定着装置および画像形成装置
【課題】簡単な構成で低コストに、ローラ対にニップ圧を安定して制御することが可能な定着装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着装置は、一対のローラ17,18が並設されてニップNが形成されるローラ対30と、ローラ対30の軸方向両端部側に配設される一対の操作レバー45a,45bによる操作にてニップ圧を調整する調整手段50とを備える。調整手段50は、第1の操作レバー45aに連動して第1の動作を行う第1動作体51と、第2の操作レバー45bに連動して第2の動作を行う第2動作体52と、第1の動作と第2の動作との両動作を行ったことを検知する一つの検知手段53とを備える。
【解決手段】定着装置は、一対のローラ17,18が並設されてニップNが形成されるローラ対30と、ローラ対30の軸方向両端部側に配設される一対の操作レバー45a,45bによる操作にてニップ圧を調整する調整手段50とを備える。調整手段50は、第1の操作レバー45aに連動して第1の動作を行う第1動作体51と、第2の操作レバー45bに連動して第2の動作を行う第2動作体52と、第1の動作と第2の動作との両動作を行ったことを検知する一つの検知手段53とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真技術を利用した複写機やプリンタなどの画像形成装置、このような画像形成装置に用いられる定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電子写真式等の画像形成装置においては、転写材としての用紙に転写されるトナー画像に熱を加えて定着する熱定着の方法が採用されている。この熱定着に用いる定着装置は、図16と図17に示すように、定着部材としての定着ローラ121と、加圧部材としての加圧ローラ122とを備える。
【0003】
定着ローラ121は、例えば、熱伝導性基体123と、この基体123を被覆する外装体124とからなる円筒状のローラ本体125と、このローラ本体125に内装されるハロゲンヒータ等の加熱源126とを備える。なお、外装体124は、弾性層と、この弾性層を被覆する表層とからなる。加圧ローラ122は、芯金127と、この芯金127を被覆する外装体128とからなる。なお、この外装体128弾性層と、この弾性層を被覆する表層とからなる。
【0004】
そして、定着ローラ121と加圧ローラ122とは、図示省略のバネ部材にて、圧接するように押圧され、定着ニップNが形成される。ところで、このような定着装置に対して、転写材Pが普通紙の場合や封筒の場合等がある。しかしながら、封筒は、紙を折り曲げて張り合わせるものである。このため、このような封筒が定着ニップを通過する際に、歪やシワが発生するおそれがあった。
【0005】
そこで、従来では、普通紙を通過させる場合には、図16に示すように、定着ニップNの範囲を広く、封筒を通過させる場合、図17に示すように、定着ローラ121と加圧ローラ122との圧着圧(定着圧)を小さくしていた。このように、定着ニップNの範囲を小さくするようにして、封筒を通過させる場合にもシワ等が発生させにくくしていた。従来の画像形成装置には、定着ローラ101と加圧ローラ122との間の距離を広げる方法に、カム機構を用いたものがあった(特許文献1〜特許文献3)。
【0006】
特許文献1では、レバーにて加圧ローラを支持するとともに、レバー近傍に、中間部が枢支されたアームを配置する。そして、アームの一端部とレバーの基端部との間にバネ部材を配設し、さらには、このアームの他端部にカム機構を連設させている。
【0007】
すなわち、カム機構のカムを回動させることによって、アームの他端部を上下動させ、これによって、バネ部材を介して押し上げているレバーの機端部の押し上げ量を調整することになる。この押し上げ量の調整によって、ニップ長さの調整を行うものである。
【0008】
特許文献2においても、ニップ部に掛かる圧力を変更する圧力変更機構を有するものであって、この圧力変更機構として、圧力付与機構に作用するカム部材を備えたものである。
【0009】
特許文献3においても、カムを回動させることによって、加圧ローラによる加圧力を調整するものである。また、この場合、カムの位置を検出するセンサを設けている。すなわち、カムの位置を検出することによって、ユーザは加圧ローラの加圧状態を把握することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記特許文献1および特許文献2に記載のものでは、ニップ部に掛かる圧力を変更することができるが、このニップ圧が所定の圧になっているかを検知することができない。しかも、特許文献1に記載のものでは、カムを回動させるために、その空間、モータ(ステップモータ)、ウォーム、ウォームホイール等を必要とする。このため、装置全体の複雑化、大型化、及び高コスト化を招くことになる。また、特許文献2では、カムへの動力伝達は搬送ローラの回転軸を用いるものである。このため、ニップに掛かる圧力の変更は、搬送ローラの回転軸の回転と連動するものであり、搬送ローラと独立した圧力の調整を行えず、制御性に劣ることになる。
【0011】
これに対して、特許文献3では、通常加圧モードか軽減モードかを検出することができる。しかしながら、この特許文献3に記載のものにおいても、カムを回動させるための空間や駆動源を必要として、装置全体の複雑化、大型化、及び高コスト化を招くことになる。
【0012】
本発明は、斯かる事情に鑑み、簡単な構成で低コストに、ローラ対にニップ圧を安定して制御することが可能な定着装置および画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の定着装置は、一対のローラが並設されてニップが形成されるローラ対と、前記ローラ対の軸方向両端部側に配設される一対の操作レバーによる操作にてニップ圧を調整する調整手段とを備えた定着装置であって、前記調整手段は、第1の操作レバーに連動して第1の動作を行う第1の動作体と、第2の操作レバーに連動して第2の動作を行う第2の動作体と、第1の動作と第2の動作との両動作を行ったことを検知する一つの検知手段とを備えたものである。
【0014】
本発明の定着装置によれば、ローラ対の軸方向両端部側に配設される一対の操作レバーを操作することによって、ニップ圧を調整することができる。このため、軸方向全長において、均一の圧力を付与することができる。また、検知手段にて、第1の動作と第2の動作との両動作を行ったことを検知することができ、第1のレバーと第2のレバーとの両方(両者)を操作したか操作していないかを判断できる。すなわち、ローラ対の動態状態を検出することができる。しかも、検知手段として、一つ配置すればよいので、コンパクト化を図ることができる。
【0015】
本発明の画像形成装置は、前記定着装置を備えたものである。本発明の画像形成装置によれば、定着装置において、ローラ対の軸方向両端部側に配設される一対の操作レバーを操作することによって、ニップ圧を調整することができる。このため、軸方向全長において、均一の圧力を付与することができる。また、検知手段にて、第1の動作と第2の動作との両動作を行ったことを検知することができ、第1のレバーと第2のレバーとの両方(両者)を操作したか操作していないかを判断できる。すなわち、ローラ対の動態状態を検出することができる。しかも、検知手段として、一つ配置すればよいので、コンパクト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の定着装置では、両方の操作レバーを操作することによって、ニップ圧を軸方向全長において、均一の圧力を付与することができ、安定した定着機能を発揮することができる。しかも、いずれかの操作レバーが操作されることなく、ローラ対の動態状態を検出するものではないので、いずれかの操作レバーが操作されていない状態でニップ圧が変更されたものとして定着作業を行うのを防止できる。つまり、簡単な構成で低コストに、ローラ対にニップ圧を安定して制御(変更)することが可能な定着装置を提供できる。しかも、検知手段として、一つ配置すればよいので、コンパクト化を図ることができる。
【0017】
本発明の画像形成装置では、前記作用効果を発揮する定着装置を具備することになって、簡単な構成で低コストに、ローラ対にニップ圧を安定して制御(変更)することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態に係る定着装置を示し、(a)は高圧接状態の簡略平面図であり、(a)は低圧接状態の簡略平面図である。
【図2】前記図1の定着装置を示し、(a)は高圧接状態の簡略正面図であり、(a)は低圧接状態の簡略正面図である。
【図3】前記図1に示す定着装置を用いた画像形成装置の全体構成図である。
【図4】定着ローラと加圧ローラと示し、(a)は高圧接状態の断面図であり、(b)は低圧接状態の断面図である。
【図5】第2の実施形態に係る定着装置を示し、(a)は高圧接状態の簡略平面図であり、(a)は低圧接状態の簡略平面図である。
【図6】前記図5の定着装置を示し、(a)は高圧接状態の簡略正面図であり、(a)は低圧接状態の簡略正面図である。
【図7】第3の実施形態に係る定着装置を示し、(a)は高圧接状態の簡略平面図であり、(a)は低圧接状態の簡略平面図である。
【図8】前記図7の定着装置を示し、(a)は高圧接状態の簡略正面図であり、(a)は低圧接状態の簡略正面図である。
【図9】第4の実施形態に係る定着装置を示し、(a)は高圧接状態の簡略平面図であり、(a)は低圧接状態の簡略平面図である。
【図10】第5の実施形態に係る定着装置を示し、(a)は高圧接状態の簡略平面図であり、(a)は低圧接状態の簡略平面図である。
【図11】第6の実施形態に係る定着装置を示し、(a)は高圧接状態の簡略平面図であり、(a)は低圧接状態の簡略平面図である。
【図12】検知手段として接触式センサを用いた定着装置の要部簡略図である。
【図13】前記図12に示す接触式センサを示し、(a)は検知状態の簡略図であり、(b)は非検知状態の簡略図である。
【図14】検知手段として他の非接触式センサを用いた定着装置の要部簡略図である。
【図15】前記図14に示す非接触式センサを示し、(a)は検知状態の簡略図であり、(b)は非検知状態の簡略図である。
【図16】従来の定着装置を示し、高圧接状態の簡略図である。
【図17】従来の定着装置を示し、低圧接状態の簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図に示す実施例による本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例】
【0020】
図3は、画像形成装置の実施の一形態を示す概略構成図である。図3に示す画像形成装置は、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1BKを備えている。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1BKは、画像形成装置本体100に対して着脱可能に構成してある。
