説明

室内用ラッチ錠

【課題】施錠時におけるレバー操作によっても施錠機構には大きな力が作用しないラッチ錠を提供すること。
【解決手段】レバー5,6により回動される中空の角芯棒4、角芯棒4に係合して角芯棒の軸方向に直線運動するとともに付勢部材16によりラッチボルト3と離反可能に常時係合してラッチボルト3を後退させるカム12、角芯棒に回動可能に挿入され、一端に施錠部材10が、他端に表示盤9が取り付けられた連結板11、施錠部材10により回動可能で軸方向に不動の施錠用回動カム15、施錠用回動カム15に対向するように角芯棒4の端部に固定された凹カム面形成部材14、及び施錠用回動カム15と凹カム面形成部材14との対向面のそれぞれに形成された施錠用回動カム15の回動を軸方向の運動に変換するカム面15a,14aとから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてレバーによりラッチボルトを進退させ、またラッチボルトを拘束して施錠する室内錠に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に見られるように室内錠にはノブやレバーにより進退させるラッチボルトをサムターン等によりロックして施錠する錠前が多用されている。
しかしながら、レバーは、ノブに比較して回動トルクが大きいため、施錠状態でレバーを操作すると、ロック機構に大きな力が作用し、またロック機構は構造的にサイズを小さくせざるを得ないためその耐久性に問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−232526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、施錠時におけるレバー操作によっても施錠機構には大きな力が作用しないラッチ錠を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、レバーにより回動される中空の角芯棒、前記角芯棒に係合して前記角芯棒の軸方向に直線運動するとともに付勢部材によりラッチボルトと離反可能に常時係合して前記ラッチボルトを後退させるカム、前記角芯棒に回動可能に挿入され、一端に施錠部材が、他端に表示盤が取り付けられた連結板、前記施錠部材により回動可能で軸方向に不動の施錠用回動カム、前記施錠用回動カムに対向するように前記角芯棒の端部に固定された凹カム面形成部材、及び前記施錠用回動カムと凹カム面形成部材との対向面のそれぞれに形成された前記施錠用回動カムの回動を前記軸方向の運動に変換するカム面とからなる室内用ラッチ錠である。
【発明の効果】
【0006】
施錠時にレバーが操作されてもレバーの回動をロックする機構がないため、ロック機構の破損は起こらない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】図(a)〜(c)はそれぞれ本発明の一実施例を示す図
【図1B】本発明の一実施例を示す断面図。
【図1C】図(a)(b)はラッチボルトとカムとの関係を示す説明図。
【図1D】図(a)〜(c)は施錠用回動カムと凹カム面形成部材との関係を示す説明図。
【図2A】図(a)〜(c)は、それぞれ本発明の他の実施例を示す図
【図2B】本発明の他の実施例を示す断面図。
【図2C】図(a)(b)はそれぞれラッチボルトとカムとの関係を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1A、図1Bは、本発明の一実施例を示すものであって、錠前本体1を扉2の一方の表面に固定した面付け錠として構成されている。
ラッチボルト3を進退させる断面四角の中空の角芯棒4は、扉の表及び裏のハンドル5,6に連結されている。表側のハンドル5を回動可能に支持する座7にはハンドルを一定位置に弾性的に保持するバネ8が収容されている。
【0009】
また、表側のハンドル5の中心部の先端には窓5aが設けられ、ここに解錠、施錠を表示する表示盤9が設けられている。表示盤9には角芯棒4を回動可能に貫通し、かつ裏面側のサムターン10により回動操作される連結板11の先端が係合している。
【0010】
ラッチボルト3は、図1Cに示したようにそのカム溝3aが設けられ、そのカム溝3aが角芯棒4により回動される駆動用カム12に係合、切離可能に噛合うともに、駆動用カム12の回動により受座13に対して進退するようになっている。
【0011】
図1Dに示したように駆動用カム12には凹部12aが形成されていて、ここに角芯棒4の一端を固定した上で、凹カム面形成部材14が固定されている。凹カム面形成部材14は、連結板11を自由に回動させる貫通孔を有すると共に、サムターン10に係合する連結板11により回動される施錠用回動カム15に作用している。施錠用回動カム15は、連結板11が貫通可能で、かつ連結板11の回動に追従する断面矩形の貫通穴15bにより連結板11と連結されている。
