説明

実体化したボタン機能付静電容量式タッチパネル

【課題】実体化したボタン機能付静電容量式タッチパネルを提供する。
【解決手段】パネル402の下方に位置する変形可能な軟性の第一導体層404と、第二導体層408と、第一導体層404と第二導体層408の間に位置し、かつ少なくとも一つの空洞4062を有する変形可能な軟性の絶縁層406と、を備える。空洞4062に対応する位置を押す場合、第一導電層404は変形し、第二導体層408に接触するように空洞4062を貫通することで第一導体層404または第二導体層408の電圧を変化させ、予め設置されたボタン機能を触発させることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式タッチパネル、詳しく言えば実体化したボタン機能付静電容量式タッチパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように従来のボタン式入力装置100、200は、ボタン102を押し、集積回路104のI/O電圧状態を変更することで、ボタン102が押されているかを検知する。入力装置100は、ボタン102が押されていない場合、I/O電位が高レベルとなり、ボタン102が押されている場合、I/O電位が低レベルとなる。入力装置200はボタン102が押されていない場合、I/O電位が低レベルとなり、ボタン102が押されている場合、I/O電位が高レベルとなる。これは力を介して電圧状態を変更することでボタンが押されているかを判断するため、操作と動作が明確であるという長所があるだけでなく、低消費電力という特性がある。
【0003】
技術の進歩に伴い各種の電子装置、特に携帯式装置の体積は小さくなる傾向にあるが、ボタン式入力装置の場合、ボタンをこれ以上縮小することができないため、電子装置の体積を縮小するにあたって支障となる。したがって、ボタンよりも軽く、薄いタッチパネルを入力装置にすることが提出された。図3に示すのは周知の静電容量式タッチパネル300の断面図である。そのパネル302と底板306は絶縁体であり、導体層308は第一軸センサーであり、導体層310は第二軸センサーであり、絶縁層304は導体層308と導体層310との間に位置することで導体層308、310を隔離する。絶縁層304と導体層308、310はコンデンサーだと考えられるため、指312でタッチパネル300に接触する場合、接触した位置に静電容量の変化が生じる。これにより指312がタッチパネル300に位置することが判明する。静電容量式タッチパネルの感知方法について特許文献1を参考にすれば理解できる。静電容量式タッチパネル300は解像度が高いという特性があるため、手書きの入力装置に適用可能である。しかし、静電容量式タッチパネル300は感知方法により操作するため、ボタン式入力装置のように明確に操作動作することができず、持続的にスキャニングし、指の位置を感知する必要がある。したがって、消費電力が大きい。現今のタッチパネルに模擬ボタン機能が付いていても、持続的にスキャニングし、指が模擬ボタンに接触しているかを感知する必要がある。
したがって、実体化したボタンと静電容量式タッチパネルという特性を兼ね備える入力装置は期待されるようになっている。
【0004】
【特許文献1】アメリカ合衆国特許第5,920,309号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、実体化したボタン機能付静電容量式タッチパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による実体化したボタン機能付静電容量式タッチパネルは、パネルの下方に位置する変形可能な軟性の第一導体層と、第二導体層と、第一導体層と第二導体層の間に位置し、かつ少なくとも一つの空洞を有する変形可能な軟性の絶縁層と、を備える。空洞に対応する位置を押す場合、第一導電層は変形し、第二導体層に接触するように空洞を貫通することで第一導体層または第二導体層の電圧を変化させ、予め設置されたボタン機能を触発させることが可能である。