【0021】
各プロセスユニット1Y,1C,1M,1BKは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。そこで、1つのプロセスユニット1Yを例にその構成を説明する。
【0022】
プロセスユニット1Yは、像担持体としての感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3と、感光体2の表面にトナー像を形成する現像手段としての現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング手段としての感光体クリーニングブレード5を備えている。
【0023】
各プロセスユニット1Y,1C,1M,1BKの上方には、感光体2の表面を露光する露光手段としての露光装置7が配設されている。また、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1BKの下方には、中間転写ユニット6が配設されている。中間転写ユニット6は、無端状のベルトから構成される中間転写ベルト10を有する。中間転写ベルト10は、駆動ローラ8及び従動ローラ9に張架され、図の矢印の方向に周回走行可能に構成されている。
【0024】
中間転写ベルト10の内周面には、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11Y,11C,11M,11BKが配設されている。各一次転写ローラ11Y,11C,11M,11BKは、それぞれ感光体2に対向した位置で中間転写ベルト10の内周面に圧接しており、この圧接により、各感光体2は中間転写ベルト10の外周面に圧接して一次転写ニップを形成している。
【0025】
中間転写ベルト10を張架する駆動ローラ8に対向した位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ12が配設されている。この二次転写ローラ12は、中間転写ベルト10の外周面に圧接しており、その圧接部において二次転写ニップを形成している。
【0026】
中間転写ユニット6は、中間転写ベルト10の表面をクリーニングするためのベルトクリーニング装置21を備える。また、中間転写ユニット6の下方には、廃トナーを収容するための廃トナー収容器22が配設されている。廃トナー収容器22の入口部にはベルトクリーニング装置21から伸びた図示しない廃トナー移送ホースが接続されている。
【0027】
画像形成装置本体100の下部には、紙やOHPシート等の記録媒体Pを収容した記録媒体収容部13が配設されている。記録媒体収容部13には、記録媒体Pを搬出する供給ローラ14等が設けてある。
【0028】
画像形成装置本体100内には、記録媒体Pを記録媒体収容部13から上方へ案内するための搬送路R1が配設されている。駆動ローラ8と二次転写ローラ12によって形成された二次転写ニップよりも、搬送路R1の搬送方向上流側(図の下方)に、一対のレジストローラ15a,15bが配設されている。また、二次転写ニップよりも、搬送路R1の搬送方向下流側(図の上方)に、定着装置16が配設されている。定着装置16は、定着ローラ17と加圧ローラ18を有する。定着ローラ17と加圧ローラ18は互いに圧接しており、その圧接部において定着ニップを形成している。
【0029】
搬送路R1の搬送方向下流端部には、一対の排出ローラ19a,19bが配設されている。また、記録媒体Pを積載するためのストック部20が、画像形成装置本体100の上面を内方へ凹ませて形成されている。
【0030】
以下、図3を参照して上記画像形成装置の基本的動作について説明する。
プロセスユニット1Yにおいて、感光体2を図の矢印の方向に回転させ、その感光体2の表面を帯電ローラ3によって均一な高電位に帯電させる。次いで、画像データに基づいて露光装置7から感光体2の表面にレーザビームが照射され、照射された部分の電位が低下して静電潜像が形成される。この感光体2の表面に形成された静電潜像の部分に、現像装置4によって帯電させたトナーを静電的に転移させ、イエローのトナー画像を形成(可視画像化)する。
【0031】
一次転写ローラ11Yに、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、一次転写ローラ11Yと感光体2との間の一次転写ニップにおいて転写電界を形成する。そして、一次転写ニップにおいて、回転する感光体2上のトナー画像を、図の矢印方向に走行する中間転写ベルト10に一次転写する。
【0032】
その他の各プロセスユニット1C,1M,1BKにおいても、同様にして感光体2上にトナー画像を形成し、4色のトナー画像を互いに重なり合うように中間転写ベルト10に一次転写する。
【0033】
また、一次転写行程を経た後の感光体2の表面を、感光体クリーニングブレード5によってクリーニングし、残留トナーを除去する。さらに、感光体2の表面に残る残留電荷を図示しない除電ランプによって除電する。
【0034】
一方、記録媒体収容部13に収容されている記録媒体Pを、供給ローラ14を回転させて搬送路R1へ送り出す。送り出された記録媒体Pは、レジストローラ15a,15bによって一旦停止される。
【0035】
また、二次転写ローラ12にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加して二次転写ニップに転写電界を形成する。あるいは、二次転写ローラ12に対向する駆動ローラ8にトナーの帯電極性と同極性の電圧を印加して、同様の転写電界を形成してもよい。その後、レジストローラ15a,15bの駆動を再開し、中間転写ベルト10上のトナー画像とタイミング(同期)をとって記録媒体Pを二次転写ニップへ送る。そして、二次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト10上のトナー画像を記録媒体P上に一括して二次転写する。また、二次転写後、中間転写ベルト10の表面に残留するトナーは、ベルトクリーニング装置21によって除去され、除去されたトナーは廃トナー収容器22へ回収される。
【0036】
トナー画像を転写された記録媒体Pは、定着装置16へと搬送される。定着装置16に送り込まれた記録媒体Pは、定着ローラ17と加圧ローラ18間に挟まれて加熱・加圧され、トナー画像が記録媒体P上に定着される。その後、記録媒体Pは排出ローラ19a,19bによってストック部20に排出される。
【0037】
定着装置16は、図1と図2等に示すように、定着部材である定着ローラ17と、加圧部材である加圧ローラ18と、定着ローラ17と加圧ローラ18を圧接する方向に付勢する弾性部材31,31とを備えている。定着ローラ17と加圧ローラ18とでローラ対30が構成される。
【0038】
定着ローラ17は、図4に示すように、例えば、熱伝導性基体23と、この基体23を被覆する外装体24とからなる円筒状のローラ本体25と、このローラ本体25に内装されるハロゲンヒータ等の加熱源26とを備える。なお、外装体24は、弾性層と、この弾性層を被覆する表層とからなる。
【0039】
熱伝導性基体23は、所要の機械的強度を有し、熱伝導性の良好な炭素鋼材やアルミニウム材等からなる。また、外装体24の弾性層は、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴムからなる。表層としては、トナーとの離型性を良好とすると共に、弾性層の耐久性を高めるものであり、熱伝導率が高く耐久性に富む材料が用いられる。フッ素樹脂(PFA)のチューブ、フッ素樹脂(PFA)の塗布層、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の被覆層等で構成される。
【0040】
定着ローラ17は、その外径寸法が15mm〜40mm程度とされ、外装体24の弾性層の肉厚が0.5mm〜3mm程度とされ、外装体24の表層の肉厚が10μm〜80μm程度とされる。なお、この実施例では、外径寸法を24mmとし、弾性層の肉厚を1mmとし、表層の肉厚を43μmとした。
【0041】
加圧ローラ18は、芯金27と、この芯金27を被覆する外装体28とからなる。外装体28は、弾性層と、この弾性層を被覆する表層とからなる。芯金27としては、例えば、STKM(機械構造用炭素鋼鋼管)等で構成され、外装体28の弾性層としては、シリコーンゴムやフッ素ゴム等、あるいはこれらの発泡体が用いられる。外装体28の表層は、離型性に富むPFA、PTFA等の耐熱性フッ素樹脂のチューブ等で構成される。
【0042】
加圧ローラ18は、その外径寸法が20mm〜40mm程度とされ、外装体28の弾性層の肉厚が0.5mm〜10mm程度とされ、外装体28の表層の肉厚が10μm〜80μm程度とされる。なお、この実施例では、外径寸法を30mmとし、弾性層の肉厚を8mmとし、表層の肉厚を50μmとした。
【0043】
定着ローラ17の近傍には、温度検出手段としてのサーミスタ(図示省略)、異常温度防止用のサーミスタ(図示省略)等が配置され、これらのサーミスタからの検出信号が、制御手段(図示省略)に入力される。そして、例えば、マイクロコンピュータ等にて構成される制御手段により、定着ローラ17の温度が所定温度領域内に維持される。なお、定着ニップNよりも記録媒体搬送方向の上流側には定着入口ガイド(図示省略)があり、定着ニップNよりも記録媒体搬送方向の下流側には定着出口ガイド(図示省略)がある。
【0044】
ところで、図1と図2に示すように、加圧ローラ18は、軸方向端部側に配設される一対のホルダ部材41a、41bに軸部材42a,42bが支持され、このホルダ部材41a、41bに前記弾性部材31a,31bが付設されている。すなわち、弾性部材31a,31bは、それぞれ、ホルダ部材41a,41bとベース部材43a,43bとの間に介在されている。
【0045】
このため、加圧ローラ18が、弾性部材31a,31bの弾性力によって、定着ローラ17に押し付けられ、図4(a)(b)に示すように、ニップNを形成する。そして、本装置では、ローラ対30の軸方向両端部側に配設される一対の操作レバー45a、45bによる操作にてニップ圧を調整する調整手段50を備える。
【0046】
調整手段50は、図1に示すように、第1の操作レバー45aに連動して第1の動作を行う第1動作体51と、第2の操作レバー45bに連動して第2の動作を行う第2動作体52と、第1の動作と第2の動作との両動作を行ったことを検知する一つの検知手段53とを備える。
【0047】
操作レバー45a、45bは、支点55a、55bを中心に回動し、図4(a)に示す状態つまり、矢印A1方向に回動した状態では、この操作レバー45a、45bの係合部56a、56bに係合している前記ベース部材43a、43bをローラ対30側へ押圧することになる。この押圧によって、定着ローラ17と加圧ローラ18とが高圧接状態、つまり、ニップN幅が大である状態となる。
【0048】
