定着装置
【課題】ニップ部材を効率良く加熱することができる定着装置を提供することを目的とする。
【解決手段】定着装置100は、記録シート(用紙S)上に現像剤像を熱定着するための装置であって、可撓性を有する筒状部材(定着ベルト110)と、筒状部材の内周面に摺接するニップ部材(ニップ板130)と、筒状部材の内側に配置され、ニップ部材を加熱する加熱体(ハロゲンランプ120)と、ニップ部材との間で筒状部材を挟むバックアップ部材(加圧ローラ140)と、ニップ部材の記録シート搬送方向の少なくとも一方側に配置され、筒状部材の内周面をガイドするガイド面311,321を有するガイド部材(ニップ上流ガイド310およびニップ下流ガイド320)を備える。そして、ガイド部材は、ニップ部材の少なくとも画像形成範囲の部分に対して非接触となる部分を有する。
【解決手段】定着装置100は、記録シート(用紙S)上に現像剤像を熱定着するための装置であって、可撓性を有する筒状部材(定着ベルト110)と、筒状部材の内周面に摺接するニップ部材(ニップ板130)と、筒状部材の内側に配置され、ニップ部材を加熱する加熱体(ハロゲンランプ120)と、ニップ部材との間で筒状部材を挟むバックアップ部材(加圧ローラ140)と、ニップ部材の記録シート搬送方向の少なくとも一方側に配置され、筒状部材の内周面をガイドするガイド面311,321を有するガイド部材(ニップ上流ガイド310およびニップ下流ガイド320)を備える。そして、ガイド部材は、ニップ部材の少なくとも画像形成範囲の部分に対して非接触となる部分を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録シート上にトナー像を熱定着させる定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、定着装置として、筒状の加熱フィルムと、加熱フィルムの内周面に摺接する金属板と、金属板との間で加熱フィルムを挟むことによりニップを形成する加圧ローラと、加熱フィルムの内側に配置されるハロゲンヒータと、加熱フィルムの内周面をガイドする円筒状のフィルムガイドとを備えるものが知られている(特許文献1参照)。そして、この技術では、フィルムガイドがの下部に開口部が形成されており、この開口部と対向するように金属板の搬送方向両端のすべてがフィルムガイドに保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-233886号公報(段落0051、図3,4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した技術では、金属板の搬送方向両端のすべてをフィルムガイドで支持することによって、金属板(特に画像形成範囲)の熱がフィルムガイド及びフィルムガイドと摺接するフィルムを介して外部に逃げてしまうので、ニップ部を効率良く加熱することができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、ニップ板(ニップ部材)を効率良く加熱することができる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る定着装置は、記録シート上に現像剤像を熱定着するための装置であって、可撓性を有する筒状部材と、前記筒状部材の内周面に摺接するニップ部材と、前記筒状部材の内側に配置され、前記ニップ部材を加熱する加熱体と、前記ニップ部材との間で前記筒状部材を挟むバックアップ部材と、前記ニップ部材の前記記録シート搬送方向の少なくとも一方側に配置され、前記筒状部材の内周面をガイドするガイド面を有するガイド部材と、を備える。
そして、前記ガイド部材は、前記ニップ部材の少なくとも画像形成範囲の部分に対して非接触となる部分を有する。
【0007】
本発明によれば、ガイド部材がニップ部材の画像形成範囲に対して非接触となる部分を有するので、ニップ部材の画像形成範囲内の熱をガイド部材で奪うのを抑えて、ニップ部材を効率良く加熱することができる。
【0008】
また、本発明において、前記ガイド部材は、前記ニップ部材に対して非接触となるように構成されるのが望ましい。
【0009】
これによれば、ニップ部材の熱をガイド部材で奪うのを防止することができ、熱定着性能をより向上させることができる。
【0010】
また、本発明において、前記ガイド面よりも前記ニップ部材側に、前記ガイド面よりも前記ニップ部材と前記バックアップ部材とが対向する方向における前記加熱体側に凹んだ段差部を、前記記録シートの幅方向の少なくとも一部に形成するのが望ましい。
【0011】
これによれば、ガイド面よりもニップ部材側の部位の少なくとも一部を筒状部材から確実に離すことができるので、当該部位と筒状部材との摺動抵抗を減らすことができ、筒状部材をスムーズに回転させることができる。
【0012】
また、本発明において、前記段差部は、前記幅方向全体にわたって形成されるのが望ましい。
【0013】
これによれば、筒状部材をよりスムーズに回転させることができる。
【0014】
また、本発明において、前記ガイド面は、前記ニップ部材の前記記録シート搬送方向の両側に設けるのが望ましい。
【0015】
これによれば、ニップ部材の記録シート搬送方向の両端のエッジによって、筒状部材を傷付けるのを抑えることができる。
【0016】
また、本発明において、前記加熱体を囲んだ状態で前記ニップ部材を支持するステイと、前記筒状部材の内側に配置され、前記ステイを前記加熱体とは反対側から覆うカバー部材と、を備える場合には、前記ガイド部材を前記カバー部材に一体に形成するのが望ましい。
【0017】
これによれば、ガイド部材とカバー部材を別体に構成する構造に比べ、部品点数を削減することができる。
【0018】
また、本発明において、前記加熱体を囲むように配置され、当該加熱体からの輻射熱を前記ニップ部材に向けて反射する反射部材を備える場合には、前記ガイド部材は、前記反射部材の少なくとも画像形成範囲の部分に対して非接触となる部分を有するのが望ましい。
【0019】
これによれば、ガイド部材が反射部材の画像形成範囲に対して非接触となる部分を有するので、反射部材の画像形成範囲内の熱をガイド部材で奪うのを抑えて、ニップ部材の画像形成範囲から反射部材の画像形成範囲に熱が逃げるのを抑えることができる。
【0020】
また、本発明において、前記ガイド部材は、前記反射部材に対して非接触となるように構成されているのが望ましい。
【0021】
これによれば、反射部材の熱をガイド部材で奪うのをより抑えることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ガイド部材がニップ部材の画像形成範囲に対して非接触となる部分を有するので、ニップ部材を効率良く加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の定着装置を備えたレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】定着装置のサーモスタット付近の断面図である。
【図3】ニップ板、ハロゲンランプ、反射部材、ステイ、第1カバー部材、サーモスタット、サーミスタおよび第2カバー部材の斜視図である。
【図4】定着装置の左右方向における中央に配置されたサーミスタ付近の拡大断面図である。
【図5】ケーブルの配置を示す斜視図である。
【図6】前側から見たカバー部材の斜視図である。
【図7】ステイ、第1カバー部材および第2カバー部材を下側から見た斜視図である。
【図8】ステイに第1カバー部材および第2カバー部材を組み付けたものを下側から見た斜視図である。
【図9】図8の構造体にニップ板を組み付けたものを下側から見た斜視図である。
【図10】図9の構造体を後側から見た背面図である。
【図11】図10のI−I断面図(a)と、II−II断面図(b)と、III−III断面図(c)と、IV−IV断面図(d)である。
【図12】図10のV−V断面図(a)と、VI−VI断面図(b)と、VII−VII断面図(c)である。
【図13】右側固定部付近の断面図(a)と、左側固定部付近の断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、本発明の実施形態に係る定着装置100を備えたレーザプリンタ1(画像形成装置)の概略構成を簡単に説明した後、定着装置100の詳細な構成について説明する。
【0025】
また、以下の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0026】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、記録シートの一例としての用紙Sを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙S上に現像剤像の一例としてのトナー像を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙S上に転写されたトナー像を熱定着する定着装置100とを主に備えている。
【0027】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、給紙トレイ31と、用紙押圧板32と、給紙機構33とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、用紙押圧板32によって上方に寄せられ、給紙機構33によってプロセスカートリッジ5(感光体ドラム61と転写ローラ63との間)に向けて供給される。
【0028】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に配置され、図示しないレーザ発光部や、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。この露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、感光体ドラム61の表面で高速走査されることで、感光体ドラム61の表面を露光する。
【0029】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像ユニット7とから構成されている。
【0030】
ドラムユニット6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。また、現像ユニット7は、ドラムユニット6に対して着脱可能に装着される構成となっており、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナー(現像剤)を収容するトナー収容部74とを主に備えている。
【0031】
このプロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部74内のトナーは、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
【0032】
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Sが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙S上に転写される。
【0033】
定着装置100は、プロセスカートリッジ5の後方に設けられている。用紙S上に転写されたトナー像は、定着装置100を通過することで用紙S上に熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Sは、搬送ローラ23,24によって排紙トレイ22上に排出される。
【0034】
<定着装置の詳細構成>
図2に示すように、定着装置100は、筒状部材の一例としての定着ベルト110と、加熱体の一例としてのハロゲンランプ120と、ニップ部材の一例としてのニップ板130と、バックアップ部材の一例としての加圧ローラ140と、反射部材150と、ステイ160と、サーモスタット170および2つのサーミスタ180(図3,4参照)と、ケーブルC1,C2(図5参照)と、カバー部材200とを主に備えている。
【0035】
定着ベルト110は、耐熱性と可撓性を有する無端状(筒状)のベルトであり、カバー部材200に形成された後述するガイド部(ニップ上流ガイド310、ニップ下流ガイド320、上部ガイド330および前部ガイド340)により回転が案内されている。本実施形態において、定着ベルト110は、金属製であり、例えば、ステンレス鋼やニッケルなどから形成されている。
【0036】
ハロゲンランプ120は、輻射熱を発してニップ板130および定着ベルト110(ニップ部N)を加熱することで用紙S上のトナーを加熱する部材であり、定着ベルト110の内側において定着ベルト110およびニップ板130の内面から所定の間隔をあけて配置されている。
【0037】
このハロゲンランプ120は、図3に示すように、細長い円筒状のガラス管121内に、図示しないフィラメントを配置し、ガラス管121の長手方向両端部を閉じてその内部にハロゲン元素を含む不活性ガスを封入することにより形成されている。このハロゲンランプ120の長手方向両端には、ガラス管121内のフィラメントの端部と電気的に接続された一対の電極122が設けられている。
【0038】
図2に戻り、ニップ板130は、ハロゲンランプ120からの輻射熱を受ける板状の部材であり、その下面が定着ベルト110の内周面に摺接するように配置されている。本実施形態において、ニップ板130は、金属製であり、例えば、後述するスチール製のステイ160より熱伝導率が大きい、アルミニウム板などを折り曲げることで形成されている。
【0039】
図3に示すように、ニップ板130は、ベース部131と、第1延出部132と、第2延出部133とを主に有している。
ベース部131は、定着ベルト110の内周面と摺接する部分であり、ハロゲンランプ120からの熱を定着ベルト110を介して用紙S上のトナーに伝達する。
