説明

定置型ガス検知器

【課題】 消費電力の少ない定置型ガス検知器を提供すること。
【解決手段】 定置型ガス検知器は、液晶表示装置を有する定置型ガス検知器において、
液晶表示装置はバックライトを有し、当該バックライトの光源ランプを駆動する光源ランプ駆動回路が、常時点灯モードと省電力モードとの間で切り替え可能とされていることを特徴とする。また、光源ランプ駆動回路は、当該定置型ガス検知器が通常動作状態にある期間において、通常動作状態が一定時間継続された時以後は省電力モードとされ、当該定置型ガス検知器が非常動作状態となった時に常時点灯モードに切り替えられることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置を有する定置型ガス検知器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体装置製造工場や各種の化学工場などにおいて、環境雰囲気中に特定の危険性ガスが高濃度で含有されることにより作業者にとって危険な状態となった場合に、そのことを検知して報知するために定置型ガス検知器が用いられている。そして、このような定置型ガス検知器は、通常、検知対象ガスの濃度、危険性の程度、その他の情報を表示するための液晶表示部を有している。
【0003】
定置型ガス検知器は環境雰囲気中の検知対象ガスの濃度を継続的に監視するものであり、その動作状態においては、液晶表示部が視認可能な状態とされる必要がある場合および時間はきわめて限られている。
しかしながら、従来の定置型ガス検知器においては、液晶表示部のバックライトの光源ランプが常時点灯されていることにより、当該液晶表示部が常時視認可能な状態とされていた。
【0004】
1つの光源ランプの消費電力は僅かではあるが、実際には多数のガスを検知するために多数のガス検知器が同時に使用されることが多く、その結果、全体の消費電力は相当に大きなものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、消費電力の少ない定置型ガス検知器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の定置型ガス検知器は、液晶表示装置を有する定置型ガス検知器において、
液晶表示装置はバックライトを有し、当該バックライトの光源ランプを駆動する光源ランプ駆動回路が、常時点灯モードと省電力モードとの間で切り替え可能とされていることを特徴とする。
【0007】
本発明の定置型ガス検知器においては、光源ランプ駆動回路は、当該定置型ガス検知器が通常動作状態にある期間において、通常動作状態が一定時間継続された時以後は省電力モードとされ、当該定置型ガス検知器が非常動作状態となった時に常時点灯モードに切り替えられることが好ましい。
【0008】
本発明の定置型ガス検知器においては、光源ランプ駆動回路は、省電力モードとされている状態において、手動操作により、常時点灯モードに切り替えられる構成とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、液晶表示装置を構成するバックライトの光源ランプを駆動する光源ランプ駆動回路が、常時点灯モードと省電力モードとの間で切り替え可能とされているので、当該定置型ガス検知器が通常動作状態にある期間において、通常動作状態が一定時間継続された時以後は省電力モードとされることにより、無駄な消費電力が低減されると共に、当該定置型ガス検知器が非常動作状態となった時に常時点灯モードに切り替えられることにより、ガス検知器の性能および機能を一切犠牲にすることなく、消費電力の少ない定置型ガス検知器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】定置型ガス検知器の一例を示す正面図である。
【図2】液晶表示装置の一例における構成を示す説明用断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
【0012】
図1は、定置型ガス検知器の一例を示す正面図であり、図2は、液晶表示装置の一例における構成を示す説明用断面図である。
この定置型ガス検知器は、定置型ガス検知器本体内に液晶表示装置を有しており、正面には、例えば検知対象ガスの種類およびその時点での濃度、危険性の程度、その他の情報を表示する液晶表示部68が、4つの操作用ボタンを備えた操作部69と共に設けられている。そして、下面にはガス配管接続部29が設けられ、後背面には、例えば壁面など垂直な被取り付け面に固定される装着部(図示せず)が設けられている。
【0013】
70Aは正面に設けられたガスセンサの種類などの情報を示す銘板、67は外部から銘板70Aを視認するための視認用開口部である。
【0014】
本発明の定置型ガス検知器に用いられるガスセンサとしては、例えば定電位電解式センサ、熱粒子化式センサ、カルバニ電池式センサ、接触燃焼式センサ、半導体式センサなどを挙げることができる。
【0015】
液晶表示部68は、例えば図2に示すように、バックライト103を有する液晶表示装置100により構成されている。バックライト103は、光源ランプ101と、この光源ランプ101から放射され、一面側から入射された光を反射する傾斜反射面を有する導光板102と、導光板102より上方に向う反射光を受ける拡散板105およびプリズムシート106とから構成されており、液晶表示パネル104の背後に配置されている。
【0016】
光源ランプ101は、例えば定格電流が約8mAのものであり、この光源ランプ101を駆動する光源ランプ駆動回路が、例えば液晶表示制御回路と共に回路基板(図示せず)に設けられている。
【0017】