これに対して、この図4(a)に示す状態から、操作レバー45a、45bを支点55a、55bを中心に矢印A2方向に回動させることによって、図4(b)に示すように、前記ベース部材43a、43bを、弾性部材31a,31bの弾性力に抗して反ローラ対側へ引張ることになる。この引張りによって、定着ローラ17と加圧ローラ18とが低圧接状態、つまり、ニップN幅が小である状態となる。
【0049】
第1動作体51は、この実施例では、図1に示すように、ローラ対30の軸心方向と平行に配設されるロッド60にて構成される。この場合、ロッド60のその軸心方向に沿って矢印B1,B2方向に往復動する。このロッド60は、ロッド本体60aと、ロッド本体60aの先端側に連設される軸部60bとを有する。
【0050】
また、ロッド60のロッド本体60aには、軸方向に延びる長孔61、61が設けられ、この長孔61,61に固定ピン62,62が嵌入されている。このため、この長孔61,61のストローク分だけロッド60が往復動することになる。この場合、復帰手段65によって、矢印B2方向に押圧さている。したがって、この状態では、ロッド60が矢印B2方向に移動して、固定ピン62、62が長孔61,61における復帰手段65側の端縁に当接する状態となる。なお、復帰手段65は、装置本体側に設けられるベース部66とロッド60の基端側との間に配設されるバネ部材(圧縮バネ)67から構成される。
【0051】
第2の動作体52は、図2に示すように、前記ロッド60の軸部60bを中心に揺動(回動)する揺動ブロック68にて構成される。この揺動ブロック63には、検知手段53にて検知される検知用ロッド69が設けられている。すなわち、図2(a)に示すように、矢印C1方向に回動した状態が検知手段53による検知が可能な状態であり、図2(b)に示すように、矢印C2方向に回動した状態は検知手段53による検知が不可状態である。
【0052】
ところで、図1に示すように、ロッド60、つまり第1の動作体51と第1の操作レバー45aとは第1のリンク機構71にて連結され、揺動ブロック68つまり第2の動作体52と第2の操作レバー45bとは第2のリンク機構72にて連結されている。
【0053】
第1のリンク機構71は、平面視においてL字状のブロック片74にて構成され、そのコーナ部に配置される軸部73を中心に揺動する。ブロック片74は、一片74aが操作レバー45aに接触し、他片74bに設けられた長孔76に、ロッド60のロッド本体60aの基端側に設けられたピン部材77が遊嵌状に嵌合している。
【0054】
このため、図1(a)や図4(a)に示す高圧接状態から、操作レバー45aを矢印A2方向に回動させることによって、図4(b)に示す低圧接状態とすれば、操作レバー45aを介して、第1のリンク機構71が矢印D2方向に回動する。この際、ピン部材77が長孔76に嵌合していることによって、図1(b)に示すように、ロッド60は矢印B2方向にスライドする。また、この図1(b)に示す状態から操作レバー45aを矢印A1方向に回動させれば、リンク機構71が矢印D1方向に回動し、ロッド60は矢印B1方向にスライドして、図1(a)の状態となる。
【0055】
第2のリンク機構72は、図1と図2に示すように、その基部が枢支軸80に枢支され、矢印E1,E2方向に揺動する揺動アーム81を備えたものである。この場合、この第2のリンク機構72には、揺動アーム81を矢印E2方向に揺動するように付勢するバネ部材82を有する。
【0056】
このため、第2の操作レバー45bを矢印A1方向に回動させた状態(図2(a)参照)では、図1(a)に示すように、揺動アーム81が矢印E1方向に揺動した状態となって、揺動ブロック68が矢印C1方向に揺動した状態となる。これに対して、第2の操作レバー45bを矢印A2方向に回動させた状態(図2(b)参照)では、揺動アーム81が矢印E2方向に揺動した状態となって、揺動ブロック68が矢印C2方向に揺動した状態となる。
【0057】
このように、第1の操作レバー45aを操作して、図2(a)に示すように、矢印A1方向に回動させて、ロッド60を矢印B1方向にスライドさせている場合、第2の操作レバー45bを操作して、図2(a)に示すように、矢印A1方向に回動させることによって、図2(a)に示すように、検知手段53による第2の動作体52の検知が可能状態となる。これに対して、第1の操作レバー45aが図2(a)に示す状態ではなく、図2(b)に示す状態であれば、ロッド60が矢印B2方向にスライドしている状態である。このため、この状態において、第2の操作レバー45bを矢印A1方向に回動させても、リンク機構72を介して図1(A)に示す状態、つまり、検知手段53による第2の動作体52の検知が可能状態とならない。
【0058】
ところで、この実施例では、ロッド60の軸方向スライド範囲(スライド量)をH1とし、揺動アーム81と揺動ブロック68との接触範囲をH2とした場合、H1<H2となる。
【0059】
検知手段53は、この実施例では、透過型の非接触型センサ90を用いている。すなわち、図2に示すように、可視光線や赤外線等の光を投光する投光器85と、この投光器85からの光を受ける受光器86とを備え、図2(a)に示すように、投光器85と受光器86との間に検知用ロッド69が侵入することによって、
投光器85からの投光された光を遮って、この状態を検知する。
【0060】
これに対して、図2(b)に示すように、揺動ブロック68が垂下された状態、つまり、第2に操作レバー45bを矢印A2方向に操作した状態では、投光器85と受光器86との間に検知用ロッド69が侵入せず、投光器85からの投光された光を遮らず、センサ90による検知を行うことができない。
【0061】
この実施例の定着装置では、ローラ対30の軸方向両端部側に配設される一対の操作レバー45a、45bを操作することによって、ニップ圧を調整することができる。このため、軸方向全長において、均一の圧力を付与することができ、安定した定着機能を発揮することができる。また、検知手段53にて、第1の動作45aと第2の動作との両動作を行ったことを検知することができ、第1の操作レバーと第2の操作レバー45bとの両方(両者)を操作したか操作していないかを判断でき、ローラ対30の動態状態を検出することができる。すなわち、いずれかの操作レバーが操作されることなく、ローラ対30の動態状態を検出するものではないので、いずれかの操作レバーが操作されていない状態でニップ圧が変更されたものとして定着作業を行うのを防止できる。しかも、検知手段53として、一つ配置すればよいので、コンパクト化を図ることができる。つまり、簡単な構成で低コストに、ローラ対30にニップ圧を安定して制御することが可能な定着装置を提供できる。
【0062】
第1の動作が直線動作であり、第2の動作が回動動作であってもよく、機構としての簡略化を図ることができ、低コスト化およびコンパクト化を達成できる。
【0063】
操作レバー45a、45bと動作体51,52とをリンク機構71,72にて連結することによって、操作レバー45a、45bの動作(操作)を安定して動作体51,52に伝達することができ、しかも、機構として簡略化を図ることができる。
【0064】
復帰手段65を設けたものでは、操作レバー45a、45bを安定して初期状態に戻すことができ、ニップ圧の安定した調整が可能となる。
【0065】
H1<H2としたことによって、第1の操作レバー45aによる動作体51の第1の動作を、第2の操作レバー45bの操作の動作に関係なく、第1リンク機構71を介して行えるように設定することができる。これによって、第1の操作レバー45aによる動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0066】
次に図5と図6に第2の定着装置を示す。この場合、検知手段53を構成するセンサ90が第2の動作体52である揺動ブロック68に付設されている。このため、遮断部材91が装置本体100側に設けられ、図6(a)に示すように、揺動ブロック68が矢印C1方向に揺動した状態において、このセンサ90の投光器85と受光器86との間に遮断部材91が介在する状態となって、揺動ブロック68を検知する状態となる。また、図6(b)に示すように、揺動ブロック68が矢印C2方向に揺動した状態において、このセンサ90の投光器85と受光器86との間に介在しない状態となって、揺動ブロック68を検知しない状態となる。
【0067】
次に、図7と図8に第3の定着装置を示す。この場合、遮断部材92をロッド60に設けている。図7(a)や図8(a)に示すように、枢支軸70にて枢支されている揺動ブロック68が矢印C1方向に揺動した状態において、このセンサ90の投光器85と受光器86との間に遮断部材92が介在する状態となって、揺動ブロック68を検知する状態となる。また、図7(b)や図8(b)に示すように、揺動ブロック68が矢印C2方向に揺動した状態において、このセンサ90の投光器85と受光器86との間に遮断部材92が介在しない状態となって、揺動ブロック68を検知しない状態となる。
【0068】
なお、この第3の定着装置では、第1のリンク機構71を、前記第1及び第2の定着装置と相違した揺動アーム93を用いている。この揺動アーム93は、長さ寸法が大であり、図7に示すように、長さ方向中間部において、反ベース部側に膨出した幅広部93aを有し、この幅広部93aの反ベース部側において枢支軸94に枢支されている。また、揺動アーム93のロッド側には長孔84が設けられ、この長孔84にロッド60のピン部材94が嵌合している。
【0069】
このため、図7(b)に示す状態から、揺動アーム93が枢支軸94を中心に矢印D2方向に揺動することによって、ロッド60が矢印B2方向にスライドして図7(a)に示す状態となる。また、この図7(a)に示す状態から、揺動アーム93が枢支軸94を中心に矢印D1方向に揺動することによって、ロッド60が矢印B1方向にスライドして図7(b)に示す状態となる。
【0070】
このように、図5と図6に示す定着装置であっても、図7と図8に示す定着装置であっても、前記図1と図2等に示す定着装置と同様に作用効果を奏する。
【0071】
図9に第4の定着装置を示し、第2の動作体52が、ロッド60の軸心方向と直交する方向の軸心廻りに回動する揺動体95にて構成される。すなわち、図9(a)に示すように、弾性部材31a,31bを縮めた状態として、ローラ対30を高圧接状態とした場合、第2の動作体52を介して揺動体95はその軸心L1廻りに回動して、この揺動体95に設けられた遮蔽部95aが、センサ90の投光器85と受光器86との間に配置される状態となる。
【0072】
また、この図9(a)に示す状態から、操作レバー45aを操作して、弾性部材31a,31bを伸ばした状態とすれば、ロッド60が矢印B2方向にスライドした状態となる。この状態では、揺動体95はその軸心L1廻りに回動して、遮蔽部95aが、センサ90が対向しない状態となる。そして、この状態では、第2リンク機構72と動作させても、揺動体95はその軸心廻りに回動させることができない。
【0073】
しかしながら、図9(a)に示すようにロッド60が矢印B1方向にスライドした状態において、第2の操作レバー45bを、その弾性部材31bを縮める状態とすれば、揺動体95はその軸心廻りに回動させることができる。
