説明

定着具

【課題】 防錆塗料の塗布をすることなく、定着具の防錆を図ることができる。
【解決手段】 緊張材(94)の復元力を用いてコンクリート躯体にプレストレスを与え、後打ちのコンクリートで覆われる定着具(101)であって、緊張材の端部に固定されるスリーブ(92)と、緊張材が貫通し、復元力をスリーブから受けてコンクリート躯体に伝達する支圧板(2)と、スリーブに取り付けられ、コンクリートの後打ちの前における、スリーブおよび支圧板のすべての露出面を覆うキャップ(1)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊張材を用いてコンクリート躯体にプレストレスを与える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート躯体の一端から他端にかけて鋼材を配置し、鋼材を緊張させることにより、躯体全体に圧縮力を与えるプレストレスト・コンクリート(以下PCと称する)、およびPC工法が知られている。
【0003】
ここで図8、図9を参照しつつ、従来のPC鋼材の定着具の構成を説明する。図8は従来の定着具およびPC鋼材の構成を示す図であり、図9は従来の定着具の断面(A,B)を示す模式図である。
【0004】
緊張材であるPC鋼材94を保護するシース90の一端には、支圧板91が固定されている。支圧板91のシース90との当接面とは反対側の面には、スリーブ92が配置されている。スリーブ92は、ウェッジ93が挿入される溝部92aを有している。
【0005】
ウェッジ93は、PC鋼材94が貫通する溝部93aを有している。ここで、溝部93aにPC鋼材94が挿入されたウェッジ93を、スリーブ92の溝部92aに挿入することで、PC鋼材94を固定することができる。そして、PC鋼材94を緊張させることにより、支圧板91を介してプレストレスト・コンクリート95(コンクリート躯体)に圧縮力を与えることができる。
【0006】
支圧板91は、PC鋼材94の緊張力(PC鋼材94の復元力)をコンクリート95に付与するための機能を有している。また、支圧板91は、PC鋼材94を貫通させるための貫通孔91aを有しており、貫通孔91aの一端(コンクリート95と当接する端)には、芯出しスペーサ96が設けられている。芯出しスペーサ96は、PC鋼材94を貫通させるための貫通孔96aを有しており、この貫通孔96aの内周面は、PC鋼材94の外周面に接触するようになっている。
【0007】
PC鋼材の緊張後にはPC鋼材の余長が切断され、定着具にキャップ80が取り付けられる。また関連のある技術として、以下の文献が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3791415号公報
【特許文献2】特許第3921297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
PC鋼材の緊張完了後から地覆コンクリートや後打ちコンクリートを打設するまでの期間、少なくとも図8、図9に示すような状態となる。この状態はスリーブ92の一部(キャップ80が覆われていない部分)や支圧板91が外部に露出しているため、この露出部の防錆を図るために防錆塗料を塗布するという作業が発生する。この塗布作業は定着具の設置数の増加に応じて煩雑な作業となる。
【0010】
本実施形態は、上述の問題を解決するためになされるものであり、作業の省力化を図るとともに、地球環境負荷の低減に寄与する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、緊張材の復元力を用いてコンクリート躯体にプレストレスを与え、後打ちのコンクリートで覆われる定着具であって、緊張材の端部に固定されるスリーブと、緊張材が貫通し、復元力をスリーブから受けてコンクリート躯体に伝達する支圧板と、スリーブに取り付けられ、コンクリートの後打ちの前における、スリーブおよび支圧板のすべての露出面を覆うキャップと、を有する。
【0012】
支圧板には、スリーブの側を向く傾斜面を設けることができる。具体的には、緊張材に沿ってスリーブから離れるほど、径が連続的に増加するテーパ面を、支圧板に形成することができる。これにより、支圧板は、スリーブから受ける力をコンクリート躯体に効率良く伝達させることができる。
【0013】
支圧板には、端面でスリーブと接触する円筒部を設けることができる。円筒部を設けることにより、コンクリートを後打ちする前の状態において、支圧板を覆うコンクリートの厚さを確保することができる。ここで、緊張材が延びる方向における支圧板の両端において、径が互いに異なる円筒部を設けることができる。
【0014】
