説明

定着装置およびそれを備えた画像形成装置

【課題】磁気遮蔽板に対する保持力を確保しつつ、生産性を向上させることが可能な定着装置およびそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着装置14は、第1回転体48と、第2回転体44と、磁束が通る磁路を第1回転体48と共に形成する第1コア54,56と、磁路から見て第1コア54,56と第1回転体48との間に配置され、所定の方向に回転可能である第2コア58と、第2コア58の外面に取り付けられ、第2コア58の回転に伴って磁路内に位置して磁束を遮蔽または抑制する磁気遮蔽板60と、磁気遮蔽板60を第2コア58の外面上に保持する保持手段とを含む。磁気遮蔽板60は、外面に沿って延びると共に、外面に密着する本体部を有し、保持手段は、本体部から第2コア58の外面に向かってリブ状に突出する突出部と、第2コア58の外面に形成され、突出部を係止することが可能な係止部とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体上に転写されたトナー像を該記録媒体上に加熱定着させる定着装置、およびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置は、基本的な構成要素として、像担持体(例えば感光体ドラム)上に画像を形成する画像形成部と、像担持体上のトナー像を、記録媒体の一例としての用紙上に転写させる転写部と、用紙上に転写されたトナー像を該用紙上に加熱定着させる定着装置とを含む。
【0003】
定着装置は、起動時のウォームアップタイムの短縮や省エネルギー等の要望から、熱容量を少なく設定できるベルト方式を採用したものが増えてきている。また、急速加熱や高効率加熱が可能な電磁誘導加熱(IH)方式が注目されている。電磁誘導加熱方式は、誘導コイルに高周波電流を流して発生させた磁束によって定着ローラや定着ベルトに誘導電流を誘起させ、定着ローラや定着ベルト自体が持つ抵抗を利用して定着ローラや定着ベルトをジュール発熱(誘導加熱)させ、このジュール熱により、定着ローラ(または定着ベルト)と加圧ローラとの間のニップ部においてトナー像を用紙(記録媒体)上に定着するものである。電磁誘導加熱方式とベルト方式とを組み合わせた定着装置が製品化されている。
【0004】
ベルト方式と電磁誘導加熱方式とを組み合わせた場合、コイルのレイアウトの容易さ、コイルの冷却の容易さ、ベルトを直接加熱できること等のメリットが挙げられる。一方、電磁誘導加熱方式は加熱能力が高いため、定着ベルトや定着ローラが過昇温しやすいという問題がある。
【0005】
定着ベルトや定着ローラの過昇温は、定着ベルトの幅方向両端部(定着ローラの場合、軸方向両端部)において発生しやすい。定着ベルトの幅方向両端部(定着ローラの軸方向両端部)は、用紙の幅方向サイズが小さい場合、ニップ部において用紙に接触しない非通紙領域となる。非通紙領域では、加熱定着が行われないため、小サイズの用紙で連続印字を行う場合、非通紙領域が過昇温する。小サイズの用紙を用いて印字を行った後に大サイズの用紙を用いて印字を行うと、大サイズ用紙上に転写されたトナー像における過昇温領域に接触した部分から、トナーが熱によって定着ベルトの過昇温領域に付着する。付着したトナーは、次に定着処理される用紙上のトナー像に付着して、画像不良、いわゆる画像オフセットを発生させる。また、過昇温領域は熱劣化しやすい。
【0006】
定着ベルトや定着ローラの過昇温を抑制する技術として、例えば特許文献1のものが知られている。特許文献1の定着装置は、コイルが発生させる磁界によって誘導加熱される定着ベルトと、定着ベルトとの間でニップ部を形成する加圧ローラと、定着ベルトと共に磁路を形成するアーチコアおよびサイドコアと、磁路から見てアーチコアと定着ベルトとの間に配置されたセンタコアと、センタコアの外面に取り付けられた磁気遮蔽板とを含む。
【0007】
磁気遮蔽板は、センタコアの回転に伴って磁路内に位置して、磁束を非通紙領域において遮蔽または抑制することにより、定着ベルトや定着ローラの非通紙領域の過昇温を抑制することが可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−26246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の定着装置では、磁気遮蔽板のセンタコア外面への取り付けは、シリコン系接着剤を用いて行われている。接着剤が硬化するまでには時間がかかるため、生産性が落ちてしまう。接着剤の硬化時間を短縮するために、接着剤の塗布量を少なくすると、磁気遮蔽板がセンタコア外面上に保持される保持力が弱くなり、共振音が発生する可能性がある。
【0010】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、センタコア外面への磁気遮蔽板に対する保持力を確保しつつ、生産性を向上させることが可能な定着装置、およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る定着装置は、磁束を発生させる磁束発生源と、所定の方向に回転しつつ前記磁束によって誘導加熱される第1回転体と、所定の方向に回転しつつ、トナー像を担持する記録媒体が通過するニップ部を前記第1回転体との間で形成する第2回転体と、磁性材料からなり、前記磁束が通る磁路を、前記第1回転体と共に形成する第1コアと、磁性材料からなり、前記磁路から見て前記第1コアと前記第1回転体との間に配置され、所定の方向に回転可能である第2コアと、前記第2コアの外面に取り付けられた非磁性材料からなる磁気遮蔽板であって、前記第2コアの回転に伴って前記磁路内に位置して前記磁束を遮蔽または抑制する磁気遮蔽板と、前記磁気遮蔽板を前記第2コアの前記外面上に保持する保持手段とを含み、前記磁気遮蔽板は、前記第2コアの前記外面上に保持された状態で、前記外面に沿って延びると共に、前記外面に密着する本体部を有し、前記保持手段は、前記本体部から前記第2コアの前記外面に向かってリブ状に突出する突出部と、前記第2コアの前記外面に形成され、前記突出部を係止することが可能な係止部とからなる。
