説明

定着装置及びこの定着装置を搭載する画像形成装置

【課題】高温表示・注意喚起手段の解かり易さを改善し、また、簡易な構成で、目の不自由な使用者にとっても、高温部分を直接触ることなく、装置が高温であるかどうかを知る手段を備えた定着装置及びこれを搭載する搭載する画像形成装置を提供することにある。
【解決手段】定着装置は、該定着装置2の高温状態に注意を喚起するための高温注意喚起手段5を備え、該高温注意喚起手段5は、開口部6a及び切り欠き部6bを有する第1表示用部材6と、前記切り欠き部6aに挿入される第2表示用部材8と、熱源の近くに設けたばね取り付け部材9と、該ばね取り付け部材9に取り付けられて前記第2表示用部材8の前記切り欠き部6aへの挿入に作用する形状記憶合金を用いたばね10と、とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体上のトナー像を記録媒体に熱及び圧力によって定着させる定着装置及びこの定着装置を搭載するプリンタ、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置においては、搭載された定着装置が高温状態であると知らずに高温部分に触り、火傷するというおそれからユーザーを保護する必要がある。
画像形成装置に搭載された定着装置の高温時におけるこのような不都合を回避するために、従来から、各種の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、ゼーベック効果を利用して、定着装置が高温であることを表示し、注意を喚起する注意喚起手段についての技術が開示されている。以下でこの特許文献1に開示された技術を簡単に説明する。
図11は従来の注意喚起手段を含む定着装置の定着ローラ部分を概念的に示す構成図である。図11において、例えば、誘導発熱式の定着ローラ19の温度検出にゼーベック効果を利用した半導体タイプの熱電素子20が用いられる。
この熱電素子20は、定着ローラ19に近い側の高温側電極21と反対側の低温側電極22の間にP型半導体23とN型半導体24を有してなるものである。低温側電極22は雰囲気での室温状態となっている。
そして、熱電素子20は、定着ローラ19の表面から数mm程度離れるように定置配置されているが、図示してない接離機構を用いて、例えば、装置の動作時には定着ローラ19から離れ、動作終了後には接触するように、必要に応じて定着ローラ19表面と接離するようになっていてもよい。
【0003】
熱電素子20のPN電極によって発光ダイオード(LED)26が駆動するようになっているが、この場合、時間の経過につれて低温側電極22も伝導熱によって温度が上昇すると、高温側との温度差が減り、LED26の駆動時間が短くなってしまうので、これを避けるために低温側電極22には放熱板25が取り付けられ、雰囲気温度と同程度に維持される。
図示していないが、熱電効果が少なく、LED26を駆動するほどの電圧が得られない場合には、熱電素子20とLED26の間に電子回路による駆動回路を入れるようにしてもよい。 以上のような構成によって、定着ローラ19が所定の高温状態にある場合には、その雰囲気との温度差により熱電素子20が熱電効果を生じ、LED26を駆動して定着ローラ19が所定の高温状態にあることを表示する。
上述のごとく、図11の構成は、高温になるとゼーベック効果を利用した熱電素子を利用することで、LEDが点灯して注意を喚起するしくみである。この構成では、目の不自由な使用者は、LEDの点灯状態を知ることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、簡易な構成で視認できるという点では優れているが、万人にとって十分に解かり易い手段であるとは言い切れない。例えば、上述のように、目の不自由な使用者にとっては、この方法(LEDの点灯/消灯)で、装置が高温であるかどうかを知ることはできない。
目の不自由な使用者が高温であるかどうかを知ることができなければ、ジャム処理などで、定着装置を触る必要がある時に、高温状態であると知らずに高温部分を触ってしまうと火傷するおそれがあり、危険である。
