説明

定量注出器及びそれを備える容器

【課題】一定量を注出する定量注出器及びそれを備える容器を提供する。
【解決手段】容器10と、開口A1を有するベース211と、外部に通じる開口A3を有するケース220と、開口から露出する先端231を有するノズル230とからなる定量注出器200を備える容器であって、ベースに、開口を容器内から圧送された内容物により開いて内容物を充填空間R1に導入し、内容物の減少により閉じて内容物の空間への導入を遮断する逆止弁240を設け、逆止弁は、ボール部材242と弁座241とからなるボール弁であって、弁座にエア逆止弁となる膜板243を一体に設け、ノズルは、ケース内壁224に摺動自在に保持され引き出しにより空間を拡大し押し込みにより空間を減少させるフランジ232を有するピストンノズルである。更に、キャップ250を付加して備え、キャップの天面内壁251fに、ノズル先端231と着脱自在に係合しキャップの取り外しに伴ってノズルを引き出す係合部253を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育毛剤等の薬液や化粧料を内容物として、その内容物を常に一定の容量に充填する空間を有し、この空間からノズルの先端を経て内容物を注出する定量注出器及びそれを備える容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
こうした定量注出容器には、例えば、容器の口部に密着固定されその内部に通じる開口を有するベースと、このベースに合わさって内部空間を形成し該内部空間を外部に通じさせる開口を有するケースと、このケースの開口に摺動自在に保持され当該開口から先端が露出してその内部に内部通路を有するノズルとを備えるものがある。かかる従来容器は、このノズルの先端をいっぱいまで引き出してベースの開口を開き、容器ごと反転させてベースとケースとの間に形成した内部空間に一定量の内容物を取り出したのち、ノズルの先端を頭皮等に押圧させて元の状態まで押し込むことにより、ベースの開口をノズルの後端で封止して容器内から内容物を当該内部空間内に導入することなく注出を行うものである (例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−337910号公報
【0003】
しかしながら、上述の従来容器は、引き出したノズルを元の状態まで完全に押し込むことによってその後端が容器内に通じるベースの開口を閉じる構成であるため、ノズルの先端を頭皮にしっかり押圧しないとベースの開口が完全に閉じられずに内容物が余分に流れ出るという不都合があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、上述した事実認識に基づいてなされたものであり、容器から内容物の充填を完了したのちも、容器から充填空間内に内容物が流れ込むことなく、常に、予め定められた用法・用量に基づいた一定量を注出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る定量注出器は、容器の口部に密着固定され該容器内に通じる開口を有するベースと、このベースに合わさって内部空間を形成し該内部空間を外部に通じさせる開口を有するケースと、このケースの開口から露出する先端を有し前記内部空間にベースの開口から導入された内容物を一定の容量で充填する充填空間を形成して当該先端の開口から内容物を注出するノズルとを備える定量注出器であって、前記ベースに、チューブを介した内容物の当該開口への流入により押し開かれて該内容物を前記充填空間に導入する逆止弁を設けたことを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明に係る定量注出器を備える容器は、容器の口部に密着固定され該容器内に通じる開口を有するベースと、このベースに合わさって内部空間を形成し該内部空間を外部に通じさせる開口を有するケースと、このケースの開口から露出する先端を有し前記内部空間にベースの開口から導入された内容物を一定の容量で充填する充填空間を形成して当該先端の開口から内容物を注出するノズルとからなる定量注出器を備える容器であって、前記容器は、その復元力のある胴部を有し、この胴部をスクイーズすることにより胴部に繋がる口部から内容物を圧送するスクイーズ容器であると共に、前記ベースに、チューブを介してその開口を容器内から圧送された内容物により開いて該内容物を前記充填空間に導入する逆止弁を設けたことを特徴とするものである。
【0007】