本発明による静電容量式タッチパネルは実体化したボタンと同じようにプッシュ方法で電位を変更することによりボタン機能を触発させるため、静電容量式タッチパネルと実体化したボタンを兼ね備えるという特性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図4は本発明の第一実施例による静電容量式タッチパネル400の分解図であり、図5Aはタッチパネル400のAA線に沿う断面図である。静電容量式タッチパネル400では、Y軸センサーとX軸センサーとなる導体層404、408はパネル402と底板410の間に設けられ、絶縁層406により隔離される。図5Bに示すように、絶縁層406は多数個の絶縁球406’から構成することが可能である。パネル402、導体層404、408、及び絶縁層406は変形可能な軟性の材質であり、絶縁層406の上には空洞4062を有し、パネル402上の空洞4062に対応する位置にはボタンエリア4022を有するため、使用者がボタンエリア4022を押す場合、図6に示すように導電層404は導体層408に接触するように絶縁層406の空洞4062を貫通することで導体層404または導体層408の電圧を変化させ、予め設置されたボタン機能を触発させることが可能である。ボタンの数と位置は図7に示すように需要に応じ決めることが可能である。
【0008】
図8に示すのは図4に示す構造を、携帯電話または電話機の入力装置500に適用した状態を示し、図9は入力装置500の展開図と断面図である。図9に示すように、入力装置500では、第一軸センサーと第二軸センサーとなる導体層504、508はパネル502と底板510の間に挟まり、導体層504、508の間は絶縁層506により隔離され、絶縁層506の上にはパネル502のボタンエリア5022に対応する多数個の空洞5062を有する。図8に示すように、静電容量センサー512は多項式選択器516を介して導体層504上の導線TY0から導線TY8、及び導体層508上の導線TX0から導線TX6に接続されることで導体層504、508上の寄生静電容量に対し電流を自動的に提供し、充電または放電し、それに伴い導体層504、508の間に電圧を発生させる。使用者が指でパネル502に接触する場合、接触した位置の寄生静電容量の変化が生じ、静電容量センサー512は静電容量の変化が生じた位置を感知することで指の位置と移動経路を判断し、それに相対応して動作する。電位センサー514も多項式選択器516を介して導線TY0から導線TY8、及び導線TX0から導線TX6に接続され、かつ導電層504、508に第一、第二電圧を提供する。使用者が電話をかける場合、パネル502のボタンエリア5022を押し、導体層504を導体層508に接触させ、電位センサー514を介して導体層504上の第一電圧または導体層508上の第二電圧の変化が生じたことを感知することにより使用者が押したボタンエリア5022を判断することが可能である。本実施例を異なる電子装置に適用する場合、形とボタンの数は図10に示す入力装置の通り必ずしも一定であるとは限らない。
【0009】
図11は本発明の第二実施例による静電容量式タッチパネル700の分解図である。そのパネル702と底板708との間には多数本の第一軸導線7042と多数本の第二軸導線7044を有する静電容量感知導体層704と絶縁層706が含まれ、パネル702はボタンエリア7022を有する。使用者がボタンエリア7022を押す場合、静電容量感知導電層704の導線7042、7044は下へ圧迫され、底板708上のボタン操作導体7082に接触するように絶縁層706上の空洞7062を貫通するため、導線7042、7044はボタン操作導体7082を介して連接され、本来の充放電制御を破壊することで電圧を激しく変化させ、予め設置されたボタン機能を触発させることが可能である。この構造では、絶縁層706上の空洞7062の数と位置は需要に応じ調整することが可能である。例えば、図11に示す静電容量式タッチパネル700では、絶縁層706上の空洞7062は二本の第一軸導線7042と二本の第二軸導線7044を跨り、図16に示す静電容量式タッチパネル700’では、絶縁層706上の空洞7062は一本の第一軸導線7042と一本の第二軸導線7044を跨り、図17に示す静電容量式タッチパネル700’’では、絶縁層706上の空洞7062は一本の第一軸導線7042のみを跨る。また絶縁層706は絶縁球から構成することが可能である。
【0010】