キャップの素材としては、再生材を用いることができる。キャップおよびスリーブの間には、充填材を充填することができる。充填材を用いることにより、スリーブなどの防錆を向上させることができる。スリーブと対向するキャップの内壁面から突出する突起部を設ければ、充填材を充填しやすくなる。
【0015】
緊張材が延びる方向に、突起部を延ばすことができる。ここで、キャップの内壁面からの突起部の突出量は、スリーブに対するキャップの挿入口に向かって減少させることができる。これにより、キャップをスリーブに取り付けやすくすることができるとともに、スリーブに対してキャップを固定しやすくすることができる。緊張材は、1つのPC鋼より線によって構成することができる。
【発明の効果】
【0016】
防錆塗料の塗布をすることなく、定着具の防錆を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態の定着具の一例を示す斜視図である。
【図2】実施形態の定着具がコンクリート躯体に設置されるときの構成の一例を示す断面図である。
【図3】実施形態の定着具を用いるときの荷重分布の一例を示す図である。
【図4】従来の支圧板の形状と実施形態の支圧板の形状例を示す図である。
【図5】実施形態の定着具のバリエーション例を示す図である。
【図6】実施形態の定着具の空隙部に充填材を充填させる例を示す図である。
【図7】実施形態の態様を橋梁に適用するときの一例を示す外観模式図である。
【図8】従来の定着具がコンクリート躯体に設置されるときの構成を示す図である。
【図9】従来の定着具の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本実施形態の定着具の一例を示す外観斜視図であり、図2は本実施形態の定着具およびPC鋼材がコンクリート躯体に設置されている状態の一例を示す図である。定着具101は、キャップ1、支圧板2を有する。定着具101の構成は、以下に説明する事項以外については従来と同様である。
【0019】
キャップ1は、ポリエチレン等の合成樹脂を素材として用いられ、また再生材(樹脂)を用いることもできる。再生材を用いるときには、再生材の使用割合は、例えば、30%程度とすることができるが、使用割合は適宜設定できる。また、本実施形態では、芯出しスペーサ96の素材としては、合成樹脂を用いることができ、再生材(樹脂)を用いることもできる。
【0020】
キャップ1は、図9で示したスリーブ92、ウェッジ93や、PC鋼材(例えば、PC鋼より線)94の最端部の各部位が外部に露出しないように、その全面を覆う形状をしている。キャップ1は、スリーブ92、ウェッジ93およびPC鋼材94の端部に沿った形状に形成されている。キャップ1は、フランジ1aを有する。フランジ1aは、キャップ1の外周面から、キャップ1の外側に向かって突出している。
【0021】
支圧板2は、鋼、鉄等の硬材を素材としており、円錐台の形状である円錐台部2Bを有する。支圧板2は、円錐台部2Bの径の小さい側がコンクリート95の表面側になるように、また、円錐台部2Bの径の大きい側がコンクリート95の内部側になるように埋設され、円錐台部2Bが外部に露出しないように設置される(図2参照)。円錐台部2Bの斜面は、スリーブ92の側(図2の左側)を向いている。
【0022】
また、支圧板2は、円筒部2Aおよび円筒部2Cを有する。円筒部2Aは、円錐台部2Bの径の小さい側と一体的に形成されており、円筒部2Aの厚さ(図2の左右方向の長さ)は、円錐台部2Bの厚さ(図2の左右方向の長さ)よりも薄い。円筒部2Cは、円錐台部2Bの径の大きい側と一体的に形成されており、円筒部2Cの厚さ(図2の左右方向の長さ)は、円錐台部2Bの厚さよりも薄い。
【0023】
本実施形態において、円筒部2Aの先端面は、コンクリート95の表面と段差がほとんど無い状態(面一状態)であるが、態様を限定するものではなく、支圧板2の全面がコンクリート95に埋まる状態でもよい。
【0024】
ここで、円筒部2Aを有する構成の利点について説明する。本実施形態の支圧板2では、円錐台部2Bに対して、コンクリート95の表面側に円筒部2Aがある構成としている。ここで例えば、円筒部2Aを省略し、円錐台部2Bの径の小さい部分とコンクリート95の表面とが面一状態とする場合、コンクリート95の表面から、コンクリート95の内部に向かって、円錐台部2Bの斜面が延びることとなる。
【0025】
この場合、コンクリート95の表面と円錐台部2Bの斜面とで成る角度が鋭角であるため、支圧板2(円錐台部2Bの斜面)とコンクリート95の表面との間におけるコンクリート厚が薄くなり、円錐台部2Bの斜面に沿って設けられたコンクリートが剥がれ落ちるおそれがある。この剥がれを抑止するため、本実施形態の支圧板2では、コンクリート95の表面近傍に円筒部2Aを設け、円筒部2Aの側壁面とコンクリート95の表面との成す角度が略垂直を成すように配置される。一方、円筒部2Cを設けると、鋳型を用いて支圧板2を成形するときに、支圧板2を成形し易くなる。なお、円筒部2Cは、省略することもできる。