なお、本発明にあっては、ノズルをケースの開口に摺動自在に保持し、ベースとケースとを合わせて形成した内部空間そのものを充填空間とする場合も、本発明の特許請求の範囲に含む。この場合、内部空間から内容物を先端から注出するための内部通路も、ノズルの側面に設けた開口からノズル先端に抜けるL字形又はT字形に形成し、ノズルの引き出しよりノズル側面の開口を封止する一方、その押し込みよりノズル側面の開口を内部空間に開いて注出させる。
【0008】
また、本発明において、前記ノズルは、ケースの内壁に摺動自在に保持され当該ノズルの引き出しにより充填空間を拡大し当該ノズルの押し込みにより充填空間を減少させるフランジを有するピストンノズルであることが好ましい。
【0009】
また、本発明にあっては、前記ノズルの先端開口に通じる内部通路に、その先端に向かって小径となる少なくとも1つの段差を設けることが好ましい。更に、本発明にあっては、前記ノズルの先端開口に絞りを設けることが好ましい。
【0010】
加えて、本発明にあっては、前記ベースに、容器内にエアを導入するエア導入孔と、このエア導入孔を容器内の負圧により開放して当該容器内にエアを導入するエア逆止弁を設けることが好ましい。特に、この場合、前記逆止弁は、ボール部材と弁座とからなるボール弁であって、この弁座に前記エア逆止弁を一体に設けてなることが好ましい。
【0011】
更に加えて、本発明にあっては、前記ケース又は前記容器の口部に着脱自在に取り付けられるキャップを付加して備え、このキャップの天面内壁に、前記ノズルの先端と着脱自在に係合しキャップの取り外しに伴って当該ノズルを引き出す係合部を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る定量注出器及びそれを備える容器にあっては、容器と充填空間とを連通させる開口を有するベースに、チューブを介した内容物の当該開口への流入により押し開かれて該内容物を前記充填空間に導入する逆止弁を設けたことにより、注出中にノズルの動作不良が生じても、この動作不良によってベースの開口が完全に閉じられずに内容物が余分に流れ出るということが無い。従って、本発明によれば、容器から内容物の充填を完了したのちも、容器から充填空間内に内容物が流れ込むことなく、常に、予め定められた用法・用量に基づいた一定量を注出することができる。
【0013】
ところで、育毛剤を塗布する際には、頭皮に刺激を与えることが効果的であることは周知であるが、かかる従来容器にあっては、ケース内に充填された内容物を自重という一定の力によってのみ注出するため、こうした副次的な効果が得られないという問題もあった。
【0014】
そこで、本発明にあっては、前記ノズルを、ケースの内壁に摺動自在に保持され当該ノズルの引き出しにより充填空間を拡大し当該ノズルの押し込みにより充填空間を減少させるフランジを有するピストンノズルとしている。かかる構成によれば、充填空間内の内容物がフランジによってノズル先端に向かって加圧・圧送されるため、ノズルから注出された内容物の圧力によって頭皮や感部に刺激やマッサージ効果を与えられるという副次的な効果が得られる。
【0015】
また、本発明にあっては、前記ノズルの先端開口に通じる内部通路に、その先端に向かって小径となる少なくとも1つの段差を設ければ、ノズルから注出された内容物の圧力が更に高まるため、頭皮や感部に与えられる刺激やマッサージ効果が一層顕著なものとなる。更に、ノズルの先端開口に絞りを設けても、同様の効果を奏する。
【0016】
加えて、本発明にあっては、前記ベースに、容器内にエアを導入するエア導入孔と、このエア導入孔を容器内の負圧により開放して当該容器内にエアを導入するエア逆止弁を設けることにより、容器内に生じる負圧に起因する変形を防止することができる。特に、この場合、前記逆止弁は、ボール部材と弁座とからなるボール弁であって、この弁座に前記エア逆止弁を一体に設ければ、定量注出器の小型化を図ることができる。
【0017】
更に加えて、本発明にあっては、前記ケース又は前記容器の口部に着脱自在に取り付けられるキャップを付加して備え、このキャップの天面内壁に、前記ノズルの先端と着脱自在に嵌合しキャップの取り外しに伴って当該ノズルを引き出す嵌合部を設ければ、手を汚すことなく、ノズルの引き出しを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明である定量注出器を備える容器を詳細に説明にする。
【0019】
