害鳥、果実用選択性反射光照射用具
【課題】特定の波長より短波長側の光線を反射させる選択性光線反射体で構成され、ゴミ集積所、家屋のベランダ、農耕地に設置して反射光の照射で害鳥を寄せ付けないようにし、また、果実に地面側から太陽光の反射光を照射して、果実を均等に熟成させる害鳥、果実用選択性反射光照射用具を提供する。
【解決手段】透明なガラス又は合成樹脂の成形体の一面又は両面に酸化チタン(TiO2)、無水ケイ酸(SiO2)及び酸化タンタル(Ta2O5)等からなる光反射層を形成させて白色光の直射光線又は物体から反射してくる発散光線のそれぞれの中、特定の波長より短波長側の光線を反射させる選択性光線反射体の単体で、又は、前記選択性光線反射体のいくつかを組合して構成する。
【解決手段】透明なガラス又は合成樹脂の成形体の一面又は両面に酸化チタン(TiO2)、無水ケイ酸(SiO2)及び酸化タンタル(Ta2O5)等からなる光反射層を形成させて白色光の直射光線又は物体から反射してくる発散光線のそれぞれの中、特定の波長より短波長側の光線を反射させる選択性光線反射体の単体で、又は、前記選択性光線反射体のいくつかを組合して構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴミ集積場、家屋のベランダや田畑に飛来してくるカラス、ハト、スズメ、その他の害を及ぼす鳥類が照射を受けると忌避し、また、果樹畑や農耕地に設置して果実や農作物を害鳥から保護すると共に太陽光を選択的に反射照射して果実の熟成を促進させる害鳥、果実用選択性反射光照射用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴミ収集場では、カラスがゴミ袋を破ってゴミを散乱させたり、ベランダ等では、ハトがねぐらとしたり、洗濯物を汚したりする被害が増えている。
また、これら鳥類は、感染症病原体を媒介するので、人体の健康にも害を及ぼしかねない。
【0003】
これを防止するため、ゴミ袋に網をかけたりベランダ等ででは網を張ってベランダへの鳥類の侵入を防止している。
【0004】
しかし、カラスは網のかけもれした僅かな隙間からゴミ袋を引き出し、ベランダでは、網でベランダの開放部を全面遮断すると、うっとうしくなるので、住人は好まないし、効果的な対策方法が望まれている。
【0005】
また、果樹畑では、鳥類から果実を保護するため、ガスの爆発音を断続に発生させて鳥類を追い払っている。
【0006】
しかし、このガス爆発音による鳥類被害防禦方法では、爆鳴音が周囲に反響して騒音になるし、果実の結実から収穫までは数ヶ月になるので経費がかさむのが免れない。
【0007】
更に、果樹畑では、太陽光の直射を受ける果実の面は、より早く熟成して望む色艶を呈するが、直射光を受けない果実の下面は、色艶の現れが遅く、全体が均等な色艶の果実を得るのが困難である。これを改良するため、果実の下の地面に、アルミシートのような反射効果のあるシートを敷設して果実の下面に太陽光の反射光を照射して熟成を促進させている。
【0008】
しかし、このようにアルミシートのような可撓性のシートを敷設したのでは、反射光は、発散光線であるので、果実の地面側が受ける照度は小さく、また、作業者が踏みつけるので損傷し易く、耐用年数が乏しく、更に、埃等で表面が汚れるので反射効率は低くなり、より一層効果的な反射光照射用具が望まれている。
【0009】
また、稲作の収穫前には、アルミテープのような光反射性のある長尺のテープを水田に何条にも張設して稲穂をスズメ等の鳥害から保護している。
【0010】
しかし、この方法では、広い水田に調節する作業は容易でないし、しかも、テープの使用量も多くなり、更には、テープは耐久性が乏しいので経費が嵩むのが免れない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者等は、約5,000オングストロームから短波長側約2,000オングストロームの領域の波長を照射すると、現在害鳥とされるカラス、ハト、スズメ等の鳥類は、それを忌避する習性があることを実験的に確認し、その領域の波長を白色光から選択的に反射させ照射する技術手段を解決して、本発明の照射用具を完成させたのであり、また、この領域の波長は、果実の熟成促進にも効果があることを併せて確認した上実用化に至った。
【0012】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、特定の波長より短い波長側の光線を反射させる選択性光線反射体をゴミ集積場、ベランダや田畑に設置して、害鳥を寄せ付けないようにし、また、選択性反射光を果実の地面側になる面に照射して、熟成を促進させる害鳥、果実用選択性反射光照射用具を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記の目的を達成するために、本発明に係る害鳥、果実用選択性反射光照射用具は、透明なガラス又は合成樹脂の成形体の一面又は両面に酸化チタン(TiO2)、無水ケイ酸(SiO2)及び酸化タンタル(Ta2O5)等からなる光反射層を形成させて白色光の直射光線又は物体から反射してくる発散光線のそれぞれの中、特定の波長より短波長側の光線を反射させる選択性光線反射体の単体又は前記選択性光線反射体のいくつかを組合わして構成する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の選択性反射光照射用具を害鳥の飛来する場所や果樹畑に設置すれば、反射光の強力な照射効果により、鳥類は寄り付かないし、また、果実の熟成促進にも効果が得られる。