【0026】
このようなキャップ1、支圧板2を有する定着具101によって、スリーブ92、ウェッジ93、PC鋼材94の露出部が無くなり、施工中の防錆を図ることができる。そのため、防錆のための塗装が不要となり、現場での作業省力化を図ることができる。
【0027】
次に、図3の荷重分布の一例を参照しつつ、支圧板2の形状についてさらに説明する。図3に示すように、支圧板2は、スリーブ92から受けた荷重をコンクリート95に伝達する。支圧板2およびスリーブ92の接触面に掛かる荷重P1の方向は、PC鋼材94の軸方向(図3の左右方向)である。また、コンクリート95に作用する荷重P2も、荷重P1と同一方向とする必要がある。荷重P1から荷重P2に変化するときの分布を考慮して、支圧板2の形状を決定することができる。
【0028】
本実施形態では、上述したように、支圧板2が円錐台部2Bを有している。円錐台部2Bは、荷重P1から荷重P2に変化するときの荷重の伝達経路に沿った形状に形成されている。ここで、円錐台部2Bは、上述した斜面を有している。また、荷重P2の作用する領域は、荷重P1の作用する領域よりも大きい。このため、荷重の伝達経路は、円錐台部2Bの外形に沿った経路となり、円錐台部2Bを用いて、コンクリート95に効率良く荷重を与えることができる。
【0029】
図4に従来の支圧板91(図4の(A),(B)参照)および本実施形態の支圧板2(図4の(C)参照)の平面図、および中心線A−Aでの断面図をそれぞれ示す。従来の支圧板91は、図4(A)、図4(B)の平面図に示すように四角形の平面形状をしているが、荷重をかける場合、各四角形状の角の部位にかかる荷重は微小となる。よって本実施形態の支圧板2は、図4(C)の平面図に示すように、平面形状を角の部位を取り除いた円形とし、また上記図3を用いて説明した理由により円錐台形とする。
【0030】
図4(C)の例は図4(A)で示した正方形の角を取り除いた形状であるが、これにより、例えば、重量を約6.4kgから約3.0kgに削減することができる。尚、図4(C)に示すように、本実施形態では支圧板2の平面形状を略真円(円筒部2Cの一部の裾が直線となっているため、厳密には真円ではないが)としているが、図4(B)のように長方形をベースとした楕円形としてもよい。また図4に記載されている寸法や重量はあくまで一例であり、態様を限定するものではない。
【0031】
このような形状とすることで、素材の使用量を削減することができ、支圧板2の製造に際してCO排出量の削減を図ることができる。
【0032】
次に、本実施形態のキャップの形状について説明する。図5(A)に従来のキャップ80の形状を示し、図5(B)、図5(C)に本実施形態のキャップの例を示す。
【0033】
従来のキャップ80は、図5(A)に示したようにスリーブ92の一部や支圧板91が外気にさらされるため、当該露出箇所には防錆塗料を塗布する必要がある。本実施形態のキャップは、図5(B)に示すキャップ1Aのように、スリーブ92およびウェッジ93、PC鋼材94の最端部の全体を覆う形状であり、且つ支圧板2がコンクリート95に埋設されているため(図5には不図示)、鋼材が露出しなくなり防錆のための塗装が不要となる。
【0034】
また、図5(B)において、スリーブ92の一端面は、支圧板2における円筒部2Aの先端面と接触している。スリーブ92および円筒部2Aの接触部分において、円筒部2Aの径は、スリーブ92の径よりも大きい。キャップ1Aのフランジ1aは、円筒部2Aのうち、スリーブ92よりも外側に位置する領域(円筒部2Aの一部)と接触しており、この領域を覆っている。本実施形態では、キャップ1Aにフランジ1aを設けているが、フランジ1aを省略することもできる。フランジ1aを省略した場合には、円筒部2Aのうち、スリーブ92からはみ出した領域を、キャップ1Aが覆っていればよい。
【0035】
図5(B)の形状では、スリーブ92の外壁面とキャップ1Aの内壁面との当接部分11aの面積が大きくなるため、スリーブ92およびキャップ1Aの間の摩擦抵抗により、キャップ1Aをスリーブ92に装着し難いことがある。このことから、キャップの形状を図5(C)に示すようにしてもよい。図5(C)に示すキャップ1Bでは、内壁面の複数箇所に、部分的にリブ5(突起部)が設けられており、スリーブ92を覆い易くしている。リブ5を設ける場合、リブ5の変形によって、スリーブ92の形状変化(たとえば温度変化、使用時の膨らみ、製品の製造誤差等)を吸収することができ、キャップ1Bをスリーブ92に固定しやすくなり、キャップ1Bの脱落を防ぐことができる。