【0012】
本発明に係る定着装置によれば、磁気遮蔽板の本体部から第2コアの外面に向かって突出するリブ状の突出部を、第2コアの外面に形成された係止部に係止させるだけで、磁気遮蔽板を第2コアの外面上に強固に保持させることができる。これにより、接着剤を用いて磁気遮蔽板を第2コアの外面上に保持させる構成と比較して、磁気遮蔽板を第2コアの外面上に保持させるために要する時間が短縮され、生産性が向上する。また、磁気遮蔽板の本体部は第2コアの外面に密着状態で保持されるので、共振音の発生を抑制することができる。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、前記係止部は、前記突出部が嵌入される溝部である。
【0014】
この構成によれば、第2コアの外面に溝部を形成するという簡単な加工で、磁気遮蔽板を第2コアの外面上に保持させることができる。
【0015】
本発明の他の好ましい実施形態では、前記突出部は、前記第2コアの回転方向において互いに対向する一対の第1突出片および第2突出片を含み、前記溝部は、前記第1突出片が嵌入される第1溝と、前記第2突出片が嵌入される第2溝とを含む。
【0016】
この構成によれば、第1突出片および第2突出片が第2コアの回転方向に対向して形成され、第1溝および第2溝も第2コアの回転方向に対向して形成されている。そのため、磁気遮蔽板は、第2コアの回転によって生じる遠心力に抗することができる。
【0017】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記第2コアは、軸方向に隣り合うコア片を含み、前記隣り合うコア片のうち、少なくとも一方のコア片には前記磁気遮蔽板が取り付けられており、前記磁気遮蔽板は、前記第2コアの前記軸方向に突出する結合片を有し、前記隣り合うコア片のうちの他方のコア片は、前記結合片が嵌入される嵌入部を有する。
【0018】
この構成によれば、磁気遮蔽板の結合片が他方のコア片の嵌入部に嵌入されることで、磁気遮蔽板は、該磁気遮蔽板が取り付けられた一方のコア片と隣り合う他方のコア片によっても保持される。これにより、磁気遮蔽板を一層強固に保持することができる。
【0019】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記他方のコア片は、前記一方のコア片に対向する端面を有し、前記嵌入部は、前記端面に形成された孔である。
【0020】
この構成によれば、他方のコア片の端面に孔を形成するという簡単な加工で、磁気遮蔽板を他方のコア片に保持させることができる。
【0021】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、定着装置は、さらに、弾性を有し、前記磁気遮蔽板の前記本体部と前記第2コアの前記外面との間に配置されたシート材を含む。
【0022】
この構成によれば、磁気遮蔽板の本体部はシート材を介して第2コアの外面に一層密着した状態で保持される。これにより、共振音の発生を一層抑制することができる。
【0023】
本発明に係る画像形成装置は、トナー像が形成される像担持体と、前記像担持体上に前記トナー像を形成する画像形成部と、前記トナー像を記録媒体上に転写する転写部と、前記トナー像を前記記録媒体上に定着させる定着装置とを含み、前記定着装置として、上記構成の定着装置が用いられている。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る定着装置およびそれを備えた画像形成装置によれば、磁気遮蔽板に突出部を形成すると共に、第2コアの外面に係止部を形成し、突出部を係止部に係止させるという構成により、磁気遮蔽板に対する保持力を確保しつつ、生産性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部構造を概略的に示す。
【図2】定着装置の縦断面図であり、磁気遮蔽板が退避位置にある状態を示す。
【図3】定着装置の縦断面図であり、磁気遮蔽板が遮蔽位置にある状態を示す。
【図4】磁気遮蔽板が遮蔽位置にあるときに磁気遮蔽板およびセンタコアをヒートローラ側から見た平面図である。
【図5】第1遮蔽板部の斜視図である。
【図6】第1コア片の斜視図である。
【図7】第1遮蔽板部を第1コア片に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図8】第1遮蔽板部を第1コア片に取り付けた状態を示す正面図である。
【図9】第3遮蔽板部の第3コア片への取り付けの一例を示す正面図である。
【図10】第3遮蔽板部の第3コア片への取り付けの他の例を示す正面図である。