図1(a)は、本発明の一形態である育毛剤容器1を示す要部拡大図であり、図面の向かって右側に不使用状態の育毛剤容器1を示し、図面の向かって左側に注出準備完了状態の育毛剤容器1を示す。この育毛剤容器1は、後述の定量注出器100と、この定量注出器100が取り付けられる容器10とからなる。
【0020】
次に、定量注出器100を説明すると、図1において、符号110は、容器10の口部12に保持固定されるベースである。このベース110は、容器口部12の開口を覆う天面部111と、この天面部111から一体に垂下して容器口部12の開口に嵌合するシール周壁112とを有し、容器口部12に密着固定されている。また、天面部111の中心は、容器10に向かって円筒状に窪んでおり、その内部からロッド113が一体に立設されている。また、ロッド113の下端には、容器10内に通じる開口A1が設けられており、容器10内に伸びるチューブ115が接続されている。
【0021】
符号120は、このベース110に合わさるケースである。このケース120は、ベース天面部111の外縁から一体に立設した周壁114に嵌合する周溝121と、この周溝121から一体に垂下して容器口部12にアンダーカット嵌合される外壁122とを有する。この外壁122は、ベース110との間に内部空間Rを形成し、この内部空間Rを外部に通じさせる開口A3を有する円筒部123を有する。
【0022】
符号130は、内部空間Rにベース110の開口A1から導入された内容物を一定の容量で充填する充填空間R1を形成するピストンノズルである。ピストンノズル130は、ケース120の開口A3から露出する先端131と、ケース120の内壁124に摺動自在に保持されるフランジ132とを一体に有し、その内部に、先端131とフランジ132とを貫く内部通路133が形成されている。内部通路133は、その先端131に向かって小径となる段差134が設けられており、更に、その先端開口A2に絞り135を設けている。これにより、ピストンノズル130は、ベース110及びケース120と共に、ベース110の開口A1から導入された内容物を一定の容量で充填する充填空間R1を形成し、その引き出しにより充填空間R1を拡大させる(図1の向かって左側参照。)一方、その押し込みにより充填空間R1を減少させる(図1の向かって右側参照。)。
【0023】
符号140は、充填空間R1から容器10への内容物の逆流を防止するための復元性のある樹脂で構成された逆止弁であり、ベース110のロッド113に挿嵌される基部141と、この基部141から円盤状に広がる膜板142とを一体に成形してなり、その外縁142eがベース天面部111に当接する。これにより、逆止弁140は、ベース天面部111の中心に設けた窪みと共に環状の空間S1を形成し、この空間S1に圧送された内容物の圧力が膜板142の復元力よりも大きくなるか、又は、充填空間R1の負圧により開いて該内容物を充填空間R1に導入し、空間S1に圧送された内容物の圧力が膜板142の復元力よりも小さくなるか、又は、充填空間R1の負圧がゼロになると閉じて充填空間R1の内容物の導入及びその逆流を遮断する。
【0024】
符号150は、容器10の口部12に着脱自在に取り付けられるキャップである。このキャップ150は、その天面部151の内壁151fに、ピストンノズル130の先端開口A2をシールするシール周壁152と、ノズル先端131の下端を着脱自在にアンダーカット嵌合する円筒形の係合部153とを一体に有する。この係合部153によれば、キャップ150の取り外しに伴ってピストンノズル130を引き出すことができる。なお、キャップ150からのピストンノズル130の離脱は、ノズル先端131と係合部153との嵌合力を基に適宜変更できる。
【0025】
次に、本形態の作用を説明する。
【0026】
先ず図1の向かって右側に示す状態から使用者がキャップ150を取り外すと、ピストンノズル130は、手を汚すことなく、図1の向かって左側に示す如くケース120の開口A3から引き出されて充填空間R1を拡大する。この際、ピストンノズル130の先端開口A2はシール周壁152によりシールされているため、充填空間R1は密閉状態になっており、キャップ150の取り外しに伴うピストンノズル130の上昇による充填空間R1の拡大と共に充填空間R1内は負圧の状態が発生する。この負圧の発生に伴い、逆止弁140の膜板142が上方に向けて開き、容器10の内容物はチューブ115からベース110の開口A1、逆止弁140を介して内容物が充填空間R1に導入される。充填空間R1内の負圧は、キャップ150の取り外しと共にゼロとなり内容物の導入が終了し、同時に、逆止弁140の膜板142が自身の有する弾性により復元して閉じられて内容物の導入及びその逆流を遮断する。この状態で、容器1を傾倒・倒立させて内容物の注出が行われる。