【0036】
リブ5は、キャップ1Bの内壁面から内側に向かって突出しており、リブ5の突出量は、キャップ1Bの開口部に向かうにつれて短くなる。すなわち、突出量T2よりも突出量T1の方が短い。リブ5は、キャップ1Bの開口部まで延びていない。キャップ1Bの開口部の径は、スリーブ92の径よりも大きく、キャップ1Bの開口部には、リブ5が形成されていないため、キャップ1Bをスリーブ92に容易に装着することができる。
【0037】
スリーブ92に沿ってキャップ1Bを挿入すると、スリーブ92の外壁面にリブ5の先端が接触する。リブ5の先端がスリーブ92の外壁面に接触した状態において、キャップ1Bを押し込むと、リブ5の先端がスリーブ92の外壁面と密接することにより、キャップ1Bをスリーブ92に固定することができる。上述したように、リブ5の突出量は、キャップ1Bの開口部から離れるにつれて大きくなるため、キャップ1Bをスリーブ92に押し込むにつれて、スリーブ92の外壁面にリブ5が密接し易くなる。リブ5は、樹脂で形成されているため、スリーブ92の外形に応じて、リブ5を変形させることができる。
【0038】
本実施形態では、キャップ1Bの内壁面において、図5(C)に示す位置にリブ5を設けているが、リブ5を設ける位置やリブ5の数は、適宜設定することができる。本実施形態では、図5(C)に示すように、リブ5が、PC鋼材94の延びる方向に延びているが、これに限るものではない。すなわち、キャップ1Bの内壁面から内側に向かって突出していればよい。
【0039】
図6は、その他の実施形態を示すものであり、本実施形態のキャップ内に樹脂を充填させる例を示している。図6(A)は、図5(B)で示したキャップ1Aの内部に、充填材6を充填させる例である。充填材6としては、例えば、アクリル系やエポキシ系の樹脂を用いることができる。このように充填材6を使用することで防錆の効果が向上する。またアフターボンドPC鋼材等、PC鋼材に樹脂が塗布されている場合、初期段階ではこの塗布された樹脂の流動性が高い。充填材6を使用することで、PC鋼材に塗布された樹脂の垂れ落ちを防止することができる。
【0040】
図6(B)は、図5(C)で示したキャップ1Bの内部に充填材6を充填させる例である。キャップ1Aを用いた場合は、図6(A)に示すようにキャップ1Aの内壁面とスリーブ92の外壁面とが密着しているため空隙が形成され難い。よって充填材6がスリーブ92の周りにまで到達させにくい。キャップ1Bを用いた場合は、図6(B)に示すようにリブ5があり、キャップ1Bの内壁面(リブ5を除く面)とスリーブ92との間に空隙が形成され、充填材6を充填した際にその隙間に充填材6が入り込み、防錆効果が高まる。
【0041】
キャップ1A,1Bの内側に充填材6を充填させる方法としては、例えば、まず、キャップ1A,1Bをスリーブ92に取り付ける前に、キャップ1A,1Bに充填材6を収納しておく。そして、キャップ1A,1Bをスリーブ92に押し込めば、スリーブ92の外周に充填材6を位置させることができる。
【0042】
最後に、本実施形態の態様をプレストレスト・コンクリート構造物である橋梁の横締めケーブルに適用させる例について説明する。図7に本実施形態の態様を適用させた橋梁100の外観模式図を示す。図7に示す状態は、定着具101が後打ちコンクリートによって覆われる前の状態を示している。橋桁幅方向(X軸方向)には、複数のPC鋼材が橋桁の一端から他端にかけて設置される。各PC鋼材の両端部には、それぞれ本実施形態の定着具101が取り付けられ、PC鋼材の緊張(PC鋼材の復元力)によって橋梁内側、橋桁幅方向に圧縮力が与えられる。
【0043】
以上に説明したように、本実施形態ではシングルストランド(1本の緊張材)にも適用することができ、コンクリート躯体に圧縮力を与えることができる。図7に示す状態において、定着具101は、後打ちコンクリートによって覆われる。図7に示す構造では、橋桁幅方向に沿ってPC鋼材を配置し、PC鋼材の両端部に定着具101を配置しているが、これに限るものではない。すなわち、コンクリートにプレストレスを与える構造体であれば、本発明の定着具を用いることができる。例えば、橋梁の長手方向(図7のY方向)に沿ってPC鋼材を配置した場合において、このPC鋼材の両端部に定着具を配置することができる。また、ビルの梁にプレストレスを導入するときに、本発明の定着具を用いることができる。
【0044】
本実施形態では、コンクリート95に埋設される支圧板2を用いているが、これに限るものではない。具体的には、図4(A)や図4(B)で説明した支圧板91を用いることもできる。この場合には、支圧板91がコンクリート95の外面に配置されるが、キャップ1によって支圧板91を覆うようにすればよい。