【0015】
また、本発明は、選択性光線反射体の平滑な単板のみ、又は、曲面体だけでも、反射光の強力な照射効果が得られるが、単板の幾つかを組合させて多面体に構成することもできるし、曲面体や多面体は限られた日照時間を可及的に長く効率的に利用できる。
【0016】
本発明の反射光照射用具は、取付け、設置が容易であり、また、反射光照射用具の形状、構造を選択して設置すれば、例えば、住居の窓のような反射光が達してはならないところへは、照射光が入光するのを阻止できるので、近隣の住人に迷惑をかけることがない。
【0017】
また、本発明の反射光照射用具は、果樹畑の地面に風等で飛ばされることもなく安定して、かつ、容易に設置できるし、さらに損耗、劣化し難いので、耐用年数は、従来のアルミシートを敷設するのに比較して、果実の熟成設備の寿命が著しく長くなり、併せて、害鳥除けにもなるので、果実の生産経費を大きく低減できる。
【0018】
更に、本発明の反射光照射用具は、太陽光を利用するので、エネルギー源には費用を要しないし、ガス爆鳴式害鳥除けと併用すれば、晴天の日には、ガス爆鳴式害鳥除けを中断できるので、結実から収穫までの数ヶ月をガス爆鳴式害鳥除けを連続に用いるのに比較して、遥かに経費を低減できる。
【0019】
そして更に、本発明の反射光照射用具は、所定の安全な場所に設置固定できるので、空港の滑走路にも設置できるし、空港での害鳥除けにも大きい効果を発揮できる等の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、透明なガラス又は合成樹脂の成形体の一面又は両面に酸化チタン(TiO2)、無水ケイ酸(SiO2)及び酸化タンタル(Ta2O5)等からなる光反射層を形成させて白色光の直射光線又は物体から反射してくる発散光線のそれぞれの中、特定の波長より短波長側の光線を反射させる選択性光線反射体の単体で、又は、前記選択性光線反射体のいくつかを組合わして選択性反射光照射用具を構成し、害鳥の排除又は果実の熟成の促進を効率的に行えるようにする。
本発明の反射光照射用具は、特定の波長より短波長側の光を反射させる選択性光線反射体の単体、又は、選択性光線反射体のいくつかを結合した構造体に成る。そして、前記光線反射体を結合させる手段としては、単体同士を接着させるか、若しくは、単体同士をボルト、ナットで締め付け結合するか、又は、単体同士をフレームの溝にコーキングで固定するとかの任意の手段を用途に応じて採り得るもので、以下の実施例で、光線反射体の種々の結合形態を示すが、本発明において、選択性光線反射体同士の結合形態及び結合方法は、実施例に記載した範囲に限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
この実施例1において、図1に示すように、透明な5mm厚のケイ酸塩板ガラスを基材1として、その片面に無水ケイ酸(SiO2)を約2200℃で溶融させて真空蒸着し、次いで、この無水ケイ酸の面に酸化チタン(TiO2)を約2600℃で溶融させて真空蒸着し、更に、この酸化チタンの面に酸化タンタル(Ta2O5)を約2800℃で溶融させて真空蒸着した。そして、この蒸着工程を50回反復実施し、一層となった蒸着層でなる光反射層2を形成させ、選択性光線反射体3の単体になる選択性反射光照射用具を製作した。
【0022】
このようにして製作した選択性光線反射体3に白色光の直射光線を照射すると、約5200オングストロームから短波長側約2,200オングストローム領域の光線の大部分を基材1を透過させることなく反射するものであった。
【0023】
この実施例1において、無水ケイ酸(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)の三種の化合物を反復して積層して一層の蒸着層でなる光反射層2を形成させたが、光反射層2は、必ずしもこれら3種の化合物の全てで構成されなくても良い。即ち、SiO2とTiO2、SiO2とTa2O5又は、SiO2とTa2O5の2種の異層を反復して積層して光反射層2を形成しても良く、これらの化合物の組み合わせは、最終製品の使用環境、用具の構造及びコスト等によって任意に採り得る手段であるが、光反射層2は、無水ケイ酸(SiO2)、酸化チタン(TiO2)及び酸化タンタル(Ta2O5)の全て又は一部で形成されていることを要する。
【0024】
