説明

定着装置

【課題】熱応答性に優れ、オンディマンドで使用できると共に熱効率が一層改善された定着装置を実現する。
【解決手段】中空円筒状のローラ本体20と、ローラ本体の外周面に形成した離型層21と、ローラ本体の内側に、ローラ本体の内周面に圧接するように同軸状に配置したスパイラル状のコイルバネとを有するヒートローラ1を用いる。当該ヒートローラ1の材質及び厚さは、熱応答性が速く、ヒートローラ1が1回転する間に、赤外線ランプ3から放出された赤外光により発生した熱エネルギーがヒートローラ1の外周面に到達するように設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は定着装置、特にオンディマンドの要求に対応できると共に熱効率が改善された定着装置に関するものである。
本発明の基本思想は、厚さが0.2mm程度の薄いアルミニウムの中空円筒ローラが量産できるとの認識に立脚している。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタにおいては、記録紙上に転写されたトナー像を定着する装置としてヒートロール定着装置が実用化されている。ヒートロール定着装置は、ヒートローラと加圧ローラとにより構成され、約180℃程度に加熱されたヒートローラと加圧ローラとの間にトナー像が保持された記録紙を通過させ、ヒートローラから供給される熱によりトナー像が記録紙上に加熱融着されている。ヒートローラは例えば外周面に離型層が形成されている中空円筒状のローラ本体を有し、ローラ本体の内側に配置した赤外線ランプから放出される赤外光により180°程度の定着温度まで昇温されている。
【0003】
ヒートロール定着装置においては、ヒートローラを所定の定着温度まで昇温させるための立ち上がり時間をできるだけ短縮することが要請されている。この要請に対応したヒートローラとして、外周面に離型層が形成されている薄肉のローラ本体の内側に同軸状にスパイラル状のコイルバネを配置したヒートローラが既知である(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、ローラ本体の内周面に圧接するように配置されたコイルバネが補強部材として機能するため、アルミニウムのローラ本体の厚さを0.3mm程度まで薄くできる旨記述されている。
【特許文献1】特開平10−116675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スパイラル状のコイルバネを補強部材として用いたヒートローラは、コイルバネの補強作用によりローラ本体の厚さを相当薄くでき、ヒートローラの熱容量を大幅に小さくすることができる。従って、立ち上がり時間の短縮に極めて有益である。しかしながら、ヒートロール定着装置については、オンディマンドで使用できることが要請されており、室温から定着温度までの立ち上がり時間を一層短縮することが強く要請されている。しかしながら、現在普及しているヒートロール定着装置は、定着温度までの立ち上がり時間として相当な時間を必要とし、オンディマンドの要請に十分に対応できていないのが実情である。
【0005】
さらに、定着装置においては、省エネルギー対策も重要な課題であり、定着装置における熱の利用効率を一層改善し、消費電力を一層低減することも重要な課題である。しかしながら、上記特許文献1には、ローラ本体の熱容量を小さくできることが記載されているだけであり、省エネルギー対策の観点からの定着装置の改善について記述されていない。
【0006】
本発明の目的は、熱応答性に優れ、オンディマンドで使用できると共に熱効率が一層改善された定着装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による定着装置は、外周面に離型層が形成されているヒートローラと、ヒートローラに対して圧接配置された加圧ローラ又は加圧ベルトと、前記ヒートローラの内側に配置され、ヒートローラの内周面に向けて赤外光を照射する赤外線ランプと、前記ヒートローラを回転駆動する駆動手段とを具える定着装置において、
前記ヒートローラは、中空円筒状のローラ本体と、ローラ本体の外周面に形成した離型層と、ローラ本体の内側に同軸状に配置したスパイラル状のコイルバネとを有し、
前記ローラ本体の厚さは、赤外線ランプから放出された赤外光がローラ本体により吸収されて熱エネルギーに変換され、生成された熱エネルギーが、ヒートローラが1回転する時間期間内にヒートローラの外周面に到達するように設定され、
動作中、回転するヒートローラは、定着動作を行うニップ点を始点として1回転する間に、回転方向に沿って、低い光強度の赤外光が照射される第1の低光強度照射区域、第1の低光強度照射区域において照射される赤外光の強度よりも高い光強度の赤外光が集中的に照射される高光強度照射区域、及び、高光強度照射区域において照射される赤外光の強度よりも低い強度の赤外光が照射される第2の低光強度照射区域を順次経てニップ点に戻ることを特徴とする。
【0008】
本発明の誕生の契機は、旋削加工方法を改良することにより、従来の旋削加工では不可能であった厚さが0.2mm程度の薄い厚さのアルミニウムの円筒体を量産できることにある。すなわち、従来の旋削加工では、アルミニウムの円筒体を量産する場合、0.4mm程度が厚さの加工限界であった。これに対して、本発明者が旋削加工について改良した結果、厚さが0.2mm程度の円筒体を量産できることが判明した。本発明の原点、旋盤を用いた旋削加工により厚さが0.2mm程度の薄いアルミニウムの円筒体を量産できることにある。
ヒートローラの立ち上がり特性を改良するためには、ヒートローラの熱容量をできるだけ小さくする必要がある。そこで、本発明では、ヒートローラとして、厚さの薄いアルミニウム又はステンレスで構成されるローラ本体と、ローラ本体の内側に同軸状に配置したコイルバネとを有するヒートローラを用いる。本発明者による実験結果によれば、補強部材としてコイルバネが配置されたローラ本体は、外部からの押圧力に対して優れた外形保持性能を有するので、厚さが0.2mm程度の薄肉のアルミニウムの円筒体や厚さが0.07mm程度のステンレスの円筒体を用いても、良好な心円度が維持されると共にベンディング量も小さいことが実験により確認された。しかも、ローラ本体として厚さが0.2mmのアルミニウムの円筒体を用いた場合、室温から170℃の定着温度まで昇温するのに必要な時間は約6秒程度であり、オンディマンドの要求にも十分に対応することが可能である。
【0009】