【0027】
次に、注出が終了した状態で、更に使用する場合には、キャップ150を再度取り付けて同様の操作を行うか、指などでピストンノズル130の先端開口A2を塞ぎピストンノズル130を引き上げれば、充填空間R1内に内容物が導入されることになる。或いは、容器10がスクイーズ可能な復元性のある胴部を有する場合には、注出完了後、ピストンノズル130を引き上げ、充填空間R1を拡大した状態で容器10の胴部11をスクイーズさせても、容器10内の内容物は、チューブ115からベース110の開口A1を経て空間S1に圧送され、逆止弁140を開いて該内容物を充填空間R1に導入する。これにより、充填空間R1に内容物が所定の容量だけ充填されると、逆止弁140が閉じられて内容物の導入及びその逆流を遮断する。また、実際に内容物を注出する際に、容器1を傾倒・倒立させてピストンノズル130の先端131を頭部に押し当てても、膜板142の外縁142eがベース天面部111に当接したまま開口A1を開かない。
【0028】
即ち、本形態は、ピストンノズル130とは別体に逆止弁140を設けたことにより、注出中に生じるピストンノズル130の動作不良によってベース110の開口A1が完全に閉じられずに内容物が余分に流れ出るということが無い。従って、本形態によれば、容器10から内容物の充填を完了したのちも、容器から充填空間R1内に内容物が流れ込むことなく、常に、予め定められた用法・用量に基づいた一定量を注出することができる。
【0029】
また、本形態は、実際に内容物を注出する際に、ピストンノズル130の先端131を頭部に押し当てると、ピストンノズル130がベース110に向かって押し込まれる。この場合、充填空間R1内の内容物は、フランジ132によってノズル先端131に向かって加圧・圧送されるため、ピストンノズル130から注出された内容物の圧力によって頭皮や感部に刺激やマッサージ効果を与えられるという副次的な効果が得られる。
【0030】
また、本形態にあっては、ピストンノズル130の先端開口A2に通じる内部通路133に、その先端131に向かって小径となる段差134が設けられているため、ピストンノズル130から注出された内容物の圧力が更に高まるため、頭皮に与えられる刺激やマッサージ効果が一層顕著なものとなる。更に、本形態にあっては、ピストンノズル130の先端開口A2に絞り135が設けられているため、頭皮に与えられる刺激やマッサージ効果が更に一層顕著なものとなる。
【0031】
ところで、容器10にあっては、その内部が密閉されるため、内容物の注出による減少に伴い容器10内の負圧が高まって変形を起こすことがある。このため、本形態の変形例として、図1(b)の要部拡大図に示す如く、ベース110に、容器10内にエアを導入するエア導入孔A4と、このエア導入孔A4を容器10内の負圧により開放して当該容器内にエアを導入するエア逆止弁160を設けることが好ましい。このエア逆止弁160は、容器10へのエアの導入を許容し、容器10からのエアの逃げを防止するための復元性のある樹脂で構成された逆止弁であり、容器10内の負圧が高まってその負圧がエア逆止弁160の復元力よりも大きくなると開いて容器10内にエアを導入し、容器10内の負圧が下がってエア逆止弁160の復元力よりも小さくなると閉じる。この場合、容器10内に生じる負圧に起因する変形を防止することができる。
【0032】
次に、図2は、本発明の他の形態である育毛剤容器2を示す要部拡大図であり、図面の向かって右側に不使用状態の育毛剤容器2を示し、図面の向かって左側に注出準備完了状態の育毛剤容器2を示す。なお、以下の説明において、図1と同一部分は同一符号をもってその説明を省略する。
【0033】
定量注出器200を説明すると、図2において、符号210は、容器10の口部12に保持固定されるベースである。このベース210は、容器口部12の開口を覆う天面部211と、この天面部211から一体に垂下して容器口部12の開口に嵌合するシール周壁212とを有し、容器口部12に密着固定されている。また、天面部211の中心には、後述の逆止弁240を固定保持する突部213と、この突部213の外側に同心二重配置された環状の仕切壁214とが立設し、突部213には、容器10内に伸びるチューブ115が接続された開口A1が設けられている。
【0034】
