説明

宝飾品の製造方法

【課題】融点の異なる金属同士を容易に接着し、装飾効果の高い宝飾品の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】下記の(イ)〜(ホ)の工程により、融点の異なる金属同士を接着することを特徴とする宝飾品の製造方法。
(イ)任意の形状を有する金属Aの表面の全部又は一部に、埋没材中で焼却可能なペーストを所望の形状及び厚さに盛って(塗布して)鋳造用モデルを製作する工程
(ロ)前記鋳造用モデルのペースト部分にスプールを付ける工程
(ハ)前記スプール付き鋳造用モデルを埋没剤中に埋めて固めた後、前記ペーストを焼却する工程
(二)前記焼却により生ずるスペースに、前記金属Aより融点の低い金属Bを流し込んで鋳造し、両金属を接着する工程
(ホ)埋没剤から鋳造品を取り出して仕上げる工程

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、融点の異なる金属同士を接着する宝飾品の製造方法に関し、さらに詳しくは、融点の高い金属本体の表面に、融点の低い金属を熔融(鋳造)接着し、宝飾品の装飾効果を一段と高めると共に、製造コスト、材料コストの大幅なダウンを図るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数個の同一形状の貴金属製の宝飾品を製作する便利な製造方法としてプラスターモールド法が知られている。これは概ね下記の(1)〜(6)の工程を経るものである。
(1)製作を意図する貴金属製の原形(例えば銀製のもの1個)を熟練者(職人)が手作りする。
(2)この貴金属製の原形を(シリコン)ゴム製の型(凹型)にとる。
(3)この型にワックスを流しこんで前記貴金属製の原形をワックス製の原形(凸型)に変える。
(4)このワックス製の原形を埋没材(主成分が石膏のペースト)中に埋めて、埋没材を硬化させた後、電気炉中で加熱してワックス部分を焼却する。
(5)焼却により生ずる原形スペース(凹型)に貴金属を流し込んで宝飾品を鋳造する。
(6)鋳造された宝飾品に、更に微細加工を施す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−232542
【特許文献2】特開平05−228609
【特許文献3】特開2005−319474
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記プラスターモールド法により複雑な形状を呈する鋳造品(製品)を、効率的に製造することが可能となったが、これに、さらにコンビネーション加工(combination casting、異なる金属を接着して本体の鋳造品とは異なる光沢や照り(鏡面性)の付与、文字の描出等)を施して装飾効果を高めるには、従来、例えば下記の方法がとられていた。
(イ)カットリング、圧着法
例えば、プレスで抜いた金属種の異なる2個のリングを圧力型にはさみ、熱と圧力を加え接合するものである。
しかし、この方法は、型の使用が必須であるため型代が嵩み、大量生産には適しているが、サイズの異なる多品種小ロットには不向きである。
(ロ)ロー付け(鑞付け)法
例えば、別々に鋳造した金属種の異なる2個のリング、又はパーツをロー材(銀ろう、14金ロー、10金ロー等、ロー材の融点を下げるために、金の品位を落としたロー材)で溶接して接合する方法である。
しかし、この方法は、ロー材を使用する為、接合部分にロー材の色目が出てしまう欠点(ロー巣と言われる巣(ガスの溜まった部分)の発生)がある。
また、ロー材は金属の品位が低い為、使用量により品位落ちが発生する(例えば、金が75%を切る場合)。
【0005】
発明者は、これからの時代に適応する多品種、小ロットに対応可能なコンビネーション加工方法(combination casting)を開発するために鋭意努力した結果、例えばプラスターモールド法で鋳造したパーツに、再度、前記パーツより融点の低い金属による鋳造工程を適用すれば、前記欠点を解消することができることを知り本発明が完成した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、下記の請求項1〜請求項11により構成されている。
<請求項1> 下記の(イ)〜(ホ)の工程により、融点の異なる金属同士を接着することを特徴とする宝飾品の製造方法。