目の不自由な使用者に対しては、例えば、機械音や音声によって高温状態であることを知らせて注意を促す構成は一般的であるが、コストアップに繋がること、音を発生させる装置を組み込むことで、装置が大型化すること、などの不具合が考えられる。さらに、周囲の騒音で、その音が聞き取れないおそれもある。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、高温表示・注意喚起手段の解かり易さを改善し、また、簡易な構成で、目の不自由な使用者にとっても、高温部分を直接触ることなく、装置が高温であるかどうかを知る手段を備えた定着装置及びこれを搭載する搭載する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、記録媒体上のトナー像を記録媒体に熱及び圧力によって定着させる定着装置において、該定着装置の高温状態に注意を喚起するための高温注意喚起手段を備え、該高温注意喚起手段は、開口部及び切り欠き部を有する第1表示用部材と、前記切り欠き部に挿入される第2表示用部材と、熱源の近くに設けたばね取り付け部材と、該ばね取り付け部材に取り付けられて前記第2表示用部材の前記切り欠き部への挿入に作用するように伸縮する形状記憶合金を用いたばねと、とから構成される定着装置を特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記高温注意喚起手段が、画像形成装置のユニットカバーを開けた状態で見える場所に配置される請求項1記載の定着装置を特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記高温注意喚起手段が、高温時と低温時とで、前記第1表示用部材の前記開口部からの距離が異なる面を有する請求項1又は2記載の定着装置を特徴とする。
【0006】
また、請求項4に記載の発明は、前記第1表示用部材の前記開口部からの距離が異なる面は、高温時と低温時とでは、表示される色が異なる請求項1乃至3のいずれか1項記載の定着装置を特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記第1表示用部材の前記開口部からの距離が異なる面の一方は、前記開口部から触れる面が凹凸を有する請求項1乃至4のいずれか1項記載の定着装置を特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記高温注意喚起手段は、前記第1表示用部材の前記切り欠き部にカバーを設ける請求項1乃至5のいずれか1項記載の定着装置を特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、記録媒体上のトナー像を記録媒体に熱及び圧力によって定着させる定着装置を搭載する画像形成装置において、前記定着装置として、請求項1乃至6のいずれか1項記載の定着装置を搭載する画像形成装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、形状記憶合金ばねを用いて、使用者に装置が所定の高温であることを表示し注意を喚起する手段を備えたので、使用者が高温と気付かずに火傷する可能性を従来よりも減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明を適用する画像形成装置を示す模式図である。
【図2】画像形成装置における定着装置の位置を示す概略斜視図である。
【図3】図2の画像形成装置を示す正面図である。
【図4】図2の画像形成装置における定着装置を拡大して示す概略斜視図である。
【図5】本発明の高温表示手段の構成を示す図である。
【図6】本発明の高温表示手段の第1の実施の形態における各部品を詳細に説明する概略図である。
【図7】本発明の高温表示手段の第1の実施の形態における各部品の動きを詳細に説明する概略図である。
【図8】本発明の高温表示手段の第1の実施の形態におけるばねの動きを詳細に説明する概略図である。
【図9】本発明の高温表示手段の第2の実施の形態を詳細に説明する概略図である。
【図10】本発明の高温表示手段の第3の実施の形態を詳細に説明する概略図である。
【図11】従来の注意喚起手段を含む定着装置の定着ローラ部分を概念的に示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明を適用する画像形成装置を示す模式図である。図2は画像形成装置における定着装置の位置を示す概略斜視図である。図3は図2の画像形成装置を示す正面図である。図4は図2の画像形成装置における定着装置を拡大して示す概略斜視図である。
図1乃至図4の画像形成装置1では、この画像形成装置1内の定着装置2と、この定着装置2内の第1表示用部材6と、ユニットカバー7との位置関係を単に示している。図示が煩雑になるのを避けるために、後述する第2表示用部材8及びばね取り付け部材9はこれらの図では省略されている。
また、ここでは、画像形成に必要な他のユニット、部材等は省略して、本発明に直接関係のある定着装置2、のみを示している。図1の定着装置2の内部には、定着部材3、加圧部材4、高温表示手段5がある。その他にも、加圧手段や温度検知手段など、一般的な定着装置に含まれるものは、同様に存在するが、本発明に直接関係がないので省略する。
【0010】
図5は本発明の高温表示手段の構成を示す図である。図5には、本発明の目的である定着装置における解かり易い高温表示及び高温であることの注意喚起を行う高温表示手段5の概略を示している。