図12に示すのは図11に示す構造を携帯電話または電話機の入力装置800に適用した状態を示す。図13は入力装置800の展開図である。入力装置800の制御装置802では、静電容量センサー804は多項式選択器806を介して静電容量感知導体層812上の第一軸導線TX0から第一軸導線TY5、及び第二軸導線TY0から第二軸導線TY7に接続されることで静電容量感知導体層812上の寄生静電容量に対し電流を提供し、充電または放電し、それに伴い電圧を発生させる。使用者が指でパネル810に接触する場合、静電容量センサー804は第一軸導線TX0から第一軸導線TY5、及び第二軸導線TY0から第二軸導線TY7の寄生静電容量の軽微な変化が生じたことを感知することにより指の位置と移動経路を判断する。使用者がパネル810上のボタンエリア8102を押す場合、静電容量感知導電層812は絶縁層814上の空洞8142を貫通し、底板816上のボタン操作導体8162に接触し、それに伴い予め設置されたボタン機能を触発させる。省電力のために、入力装置800にスリープ機能を組み込むことが可能である。制御回路802がスリープモードに入ると、ボタン操作導体8162は電気抵抗を上下させることで電位を高電位または低電位に調整すると同時に、静電容量感知導体層812は低電位または高電位に調整され、最省電力のモードに入るようになる。制御回路802をリジュームする場合、ボタンを押し、静電容量感知導体層812をボタン操作導体8162に接触させ、電位センサー808を介してボタン操作導体8162または静電容量感知導体層の電圧変化を感知することにより制御回路802をリジュームすることが可能である。本実施例を異なる電子装置に適用する場合、形とボタンの数は図14に示す入力装置900の通り必ずしも一定であるとは限らない。
【0011】
図11に示す構造を一アレイ構造に適用することが可能である。例えば、図15に示す静電容量式タッチパネル950では、パネル952と底板958の間には静電容量感知導体層954と絶縁層956を含み、静電容量感知導体層954は単一方向に配列される多本の導線を含む。使用者がパネル952上のボタンエリア9522を押す場合、静電容量感知導電層954は絶縁層956上の空洞9562を貫通し、底板958上のボタン操作導体9582に接触し、それに伴いあらかじめ設置されたボタン機能を触発させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】周知のボタン式入力装置である。
【図2】もう一つの周知のボタン式入力装置である。
【図3】周知の静電容量式タッチパネルである。
【図4】本発明の第一実施例による静電容量式タッチパネルである。
【図5A】図4のAA線に沿う断面図である。
【図5B】本発明の第一実施例による静電式タッチパネルの変形例を示す模式図である。
【図6】本発明の第一実施例による静電容量式タッチパネルが押されている状態を示す模式図である。
【図7】本発明の第一実施例による静電容量式タッチパネルの変形例を示す模式図である。
【図8】本発明の第一実施例による静電容量式タッチパネルを携帯電話または電話機の入力装置に適用した状態を示す模式図である。
【図9】図8に示す入力装置の展開図及び断面図である。
【図10】本発明の第一実施例による静電容量式タッチパネルを入力装置に適用したときの変形例を示す模式図である。
【図11】本発明の第二実施例による静電容量式タッチパネルの分解図である。
【図12】本発明の第二実施例による静電容量式タッチパネルを携帯電話または電話機の入力装置に適用した状態を示す模式図である。
【図13】図12に示す入力装置の展開図である。
【図14】本発明の第二実施例による静電容量式タッチパネルを入力装置に適用したときの変形例を示す模式図である。
【図15】本発明の第二実施例による静電容量式タッチパネルを一アレイ構造の静電容量式タッチパネルに適用した状態を示す模式図である。
【図16】本発明の第二実施例による静電容量式タッチパネルの変形例を示す模式図である。
【図17】本発明の第二実施例による静電容量式タッチパネルの変形例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0013】
100 ボタン式入力装置、102 ボタン、104 集積回路、200 ボタン式入力装置、300 静電容量式タッチパネル、302 パネル、304 絶縁層、306 底板、308 導体層、310 導体層、312 指、400 静電容量式タッチパネル、402 パネル、4022 ボタンエリア、404 導体層、406 絶縁層、406 絶縁球、4062 空洞、408 導体層、410 底板、500 入力装置、502 パネル、5022 ボタンエリア、504 導体層、506 絶縁層、5062 空洞、508 導体層、510 底板、512 静電容量センサー、514 電位センサー、516 多項式選択器、600 入力装置、700 静電容量式タッチパネル、700’ 静電容量式タッチパネル、700’’ 静電容量式タッチパネル、702 パネル、7022 ボタンエリア、704 