【0040】
第1延出部132および第2延出部133は、平板状をなしており、ベース部131の後端から後方に向けて突出するように形成されている。言い換えると、第1延出部132および第2延出部133は、ニップ部Nよりも用紙Sの搬送方向下流側に延びるように形成されている。
【0041】
第1延出部132は、ベース部131後端の左右方向における中央付近に1つ形成されており、その上面にサーモスタット170が対面して配置される。また、第2延出部133は、ベース部131後端の左右方向における中央付近と右端付近にそれぞれ1つずつ形成されており、それぞれの上面にサーミスタ180が対面して配置される。
【0042】
図2に示すように、加圧ローラ140は、ニップ板130との間で定着ベルト110を挟むことで定着ベルト110との間にニップ部Nを形成する部材であり、ニップ板130の下方に配置されている。本実施形態においては、ニップ部Nを形成するために、ニップ板130および加圧ローラ140の一方を他方に向けて付勢している。
【0043】
加圧ローラ140は、本体筐体2内に設けられた図示しないモータから駆動力が伝達されて回転駆動するように構成されており、回転駆動することで定着ベルト110(または用紙S)との摩擦力により定着ベルト110を従動回転させる。トナー像が転写された用紙Sは、加圧ローラ140と加熱された定着ベルト110の間(ニップ部N)を搬送されることでトナー像が熱定着されることとなる。
【0044】
反射部材150は、ハロゲンランプ120からの輻射熱をニップ板130に向けて反射する部材であり、定着ベルト110の内側でハロゲンランプ120を取り囲む(覆う)ように、ハロゲンランプ120から所定の間隔をあけて配置されている。具体的に、反射部材150は、ハロゲンランプ120とステイ160との間に配置されている。このように反射部材150を設けることにより、ニップ板130を効率良く加熱することが可能となっている。
【0045】
この反射部材150は、赤外線および遠赤外線の反射率が大きい、例えば、アルミニウム板などを断面視略U形状に湾曲させて形成されている。より詳細に、反射部材150は、湾曲形状をなす反射部151と、反射部151の前後方向における両端部から前後方向外側に向けて延びるフランジ部152とを主に有している。
【0046】
ステイ160は、ニップ板130(ベース部131)の前後の端部を反射部材150(フランジ部152)を介して支持することで加圧ローラ140からの荷重を受ける部材であり、定着ベルト110の内側でハロゲンランプ120および反射部材150を覆うように配置されている。なお、ここでいう荷重は、ニップ板130が加圧ローラ140を付勢する構成においては、ニップ板130が加圧ローラ140を付勢する力の反力をいうものとする。
【0047】
このようなステイ160は、比較的剛性が高い、例えば、鋼板などを反射部材150(反射部151)の外面形状に沿った断面視略U形状に折り曲げることで形成されている。なお、金属製のステイ160と反射部材150のうちニップ板130との接触部分を、部分的に歯抜け構造とすることで、ニップ板130との接触面積が低下する。これによって、剛性と加熱効率を向上させることが可能となっている。
【0048】
図3に示すように、ステイ160は、上壁部163と、上壁部163の前端から下方に延びる前壁部164と、上壁部163の後端から下方に延びる後壁部165とによって断面視略U字状に形成されている。そして、上壁部163の右側には、右側固定部161が設けられ、左側には、左側固定部162が設けられている。右側固定部161および左側固定部162は、いずれも上壁部163から後方に向けて延びるように形成されており、それぞれ貫通したネジ穴(符号省略)が設けられている。
【0049】
図2に示すように、サーモスタット170は、図示しないバイメタルなどを有し、所定の温度を検出したときに通電を遮断するように構成された部材であり、定着ベルト110の内側で、反射部材150およびステイ160を挟んでハロゲンランプ120とは反対側(ステイ160の外側)に配置されている。
【0050】
さらに述べると、サーモスタット170は、温度検知面である下面が、第1延出部132の上面(加圧ローラ140側とは反対側の面)に対向して配置されている。第1延出部132は、加圧ローラ140との間で定着ベルト110(および用紙S)を挟むベース部131から直接延びる部分なので、この第1延出部132にサーモスタット170を対向して配置することで、ニップ部N付近の温度を精度良く検出することができる。
【0051】
また、サーモスタット170は、左右の両端面に、左右方向外側に向けて突出する板状の電極171を有している(図3も参照)。
【0052】
図4に示すように、サーミスタ180は、ニップ板130の温度を検出する温度センサであり、定着ベルト110の内側で、反射部材150およびステイ160を挟んでハロゲンランプ120とは反対側に配置されている。
【0053】
さらに述べると、サーミスタ180は、温度検知面である下面が、第2延出部133の上面に対向して配置されている。第2延出部133も、ベース部131から直接延びる部分なので、この第2延出部133にサーミスタ180を対向して配置することで、ニップ部N付近の温度を精度良く検出することができる。
【0054】
図2,4に示すように、サーモスタット170およびサーミスタ180は、それぞれ、コイルバネ191,192によりニップ板130の第1延出部132または第2延出部133に向けて付勢されている。これにより、検出対象であるニップ板130との位置関係が安定するので、温度をより精度良く検出することができる。
【0055】
図5に太い実線で示すケーブルC1は、ハロゲンランプ120に電力を供給する導線であり、定着ベルト110の内側でステイ160を挟んでハロゲンランプ120とは反対側に配置されている(図4参照)。このケーブルC1は、ハロゲンランプ120およびサーモスタット170に接続されている。
【0056】
より詳細に、ケーブルC1は、ハロゲンランプ120の右側の電極122に接続された導線C11と、ハロゲンランプ120の左側の電極122に直接または間接的に接続された導線C12,C13とから構成されている。
【0057】
導線C12は、ハロゲンランプ120の左側の電極122から後述する第1カバー部材210の上壁213上を通って右に延び、第1カバー部材210の左右方向における中央付近で後側壁211に沿って下方に延びた後、サーモスタット170の左側の電極171に接続されている。また、サーモスタット170の右側の電極171に接続された導線C13は、後側壁211に沿って上方に延び、第1カバー部材210の上壁213上を通って右に延びた後、導線C11とともに、定着ベルト110の右端部から引き出されている。
【0058】
定着ベルト110の右端部から引き出されたケーブルC1の端部は、本体筐体2内に設けられた図示しない電源基板に接続される。これにより、ハロゲンランプ120への電力供給が可能となっている。なお、ケーブルC1の途中にサーモスタット170が接続されていることで、ニップ板130が過熱した場合には、サーモスタット170が通電を遮断するので、ハロゲンランプ120への通電を速やかに遮断することができるようになっている。
【0059】
図5に太い破線で示すケーブルC2は、サーミスタ180に接続された導線であり、ケーブルC1と同様に、定着ベルト110の内側でステイ160を挟んでハロゲンランプ120とは反対側に配置されている(図4参照)。
【0060】
より詳細に、ケーブルC2は、サーミスタ180の筐体内に配置されている図示しないサーミスタ素子に接続され、サーミスタ180の筐体の左端面から引き出されている。サーミスタ180から延びるケーブルC2は、上方に延びた後、後述する第2カバー部材220の後壁222に沿って左に延び、定着ベルト110の左端部から引き出されている。
【0061】
定着ベルト110の左端部から引き出されたケーブルC2の端部は、本体筐体2内に設けられた図示しない制御基板に接続される。サーミスタ180の検出結果は、制御基板に出力され、ハロゲンランプ120の制御に利用される。
【0062】
カバー部材200は、サーモスタット170、サーミスタ180およびケーブルC1,C2を支持する部材であり、定着ベルト110の内側においてステイ160を覆うように配置されている。このカバー部材200は、第1カバー部材210と、第2カバー部材220とを主に備えて構成されている。
【0063】
第1カバー部材210は、断面視略U形状をなして左右方向に長く延びるように形成されており、ステイ160を挟んでハロゲンランプ120とは反対側でステイ160を覆うように配置されている(図2,4も参照)。この第1カバー部材210は、定着ベルト110の軸方向における一端から他端、具体的には、右端から左端にわたって、サーモスタット170、サーミスタ180およびケーブルC1を支持している。
【0064】
本実施形態において、第1カバー部材210は、液晶ポリマーやPEEK樹脂、PPS樹脂などの樹脂で形成されている。この第1カバー部材210の後側壁211は、サーモスタット170の電極171と、導電性を有する反射部材150やステイ160との間に位置し、電極171と反射部材150やステイ160との絶縁を確保している。
【0065】
図3に示すように、第1カバー部材210は、後側壁211と、前側壁212と、後側壁211および前側壁212の上端同士を連結するように延びる上壁213と、後側壁211の下端から後方に向けて延びる延出壁214とを主に有している。また、第1カバー部材210には、第1位置決め部231と、2つの第2位置決め部232と、固定部233と、切欠部234と、リブ235,236とが主に形成されている。
【0066】
第1位置決め部231は、サーモスタット170を位置決めする部分であり、後側壁211の左右方向における中央付近に設けられた凹部211Aと、延出壁214から立設して凹部211Aに対面するように設けられた平面視略U形状の立設壁215とによって構成されている。サーモスタット170は、この第1位置決め部231に配置されることで、前後方向および左右方向に位置決めされる(図5参照)。
【0067】
第2位置決め部232は、サーミスタ180を位置決めする部分であり、延出壁214の左右方向における中央付近と右端付近に設けられた立設壁216と、この立設壁216に対面する後側壁211とによって構成されている。第2位置決め部232を構成する後側壁211の左右方向における中央部分には、サーミスタ180の前方に向けて凸となる部分が嵌合する開口217が形成されている。サーミスタ180は、この第2位置決め部232に配置されることで、前後方向および左右方向に位置決めされる(図5参照)。
【0068】
なお、開口217は、後側壁211から延出壁214にわたって形成されているため、この開口217を介して、サーミスタ180がニップ板130に臨めるようになっている。また、第1位置決め部231の底壁(延出壁214)には、サーモスタット170をニップ板130に臨ませるための孔(符号省略)が設けられている。
【0069】
固定部233は、第1カバー部材210をステイ160の右側固定部161に固定するための部分であり、第1カバー部材210の右側で右側固定部161に対応して設けられている。この固定部233には、右側固定部161のネジ穴に対応した平面視略円形の貫通孔(符号省略)が設けられている。
【0070】
切欠部234は、第1カバー部材210の左側において、上壁213、後側壁211および延出壁214にわたって設けられている。図5に示すように、第1カバー部材210とステイ160を組みつけたとき、切欠部234からはステイ160の左側固定部162が露出するようになっている。この切欠部234は、左右方向の幅が、露出する左側固定部162の左右方向の長さよりも大きくなっている。
【0071】
リブ235,236は、上壁213から突出し、左右方向に沿って、より詳細には、上壁213上を通るケーブルC1の経路に沿って断続的に設けられている。リブ235とリブ236とは、前後方向に対向するように並んで設けられており、ケーブルC1は、リブ235,236に挟まれるように配置されている。これにより、上壁213におけるケーブルC1の前後方向へのずれを抑制することができるようになっている。
【0072】
なお、図2に示すように、本実施形態において、第1カバー部材210の延出壁214および立設壁215は、サーモスタット170を基準としてハロゲンランプ120が配置された前側とは反対側の後側であって、サーモスタット170の一部と定着ベルト110との間に位置する「介在部」となっている。このような介在部としての延出壁214および立設壁215により、定着ベルト110とサーモスタット170との接触が抑制されている。
【0073】
また、図4に示すように、第1カバー部材210の延出壁214および立設壁216は、サーミスタ180を基準としてハロゲンランプ120が配置された前側とは反対側の後側であって、サーミスタ180の一部と定着ベルト110との間に位置する「介在部」となっている。このような介在部としての延出壁214および立設壁216により、定着ベルト110と、サーミスタ180との接触が抑制されている。
【0074】
図2に示すように、第2カバー部材220は、断面視略L形状をなして左右方向に長く延びるように形成されており、第1カバー部材210の後側壁211と上壁213の一部を挟んでステイ160とは反対側に配置されている。言い換えると、第2カバー部材220は、第1カバー部材210の一部をステイ160とは反対側から覆っている。この第2カバー部材220は、ケーブルC2を支持している。
【0075】
本実施形態においては、第2カバー部材220も、液晶ポリマーやPEEK樹脂、PPS樹脂などの樹脂で形成されている。
【0076】