【図11】第1遮蔽板と第1コア片との間に弾性シート材を配置した構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、一実施形態の画像形成装置1の構成を示した概略図である。画像形成装置1は、例えば外部から入力された画像情報に基づいて、記録媒体の一例としての用紙の表面にトナー像を転写して印刷を行うプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、それらの機能を併せ持つ複合機等としての形態をとることができる。
【0027】
図1に示す画像形成装置1は、例えばタンデム型のカラープリンタである。画像形成装置1は、内部で用紙にカラー画像を形成する四角箱状の装置本体2を備え、装置本体2の上面部には、カラー画像が印刷された用紙を排出するための排出トレイ3が設けられている。装置本体2内において、その下部には、用紙を収納する給紙カセット5が配設されている。また、装置本体2の図1における右側面には、手差しの用紙が置かれるスタックトレイ6が配設されている。装置本体2の上部には画像形成部7が設けられており、画像形成部7は、装置外部から送信される文字や絵柄などの画像データに基づいて用紙に画像を形成する。
【0028】
図1における画像形成部7の左方位置には、給紙カセット5から繰り出された用紙を画像形成部7に搬送する第1の搬送路9が配設されている。給紙カセット5の上方位置には、スタックトレイ6上に置かれた用紙を第1の搬送路に案内する第2の搬送路10が配設されている。第1の搬送路9および第2の搬送路10のそれぞれには、用紙を搬送するための搬送ローラ対43が配設されている。また、装置本体2内の左上部には、画像形成部7で画像が形成された用紙に対して定着処理を行う定着装置14と、定着処理の行われた用紙を排出トレイ3に搬送する第3の搬送路11とが配設されている。
【0029】
給紙カセット5は、装置本体2に対して挿脱可能であり、収納部16を有する。収納部16には、給紙方向のサイズが異なる少なくとも2種類の用紙を選択的に収納可能である。収納部16に収納されている用紙は、給紙ローラ17及び捌きローラ対18により1枚ずつ第1の搬送路9に繰り出される。
【0030】
スタックトレイ6は装置本体2に対して開閉可能であり、その手差し面19に用紙が置かれる。手差し面19に載置された用紙はピックアップローラ20及び捌きローラ対21により1枚ずつ第2の搬送路10に繰り出される。
【0031】
第1の搬送路9と第2の搬送路10とはレジストローラ対22の手前で合流している。レジストローラ対22に供給された用紙はここで一旦待機し、スキュー調整とタイミング調整を行った後、二次転写部23に向けて送出される。送出された用紙には、二次転写部23で中間転写ベルト40上のフルカラーのトナー像が用紙に二次転写される。この後、定着装置14でトナー像が定着された用紙は、必要に応じて第4の搬送路12で反転され、反対側の面にも二次転写部23でフルカラーのトナー像が二次転写される。そして、反対面のトナー像が定着装置14で定着された後、第3の搬送路11を通って排出ローラ対24により排出トレイ3に排出される。
【0032】
画像形成部7は、ブラック(B)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の各トナー像を形成する4つの画像形成ユニット26〜29と、画像形成ユニット26〜29で形成した各色別のトナー像を合成して担持する中間転写部30とを含む。
【0033】
各画像形成ユニット26〜29は、感光体ドラム32(像担持体)と、感光体ドラム32の周面に対向して配設された帯電器33と、帯電器33に関して感光体ドラム32の回転方向下流側であって感光体ドラム32の周面上の特定位置にレーザビームを照射するレーザ走査ユニット34と、レーザ走査ユニット34からのレーザビーム照射位置に関して感光体ドラム32の回転方向下流側であって感光体ドラム32の周面に対向して配設された現像装置35と、現像装置35に関して感光体ドラム32の回転方向下流側であって感光体ドラム32の周面に対向して配設されたクリーナー36とを含む。
【0034】
各画像形成ユニット26〜29の感光体ドラム32は、図示しない駆動モータにより図中の反時計回り方向に回転する。各画像形成ユニット26〜29の現像装置35は、ブラックトナー、イエロートナー、シアントナー及びマゼンタトナーをそれぞれ含む二成分現像剤が収納された現像容器51を有する。
【0035】
中間転写部30は、画像形成ユニット26の近傍位置に配設された駆動ローラ38と、画像形成ユニット29の近傍位置に配設された従動ローラ39と、駆動ローラ38と従動ローラ39の間の位置に配置されたテンションローラ42と、駆動ローラ38と従動ローラ39とテンションローラ42に跨って配設された中間転写ベルト40と、各画像形成ユニット26〜29の感光体ドラム32に対して中間転写ベルト40を介して圧接可能に配設された4つの転写ローラ41とを含む。
【0036】
中間転写部30では、各画像形成ユニット26〜29の転写ローラ41の位置で、感光体ドラム32から中間転写ベルト40上に各色別のトナー像が重ね合わされた状態で転写されて、フルカラーのトナー像が形成される。
【0037】
用紙の搬送方向でみて、定着装置14の上流側及び下流側には搬送路47が設けられている。二次転写部23を通って搬送されてきた用紙は、上流側の搬送路47を通って定着装置14に案内される。そして、定着処理が施された用紙は下流側の搬送路47を通って第3の搬送路11に案内される。
【0038】
第3の搬送路11は、定着装置14で定着処理の行われた用紙を排出トレイ3に案内する。第3の搬送路11には、用紙を排出トレイ3に搬送する搬送ローラ対49が配設されると共に、その出口には上記の排出ローラ対24が配設されている。