(イ)任意の形状を有する金属Aの表面の全部又は一部に、埋没材中で焼却可能なペーストを所望の 形状及び厚さに盛って(塗布して)鋳造用モデルを製作する工程
(ロ)前記鋳造用モデルのペースト部分にスプールを付ける工程
(ハ)前記スプール付き鋳造用モデルを埋没剤中に埋めて固めた後、前記ペーストを焼却する工程
(二)前記焼却により生ずるスペースに、前記金属Aより融点の低い金属Bを流し込んで鋳造し、両金属を接着する工程
(ホ)埋没剤から鋳造品を取り出して仕上げる工程
<請求項2> 金属Aの表面のペーストを盛る部分が、凹型形状(凹み部)、又は断面がL型の切欠形状を有する請求項1に記載する宝飾品の製造方法。
<請求項3> 金属Aの表面のペーストを盛る凹み部が、連通して一体に形成されている請求項2に記載する宝飾品の製造方法。
<請求項4> 請求項3の凹み部が、互いに独立して存在する場合において、凹み部を隔てる側壁に連(貫)通孔を形成して凹み部を互いに連通させる請求項3に記載する宝飾品の製造方法。
<請求項5> 金属Aの表面のペーストを盛る凹み部が、文字を表現している請求項2〜請求項4に記載する宝飾品の製造方法。
<請求項6> 金属Aが、プラスターモールド法により鋳造されたものである請求項1〜請求項5に記載する宝飾品の製造方法。
<請求項7> ペーストが、ワックスである請求項1〜請求項5に記載する宝飾品の製造方法。
<請求項8> 金属Aと金属Bの融点の差が、5℃〜800℃である請求項1〜請求項7に記載する宝飾品の製造方法。
<請求項9> 金属Bを流し込んで鋳造する温度が、金属Bの融点より100〜200℃高い温度である請求項1〜請求項8に記載する宝飾品の製造方法。
<請求項10> 金属Aと金属Bが、下記の組成を有する合金である請求項1〜請求項9に記載する宝飾品の製造方法。
金属A:Pt900合金
金属B:K18(ピンク)合金、又はK18(イエロー)合金
<請求項11> 金属Aと金属Bが、下記の組成を有する合金である請求項1〜請求項9に記載する宝飾品の製造方法。
金属A:K18(ホワイト)、又はK18(イエロー)合金
金属B:K18(ピンク)合金
【0007】
本願発明を以上のように構成する理由は、融点の高い金属Aに、埋没材中で焼却可能なペーストを盛って焼却してスペースを形成し、そのスペースに金属Aよりも融点の低い金属Bを一定の条件で流し込んで鋳造すれば、両金属を強固に接着することができ、コンビネーション加工(異なる金属を接着して本体の鋳造品とは異なる光沢や照り(鏡面性)の付与、文字の描出等)が可能となり、装飾効果の大きい宝飾品を、既存の方法に比較して、極めて容易に製造することができるからである。
【発明の効果】
【0008】
本願発明に係る2種類の金属の接着方法は、従来簡単にできそうに見えて、実際には接着不良、肌荒れ、亀裂の発生等を起こし、どうしても不可能であった技術を可能にするものであり、ロー付けの無い、又レーザー溶接方法でも出来ない接着方法を提供するものである。
本願発明によれば、ピアス金具の接合、中折れピアスの移動部分の接合等に容易に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願発明の宝飾品の製造方法の概略を示す図である。
【図2】金属Aに文字「AMORE」が窪み(凹)として形成されている指輪本体を示す図である。
【図3】指輪本体にワックスを盛って(塗布して)いる図である。
【図4】スプールを取り付けた状態を示す図である。
【図5】ツリー立てした状態を示す図である。
【図6】実施例1により得られるリングである(金属A:Pt900,金属B:K18(ピンク))。
【図7】実施例2により得られるリングである(金属A:Pt900,金属B:K18(イエロー))。
【図8】実施例3により得られるリングである(金属A:K18(ホワイト),金属B:K18 (ピンク))。
【図9】実施例4により得られるリングである(金属A:K18(イエロー),金属B:K18 (ピンク))。
【図10】説明用リングの正面図である。
【図11】説明用リングのa−a線断面図である。
【図12】説明用リングのb−b線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願発明の宝飾品の製造方法は、大略図1に示すように行われる。
【0011】
本願発明に使用される金属A又は金属Bとしては、例えば下記の合金が挙げられる。ただし、これらの例に限られるものではない。