第2カバー部材220と第1カバー部材210とは、互いの一部同士を重ね合わせるようにして組み立てられるように構成されている。第1カバー部材210に第2カバー部材220を重ね合わせるように組み付けると、ケーブルC1は、図4に示すように、上下方向における、第1カバー部材210の上壁213と第2カバー部材220の上壁221が重なり合った部分において、第1カバー部材210と第2カバー部材220との間に配置されることとなる。
【0077】
同様に、サーモスタット170やサーミスタ180は、図2,4に示すように、上下方向における、第1カバー部材210の延出壁214と第2カバー部材220の上壁221が重なり合った部分において、第1カバー部材210と第2カバー部材220との間に配置されることとなる。
【0078】
第2カバー部材220は、上壁221と、上壁221の後端から下方に向けて延びる後壁222と、後壁222の下端から後方に向けて延びる延出壁223とを主に有している。また、図3に示すように、第2カバー部材220には、第1支持部241と、2つの第2支持部242(図4参照(1つのみ図示))と、円穴243と、長穴244と、リブ245,246とが主に形成されている。
【0079】
図2に示すように、第1支持部241は、コイルバネ191を支持する部分であり、上壁221の左右方向における中央付近(すなわち、第1カバー部材210の第1位置決め部231に対応する部分)から下方に向けて突出して設けられている。コイルバネ191は、第1支持部241に係合することで、カバー部材200に支持される。
【0080】
図4に示すように、第2支持部242は、コイルバネ192を支持する部分であり、上壁221の左右方向における中央付近と右端付近(すなわち、第1カバー部材210の第2位置決め部232に対応する部分)から下方に向けて突出して設けられている。コイルバネ192は、第2支持部242に係合することで、カバー部材200に支持される。
【0081】
図3に示すように、円穴243は、上壁221の右側でステイ160の右側固定部161のネジ穴に対応して設けられた平面視略円形状の貫通孔であり、長穴244は、上壁221の左側でステイ160の左側固定部162のネジ穴に対応して設けられた左右方向に長い平面視略長円形状の貫通孔である。
【0082】
リブ245,246は、延出壁223から突出し、ケーブルC2の経路に沿って断続的に設けられている。より詳細に、リブ245は、延出壁223と後壁222をつなぐようにこれらの隅部に設けられ、リブ246は、延出壁223の後端から立設している。リブ245とリブ246とは、前後方向において対向しており、図5に示すように、サーミスタ180から延びるケーブルC2は、延出壁223の上でリブ245,246に挟まれるように配置されている。このような構成により、ケーブルC2の延出壁223からの脱落を抑制することができるようになっている。
【0083】
なお、図4に示すように、本実施形態において、第2カバー部材220の上壁221は、ケーブルC1を基準としてハロゲンランプ120が配置された下側とは反対側の上側であって、ケーブルC1と定着ベルト110との間に位置する「介在部」となっている。さらに述べると、上壁221は、ケーブルC1の上壁213上に配置された部分全体を覆うように、ケーブルC1と定着ベルト110との間に設けられている。このような介在部としての上壁221により、定着ベルト110とケーブルC1との接触が防止されている。
【0084】
また、第2カバー部材220のリブ246は、ケーブルC2を基準としてハロゲンランプ120が配置された前側とは反対側の後側であって、ケーブルC2と定着ベルト110との間に位置する「介在部」となっている。このような介在部としてのリブ246により、定着ベルト110とケーブルC2との接触が抑制されている。
【0085】
ちなみに、第1カバー部材210に設けられた介在部(延出壁214および立設壁215,216)と、第2カバー部材220に設けられた介在部(上壁221およびリブ246)は、いずれも樹脂(絶縁性の材料)から形成されているため、この介在部により定着ベルト110とケーブルC1などの電気部品との接触が抑制されることで、定着ベルト110と電気部品との絶縁を確保することもできるようになっている。
【0086】
図4に示すように、カバー部材200には、回転する定着ベルト110の内周面と摺接して定着ベルト110の内周面をガイドするガイド部が形成されている。具体的に、カバー部材200は、ガイド部として、ガイド部材の一例としてのニップ上流ガイド310およびニップ下流ガイド320と、上部ガイド330と、前部ガイド340とを有している。
【0087】
ニップ上流ガイド310は、ニップ板130と加圧ローラ140の間に向けて定着ベルト110を案内するガイドであり、第1カバー部材210の前側壁212の下端部に形成されている。より詳細に、ニップ上流ガイド310は、定着ベルト110の回転方向(図4の時計回り方向)におけるニップ板130の上流側端部130Fのすぐ上流側(用紙Sの搬送方向の一方側)に配置され、定着ベルト110の内周面に向けて凸となる断面を有する曲面形状をなしている。すなわち、ニップ上流ガイド310は、定着ベルト110の内周面をガイドする曲面状のガイド面311を有している。
【0088】
このニップ上流ガイド310は、図6に示すように、定着ベルト110の軸方向(左右方向)のほぼ全範囲にわたって連続的に設けられている。
このようなニップ上流ガイド310を有することで、ニップ板130と加圧ローラ140の間に向けて定着ベルト110を良好に案内することができるようになっている。
【0089】
また、ニップ上流ガイド310は、ニップ板130の上流側端部130Fから離れて配置されることで、左右方向の全範囲がニップ板130に対して非接触となっている。これにより、ニップ板130の熱をニップ上流ガイド310で奪うのを防止することができるので、熱定着性を向上させることが可能となっている。
【0090】
また、ニップ上流ガイド310は、反射部材150に対して非接触となるように構成されている。これにより、輻射熱を受ける反射部材150の熱をニップ上流ガイド310で奪うのを抑えることが可能となっている。
【0091】
図4に戻り、ニップ下流ガイド320は、ニップ板130と加圧ローラ140の間から搬出された定着ベルト110を案内するガイドであり、第1カバー部材210の延出壁214の後端部(すなわち介在部)に形成されている。より詳細に、ニップ下流ガイド320は、定着ベルト110の回転方向におけるニップ板130の下流側端部130Rのすぐ下流側(用紙Sの搬送方向の他方側)に配置され、定着ベルト110の内周面に向けて凸となる断面を有する曲面形状をなしている。すなわち、ニップ下流ガイド320は、定着ベルト110の内周面をガイドする曲面状のガイド面321を有している。
【0092】
本実施形態においては、ニップ下流ガイド320は、図3や図5に示すように、左右方向に沿って断続的に設けられているが、ニップ上流ガイド310と同様に、定着ベルト110の軸方向のほぼ全範囲にわたって連続的に設けられていてもよい。
このようなニップ下流ガイド320を有することで、ニップ板130と加圧ローラ140の間から搬出された定着ベルト110の進行を安定させることができるようになっている。
【0093】
なお、上記において、すぐ上流側とは、定着ベルト110の回転方向におけるニップ上流ガイド310とニップ板130との間に定着ベルト110の回転を案内するための他のガイドが設けられていないことを意味し、すぐ下流側とは、回転方向におけるニップ板130とニップ下流ガイド320との間に他のガイドが設けられていないことを意味する。
【0094】
また、ニップ下流ガイド320は、ニップ板130の下流側端部130Rから離れて配置されることで、左右方向の全範囲がニップ板130に対して非接触となっている。これにより、ニップ板130の熱をニップ下流ガイド320で奪うのを防止することができるので、熱定着性を向上させることが可能となっている。
【0095】
また、ニップ下流ガイド320は、反射部材150に対して非接触となるように構成されている。これにより、輻射熱を受ける反射部材150の熱をニップ下流ガイド320で奪うのを抑えることが可能となっている。
【0096】
また、ニップ下流ガイド320のガイド面321よりもニップ板130側には、ガイド面321よりも上側(ニップ板130と加圧ローラ140とが対向する方向におけるハロゲンランプ120側)に凹んだ段差部322が形成されている。段差部322は、各部材を下側から見た図7〜図9に示すように、第1カバー部材210の左右方向の略全体(幅方向全体)にわたって形成されている。
【0097】
これにより、ガイド面321よりもニップ板130側の部位を定着ベルト110から確実に離すことができるので、定着ベルト110をスムーズに回転させることが可能となっている。
【0098】
図4に示すように、上部ガイド330は、定着ベルト110の上部分を案内するガイドであり、ハロゲンランプ120を挟んでニップ板130とは反対側の上側に配置された第2カバー部材220の上壁221(すなわち介在部)に形成されている。言い換えると、上部ガイド330は、ニップ板130の延出部132,133に対して上側(ニップ板130と加圧ローラ140とが対向する方向におけるハロゲンランプ120側)に位置して定着ベルト110の内周面をガイドしている。これにより、ニップ下流ガイド320を基点にして定着ベルト110が大きく折れ曲がるのを、上部ガイド330で抑えることができるので、定着ベルト110の劣化を抑えることが可能となっている。
【0099】
より詳細に、上部ガイド330は、図6に示すように、定着ベルト110の軸方向における上壁221の両端のみに上方に向けて突出するように設けられており、左右方向から見て、定着ベルト110の内周面に向けて凸となる曲面形状をなしている。
【0100】
図4に示すように、前部ガイド340は、定着ベルト110の前部分を案内するガイドであり、第1カバー部材210の前側壁212に形成されている。より詳細に、前部ガイド340は、前側壁212の右端のみに前方に向けて突出するように設けられており、左右方向から見て、定着ベルト110の内周面に向けて凸となる曲面形状をなしている。
【0101】
本実施形態において、前部ガイド340は、上部ガイド330のガイド面と定着ベルト110の内周面とが接する面のうち、定着ベルト110の回転方向における下流側の端部に接する平面PLよりも下側(ハロゲンランプ120側)に配置されるように設けられている。
【0102】
第2カバー部材220に設けられた上部ガイド330と、第1カバー部材210に設けられた前部ガイド340との間には継ぎ目ができることとなるが、上記したように前部ガイド340を設けることにより、定着ベルト110を上部ガイド330から前部ガイド340へスムーズに案内することができるようになっている。
【0103】
以上のような上部ガイド330や前部ガイド340を有することで、カバー部材200の上部や前部における定着ベルト110の進行を安定させることができるようになっている。また、本実施形態では、上部ガイド330が左右両端のみに設けられ、前部ガイド340が右端のみに設けられているので、定着ベルト110の内周面と、上部ガイド330や前部ガイド340との摺動抵抗を小さくすることができる。これにより、定着ベルト110を良好に回転させることができるようになっている。
【0104】
図7に示すように、第1カバー部材210の上壁213の下面には、4つのスペーサ部213Aが形成されている。言い換えると、各スペーサ部213Aは、ステイ160と第1カバー部材210(上壁213)との間に設けられている。これにより、ステイ160と第1カバー部材210の上壁213との間に隙間が空くようになっている。
【0105】
具体的には、図10〜図12に示すように、カバー部材200等やステイ160を有する構造体の左右方向の各断面において、スペーサ部213Aが形成された箇所(例えば図11(a)参照)では、スペーサ部213Aによって第1カバー部材210が支持されている。また、スペーサ部213Aが形成されていない箇所(例えば図11(b)参照)では、第1カバー部材210の上壁213とステイ160との間に隙間G1が形成されるようになっている。これにより、当該隙間G1が断熱層となるので、ステイ160から外部に熱が逃げるのを抑えることができ、ニップ板130を効率良く加熱することが可能となっている。なお、図11においては、便宜上、ニップ板130は省略している。
【0106】
図7に示すように、各スペーサ部213Aは、上壁213の下面から下方に突出する段差状に形成されており、左右方向(用紙Sの幅方向)に間隔を空けて配置されている。これにより、第1カバー部材210がステイ160に対してがたつくのを抑えることが可能となっている。
【0107】
各スペーサ部213Aは、樹脂製の第1カバー部材210と一体に形成されている。これにより、スペーサ部材と第1カバー部材を別部品で構成する形態に比べ、部品点数を削減することが可能となっている。
【0108】
なお、本実施形態では、第1カバー部材210が樹脂製であるので、第1カバー部材を金属製とする場合に比べ、第1カバー部材210の断熱性が向上されている。そのため、第1カバー部材210とステイ160との間の空間の熱が第1カバー部材210の外側に逃げて空間の温度が下がるのを抑えることができ、その結果、ステイ160から空間に熱が逃げるのをより抑えることが可能となっている。
【0109】
また、第1カバー部材210の右端側(詳しくは右から2番目)のスペーサ部213Aと、第1カバー部材210の左端側(詳しくは最も左側)のスペーサ部213Aには、スペーサ部213Aの下面の略中央部から下側(ステイ160側)に向けて突出する円柱状の位置決め凸部213B,213Cが形成されている。
【0110】
また、ステイ160の上壁部163には、位置決め凸部213B,213Cが係合する位置決め穴163B,163Cが形成されている。具体的に、右側の位置決め穴163Bは丸穴であり、当該位置決め穴163Bに右側の位置決め凸部213Bが嵌合することで、ステイ160に対して第1カバー部材210が前後左右に位置決めされる。