さらに、本発明者がヒートローラの熱伝導について種々の実験及び解析を行った結果、厚さが0.8mmのアルミニウムのパイプを用いたヒートローラの場合、赤外線ランプから放出された赤外光がローラ本体により吸収され、熱エネルギーに変換されてヒートローラの外周面に到達するのに1.2秒かかることが確認された。この実験結果によれば、ヒートローラのローラ本体として、厚さが0.8mmの比較的厚いアルミニウムの円筒体を用いた場合、赤外線ランプから放出された赤外光が熱エネルギーに変換され、発生した熱エネルギーがヒートローラの内周面側から外周面に到達する時間期間中に、ヒートローラは約2回転する。また、厚さが0.4mmのアルミニウムのパイプを用いた場合、赤外光により発生した熱エネルギーは、ヒートローラが約1回転してからヒートローラの外周面に到達する。このようなヒートローラを用いた定着装置では、赤外線ランプをヒートローラの中心に配置し、ヒートローラが1回転する間に、ヒートローラの内周面に向けてほぼ均一な強度の赤外光照射し、ヒートローラの全周にわたって均一な加熱が行われる。しかしながら、ヒートローラの全周にわたって均一な赤外光を照射したのでは、ヒートローラは定着動作が行われない期間中にも加熱されることになり、ヒートローラの外周面からの放熱量が多くなってしまう。
【0010】
これに対して、ヒートローラのローラ本体として、厚さが0.2mm程度の薄肉のアルミニウムの円筒体を用いた場合、ヒートローラの内周面に照射された赤外光が熱エネルギーに変換されてヒートローラの外周面に到達する時間は、0.3秒程度であり、ヒートローラが約半回転する間にヒートローラの外周面に到達する。このような熱応答性が速いヒートローラを用いた場合、赤外光の照射により発生する熱エネルギーは、ヒートローラが1回転する前にヒートローラの外周面に到達するから、赤外線ランプから放出された赤外光をヒートローラの内周面の一部の領域に集中的に照射し、定着動作が行われるニップを通過する期間中にヒートローラの外周面に熱エネルギーを集中的に供給することが可能である。
【0011】
そこで、本発明では、ヒートローラが1回転する間に赤外光を均一に照射するのではなく、一部の短い時間期間中に集中的に赤外光を照射し、それ以外の時間期間中は比較的低光強度の赤外光を照射する。そして、ヒートローラが定着動作を行うニップを基準にして、赤外線ランプから集中的に放出された赤外光が熱エネルギーに変換されてヒートローラの外周面に到達するまでの伝導時間を考慮して、赤外光が集中的に照射される円周方向の位置を設定する。すなわち、ヒートローラの内周面に集中的に照射された赤外光が熱エネルギーに変換され、発生した熱エネルギーがヒートローラの外周面に到達した時、ニップを通過するように設定する。このように構成すれば、赤外線ランプからヒートローラの内周面に集中的に供給された光エネルギーは、定着動作を行う期間中にヒートローラの外周面に到達するため、集中的に供給されたエネルギーが定着動作に効率的に利用される。
【0012】
具体的には、ヒートローラが1回転する期間を、定着動作が行われるニップを基準にして3つの区域にわける。すなわち、ニップを基準にして、ヒートローラの回転方向にそって、相対的に低い光強度の赤外光が照射される第1の低光強度照射区域、第1の低光強度照射区域において照射される赤外光の強度よりも高い光強度の赤外光が集中的に照射される高光強度照射区域、及び、高光強度照射区域において照射される赤外光の強度よりも低い強度の赤外光が照射される第2の低光強度照射区域を設定する。ヒートローラは、ニップ点を始点として、第1の低光強度照射区域、高光強度照射区域、及び、第2の低光強度照射区域を通過してニップ点に戻る。ヒートローラが高光強度照射区域から第2の低光強度照射区域を経てニップ点まで移動する時間は、赤外線ランプから放出された赤外光がローラ本体に吸収されて熱エネルギーに変換され、発生した熱エネルギーがヒートローラの外周面に伝導する時間にほぼ対応するように設定する。このように設定すれば、赤外線ランプからヒートローラに集中的に供給された光エネルギーは、定着動作を行うニップ及びその付近を通過する期間中にヒートローラの表面に熱エネルギーとして供給されることになる。従って、赤外線ランプから放出された光エネルギーを定着動作に効率的に利用することが可能になる。しかも、ニップ及びその付近を通過する期間を除き、ヒートローラの外周面の温度は低い温度に維持されるため、ヒートローラの外周面からの放熱量が低減され、ヒートロール定着装置の消費電力を低減することが可能になる。
【0013】
本発明による定着装置は、外周面に離型層が形成されているヒートローラと、ヒートローラに対して圧接配置された加圧ローラ又は加圧ベルトと、前記ヒートローラの内側に配置され、ヒートローラの内周面に向けて赤外光を照射する赤外線ランプと、前記ヒートローラを回転駆動する駆動手段とを具える定着装置において、
前記ヒートローラは、中空円筒状のローラ本体と、ローラ本体の外周面に形成した離型層と、ローラ本体の内側に同軸状に配置したスパイラル状のコイルバネとを有し、
前記ローラ本体は、その軸線方向の中央に位置し、薄い厚さの第1のローラ部分と、第1のローラ部分の両端にそれぞれ形成され、第1のローラ部分の厚さよりも厚い厚さを有し剛体として作用する第2及び第3のローラ部分とを有し、
前記第1のローラ部分の厚さは、赤外線ランプから放出された赤外光がローラ本体により吸収されて熱エネルギーに変換され、生成された熱エネルギーが、ヒートローラが1回転する時間期間内にヒートローラの外周面に到達するように設定され、
前記 第1のローラ部分の内径をr1とし、第2及び第3のローラ部分の内径をr2とし、前記コイルバネの外径をr3とした場合に、r2<r3<r1となるように設定され、
動作中、回転するヒートローラは、定着動作を行うニップ点を始点として1回転する間に、回転方向に沿って、低い光強度の赤外光が照射される第1の低光強度照射区域、第1の低光強度照射区域において照射される赤外光の強度よりも高い光強度の赤外光が集中的に照射される高光強度照射区域、及び、高光強度照射区域において照射される赤外光の強度よりも低い強度の赤外光が照射される第2の低光強度照射区域を順次経てニップ点に戻ることを特徴とする。
【0014】
本発明による定着装置では、ヒートローラのローラ本体の厚さは、吸収された赤外光により発生する熱エネルギーが、ヒートローラが1回転する前にヒートローラの表面に到達するように設定することが必須である。このためには、ローラ本体の材料としてアルミニウムが用いられる場合、ローラ本体は厚さが0.1mm〜0.3mm程度の薄い円筒体が用いられる。厚さが0.2mm程度の薄いアルミニウムの円筒体は、シート状部材で構成される円筒体とほぼ同様な機械的特性を有し、外形保持能力が低くローラとしての心円度が低下する欠点がある。また、半径方向に向く外部応力が作用した場合、容易に変形し易い欠点もある。従って、ローラ本体として、ローラの軸線方向の全長にわたって一様な薄い厚さの円筒体を用いたのでは、正常な動作を行うヒートローラが実現されない。この問題点を解決するため、本発明では、ローラ本体を3つのローラ部分により構成する。すなわち、ローラ本体は、その軸線方向の中央に位置し、記録紙の幅にほぼ等しい長さを有する厚さの薄い第1のローラ部分と、第1のローラ部分の両端にそれぞれ形成され、厚い厚さを有し剛体として作用する第2及び第3のローラ部分とにより構成する。そして、厚さの厚い第2及び第3のローラ部分に軸受を配置してフレームに固定する。このように、厚さの薄い第1のローラ部分の両端に厚さが厚く剛体として作用するローラ部分を形成することにより、厚さの薄い第1のローラ部分に外部応力が作用しても、剛体として作用する両端の厚いローラ部分により規制されるため、外形保持性能が高くなり、心円度が低下する不具合が解消される。