静電容量感知導体層、7042 導線、7044 導線、706 絶縁層、7062 空洞、708 底板、800 入力装置、802 制御装置、804 静電容量センサー、806 多項式選択器、808 電位センサー、810 パネル、 8102 ボタンエリア、 812 静電容量感知導体層、814 絶縁層、8142 空洞、816 底板、8162 ボタン操作導体、900 入力装置、950 静電容量式タッチパネル、952 パネル、9522 ボタンエリア、954 静電容量感知導体層、956 絶縁層、9562 空洞、988 底板、9582 ボタン操作導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形可能な軟性の第一導体層と、
第二導体層と、
第一導体層と第二導体層との間に位置し、かつ少なくとも一つの空洞を有することでタッチパネルが押された時、第一導体層を第二導体層に接続させ、予め設置されたボタン機能を触発させることが可能である変形可能な軟性の絶縁層と、
を備えることを特徴とする実体化したボタン機能付静電容量式タッチパネル。
【請求項2】
第一導体層は軸センサーを含むことを特徴とする請求項1に記載の実体化したボタン機能付静電容量式タッチパネル。
【請求項3】
第二導体層は第二軸センサーを含むことを特徴とする請求項2に記載の実体化したボタン機能付静電容量式タッチパネル。
【請求項4】
電位センサーは第一導体層または第二導体層の電圧が変化したことを感知することによりスリップ状態のタッチパネルをリジュームすることを特徴とする請求項2に記載の実体化したボタン機能付静電容量式タッチパネル。
【請求項5】
第一導体層は第一軸センサーと第二軸センサーとを含むことを特徴とする請求項1に記載の実体化したボタン機能付静電容量式タッチパネル。
【請求項6】
第一導体層は静電容量感知導体層であることを特徴とする請求項5に記載の実体化したボタン機能付静電容量式タッチパネル。
【請求項7】
電位センサーは第一導体層または第二導体層の電圧が変化したことを感知することによりスリップ状態の静電容量式タッチパネルをリジュームすることを特徴とする請求項5に記載の実体化したボタン機能付静電容量式タッチパネル。
【請求項8】
第二導体層は変形可能な軟性の材質であることを特徴とする請求項1に記載の実体化したボタン機能付静電容量式タッチパネル。
【請求項9】
第一導体層及び第二導体層の寄生静電容量の変化を感知可能な第一センサーと、
第一導体層の電圧または第二導体層の電圧を感知可能な第二センサーと、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の実体化したボタン機能付静電容量式タッチパネル。
【請求項10】
静電容量センサーは第一導体層と第二導体層に対し電流を提供し、充放電をすることにより第一導体層と第二導体層との間に電圧を発生させることを特徴とする請求項9に記載の実体化したボタン機能付静電容量式タッチパネル。
【請求項11】
電位センサーは第一導体層に対し第一電圧、第二導体層に対し第二電圧を提供することを特徴とする請求項9に記載の実体化したボタン機能付静電容量式タッチパネル。
【請求項12】
第一軸センサー及び第二軸センサーの寄生静電容量の変化を感知可能な第一センサーと、
第一導体層の電圧または第二導体層の電圧を感知可能な第二センサーと、
を含むことを特徴とする請求項5に記載の実体化したボタン機能付静電容量式タッチパネル。
【請求項13】
静電容量センサーは第一導体層に対し電流を提供し、充放電をすることにより電圧を発生させることを特徴とする請求項12に記載の実体化したボタン機能付静電容量式タッチパネル。
【請求項14】
電位センサーは第一導体層に対し第一電圧、第二導体層に対し第二電圧を提供することを特徴とする請求項12に記載の実体化したボタン機能付静電容量式タッチパネル。
【請求項15】
絶縁層は多数個の絶縁球を含むことを特徴とする請求項1に記載の実体化したボタン機能付静電容量式タッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−302251(P2006−302251A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−362082(P2005−362082)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(503031488)義隆電子股▲ふん▼有限公司 (42)
【Fターム(参考)】