【0111】
また、左側の位置決め穴163Cは左右方向に延びる長穴であり、当該位置決め穴163Cに左側の位置決め凸部213Cが係合することで、ステイ160に対して第1カバー部材210が前後に位置決めされるとともに、第1カバー部材210の左右方向への熱膨張が吸収されるようになっている。
【0112】
そして、前述したように位置決め凸部213B,213Cが、上壁213の下面から一段下がったスペーサ部213Aに形成されることで、上壁213の下面から位置決め凸部を形成する構造に比べ、位置決め凸部213B,213Cの高さをスペーサ部213Aの分だけ低くすることができるので、位置決め凸部213B,213Cの剛性を高くすることが可能となっている。
【0113】
また、第2カバー部材220の上壁221の下面には、リブ221Aが形成されている。リブ221Aは、前後左右に格子状に延びており、第2カバー部材220の上壁221の中央部から左側にずれた位置と、右側にずれた位置に、それぞれ間隔を空けて形成されている。
【0114】
そして、リブ221Aは、第2カバー部材220の上壁221と第1カバー部材210の上壁213との間に配置されることで、第2カバー部材220の上壁221を第1カバー部材210の上壁213から離した状態で支持している。これにより、第2カバー部材220の上壁221と第1カバー部材210の上壁213との間に隙間G2(図10〜図12参照)が空くようになっている。
【0115】
これにより、断熱のための空気層が2層(隙間G1,G2)になるので、ステイ160から外部に熱が逃げるのをより抑えることができ、ニップ板130をより効率良く加熱することが可能となっている。
【0116】
次に、ステイ160、サーモスタット170、サーミスタ180、コイルバネ191,192およびカバー部材200の組み立てについて説明する。
【0117】
図3に示す状態から、まず、ステイ160に対して、第1カバー部材210を被せるように組み付ける。この際、図7および図8に示すように、ステイ160の位置決め穴163B,163Cに第1カバー部材210の位置決め凸部213B,213Cを入れることで、ステイ160に対して第1カバー部材210の位置決めが行われる。
【0118】
その後は、図3に示すように、第1カバー部材210の第1位置決め部231にサーモスタット170を配置し、各第2位置決め部232にサーミスタ180を配置する。また、第2カバー部材220の第1支持部241にコイルバネ191を取り付け、第2支持部242にコイルバネ192を取り付ける。そして、ステイ160に組み付けられた第1カバー部材210に対して、第2カバー部材220を重ね合わせるように組み付ける。
【0119】
その後、図13(a)に示すように、ネジB1を、第2カバー部材220の円穴243および第1カバー部材210(固定部233)の円形の貫通孔に通して、ステイ160の右側固定部161のネジ穴に螺合する。これにより、第1カバー部材210と第2カバー部材220、すなわち、カバー部材200は、右側(軸方向における一方側)がステイ160に対し左右方向に位置決めされた状態でステイ160に固定されることとなる。
【0120】
また、図13(b)に示すように、ネジB2を、第2カバー部材220の長穴244および第1カバー部材210の切欠部234に通して、ステイ160の左側固定部162のネジ穴に螺合する。ここで、切欠部234は左右方向の幅が左側固定部162の左右方向の長さよりも大きく、長穴244は左右方向に長い貫通孔なので、カバー部材200は、左側(軸方向における他方側)が、カバー部材200をステイ160に固定するためのネジB2に対し、左右方向に遊びを有した状態でステイ160に固定されることとなる。
【0121】
以上により、ステイ160、サーモスタット170、サーミスタ180、コイルバネ191,192およびカバー部材200が組み立てられる。
【0122】
なお、本実施形態では、前記のとおり、ステイ160に対して、(1)第1カバー部材210、(2)サーモスタット170およびサーミスタ180、並びに、(3)コイルバネ191,192を支持する第2カバー部材220を、(1)〜(3)の順に組み付けていくことができる。これにより、例えば、1部品としてのカバー部材にサーモスタット170やコイルバネ191などを組み付けていくような構成と比較して、組み付け性を向上させることができるようになっている。
【0123】
また、カバー部材200は、右側が位置決めされた状態でステイ160に固定され、左側がネジB2に対し左右に遊びを有した状態でステイ160に固定されているので、熱が伝わることでステイ160やカバー部材200が線膨張したとしても、その膨張を吸収することができるようになっている。これにより、ステイ160やカバー部材200の変形が抑制可能となっている。
【0124】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0125】
前記実施形態では、カバー部材200にガイド部材(ニップ上流ガイド310およびニップ下流ガイド320)を一体に形成したが、本発明はこれに限定されず、ガイド部材はカバー部材と別体であってもよい。ただし、カバー部材とガイド部材を一体に形成した場合には、部品点数を削減できるので、一体に形成するのが望ましい。また、カバー部材を設けずに、ガイド部材のみを定着装置に設けてもよい。
【0126】
前記実施形態では、ガイド面311,321をニップ板130の用紙搬送方向の両側に設けたが、本発明はこれに限定されず、一方側のみに設けてもよい。ただし、両側にガイド面を設けた場合には、ニップ部材の記録シート搬送方向の両端のエッジによって、筒状部材を傷付けるのを抑えることができるので、両側に設けるのが望ましい。
【0127】
前記実施形態では、各ガイド部材(ニップ上流ガイド310およびニップ下流ガイド320)の左右方向の全範囲をニップ板130に対して非接触としたが、本発明はこれに限定されず、ガイド部材はニップ部材の少なくとも画像形成範囲W(図3参照)の部分に対して非接触となる部分を有していればよい。ここで、画像形成範囲Wとは、画像形成装置で使用可能な最大サイズの用紙に対して印字可能な画像の最大幅(用紙幅方向の長さ)をいう。
【0128】
すなわち、例えば、ガイド部材は、画像形成範囲Wの部分に亘っておおよそ非接触であるが、部分的にはニップ部材と接触してもよい。これによっても、ガイド部材がニップ部材の画像形成範囲Wに対して非接触となる部分を有するので、ニップ部材の画像形成範囲W内の熱をガイド部材で奪うのを抑えて、ニップ部材を効率良く加熱することができる。同様に、ガイド部材は、反射部材の画像形成範囲に対して非接触となる部分を有するように構成されていてもよい。
【0129】
前記実施形態では、段差部322を第1カバー部材210の左右方向の略全体にわたって形成したが、本発明はこれに限定されず、段差部は、ガイド面よりもニップ部材側の部位のうち記録シートの幅方向の少なくとも一部に形成すればよい。この場合であっても、ガイド面よりもニップ部材側の部位の少なくとも一部(段差部が形成された部分)を筒状部材から確実に離すことができるので、当該部位と筒状部材との摺動抵抗を減らすことができ、筒状部材をスムーズに回転させることができる。
【0130】
前記実施形態では、ニップ部材として板状のニップ板130を採用したが、本発明はこれに限定されず、板状でない厚めの部材であってもよい。
【0131】
前記実施形態では、上部ガイド330は、定着ベルト110の軸方向における両端のみに設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、延出部側ガイド部は、筒状部材の軸方向に沿って断続的に設けられていてもよいし、軸方向の全範囲にわたって設けられていてもよい。
【0132】
前記実施形態では、カバー部材200は、右側が位置決めされた状態でステイ160に固定され、左側がネジB2(締結具)に対し左右方向に遊びを有した状態でステイ160に固定されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、カバー部材は、筒状部材の軸方向における中央が位置決めされた状態でステイに固定され、両端が締結具に対し左右方向に遊びを有した状態でステイに固定されていてもよい。
【0133】
前記実施形態では、第1カバー部材210と第2カバー部材220が、ステイ160に対して共通のネジB1,B2によって固定されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、第1カバー部材と第2カバー部材は、ステイに対して別々のネジによって固定されていてもよい。
【0134】
前記実施形態では、第1カバー部材210と第2カバー部材220とは、互いの一部同士を重ね合わせるようにして組み立てられるように構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、重ね合わせたときに、一方のフレームが、他方のフレームを完全に覆うように構成されていてもよい。
【0135】
前記実施形態では、カバー部材が2つのフレーム(部品)から構成されていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、1部品から構成されていてもよいし、3つ以上の部品から構成されていてもよい。
【0136】
前記実施形態では、バックアップ部材として加圧ローラ140を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ベルト状の加圧部材などであってもよい。
【0137】
前記実施形態では、加熱体としてハロゲンランプ120(ハロゲンヒータ)を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、カーボンヒータやIHヒータなどであってもよい。
【0138】
前記実施形態では、定着ベルト110(筒状部材)が金属製であったが、本発明はこれに限定されず、例えば、ポリイミド樹脂などの樹脂から形成されていてもよいし、ゴムなどの弾性を有する材料から形成されていてもよい。また、筒状部材は、多層構造であってもよい。具体的には、例えば、金属製ベルトの表面に摺動抵抗を低減するための樹脂層などを有する構造であってもよいし、金属製ベルトの表面にゴム層などの弾性層を有する構造であってもよい。
【0139】
前記実施形態では、反射部材150とステイ160の両方を備える構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、ステイのみを備える構成としてもよい。なお、ステイのみを備える(反射部材を設けない)構成とした場合、ステイは、ヒータと対向する側の面に、ヒータからの輻射熱をニップ板に向けて反射する反射面を有していてもよい(すなわち、ステイと反射部材が一体に構成されていてもよい。)。
【0140】
前記実施形態では、記録シートとして、普通紙やはがきなどの用紙Sを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、OHPシートなどであってもよい。
【0141】
前記実施形態では、本発明の定着装置を備える画像形成装置として、モノクロの画像を形成するレーザプリンタ1を例示したが、これに限定されず、例えば、カラーの画像を形成するプリンタであってもよい。また、画像形成装置は、プリンタに限定されず、例えば、フラットベッドスキャナなどの原稿読取装置を備える複写機や複合機などであってもよい。
【符号の説明】
【0142】
100 定着装置
110 定着ベルト
120 ハロゲンランプ
130 ニップ板
140 加圧ローラ
150 反射部材
160 ステイ
310 ニップ上流ガイド
311 ガイド面
320 ニップ下流ガイド
321 ガイド面
S 用紙
W 画像形成範囲
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録シート上にトナー像を熱定着させる定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、定着装置として、筒状の加熱フィルムと、加熱フィルムの内周面に摺接する金属板と、金属板との間で加熱フィルムを挟むことによりニップを形成する加圧ローラと、加熱フィルムの内側に配置されるハロゲンヒータと、加熱フィルムの内周面をガイドする円筒状のフィルムガイドとを備えるものが知られている(特許文献1参照)。そして、この技術では、フィルムガイドがの下部に開口部が形成されており、この開口部と対向するように金属板の搬送方向両端のすべてがフィルムガイドに保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-233886号公報(段落0051、図3,4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した技術では、金属板の搬送方向両端のすべてをフィルムガイドで支持することによって、金属板(特に画像形成範囲)の熱がフィルムガイド及びフィルムガイドと摺接するフィルムを介して外部に逃げてしまうので、ニップ部を効率良く加熱することができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、ニップ板(ニップ部材)を効率良く加熱することができる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る定着装置は、記録シート上に現像剤像を熱定着するための装置であって、可撓性を有する筒状部材と、前記筒状部材の内周面に摺接するニップ部材と、前記筒状部材の内側に配置され、前記ニップ部材を加熱する加熱体と、前記ニップ部材との間で前記筒状部材を挟むバックアップ部材と、前記ニップ部材の前記記録シート搬送方向の少なくとも一方側に配置され、前記筒状部材の内周面をガイドするガイド面を有するガイド部材と、を備える。