この高温表示手段5は、好ましくは樹脂からなる第1表示用部材6、同様に樹脂からなる第2表示用部材8、形状記憶合金からなるばね10、このばね10の一端を取り付ける板金からなるばね取り付け部材9、画像形成装置1(図1)に取り付けられ定着装置2の前面を覆う樹脂製のユニットカバー7等からなり、それぞれ、記載された材料で作るのが望ましい。各部品を詳細に説明する。
【0011】
図6は本発明の高温表示手段の第1の実施の形態における各部品を詳細に説明する概略図である。図6(a)には、高温表示手段を構成する第1表示用部材6を斜視図で示している。この第1表示用部材6は、片側に開口部6aを持つ横長の角柱のような形状で、その長手方向ほぼ中央の1側面位置に四角い切り欠き部6bがある。
第1表示用部材6は、触ってもそれほど熱くないように樹脂製であるのが望ましい。全体は、白あるいはクリーム色であり、開口部6a側から中を覗いた時に見える開口部6aに対向する壁内面は、黒色をしている。
図6(b)には、高温表示手段5を構成する第2表示用部材8を斜視図で示している。この第2表示用部材8は、片側に開口部8aを有する横長の角柱のような形状である。
この第2表示用部材8は、その角柱形状が第1表示用部材6の切り欠き部6bよりもやや小さく、第1表示用部材6の切り欠き部6bに第2表示用部材8を挿入することができる。第2表示用部材8の外側の、開口部8aと隣り合った或る面、例えば、第1表示用部材6の切り欠き部6bに挿入した時に第1表示用部材6の開口部6a側から見える面8bは赤色をしていて、その他の部分は白又はクリーム色である。
図6(c)には、第1表示用部材6とこの第1表示用部材6の開口部6aに対向する位置に置かれた第2表示用部材8とを斜視図で示している。矢印のような向きで、第1表示用部材6の切り欠き部6bに第2表示用部材8を嵌合して挿入する。
第2表示用部材8を挿入する前は、第1表示用部材6の開口部6aから覗くと開口部6aの対向壁面の黒色が見えるが、第2表示用部材8を挿入した後では、この第2表示用部材8の赤色に塗られた側壁面が見える。すなわち、第2表示用部材8の挿入の有無で、開口部6aから見える色が変わる。
【0012】
図7は本発明の高温表示手段の第1の実施の形態における各部品の動きを詳細に説明する概略図である。図7(a)及び 図7(b)は、図6(c)の状態を上から見た図であり、図7(a)には第1表示用部材6への第2表示用部材8の挿入前の状態を、図7(b)には第2表示用部材8の挿入後の状態を示している。第2表示用部材8の挿入前は、第1表示用部材6の開口部6aに対向する内壁面が見えるので黒く、挿入後は、第2表示用部材8の側面に塗られた赤色が見えることが解かる。
高温注意喚起手段である高温表示手段5は、図2の画像形成装置1のユニットカバー7を開けた状態で目に付く位置にあるので、高温を表示して注意を喚起し、使用者が高温と気付かずに火傷する可能性を従来よりも減らすことができる。
第2表示用部材8が第1表示用部材6の開口部6aに挿入されるかどうかを制御しているのは、ばね10である。このばね10は、形状記憶合金を使用して作られている。詳しくは後述する。
さらに、ユニットカバー7を通して第1表示用部材6の開口部6aから指を入れた時に、図7(a)の状態と図7(b)の状態とでは、内部に触るまでの距離(図で、Lの距離)が異なるので、目の不自由な使用者でも、違いを感じることができる。
なお、第1表示用部材6と第2表示用部材8とは、必ずしも角柱同士の組み合わせである必要はなく、円柱や立方体との組み合わせでもよい。第1表示用部材6の切り欠き部6bに第2表示用部材8を挿入する前後で、色が変化するように、外から見える面(部分)に、それぞれ異なる色を付けた構成とすればよい。
【0013】
ここで、ばね10について説明する。このばね10は形状記憶合金を使用したばねであり、温度変化に伴い変形する。図7(c)のように、本発明で使用するばね10は、常温での長さよりも、高温での長さが長くなるような性質を有している。ここで言う高温とは、トナーが定着する温度であり、おおよそ140〜200°Cである。
図7(a)及び図7(b)で、ばね10は、形状記憶合金を使用したばねであり、ばね取り付け部材9に一端が取り付けられている。ばね取り付け部材9は、図1の定着装置2のうちとくに高温になり易い部分、例えば、定着部材3や加圧部材4のなるべく近くに設置するのが良い。
また、ばね取り付け部材9は、ばね10に熱を伝え易くするために、金属であることが望ましい。図1の画像形成装置(定着装置を含む)1が稼動状態にある時は、定着部材3が加熱されるため、その近く(2〜20mm程度)にあるばね取り付け部材9も温度が上昇する。