【0015】
また、加圧ローラが圧着されることによりヒートローラの半径方向に向く外部応力に対処するため、本発明では、ローラ本体の内側にスパイラル状のコイルバネを配置する。コイルバネは、半径方向に向く外部応力に対して高い外形保持能力を有する。よって、変形し易い薄い第1のローラ部分に外部応力が作用しても、コイルバネから弾性的な反発力が発生し、この反発力はローラ本体の変形を阻止するように作用する。従って、ローラ本体の内側にスパイラル状のコイルバネを配置することにより、外部応力に対して変形しにくいヒートローラが実現される。
【0016】
本発明による定着装置に用いられるヒートローラは、以下の3つの要件を組み合わすことにより実現される。
(I) 定着動作に寄与する中央に位置する第1のローラ部分の厚さは、吸収された赤外光により発生する熱エネルギーが、ヒートローラが1回転する前にヒートローラの表面に到達するように薄く設定する。
(II) 定着動作を行う第1のローラ部分の両端に、剛体として作用する厚さの厚いローラ部分を形成することにより、外形保持能力及び心円度を確保する。
(III)ローラ本体の内側にスパイラル状のコイルバネを配置して、半径方向に向く外部応力に対処する。
【0017】
本発明は、ヒートローラと加圧ローラとを組み合わせた定着装置、及び、ヒートローラと加圧ベルトとを組み合わせた定着装置の2つの形式のヒートロール定着装置に適用される。
【0018】
ローラ本体の材質として、アルミニウム及びステンレスを用いることができる。アルミニウムのローラ本体を用いる場合、ローラ本体の厚さは0.1〜0.3mmに設定する。ローラ本体は、旋削加工により所定の厚さに形成される。この際、NC旋盤による旋削加工の限界は0.1mm程度であり、厚さが0.1mm未満のアルミニウムのローラ本体は加工上問題がある。また、厚さが0.3mmを超えると、赤外線ランプから放出された赤外光が熱エネルギーに変換されてヒートローラの外周面に到達する間にヒートローラは1回転又はそれ以上するため、本発明は適用されない。ローラ本体の材料としてステンレスを用いる場合、厚さ0.03mmのローラ本体が機械的強度及び加工の限界である。また、厚さが0.2mmを超えると、赤外線ランプから放出された赤外光が熱エネルギーに変換されてヒートローラの外周面に到達する間にヒートローラは1回転又はそれ以上するため、本発明は適用されない。すなわち、本発明では、赤外線ランプから放出された赤外光が熱エネルギーに変換されてヒートローラの外周面に到達する間にヒートローラが1回転しないように、ローラ本体の材質及び厚さを規定する必要がある。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、赤外線ランプから放出された赤外光をヒートローラの内周面の一部の領域に集中的に照射し、集中的に照射された赤外光により発生した熱エネルギーが、ヒートローラがニップを通過する期間中にヒートローラの外周面に到達するように構成されているので、赤外線ランプから放出された光エネルギーを定着動作に効率よく寄与させることが可能になる。この結果、定着に寄与しない時間期間中のヒートローラの外周面の温度が比較的低い温度に維持されるので、消費電力の低減が図られる。さらに、温度制御のための設定温度(温調温度)を低く設定することが可能になり、相当な電力量を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による定着装置の一例を示す線図的断面図である。
【図2】図1に示す定着装置のヒートローラ及び加圧ローラの中心軸線と直交する面で切って示す断面図である。
【図3】ヒートローラをその中心軸線を含む面で切って示す断面図である。
【図4】赤外線ランプから放出される赤外光の照射分布を示す図である。
【図5】ヒートローラの円周方向位置と表面温度との関係を示すグラフである。
【図6】本発明によるヒートローラの詳細な構造を示す図である。
【図7】ヒートローラと加圧ベルトとを組み合わせたヒートロール定着装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜図3は、本発明による定着装置の一例を示す図であり、図1はヒートローラ及び加圧ローラの中心軸線を含む面で切って示す断面図、図2はヒートローラ及び加圧ローラの中心軸線と直交する面で切って示す断面図、及び、図3はヒートローラのローラ本体をその中心軸線を含む面で切って示す断面図である。本発明による定着装置は、ヒートローラ1と、ヒートローラに対して圧接配置した加圧ローラ2と、ヒートローラの内側に配置され加熱源として機能するハロゲンランプ3とを有する。
【0022】
ヒートローラ1は、2個の軸受11a及び11bにより回転自在に支持する。ヒートローラは、その一端側に駆動用のギアー12が取付られ、ギアー12を介し駆動装置(図示せず)に連結され、所定の周速度で回転する。ヒートローラ1に対して平行に加圧ローラ2を回転自在に圧接配置する。加圧ローラ2は、2個の軸受13a及び13bにより回転自在に支持する。これら2つの軸受にはそれぞれ圧着スプリング14a及び14bが連結され、これら圧着スプリングの押圧力を利用して加圧ローラ2をヒートローラ1に対して圧着する。このように、ヒートローラに対して加圧ローラを圧接配置することにより、ヒートローラと加圧ローラとの間に所定幅のニップが形成され、未定着トナー像が形成された記録紙15がニップを通過する間にトナー像が記録紙に定着される。
【0023】
ヒートローラ1の内側空間内に赤外光を放出するハロゲンランプ3を配置する。ハロゲンランプ3から放出された赤外光は、ヒートローラの内周面で吸収されて熱エネルギーに変換される。発生した熱エネルギーは、ヒートローラの内周側から外周側に向けて伝導し、ヒートローラの外周面を所定の温度に昇温させる。ハロゲンランプ3は、ヒートローラ1に対して同軸状ではなく、ヒートローラの中心軸線に対して平行で且つ偏芯するように配置する。
【0024】
図2及び図3を参照するに、ヒートローラ1は中空円筒状のローラ本体20を有する。ローラ本体20は、厚さの薄いアルミニウムの中空円筒体で構成され、その外周面には離型層21を形成する。離型層21として、高い離型性を有するフッ素樹脂被膜を用いることができる。或いは、図3(B)に示すように、離型層として、厚さ0.3mm程度のシリコンゴムの弾性ゴム層22と、その外周に設けたフッ素樹脂チュブ23とからなる離型層を用いることも可能である。この場合、ヒートローラは弾性変形可能な離型層を有することになり、カラーコピー用のヒートロール定着装置に好適である。
【0025】
図3に示すように、ローラ本体20の内側空間内には、補強部材として機能するスパイラル状のコイルバネ24を同軸状に配置する。コイルバネは、その材料及び焼き入れ条件等を適切に設定することにより、極めて高い外形保持能力を有することができ、半径方向内向きの外力が作用してもほとんど変形しない外形保持能力を有している。従って、コイルバネ自身の外形保持性能を適切に利用することにより、加圧ローラから圧接力が作用しても、ヒートローラの心円度を適切に維持することが可能になる。しかも、心円度が維持されることにより、発生するベンディング量を微少な範囲に抑えることが可能になる。スパイラル状のコイルバネ24は、例えば1.0mmの線径を有し、15mmのピッチを有する。コイルバネ24は、スパイラル状に形成されているので、赤外線ランプ3から放出された赤外光の大部分がローラ本体20の内周面に入射して吸収される。よって、赤外線ランプから放出された赤外光の大部分がローラ本体20の加熱に利用される。