【0074】
なお、この場合の第2のリンク機構72は、平面的に見て、第1片96aと第2片96bとからなる倒立L字形状のブロック片96を備える。そして、このブロック片96は、その第1片96aが枢支軸97に枢支されている。このため、このブロック片96がその枢支軸97を中心に、矢印E1,E2方向に回動(揺動)する。
【0075】
このため、ロッド60が図9(a)に示すように、矢印B1方向にスライドしている状態のときのみ、第2の操作レバー45bの操作によって、図9(b)に示す状態から矢印E2方法に揺動させれば、揺動体95はその軸心廻りに回動させることができる。
【0076】
図10においても、第2の動作体52が、ロッド60の軸心方向と直交する方向の軸心L2廻りに回動する揺動体98にて構成される。この場合、軸心L2は、前記9に示す揺動体95の軸心L1に対して直交している。
【0077】
また、リンク機構72は、第1片99aと、第2片99bとからなる横倒L字形状の揺動アーム99を備える。この場合、リンク機構72は、第1片99aが枢支軸101に枢支され、矢印E1,E2方向に揺動する。この揺動アーム99の第1片99aには、突起部102が設けられている。
【0078】
揺動体98は、前記突起部102に摺接するテーパ面98aを有する。このため、図10(a)に示すように、ロッド60が矢印B1方向にスライドした状態で、揺動アーム99が矢印E1方向に揺動するように、第2の操作レバー45bを操作すれば、揺動アーム99の突起部102が、揺動体98のテーパ面98aに摺接する。これによって、揺動体98は、その枢支軸101廻りに矢印F1方向に揺動し、センサ90の投光器85と受光器86との間に挿入され、このセンサ90による検知が可能となる。
【0079】
この場合、図10(b)に示すようにロッド60が矢印B2方向にスライドした状態で、第2の操作レバー45bを操作して、揺動アーム99を矢印E1方向に揺動させても、揺動アーム99の突起部102が、揺動体98のテーパ面98aから離れた位置であるので、揺動体98の矢印F1方向に揺動させることができない。これに対して、ロッド60が図10(a)に示すように矢印B1方向にスライドした状態であれば、第2の操作レバー45bを操作して、揺動アーム99を矢印E1方向に揺動させれば、揺動アーム99の突起部102が、揺動体98のテーパ面98aに摺接する。
【0080】
このため、この図9や図10に示す定着装置であっても、図7と図8に示す定着装置であっても、前記図1と図2等に示す定着装置と同様の作用効果を奏する。ところで、前記図1等に示す定着装置では、第1の動作の直線スライド方向と、第2の動作に回動軸心方向とは平行状に配設されていたが、この図9と図10に示す定着装置では、第1の動作の直線スライド方向と、第2の動作に回動軸心方向とは直交状に配設されている。このように、平行状に配設されていても、直交状に配設されていてもよく、この装置の設計自由度が大となる。
【0081】
次に図11は、第1の操作レバー45a側に、検知手段53を配置したものである。すなわち、ロッド60は、長孔61,61を有するロッド本体60aと、このロッド本体60aに挿通される軸部材60cとを備える。そして、軸部材60cは、ロッド本体60aの軸方向両端部から突出する。第1の操作レバー45a側の突出部105aに、検知用ロッド69が設けられた揺動ブロック68を配置する。また、第2の操作レバー45b側の突出部105bに、第2のリンク機構72の接触によって、軸部材60cをその軸心廻りに回動させる回動体106を配置する。
【0082】
図11(b)に示す状態は、第1の操作レバー45aおよび第2の操作レバー45bを弾性部材31a、31bが引張る方向に操作した状態であって、ニップ幅を小さくした状態である。この状態では、揺動ブロック68が検知用ロッド69が、センサ90の投光器85と受光器86との間に配置されない状態となっている。
【0083】
この状態から、第1の操作レバー45aを、弾性部材31aを縮める方向に操作した場合、この操作レバー45aの揺動によって、リンク機構71を介してロッド60を矢印B1方向にスライドさせる。このように、ロッド60を矢印B1方向にスライドさせた状態において、第2の操作レバー45bを、弾性部材31aを縮める方向に操作することによって、操作レバー45bが第2のリンク機構72である揺動アーム81を枢支軸80中心に矢印E1方向に揺動させる。これによって、揺動アーム81に回動体106が摺接して、軸部材60cをその軸心廻りに回動させることになる。このように回転することによって、突出部105a側の揺動ブロック68が回動して、図11(a)に示すように、揺動ブロック68の検知用ロッド69が、センサ90の投光器85と受光器86との間に配置される状態となる。
【0084】
ところが、図11(b)に示すように、ロッド60が矢印B2方向にスライドした状態において、第2の操作レバー45bを、図11(a)に示すように、弾性部材31bを縮める方向に揺動させても、揺動アーム81によって回動体106を回動させることができない。すなわち、第1の操作レバーの操作によって、ロッド60を図11(a)に示すように矢印B2方向にスライドさせた状態でなければ、第2の操作レバーによるセンサ90による検知可能状態とすることができない。
【0085】
このため、この図11に示す定着装置であっても、前記図1と図2等に示す定着装置と同様の作用効果を奏する。
【0086】
次に図12と図13は検知手段53に接触式を用いた場合を示している。この場合、ボタン式スイッチ(メカ式スイッチ)110である。すなわち、揺動ブロック68が図12に示すように、傾斜した状態(図2(a)に示す状態)となった場合に、このスイッチ110のボタン110aを、図12や図13(a)に示すように、この揺動ブロック68の押圧部68aが押圧することになる。これによって、第1の操作レバー45a及び第2の操作レバー45bが操作されて、図1(a)や図2(a)に示す状態となっていることを検知することになる。
【0087】
なお、図13(b)に示すように、揺動ブロック68が垂下状となれば、押圧部68aがスイッチ110のボタン110aを押圧することがなく、非検知状態となる。
【0088】
次に図14と図15は検知手段53に反射式の非接触センサ111を用いた場合を示している。このセンサ111は、可視光線や赤外線等の光を投光する投光器111aと、光を受ける受光器111bとを備える。
【0089】
すなわち、図14や図15(a)に示すように、揺動ブロック68の反射部68bがセンサ111に相対面した場合に、投光器111aから投光された光Lが揺動ブロック68の反射部68bに当たって反射され、受光器111bに入光される。これによって、第1の操作レバー45a及び第2の操作レバー45bが操作されて、図1(a)や図2(a)に示す状態となっていることを検知することになる。
【0090】
これに対して、図15(b)に示すように、揺動ブロック68が垂下した状態となれば、その反射部68bがセンサ111から離間する。このように離間した状態では、投光器111aから投光された光Lは反射部68bに当たらず、受光器111bに入光しない。このため、非検知状態となる。
【0091】
このため、図12と図13に示すセンサ110や図14と図15に示すセンサ111を用いても、図2等に示すセンサ90と同様の作用効果を奏する。
【0092】
このように、検知手段53に非接触型センサを用いても、接触型センサを用いてもよく、この装置の設計自由度が大となる。
【0093】
本発明の画像形成装置では、前記作用効果を発揮する定着装置を具備することになって、高品質の画像形成装置を提供することができる。
【0094】
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。本発明に係る画像形成装置は、電子写真複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ装置等がある。検知手段53に非接触型センサを用いる場合、前記実施例では、投光器85と受光器86とを備えたものであったが、投受光器を備えたものであってもよく、さらには、電磁誘導を利用した高周波発振型、磁石を用いた磁気型、静電容量の変化を利用した静電容量型の近接センサを用いてもよい。また、検知手段53に接触型センサを用いる場合、差動トランス方式を用いたものであってもよい。
【符号の説明】
【0095】
16 定着装置
17 定着ローラ
18 加圧ローラ
30 ローラ対
45a、45b 操作レバー
50 調整手段
51、52 動作体
53 検知手段
65 復帰手段
71、72 リンク機構
90,111 非接触型センサ
97 枢支軸
110 接触型センサ
N 定着ニップ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】
【特許文献1】特公平5−19712号公報
【特許文献2】特開2009−244514号公報
【特許文献3】特開2009−139682号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真技術を利用した複写機やプリンタなどの画像形成装置、このような画像形成装置に用いられる定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電子写真式等の画像形成装置においては、転写材としての用紙に転写されるトナー画像に熱を加えて定着する熱定着の方法が採用されている。この熱定着に用いる定着装置は、図16と図17に示すように、定着部材としての定着ローラ121と、加圧部材としての加圧ローラ122とを備える。
【0003】
定着ローラ121は、例えば、熱伝導性基体123と、この基体123を被覆する外装体124とからなる円筒状のローラ本体125と、このローラ本体125に内装されるハロゲンヒータ等の加熱源126とを備える。なお、外装体124は、弾性層と、この弾性層を被覆する表層とからなる。加圧ローラ122は、芯金127と、この芯金127を被覆する外装体128とからなる。なお、この外装体128弾性層と、この弾性層を被覆する表層とからなる。
【0004】
そして、定着ローラ121と加圧ローラ122とは、図示省略のバネ部材にて、圧接するように押圧され、定着ニップNが形成される。ところで、このような定着装置に対して、転写材Pが普通紙の場合や封筒の場合等がある。しかしながら、封筒は、紙を折り曲げて張り合わせるものである。このため、このような封筒が定着ニップを通過する際に、歪やシワが発生するおそれがあった。
【0005】
そこで、従来では、普通紙を通過させる場合には、図16に示すように、定着ニップNの範囲を広く、封筒を通過させる場合、図17に示すように、定着ローラ121と加圧ローラ122との圧着圧(定着圧)を小さくしていた。このように、定着ニップNの範囲を小さくするようにして、封筒を通過させる場合にもシワ等が発生させにくくしていた。従来の画像形成装置には、定着ローラ101と加圧ローラ122との間の距離を広げる方法に、カム機構を用いたものがあった(特許文献1〜特許文献3)。