また、上記3種の化合物(SiO2、TiO2及びTa2O5)の層に加えて、ホウ酸(H3BO3)の異層をも反射層中に形成させることにより、波長のより短い光線の反射効果を高めることができる。
【0025】
更に、本実施例1においては、基材1として5mm厚のケイ酸塩板ガラスを用いたが、ガラスの種類は、この他に、石英ガラス、ソーダガラス等を用いることができる。しかし、ケイ酸塩ガラスを基材とするのがコスト的には最も汎用的であるし、、多岐用途に使用できる。
【0026】
また、基材1としては、ガラスの他に、硬質のポリカーボネート樹脂を基材として使用可能であるが、コスト、生産効率等を勘案するとガラスに優位性がある。
【0027】
また、本実施例1では基材1として表面が平滑な板状のガラスを用いたが、基材1として板状の他に、次の実施例でも示すように、曲面を呈するものでも使用できるし、本発明においては、選択性光線反射体3の基材1の形状は、特に限定するものでない。
【0028】
本実施例1の選択性反射光照射用具は、1枚の板状単体でなる形態の選択性光線反射体3の一端側に紐取付け孔4を穿って紐5を取付けたもの5個を10アールの水田に分散させて立てて試験をしたところ、50m以上のアルミの反射テープを数条に張設したものに比して同等以上の効果が確認できて、本実施例1の選択性反射光照射用具が農作物を鳥害から保護するものであることが証明できた。
【0029】
本実施例1における選択性光線反射体3は、単体でなるが、この選択性光線反射体3は、基材1の形状を異にしても、本発明における選択性光線反射体3の基本を成すもので、この基本の光線反射体を用途に適合させた種々形態の各実施例を以下に述べる。
【実施例2】
【0030】
この実施例2において、選択性反射光照射用具は、図2に示すように、ケイ酸塩ガラスから三角板で成る4枚の基材1により、底面が開口する角錐を呈する形態に組み合わされる。この角錐の各側面となる各基盤1は、角錐の内側になる面に、実施例1におけると同じ光反射層2が形成された選択性光線反射体3として製作される。
角錐の各側稜部6は、各側面が隙間なく緊密に納まるフレームの溝中に嵌合させるが、各側稜部6にボルトを挿通する孔を穿ってナット締めして結合させる等の手段で連結させて載置用に適合させた選択性反射光照射用具であり、この反射光照射用具は、反射光を仰角方向に照射させることができるので、、隣接する住居を照射することなく住人に迷惑をかけることがない。
【0031】
また、この選択性反射光照射用具は、選択性光線反射体3が4枚あるので、底面を地面側にして載置すれば日照時間を可及的に長く利用できる。
この選択性反射光照射用具をベランダに置いたらカラスやハトは全く飛来しなくなった。
【実施例3】
【0032】
この実施例3において、選択性反射光照射用具は、図3に示すように、実施例1と同じ基材1で成り、3枚の長方形の基材1により両底面が開口する三角柱をなす形態に組み合わされる。この三角柱の各側面となる各基材1は、三角柱の内側になる面に、実施例1におけると同じ光反射層2が形成された選択性光線反射体3として製作される。そして、各側稜6は、実施例2におけると同じくフレーム又はボルト、ナットで結合してある。
【0033】
この選択性反射光照射用具は、底面を下面にして載置すれば、反射光は、水平方向に照射するし、側面を下面にして載置すれば仰角方向に照射させることができるので、設置場所により、置き方を変えることができる利点がある。
この実施例3の選択性反射光照射用具は、前述の実施例1及び2と同じく、害鳥の排除及び果実の熟成効果が認められた。
また、この選択性反射光照射用具の中空部に、図12に示すように、アルミ箔20を内臓させると乱反射光との相乗効果でネコのような動物も忌避するのが認められた。
【実施例4】
【0034】
この実施例4の選択性反射光照射用具は、図4に示すように、実施例1と同じ基材1から4面の側面を有して、両底面を開口する角柱形を呈した形態になり、4面の各側面である各基材1の内側には、前記実施例1〜3とおなじく光反射層2が全面に形成された選択性光線反射体3として製作されている。
この実施例4の選択性光線照射用具は、反射光を俯角方向に照射できるので、近隣の住人に迷惑をかけないし、ベランダに配置したときに、気づかずに飛来したカラスやハトは、一旦接近しても逃避する効果があることが、実験の結果、認められた。
【実施例5】
【0035】
この実施例5において、選択性反射光照射用具は、図5に示すように、両底面が開口した円柱形を呈し、実施例1と同じ基材1でなる側面の内側曲面に実施例1〜4と同じく光反射層2が全面に形成された選択性光線反射体3として製作されている。
この形状の反射光照射用具において、如上の各実施例1〜4では反射光が正反射方向に照射されるのに対し、全体的には方物線方向に照射されるので、照度は小さいが、設置したまま、位置を変えないでも日照時間を長く利用できる利点がある。
この選択性反射光照射用具をベランダに置いたところ、前記各実施例の選択性反射光照射用具と同様に鳥類は寄り付かなかった。
【実施例6】
【0036】