【0026】
薄肉のアルミニウムのローラ本体の内周側に補強部材としてスパイラル状のコイルバネを配置することにより、ローラ本体の機械的強度低下はコイルバネにより補強されることになる。この結果、厚さが0.1〜0.3mm程度の薄肉のローラ本体を用いても、優れた熱応答性を有すると共に適正なニップ幅を有するヒートロール定着装置が実現される。
【0027】
図2に示すように、加圧ローラ2は、ローラ本体25を有し、ローラ本体25の外周に弾性ゴム層26を形成し、その上にフッ素樹脂のチューブ27で被覆する。弾性ゴム層26として、ウレタンスポンジの隔壁がシリコンゴムの皮膜で被覆された二重構造の弾性ゴム層を用いることができる。このウレタンスポンジの隔壁がシリコンゴムの皮膜で被覆された弾性ゴム層は、ウレタンゴムの骨格が薄いシリコンゴムで被覆された構造を有するため、内部に多数の連通する空孔を有すると共にシリコンゴムと同等な耐熱性を有する。従って、熱容量が相当小さく且つ熱伝導性が低いため、加圧ローラからの放熱量は相当低減する。さらに、ウレタンスポンジのゴム硬度は相当低いので、低硬度の加圧ローラが実現される。この結果、ヒートローラと加圧ローラとの圧着力を相当弱くしても、広い幅のニップを形成することができる。従って、薄肉のヒートローラを用いもベンディング量が大きくなることなく、幅の広いニップを形成することができる。尚、弾性ゴム層としてウレタンスポンジの隔壁がシリコンゴムの皮膜で被覆された耐熱性の弾性ゴム層を用いる場合、弾性ゴム層自身がシリコンと同等な離型作用を有するため、フッ素樹脂チューブを用いなくてもよい。
【0028】
上述した加圧ローラの製造方法について簡単に説明する。金属のシャフトの外周にウレタンスポンジ層を形成して多数の連通する空孔を有するウレタンゴムローラを製造する。次に、ウレタンゴムローラに液状シリコンを含浸させ、金型内に配置する。続いて、液状シリコンが含浸されたウレタンゴムローラを高速回転させ、余分な液状シリコンを外周側に材料移動させる。この状態において、ウレタンゴムの隔壁の表面には薄い液状シリコン膜が形成される。続いて、加硫処理を行う。この製造方法により、ウレタンゴムの隔壁がシリコンゴムの皮膜により被覆された二重構造の耐熱性の弾性ゴム層が形成される。尚、液状シリコンを材料移動させた際、金型の内周面とウレタンゴムローラの外周面との間に液状シリコンを残存させると、外周面がシリコンゴムの皮膜で被覆された弾性ゴムローラが製造される。この弾性ゴムローラの外周にフッ素樹脂チューブを被せることもできる。
【0029】
次に、本発明によるヒートロール定着装置の加熱方式について説明する。本発明者は、赤外線ランプを点灯させた後ヒートローラの外周面に熱エネルギーが伝導する時間を測定する実験を行った。実験条件として、直径が25mmで厚さが0.8mmのアルミニウムの素管を用い、その外周面に厚さが数10μmの薄いフッ素樹脂コーティングされたローラ本体を用い、ローラ本体の中心に750Wのハロゲンランプを配置した。そして、ローラ本体を静止状態に維持し、ハロゲンランプの点灯開始後のローラ外周面の温度変化を温度センサを用いて測定した。また、ハロゲンランプの点灯中にハロゲンランプを消灯し、点灯中及び消灯後のローラ本体の外周面の温度変化を測定した。実験結果として、ハロゲンランプを点灯開始後、1.2秒遅れてローラの外周面が昇温を開始する実験結果が得られた。また、消灯後のヒートローラの外周面の変化を測定した場合、ハロゲンランプを消灯した後、1.2秒遅れてヒートローラの外周面の温度は降温を開始した。この実験結果より、厚さが0.8mmのローラ本体を用いた場合、ハロゲンランプから放出された赤外光がローラ本体により吸収されて熱エネルギーに変換され、発生した熱エネルギーがローラ本体の内周面からローラ本体の内部を伝導して外周面まで伝導するのに要する時間は、1.2秒であると考えられる。この実験結果によれば、ヒートロール定着装置においては、赤外線ランプから放出された赤外光がローラ本体の内周面において熱エネルギーに変換され、発生した熱エネルギーが直ちに内周面から外周面に移動するのではなく、ローラ本体の内部を伝導する伝導時間だけ遅れてヒートローラの外周面に到達するものと考えられる。また、熱エネルギーがローラ本体の内周面から外周面まで伝導する伝導時間は、ローラ本体の厚さ及び材質にほぼ対応するものと考えられる。
【0030】
ローラ本体の厚さを薄くした場合、ローラ本体の熱容量が小さくなると共に発生した熱エネルギーが伝導する距離も短縮される。また、発生した熱エネルギーの伝導時間はローラ本体の厚さに線形に対応すると考えられるので、例えばローラ本体の厚さを0.2mmに設定した場合赤外線ランプから放出された赤外光が熱エネルギーに変換されてローラ本体の外周面に到達する時間は、1/4に短縮され、0.3秒程度遅れて外周面に到達することになる。また、ローラ本体の厚さを0.1mmに設定した場合赤外線ランプから放出された赤外光が熱エネルギーに変換されてローラ本体の外周面に到達する時間は、1/8に短縮され、0.15秒程度遅れてヒートローラの外周面に到達する。尚、ローラ本体の外周面に形成したフッ素樹脂層の厚さは数10μm程度であるため、離型層の伝導時間は無視できる程度である。
【0031】
さらに、赤外線ランプから放出された赤外光がローラ本体に吸収されて熱エネルギーに変換され、発生した熱エネルギーがヒートローラの外周面に到達するまでのヒートローラの回転量について検討する。一般的に、低速機のヒートロール定着装置において、紙送り速度は約120mm/秒に設定され、ヒートローラの直径は25mm程度に設定されている。この一般的な設計システムでは、ヒートローラが1回転する時間は、25mm×π÷120mm=0.63秒である。このヒートロール定着装置において、厚さ0.8mmのアルミニウムのローラ本体を用いた場合、赤外光により発生した熱エネルギーがヒートローラの外周面に到達する間のヒートローラの回転量は、
1.2秒÷(0.63秒/1回転)=1.9回転となる。
すなわち、赤外光が熱エネルギーに変換されてローラ外周面に到達するまでにヒートローラは約2回転することになる。また、厚さが0.4mmのアルミニウムのローラ本体を用いた場合、熱エネルギーがヒートローラの外周面に到達する間のヒートローラの回転量は、
1.2秒×(0.4mm/0.8mm)÷(0.63秒/1回転)=0.95回転となる。すなわち、約1回転すると、吸収された赤外光により発生した熱エネルギーがローラ外周面に伝導する。このように、ローラ本体の厚さが厚く熱容量が比較的大きいヒートローラの場合、熱応答性が遅いため、赤外線ランプをローラ本体の中心に同軸状に配置して、ヒートローラが1回転する間に均一な光強度の赤外光を照射することになる。