(a)Pt900
概略の組成:Pt 90%、Pd 10%
融点:1760℃
通常の鋳造(キャスト)温度:1820℃
(b)Pt950
概略の組成:Pt 95%、Pd 5%
融点:1770℃
通常の鋳造(キャスト)温度:1830℃
(c)Pt585
概略の組成:Pt 58.5%、Pd 41.5%
融点:1600℃
通常の鋳造(キャスト)温度:1700℃
(d)K18(イエロー)
概略の組成:Au 75%、Ag 15%、Cu
10%
融点:950℃
通常の鋳造(キャスト)温度:1100℃
(e)K18(ピンク)
概略の組成:Au 75%、Ag 5%、Cu
18%、Pd 2%
融点:930℃
通常の鋳造(キャスト)温度:1090℃
(f)K18(ホワイト)
概略の組成:Au 75%、Ag 4%、Cu 5%、Pd
15%、In 1%
融点:1180℃
通常の鋳造(キャスト)温度:1300℃
【0012】
これらの合金の例から適宜2種を選択して、融点の高いものを金属Aとして、又融点の低いものを金属Bとして鋳造に供することができる。金属Aと金属Bの選択は、両者の融点に差があれば、任意に選択が可能である。
また、両者の量(重量又は体積)は、何れが多くても少なくてもかまわない。
【0013】
金属Aの表面のペーストを盛る部分は、凹み(凹形状)を有する方が、好ましい。特に文字を描出させるような場合は、狭いスペースに金属Bが均一に拡がることを必要とするためである。また、同様な理由で、凹み部が一連(塊)に形成されている方が、金属Bが文字全体の凹み部へ均一に流れ込み、充填不良・剥離が発生しにくいので好ましい。凹み部(例えば2以上の文字)を一連(塊)に形成するには、文字を形成している凹み部の側壁の一部を切り欠くか、又は側壁に連(貫)通孔を形成すればよい。
これを図10〜図12で説明すると、「A MORE」の文字部分は、凹み(凹形状)で形成され、「MORE」の部分は文字が1又は2箇所(文字の接している部分)で切欠により一体に連結されている。そして「A」と「M」の文字は、側壁内の連通孔2により連結されているので、「A MORE」全体も、一連に連結した構成となっている。
また、リング(金属A)の周面(一円又は一部)に沿って帯状にペーストを盛るときは、リングの周面に凹形状の溝を帯状に設け、又は周面に断面がL字形状の切欠を帯状に設けるのが好ましい。
以上のように構成することにより、金属Bは、金属Aの周囲のスペースに均一に拡散した後温度が下がり、収縮して体積が減少するので、金属Aを締め付ける。
これにより金属Aの凹み部又はL字状の切欠部に、金属Bを強固に接着することが可能になる。
【0014】
本願発明において、埋没材中で焼却可能なペーストとは、プラスターモールド法(ロストワックス法)において、埋没材中に原型のスペースを形成するために使用される被焼却物質をいう。具体的には、植物性、動物性のワックスエステル、石油から得られるパラフィン系ワックス、シリコンゴム、セラッミックワックス、合成樹脂(エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、紫外線硬化樹脂)等をいう。
【0015】
金属A(地金)の表面にペースト(ワックス)を盛る(塗布する)には、金属Aをアルコールランプの熱で軽く温める(70℃前後)と共に、ペーストも溶かして、接着部分にペーストを流し込んで貼り付け、接着面を熱したスパチュラで金属と緊密に一体化させる。接着面は、予めヤスリをかけ、超音波洗浄機等で洗浄し、汚れを取り除いておく。
さらに詳細に記載すれば、ペーストのはみ出した部分をスパチュラで削り余分な部分を取り、整形する。この時、地金になった時に削るのりしろを考えて、少し多めにワックスを残しておく。
又、焼却中にワックスが溶けだした時に、その金属本体の位置が動かないように、ストッパーを付ける(ワックスが燃えて鋳型の中が空洞になった時、ワックスで支えられていたリング等の鋳造品の位置が鋳型内で動いてしまうため、埋没材で支えられるように、同じ金属で突起物を付ける)。
【0016】
次に、金属Aのペーストを塗布した部分(後に金属Bが流れる部分)の形状、厚さ等を考慮して、スプール(地金の流れ込み口)と、その下に湯口スプールを付ける(図4、図5参照)。スプールは、通常ワックス(株式会社松風のラインワックス25R・株式会社松風のラインワックス40R、会社名:株式会社松風)を使用する。