【0039】
以下、図2を参照して定着装置14について説明する。図2は定着装置14の縦断面図である。定着装置14は、用紙上に転写されたトナー像に対して加熱および加圧を行うことにより、トナー像を用紙上に定着させる定着処理を行う。定着装置14は、加圧ローラ44(第2回転体)と、定着ベルト48(第1回転体)と、定着ローラ45と、ヒートローラ46と、コイルユニット50とを含む。
【0040】
加圧ローラ44は、図2では反時計回りに回転可能なローラ部材であって、例えばSUS製の筒状の芯材と、芯材上に積層されたシリコーンゴム製の弾性層と、弾性層上に積層されたPFA製の表面離型層とを含む。なお、芯材46の内側には、ハロゲンヒータ等の熱源を配置してもよい。熱源により、弾性層48を加熱することができる。
【0041】
定着ベルト48は、後述する定着ローラ45およびヒートローラ46に巻回された無端のベルトであって、図2では時計回りに回転可能である。加圧ローラ44は、図略の付勢部材によって定着ベルト48に向けて押圧され、トナー像を担持する用紙が通紙されるニップ部NPを定着ベルト55との間で形成している。定着ベルト48は、ニップ部NPに通紙される用紙の搬送方向Tとは直交する方向に幅方向寸法を有する。
【0042】
定着ベルト48は、定着ローラ45側に位置する電鋳ニッケル製の基材と、定着ローラ45とは反対側で基材上に積層されたシリコーンゴム製の弾性層と、弾性層上に積層され、加圧ローラ44側に位置するPFA製の表面離型層とを含む。
【0043】
定着ローラ45は、加圧ローラ44に対して平行に定着ベルト48内に配置され、定着ベルト48の回転方向と同一である時計回りに回転可能なローラ部材である。定着ローラは、例えばSUS製の筒状の芯材と、芯材上に積層されたシリコーンゴム製の弾性層と、弾性層上に積層され、定着ベルト48に接触するPFA製の表面離型層とを含む。定着ローラ45は、ニップ部NPに対応する位置で定着ベルト55の内面に接触しつつ回転する。これにより、定着ベルト48は、ニップ部NPにおいて定着ローラ45と加圧ローラ44との間で挟持された状態で回転する。
【0044】
ヒートローラ46は、定着ローラ45を挟んで加圧ローラ44とは反対側の位置で定着ローラ45に対して平行に定着ベルト48内に配置されたローラ部材であって、図2では時計回りに回転可能である。ヒートローラ46は、SUS等の磁性金属製の筒状芯材と、芯材上に積層されたPFA製の表面離型層とを含む。
【0045】
加圧ローラ44、定着ローラ45およびヒートローラ46のそれぞれは、ニップ部NPに通紙される用紙の最大幅寸法よりも大きく設定された軸方向寸法を有すると共に、定着ベルト48の幅方向寸法は、用紙の最大幅寸法よりも大きく設定されている。
【0046】
コイルユニット50は、定着ベルト48がヒートローラ46に巻回されている位置で定着ベルト48を誘導加熱するものであって、コイル52(磁束発生源)と、ボビン53と、センタコア58(第2コア)と、複数対のアーチコア54と、一対のサイドコア56と、磁気遮蔽板60とを含む。
【0047】
ボビン53は、コイル52を保持する部材であって、ヒートローラ46の軸方向(つまり、定着ベルト48の幅方向)に沿って延びている。ボビン53は、定着ローラ45とは反対側の位置において定着ベルト48に沿って延在するように半円筒形状に成形された部材である。ボビン53は、定着ベルト48の幅方向寸法を超えて、かつ定着ベルト48の周方向長さの略半分にわたって延在している。ボビン53は、定着ベルト48とは所定の距離だけ離間している。ボビン53の材質は、耐熱性樹脂(例えばPPS、PET、LCP)である。
【0048】
コイル52は、半円筒形状のボビン53上に該ボビン53の延在方向に沿って巻線状に配置されている。コイル52の巻線領域は、定着ベルト48の幅方向寸法を超える大きさに設定されている。コイル52は例えばシリコーン系接着剤によってボビン53に取り付けられている。また、コイル52には、交流バイアス電源Vが接続されており、コイル52に交流バイアスが印加されると、コイル52は磁束を発生させる。
【0049】
センタコア58は、フェライト等の磁性材料からなる筒状のコアであって、図2ではボビン53を挟んでヒートローラ46とは反対側に配置され、ヒートローラ46に対して平行に延びている。センタコア58は、ボビン53におけるコイル52が存在しない領域に対向している。センタコア58には、回転軸部材59が挿通されており、回転軸部材59が回転することでセンタコア58が時計回りまたは反時計回りに回転する。回転軸部材59は、例えば非磁性金属(AL等)や耐熱性樹脂(PPS、PET、LCP等)から形成され、図略の駆動源によって回転される。
【0050】
アーチコア54およびサイドコア56は、フェライト等の磁性材料からなり、コイル52が発生させた磁束が通る磁路を定着ベルトと共に形成する。アーチコア54は、センタコア58を中心として両側方からコイル52を囲むように対をなしている。アーチコア54は、対をなした状態で、センタコア58を挟んでアーチ形となるように成形されている。アーチコア54対は、実際には、後述する図4に示すように、センタコア58の軸方向に沿って複数配置されている。複数のアーチコア54対はコイル52の巻線領域を超える領域にわたって配置されている。
【0051】
図2では、対をなすアーチコア54の上端部間にセンタコア58が配置されている。一方、アーチコア54の下端部には、ボビン53の延在方向に沿って延びるサイドコア56が連結されている。アーチコア54およびサイドコア56は耐熱性樹脂(例えばPPS、PET、LCP)からなる図略のコアホルダによって保持されている。本実施形態では、アーチコア54およびサイドコア56が第1コアを構成している。