【0045】
「円錐台」は、上面、下面ともに真円によって構成される円錐台、および、上面、下面のいずれか一方または両方の形状が楕円である楕円錐台を概念上含むものとする。
【0046】
以上、本実施形態の態様を適用させることで、作業の省力化を図ることができ、防錆塗料の塗布を行うことなく防錆の効果を得ることができる。またキャップや芯出しスペーサに再生材を用いたり、支圧板を立方体から略円錐台の形状にする等、荷重分布に影響を及ぼさない部位を除去したりすることで、地球環境負荷の低減に寄与することができる。
【符号の説明】
【0047】
1、1A、1B:キャップ
2:支圧板
2A、2C:支圧板の円筒部
2B:支圧板の円錐台部
5:リブ
6:充填材
90:シース
92:スリーブ
93:ウェッジ
94:PC鋼材
95:コンクリート
96:芯出しスペーサ
100:橋梁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊張材の復元力を用いてコンクリート躯体にプレストレスを与え、後打ちのコンクリートで覆われる定着具であって、
前記緊張材の端部に固定されるスリーブと、
前記緊張材が貫通し、前記復元力を前記スリーブから受けて前記コンクリート躯体に伝達する支圧板と、
前記スリーブに取り付けられ、コンクリートの前記後打ちの前における、前記スリーブおよび前記支圧板のすべての露出面を覆うキャップと、
を有することを特徴とする定着具。
【請求項2】
請求項1に記載の定着具において、
前記支圧板は、コンクリートの前記後打ちの前において、前記コンクリート躯体の内部に配置されており、前記スリーブの側を向く傾斜面を有することを特徴とする定着具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の定着具において、
前記支圧板は、コンクリートの前記後打ちの前において、前記コンクリート躯体の内部に配置されており、前記緊張材に沿って前記スリーブから離れるほど、径が連続的に増加するテーパ面を有することを特徴とする定着具。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の定着具において、
前記支圧板は、前記緊張材が貫通し、端面で前記スリーブと接触する円筒部を有することを特徴とする定着具。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の定着具において、
前記支圧板は、前記緊張材が延びる方向における両端において、径が互いに異なる円筒部を有することを特徴とする定着具。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の定着具において、
前記キャップは、素材に再生材が用いられることを特徴とする定着具。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の定着具において、
前記キャップおよび前記スリーブの間に充填される充填材を有することを特徴とする定着具。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の定着具において、
前記キャップは、前記スリーブと対向する内壁面から突出する突起部を有することを特徴とする定着具。
【請求項9】
請求項8に記載の定着具において、
前記突起部は、前記緊張材が延びる方向に延びていることを特徴とする定着具。
【請求項10】
請求項9に記載の定着具において、
前記内壁面からの前記突起部の突出量は、前記スリーブに対する前記キャップの挿入口に向かって減少していることを特徴とする定着具。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の定着具において、
前記緊張材は、1つのPC鋼より線によって構成されていることを特徴とする定着具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−7173(P2013−7173A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138978(P2011−138978)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【特許番号】特許第4866489号(P4866489)
【特許公報発行日】平成24年2月1日(2012.2.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.アフターボンド
【出願人】(000163110)極東鋼弦コンクリート振興株式会社 (29)
【Fターム(参考)】