【0032】
これに対して、厚さが0.3mmのアルミニウムのローラ本体を用いた場合、熱エネルギーがヒートローラの外周面に到達する間のヒートローラの回転量は、
1.2秒×(0.3/0.8)÷(0.63秒/1回転)=0.71回転、
すなわち、約3/4回転すると、赤外光により発生した熱エネルギーがローラ外周面に伝導し、ヒートローラが1回転する前に熱エネルギーがローラ外周面に到達する。さらに、厚さが0.2mmのローラ本体を用いた場合、
1.2秒×(0.2/0.8)÷(0.63秒/1回転)=0.48回転
すなわち、約半回転すると、赤外光により発生した熱エネルギーがローラ外周面に到達する。さらに、厚さが0.1mmのローラ本体を用いた場合、
1.2秒×(0.1/0.8)÷(0.63秒/1回転)=0.24回転
すなわち、約1/4回転するだけでローラ外周に到達する。このように、熱応答性が速いローラ本体を用いる場合、赤外線ランプから放出されて熱エネルギーに変換された熱エネルギーは、ヒートローラが1回転する前に、ヒートローラの外周面に到達する。このように熱応答性の速いローラ本体を用いる場合、赤外線ランプをローラ本体の中心に配置して、ヒートローラが1回転する間に均一な赤外光を照射したのでは、定着に寄与しない時間期間中にヒートローラの外周面の温度が高くなり、ヒートローラの外周面からの放熱量が多くる不具合が生じてしまう。
【0033】
そこで、本発明では、ローラ本体として、赤外光により発生した熱エネルギーが、ヒートローラが1回転する前にヒートローラの外周面に到達する熱応答性の速いローラ本体を用いる。一例として、機械的強度及び熱伝導率の観点より、厚さが0.1〜0.3mmのアルミニウムの円筒体を用いることができ、厚さが0.03mm〜0.20mmのステンレスの円筒体を用いることができる。
【0034】
また、本発明では、ヒートローラの内周面で吸収された赤外光により発生する熱エネルギーがローラ本体の内周面から外周面まで移行する伝導時間を考慮して、ヒートローラの内周面に対する赤外光の照射分布を形成する。すなわち、ヒートローラが1回転する間に定着に寄与するのは、ニップを通過する期間だけである。この点を鑑み、本発明では、ヒートローラがニップを通過する期間中に熱エネルギーがヒートローラの外周面に集中的に供給されるように赤外光の照射分布を形成する。赤外光の照射分布として、ヒートローラが記録紙と接触して定着動作を行うニップ点を基準として、ヒートローラが1回転する期間を3つの区域に分ける。赤外光の照射分布の一例を図4に示す。図4において、ニップを基準にしてヒートローラの回転方向に沿って、比較的弱い赤外光が照射される第1の低光強度照射区域、強い光強度の赤外光が集中的に照射される高光強度照射区域、及び、比較的弱い赤外光が照射される第2の低光強度照射区域の3つの区域を設定する。従って、ヒートローラの内周面は、ニップを始点として、弱い赤外光が照射される第1の低光強度照射区域を通過し、高光強度照射区域に到達する。この高光強度照射区域を通過する間に、ヒートローラの内周面は、強い光強度の赤外光が集中的に照射される。その後、比較的弱い光強度の赤外光が照射される第2の低光強度照射区域を通過してニップに戻る。
【0035】
ヒートローラが第2の低光強度照射区域を通過する時間は、赤外光により発生した熱エネルギーがローラ本体の内周面側から外周面まで伝導する伝導時間にほぼ等しくなるように設定する。すなわち、ヒートローラが高光強度照射区域の中心点からニップに移動するまでに要する時間が、赤外線ランプから放出された赤外光がヒートローラの内周面で吸収されて熱エネルギーに変換され、発生した熱エネルギーがローラ本体の内部を伝導してヒートローラの外周面に到達する時間にほぼ等しくなるように設定する。このように設定すれば、赤外線ランプからヒートローラに向けて集中的に照射された光エネルギーが熱エネルギーに変換されてヒートローラの外周面に到達した時、ヒートローラは定着動作を行うニップに到達する。よって、赤外線ランプからヒートローラに集中的に供給されたエネルギーが熱エネルギーに変換されて外周面に到達する時刻を、ニップを通過する時刻にほぼ一致させることができる。この結果、高光強度照射区域において集中的に照射された赤外光により発生した熱エネルギーは、ニップを通過する際に定着作用に供給されることになる。
【0036】
さらに、高光強度照射区域において集中的に照射された赤外光により発生する熱エネルギーは、ヒートローラが第2の低光強度照射区域を通過する時間期間中にヒートローラの外周面に到達していないため、当該区域を通過する際、ヒートローラの外周面は比較的低い温度に維持され、ヒートローラの外周面から外部に放出される放熱量は低減される。また、ヒートローラが第1の低光強度照射区域を通過する時間期間中も、ヒートローラの内周面に入射する赤外光の光量は少ないため、比較的低い温度に維持され、ヒートローラの外周面から外部に放出される放熱量は低減される。この結果、ヒートローラが1回転する間にヒートローラの外周面から外部に放出される熱エネルギーが低減され、定着装置における消費電力量を一層低減することが可能になる。
【0037】
赤外線ランプから放出される赤外光について照射分布を形成する方法として、図4に示すように、赤外線ランプ(ハロゲンランプ)をヒートローラの中心軸線に対して、ヒートローラの円周方向及び半径方向に偏芯配置させる方法を採用する。赤外線ランプから放出された赤外光がヒートローラの内周面に入射する光量は、赤外線ランプからヒートローラの内周面までの距離の2乗に反比例する。従って、赤外線ランプを偏芯配置した場合、ヒートローラの内周面の赤外線ランプと近接する区域には、より強い赤外光が集中的に入射し、赤外線ランプから離れるにしたがって内周面に入射する赤外光の強度は低下する。すなわち、ヒートローラの内周面の赤外線ランプと最も近接する区域に最大強度の赤外光が入射し、ヒートローラの中心軸線をはさんで反対側の区域には最も弱い強度の赤外光が入射する。本発明では、赤外線ランプは、ニップ点に対してヒートローラの中心軸線をはさんで対向するように配置するため、図4に示すように、ヒートローラの回転方向に沿ってニップ点の両側に入射光量の少ない区域が設定される。
【0038】
次に、赤外線ランプの配置位置について説明する。ニップ点を基準にして、赤外線ランプの円周方向の配置位置について説明する。図4に示す実施例の設計条件として、アルミニウムのローラ本体の厚さを0.2mmとし、紙送り速度を120mm/秒とし、ヒートローラの直径を25mmとした。前述した厚さが0.8mmのアルミニウムのローラ本体の内側から赤外線ランプを用いて赤外光を照射した場合、熱エネルギーがヒートローラの外周面に到達までに1.2秒かかる実験結果に基づき、赤外線ランプの円周方向の偏芯角度を算出する。初めに、ヒートローラが1回転するのに要する時間は、25mm×π÷120mm/秒=0.63秒となる。熱エネルギーの伝導時間がローラ本体の厚さに線形に対応すると考えると、厚さ0.2mmのローラ本体を用いる場合、赤外線ランプから放出された赤外光がローラ本体により吸収されて熱エネルギーに変換され、発生した熱エネルギーがヒートローラの外周面に到達する時間は、1.2秒×(0.2mm/0.8mm)=0.3秒となる。この時間にヒートローラが回転する角度は、360°×(0.3/0.63)=171°となる。すなわち、ニップ点を基準として、ヒートローラの円周方向に沿って、その回転方向と反対の方向に171°移動した角度位置に赤外線ランプを配置する。この角度位置において、ローラ本体の中心から半径方向にそって赤外線ランプをローラ本体に近づくように偏芯配置すれば、高光強度照射区域を通過する間に吸収された赤外光が熱エネルギーに変換され、発生した熱エネルギーがヒートローラの外周面に到達した時、ヒートローラはニップに到達する。尚、赤外線ランプの中心軸線からローラ本体の内周面に向かう半径方向の変位量は、適宜設定され、一例として赤外線ランプの管壁とローラ本体の内周面との間に2mm程度の間隔が形成されるように設定することができる。