【0052】
コイル52が発生させる磁束は、定着ベルト48、サイドコア56、アーチコア54およびセンタコア58間で形成される磁路を通る。センタコア58は、磁路から見てアーチコア54と定着ベルト48との間に位置しており、センタコア58の外周面に磁気遮蔽板60が取り付けられている。
【0053】
磁気遮蔽板60は、非磁性かつ良導電性の材料、例えば無酸素銅から形成された薄板状部材である。磁気遮蔽板60は、センタコア58の回転に伴って遮蔽位置と退避位置との間で回転可能である。図2は、磁気遮蔽板60が退避位置にある状態を示し、図3は、磁気遮蔽板60が遮蔽位置にある状態を示す。磁気遮蔽板60は、遮蔽位置(図3)にあるとき、定着ベルト48、サイドコア56、アーチコア54およびセンタコア58間で形成される磁路内に位置して、つまり、定着ベルト48に対向して、磁束を遮蔽または抑制する。一方、磁気遮蔽板60は、退避位置(図2)にあるとき、磁路から退避して、つまり、定着ベルト48と対向しない位置に移動して、磁束を遮蔽または抑制しない。
【0054】
次に、図4を参照して、センタコア58および磁気遮蔽板60についてさらに説明する。図4は、磁気遮蔽板60が遮蔽位置にあるときに磁気遮蔽板60およびセンタコア58をヒートローラ46側から見た平面図である。センタコア58は、実際には、軸方向において複数に分割されており、センタコア58の中間部分に対応する中間コア片580と、中間コア片580の軸方向外方に位置する一対の第1コア片581と、第1コア片581よりも中間コア片580の軸方向外方に位置する一対の第2コア片582と、第2コア片582よりも中間コア片580の軸方向外方に位置する一対の第3コア片583とからなる。中間コア片580、第1コア片581、第2コア片582および第3コア片583は、センタコア58の軸方向において隣接しており、第3コア片583はセンタコア58においてその軸方向の最端に位置するコア片である。回転軸部材59は、中間コア片580、第1コア片581、第2コア片582および第3コア片583の全てに挿通されており、中間コア片580、第1コア片581、第2コア片582および第3コア片583は一体に回転する。
【0055】
磁気遮蔽板60もセンタコア58に対応して分割されている。具体的には、磁気遮蔽板60は、第1コア片581の外周面に取り付けられた第1遮蔽板部60aと、第2コア片582の外周面に取り付けられた第2遮蔽板部60bと、第3コア片583の外周面に取り付けられた第3遮蔽板部60cとからなる。中間コア片580には、磁気遮蔽板60は取り付けられていない。
【0056】
第1遮蔽板部60a、第2遮蔽板部60bおよび第3遮蔽板部60cは、対応する第1コア片581、第2コア片582および第3コア片583の軸方向寸法と略同一の幅方向寸法を有している。また、第1遮蔽板部60aは、80°の角度範囲にわたって第1コア片581の周方向に延びており、第2遮蔽板部60bは、160°の角度範囲にわたって第2コア片582の周方向に延びており、第3遮蔽板部60cは、280°の角度範囲にわたって第3コア片583の周方向に延びている。したがって、第1遮蔽板部60aの周方向長さが最も小さく、第3遮蔽板部60cの周方向長さが最も大きい。
【0057】
センタコア58の分割および磁気遮蔽板60の分割は、ニップ部NPを通過する用紙のサイズに応じて決定されている。具体的には、中間コア片580の軸方向寸法は、最小幅サイズを有する用紙P1(例えばA5用紙)に対応するように決定されている。一方の第1コア片581から他方の第1コア片581にわたる軸方向寸法は、中間幅サイズを有する用紙P2(例えばA4用紙縦)に対応するように決定されている。一方の第2コア片582から他方の第2コア片582にわたる軸方向寸法は、最大幅サイズを有する用紙P3(例えばA3用紙)に対応するように決定されている。一方の第3コア片583から他方の第3コア片583にわたる軸方向寸法、つまり、センタコア58の軸方向寸法は、用紙P3の幅サイズを超えるように設定されている。
【0058】
なお、アーチコア54対は、上述したように、センタコア58の軸方向に沿って配置されており、アーチコア54対の配置密度は、コイル52の磁束密度(磁界強度)分布に合わせて決定されている。アーチコア54およびサイドコア56を適宜配置することで、ヒートローラ46の軸方向(定着ベルト48の幅方向)での磁束密度分布(温度差)が均一化される。
【0059】
次に、上記構成の定着装置14による定着動作について説明する。コイル52に、交流バイアス電源Vから交流バイアスが印加されると、コイル52は磁束を発生させる。磁束は、定着ベルト48、サイドコア56、アーチコア54およびセンタコア58間で形成される磁路を通る。磁束が定着ベルト48を通ると、誘導電流が誘起される。誘導電流が定着ベルト48に流れると、定着ベルト48自体が持つ抵抗によってジュール熱が発生する、つまり定着ベルト48が誘導加熱される。定着ベルト48は定着ローラ45の回転に伴って全体が発熱する。
【0060】
このとき、用紙の幅方向サイズに応じてセンタコア58が回転軸部材59によって適宜回転され、磁気遮蔽板60の第1遮蔽板部60a〜第3遮蔽板部60cが、磁路内に位置する遮蔽位置または磁路から退避した退避位置に切り替えられる。
【0061】