そして、前記ガイド部材は、前記ニップ部材の少なくとも画像形成範囲の部分に対して非接触となる部分を有する。
【0007】
本発明によれば、ガイド部材がニップ部材の画像形成範囲に対して非接触となる部分を有するので、ニップ部材の画像形成範囲内の熱をガイド部材で奪うのを抑えて、ニップ部材を効率良く加熱することができる。
【0008】
また、本発明において、前記ガイド部材は、前記ニップ部材に対して非接触となるように構成されるのが望ましい。
【0009】
これによれば、ニップ部材の熱をガイド部材で奪うのを防止することができ、熱定着性能をより向上させることができる。
【0010】
また、本発明において、前記ガイド面よりも前記ニップ部材側に、前記ガイド面よりも前記ニップ部材と前記バックアップ部材とが対向する方向における前記加熱体側に凹んだ段差部を、前記記録シートの幅方向の少なくとも一部に形成するのが望ましい。
【0011】
これによれば、ガイド面よりもニップ部材側の部位の少なくとも一部を筒状部材から確実に離すことができるので、当該部位と筒状部材との摺動抵抗を減らすことができ、筒状部材をスムーズに回転させることができる。
【0012】
また、本発明において、前記段差部は、前記幅方向全体にわたって形成されるのが望ましい。
【0013】
これによれば、筒状部材をよりスムーズに回転させることができる。
【0014】
また、本発明において、前記ガイド面は、前記ニップ部材の前記記録シート搬送方向の両側に設けるのが望ましい。
【0015】
これによれば、ニップ部材の記録シート搬送方向の両端のエッジによって、筒状部材を傷付けるのを抑えることができる。
【0016】
また、本発明において、前記加熱体を囲んだ状態で前記ニップ部材を支持するステイと、前記筒状部材の内側に配置され、前記ステイを前記加熱体とは反対側から覆うカバー部材と、を備える場合には、前記ガイド部材を前記カバー部材に一体に形成するのが望ましい。
【0017】
これによれば、ガイド部材とカバー部材を別体に構成する構造に比べ、部品点数を削減することができる。
【0018】
また、本発明において、前記加熱体を囲むように配置され、当該加熱体からの輻射熱を前記ニップ部材に向けて反射する反射部材を備える場合には、前記ガイド部材は、前記反射部材の少なくとも画像形成範囲の部分に対して非接触となる部分を有するのが望ましい。
【0019】
これによれば、ガイド部材が反射部材の画像形成範囲に対して非接触となる部分を有するので、反射部材の画像形成範囲内の熱をガイド部材で奪うのを抑えて、ニップ部材の画像形成範囲から反射部材の画像形成範囲に熱が逃げるのを抑えることができる。
【0020】
また、本発明において、前記ガイド部材は、前記反射部材に対して非接触となるように構成されているのが望ましい。
【0021】
これによれば、反射部材の熱をガイド部材で奪うのをより抑えることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ガイド部材がニップ部材の画像形成範囲に対して非接触となる部分を有するので、ニップ部材を効率良く加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の定着装置を備えたレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】定着装置のサーモスタット付近の断面図である。
【図3】ニップ板、ハロゲンランプ、反射部材、ステイ、第1カバー部材、サーモスタット、サーミスタおよび第2カバー部材の斜視図である。
【図4】定着装置の左右方向における中央に配置されたサーミスタ付近の拡大断面図である。
【図5】ケーブルの配置を示す斜視図である。
【図6】前側から見たカバー部材の斜視図である。
【図7】ステイ、第1カバー部材および第2カバー部材を下側から見た斜視図である。
【図8】ステイに第1カバー部材および第2カバー部材を組み付けたものを下側から見た斜視図である。
【図9】図8の構造体にニップ板を組み付けたものを下側から見た斜視図である。
【図10】図9の構造体を後側から見た背面図である。
【図11】図10のI−I断面図(a)と、II−II断面図(b)と、III−III断面図(c)と、IV−IV断面図(d)である。
【図12】図10のV−V断面図(a)と、VI−VI断面図(b)と、VII−VII断面図(c)である。
【図13】右側固定部付近の断面図(a)と、左側固定部付近の断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、本発明の実施形態に係る定着装置100を備えたレーザプリンタ1(画像形成装置)の概略構成を簡単に説明した後、定着装置100の詳細な構成について説明する。
【0025】
また、以下の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0026】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、記録シートの一例としての用紙Sを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙S上に現像剤像の一例としてのトナー像を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙S上に転写されたトナー像を熱定着する定着装置100とを主に備えている。
【0027】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、給紙トレイ31と、用紙押圧板32と、給紙機構33とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、用紙押圧板32によって上方に寄せられ、給紙機構33によってプロセスカートリッジ5(感光体ドラム61と転写ローラ63との間)に向けて供給される。
【0028】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に配置され、図示しないレーザ発光部や、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。この露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、感光体ドラム61の表面で高速走査されることで、感光体ドラム61の表面を露光する。
【0029】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像ユニット7とから構成されている。
【0030】
ドラムユニット6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。また、現像ユニット7は、ドラムユニット6に対して着脱可能に装着される構成となっており、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナー(現像剤)を収容するトナー収容部74とを主に備えている。
【0031】
このプロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部74内のトナーは、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
【0032】
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Sが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙S上に転写される。
【0033】
定着装置100は、プロセスカートリッジ5の後方に設けられている。用紙S上に転写されたトナー像は、定着装置100を通過することで用紙S上に熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Sは、搬送ローラ23,24によって排紙トレイ22上に排出される。
【0034】
<定着装置の詳細構成>
図2に示すように、定着装置100は、筒状部材の一例としての定着ベルト110と、加熱体の一例としてのハロゲンランプ120と、ニップ部材の一例としてのニップ板130と、バックアップ部材の一例としての加圧ローラ140と、反射部材150と、ステイ160と、サーモスタット170および2つのサーミスタ180(図3,4参照)と、ケーブルC1,C2(図5参照)と、カバー部材200とを主に備えている。
【0035】
定着ベルト110は、耐熱性と可撓性を有する無端状(筒状)のベルトであり、カバー部材200に形成された後述するガイド部(ニップ上流ガイド310、ニップ下流ガイド320、上部ガイド330および前部ガイド340)により回転が案内されている。本実施形態において、定着ベルト110は、金属製であり、例えば、ステンレス鋼やニッケルなどから形成されている。
【0036】
ハロゲンランプ120は、輻射熱を発してニップ板130および定着ベルト110(ニップ部N)を加熱することで用紙S上のトナーを加熱する部材であり、定着ベルト110の内側において定着ベルト110およびニップ板130の内面から所定の間隔をあけて配置されている。
【0037】
このハロゲンランプ120は、図3に示すように、細長い円筒状のガラス管121内に、図示しないフィラメントを配置し、ガラス管121の長手方向両端部を閉じてその内部にハロゲン元素を含む不活性ガスを封入することにより形成されている。このハロゲンランプ120の長手方向両端には、ガラス管121内のフィラメントの端部と電気的に接続された一対の電極122が設けられている。
【0038】
図2に戻り、ニップ板130は、ハロゲンランプ120からの輻射熱を受ける板状の部材であり、その下面が定着ベルト110の内周面に摺接するように配置されている。本実施形態において、ニップ板130は、金属製であり、例えば、後述するスチール製のステイ160より熱伝導率が大きい、アルミニウム板などを折り曲げることで形成されている。
【0039】
図3に示すように、ニップ板130は、ベース部131と、第1延出部132と、第2延出部133とを主に有している。
ベース部131は、定着ベルト110の内周面と摺接する部分であり、ハロゲンランプ120からの熱を定着ベルト110を介して用紙S上のトナーに伝達する。
【0040】
第1延出部132および第2延出部133は、平板状をなしており、ベース部131の後端から後方に向けて突出するように形成されている。言い換えると、第1延出部132および第2延出部133は、ニップ部Nよりも用紙Sの搬送方向下流側に延びるように形成されている。
【0041】
第1延出部132は、ベース部131後端の左右方向における中央付近に1つ形成されており、その上面にサーモスタット170が対面して配置される。また、第2延出部133は、ベース部131後端の左右方向における中央付近と右端付近にそれぞれ1つずつ形成されており、それぞれの上面にサーミスタ180が対面して配置される。
【0042】
図2に示すように、加圧ローラ140は、ニップ板130との間で定着ベルト110を挟むことで定着ベルト110との間にニップ部Nを形成する部材であり、ニップ板130の下方に配置されている。本実施形態においては、ニップ部Nを形成するために、ニップ板130および加圧ローラ140の一方を他方に向けて付勢している。
【0043】
加圧ローラ140は、本体筐体2内に設けられた図示しないモータから駆動力が伝達されて回転駆動するように構成されており、回転駆動することで定着ベルト110(または用紙S)との摩擦力により定着ベルト110を従動回転させる。トナー像が転写された用紙Sは、加圧ローラ140と加熱された定着ベルト110の間(ニップ部N)を搬送されることでトナー像が熱定着されることとなる。
【0044】
反射部材150は、ハロゲンランプ120からの輻射熱をニップ板130に向けて反射する部材であり、定着ベルト110の内側でハロゲンランプ120を取り囲む(覆う)ように、ハロゲンランプ120から所定の間隔をあけて配置されている。具体的に、反射部材150は、ハロゲンランプ120とステイ160との間に配置されている。このように反射部材150を設けることにより、ニップ板130を効率良く加熱することが可能となっている。
【0045】
この反射部材150は、赤外線および遠赤外線の反射率が大きい、例えば、アルミニウム板などを断面視略U形状に湾曲させて形成されている。より詳細に、反射部材150は、湾曲形状をなす反射部151と、反射部151の前後方向における両端部から前後方向外側に向けて延びるフランジ部152とを主に有している。
【0046】
ステイ160は、ニップ板130(ベース部131)の前後の端部を反射部材150(フランジ部152)を介して支持することで加圧ローラ140からの荷重を受ける部材であり、定着ベルト110の内側でハロゲンランプ120および反射部材150を覆うように配置されている。なお、ここでいう荷重は、ニップ板130が加圧ローラ140を付勢する構成においては、ニップ板130が加圧ローラ140を付勢する力の反力をいうものとする。
【0047】
このようなステイ160は、比較的剛性が高い、例えば、鋼板などを反射部材150(反射部151)の外面形状に沿った断面視略U形状に折り曲げることで形成されている。なお、金属製のステイ160と反射部材150のうちニップ板130との接触部分を、部分的に歯抜け構造とすることで、ニップ板130との接触面積が低下する。これによって、剛性と加熱効率を向上させることが可能となっている。
【0048】
図3に示すように、ステイ160は、上壁部163と、上壁部163の前端から下方に延びる前壁部164と、上壁部163の後端から下方に延びる後壁部165とによって断面視略U字状に形成されている。そして、上壁部163の右側には、右側固定部161が設けられ、左側には、左側固定部162が設けられている。右側固定部161および左側固定部162は、いずれも上壁部163から後方に向けて延びるように形成されており、それぞれ貫通したネジ穴(符号省略)が設けられている。