【0006】
特許文献1では、レバーにて加圧ローラを支持するとともに、レバー近傍に、中間部が枢支されたアームを配置する。そして、アームの一端部とレバーの基端部との間にバネ部材を配設し、さらには、このアームの他端部にカム機構を連設させている。
【0007】
すなわち、カム機構のカムを回動させることによって、アームの他端部を上下動させ、これによって、バネ部材を介して押し上げているレバーの機端部の押し上げ量を調整することになる。この押し上げ量の調整によって、ニップ長さの調整を行うものである。
【0008】
特許文献2においても、ニップ部に掛かる圧力を変更する圧力変更機構を有するものであって、この圧力変更機構として、圧力付与機構に作用するカム部材を備えたものである。
【0009】
特許文献3においても、カムを回動させることによって、加圧ローラによる加圧力を調整するものである。また、この場合、カムの位置を検出するセンサを設けている。すなわち、カムの位置を検出することによって、ユーザは加圧ローラの加圧状態を把握することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記特許文献1および特許文献2に記載のものでは、ニップ部に掛かる圧力を変更することができるが、このニップ圧が所定の圧になっているかを検知することができない。しかも、特許文献1に記載のものでは、カムを回動させるために、その空間、モータ(ステップモータ)、ウォーム、ウォームホイール等を必要とする。このため、装置全体の複雑化、大型化、及び高コスト化を招くことになる。また、特許文献2では、カムへの動力伝達は搬送ローラの回転軸を用いるものである。このため、ニップに掛かる圧力の変更は、搬送ローラの回転軸の回転と連動するものであり、搬送ローラと独立した圧力の調整を行えず、制御性に劣ることになる。
【0011】
これに対して、特許文献3では、通常加圧モードか軽減モードかを検出することができる。しかしながら、この特許文献3に記載のものにおいても、カムを回動させるための空間や駆動源を必要として、装置全体の複雑化、大型化、及び高コスト化を招くことになる。
【0012】
本発明は、斯かる事情に鑑み、簡単な構成で低コストに、ローラ対にニップ圧を安定して制御することが可能な定着装置および画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の定着装置は、一対のローラが並設されてニップが形成されるローラ対と、前記ローラ対の軸方向両端部側に配設される一対の操作レバーによる操作にてニップ圧を調整する調整手段とを備えた定着装置であって、前記調整手段は、第1の操作レバーに連動して第1の動作を行う第1の動作体と、第2の操作レバーに連動して第2の動作を行う第2の動作体と、第1の動作と第2の動作との両動作を行ったことを検知する一つの検知手段とを備えたものである。
【0014】
本発明の定着装置によれば、ローラ対の軸方向両端部側に配設される一対の操作レバーを操作することによって、ニップ圧を調整することができる。このため、軸方向全長において、均一の圧力を付与することができる。また、検知手段にて、第1の動作と第2の動作との両動作を行ったことを検知することができ、第1のレバーと第2のレバーとの両方(両者)を操作したか操作していないかを判断できる。すなわち、ローラ対の動態状態を検出することができる。しかも、検知手段として、一つ配置すればよいので、コンパクト化を図ることができる。
【0015】
本発明の画像形成装置は、前記定着装置を備えたものである。本発明の画像形成装置によれば、定着装置において、ローラ対の軸方向両端部側に配設される一対の操作レバーを操作することによって、ニップ圧を調整することができる。このため、軸方向全長において、均一の圧力を付与することができる。また、検知手段にて、第1の動作と第2の動作との両動作を行ったことを検知することができ、第1のレバーと第2のレバーとの両方(両者)を操作したか操作していないかを判断できる。すなわち、ローラ対の動態状態を検出することができる。しかも、検知手段として、一つ配置すればよいので、コンパクト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の定着装置では、両方の操作レバーを操作することによって、ニップ圧を軸方向全長において、均一の圧力を付与することができ、安定した定着機能を発揮することができる。しかも、いずれかの操作レバーが操作されることなく、ローラ対の動態状態を検出するものではないので、いずれかの操作レバーが操作されていない状態でニップ圧が変更されたものとして定着作業を行うのを防止できる。つまり、簡単な構成で低コストに、ローラ対にニップ圧を安定して制御(変更)することが可能な定着装置を提供できる。しかも、検知手段として、一つ配置すればよいので、コンパクト化を図ることができる。
【0017】
本発明の画像形成装置では、前記作用効果を発揮する定着装置を具備することになって、簡単な構成で低コストに、ローラ対にニップ圧を安定して制御(変更)することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態に係る定着装置を示し、(a)は高圧接状態の簡略平面図であり、(a)は低圧接状態の簡略平面図である。
【図2】前記図1の定着装置を示し、(a)は高圧接状態の簡略正面図であり、(a)は低圧接状態の簡略正面図である。
【図3】前記図1に示す定着装置を用いた画像形成装置の全体構成図である。
【図4】定着ローラと加圧ローラと示し、(a)は高圧接状態の断面図であり、(b)は低圧接状態の断面図である。
【図5】第2の実施形態に係る定着装置を示し、(a)は高圧接状態の簡略平面図であり、(a)は低圧接状態の簡略平面図である。
【図6】前記図5の定着装置を示し、(a)は高圧接状態の簡略正面図であり、(a)は低圧接状態の簡略正面図である。
【図7】第3の実施形態に係る定着装置を示し、(a)は高圧接状態の簡略平面図であり、(a)は低圧接状態の簡略平面図である。
【図8】前記図7の定着装置を示し、(a)は高圧接状態の簡略正面図であり、(a)は低圧接状態の簡略正面図である。
【図9】第4の実施形態に係る定着装置を示し、(a)は高圧接状態の簡略平面図であり、(a)は低圧接状態の簡略平面図である。
【図10】第5の実施形態に係る定着装置を示し、(a)は高圧接状態の簡略平面図であり、(a)は低圧接状態の簡略平面図である。
【図11】第6の実施形態に係る定着装置を示し、(a)は高圧接状態の簡略平面図であり、(a)は低圧接状態の簡略平面図である。
【図12】検知手段として接触式センサを用いた定着装置の要部簡略図である。
【図13】前記図12に示す接触式センサを示し、(a)は検知状態の簡略図であり、(b)は非検知状態の簡略図である。
【図14】検知手段として他の非接触式センサを用いた定着装置の要部簡略図である。
【図15】前記図14に示す非接触式センサを示し、(a)は検知状態の簡略図であり、(b)は非検知状態の簡略図である。
【図16】従来の定着装置を示し、高圧接状態の簡略図である。
【図17】従来の定着装置を示し、低圧接状態の簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図に示す実施例による本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例】
【0020】
図3は、画像形成装置の実施の一形態を示す概略構成図である。図3に示す画像形成装置は、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1BKを備えている。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1BKは、画像形成装置本体100に対して着脱可能に構成してある。
【0021】
各プロセスユニット1Y,1C,1M,1BKは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。そこで、1つのプロセスユニット1Yを例にその構成を説明する。
【0022】
プロセスユニット1Yは、像担持体としての感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3と、感光体2の表面にトナー像を形成する現像手段としての現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング手段としての感光体クリーニングブレード5を備えている。
【0023】
各プロセスユニット1Y,1C,1M,1BKの上方には、感光体2の表面を露光する露光手段としての露光装置7が配設されている。また、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1BKの下方には、中間転写ユニット6が配設されている。中間転写ユニット6は、無端状のベルトから構成される中間転写ベルト10を有する。中間転写ベルト10は、駆動ローラ8及び従動ローラ9に張架され、図の矢印の方向に周回走行可能に構成されている。
【0024】
中間転写ベルト10の内周面には、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11Y,11C,11M,11BKが配設されている。各一次転写ローラ11Y,11C,11M,11BKは、それぞれ感光体2に対向した位置で中間転写ベルト10の内周面に圧接しており、この圧接により、各感光体2は中間転写ベルト10の外周面に圧接して一次転写ニップを形成している。
【0025】
中間転写ベルト10を張架する駆動ローラ8に対向した位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ12が配設されている。この二次転写ローラ12は、中間転写ベルト10の外周面に圧接しており、その圧接部において二次転写ニップを形成している。
【0026】
中間転写ユニット6は、中間転写ベルト10の表面をクリーニングするためのベルトクリーニング装置21を備える。また、中間転写ユニット6の下方には、廃トナーを収容するための廃トナー収容器22が配設されている。廃トナー収容器22の入口部にはベルトクリーニング装置21から伸びた図示しない廃トナー移送ホースが接続されている。
【0027】
画像形成装置本体100の下部には、紙やOHPシート等の記録媒体Pを収容した記録媒体収容部13が配設されている。記録媒体収容部13には、記録媒体Pを搬出する供給ローラ14等が設けてある。
【0028】
画像形成装置本体100内には、記録媒体Pを記録媒体収容部13から上方へ案内するための搬送路R1が配設されている。駆動ローラ8と二次転写ローラ12によって形成された二次転写ニップよりも、搬送路R1の搬送方向上流側(図の下方)に、一対のレジストローラ15a,15bが配設されている。また、二次転写ニップよりも、搬送路R1の搬送方向下流側(図の上方)に、定着装置16が配設されている。定着装置16は、定着ローラ17と加圧ローラ18を有する。定着ローラ17と加圧ローラ18は互いに圧接しており、その圧接部において定着ニップを形成している。