例えば、ニップ部NPを通過する用紙が最小幅サイズを有する用紙P1の場合、センタコア58は、第1遮蔽板部60a〜第3遮蔽板部60cの全てが遮蔽位置を取るように回転軸部材59によって回転される。そのため、定着ベルト48がニップ部NPにおいて用紙P1に接触する通紙領域のみが誘導加熱される一方、定着ベルト48がニップ部NPにおいて用紙P1に接触しない非通紙領域は、誘導加熱されない、または加熱が抑制される。
【0062】
また、ニップ部NPを通過する用紙が中間幅サイズを有する用紙P2の場合、センタコア58は、第1遮蔽板部60aが退避位置を取る一方、第2遮蔽板部60bおよび第3遮蔽板部60cが遮蔽位置を取るように回転軸部材59によって回転される。そのため、定着ベルト48がニップ部NPにおいて用紙P2に接触する通紙領域のみが誘導加熱される一方、定着ベルト48がニップ部NPにおいて用紙P2に接触しない非通紙領域は、誘導加熱されない、または加熱が抑制される。
【0063】
さらに、ニップ部NPを通過する用紙が最大幅サイズを有する用紙P3の場合、センタコア58は、第1遮蔽板部60aおよび第2遮蔽板部60bが退避位置を取る一方、第3遮蔽板部60cが遮蔽位置を取るように回転軸部材59によって回転される。そのため、定着ベルト48がニップ部NPにおいて用紙P3に接触する通紙領域のみが誘導加熱される一方、定着ベルト48がニップ部NPにおいて用紙P3に接触しない非通紙領域は、誘導加熱されない、または加熱が抑制される。
【0064】
このように、定着ベルト48における非通紙領域が誘導加熱されないように、または加熱が抑制されるように、センタコア58を適宜回転させて第1遮蔽板部60a〜第3遮蔽板部60cを遮蔽位置および退避位置間で切り替えることにより、非通紙領域の過昇温が抑制される。なお、第1遮蔽板部60a〜第3遮蔽板部60c間の位置関係は、第1遮蔽板部60a〜第3遮蔽板部60cが用紙P1〜P3に応じて遮蔽位置または退避位置を適切に取ることができるように設定されている。
【0065】
そして、用紙P1〜P3がニップ部NPに搬送方向Tに沿って進入すると、用紙P1〜P3上のトナー像は、定着ベルト48および加圧ローラ44間で挟持されつつ、定着ベルト48から熱を受ける。これにより、トナー像は用紙上に定着される。
【0066】
なお、ヒートローラ46内にはサーミスタ62が配置されている。サーミスタ62は、ヒートローラ46の表面温度を検出する。検出された表面温度は、図略の制御部に伝送され、制御部はその表面温度に基づいて交流バイアス電源Vを制御して、コイル52が発生させる磁束の密度を調整する。
【0067】
次に、磁気遮蔽板60のセンタコア58の外周面への取り付けについて図5〜図8を参照して説明する。図5〜図8は、第1遮蔽板部60aの第1コア片581への取り付けを例示している。図5は、第1遮蔽板部60aの斜視図である。図6は、第1コア片581の斜視図である。図7は、第1遮蔽板部60aを第1コア片581に取り付けた状態を示す斜視図である。図8は、第1遮蔽板部60aを第1コア片581に取り付けた状態を示す正面図である。
【0068】
第1遮蔽板部60aは、第1コア片581の外周面581a上に保持されたときに外周面581aに沿って延びるように、かつ外周面581aに密着するように円弧状に成形された本体部61を有する。本体部61の幅方向寸法は、第1コア片581の軸方向寸法と略同一である。
【0069】
第1遮蔽板部60aは、さらに、第1コア片581の外周面581a上に保持された状態で外周面581aに向かって突出する一対のリブ状の第1突出片62およびリブ状の第2突出片64を有する。本体部61は、第1コア片581の周方向に対向し、第1コア片581の軸方向に延びる一対の縁部を有しており、一方の縁部から第1突出片62が突出し、他方の縁部から第2突出片64が突出している。したがって、第1突出片62および第2突出片64は、第1コア片581の回転方向において互いに対向している。本実施形態では、第1突出片62および第2突出片64が突出部を構成している。
【0070】
第1遮蔽板部60aは、さらに、第1突出片62から第1コア片581の軸方向に突出する第1結合片63と、第2突出片64から第1コア片581の軸方向に突出する第2結合片65とを有する。第1結合片63および第2結合片65は互いに平行に延びている。第1結合片63および第2結合片65と本体部61との間には、段差が形成されている。
【0071】
第1コア片581は、外周面581aに形成された一対の第1溝581bおよび第2溝581cからなる溝部を有する。第1溝581bおよび第2溝581cは、第1コア片581の一方の端面から他方の端面にかけて第1コア片581の軸方向に延びている。第1溝581bには、第1突出片62が嵌入され、第2溝581cには、第2突出片64が嵌入される。第1溝581bおよび第2溝581cの形状は、第1突出片62および第2突出片64が嵌入可能な形状であればよい。第1溝581bおよび第2溝581cは、例えば、第1コア片581の焼成時に金型を用いて形成される。本実施形態では、第1溝581bおよび第2溝581cが、突出部(第1突出片62および第2突出片64)を係止する係止部を構成している。なお、第1コア片581は、回転軸部材59が挿通される貫通孔581dを有している。
【0072】
そして、図7および図8に示すように、第1遮蔽板部60aの第1突出片62を第1コア片581の第1溝581bに嵌入させ、第2突出片64を第2溝581cに嵌入させると、第1遮蔽板部60aの本体部61は、第1コア片581の外周面581aに密着した状態で保持される。本実施形態では、第1突出片62および第2突出片64と第1溝581bおよび第2溝581cとが、第1遮蔽板部60aを第1コア片581の外周面581a上に保持する保持手段を構成している。
