溝に嵌め込んだことを特徴とする請求項1に記載の定流量弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−239863(P2007−239863A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−62681(P2006−62681)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(391026287)富士精工株式会社 (25)
【Fターム(参考)】