【0039】
アルミニウムのローラ本体の厚さを0.1mmとした場合、赤外線ランプから放出された赤外光がローラ本体により吸収されて熱エネルギーに変換され、発生した熱エネルギーがヒートローラの外周面に到達する時間は、1.2秒×(0.1mm/0.8mm)=0.15秒となる。この時間にヒートローラが回転する角度は、360°×(0.15/0.63)=86°となる。従って、厚さが0.1mmのアルミニウムのローラ本体を用いる場合、ニップ点を基準として、ヒートローラの円周方向に沿って、その回転方向と反対の方向に86°移動した角度位置又はその近傍に赤外線ランプを配置する。
【0040】
また、アルミニウムのローラ本体の厚さを0.3mmとした場合、赤外線ランプから放出された赤外光がローラ本体により吸収されて熱エネルギーに変換され、発生した熱エネルギーがヒートローラの外周面に到達する時間は、1.2秒×(0.3mm/0.8mm)=0.45秒となる。この時間にヒートローラが回転する角度は、360°×(0.45/0.63)=257°となる。従って、厚さが0.3mmのローラ本体を用いる場合、ニップ点を基準として、ヒートローラの円周方向に沿って、その回転方向と反対の方向に257°移動した角度位置又はその近傍に赤外線ランプを配置する。
【0041】
図5はヒートローラの円周方向位置と表面温度(外周面の温度)との関係を示すグラフである。厚さ0.2mmのローラ本体を用いる場合、ヒートローラが171°回転した後に熱エネルギーがヒートローラの外周面に到達する。ヒートローラは、ニップを通過する際に、記録紙と接触して熱交換が行われ、ヒートローラの表面温度は急速に低下する。ニップ点を通過すると、高光強度照射区域の端部の比較的強い赤外光による熱エネルギーがヒートローラ表面に到達するため、ヒートローラの表面温度は比較的短い期間中急速に昇温する。続いて、第2の低光強度照射区域の比較的弱い光強度の赤外光の照射による熱エネルギーがヒートローラの表面に到達し、ヒートローラの表面温度は緩やかに上昇する。続いて、赤外線ランプと接近する高光強度照射区域を通過し、この間に強い光強度の赤外光が集中的に照射される。しかし、集中的に照射された赤外光が熱エネルギーに変換されてヒートローラの表面まで到達するのは伝導時間経過した後であるため、ヒートローラの表面温度は緩やかに昇温するだけである。さらに、第2の低光強度照射区域を通過する。この期間中は、第1の低光強度照射区域において照射された弱い赤外光の照射による熱エネルギーがヒートローラの表面に到達するため、緩やかに昇温するだけである。続いて、ニップに近づくと、高光強度照射区域において集中的に照射された強い赤外光による熱エネルギーがヒートローラの表面に到達するため、ヒートローラの表面温度は急激に上昇する。そして、ニップの一端付近に到達すると最高温度となり、ニップを通過する間に熱交換によりヒートローラの表面温度は急激に低下する。このように、本発明によるヒートロール定着装置では、ヒートローラがニップ及びその近傍を通過する際、表面温度が急速に上昇し、それ以外の時間期間中は低い表面温度に維持される。この結果、ヒートローラから外部への放熱量は一層小さくなる。
【0042】
図5において、参考として、赤外線ランプをヒートローラの中心に配置した場合の昇温特性を破線で示す。赤外線ランプをヒートローラの中心に配置した場合、ヒートローラが1回転する間にローラ本体の内周面に均一な光強度の赤外光が照射されるため、ニップから次のニップに至る間ほぼ直線的に昇温する。よって、定着に寄与しない期間中にヒートローラの表面温度が高くなるため、放熱量が大きく、消費電力が大きくなる欠点がある。これに対して、本発明では、定着に寄与しない時間期間にヒートローラの表面は比較的低い温度に維持されるため、放熱量が少なく、消費電力が低減される利点が達成される。
【0043】
尚、高光強度照射区域の中心とニップの中心との間の時間間隔は、熱エネルギーの伝導時間に厳密に一致させる必要はなく、高光強度照射区域の中心において吸収された光エネルギーが熱エネルギーに変換されて、ニップの直前の位置にヒートローラの外周面に到達するように設定してもよい。
【0044】
次に、待機時からファーストコピーまでの時間、すなわちヒートローラの立ち上がり時間について説明する。ヒートロール定着装置が組み込まれている市販のプリンタ装置を用い、ヒートローラとして本発明によるヒートローラを用いた場合と市販の製品に搭載されているヒートローラを用いた場合との比較テストを行った。テスト条件は以下の通りである。
・紙送り速度:120mm
・ヒートローラの外形:25mm
・ローラ本体の厚さ:0.2mm
・ハロゲンランプの出力:750W
ハロゲンランプは、待機中オフし、コピー信号が入力した際点灯を開始する。そして、ヒートローラの表面温度が室温から160℃に立ち上がるまで、装置は静止状態に維持され、160℃に到達した際モータの回転に伴いヒートローラは回転し、2秒後に記録紙が定着装置に突入して定着が行われる。
【0045】
実験結果は、以下の通りである。室温から160℃までの昇温時間については、本発明によるヒートローラを用いた場合、6秒であった。これに対して、従来の市販のヒートローラ(ローラ本体の厚さは0.8mm)を用いた場合、16秒であった。この実験結果によれば、本発明のヒートロール定着装置では、待機時からファーストコピーまでの時間は、8秒であり、オンディマンドの要求に対応できる立ち上がり時間であった。これに対して、市販のヒートロール定着装置の場合、ファーストコピーまでの時間は、18秒である。このように、本発明によるヒートロール定着装置では、ファーストコピーまでの立ち上がり時間を大幅に短縮することが可能である。
【0046】
次に、本発明によるヒートロール定着装置に用いられるヒートローラのローラ本体の構造について説明する。本発明によるヒートロール定着装置では、ヒートローラのローラ本体の厚さは、吸収された赤外光により発生する熱エネルギーが、ヒートローラが1回転する前にヒートローラの表面に到達するように設定することが必須である。このためには、ローラ本体の材料としてアルミニウムが用いられる場合、ローラ本体は厚さが0.1mm〜0.3mm程度の薄い円筒体が用いられる。厚さが0.2mm程度の薄いアルミニウムの円筒体は、シート状部材で構成される円筒体とほぼ同様な機械的特性を有し、外形保持能力が低くローラとしての心円度が低下する欠点がある。また、半径方向に向く外部応力が作用した場合、容易に変形し易い欠点もある。従って、ローラ本体として、ローラの軸線方向の全長にわたって一様な薄い厚さの円筒体を用いたのでは、正常な動作を行うヒートローラが実現されない。