この実施例6において、選択性反射光照射用具は、図6に示すように、実施例5の用具の円柱の側面の母線を含む一部側面で構成される弧状を呈する形態になる。
この実施例6の選択性反射光照射用具は、前記実施例1と同じ基材1で成り、内側曲面に前記各実施例1〜5と同じ光反射層2が形成された選択性光線反射体3として製作されている。
この実施例6の選択性反射光照射用具は、照度は小さいが、仰角方向にも反射光を照射するし、ベランダの床に置いても場所を取らないし、風に対しても安定性があり、反射光は、室内に入光しない利点がある。
これを試験したところ、鳥類は飛来しなかった。
また、この形状で小径のものは、例えば、ベランダの手すりのパイプの曲面にクッション材を介して被るようにして縛着取り付けることができるので、容易な作業で安定して取付できる利点がある。
【実施例7】
【0037】
この実施例7において、選択性反射光照射用具は、図7に示すように、実施例1と同じ基材1でなる中空の四半球体で、その内側曲面には実施例1〜6と同じ光反射層2が形成された選択性光線反射体3に製作されている。
この実施例7の形状の選択性反射光照射用具を、曲面を入射光側にして、ベランダの床に置いたところ、室内に反射光は殆ど入光しないので、室内の者には、反射光照射用具の存在感がなく、また、鳥類も全く飛来しなかった。
また、この実施例7の選択性反射光照射用具は、照射光の照度は比較的小さいが、反射面が大きい割には置き場所は小さくて済むので、ベランダに置くには好都合である。
【実施例8】
【0038】
この実施例8において、選択性反射光照射用具は、図8に示すように、実施例1と同じ基材1で成り、内側の曲面には、実施例1〜7と同じ反射層2が形成された選択性光線反射体3に製作されている。
この実施例8の選択性反射光照射用具は、凸球面を天面にして、リンゴ畑の地面に適宜間隔を置いて点在させて設置したところ、鳥類は全く飛来しなく、ガス爆鳴音による害鳥除けと同等の効果が得られた。従って、晴天日には、ガス爆鳴音による害鳥除けを中断することができて経費の節減をすることができるし、爆鳴音による騒音から開放される効果がある。
また、アルミ箔を地面全域に敷設してあるのと同等に、リンゴの地面側の熟成促進効果も得られた。
【実施例9】
【0039】
この実施例9において、選択性反射光照射用具は、図9に示すように、実施例1と同じ基材1に光反射層2を設けてなる4枚の反射板7のそれぞれの一側面8を固定端として、図10に示す如く、集合保持フレーム9の各溝10中に嵌合させて固定して集合保持フレーム9を中心軸とする羽根車を構成し、集合保持フレームの上端には吊紐11が取付けてある。
前記4枚の反射板7の反固定端側の上下には孔12が穿ってあり、張設紐13が挿通してある。
符号14は、例えば、ポリビニルのような可撓性と気密性のあるフィルムで構成した空気膨脹式球体で、バルブ16から空気を充填すると膨脹して球形を呈した形態になり、また、バルブ16を開放すれば、内部空気を排出できるようにしてある。
【0040】
膨脹式球体14の内壁には各張設紐13の一端が空気膨脹式球体14の内壁に取付けられた取付座15に接続され、また、集合保持フレーム9の吊紐11も同様に取付座15に接続されている。
【0041】
この空気膨脹式球体14を膨脹させると、各張設紐13と吊紐11は伸張して4枚の反射板7で成る羽根車は、空気膨脹式球体14の内部で均等な位置に宙吊り状態になる。
前記空気膨脹式球体14の上端には懸垂紐17が球体14の内部とは気密を保って取付けてある。
【0042】
前記集合保持フレーム9には、図10に示すように、溝10が設けてあり、各反射板7の一側面8が嵌合して固定されている。
前記4枚の反射板7をこのように集合保持フレーム9に集束すると、各反射板7は、集合フレーム9に固定されるので、融通性がないが、図11に示すように、各反射板7の中心軸側に軸挿通環18を取付けて、この軸挿通環18中に中心軸を挿通すると、各反射板7は、180度回転できるようになり、空気膨脹式球体14の空気を抜くと各反射板7は重ね合わせることができる。このように、軸の周囲に反射板7を回動自在に軸着すると、嵩張ることなく搬送や収納に至極至便である。
【0043】
この実施例9の選択性反射光照射用具は、使用に当たっては、懸垂して用いるので、反射光の方向が間断なく移動変動するので、住宅域よりも農作物の栽培場に適している。特に、空気膨脹式球体14は、風雨や埃から反射板7を保護するので耐用年数は長くなる。
【0044】
更に、この実施例9の選択性反射光照射用具は、船舶に装備しても、反射層が塩害で効率を低下させないし、これを取付けた船舶は、遠方からも確認できて万一の遭難時には効果を発揮する。
【0045】
尚、この実施例9の選択性反射光照射用具は、空気膨脹式球体14の中に内臓される構造のものであるが、この空気膨脹式球体14は、反射板7を保護し、搬送と取付けを至便ならしめるために設けてあり、空気膨脹式球体14がなくても、反射光照射機能には影響はなく、4枚の羽根車構造のみのものでも十分に使用し得るものである。
【実施例10】
【0046】