【0029】
搬送路R1の搬送方向下流端部には、一対の排出ローラ19a,19bが配設されている。また、記録媒体Pを積載するためのストック部20が、画像形成装置本体100の上面を内方へ凹ませて形成されている。
【0030】
以下、図3を参照して上記画像形成装置の基本的動作について説明する。
プロセスユニット1Yにおいて、感光体2を図の矢印の方向に回転させ、その感光体2の表面を帯電ローラ3によって均一な高電位に帯電させる。次いで、画像データに基づいて露光装置7から感光体2の表面にレーザビームが照射され、照射された部分の電位が低下して静電潜像が形成される。この感光体2の表面に形成された静電潜像の部分に、現像装置4によって帯電させたトナーを静電的に転移させ、イエローのトナー画像を形成(可視画像化)する。
【0031】
一次転写ローラ11Yに、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、一次転写ローラ11Yと感光体2との間の一次転写ニップにおいて転写電界を形成する。そして、一次転写ニップにおいて、回転する感光体2上のトナー画像を、図の矢印方向に走行する中間転写ベルト10に一次転写する。
【0032】
その他の各プロセスユニット1C,1M,1BKにおいても、同様にして感光体2上にトナー画像を形成し、4色のトナー画像を互いに重なり合うように中間転写ベルト10に一次転写する。
【0033】
また、一次転写行程を経た後の感光体2の表面を、感光体クリーニングブレード5によってクリーニングし、残留トナーを除去する。さらに、感光体2の表面に残る残留電荷を図示しない除電ランプによって除電する。
【0034】
一方、記録媒体収容部13に収容されている記録媒体Pを、供給ローラ14を回転させて搬送路R1へ送り出す。送り出された記録媒体Pは、レジストローラ15a,15bによって一旦停止される。
【0035】
また、二次転写ローラ12にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加して二次転写ニップに転写電界を形成する。あるいは、二次転写ローラ12に対向する駆動ローラ8にトナーの帯電極性と同極性の電圧を印加して、同様の転写電界を形成してもよい。その後、レジストローラ15a,15bの駆動を再開し、中間転写ベルト10上のトナー画像とタイミング(同期)をとって記録媒体Pを二次転写ニップへ送る。そして、二次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト10上のトナー画像を記録媒体P上に一括して二次転写する。また、二次転写後、中間転写ベルト10の表面に残留するトナーは、ベルトクリーニング装置21によって除去され、除去されたトナーは廃トナー収容器22へ回収される。
【0036】
トナー画像を転写された記録媒体Pは、定着装置16へと搬送される。定着装置16に送り込まれた記録媒体Pは、定着ローラ17と加圧ローラ18間に挟まれて加熱・加圧され、トナー画像が記録媒体P上に定着される。その後、記録媒体Pは排出ローラ19a,19bによってストック部20に排出される。
【0037】
定着装置16は、図1と図2等に示すように、定着部材である定着ローラ17と、加圧部材である加圧ローラ18と、定着ローラ17と加圧ローラ18を圧接する方向に付勢する弾性部材31,31とを備えている。定着ローラ17と加圧ローラ18とでローラ対30が構成される。
【0038】
定着ローラ17は、図4に示すように、例えば、熱伝導性基体23と、この基体23を被覆する外装体24とからなる円筒状のローラ本体25と、このローラ本体25に内装されるハロゲンヒータ等の加熱源26とを備える。なお、外装体24は、弾性層と、この弾性層を被覆する表層とからなる。
【0039】
熱伝導性基体23は、所要の機械的強度を有し、熱伝導性の良好な炭素鋼材やアルミニウム材等からなる。また、外装体24の弾性層は、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴムからなる。表層としては、トナーとの離型性を良好とすると共に、弾性層の耐久性を高めるものであり、熱伝導率が高く耐久性に富む材料が用いられる。フッ素樹脂(PFA)のチューブ、フッ素樹脂(PFA)の塗布層、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の被覆層等で構成される。
【0040】
定着ローラ17は、その外径寸法が15mm〜40mm程度とされ、外装体24の弾性層の肉厚が0.5mm〜3mm程度とされ、外装体24の表層の肉厚が10μm〜80μm程度とされる。なお、この実施例では、外径寸法を24mmとし、弾性層の肉厚を1mmとし、表層の肉厚を43μmとした。
【0041】
加圧ローラ18は、芯金27と、この芯金27を被覆する外装体28とからなる。外装体28は、弾性層と、この弾性層を被覆する表層とからなる。芯金27としては、例えば、STKM(機械構造用炭素鋼鋼管)等で構成され、外装体28の弾性層としては、シリコーンゴムやフッ素ゴム等、あるいはこれらの発泡体が用いられる。外装体28の表層は、離型性に富むPFA、PTFA等の耐熱性フッ素樹脂のチューブ等で構成される。
【0042】
加圧ローラ18は、その外径寸法が20mm〜40mm程度とされ、外装体28の弾性層の肉厚が0.5mm〜10mm程度とされ、外装体28の表層の肉厚が10μm〜80μm程度とされる。なお、この実施例では、外径寸法を30mmとし、弾性層の肉厚を8mmとし、表層の肉厚を50μmとした。
【0043】
定着ローラ17の近傍には、温度検出手段としてのサーミスタ(図示省略)、異常温度防止用のサーミスタ(図示省略)等が配置され、これらのサーミスタからの検出信号が、制御手段(図示省略)に入力される。そして、例えば、マイクロコンピュータ等にて構成される制御手段により、定着ローラ17の温度が所定温度領域内に維持される。なお、定着ニップNよりも記録媒体搬送方向の上流側には定着入口ガイド(図示省略)があり、定着ニップNよりも記録媒体搬送方向の下流側には定着出口ガイド(図示省略)がある。
【0044】
ところで、図1と図2に示すように、加圧ローラ18は、軸方向端部側に配設される一対のホルダ部材41a、41bに軸部材42a,42bが支持され、このホルダ部材41a、41bに前記弾性部材31a,31bが付設されている。すなわち、弾性部材31a,31bは、それぞれ、ホルダ部材41a,41bとベース部材43a,43bとの間に介在されている。
【0045】
このため、加圧ローラ18が、弾性部材31a,31bの弾性力によって、定着ローラ17に押し付けられ、図4(a)(b)に示すように、ニップNを形成する。そして、本装置では、ローラ対30の軸方向両端部側に配設される一対の操作レバー45a、45bによる操作にてニップ圧を調整する調整手段50を備える。
【0046】
調整手段50は、図1に示すように、第1の操作レバー45aに連動して第1の動作を行う第1動作体51と、第2の操作レバー45bに連動して第2の動作を行う第2動作体52と、第1の動作と第2の動作との両動作を行ったことを検知する一つの検知手段53とを備える。
【0047】
操作レバー45a、45bは、支点55a、55bを中心に回動し、図4(a)に示す状態つまり、矢印A1方向に回動した状態では、この操作レバー45a、45bの係合部56a、56bに係合している前記ベース部材43a、43bをローラ対30側へ押圧することになる。この押圧によって、定着ローラ17と加圧ローラ18とが高圧接状態、つまり、ニップN幅が大である状態となる。
【0048】
これに対して、この図4(a)に示す状態から、操作レバー45a、45bを支点55a、55bを中心に矢印A2方向に回動させることによって、図4(b)に示すように、前記ベース部材43a、43bを、弾性部材31a,31bの弾性力に抗して反ローラ対側へ引張ることになる。この引張りによって、定着ローラ17と加圧ローラ18とが低圧接状態、つまり、ニップN幅が小である状態となる。
【0049】
第1動作体51は、この実施例では、図1に示すように、ローラ対30の軸心方向と平行に配設されるロッド60にて構成される。この場合、ロッド60のその軸心方向に沿って矢印B1,B2方向に往復動する。このロッド60は、ロッド本体60aと、ロッド本体60aの先端側に連設される軸部60bとを有する。
【0050】
また、ロッド60のロッド本体60aには、軸方向に延びる長孔61、61が設けられ、この長孔61,61に固定ピン62,62が嵌入されている。このため、この長孔61,61のストローク分だけロッド60が往復動することになる。この場合、復帰手段65によって、矢印B2方向に押圧さている。したがって、この状態では、ロッド60が矢印B2方向に移動して、固定ピン62、62が長孔61,61における復帰手段65側の端縁に当接する状態となる。なお、復帰手段65は、装置本体側に設けられるベース部66とロッド60の基端側との間に配設されるバネ部材(圧縮バネ)67から構成される。
【0051】
第2の動作体52は、図2に示すように、前記ロッド60の軸部60bを中心に揺動(回動)する揺動ブロック68にて構成される。この揺動ブロック63には、検知手段53にて検知される検知用ロッド69が設けられている。すなわち、図2(a)に示すように、矢印C1方向に回動した状態が検知手段53による検知が可能な状態であり、図2(b)に示すように、矢印C2方向に回動した状態は検知手段53による検知が不可状態である。
【0052】
ところで、図1に示すように、ロッド60、つまり第1の動作体51と第1の操作レバー45aとは第1のリンク機構71にて連結され、揺動ブロック68つまり第2の動作体52と第2の操作レバー45bとは第2のリンク機構72にて連結されている。
【0053】
第1のリンク機構71は、平面視においてL字状のブロック片74にて構成され、そのコーナ部に配置される軸部73を中心に揺動する。ブロック片74は、一片74aが操作レバー45aに接触し、他片74bに設けられた長孔76に、ロッド60のロッド本体60aの基端側に設けられたピン部材77が遊嵌状に嵌合している。
【0054】
このため、図1(a)や図4(a)に示す高圧接状態から、操作レバー45aを矢印A2方向に回動させることによって、図4(b)に示す低圧接状態とすれば、操作レバー45aを介して、第1のリンク機構71が矢印D2方向に回動する。この際、ピン部材77が長孔76に嵌合していることによって、図1(b)に示すように、ロッド60は矢印B2方向にスライドする。また、この図1(b)に示す状態から操作レバー45aを矢印A1方向に回動させれば、リンク機構71が矢印D1方向に回動し、ロッド60は矢印B1方向にスライドして、図1(a)の状態となる。
【0055】
第2のリンク機構72は、図1と図2に示すように、その基部が枢支軸80に枢支され、矢印E1,E2方向に揺動する揺動アーム81を備えたものである。この場合、この第2のリンク機構72には、揺動アーム81を矢印E2方向に揺動するように付勢するバネ部材82を有する。