【0047】
本発明では、上記問題点を解決するため、ローラ本体を3つのローラ部分により構成する。すなわち、ローラ本体は、その軸線方向の中央に位置し、記録紙の幅にほぼ等しい長さを有する厚さの薄い第1のローラ部分と、第1のローラ部分の両端にそれぞれ形成され、厚い厚さを有し剛体として作用する第2及び第3のローラ部分とにより構成する。そして、厚さの厚い第2及び第3のローラ部分に軸受を配置してフレームに固定する。このように、厚さの薄い第1のローラ部分の両端に厚さが厚く剛体として作用するローラ部分を形成することにより、厚さの薄い第1のローラ部分に外部応力が作用しても、剛体として作用する両端の厚いローラ部分により規制されるため、外形保持性能が高くなり、心円度が低下する不具合が解消される。
【0048】
また、加圧ローラが圧着されることによりヒートローラの半径方向に向く外部応力に対処するため、本発明では、ローラ本体の内側にスパイラル状のコイルバネを配置する。コイルバネは、半径方向に向く外部応力に対して高い外形保持能力を有する。よって、変形し易い薄いローラ部分に外部応力が作用しても、コイルバネから弾性的な反発力が発生し、この反発力はローラ本体の変形を阻止するように作用する。従って、ローラ本体の内側にスパイラル状のコイルバネを配置することにより、外部応力に対して変形しにくいヒートローラが実現される。
【0049】
本発明によるヒートローラは、以下の3つの要件を組み合わすことにより実現される。
(I) 定着動作に寄与する中央に位置する第1のローラ部分の厚さは、吸収された赤外光により発生する熱エネルギーが、ヒートローラが1回転する前にヒートローラの表面に到達するように薄く設定する。
(II) 定着動作を行う第1のローラ部分の両端に、剛体として作用する厚さの厚いローラ部分を形成することにより、外形保持能力及び心円度を確保する。
(III)ローラ本体の内側にスパイラル状のコイルバネを配置して、半径方向に向く外部応力に対処する。
【0050】
図6は、上述した本発明の特徴を有するヒートローラの一例を示す図である。尚、図1〜図3で用いた構成要素と同一の構成要素には同一符号を付して説明する。ヒートローラ1は、外周面に離型層21が形成されているローラ本体20と、ローラ本体の内側に同軸状に配置したスパイラル状のコイルバネ24とを有する。ローラ本体20は、記録紙の幅にほぼ等しい幅を有する厚さの薄い第1のローラ部分20aと、第1のローラ部分20aの両端に形成した厚さの厚い第2及び第3のローラ部分20b及び20cを有する。本例では、ヒートローラの外径を25mmとし、第1のローラ部分の厚さを0.2mmとし、第2及び第3のローラ部分の厚さは0.8mmとする。
【0051】
本発明では、捩じり強度を確保するため、ローラ本体20の外径は、軸受やギャア等の駆動素子が装着される部位を除き、ローラ軸線の全長にわたってほぼ同一の直径に設定する。また、第1のローラ部分20aの内径をr1とし、第2及び第3のローラ部分20b及び20cの内径をr2とし、コイルバネ24の外径をr3とする。そして、パラメータr1〜r3は、r2<r3<r1となるように設定する。このように設定すれば、コイルバネ24の軸線方向の位置は厚さの厚い2つのローラ部分20b及び20cにより規定される。尚、ローラ本体の外周面は、例えば逆クラウン形状に形成することも可能である。この場合、ローラ本体の両端の厚さを0.3mmとし、中央部の厚さを0.2mmとする。
【0052】
本例では、コイルバネの外径は、ローラ本体の内径よりも小さくする。例えば、ローラ本体の内径に対して0.2mm程度小さい外径のコイルバネを用い、ローラ本体とコイルバネとの間に0.1mm程度のクリアランスを形成する。ローラ本体の内側にコイルバネを装着する際、クリアランスが無い場合、コイルバネのピッチが局所的に変化し、コイルバネが設計通りのピッチで配置されないおそれがある。コイルバネのピッチが局所的に変化すると、外部応力に対して局所的に弱い箇所が発生する不具合が生じてしまう。一方、ローラ本体とコイルバネとの間にクリアランスを形成すれば、コイルバネは、ローラ本体の内側に安定した状態に維持されるので、設計通りのピッチで配置される。尚、クリアランスを設けることにより、ヒートローラの外周面が変形する可能性があるが、その変形量は最大でも半径方向に0.2mm程度である。一方、0.2mm程度変形しても、ローラ本体自体弾性変形可能な範囲であるため、問題が生じることはない。また、コイルバネの各部分は、軸線方向及び円周方向に変位可能であると共に変位しても弾性的な復元力が作用するため、ローラ本体とコイルバネとの間に局所的な周速度差生じても、弾性的な復元力が作用するため、安定な状態に戻ることができ、安定な状態に維持される。さらに、コイルバネが軸線方向に変位しても、2つのローラ部分20b及び20cにより規制される。
【0053】
図7は本発明によるヒートロール定着装置の変形例を示す図である。本例では、加圧ローラの代りに、加圧ベルトを配置してニップを形成する。本例のヒートロール定着装置は、ヒートローラ40と、定着ローラの内側に配置した赤外線ランプ41と、ヒートローラ40に対して圧接配置した定着ベルト42とを有する。ヒートローラ40は、前述したヒートローラと同一構造のものを用いることができる。すなわち、定着ローラ40は、厚さが0.1〜0.3mmのアルミニウム円筒体又は厚さが0.03mm〜0.20mmのステンレスの円筒体からなるローラ本体40aと、その外周面に形成した離型層40bとを有する。赤外線ランプ41は、定着ローラの中心軸線に対して偏芯配置する。その配置位置は、定着ローラが赤外線ランプと近接する位置において、赤外線ランプから照射された赤外光がローラ本体により吸収され、熱エネルギーに変換され、発生した熱エネルギーが定着ローラ40の外周面に到達する際、定着ベルト42と接触するニップ期間を通過するように設定する。本例では、ローラ本体を厚さが0.1mmのアルミニウムの円筒体で構成し、ニップの中心点(ニップ点)から定着ローラの回転方向と反対の方向に86°変位した位置に偏芯配置する。
【0054】
定着ベルト42は、駆動ローラ43と、従動ローラ44と、テンションローラ45との間に張架される。駆動ローラ43の回転駆動により、加圧ベルト42が走行すると共に、加圧ベルト42の走行に伴いヒートローラ40も同期して回転する。定着ベルト42は、耐熱性を有する樹脂材料、例えばポリイミドフィルムで構成する。或いは、内部にヒータが内蔵された加圧ベルトを用いることもできる。
【0055】
ヒートローラ40に対して圧接配置した加圧ベルトを用いる場合、相当幅の広いニップを形成することができるので、ヒートローラと加圧ベルトとの間の圧着力を相当弱くすることができる。この結果、ベンディング量が小さくなるため、薄肉のローラ本体を有するヒートローラを用いる定着装置に好適である。