この実施例10において、選択性反射光照射用具は、図13に示すように、上端に吊環19を取付けたアルミニュウム又は、鉄製の中空球体の表面全域に、実施例1と同様に製作した選択性光線反射体3の細片3aを接着又は粘着させて吊環19で紐で吊るすようにしたものである。
但し、この実施例10における選択性光線反射体3の基材1は、2mm厚程度のもので、光反射層2は、反接着又は反粘着側、即ち、表面に露呈している。このものを田畑の適宜個所に点在させて吊るしたところ害鳥は寄り付かないことが実証できた。
また、この実施例10の選択性反射光照射用具は、ライトアップされると光輝を放つので、観覧、観賞場所に設置すると好遇されるという別の用途も提供するものである。
【0047】
以上に本発明の種々の実施例を述べたが、本発明は、透明なガラス又は合成樹脂の成形体の一面又は両面に特定の波長より短波長側の光線を反射させる反射層を形成させた光線反射体の単体又はそれらを組み合わせた構造体で選択性反射光照射用具を構成するものであり、、最終製品の形状構造は、それが用いられる環境に適合させて任意に変更し得るものであり、更に、照射する光線としては、5,200オングストロームから2,200オングストロームの領域の波長が最も効率が良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】平滑な単体でなる選択性反射光照射用具の斜視図である。
【図2】中空の角錐でなる選択性反射光照射用具の斜視図である。
【図3】両底面が開口した三角柱でなる選択性反射光照射用具の斜視図である。
【図4】両底面が開口した四角柱でなる選択性反射光照射用具の斜視図である。
【図5】両底面が開口した円柱でなる選択性反射光照射用具の斜視図である。
【図6】図5に示す円柱の一部側面でなる選択性反射光照射用具の斜視図である。
【図7】略四分の一球面を呈し、内部が中空の選択性反射光照射用具の斜視図である。
【図8】略半球面を呈し、内部が中空の選択性反射光照射用具の斜視図である。
【図9】平板でなる選択性反射光照射体を空気膨脹式球体の中に内臓させて密封した選択性反射光照射用具の斜視図である。
【図10】図9のA―A線断面図である。
【図11】図9の空気膨脹式球体の中に内蔵させる他の選択性反射体の斜視図である。
【図12】図3に示す三角柱の中空部にアルミ箔を内在させた選択性反射光照射用具の斜視図である。
【図13】球体の表面に細片になる多数の選択性光線反射体を接合して構成した選択性反射光照射用具の斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1 基材
2 光反射層
3 選択性光線反射体
3a 選択性光線反射体の細片
4 紐取付け孔
5 紐
6 側稜部
7 反射板
8 反射板の側面
9 集合保持フレーム
10 溝
11 吊紐
12 孔
13 張設紐
14 空気膨脹式球体
15 取付座
16 バルブ
17 懸垂紐
18 軸挿通環
19 吊環
20 アルミ箔
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴミ集積場、家屋のベランダや田畑に飛来してくるカラス、ハト、スズメ、その他の害を及ぼす鳥類が照射を受けると忌避し、また、果樹畑や農耕地に設置して果実や農作物を害鳥から保護すると共に太陽光を選択的に反射照射して果実の熟成を促進させる害鳥、果実用選択性反射光照射用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴミ収集場では、カラスがゴミ袋を破ってゴミを散乱させたり、ベランダ等では、ハトがねぐらとしたり、洗濯物を汚したりする被害が増えている。
また、これら鳥類は、感染症病原体を媒介するので、人体の健康にも害を及ぼしかねない。
【0003】
これを防止するため、ゴミ袋に網をかけたりベランダ等ででは網を張ってベランダへの鳥類の侵入を防止している。
【0004】
しかし、カラスは網のかけもれした僅かな隙間からゴミ袋を引き出し、ベランダでは、網でベランダの開放部を全面遮断すると、うっとうしくなるので、住人は好まないし、効果的な対策方法が望まれている。
【0005】
また、果樹畑では、鳥類から果実を保護するため、ガスの爆発音を断続に発生させて鳥類を追い払っている。
【0006】
しかし、このガス爆発音による鳥類被害防禦方法では、爆鳴音が周囲に反響して騒音になるし、果実の結実から収穫までは数ヶ月になるので経費がかさむのが免れない。
【0007】
更に、果樹畑では、太陽光の直射を受ける果実の面は、より早く熟成して望む色艶を呈するが、直射光を受けない果実の下面は、色艶の現れが遅く、全体が均等な色艶の果実を得るのが困難である。これを改良するため、果実の下の地面に、アルミシートのような反射効果のあるシートを敷設して果実の下面に太陽光の反射光を照射して熟成を促進させている。
【0008】