【0056】
このため、第2の操作レバー45bを矢印A1方向に回動させた状態(図2(a)参照)では、図1(a)に示すように、揺動アーム81が矢印E1方向に揺動した状態となって、揺動ブロック68が矢印C1方向に揺動した状態となる。これに対して、第2の操作レバー45bを矢印A2方向に回動させた状態(図2(b)参照)では、揺動アーム81が矢印E2方向に揺動した状態となって、揺動ブロック68が矢印C2方向に揺動した状態となる。
【0057】
このように、第1の操作レバー45aを操作して、図2(a)に示すように、矢印A1方向に回動させて、ロッド60を矢印B1方向にスライドさせている場合、第2の操作レバー45bを操作して、図2(a)に示すように、矢印A1方向に回動させることによって、図2(a)に示すように、検知手段53による第2の動作体52の検知が可能状態となる。これに対して、第1の操作レバー45aが図2(a)に示す状態ではなく、図2(b)に示す状態であれば、ロッド60が矢印B2方向にスライドしている状態である。このため、この状態において、第2の操作レバー45bを矢印A1方向に回動させても、リンク機構72を介して図1(A)に示す状態、つまり、検知手段53による第2の動作体52の検知が可能状態とならない。
【0058】
ところで、この実施例では、ロッド60の軸方向スライド範囲(スライド量)をH1とし、揺動アーム81と揺動ブロック68との接触範囲をH2とした場合、H1<H2となる。
【0059】
検知手段53は、この実施例では、透過型の非接触型センサ90を用いている。すなわち、図2に示すように、可視光線や赤外線等の光を投光する投光器85と、この投光器85からの光を受ける受光器86とを備え、図2(a)に示すように、投光器85と受光器86との間に検知用ロッド69が侵入することによって、
投光器85からの投光された光を遮って、この状態を検知する。
【0060】
これに対して、図2(b)に示すように、揺動ブロック68が垂下された状態、つまり、第2に操作レバー45bを矢印A2方向に操作した状態では、投光器85と受光器86との間に検知用ロッド69が侵入せず、投光器85からの投光された光を遮らず、センサ90による検知を行うことができない。
【0061】
この実施例の定着装置では、ローラ対30の軸方向両端部側に配設される一対の操作レバー45a、45bを操作することによって、ニップ圧を調整することができる。このため、軸方向全長において、均一の圧力を付与することができ、安定した定着機能を発揮することができる。また、検知手段53にて、第1の動作45aと第2の動作との両動作を行ったことを検知することができ、第1の操作レバーと第2の操作レバー45bとの両方(両者)を操作したか操作していないかを判断でき、ローラ対30の動態状態を検出することができる。すなわち、いずれかの操作レバーが操作されることなく、ローラ対30の動態状態を検出するものではないので、いずれかの操作レバーが操作されていない状態でニップ圧が変更されたものとして定着作業を行うのを防止できる。しかも、検知手段53として、一つ配置すればよいので、コンパクト化を図ることができる。つまり、簡単な構成で低コストに、ローラ対30にニップ圧を安定して制御することが可能な定着装置を提供できる。
【0062】
第1の動作が直線動作であり、第2の動作が回動動作であってもよく、機構としての簡略化を図ることができ、低コスト化およびコンパクト化を達成できる。
【0063】
操作レバー45a、45bと動作体51,52とをリンク機構71,72にて連結することによって、操作レバー45a、45bの動作(操作)を安定して動作体51,52に伝達することができ、しかも、機構として簡略化を図ることができる。
【0064】
復帰手段65を設けたものでは、操作レバー45a、45bを安定して初期状態に戻すことができ、ニップ圧の安定した調整が可能となる。
【0065】
H1<H2としたことによって、第1の操作レバー45aによる動作体51の第1の動作を、第2の操作レバー45bの操作の動作に関係なく、第1リンク機構71を介して行えるように設定することができる。これによって、第1の操作レバー45aによる動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0066】
次に図5と図6に第2の定着装置を示す。この場合、検知手段53を構成するセンサ90が第2の動作体52である揺動ブロック68に付設されている。このため、遮断部材91が装置本体100側に設けられ、図6(a)に示すように、揺動ブロック68が矢印C1方向に揺動した状態において、このセンサ90の投光器85と受光器86との間に遮断部材91が介在する状態となって、揺動ブロック68を検知する状態となる。また、図6(b)に示すように、揺動ブロック68が矢印C2方向に揺動した状態において、このセンサ90の投光器85と受光器86との間に介在しない状態となって、揺動ブロック68を検知しない状態となる。
【0067】
次に、図7と図8に第3の定着装置を示す。この場合、遮断部材92をロッド60に設けている。図7(a)や図8(a)に示すように、枢支軸70にて枢支されている揺動ブロック68が矢印C1方向に揺動した状態において、このセンサ90の投光器85と受光器86との間に遮断部材92が介在する状態となって、揺動ブロック68を検知する状態となる。また、図7(b)や図8(b)に示すように、揺動ブロック68が矢印C2方向に揺動した状態において、このセンサ90の投光器85と受光器86との間に遮断部材92が介在しない状態となって、揺動ブロック68を検知しない状態となる。
【0068】
なお、この第3の定着装置では、第1のリンク機構71を、前記第1及び第2の定着装置と相違した揺動アーム93を用いている。この揺動アーム93は、長さ寸法が大であり、図7に示すように、長さ方向中間部において、反ベース部側に膨出した幅広部93aを有し、この幅広部93aの反ベース部側において枢支軸94に枢支されている。また、揺動アーム93のロッド側には長孔84が設けられ、この長孔84にロッド60のピン部材94が嵌合している。
【0069】
このため、図7(b)に示す状態から、揺動アーム93が枢支軸94を中心に矢印D2方向に揺動することによって、ロッド60が矢印B2方向にスライドして図7(a)に示す状態となる。また、この図7(a)に示す状態から、揺動アーム93が枢支軸94を中心に矢印D1方向に揺動することによって、ロッド60が矢印B1方向にスライドして図7(b)に示す状態となる。
【0070】
このように、図5と図6に示す定着装置であっても、図7と図8に示す定着装置であっても、前記図1と図2等に示す定着装置と同様に作用効果を奏する。
【0071】
図9に第4の定着装置を示し、第2の動作体52が、ロッド60の軸心方向と直交する方向の軸心廻りに回動する揺動体95にて構成される。すなわち、図9(a)に示すように、弾性部材31a,31bを縮めた状態として、ローラ対30を高圧接状態とした場合、第2の動作体52を介して揺動体95はその軸心L1廻りに回動して、この揺動体95に設けられた遮蔽部95aが、センサ90の投光器85と受光器86との間に配置される状態となる。
【0072】
また、この図9(a)に示す状態から、操作レバー45aを操作して、弾性部材31a,31bを伸ばした状態とすれば、ロッド60が矢印B2方向にスライドした状態となる。この状態では、揺動体95はその軸心L1廻りに回動して、遮蔽部95aが、センサ90が対向しない状態となる。そして、この状態では、第2リンク機構72と動作させても、揺動体95はその軸心廻りに回動させることができない。
【0073】
しかしながら、図9(a)に示すようにロッド60が矢印B1方向にスライドした状態において、第2の操作レバー45bを、その弾性部材31bを縮める状態とすれば、揺動体95はその軸心廻りに回動させることができる。
【0074】
なお、この場合の第2のリンク機構72は、平面的に見て、第1片96aと第2片96bとからなる倒立L字形状のブロック片96を備える。そして、このブロック片96は、その第1片96aが枢支軸97に枢支されている。このため、このブロック片96がその枢支軸97を中心に、矢印E1,E2方向に回動(揺動)する。
【0075】
このため、ロッド60が図9(a)に示すように、矢印B1方向にスライドしている状態のときのみ、第2の操作レバー45bの操作によって、図9(b)に示す状態から矢印E2方法に揺動させれば、揺動体95はその軸心廻りに回動させることができる。
【0076】
図10においても、第2の動作体52が、ロッド60の軸心方向と直交する方向の軸心L2廻りに回動する揺動体98にて構成される。この場合、軸心L2は、前記9に示す揺動体95の軸心L1に対して直交している。
【0077】
また、リンク機構72は、第1片99aと、第2片99bとからなる横倒L字形状の揺動アーム99を備える。この場合、リンク機構72は、第1片99aが枢支軸101に枢支され、矢印E1,E2方向に揺動する。この揺動アーム99の第1片99aには、突起部102が設けられている。
【0078】
揺動体98は、前記突起部102に摺接するテーパ面98aを有する。このため、図10(a)に示すように、ロッド60が矢印B1方向にスライドした状態で、揺動アーム99が矢印E1方向に揺動するように、第2の操作レバー45bを操作すれば、揺動アーム99の突起部102が、揺動体98のテーパ面98aに摺接する。これによって、揺動体98は、その枢支軸101廻りに矢印F1方向に揺動し、センサ90の投光器85と受光器86との間に挿入され、このセンサ90による検知が可能となる。
【0079】
この場合、図10(b)に示すようにロッド60が矢印B2方向にスライドした状態で、第2の操作レバー45bを操作して、揺動アーム99を矢印E1方向に揺動させても、揺動アーム99の突起部102が、揺動体98のテーパ面98aから離れた位置であるので、揺動体98の矢印F1方向に揺動させることができない。これに対して、ロッド60が図10(a)に示すように矢印B1方向にスライドした状態であれば、第2の操作レバー45bを操作して、揺動アーム99を矢印E1方向に揺動させれば、揺動アーム99の突起部102が、揺動体98のテーパ面98aに摺接する。
【0080】
このため、この図9や図10に示す定着装置であっても、図7と図8に示す定着装置であっても、前記図1と図2等に示す定着装置と同様の作用効果を奏する。ところで、前記図1等に示す定着装置では、第1の動作の直線スライド方向と、第2の動作に回動軸心方向とは平行状に配設されていたが、この図9と図10に示す定着装置では、第1の動作の直線スライド方向と、第2の動作に回動軸心方向とは直交状に配設されている。このように、平行状に配設されていても、直交状に配設されていてもよく、この装置の設計自由度が大となる。
【0081】