【0012】
施錠用回動カム15には凹カム面形成部材14の凹カム面14aと係合し、回動により凹カム面形成部材14をバネ16に抗して駆動用カム12をラッチボルト3との係合が解除される位置まで押圧する凸カム面15aと、施錠用回動カム15及び凹カム面形成部材14のそれぞれの対向面には押し込み状態を保持する平面部15c、14bが形成されている。
【0013】
この実施例においてドア2を閉じてラッチボルト3が受座13に進入している状態で、施錠するべくサムターン10を回動させると、連結板11を介して施錠用回動カム15が回動する。これにより凹カム面形成部材14の凹カム面14aが施錠用回動カム15のカム面15aに押されてバネ16に抗して駆動用カム12がラッチボルト3のカム溝3aから離脱する(図1Cの(b)、図1Dの(b)(c)矢印A)。なお、施錠、つまりサムターン10の回動は連結板11を介して表示盤9に伝達され、施錠状態であることを表示する。
【0014】
この状態でレバー5を操作すると、レバー5は、角芯棒4を回動させるものの、駆動用カム12がラッチボルト3のカム溝3aから離脱していて係合が解除されているため、ラッチボルト3は、受座13との係合状態を依然として維持、つまり施錠状態を維持する。
【0015】
この状態で、解錠しようとしてレバー5が過大な力で操作されても、レバー5はケース等のストッパにより回転が阻止されるため、従来の室内錠のロック機構よりも大きな力を受け止めることが可能となる。
【0016】
解錠するべくサムターン10を回動すると、連結板11を介して施錠用回動カム15を回動させる。これにより凹カム面形成部材14の平面部14bが施錠用回動カム15の15cから外れ、凹カム面形成部材14の凹カム面14aが施錠用回動カム15のカム面を滑りバネ16の付勢力により図1Dの(c)矢印Bの方向に移動して駆動用カム12がラッチボルト3のカム溝3aに進入する(図1Cの(a))。これにより、レバー5を回動させると、角芯棒4を介して駆動用カム12がラッチボルト3を受座13から後退させる。
なお、施錠、つまりサムターン10の回動は連結板11を介して表示盤9に伝達され、解錠状態であることを表示する。
【0017】
上述の実施例は面付け錠に例を取って説明したが、錠本体を扉に埋没させて設置する筒錠の施錠構造として適用できることは明らかである。
すなわち図2Aは筒錠の一実施例を示すものであって、扉2に錠本体20が埋め込まれ、レバー21、22により角芯棒23を介してラッチボルト24を受座25から後退させるように構成され、さらに前述の実施例と同様にサムターン26の回動を連結板27で伝達して施錠、解錠できるとともに、窓28に表示盤29によりその状態を表示するようになっている。
【0018】
施錠機構は、図2B、Cに示すように前述の実施例と同様にサムターン26に連結されている連結板27により施錠用回動カム30を回動させて凹カム面形成部材31を進退させるように構成されている。
これによりラッチボルト24の係合孔24aに係合している係合軸32とカム33との距離を、施錠時には図2C(b)の矢印A方向に移動させてカム33を係合軸32から遠のかせ、また解錠時は近づけさせる。
なお、図中符号30a、31aはそれぞれ施錠用回動カム30、凹カム面形成部材31
に形成られたカム面と凹カム面を示す。
【符号の説明】
【0019】
1 錠前本体 3 ラッチボルト 4 中空の角芯棒 9 表示盤 10 サムターン 11 連結板 14 凹カム面形成部材 14a 凹カム面 15 施錠用回動カム 15a 凸カム面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバーにより回動される中空の角芯棒、前記角芯棒に係合して前記角芯棒の軸方向に直線運動するとともに付勢部材によりラッチボルトと離反可能に常時係合して前記ラッチボルトを後退させるカム、前記角芯棒に回動可能に挿入され、一端に施錠部材が、他端に表示盤が取り付けられた連結板、前記施錠部材により回動可能で軸方向に不動の施錠用回動カム、前記施錠用回動カムに対向するように前記角芯棒の端部に固定された凹カム面形成部材、及び前記施錠用回動カムと凹カム面形成部材との対向面のそれぞれに形成された前記施錠用回動カムの回動を前記軸方向の運動に変換するカム面とからなる室内用ラッチ錠。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【公開番号】特開2013−53409(P2013−53409A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190367(P2011−190367)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(593088773)技研金物株式会社 (12)
【出願人】(000113779)マツ六株式会社 (68)