しかし、このようにアルミシートのような可撓性のシートを敷設したのでは、反射光は、発散光線であるので、果実の地面側が受ける照度は小さく、また、作業者が踏みつけるので損傷し易く、耐用年数が乏しく、更に、埃等で表面が汚れるので反射効率は低くなり、より一層効果的な反射光照射用具が望まれている。
【0009】
また、稲作の収穫前には、アルミテープのような光反射性のある長尺のテープを水田に何条にも張設して稲穂をスズメ等の鳥害から保護している。
【0010】
しかし、この方法では、広い水田に調節する作業は容易でないし、しかも、テープの使用量も多くなり、更には、テープは耐久性が乏しいので経費が嵩むのが免れない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者等は、約5,000オングストロームから短波長側約2,000オングストロームの領域の波長を照射すると、現在害鳥とされるカラス、ハト、スズメ等の鳥類は、それを忌避する習性があることを実験的に確認し、その領域の波長を白色光から選択的に反射させ照射する技術手段を解決して、本発明の照射用具を完成させたのであり、また、この領域の波長は、果実の熟成促進にも効果があることを併せて確認した上実用化に至った。
【0012】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、特定の波長より短い波長側の光線を反射させる選択性光線反射体をゴミ集積場、ベランダや田畑に設置して、害鳥を寄せ付けないようにし、また、選択性反射光を果実の地面側になる面に照射して、熟成を促進させる害鳥、果実用選択性反射光照射用具を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記の目的を達成するために、本発明に係る害鳥、果実用選択性反射光照射用具は、透明なガラス又は合成樹脂の成形体の一面又は両面に酸化チタン(TiO2)、無水ケイ酸(SiO2)及び酸化タンタル(Ta2O5)等からなる光反射層を形成させて白色光の直射光線又は物体から反射してくる発散光線のそれぞれの中、特定の波長より短波長側の光線を反射させる選択性光線反射体の単体又は前記選択性光線反射体のいくつかを組合わして構成する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の選択性反射光照射用具を害鳥の飛来する場所や果樹畑に設置すれば、反射光の強力な照射効果により、鳥類は寄り付かないし、また、果実の熟成促進にも効果が得られる。
【0015】
また、本発明は、選択性光線反射体の平滑な単板のみ、又は、曲面体だけでも、反射光の強力な照射効果が得られるが、単板の幾つかを組合させて多面体に構成することもできるし、曲面体や多面体は限られた日照時間を可及的に長く効率的に利用できる。
【0016】
本発明の反射光照射用具は、取付け、設置が容易であり、また、反射光照射用具の形状、構造を選択して設置すれば、例えば、住居の窓のような反射光が達してはならないところへは、照射光が入光するのを阻止できるので、近隣の住人に迷惑をかけることがない。
【0017】
また、本発明の反射光照射用具は、果樹畑の地面に風等で飛ばされることもなく安定して、かつ、容易に設置できるし、さらに損耗、劣化し難いので、耐用年数は、従来のアルミシートを敷設するのに比較して、果実の熟成設備の寿命が著しく長くなり、併せて、害鳥除けにもなるので、果実の生産経費を大きく低減できる。
【0018】
更に、本発明の反射光照射用具は、太陽光を利用するので、エネルギー源には費用を要しないし、ガス爆鳴式害鳥除けと併用すれば、晴天の日には、ガス爆鳴式害鳥除けを中断できるので、結実から収穫までの数ヶ月をガス爆鳴式害鳥除けを連続に用いるのに比較して、遥かに経費を低減できる。
【0019】
そして更に、本発明の反射光照射用具は、所定の安全な場所に設置固定できるので、空港の滑走路にも設置できるし、空港での害鳥除けにも大きい効果を発揮できる等の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、透明なガラス又は合成樹脂の成形体の一面又は両面に酸化チタン(TiO2)、無水ケイ酸(SiO2)及び酸化タンタル(Ta2O5)等からなる光反射層を形成させて白色光の直射光線又は物体から反射してくる発散光線のそれぞれの中、特定の波長より短波長側の光線を反射させる選択性光線反射体の単体で、又は、前記選択性光線反射体のいくつかを組合わして選択性反射光照射用具を構成し、害鳥の排除又は果実の熟成の促進を効率的に行えるようにする。
本発明の反射光照射用具は、特定の波長より短波長側の光を反射させる選択性光線反射体の単体、又は、選択性光線反射体のいくつかを結合した構造体に成る。そして、前記光線反射体を結合させる手段としては、単体同士を接着させるか、若しくは、単体同士をボルト、ナットで締め付け結合するか、又は、単体同士をフレームの溝にコーキングで固定するとかの任意の手段を用途に応じて採り得るもので、以下の実施例で、光線反射体の種々の結合形態を示すが、本発明において、選択性光線反射体同士の結合形態及び結合方法は、実施例に記載した範囲に限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