次に図11は、第1の操作レバー45a側に、検知手段53を配置したものである。すなわち、ロッド60は、長孔61,61を有するロッド本体60aと、このロッド本体60aに挿通される軸部材60cとを備える。そして、軸部材60cは、ロッド本体60aの軸方向両端部から突出する。第1の操作レバー45a側の突出部105aに、検知用ロッド69が設けられた揺動ブロック68を配置する。また、第2の操作レバー45b側の突出部105bに、第2のリンク機構72の接触によって、軸部材60cをその軸心廻りに回動させる回動体106を配置する。
【0082】
図11(b)に示す状態は、第1の操作レバー45aおよび第2の操作レバー45bを弾性部材31a、31bが引張る方向に操作した状態であって、ニップ幅を小さくした状態である。この状態では、揺動ブロック68が検知用ロッド69が、センサ90の投光器85と受光器86との間に配置されない状態となっている。
【0083】
この状態から、第1の操作レバー45aを、弾性部材31aを縮める方向に操作した場合、この操作レバー45aの揺動によって、リンク機構71を介してロッド60を矢印B1方向にスライドさせる。このように、ロッド60を矢印B1方向にスライドさせた状態において、第2の操作レバー45bを、弾性部材31aを縮める方向に操作することによって、操作レバー45bが第2のリンク機構72である揺動アーム81を枢支軸80中心に矢印E1方向に揺動させる。これによって、揺動アーム81に回動体106が摺接して、軸部材60cをその軸心廻りに回動させることになる。このように回転することによって、突出部105a側の揺動ブロック68が回動して、図11(a)に示すように、揺動ブロック68の検知用ロッド69が、センサ90の投光器85と受光器86との間に配置される状態となる。
【0084】
ところが、図11(b)に示すように、ロッド60が矢印B2方向にスライドした状態において、第2の操作レバー45bを、図11(a)に示すように、弾性部材31bを縮める方向に揺動させても、揺動アーム81によって回動体106を回動させることができない。すなわち、第1の操作レバーの操作によって、ロッド60を図11(a)に示すように矢印B2方向にスライドさせた状態でなければ、第2の操作レバーによるセンサ90による検知可能状態とすることができない。
【0085】
このため、この図11に示す定着装置であっても、前記図1と図2等に示す定着装置と同様の作用効果を奏する。
【0086】
次に図12と図13は検知手段53に接触式を用いた場合を示している。この場合、ボタン式スイッチ(メカ式スイッチ)110である。すなわち、揺動ブロック68が図12に示すように、傾斜した状態(図2(a)に示す状態)となった場合に、このスイッチ110のボタン110aを、図12や図13(a)に示すように、この揺動ブロック68の押圧部68aが押圧することになる。これによって、第1の操作レバー45a及び第2の操作レバー45bが操作されて、図1(a)や図2(a)に示す状態となっていることを検知することになる。
【0087】
なお、図13(b)に示すように、揺動ブロック68が垂下状となれば、押圧部68aがスイッチ110のボタン110aを押圧することがなく、非検知状態となる。
【0088】
次に図14と図15は検知手段53に反射式の非接触センサ111を用いた場合を示している。このセンサ111は、可視光線や赤外線等の光を投光する投光器111aと、光を受ける受光器111bとを備える。
【0089】
すなわち、図14や図15(a)に示すように、揺動ブロック68の反射部68bがセンサ111に相対面した場合に、投光器111aから投光された光Lが揺動ブロック68の反射部68bに当たって反射され、受光器111bに入光される。これによって、第1の操作レバー45a及び第2の操作レバー45bが操作されて、図1(a)や図2(a)に示す状態となっていることを検知することになる。
【0090】
これに対して、図15(b)に示すように、揺動ブロック68が垂下した状態となれば、その反射部68bがセンサ111から離間する。このように離間した状態では、投光器111aから投光された光Lは反射部68bに当たらず、受光器111bに入光しない。このため、非検知状態となる。
【0091】
このため、図12と図13に示すセンサ110や図14と図15に示すセンサ111を用いても、図2等に示すセンサ90と同様の作用効果を奏する。
【0092】
このように、検知手段53に非接触型センサを用いても、接触型センサを用いてもよく、この装置の設計自由度が大となる。
【0093】
本発明の画像形成装置では、前記作用効果を発揮する定着装置を具備することになって、高品質の画像形成装置を提供することができる。
【0094】
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。本発明に係る画像形成装置は、電子写真複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ装置等がある。検知手段53に非接触型センサを用いる場合、前記実施例では、投光器85と受光器86とを備えたものであったが、投受光器を備えたものであってもよく、さらには、電磁誘導を利用した高周波発振型、磁石を用いた磁気型、静電容量の変化を利用した静電容量型の近接センサを用いてもよい。また、検知手段53に接触型センサを用いる場合、差動トランス方式を用いたものであってもよい。
【符号の説明】
【0095】
16 定着装置
17 定着ローラ
18 加圧ローラ
30 ローラ対
45a、45b 操作レバー
50 調整手段
51、52 動作体
53 検知手段
65 復帰手段
71、72 リンク機構
90,111 非接触型センサ
97 枢支軸
110 接触型センサ
N 定着ニップ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】
【特許文献1】特公平5−19712号公報
【特許文献2】特開2009−244514号公報
【特許文献3】特開2009−139682号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のローラが並設されてニップが形成されるローラ対と、前記ローラ対の軸方向両端部側に配設される一対の操作レバーによる操作にてニップ圧を調整する調整手段とを備えた定着装置であって、
前記調整手段は、第1の操作レバーに連動して第1の動作を行う第1動作体と、第2の操作レバーに連動して第2の動作を行う第2動作体と、第1の動作と第2の動作との両動作を行ったことを検知する一つの検知手段とを備えたことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
第1の動作が直線動作であり、第2の動作が回動動作であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
第1の動作の直線スライド方向と、第2の動作の回動軸心方向とが平行状又は直交状に配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
第1の操作レバーと第1動作体とは、この操作レバーの動作を第1の動作に変換する第1リンク機構を介して連結されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項5】
第2の操作レバーと第2動作体とは、この操作レバーの動作を第2の動作に変換する第2リンク機構を介して連結されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記リンク機構を初期位置に戻して、操作レバー位置を初期位置に戻す復帰手段を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項7】
第1の操作レバーによる第1の動作体の動作は、第2の操作レバーの操作の動作に関係なく、第1リンク機構を介して行えるように設定されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項8】
検知手段に非接触型センサを用いたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項9】
検知手段に接触型センサを用いたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項10】
前記請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
一対のローラが並設されてニップが形成されるローラ対と、前記ローラ対の軸方向両端部側に配設される一対の操作レバーによる操作にてニップ圧を調整する調整手段とを備えた定着装置であって、
前記調整手段は、第1の操作レバーに連動して第1の動作を行う第1動作体と、第2の操作レバーに連動して第2の動作を行う第2動作体と、第1の動作と第2の動作との両動作を行ったことを検知する一つの検知手段とを備えたことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
第1の動作が直線動作であり、第2の動作が回動動作であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
第1の動作の直線スライド方向と、第2の動作の回動軸心方向とが平行状又は直交状に配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
第1の操作レバーと第1動作体とは、この操作レバーの動作を第1の動作に変換する第1リンク機構を介して連結されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項5】
第2の操作レバーと第2動作体とは、この操作レバーの動作を第2の動作に変換する第2リンク機構を介して連結されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記リンク機構を初期位置に戻して、操作レバー位置を初期位置に戻す復帰手段を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項7】
第1の操作レバーによる第1の動作体の動作は、第2の操作レバーの操作の動作に関係なく、第1リンク機構を介して行えるように設定されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項8】
検知手段に非接触型センサを用いたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項9】
検知手段に接触型センサを用いたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項10】
前記請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−11685(P2013−11685A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143298(P2011−143298)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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