符号220は、このベース210に合わさるケースである。このケース220は、ベース天面部211の外縁から一体に立設した周壁215に嵌合する周溝221と、この周溝221から一体に垂下して容器口部12にアンダーカット嵌合される外壁222とを有する。この外壁222は、ベース210との間に内部空間Rを形成し、この内部空間Rを外部に通じさせる開口A3を有する円筒部223を有する。
【0035】
符号230は、内部空間Rにベース210の開口A1から導入された内容物を一定の容量で充填する充填空間R1を形成するピストンノズルである。ピストンノズル230は、ケース220の開口A3から露出する先端231と、ケース220の内壁224に摺動自在に保持されるフランジ232とを一体に有し、その内部に、先端231とフランジ232とを貫く内部通路233が形成されている。特に、本形態において、内部通路233は、そのフランジ233側に、ベース211の仕切壁214との間に環状の隙間Cを形成する環状の拡張内壁234を有し、この拡張内壁234に並列するベース210の仕切壁214によって、充填空間R1の一部を、内容物への加圧が重点的に行われる環状の増圧空間R2と区分する。また、内部通路233は、その先端231に向かって小径となる段差235が設けられており、更に、その先端開口A2に絞り236を設けている。これにより、ピストンノズル230は、ベース210及びケース220と共に、ベース210の開口A1から導入された内容物を一定の容量で充填する充填空間R1を形成し、その引き出しにより充填空間R1を拡大させる(図2の向かって左側参照。)一方、その押し込みにより充填空間R1を減少させる(図2の向かって右側参照。)。
【0036】
符号240は、容器10への内容物の逆流と、容器10内の負圧の発生とを防止するための逆止弁であり、ベース110の突部213に保持固定される弁座241と、この弁座241内に収容されたボール部材242とを有する。これにより、逆止弁240は、ベース210の開口A1に圧送された内容物の圧力がボール部材242の自重よりも大きくなるか、又は、充填空間R1の負圧により開いて該内容物を充填空間R1に導入し、開口A1に圧送された内容物の圧力がボール部材242の自重よりも小さくなるか、又は、充填空間R1の負圧がゼロになると閉じて充填空間R1の内容物の導入及びその逆流を遮断する。
【0037】
加えて、逆止弁240には、その弁座241から傘状に広がる膜板243が一体成形されており、その外縁243eが仕切壁214の内壁に当接する。これにより、膜板243は、容器10内の負圧が膜板243の復元力よりも大きくなると開いてベース210の突部213と仕切壁214との間に形成されたエア導入孔A4から容器10内にエアを導入し、容器10内の負圧が膜板243の復元力よりも小さくなると閉じて容器10内へのエアの導入を遮断する。
【0038】
符号250は、容器10の口部12に着脱自在に取り付けられるキャップである。このキャップ250も、その天面部251の内壁251fに、ピストンノズル230の先端開口A2をシールするシール周壁252と、ノズル先端231の下端を着脱自在にアンダーカット嵌合する円筒形の係合部253とを一体に有する。この係合部253によれば、キャップ250の取り外しに伴ってピストンノズル230を引き出すことができる。なお、キャップ250からのピストンノズル230の離脱も、ノズル先端231と係合部253との嵌合力を基に適宜変更できる。
【0039】
次に、本形態の作用を説明する。
【0040】
先ず図2の向かって右側に示す状態から使用者がキャップ250を取り外すと、ピストンノズル230は、手を汚すことなく、図2の向かって左側に示す如くケース220の開口A3から引き出されて充填空間R1を拡大する。この際、ピストンノズル230の先端開口A2はシール周壁252によりシールされているため、充填空間R1は密閉状態になっており、キャップ250の取り外しに伴うピストンノズル230の上昇による充填空間R1の拡大と共に充填空間R1内は負圧の状態が発生する。この負圧の発生に伴い、ボール部材242が上方に向けて移動し、容器10の内容物はチューブ115からベース210の開口A1、ボール部材242と弁座241の隙間を介して内容物が充填空間R1に導入される。充填空間R1内の負圧は、キャップ250の取り外しと共にゼロとなり内容物の導入が終了し、同時に、ボール部材242が自重により弁座241に着座して閉じられて内容物の導入及びその逆流を遮断する。この状態で、容器2を傾倒・倒立させて内容物の注出が行われる。
【0041】