【0073】
また、第1遮蔽板部60aが第1コア片581の外周面581a上に保持されると、第1遮蔽板部60aの一対の第1結合片63および第2結合片65が、第1コア片581の端面から第1コア片581の軸方向に突出した状態となる。第1コア片581に隣接する中間コア片580は、第1結合片63および第2結合片65が嵌入可能な嵌入部を有している。具体的には、中間コア片580は、軸方向において第1コア片581に対向する端面580aを有しており、端面580aに、第1結合片63が嵌入可能な第1孔580bと、第2結合片65が嵌入可能な第2孔580cとが形成されている。第1孔580bおよび第2孔580cは、例えば、中間コア片580の焼成時に金型を用いて形成される。
【0074】
第1遮蔽板部60aの第1結合片63が中間コア片580の第1孔580bに嵌入され、第2結合片65が第2孔580cに嵌入されると、第1遮蔽板部60aは、第1コア片581だけでなく、中間コア片580によっても保持された状態となる。
【0075】
なお、図5〜図8を参照して第1遮蔽板部60aの第1コア片581への取り付けについて説明したが、第2遮蔽板部60bも、同様な保持手段によって第2コア片582の外周面に取り付けられている。
【0076】
次に、図9および図10を参照して第3遮蔽板部60cの第3コア片583への取り付けについて説明する。図9は、第3遮蔽板部60cの第3コア片583への取り付けの一例を示す正面図であり、図10は、第3遮蔽板部60cの第3コア片583への取り付けの他の例を示す正面図である。
【0077】
まず、図9に示す取り付け例について説明する。図9では、第3遮蔽板部60cが備える弾性を利用して第3遮蔽板部60cを第3コア片583の外周面583bに取り付けている。第3遮蔽板部60cは、上述したように、無酸素銅からなる断面が円弧形状の銅板であり、かつ280°の角度範囲にわたって延びている。また、第3遮蔽板部60cの内径は、第3コア片583の外径よりも適宜小さく設定されている。第3遮蔽板部60cを第3コア片583に取り付ける際には、第3遮蔽板部60cを、弾性変形させつつ第3コア片583の外周面583bに被せることで、第3遮蔽板部60cは第3コア片583の外周面583bに外嵌される。これにより、第3遮蔽板部60cは第3コア片583の外周面583bに密着する。
【0078】
次に、図10に示す取り付け例について説明する。図10では、第1遮蔽板部60aを第1コア片581の外周面581a上に保持する保持手段と同様な手段により、第3遮蔽板部60cを第3コア片583の外周面583b上に取り付けている。すなわち、第3遮蔽板部60cは、第3コア片583の回転方向において互いに対向する一対の突出片66を有し、第3コア片583は、一対の突出片66が嵌入可能な一対の溝583aを有する。第3遮蔽板部60cを第3コア片583に取り付ける際には、第3遮蔽板部60cの突出片を第3コア片583の溝に嵌入させることで、第3遮蔽板部60cは第3コア片583の外周面583bに外嵌される。これにより、第3遮蔽板部60cは第3コア片583の外周面583bに密着する。
【0079】
本実施形態では、第1遮蔽板部60a〜第3遮蔽板部60cと第1コア片581〜第3コア片583との間の密着性を一層高めるために、弾性を有するシート材70を用いることができる。第1遮蔽板部60aの第1コア片581への取り付けを例示する図11を参照して、弾性シート材70について説明する。弾性シート材70は、第1遮蔽板部60aが第1コア片581の外周面581a上に保持された状態で第1遮蔽板部60aの本体部61と第1コア片581の外周面581aとの間に配置されている。弾性シート材70は、耐熱性を備えた材料、例えばPTFEから形成されている。第1遮蔽板部60aの第1突出片62および第2突出片64が第1コア片581の第1溝581bおよび第2溝581cに嵌入されると、弾性シート材70は、第1遮蔽板部60aの本体部61と第1コア片581の外周面581aとの間で弾性変形した状態で挟持される。そのため、本体部61と外周面581aとの間で隙間が形成されることが抑制される。これにより、本体部61と外周面581aとの間の密着性が高まる。
【0080】
以上説明した本実施形態に係る定着装置14では、例えば、第1遮蔽板部60aの本体部61から突出する第1突出片62および第2突出片64を、第1コア片581の外周面581aに形成された第1溝581bおよび第2溝581cに嵌入させるだけで、第1遮蔽板部60aを第1コア片581の外周面581a上に強固に保持させることができる。これにより、接着剤を用いて磁気遮蔽板をコアの外周面上に保持させる従来の構成と比較して、磁気遮蔽板60をセンタコア58の外周面上に保持させるために要する時間が短縮され、生産性が向上する。
【0081】
また、本実施形態に係る定着装置14によれば、第1遮蔽板部60a〜第3遮蔽板部60cは第1コア片581〜第3コア片583の外周面に密着状態で保持されるので、共振音の発生を抑制することができる。さらに、第1遮蔽板部60a〜第3遮蔽板部60cと第1コア片581〜第3コア片583の外周面との間に弾性シート材70を配置することで、第1遮蔽板部60a〜第3遮蔽板部60cを第1コア片581〜第3コア片583の外周面に一層密着させることができる。これにより、共振音の発生を一層抑制することができる。
【0082】