この実施例1において、図1に示すように、透明な5mm厚のケイ酸塩板ガラスを基材1として、その片面に無水ケイ酸(SiO2)を約2200℃で溶融させて真空蒸着し、次いで、この無水ケイ酸の面に酸化チタン(TiO2)を約2600℃で溶融させて真空蒸着し、更に、この酸化チタンの面に酸化タンタル(Ta2O5)を約2800℃で溶融させて真空蒸着した。そして、この蒸着工程を50回反復実施し、一層となった蒸着層でなる光反射層2を形成させ、選択性光線反射体3の単体になる選択性反射光照射用具を製作した。
【0022】
このようにして製作した選択性光線反射体3に白色光の直射光線を照射すると、約5200オングストロームから短波長側約2,200オングストローム領域の光線の大部分を基材1を透過させることなく反射するものであった。
【0023】
この実施例1において、無水ケイ酸(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)の三種の化合物を反復して積層して一層の蒸着層でなる光反射層2を形成させたが、光反射層2は、必ずしもこれら3種の化合物の全てで構成されなくても良い。即ち、SiO2とTiO2、SiO2とTa2O5又は、SiO2とTa2O5の2種の異層を反復して積層して光反射層2を形成しても良く、これらの化合物の組み合わせは、最終製品の使用環境、用具の構造及びコスト等によって任意に採り得る手段であるが、光反射層2は、無水ケイ酸(SiO2)、酸化チタン(TiO2)及び酸化タンタル(Ta2O5)の全て又は一部で形成されていることを要する。
【0024】
また、上記3種の化合物(SiO2、TiO2及びTa2O5)の層に加えて、ホウ酸(H3BO3)の異層をも反射層中に形成させることにより、波長のより短い光線の反射効果を高めることができる。
【0025】
更に、本実施例1においては、基材1として5mm厚のケイ酸塩板ガラスを用いたが、ガラスの種類は、この他に、石英ガラス、ソーダガラス等を用いることができる。しかし、ケイ酸塩ガラスを基材とするのがコスト的には最も汎用的であるし、、多岐用途に使用できる。
【0026】
また、基材1としては、ガラスの他に、硬質のポリカーボネート樹脂を基材として使用可能であるが、コスト、生産効率等を勘案するとガラスに優位性がある。
【0027】
また、本実施例1では基材1として表面が平滑な板状のガラスを用いたが、基材1として板状の他に、次の実施例でも示すように、曲面を呈するものでも使用できるし、本発明においては、選択性光線反射体3の基材1の形状は、特に限定するものでない。
【0028】
本実施例1の選択性反射光照射用具は、1枚の板状単体でなる形態の選択性光線反射体3の一端側に紐取付け孔4を穿って紐5を取付けたもの5個を10アールの水田に分散させて立てて試験をしたところ、50m以上のアルミの反射テープを数条に張設したものに比して同等以上の効果が確認できて、本実施例1の選択性反射光照射用具が農作物を鳥害から保護するものであることが証明できた。
【0029】
本実施例1における選択性光線反射体3は、単体でなるが、この選択性光線反射体3は、基材1の形状を異にしても、本発明における選択性光線反射体3の基本を成すもので、この基本の光線反射体を用途に適合させた種々形態の各実施例を以下に述べる。
【実施例2】
【0030】
この実施例2において、選択性反射光照射用具は、図2に示すように、ケイ酸塩ガラスから三角板で成る4枚の基材1により、底面が開口する角錐を呈する形態に組み合わされる。この角錐の各側面となる各基盤1は、角錐の内側になる面に、実施例1におけると同じ光反射層2が形成された選択性光線反射体3として製作される。
角錐の各側稜部6は、各側面が隙間なく緊密に納まるフレームの溝中に嵌合させるが、各側稜部6にボルトを挿通する孔を穿ってナット締めして結合させる等の手段で連結させて載置用に適合させた選択性反射光照射用具であり、この反射光照射用具は、反射光を仰角方向に照射させることができるので、、隣接する住居を照射することなく住人に迷惑をかけることがない。
【0031】
また、この選択性反射光照射用具は、選択性光線反射体3が4枚あるので、底面を地面側にして載置すれば日照時間を可及的に長く利用できる。
この選択性反射光照射用具をベランダに置いたらカラスやハトは全く飛来しなくなった。
【実施例3】
【0032】
この実施例3において、選択性反射光照射用具は、図3に示すように、実施例1と同じ基材1で成り、3枚の長方形の基材1により両底面が開口する三角柱をなす形態に組み合わされる。この三角柱の各側面となる各基材1は、三角柱の内側になる面に、実施例1におけると同じ光反射層2が形成された選択性光線反射体3として製作される。そして、各側稜6は、実施例2におけると同じくフレーム又はボルト、ナットで結合してある。
【0033】