次に、注出が終了した状態で、更に使用する場合には、キャップ250を再度取り付けて同様の操作を行うか、指などでピストンノズル230の先端開口A2を塞ぎピストンノズル230を引き上げれば、充填空間R1内に内容物が導入されることになる。或いは、容器10がスクイーズ可能な復元性のある胴部を有する場合には、注出完了後、ピストンノズル230を引き上げ、充填空間R1を拡大した状態で容器10の胴部11をスクイーズさせても、容器10内の内容物は、チューブ115からベース210の開口A1に圧送され、ボール部材242が弁座241から離間して該内容物を充填空間R1に導入する。これにより、充填空間R1に内容物が所定の容量だけ充填されると、ボール部材242が弁座241に着座して内容物の導入及びその逆流を遮断する。また、実際に内容物を注出する際に、容器1を傾倒・倒立させてピストンノズル230の先端231を頭部に押し当てても、ボール部材242は弁座241に着座して開口A1は開かない。
【0042】
即ち、本形態も、ピストンノズル230とは別体に弁座241とボール部材242からなる逆止弁240を設けたことにより、注出中に生じるピストンノズル230の動作不良によってベース210の開口A1が完全に閉じられずに内容物が余分に流れ出るということが無い。従って、本形態によれば、容器10から内容物の充填を完了したのちも、容器から充填空間R1内に内容物が流れ込むことなく、常に、予め定められた用法・用量に基づいた一定量を注出することができる。
【0043】
加えて逆止弁240は、その弁座241に一体に膜板243からなるエア逆止弁を設けたことにより、容器10内の負圧が高まってその負圧が膜板243の復元力よりも大きくなると開いて容器10内にエアを導入し、容器10内の負圧が下がって膜板243の復元力よりも小さくなると閉じてエアを遮断する。このため、本形態も、容器10内に生じる負圧に起因する変形を防止することができる。特に、この場合、逆止弁240は、ボール部材242と弁座241とからなるボール弁であって、この弁座241に膜板243を一体に設けたことにより、定量注出器の小型化を図ることができる。
【0044】
また、本形態は、実際に内容物を注出する際に、ピストンノズル230の先端231を頭部に押し当てると、ピストンノズル230がベース210に向かって押し込まれる。この場合、充填空間R1内の内容物、特に、増圧空間R2の内容物は、フランジ232によって隙間Cを通ってノズル先端231に向かって加圧・圧送されるため、ピストンノズル230から注出された内容物の圧力によって頭皮に定量注出器100に比べてより一層の刺激やマッサージ効果を与えられるという副次的な効果が得られる。
【0045】
また、本形態にあっても、ピストンノズル230の先端開口A2に通じる内部通路233に、その先端231に向かって小径となる段差235が設けられているため、ピストンノズル230から注出された内容物の圧力が更に高まるため、頭皮に与えられる刺激やマッサージ効果が一層顕著なものとなる。更に、本形態にあっては、ピストンノズル230の先端開口A2に絞り236が設けられているため、頭皮に与えられる刺激やマッサージ効果が更に一層顕著なものとなる。
【0046】
上述したところは、本発明の好適な実施例を示したに過ぎず、当業者によれば、請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、本発明にあっては、ノズル130(230)をケース120(220)の開口A1に摺動自在に保持し、ベース110(210)とケースとを合わせて形成した内部空間Rそのものを充填空間R1とする場合も、本発明の特許請求の範囲に含む。この場合、内部空間Rから内容物を先端131(231)から注出するための内部通路133(233)も、ノズル130(230)の側面に設けた開口からノズル先端131(231)に抜けるL字形又はT字形に形成し、ノズル130(230)の引き出しよりノズル側面の開口を封止する一方、その押し込みよりノズル側面の開口を内部空間Rに開いて注出させる。また、キャップは、ケースに着脱可能にしてもよく、その取り付け方法もねじ止め、凹凸や突部同士によるアンダーカット嵌合等、様々な方法を用いることができる。更には、キャップ150(250)の円筒形の係合部153(253)を周方向に断続的に形成される板状部として形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】(a),(b)はそれぞれ、本発明の一形態である育毛剤容器を示す要部拡大図及び、その変形例を示す要部拡大図である。
【図2】本発明の他の形態である育毛剤容器を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
【0048】
1 育毛剤容器