【0049】
図2に示すように、サーモスタット170は、図示しないバイメタルなどを有し、所定の温度を検出したときに通電を遮断するように構成された部材であり、定着ベルト110の内側で、反射部材150およびステイ160を挟んでハロゲンランプ120とは反対側(ステイ160の外側)に配置されている。
【0050】
さらに述べると、サーモスタット170は、温度検知面である下面が、第1延出部132の上面(加圧ローラ140側とは反対側の面)に対向して配置されている。第1延出部132は、加圧ローラ140との間で定着ベルト110(および用紙S)を挟むベース部131から直接延びる部分なので、この第1延出部132にサーモスタット170を対向して配置することで、ニップ部N付近の温度を精度良く検出することができる。
【0051】
また、サーモスタット170は、左右の両端面に、左右方向外側に向けて突出する板状の電極171を有している(図3も参照)。
【0052】
図4に示すように、サーミスタ180は、ニップ板130の温度を検出する温度センサであり、定着ベルト110の内側で、反射部材150およびステイ160を挟んでハロゲンランプ120とは反対側に配置されている。
【0053】
さらに述べると、サーミスタ180は、温度検知面である下面が、第2延出部133の上面に対向して配置されている。第2延出部133も、ベース部131から直接延びる部分なので、この第2延出部133にサーミスタ180を対向して配置することで、ニップ部N付近の温度を精度良く検出することができる。
【0054】
図2,4に示すように、サーモスタット170およびサーミスタ180は、それぞれ、コイルバネ191,192によりニップ板130の第1延出部132または第2延出部133に向けて付勢されている。これにより、検出対象であるニップ板130との位置関係が安定するので、温度をより精度良く検出することができる。
【0055】
図5に太い実線で示すケーブルC1は、ハロゲンランプ120に電力を供給する導線であり、定着ベルト110の内側でステイ160を挟んでハロゲンランプ120とは反対側に配置されている(図4参照)。このケーブルC1は、ハロゲンランプ120およびサーモスタット170に接続されている。
【0056】
より詳細に、ケーブルC1は、ハロゲンランプ120の右側の電極122に接続された導線C11と、ハロゲンランプ120の左側の電極122に直接または間接的に接続された導線C12,C13とから構成されている。
【0057】
導線C12は、ハロゲンランプ120の左側の電極122から後述する第1カバー部材210の上壁213上を通って右に延び、第1カバー部材210の左右方向における中央付近で後側壁211に沿って下方に延びた後、サーモスタット170の左側の電極171に接続されている。また、サーモスタット170の右側の電極171に接続された導線C13は、後側壁211に沿って上方に延び、第1カバー部材210の上壁213上を通って右に延びた後、導線C11とともに、定着ベルト110の右端部から引き出されている。
【0058】
定着ベルト110の右端部から引き出されたケーブルC1の端部は、本体筐体2内に設けられた図示しない電源基板に接続される。これにより、ハロゲンランプ120への電力供給が可能となっている。なお、ケーブルC1の途中にサーモスタット170が接続されていることで、ニップ板130が過熱した場合には、サーモスタット170が通電を遮断するので、ハロゲンランプ120への通電を速やかに遮断することができるようになっている。
【0059】
図5に太い破線で示すケーブルC2は、サーミスタ180に接続された導線であり、ケーブルC1と同様に、定着ベルト110の内側でステイ160を挟んでハロゲンランプ120とは反対側に配置されている(図4参照)。
【0060】
より詳細に、ケーブルC2は、サーミスタ180の筐体内に配置されている図示しないサーミスタ素子に接続され、サーミスタ180の筐体の左端面から引き出されている。サーミスタ180から延びるケーブルC2は、上方に延びた後、後述する第2カバー部材220の後壁222に沿って左に延び、定着ベルト110の左端部から引き出されている。
【0061】
定着ベルト110の左端部から引き出されたケーブルC2の端部は、本体筐体2内に設けられた図示しない制御基板に接続される。サーミスタ180の検出結果は、制御基板に出力され、ハロゲンランプ120の制御に利用される。
【0062】
カバー部材200は、サーモスタット170、サーミスタ180およびケーブルC1,C2を支持する部材であり、定着ベルト110の内側においてステイ160を覆うように配置されている。このカバー部材200は、第1カバー部材210と、第2カバー部材220とを主に備えて構成されている。
【0063】
第1カバー部材210は、断面視略U形状をなして左右方向に長く延びるように形成されており、ステイ160を挟んでハロゲンランプ120とは反対側でステイ160を覆うように配置されている(図2,4も参照)。この第1カバー部材210は、定着ベルト110の軸方向における一端から他端、具体的には、右端から左端にわたって、サーモスタット170、サーミスタ180およびケーブルC1を支持している。
【0064】
本実施形態において、第1カバー部材210は、液晶ポリマーやPEEK樹脂、PPS樹脂などの樹脂で形成されている。この第1カバー部材210の後側壁211は、サーモスタット170の電極171と、導電性を有する反射部材150やステイ160との間に位置し、電極171と反射部材150やステイ160との絶縁を確保している。
【0065】
図3に示すように、第1カバー部材210は、後側壁211と、前側壁212と、後側壁211および前側壁212の上端同士を連結するように延びる上壁213と、後側壁211の下端から後方に向けて延びる延出壁214とを主に有している。また、第1カバー部材210には、第1位置決め部231と、2つの第2位置決め部232と、固定部233と、切欠部234と、リブ235,236とが主に形成されている。
【0066】
第1位置決め部231は、サーモスタット170を位置決めする部分であり、後側壁211の左右方向における中央付近に設けられた凹部211Aと、延出壁214から立設して凹部211Aに対面するように設けられた平面視略U形状の立設壁215とによって構成されている。サーモスタット170は、この第1位置決め部231に配置されることで、前後方向および左右方向に位置決めされる(図5参照)。
【0067】
第2位置決め部232は、サーミスタ180を位置決めする部分であり、延出壁214の左右方向における中央付近と右端付近に設けられた立設壁216と、この立設壁216に対面する後側壁211とによって構成されている。第2位置決め部232を構成する後側壁211の左右方向における中央部分には、サーミスタ180の前方に向けて凸となる部分が嵌合する開口217が形成されている。サーミスタ180は、この第2位置決め部232に配置されることで、前後方向および左右方向に位置決めされる(図5参照)。
【0068】
なお、開口217は、後側壁211から延出壁214にわたって形成されているため、この開口217を介して、サーミスタ180がニップ板130に臨めるようになっている。また、第1位置決め部231の底壁(延出壁214)には、サーモスタット170をニップ板130に臨ませるための孔(符号省略)が設けられている。
【0069】
固定部233は、第1カバー部材210をステイ160の右側固定部161に固定するための部分であり、第1カバー部材210の右側で右側固定部161に対応して設けられている。この固定部233には、右側固定部161のネジ穴に対応した平面視略円形の貫通孔(符号省略)が設けられている。
【0070】
切欠部234は、第1カバー部材210の左側において、上壁213、後側壁211および延出壁214にわたって設けられている。図5に示すように、第1カバー部材210とステイ160を組みつけたとき、切欠部234からはステイ160の左側固定部162が露出するようになっている。この切欠部234は、左右方向の幅が、露出する左側固定部162の左右方向の長さよりも大きくなっている。
【0071】
リブ235,236は、上壁213から突出し、左右方向に沿って、より詳細には、上壁213上を通るケーブルC1の経路に沿って断続的に設けられている。リブ235とリブ236とは、前後方向に対向するように並んで設けられており、ケーブルC1は、リブ235,236に挟まれるように配置されている。これにより、上壁213におけるケーブルC1の前後方向へのずれを抑制することができるようになっている。
【0072】
なお、図2に示すように、本実施形態において、第1カバー部材210の延出壁214および立設壁215は、サーモスタット170を基準としてハロゲンランプ120が配置された前側とは反対側の後側であって、サーモスタット170の一部と定着ベルト110との間に位置する「介在部」となっている。このような介在部としての延出壁214および立設壁215により、定着ベルト110とサーモスタット170との接触が抑制されている。
【0073】
また、図4に示すように、第1カバー部材210の延出壁214および立設壁216は、サーミスタ180を基準としてハロゲンランプ120が配置された前側とは反対側の後側であって、サーミスタ180の一部と定着ベルト110との間に位置する「介在部」となっている。このような介在部としての延出壁214および立設壁216により、定着ベルト110と、サーミスタ180との接触が抑制されている。
【0074】
図2に示すように、第2カバー部材220は、断面視略L形状をなして左右方向に長く延びるように形成されており、第1カバー部材210の後側壁211と上壁213の一部を挟んでステイ160とは反対側に配置されている。言い換えると、第2カバー部材220は、第1カバー部材210の一部をステイ160とは反対側から覆っている。この第2カバー部材220は、ケーブルC2を支持している。
【0075】
本実施形態においては、第2カバー部材220も、液晶ポリマーやPEEK樹脂、PPS樹脂などの樹脂で形成されている。
【0076】
第2カバー部材220と第1カバー部材210とは、互いの一部同士を重ね合わせるようにして組み立てられるように構成されている。第1カバー部材210に第2カバー部材220を重ね合わせるように組み付けると、ケーブルC1は、図4に示すように、上下方向における、第1カバー部材210の上壁213と第2カバー部材220の上壁221が重なり合った部分において、第1カバー部材210と第2カバー部材220との間に配置されることとなる。
【0077】
同様に、サーモスタット170やサーミスタ180は、図2,4に示すように、上下方向における、第1カバー部材210の延出壁214と第2カバー部材220の上壁221が重なり合った部分において、第1カバー部材210と第2カバー部材220との間に配置されることとなる。
【0078】
第2カバー部材220は、上壁221と、上壁221の後端から下方に向けて延びる後壁222と、後壁222の下端から後方に向けて延びる延出壁223とを主に有している。また、図3に示すように、第2カバー部材220には、第1支持部241と、2つの第2支持部242(図4参照(1つのみ図示))と、円穴243と、長穴244と、リブ245,246とが主に形成されている。
【0079】
図2に示すように、第1支持部241は、コイルバネ191を支持する部分であり、上壁221の左右方向における中央付近(すなわち、第1カバー部材210の第1位置決め部231に対応する部分)から下方に向けて突出して設けられている。コイルバネ191は、第1支持部241に係合することで、カバー部材200に支持される。
【0080】
図4に示すように、第2支持部242は、コイルバネ192を支持する部分であり、上壁221の左右方向における中央付近と右端付近(すなわち、第1カバー部材210の第2位置決め部232に対応する部分)から下方に向けて突出して設けられている。コイルバネ192は、第2支持部242に係合することで、カバー部材200に支持される。
【0081】
図3に示すように、円穴243は、上壁221の右側でステイ160の右側固定部161のネジ穴に対応して設けられた平面視略円形状の貫通孔であり、長穴244は、上壁221の左側でステイ160の左側固定部162のネジ穴に対応して設けられた左右方向に長い平面視略長円形状の貫通孔である。
【0082】
リブ245,246は、延出壁223から突出し、ケーブルC2の経路に沿って断続的に設けられている。より詳細に、リブ245は、延出壁223と後壁222をつなぐようにこれらの隅部に設けられ、リブ246は、延出壁223の後端から立設している。リブ245とリブ246とは、前後方向において対向しており、図5に示すように、サーミスタ180から延びるケーブルC2は、延出壁223の上でリブ245,246に挟まれるように配置されている。このような構成により、ケーブルC2の延出壁223からの脱落を抑制することができるようになっている。
【0083】
なお、図4に示すように、本実施形態において、第2カバー部材220の上壁221は、ケーブルC1を基準としてハロゲンランプ120が配置された下側とは反対側の上側であって、ケーブルC1と定着ベルト110との間に位置する「介在部」となっている。さらに述べると、上壁221は、ケーブルC1の上壁213上に配置された部分全体を覆うように、ケーブルC1と定着ベルト110との間に設けられている。このような介在部としての上壁221により、定着ベルト110とケーブルC1との接触が防止されている。
【0084】
また、第2カバー部材220のリブ246は、ケーブルC2を基準としてハロゲンランプ120が配置された前側とは反対側の後側であって、ケーブルC2と定着ベルト110との間に位置する「介在部」となっている。このような介在部としてのリブ246により、定着ベルト110とケーブルC2との接触が抑制されている。