ばね取り付け部材9からばね10に熱が伝わることで、このばね10は高温となり、縮んだ状態から伸びた状態に変化する(図7(c))。すると、ばね10が伸びる力で、第2表示用部材8が開口部6aを通して第1表示用部材6に挿入される。
【0014】
図7(a)は、常温での状態を示し、ばね10は比較的短い。第2表示用部材8を第1表示用部材6に挿入していないので、外から、すなわち、第1表示用部材6の開口部6a側から見えるのは黒色である。
図7(b)は、高温での状態を示し、ばね10は比較的長い。高温時にはこのばね10の伸びを利用して第2表示用部材8を第1表示用部材6に挿入しているので、外から、すなわち、第1表示用部材6の開口部6a側から見えるのは第2表示用部材8の側壁面8bの赤色である。
高温時は赤色、低温時は黒色というように、異なる色を使用して、定着装置2が高温であるか低温であるかを表示しているので、高温と気付かずに火傷する可能性を従来よりも減らすことができる。
上記では形状記憶合金からなるばね10としたが、形状記憶合金ばねを単独で使用した場合、高温で形状記憶合金ばねが長くなってから常温に戻った時に、このばねは元の長さには戻らない。そこで形状記憶合金からなるばねと通常の弾性ばねとを組み合わせると、常温に戻った時にばねの長さも元の長さに戻る。通常の弾性ばねの材質は金属でも樹脂でも構わないが、高温を考慮すると金属ばねが無難である。
【0015】
図8は本発明の高温表示手段の第1の実施の形態におけるばねの動きを詳細に説明する概略図である。図8(a)及び図8(b)には、このばねの構成と動作とを示している。図8(a)及び図8(b)に示すように、長さ方向の上下に軸穴を設けたアーム27a及び27bを有する断面コの字型の枠部材27を設ける。
上下のアーム27a及び27bの間に上方のアーム27a側から普通のばね28、ばね取り付け部材9、形状記憶合金ばね10を配置し、これらを貫通させて軸穴に軸29を通し、両端をEリング等で固定する。
かかる構成にすると、図8(a)に示すように常温時に形状記憶合金ばね10は比較的短い。そして、図8(b)に示すように高温時に形状記憶合金ばね10は比較的長い。ばね取り付け部材9を固定した場合、高温時に図中のAの位置、すなわち、下方のアーム27bの位置が下がる。
この下方のアーム27bの位置Aの下降を第2表示用部材8の移動に利用する。すなわち、上述した図7(b)の第1表示用部材6の開口部6aへの第2表示用部材8の挿入に利用する。
【0016】
このように形状記憶合金ばね10を用いて、使用者に定着装置が所定の高温であることを表示し、注意を喚起する高温表示手段を備えたので、使用者が高温と気付かずに火傷する可能性を従来よりも減らすことができる。
また、上述したように、カバー7を通して第1表示用部材6の開口部6aから指を入れた時に、図7(a)の状態と図7(b)の状態とでは、内部に触るまでの距離(図で、Lの距離)が異なるので、目の不自由な使用者でも、高温時との違いを感じることができる。
このように、高温時と低温時で、第1表示用部材6の開口部6aからの指が触れるまでの距離が異なることにより、高温であるか低温であるかを解かり易く表示する。その結果、目の不自由な使用者を含めて、高温であるかどうかを、開口部6aに指を入れて触って知ることができるので、使用者が高温と気付かずに火傷する可能性を従来よりも減らすことができる。
【0017】
図9は本発明の高温表示手段の第2の実施の形態を詳細に説明する概略図である。この第2の実施の形態では、第1の実施の形態のように、高温状態と、常温状態とで、触るまでの距離・色が異なるのに加えて、さらに触った感じを異ならせることで、違いを解かり易くする。
具体的には、第1表示用部材6の開口部6aに対向する黒い内壁面は平滑である一方、第2表示用部材8の赤い色を付した側壁面8bには、凹凸が付けてある。表面状態が違うので、触った時に違いが解かり易い。
図9(a)に示すように、第1表示用部材6の内面が黒く見えている時、この面を触ると平滑であり、図9(b)に示すように、第2表示用部材8の側壁面8bが赤く見えている時は、この側壁面8bを触ると凹凸がある。
目の不自由な使用者が、第1表示用部材6の開口部6aに指を入れて触った時に、比較的に凹凸があるならば、まだ高温状態であるため、定着部材3(図1)には触らないか、ジャム処理等で仕方なく触る時にも、細心の注意を払うようになる。開口部6aに指を入れて触ってみて、内面が比較的平滑である時は、高温状態ではないことを示すので、高温状態で触るよりも安全である。
このように、高温時と低温時とで、第1表示用部材6の開口部6aに指を入れて触れる面が、平滑か凹凸かを知ることで、目の不自由な使用者にも解かり易くしているので、高温と気付かずに火傷する可能性を、従来よりも減らすことができる。
【0018】