その後、アルコールランプの火で100℃前後に温めたスパチュラで、前記湯口スプールの下部を溶かしながら、埋没用円錐台の上に付けて、ツリー立てをする(図5)。このツリーをフラスコ(鉄製の外枠容器)にセットする。
【0017】
前記フラスコ内に埋没材を注いで、ツリーを埋没材中に埋没する。
埋没材は、例えば、一般販売されている、商品名“ギフト”(ノリタケカンパニー製(主成分クリストバライト))等を使用し、混水比40%前後(37%〜42%)で5分間混合し、混合した時に空気が入り込んでいる為、脱泡機(安井インターテック株式会社製)等で空気を抜いて使用する。
埋没材を注いだ後、1時間程度乾燥する。
【0018】
ペースト(ワックス)の焼却は、前記フラスコを電気炉に入れて加熱する。焼却条件は、通常1時間に約100℃アップで加熱し、720℃〜750℃で1時間程度保持する。
【0019】
鋳造は、例えば、日電高周波株式会社製の真空加圧式鋳造機を使用する。
鋳造には、温度設定が重要である。本願における設定温度は、下記の温度を意味する。
*電気炉温度:鋳型温度
*鋳造温度(キャスト温度):流し込む地金(金属B)の温度
*融点:金属が溶け始める温度(鋳造温度ではない)
【0020】
本発明の金属Bを流し込んで鋳造する温度(金属Bが型の中に完全に流れ込むために必要な温度)は、金属Bの融点より、通常100℃〜200℃高い温度を採用する。金属Bの融点近辺で鋳造すれば、すぐに凝固が始まる為、スペースへの充填不良が発生する恐れがあるからである。
金属Bを流し込んで鋳造する温度は、金属Aの融点よりもかなり高い場合もあるが、金属Bにより金属Aが溶解する恐れがあるときは、鋳型温度を下げて対応する。
鋳型温度は、通常、700℃〜800℃である。
【0021】
鋳造終了後、酸処理を行い、表面の酸化物を除去し、鋳造物をツリーからニッパーで切断し切り離す。
鋳造物にヤスリ掛けをし、リューターでシリコンポイント、ペーパなどを使い整形し、回転バフを使い完成仕上げを施し、磨きをかけ、洗浄し完成品(商品)とする。
次に、以下の実施例において、リングの製造方法を例として説明するが、本願発明は、リングの製造法に限られるものではなく、宝飾品全般に適用できるものである。
【実施例1】
【0022】
<文字入りリングの製作>
(イ)金属AにPt900(融点1760℃)を使用し、表面に「AMORE」の文字が見える状態(表面に「AMORE」の文字が凹状に形成されている形状)のリングを、予めプラスターモールド法により鋳造して用いた(図2参照)。
金属Aの表面の「AMORE」の文字部分は、文字「A」と文字「M」の側壁には連(貫)通孔(図からは見えない)を形成し、「MORE」の部分は、各文字の側壁の一部を切り欠いて一塊とし、「AMORE」全体が一塊、かつ連続(結)した形状とし、金属Bが「AMORE」全体へ均一に流れ込み、充填不良が発生しにくいように形成し、一度金属Bが流れ込めば、金属が収縮・変形しても金属Aから剥離しない形状にした。
(ロ)金属Bに、K18(ピンク)(融点930℃)を使用した。
(ハ)金属Aの表面(ロゴ部分の凹部)に、アクアワックス(融点80℃、FREEMAN Mfg .&Supply Co.社製)を流し込んで、スパチュラを使い空気が入らないように整形した(図3参照)。ワックスの厚さは、0.2mm〜3.0mmであった。
(ニ)鋳型温度は730℃、鋳造温度は1120℃で鋳造した。
完成品を図6に示す。
【実施例2】
【0023】
<センターラインリング>
(イ)金属AにPt900を使用し、外周の中央に、一円、かつ帯状に凹部が形成されているリングを予めプラスターモールド法により鋳造した。外周面に形成された凹部は、周面と中心を結ぶ断面が、1.0mm×2.0mmの長方形に凹んだ状態であった。なお、凹部の断面は、四角形に限らず,逆三角形、U字形等でも同様な結果であった。
(ロ)金属Bに、K18(イエロー)を使用した。
(ハ)金属Aの表面の凹部に、アクアワックス(融点80℃、FREEMAN Mfg .&Supply Co.社製)を流し込んで、スパチュラを使い整形した。ワックスの厚さは、約1.2mmであった。
(ニ)鋳型温度:730℃、鋳造温度1130℃で鋳造した。
完成品を図7に示す。
【実施例3】
【0024】
<ハーフラインリング>
(イ)金属AにK18(ホワイト)を使用し、外周一円に帯状に、かつ断面がL字状に切欠部が形成されているリングを予めプラスターモールド法により鋳造したものを用いた。