【0085】
ちなみに、第1カバー部材210に設けられた介在部(延出壁214および立設壁215,216)と、第2カバー部材220に設けられた介在部(上壁221およびリブ246)は、いずれも樹脂(絶縁性の材料)から形成されているため、この介在部により定着ベルト110とケーブルC1などの電気部品との接触が抑制されることで、定着ベルト110と電気部品との絶縁を確保することもできるようになっている。
【0086】
図4に示すように、カバー部材200には、回転する定着ベルト110の内周面と摺接して定着ベルト110の内周面をガイドするガイド部が形成されている。具体的に、カバー部材200は、ガイド部として、ガイド部材の一例としてのニップ上流ガイド310およびニップ下流ガイド320と、上部ガイド330と、前部ガイド340とを有している。
【0087】
ニップ上流ガイド310は、ニップ板130と加圧ローラ140の間に向けて定着ベルト110を案内するガイドであり、第1カバー部材210の前側壁212の下端部に形成されている。より詳細に、ニップ上流ガイド310は、定着ベルト110の回転方向(図4の時計回り方向)におけるニップ板130の上流側端部130Fのすぐ上流側(用紙Sの搬送方向の一方側)に配置され、定着ベルト110の内周面に向けて凸となる断面を有する曲面形状をなしている。すなわち、ニップ上流ガイド310は、定着ベルト110の内周面をガイドする曲面状のガイド面311を有している。
【0088】
このニップ上流ガイド310は、図6に示すように、定着ベルト110の軸方向(左右方向)のほぼ全範囲にわたって連続的に設けられている。
このようなニップ上流ガイド310を有することで、ニップ板130と加圧ローラ140の間に向けて定着ベルト110を良好に案内することができるようになっている。
【0089】
また、ニップ上流ガイド310は、ニップ板130の上流側端部130Fから離れて配置されることで、左右方向の全範囲がニップ板130に対して非接触となっている。これにより、ニップ板130の熱をニップ上流ガイド310で奪うのを防止することができるので、熱定着性を向上させることが可能となっている。
【0090】
また、ニップ上流ガイド310は、反射部材150に対して非接触となるように構成されている。これにより、輻射熱を受ける反射部材150の熱をニップ上流ガイド310で奪うのを抑えることが可能となっている。
【0091】
図4に戻り、ニップ下流ガイド320は、ニップ板130と加圧ローラ140の間から搬出された定着ベルト110を案内するガイドであり、第1カバー部材210の延出壁214の後端部(すなわち介在部)に形成されている。より詳細に、ニップ下流ガイド320は、定着ベルト110の回転方向におけるニップ板130の下流側端部130Rのすぐ下流側(用紙Sの搬送方向の他方側)に配置され、定着ベルト110の内周面に向けて凸となる断面を有する曲面形状をなしている。すなわち、ニップ下流ガイド320は、定着ベルト110の内周面をガイドする曲面状のガイド面321を有している。
【0092】
本実施形態においては、ニップ下流ガイド320は、図3や図5に示すように、左右方向に沿って断続的に設けられているが、ニップ上流ガイド310と同様に、定着ベルト110の軸方向のほぼ全範囲にわたって連続的に設けられていてもよい。
このようなニップ下流ガイド320を有することで、ニップ板130と加圧ローラ140の間から搬出された定着ベルト110の進行を安定させることができるようになっている。
【0093】
なお、上記において、すぐ上流側とは、定着ベルト110の回転方向におけるニップ上流ガイド310とニップ板130との間に定着ベルト110の回転を案内するための他のガイドが設けられていないことを意味し、すぐ下流側とは、回転方向におけるニップ板130とニップ下流ガイド320との間に他のガイドが設けられていないことを意味する。
【0094】
また、ニップ下流ガイド320は、ニップ板130の下流側端部130Rから離れて配置されることで、左右方向の全範囲がニップ板130に対して非接触となっている。これにより、ニップ板130の熱をニップ下流ガイド320で奪うのを防止することができるので、熱定着性を向上させることが可能となっている。
【0095】
また、ニップ下流ガイド320は、反射部材150に対して非接触となるように構成されている。これにより、輻射熱を受ける反射部材150の熱をニップ下流ガイド320で奪うのを抑えることが可能となっている。
【0096】
また、ニップ下流ガイド320のガイド面321よりもニップ板130側には、ガイド面321よりも上側(ニップ板130と加圧ローラ140とが対向する方向におけるハロゲンランプ120側)に凹んだ段差部322が形成されている。段差部322は、各部材を下側から見た図7〜図9に示すように、第1カバー部材210の左右方向の略全体(幅方向全体)にわたって形成されている。
【0097】
これにより、ガイド面321よりもニップ板130側の部位を定着ベルト110から確実に離すことができるので、定着ベルト110をスムーズに回転させることが可能となっている。
【0098】
図4に示すように、上部ガイド330は、定着ベルト110の上部分を案内するガイドであり、ハロゲンランプ120を挟んでニップ板130とは反対側の上側に配置された第2カバー部材220の上壁221(すなわち介在部)に形成されている。言い換えると、上部ガイド330は、ニップ板130の延出部132,133に対して上側(ニップ板130と加圧ローラ140とが対向する方向におけるハロゲンランプ120側)に位置して定着ベルト110の内周面をガイドしている。これにより、ニップ下流ガイド320を基点にして定着ベルト110が大きく折れ曲がるのを、上部ガイド330で抑えることができるので、定着ベルト110の劣化を抑えることが可能となっている。
【0099】
より詳細に、上部ガイド330は、図6に示すように、定着ベルト110の軸方向における上壁221の両端のみに上方に向けて突出するように設けられており、左右方向から見て、定着ベルト110の内周面に向けて凸となる曲面形状をなしている。
【0100】
図4に示すように、前部ガイド340は、定着ベルト110の前部分を案内するガイドであり、第1カバー部材210の前側壁212に形成されている。より詳細に、前部ガイド340は、前側壁212の右端のみに前方に向けて突出するように設けられており、左右方向から見て、定着ベルト110の内周面に向けて凸となる曲面形状をなしている。
【0101】
本実施形態において、前部ガイド340は、上部ガイド330のガイド面と定着ベルト110の内周面とが接する面のうち、定着ベルト110の回転方向における下流側の端部に接する平面PLよりも下側(ハロゲンランプ120側)に配置されるように設けられている。
【0102】
第2カバー部材220に設けられた上部ガイド330と、第1カバー部材210に設けられた前部ガイド340との間には継ぎ目ができることとなるが、上記したように前部ガイド340を設けることにより、定着ベルト110を上部ガイド330から前部ガイド340へスムーズに案内することができるようになっている。
【0103】
以上のような上部ガイド330や前部ガイド340を有することで、カバー部材200の上部や前部における定着ベルト110の進行を安定させることができるようになっている。また、本実施形態では、上部ガイド330が左右両端のみに設けられ、前部ガイド340が右端のみに設けられているので、定着ベルト110の内周面と、上部ガイド330や前部ガイド340との摺動抵抗を小さくすることができる。これにより、定着ベルト110を良好に回転させることができるようになっている。
【0104】
図7に示すように、第1カバー部材210の上壁213の下面には、4つのスペーサ部213Aが形成されている。言い換えると、各スペーサ部213Aは、ステイ160と第1カバー部材210(上壁213)との間に設けられている。これにより、ステイ160と第1カバー部材210の上壁213との間に隙間が空くようになっている。
【0105】
具体的には、図10〜図12に示すように、カバー部材200等やステイ160を有する構造体の左右方向の各断面において、スペーサ部213Aが形成された箇所(例えば図11(a)参照)では、スペーサ部213Aによって第1カバー部材210が支持されている。また、スペーサ部213Aが形成されていない箇所(例えば図11(b)参照)では、第1カバー部材210の上壁213とステイ160との間に隙間G1が形成されるようになっている。これにより、当該隙間G1が断熱層となるので、ステイ160から外部に熱が逃げるのを抑えることができ、ニップ板130を効率良く加熱することが可能となっている。なお、図11においては、便宜上、ニップ板130は省略している。
【0106】
図7に示すように、各スペーサ部213Aは、上壁213の下面から下方に突出する段差状に形成されており、左右方向(用紙Sの幅方向)に間隔を空けて配置されている。これにより、第1カバー部材210がステイ160に対してがたつくのを抑えることが可能となっている。
【0107】
各スペーサ部213Aは、樹脂製の第1カバー部材210と一体に形成されている。これにより、スペーサ部材と第1カバー部材を別部品で構成する形態に比べ、部品点数を削減することが可能となっている。
【0108】
なお、本実施形態では、第1カバー部材210が樹脂製であるので、第1カバー部材を金属製とする場合に比べ、第1カバー部材210の断熱性が向上されている。そのため、第1カバー部材210とステイ160との間の空間の熱が第1カバー部材210の外側に逃げて空間の温度が下がるのを抑えることができ、その結果、ステイ160から空間に熱が逃げるのをより抑えることが可能となっている。
【0109】
また、第1カバー部材210の右端側(詳しくは右から2番目)のスペーサ部213Aと、第1カバー部材210の左端側(詳しくは最も左側)のスペーサ部213Aには、スペーサ部213Aの下面の略中央部から下側(ステイ160側)に向けて突出する円柱状の位置決め凸部213B,213Cが形成されている。
【0110】
また、ステイ160の上壁部163には、位置決め凸部213B,213Cが係合する位置決め穴163B,163Cが形成されている。具体的に、右側の位置決め穴163Bは丸穴であり、当該位置決め穴163Bに右側の位置決め凸部213Bが嵌合することで、ステイ160に対して第1カバー部材210が前後左右に位置決めされる。
【0111】
また、左側の位置決め穴163Cは左右方向に延びる長穴であり、当該位置決め穴163Cに左側の位置決め凸部213Cが係合することで、ステイ160に対して第1カバー部材210が前後に位置決めされるとともに、第1カバー部材210の左右方向への熱膨張が吸収されるようになっている。
【0112】
そして、前述したように位置決め凸部213B,213Cが、上壁213の下面から一段下がったスペーサ部213Aに形成されることで、上壁213の下面から位置決め凸部を形成する構造に比べ、位置決め凸部213B,213Cの高さをスペーサ部213Aの分だけ低くすることができるので、位置決め凸部213B,213Cの剛性を高くすることが可能となっている。
【0113】
また、第2カバー部材220の上壁221の下面には、リブ221Aが形成されている。リブ221Aは、前後左右に格子状に延びており、第2カバー部材220の上壁221の中央部から左側にずれた位置と、右側にずれた位置に、それぞれ間隔を空けて形成されている。
【0114】
そして、リブ221Aは、第2カバー部材220の上壁221と第1カバー部材210の上壁213との間に配置されることで、第2カバー部材220の上壁221を第1カバー部材210の上壁213から離した状態で支持している。これにより、第2カバー部材220の上壁221と第1カバー部材210の上壁213との間に隙間G2(図10〜図12参照)が空くようになっている。
【0115】
これにより、断熱のための空気層が2層(隙間G1,G2)になるので、ステイ160から外部に熱が逃げるのをより抑えることができ、ニップ板130をより効率良く加熱することが可能となっている。
【0116】
次に、ステイ160、サーモスタット170、サーミスタ180、コイルバネ191,192およびカバー部材200の組み立てについて説明する。
【0117】
図3に示す状態から、まず、ステイ160に対して、第1カバー部材210を被せるように組み付ける。この際、図7および図8に示すように、ステイ160の位置決め穴163B,163Cに第1カバー部材210の位置決め凸部213B,213Cを入れることで、ステイ160に対して第1カバー部材210の位置決めが行われる。
【0118】
その後は、図3に示すように、第1カバー部材210の第1位置決め部231にサーモスタット170を配置し、各第2位置決め部232にサーミスタ180を配置する。また、第2カバー部材220の第1支持部241にコイルバネ191を取り付け、第2支持部242にコイルバネ192を取り付ける。そして、ステイ160に組み付けられた第1カバー部材210に対して、第2カバー部材220を重ね合わせるように組み付ける。
【0119】
その後、図13(a)に示すように、ネジB1を、第2カバー部材220の円穴243および第1カバー部材210(固定部233)の円形の貫通孔に通して、ステイ160の右側固定部161のネジ穴に螺合する。これにより、第1カバー部材210と第2カバー部材220、すなわち、カバー部材200は、右側(軸方向における一方側)がステイ160に対し左右方向に位置決めされた状態でステイ160に固定されることとなる。
【0120】
また、図13(b)に示すように、ネジB2を、第2カバー部材220の長穴244および第1カバー部材210の切欠部234に通して、ステイ160の左側固定部162のネジ穴に螺合する。ここで、切欠部234は左右方向の幅が左側固定部162の左右方向の長さよりも大きく、長穴244は左右方向に長い貫通孔なので、カバー部材200は、左側(軸方向における他方側)が、カバー部材200をステイ160に固定するためのネジB2に対し、左右方向に遊びを有した状態でステイ160に固定されることとなる。