図10は本発明の高温表示手段の第3の実施の形態を詳細に説明する概略図である。この第3の実施の形態では、常温状態で触る時に、第1表示用部材6の切り欠き部6bに指を入れてしまう可能性がある。その結果、切り欠き部6b周辺のバリでけがをしたり、指が切り欠き部6bに引っ掛かって抜けなくなってしまったりするおそれがある。
そこで、図10(a)、(b)、(c)のようなカバー30を第1表示用部材6の切り欠き部6bに設ける。図10(a)、(b)では、第1表示用部材6、第2表示用部材8以外の部品を省略している。
この第3の実施の形態では、常温では図10(a)のように、カバー30が第1表示用部材6の切り欠き部6bを閉じた状態にある。図示してない熱源から熱が伝わってばね(形状合金製)10が伸びる時には、カバー30を閉じる力よりも、ばね10がカバー30と第2表示用部材8を切り欠き部6bに押す力が大きいので、図10(b)の状態となる。図10(a)の状態でも、カバー30があるので、指が切り欠き部6bに入ることがないので、安全である。
図10(c)のように、カバー30は、固定点31の位置を中心として動くことが可能である。固定点31で図示してないねじりコイルばね等を使うことにより、第2表示用部材8が挿入される、すなわち、カバー30が押される前は、このカバー30は閉じた状態で、ばね10が第2表示用部材8を押したらカバー30が動くように構成することができる。固定点31で使用するねじりコイルばね等は比較的弱いものを使用するのが好ましい。
このように、第1表示用部材6の切り欠き部6bにカバー30を設けているので、とくに目の不自由な使用者が表示部分を触る時に、指が切り欠き部6bに入ることなく、高温と気付かずに火傷する可能性を従来よりも減らしながら、使用者が指にけがをする可能性も従来よりも減らすことができる。
【符号の説明】
【0019】
1 画像形成装置、2 定着装置、3 定着部材、5 高温注意喚起手段(高温表示手段)、6 第1表示用部材、6a 開口部、6b 切り欠き部、7 ユニットカバー、8 第1表示用部材、8b 壁面(赤色壁面)、8b1 凹凸部、9 ばね取り付け部材、10 ばね(形状記憶合金ばね)、30 カバー(第1表示用部材の開口部用)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特許第3820046号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上のトナー像を記録媒体に熱及び圧力によって定着させる定着装置において、該定着装置の高温状態に注意を喚起するための高温注意喚起手段を備え、該高温注意喚起手段は、開口部及び切り欠き部を有する第1表示用部材と、前記切り欠き部に挿入される第2表示用部材と、熱源の近くに設けたばね取り付け部材と、該ばね取り付け部材に取り付けられて前記第2表示用部材の前記切り欠き部への挿入に作用するように伸縮する形状記憶合金を用いたばねと、とから構成されることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記高温注意喚起手段は、画像形成装置のユニットカバーを開けた状態で見える場所に配置されることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
【請求項3】
前記高温注意喚起手段は、高温時と低温時とで、前記第1表示用部材の前記開口部からの距離が異なる面を有することを特徴とする請求項1又は2記載の定着装置。
【請求項4】
前記第1表示用部材の前記開口部からの距離が異なる面は、高温時と低温時とでは、表示される色が異なることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の定着装置。
【請求項5】
前記第1表示用部材の前記開口部からの距離が異なる面の一方は、前記開口部から触れる面が凹凸を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の定着装置。
【請求項6】
前記高温注意喚起手段は、前記第1表示用部材の前記切り欠き部にカバーを設けることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の定着装置。
【請求項7】
記録媒体上のトナー像を記録媒体に熱及び圧力によって定着させる定着装置を搭載する画像形成装置において、前記定着装置として、請求項1乃至6のいずれか1項記載の定着装置を搭載することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−217433(P2010−217433A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63358(P2009−63358)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】