光源ランプ駆動回路は、光源ランプ101が定格電流により点灯される状態を維持する常時点灯モードと、光源ランプ101が消灯または定格より少ない電流で点灯される省電力モードとの間で切り替え可能とされている。
【0018】
また、光源ランプ駆動回路は、定置型ガス検知器が通常動作状態にある期間において、通常動作状態が一定時間継続された時(以下、「通常動作確認時間」ともいう。)、例えば30秒間継続した時点で、省電力モードに切り替わるよう、例えばタイマー回路を利用して構成されており、定置型ガス検知器が非常動作状態に陥ったときには、ガスセンサからの電気的信号などにより、省電力モードから直ちに常時点灯モードに復帰するよう構成されている。
【0019】
さらに、光源ランプ駆動回路は、省電力モードとされている状態において、人為的に強制的に常時点灯モードに切り替わるよう構成されており、具体的には、例えば操作部69の4つの操作用ボタンのいずれかを押すことにより、常時点灯モードに切り替わるよう構成されている。
【0020】
以上において、「通常動作状態」とは環境雰囲気が正常で定置型ガス検知器は通常の監視状態にある状態であり、「非常動作状態」とは、例えば環境雰囲気が危険な状況となり定置型ガス検知器が警告を発する状態、検知器自体の故障が発生した状態または検知器自体の保守点検や試験をしている状態などの、通常の監視状態以外にある状態である。
【0021】
このような定置型ガス検知器は、例えば工場などのガス検知対象空間を画成する壁面、その他の構造体に設置され、当該ガス検知対象空間における検知対象ガスの濃度を監視し、当該濃度およびその他の情報が液晶表示部68に表示される。
本発明においては、通常動作確認時間が経過した時点で、光源ランプ駆動回路が省電力モードに切り替わって、バックライト103の光源ランプ101が消灯され、非常動作状態に陥ったとき、例えばガス検知対象空間における検知対象ガスの濃度が規定値を超えたときに、例えば警報音を鳴動すると共に、光源ランプ駆動回路が直ちに常時点灯モードに復帰して、バックライト103の光源ランプ101が点灯し、検知対象ガスの濃度が規定値を超えた旨が液晶表示部68に表示される。
【0022】
また、この定置型ガス検知器においては、光源ランプ駆動回路が省電力モードとされている状態において、例えば保守点検や試験などのように一定時間液晶表示部68を常時視認可能な状態とする必要がある場合には、操作部69の操作用ボタンを押すことにより、光源ランプ駆動回路が強制的に常時点灯モードに復帰して、バックライト103の光源ランプ101が点灯し、液晶表示部68を視認可能な状態とすることができる。
【0023】
以上のように、本発明によれば、光源ランプ駆動回路が、常時点灯モードと省電力モードとの間で切り替え可能とされているので、当該定置型ガス検知器が通常動作状態にある期間において、通常動作状態が一定時間継続された時以後は省電力モードとされることにより、無駄な消費電力が低減されると共に、当該定置型ガス検知器が非常動作状態となった時に常時点灯モードに切り替えられることにより、ガス検知器の性能および機能を一切犠牲にすることなく、消費電力の少ない定置型ガス検知器を提供することができる。
【0024】
また、本発明によれば、光源ランプ駆動回路が省電力モードとされている状態において、手動操作により、常時点灯モードに切り替え可能とされているので、液晶表示部68を常時視認可能な状態とする必要がある場合においては、任意にバックライト103の光源ランプ101の点灯状態を対応させることができる。
【0025】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。例えば、銘板70Aを照射する照明用LEDは、バックライト103の光源ランプ101が点灯される場合においては、光源ランプ101の点灯信号に連動して点灯されるよう構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0026】
29 ガス配管接続部
67 視認用開口部
68 液晶表示部
69 操作部
70A 銘板
100 液晶表示装置
101 光源ランプ
102 導光板
103 バックライト
104 液晶表示パネル
105 拡散板
106 プリズムシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示装置を有する定置型ガス検知器において、
液晶表示装置はバックライトを有し、当該バックライトの光源ランプを駆動する光源ランプ駆動回路が、常時点灯モードと省電力モードとの間で切り替え可能とされていることを特徴とする定置型ガス検知器。
【請求項2】
光源ランプ駆動回路は、当該定置型ガス検知器が通常動作状態にある期間において、通常動作状態が一定時間継続された時以後は省電力モードとされ、当該定置型ガス検知器が非常動作状態となった時に常時点灯モードに切り替えられることを特徴とする請求項1に記載の定置型ガス検知器。
【請求項3】
光源ランプ駆動回路は、省電力モードとされている状態において、手動操作により、常時点灯モードに切り替えられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定置型ガス検知器。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−218100(P2010−218100A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62733(P2009−62733)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000250421)理研計器株式会社 (216)
【Fターム(参考)】