【0121】
以上により、ステイ160、サーモスタット170、サーミスタ180、コイルバネ191,192およびカバー部材200が組み立てられる。
【0122】
なお、本実施形態では、前記のとおり、ステイ160に対して、(1)第1カバー部材210、(2)サーモスタット170およびサーミスタ180、並びに、(3)コイルバネ191,192を支持する第2カバー部材220を、(1)〜(3)の順に組み付けていくことができる。これにより、例えば、1部品としてのカバー部材にサーモスタット170やコイルバネ191などを組み付けていくような構成と比較して、組み付け性を向上させることができるようになっている。
【0123】
また、カバー部材200は、右側が位置決めされた状態でステイ160に固定され、左側がネジB2に対し左右に遊びを有した状態でステイ160に固定されているので、熱が伝わることでステイ160やカバー部材200が線膨張したとしても、その膨張を吸収することができるようになっている。これにより、ステイ160やカバー部材200の変形が抑制可能となっている。
【0124】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0125】
前記実施形態では、カバー部材200にガイド部材(ニップ上流ガイド310およびニップ下流ガイド320)を一体に形成したが、本発明はこれに限定されず、ガイド部材はカバー部材と別体であってもよい。ただし、カバー部材とガイド部材を一体に形成した場合には、部品点数を削減できるので、一体に形成するのが望ましい。また、カバー部材を設けずに、ガイド部材のみを定着装置に設けてもよい。
【0126】
前記実施形態では、ガイド面311,321をニップ板130の用紙搬送方向の両側に設けたが、本発明はこれに限定されず、一方側のみに設けてもよい。ただし、両側にガイド面を設けた場合には、ニップ部材の記録シート搬送方向の両端のエッジによって、筒状部材を傷付けるのを抑えることができるので、両側に設けるのが望ましい。
【0127】
前記実施形態では、各ガイド部材(ニップ上流ガイド310およびニップ下流ガイド320)の左右方向の全範囲をニップ板130に対して非接触としたが、本発明はこれに限定されず、ガイド部材はニップ部材の少なくとも画像形成範囲W(図3参照)の部分に対して非接触となる部分を有していればよい。ここで、画像形成範囲Wとは、画像形成装置で使用可能な最大サイズの用紙に対して印字可能な画像の最大幅(用紙幅方向の長さ)をいう。
【0128】
すなわち、例えば、ガイド部材は、画像形成範囲Wの部分に亘っておおよそ非接触であるが、部分的にはニップ部材と接触してもよい。これによっても、ガイド部材がニップ部材の画像形成範囲Wに対して非接触となる部分を有するので、ニップ部材の画像形成範囲W内の熱をガイド部材で奪うのを抑えて、ニップ部材を効率良く加熱することができる。同様に、ガイド部材は、反射部材の画像形成範囲に対して非接触となる部分を有するように構成されていてもよい。
【0129】
前記実施形態では、段差部322を第1カバー部材210の左右方向の略全体にわたって形成したが、本発明はこれに限定されず、段差部は、ガイド面よりもニップ部材側の部位のうち記録シートの幅方向の少なくとも一部に形成すればよい。この場合であっても、ガイド面よりもニップ部材側の部位の少なくとも一部(段差部が形成された部分)を筒状部材から確実に離すことができるので、当該部位と筒状部材との摺動抵抗を減らすことができ、筒状部材をスムーズに回転させることができる。
【0130】
前記実施形態では、ニップ部材として板状のニップ板130を採用したが、本発明はこれに限定されず、板状でない厚めの部材であってもよい。
【0131】
前記実施形態では、上部ガイド330は、定着ベルト110の軸方向における両端のみに設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、延出部側ガイド部は、筒状部材の軸方向に沿って断続的に設けられていてもよいし、軸方向の全範囲にわたって設けられていてもよい。
【0132】
前記実施形態では、カバー部材200は、右側が位置決めされた状態でステイ160に固定され、左側がネジB2(締結具)に対し左右方向に遊びを有した状態でステイ160に固定されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、カバー部材は、筒状部材の軸方向における中央が位置決めされた状態でステイに固定され、両端が締結具に対し左右方向に遊びを有した状態でステイに固定されていてもよい。
【0133】
前記実施形態では、第1カバー部材210と第2カバー部材220が、ステイ160に対して共通のネジB1,B2によって固定されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、第1カバー部材と第2カバー部材は、ステイに対して別々のネジによって固定されていてもよい。
【0134】
前記実施形態では、第1カバー部材210と第2カバー部材220とは、互いの一部同士を重ね合わせるようにして組み立てられるように構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、重ね合わせたときに、一方のフレームが、他方のフレームを完全に覆うように構成されていてもよい。
【0135】
前記実施形態では、カバー部材が2つのフレーム(部品)から構成されていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、1部品から構成されていてもよいし、3つ以上の部品から構成されていてもよい。
【0136】
前記実施形態では、バックアップ部材として加圧ローラ140を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ベルト状の加圧部材などであってもよい。
【0137】
前記実施形態では、加熱体としてハロゲンランプ120(ハロゲンヒータ)を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、カーボンヒータやIHヒータなどであってもよい。
【0138】
前記実施形態では、定着ベルト110(筒状部材)が金属製であったが、本発明はこれに限定されず、例えば、ポリイミド樹脂などの樹脂から形成されていてもよいし、ゴムなどの弾性を有する材料から形成されていてもよい。また、筒状部材は、多層構造であってもよい。具体的には、例えば、金属製ベルトの表面に摺動抵抗を低減するための樹脂層などを有する構造であってもよいし、金属製ベルトの表面にゴム層などの弾性層を有する構造であってもよい。
【0139】
前記実施形態では、反射部材150とステイ160の両方を備える構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、ステイのみを備える構成としてもよい。なお、ステイのみを備える(反射部材を設けない)構成とした場合、ステイは、ヒータと対向する側の面に、ヒータからの輻射熱をニップ板に向けて反射する反射面を有していてもよい(すなわち、ステイと反射部材が一体に構成されていてもよい。)。
【0140】
前記実施形態では、記録シートとして、普通紙やはがきなどの用紙Sを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、OHPシートなどであってもよい。
【0141】
前記実施形態では、本発明の定着装置を備える画像形成装置として、モノクロの画像を形成するレーザプリンタ1を例示したが、これに限定されず、例えば、カラーの画像を形成するプリンタであってもよい。また、画像形成装置は、プリンタに限定されず、例えば、フラットベッドスキャナなどの原稿読取装置を備える複写機や複合機などであってもよい。
【符号の説明】
【0142】
100 定着装置
110 定着ベルト
120 ハロゲンランプ
130 ニップ板
140 加圧ローラ
150 反射部材
160 ステイ
310 ニップ上流ガイド
311 ガイド面
320 ニップ下流ガイド
321 ガイド面
S 用紙
W 画像形成範囲
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シート上に現像剤像を熱定着するための定着装置であって、
可撓性を有する筒状部材と、
前記筒状部材の内周面に摺接するニップ部材と、
前記筒状部材の内側に配置され、前記ニップ部材を加熱する加熱体と、
前記ニップ部材との間で前記筒状部材を挟むバックアップ部材と、
前記ニップ部材の前記記録シート搬送方向の少なくとも一方側に配置され、前記筒状部材の内周面をガイドするガイド面を有するガイド部材と、を備え、
前記ガイド部材は、前記ニップ部材の少なくとも画像形成範囲の部分に対して非接触となる部分を有することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記ニップ部材に対して非接触となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記ガイド面よりも前記ニップ部材側には、前記ガイド面よりも前記ニップ部材と前記バックアップ部材とが対向する方向における前記加熱体側に凹んだ段差部が、前記記録シートの幅方向の少なくとも一部に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記段差部は、前記幅方向全体にわたって形成されていることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記ガイド面が、前記ニップ部材の前記記録シート搬送方向の両側に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記加熱体を囲んだ状態で前記ニップ部材を支持するステイと、
前記筒状部材の内側に配置され、前記ステイを前記加熱体とは反対側から覆うカバー部材と、を備え、
前記ガイド部材が前記カバー部材に一体に形成されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項7】
前記ニップ部材とともに前記加熱体を囲むように配置され、当該加熱体からの輻射熱を前記ニップ部材に向けて反射する反射部材を備え、
前記ガイド部材は、前記反射部材の少なくとも画像形成範囲の部分に対して非接触となる部分を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項8】
前記ガイド部材は、前記反射部材に対して非接触となるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の定着装置。
【請求項1】
記録シート上に現像剤像を熱定着するための定着装置であって、
可撓性を有する筒状部材と、
前記筒状部材の内周面に摺接するニップ部材と、
前記筒状部材の内側に配置され、前記ニップ部材を加熱する加熱体と、
前記ニップ部材との間で前記筒状部材を挟むバックアップ部材と、
前記ニップ部材の前記記録シート搬送方向の少なくとも一方側に配置され、前記筒状部材の内周面をガイドするガイド面を有するガイド部材と、を備え、
前記ガイド部材は、前記ニップ部材の少なくとも画像形成範囲の部分に対して非接触となる部分を有することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記ニップ部材に対して非接触となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記ガイド面よりも前記ニップ部材側には、前記ガイド面よりも前記ニップ部材と前記バックアップ部材とが対向する方向における前記加熱体側に凹んだ段差部が、前記記録シートの幅方向の少なくとも一部に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記段差部は、前記幅方向全体にわたって形成されていることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記ガイド面が、前記ニップ部材の前記記録シート搬送方向の両側に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記加熱体を囲んだ状態で前記ニップ部材を支持するステイと、
前記筒状部材の内側に配置され、前記ステイを前記加熱体とは反対側から覆うカバー部材と、を備え、
前記ガイド部材が前記カバー部材に一体に形成されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項7】
前記ニップ部材とともに前記加熱体を囲むように配置され、当該加熱体からの輻射熱を前記ニップ部材に向けて反射する反射部材を備え、
前記ガイド部材は、前記反射部材の少なくとも画像形成範囲の部分に対して非接触となる部分を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項8】
前記ガイド部材は、前記反射部材に対して非接触となるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の定着装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−68664(P2013−68664A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205142(P2011−205142)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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