(ロ)金属Bに、K18(ピンク)を使用した。
(ハ)金属AのL字状の切欠に、アクアワックス(融点80℃、FREEMAN Mfg .&Supply Co.社製)を流し込んで、スパチュラを使い整形した。ワックスの厚さは、約1.2mmであった。
(ニ)鋳型温度は730℃、鋳造温度は1120℃で鋳造した。
完成品を図8に示す。
【実施例4】
【0025】
<平内リング左右コンビ>
(イ)金属AにK18(イエロー)を使用し、外周一円に帯状に、かつ断面がL字状に切り欠き部が形成されているリングを予めプラスターモールド法により鋳造したものを用いた。
(ロ)金属Bに、K18(ピンク)を使用した。
(ハ)金属Aの表面(ロゴ部分の凹部)に、アクアワックス(融点80℃、FREEMAN Mfg .&Supply Co.社製)を流し込んで、スパチュラを使い整形した。ワックスの厚さは、約0.2mm〜1.2mmであった。
(ニ)鋳型温度は650℃、鋳造温度は1120℃で鋳造した。
完成品を図9に示す。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本願発明に係る2種類の金属の鋳造・接着方法は、ロー付けの無い、又レーザー溶接方法でも出来ない接着方法を提供するものであり、宝飾品の製造産業に利用できる。
本方法は、金具の接合、中折れピアスの移動部分の接合等に簡便、かつ容易に適用できるものであり、今後、極く当たり前の鋳造方法になると思われる。
【符号の説明】
【0027】
1.リング
2.連(貫)通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(イ)〜(ホ)の工程により、融点の異なる金属同士を接着することを特徴とする宝飾品の製造方法。
(イ)任意の形状を有する金属Aの表面の全部又は一部に、埋没材中で焼却可能なペーストを所望の形状及び厚さに盛って(塗布して)鋳造用モデルを製作する工程
(ロ)前記鋳造用モデルのペースト部分にスプールを付ける工程
(ハ)前記スプール付き鋳造用モデルを埋没剤中に埋めて固めた後、前記ペーストを焼却する工程
(二)前記焼却により生ずるスペースに、前記金属Aより融点の低い金属Bを流し込んで鋳造し、両金属を接着する工程
(ホ)埋没剤から鋳造品を取り出して仕上げる工程
【請求項2】
金属Aの表面のペーストを盛る部分が、凹型形状(凹み部)、又は断面がL型の切欠形状を有する請求項1に記載する宝飾品の製造方法。
【請求項3】
金属Aの表面のペーストを盛る凹み部が、連通して一体に形成されている請求項2に記載する宝飾品の製造方法。
【請求項4】
請求項3の凹み部が、互いに独立して存在する場合において、凹み部を隔てる側壁に連(貫)通孔を形成して凹み部を互いに連通させる請求項3に記載する宝飾品の製造方法。
【請求項5】
金属Aの表面のペーストを盛る凹み部が、文字を表現している請求項2〜請求項4に記載する宝飾品の製造方法。
【請求項6】
金属Aが、プラスターモールド法により鋳造されたものである請求項1〜請求項5に記載する宝飾品の製造方法。
【請求項7】
ペーストが、ワックスである請求項1〜請求項5に記載する宝飾品の製造方法。
【請求項8】
金属Aと金属Bの融点の差が、5℃〜800℃である請求項1〜請求項7に記載する宝飾品の製造方法。
【請求項9】
金属Bを流し込んで鋳造する温度が、金属Bの融点より100℃〜200℃高い温度である請求項1〜請求項8に記載する宝飾品の製造方法。
【請求項10】
金属Aと金属Bが、下記の組成を有する合金である請求項1〜請求項9に記載する宝飾品の製造方法。
金属A:Pt900合金
金属B:K18(ピンク)合金、又はK18(イエロー)合金
【請求項11】
金属Aと金属Bが、下記の組成を有する合金である請求項1〜請求項9に記載する宝飾品の製造方法。
金属A:K18(ホワイト)、又はK18(イエロー)合金
金属B:K18(ピンク)合金


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−35304(P2012−35304A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178237(P2010−178237)
【出願日】平成22年8月8日(2010.8.8)
【出願人】(594194365)株式会社グローバルコーポレーション (4)
【Fターム(参考)】