さらに、本実施形態に係る定着装置14によれば、第1コア片581および第2コア片582の外周面に溝部を形成するという簡単な金型加工で、第1遮蔽板部60aおよび第2遮蔽板部60bを第1コア片581および第2コア片582の外周面上に保持させることができる。
【0083】
さらに、本実施形態に係る定着装置14によれば、第1突出片62および第2突出片64が第1コア片581(第2コア片582)の回転方向に対向して形成され、第1溝581bおよび第2溝581cも第1コア片581(第2コア片582)の回転方向に対向して形成されている。そのため、第1遮蔽板部60a(第2遮蔽板部60b)は、第1コア片581(第2コア片582)の回転によって生じる遠心力に抗することができる。
【0084】
さらに、本実施形態に係る定着装置14によれば、例えば、第1遮蔽板部60aの第1結合片63および第2結合片65が中間コア片580の第1孔580bおよび第2孔580cに嵌入されることで、第1遮蔽板部60aは、該第1遮蔽板部60aが取り付けられた第1コア片581と隣り合う中間コア片580によっても保持される。これにより、第1遮蔽板部60aを一層強固に保持することができる。
【0085】
さらに、本実施形態に係る定着装置14によれば、中間コア片580の端面580aに第1孔580bおよび第2孔580cを形成するという簡単な金型加工で、第1遮蔽板部60aを中間コア片580に保持させることができる。
【符号の説明】
【0086】
1 画像形成装置
14 定着装置
44 加圧ローラ(第2回転体)
45 定着ローラ
46 ヒートローラ
48 定着ベルト(第1回転体)
50 コイルユニット
52 コイル
54 アーチコア
56 サイドコア
58 センタコア
60 磁気遮蔽板
60a 第1遮蔽板部
60b 第2遮蔽板部
60c 第3遮蔽板部
61 本体部
62 第1突出片(突出部)
63 第1結合片
64 第2突出片(突出部)
65 第2結合片
70 弾性シート材
580 中間コア片
581 第1コア片
581a 外周面
581b 第1溝
581c 第2溝
582 第2コア片
583 第3コア片
NP ニップ部
P1〜P3 用紙(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁束を発生させる磁束発生源と、
所定の方向に回転しつつ前記磁束によって誘導加熱される第1回転体と、
所定の方向に回転しつつ、トナー像を担持する記録媒体が通過するニップ部を前記第1回転体との間で形成する第2回転体と、
磁性材料からなり、前記磁束が通る磁路を、前記第1回転体と共に形成する第1コアと、
磁性材料からなり、前記磁路から見て前記第1コアと前記第1回転体との間に配置され、所定の方向に回転可能である第2コアと、
前記第2コアの外面に取り付けられた非磁性材料からなる磁気遮蔽板であって、前記第2コアの回転に伴って前記磁路内に位置して前記磁束を遮蔽または抑制する磁気遮蔽板と、
前記磁気遮蔽板を前記第2コアの前記外面上に保持する保持手段と、
を備え、
前記磁気遮蔽板は、前記第2コアの前記外面上に保持された状態で、前記外面に沿って延びると共に、前記外面に密着する本体部を有し、
前記保持手段は、前記本体部から前記第2コアの前記外面に向かってリブ状に突出する突出部と、前記第2コアの前記外面に形成され、前記突出部を係止することが可能な係止部とからなる定着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の定着装置において、
前記係止部は、前記突出部が嵌入される溝部である定着装置。
【請求項3】
請求項2に記載の定着装置において、
前記突出部は、前記第2コアの回転方向において互いに対向する一対の第1突出片および第2突出片を含み、
前記溝部は、前記第1突出片が嵌入される第1溝と、前記第2突出片が嵌入される第2溝とを含む定着装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の定着装置において、
前記第2コアは、軸方向に隣り合うコア片を含み、
前記隣り合うコア片のうち、少なくとも一方のコア片には前記磁気遮蔽板が取り付けられており、
前記磁気遮蔽板は、前記第2コアの前記軸方向に突出する結合片を有し、
前記隣り合うコア片のうちの他方のコア片は、前記結合片が嵌入される嵌入部を有する定着装置。
【請求項5】
請求項4に記載の定着装置において、
前記他方のコア片は、前記一方のコア片に対向する端面を有し、
前記嵌入部は、前記端面に形成された孔である定着装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の定着装置において、
さらに、弾性を有し、前記磁気遮蔽板の前記本体部と前記第2コアの前記外面との間に配置されたシート材を備えた定着装置。
【請求項7】
トナー像が形成される像担持体と、
前記像担持体上に前記トナー像を形成する画像形成部と、
前記トナー像を記録媒体上に転写する転写部と、
前記トナー像を前記記録媒体上に定着させる定着装置と、
を備え、
前記定着装置として、請求項1〜6のいずれか一項に記載の定着装置が用いられている画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−37699(P2012−37699A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177145(P2010−177145)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】