2 育毛剤容器
10 容器
11 胴部
12 口部
100 定量注出器
110 ベース
120 ケース
130 ピストンノズル
140 逆止弁
141 基部
142 膜板
150 キャップ
160 エア逆止弁
A1 ベース開口
A2 ノズル開口
A3 開口
A4 エア導入孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に密着固定され該容器内に通じる開口を有するベースと、このベースに合わさって内部空間を形成し該内部空間を外部に通じさせる開口を有するケースと、このケースの開口から露出する先端を有し前記内部空間にベースの開口から導入された内容物を一定の容量で充填する充填空間を形成して当該先端の開口から内容物を注出するノズルとを備える定量注出器であって、
前記ベースに、チューブを介した内容物の当該開口への流入により押し開かれて該内容物を前記充填空間に導入する逆止弁を設けたことを特徴とする定量注出器。
【請求項2】
前記ノズルは、ケースの内壁に摺動自在に保持され当該ノズルの引き出しにより充填空間を拡大し当該ノズルの押し込みにより充填空間を減少させるフランジを有するピストンノズルである請求項1に記載の定量注出器。
【請求項3】
前記ノズルの先端開口に通じる内部通路に、その先端に向かって小径となる少なくとも1つの段差を設けた請求項1又は2に記載の定量注出器。
【請求項4】
前記ノズルの先端開口に絞りを設けた請求項1乃至3のいずれか一項に記載の定量注出器。
【請求項5】
前記ベースに、容器内にエアを導入するエア導入孔と、このエア導入孔を容器内の負圧により開放して当該容器内にエアを導入するエア逆止弁を設けた請求項1乃至4のいずれか一項に記載の定量注出器。
【請求項6】
前記逆止弁は、ボール部材と弁座とからなるボール弁であって、この弁座に前記エア逆止弁を一体に設けてなる請求項5に記載の定量注出器。
【請求項7】
前記ケースに着脱自在に取り付けられるキャップを付加して備え、このキャップの天面内壁に、前記ノズルの先端と着脱自在に係合しキャップの取り外しに伴って当該ノズルを引き出す係合部を設けた請求項1乃至6のいずれか一項に記載の定量注出器。
【請求項8】
容器の口部に密着固定され該容器内に通じる開口を有するベースと、このベースに合わさって内部空間を形成し該内部空間を外部に通じさせる開口を有するケースと、このケースの開口から露出する先端を有し前記内部空間にベースの開口から導入された内容物を一定の容量で充填する充填空間を形成して当該先端の開口から内容物を注出するノズルとからなる定量注出器を備える容器であって、
前記容器は、その復元力のある胴部を有し、この胴部をスクイーズすることにより胴部に繋がる口部から内容物を圧送するスクイーズ容器であると共に、
前記ベースに、チューブを介してその開口を容器内から圧送された内容物により開いて該内容物を前記充填空間に導入する逆止弁を設けたことを特徴とする容器。
【請求項9】
前記ノズルは、ケースの内壁に摺動自在に保持され当該ノズルの引き出しにより充填空間を拡大し当該ノズルの押し込みにより充填空間を減少させるフランジを有するピストンノズルである請求項8に記載の容器。
【請求項10】
前記ノズルの先端開口に通じる内部通路に、その先端に向かって小径となる少なくとも1つの段差を設けた請求項8又は9に記載の容器。
【請求項11】
前記ノズルの先端開口に絞りを設けた請求項8乃至10のいずれか一項に記載の容器。
【請求項12】
前記ベースに、容器内にエアを導入するエア導入孔と、このエア導入孔を容器内の負圧により開放して当該容器内にエアを導入するエア逆止弁を設けた請求項8乃至11のいずれか一項に記載の容器。
【請求項13】
前記逆止弁は、ボール部材と弁座とからなるボール弁であって、この弁座に前記エア逆止弁を一体に設けてなる請求項12に記載の容器。
【請求項14】
前記容器の口部又は前記ケースに着脱自在に取り付けられるキャップを付加して備え、このキャップの天面内壁に、前記ノズルの先端と着脱自在に係合しキャップの取り外しに伴って当該ノズルを引き出す係合部を設けた請求項8乃至13のいずれか一項に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−44664(P2006−44664A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223952(P2004−223952)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】