【符号の説明】
【0056】
1 ヒートローラ
2 加圧ローラ
3 ハロゲンランプ
11a,11b 軸受
12 ギィア
13a,13b 軸受
14a,14b 圧着スプリング
15 記録紙
20 ローラ本体
21 離型層
24 コイルバネ
30 反射鏡
40 ヒートローラ
41 赤外線ランプ
42 加圧ベルト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に離型層が形成されているヒートローラと、ヒートローラに対して圧接配置された加圧ローラ又は加圧ベルトと、前記ヒートローラの内側に配置され、ヒートローラの内周面に向けて赤外光を照射する赤外線ランプと、前記ヒートローラを回転駆動する駆動手段とを具える定着装置において、
前記ヒートローラは、中空円筒状のローラ本体と、ローラ本体の外周面に形成した離型層と、ローラ本体の内側に同軸状に配置したスパイラル状のコイルバネとを有し、
前記ローラ本体の厚さは、赤外線ランプから放出された赤外光がローラ本体により吸収されて熱エネルギーに変換され、生成された熱エネルギーが、ヒートローラが1回転する時間期間内にヒートローラの外周面に到達するように設定され、
動作中、回転するヒートローラは、定着動作を行うニップ点を始点として1回転する間に、回転方向に沿って、低い光強度の赤外光が照射される第1の低光強度照射区域、第1の低光強度照射区域において照射される赤外光の強度よりも高い光強度の赤外光が集中的に照射される高光強度照射区域、及び、高光強度照射区域において照射される赤外光の強度よりも低い強度の赤外光が照射される第2の低光強度照射区域を順次経てニップ点に戻ることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の定着装置において、前記ヒートローラが高光強度照射区域から第2の低光強度照射区域を経て前記ニップ点まで移動する時間は、前記赤外線ランプから放出された赤外光が前記ローラ本体に吸収されて熱エネルギーに変換され、発生した熱エネルギーがヒートローラの外周面まで伝導する時間にほぼ等しくなるように設定したことを特徴とする定着装置。
【請求項3】
請求項2に記載の定着装置において、前記赤外線ランプは、ローラ本体の中心軸線に対して偏芯配置され、ローラ本体の中心軸線と赤外線ランプの中心軸線とを結ぶ線分と、ローラ本体の中心軸線とニップとを結ぶ線分とのなす角度範囲をヒートローラが通過する時間は、前記赤外線ランプから放出された赤外光がローラ本体により吸収されて熱エネルギーに変換され、発生した熱エネルギーがヒートローラの外周面に到達する時間にほぼ等しくなるように設定したことを特徴とする定着装置。
【請求項4】
外周面に離型層が形成されているヒートローラと、ヒートローラに対して圧接配置された加圧ローラ又は加圧ベルトと、前記ヒートローラの内側に配置され、ヒートローラの内周面に向けて赤外光を照射する赤外線ランプと、前記ヒートローラを回転駆動する駆動手段とを具える定着装置において、
前記ヒートローラは、中空円筒状のローラ本体と、ローラ本体の外周面に形成した離型層と、ローラ本体の内側に同軸状に配置したスパイラル状のコイルバネとを有し、
前記ローラ本体は、その軸線方向の中央に位置し、記録紙の幅を超える長さを有する厚さの薄い第1のローラ部分と、第1のローラ部分の両端にそれぞれ形成され、第1のローラ部分の厚さよりも厚い厚さを有する第2及び第3のローラ部分とを有し、第1のローラ部分の厚さは、赤外線ランプから放出された赤外光がローラ本体により吸収されて熱エネルギーに変換され、生成された熱エネルギーが、ヒートローラが1回転する時間期間内にヒートローラの外周面に到達するように設定され、
第1のローラ部分の内径をr1とし、第2及び第3のローラ部分の内径をr2とし、前記コイルバネの外径をr3とした場合に、r2<r3<r1となるように設定され、
動作中、回転するヒートローラは、定着動作を行うニップ点を始点として1回転する間に、回転方向に沿って、低い光強度の赤外光が照射される第1の低光強度照射区域、第1の低光強度照射区域において照射される赤外光の強度よりも高い光強度の赤外光が集中的に照射される高光強度照射区域、及び、高光強度照射区域において照射される赤外光の強度よりも低い強度の赤外光が照射される第2の低光強度照射区域を順次経てニップ点に戻ることを特徴とする定着装置。
【請求項5】
請求項4に記載の定着装置において、前記ヒートローラが高光強度照射区域から第2の低光強度照射区域を経て前記ニップ点まで移動する時間は、前記赤外線ランプから放出された赤外光が前記ローラ本体に吸収されて熱エネルギーに変換され、発生した熱エネルギーがヒートローラの外周面まで伝導する時間にほぼ等しくなるように設定されていることを特徴とする定着装置。
【請求項6】
請求項5に記載の定着装置において、前記第1〜第3のローラ部分の外径は、駆動素子が装着される部位を除き、ほぼ等しい直径に設定されていることを特徴とする定着装置。
【請求項7】
請求項5に記載の定着装置において、前記第1のローラ部分の内周面と前記コイルバネとの間にクリアランスが形成されていることを特徴とする定着装置。
【請求項8】
請求項5に記載の定着装置において、前記ローラ本体はアルミニウムの中空円筒体により構成され、前記第1のローラ部分の厚さは、0.1mm〜0.3mmに設定され、前記第2及び第3のローラ部分は薄い厚さの第1のローラ部分に対して剛体として作用することを特徴とする定着装置。
【請求項9】
請求項5に記載の定着装置において、前記加圧ローラは、ローラ本体と、その外周面に形成した弾性ゴム層とを有し、弾性ゴム層の軸線方向の両端は、前記ローラ本体の第2及び第3のローラ部分上に位置することを特徴とする定着装置。
【請求項10】
請求項9に記載の定着装置において、前記加圧ローラの弾性ゴム層は、多数の空孔を有するウレタンスポンジの隔壁の表面がシリコンゴムの皮膜により被覆された二重構造の弾性ゴム材料により構成されていることを特徴とする定着装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の定着装置において、前記加圧ローラの弾性ゴム層の外周には、フッ素樹脂チューブが装着されていることを特徴とする定着装置。
【請求項12】
請求項5に記載の定着装置において、前記ヒートローラの離型層として、ローラ本体の外周面にフッ素樹脂層が形成されていることを特徴とする定着装置。
【請求項13】
請求項5に記載の定着装置において、前記離型層は、弾性変形可能なゴム層と、フッ素樹脂チューブとにより構成されることを特徴とする定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−169930(P2011−169930A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30862(P2010−30862)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(591221167)ミツマ技研株式会社 (17)
【Fターム(参考)】