この選択性反射光照射用具は、底面を下面にして載置すれば、反射光は、水平方向に照射するし、側面を下面にして載置すれば仰角方向に照射させることができるので、設置場所により、置き方を変えることができる利点がある。
この実施例3の選択性反射光照射用具は、前述の実施例1及び2と同じく、害鳥の排除及び果実の熟成効果が認められた。
また、この選択性反射光照射用具の中空部に、図12に示すように、アルミ箔20を内臓させると乱反射光との相乗効果でネコのような動物も忌避するのが認められた。
【実施例4】
【0034】
この実施例4の選択性反射光照射用具は、図4に示すように、実施例1と同じ基材1から4面の側面を有して、両底面を開口する角柱形を呈した形態になり、4面の各側面である各基材1の内側には、前記実施例1〜3とおなじく光反射層2が全面に形成された選択性光線反射体3として製作されている。
この実施例4の選択性光線照射用具は、反射光を俯角方向に照射できるので、近隣の住人に迷惑をかけないし、ベランダに配置したときに、気づかずに飛来したカラスやハトは、一旦接近しても逃避する効果があることが、実験の結果、認められた。
【実施例5】
【0035】
この実施例5において、選択性反射光照射用具は、図5に示すように、両底面が開口した円柱形を呈し、実施例1と同じ基材1でなる側面の内側曲面に実施例1〜4と同じく光反射層2が全面に形成された選択性光線反射体3として製作されている。
この形状の反射光照射用具において、如上の各実施例1〜4では反射光が正反射方向に照射されるのに対し、全体的には方物線方向に照射されるので、照度は小さいが、設置したまま、位置を変えないでも日照時間を長く利用できる利点がある。
この選択性反射光照射用具をベランダに置いたところ、前記各実施例の選択性反射光照射用具と同様に鳥類は寄り付かなかった。
【実施例6】
【0036】
この実施例6において、選択性反射光照射用具は、図6に示すように、実施例5の用具の円柱の側面の母線を含む一部側面で構成される弧状を呈する形態になる。
この実施例6の選択性反射光照射用具は、前記実施例1と同じ基材1で成り、内側曲面に前記各実施例1〜5と同じ光反射層2が形成された選択性光線反射体3として製作されている。
この実施例6の選択性反射光照射用具は、照度は小さいが、仰角方向にも反射光を照射するし、ベランダの床に置いても場所を取らないし、風に対しても安定性があり、反射光は、室内に入光しない利点がある。
これを試験したところ、鳥類は飛来しなかった。
また、この形状で小径のものは、例えば、ベランダの手すりのパイプの曲面にクッション材を介して被るようにして縛着取り付けることができるので、容易な作業で安定して取付できる利点がある。
【実施例7】
【0037】
この実施例7において、選択性反射光照射用具は、図7に示すように、実施例1と同じ基材1でなる中空の四半球体で、その内側曲面には実施例1〜6と同じ光反射層2が形成された選択性光線反射体3に製作されている。
この実施例7の形状の選択性反射光照射用具を、曲面を入射光側にして、ベランダの床に置いたところ、室内に反射光は殆ど入光しないので、室内の者には、反射光照射用具の存在感がなく、また、鳥類も全く飛来しなかった。
また、この実施例7の選択性反射光照射用具は、照射光の照度は比較的小さいが、反射面が大きい割には置き場所は小さくて済むので、ベランダに置くには好都合である。
【実施例8】
【0038】
この実施例8において、選択性反射光照射用具は、図8に示すように、実施例1と同じ基材1で成り、内側の曲面には、実施例1〜7と同じ反射層2が形成された選択性光線反射体3に製作されている。
この実施例8の選択性反射光照射用具は、凸球面を天面にして、リンゴ畑の地面に適宜間隔を置いて点在させて設置したところ、鳥類は全く飛来しなく、ガス爆鳴音による害鳥除けと同等の効果が得られた。従って、晴天日には、ガス爆鳴音による害鳥除けを中断することができて経費の節減をすることができるし、爆鳴音による騒音から開放される効果がある。
また、アルミ箔を地面全域に敷設してあるのと同等に、リンゴの地面側の熟成促進効果も得られた。
【実施例9】
【0039】
この実施例9において、選択性反射光照射用具は、図9に示すように、実施例1と同じ基材1に光反射層2を設けてなる4枚の反射板7のそれぞれの一側面8を固定端として、図10に示す如く、集合保持フレーム9の各溝10中に嵌合させて固定して集合保持フレーム9を中心軸とする羽根車を構成し、集合保持フレームの上端には吊紐11が取付けてある。
前記4枚の反射板7の反固定端側の上下には孔12が穿ってあり、張設紐13が挿通してある。
符号14は、例えば、ポリビニルのような可撓性と気密性のあるフィルムで構成した空気膨脹式球体で、バルブ16から空気を充填すると膨脹して球形を呈した形態になり、また、バルブ16を開放すれば、内部空気を排出できるようにしてある。
【0040】
膨脹式球体14の内壁には各張設紐13の一端が空気膨脹式球体14の内壁に取付けられた取付座15に接続され、また、集合保持フレーム9の吊紐11も同様に取付座15に接続されている。
【0041】
この空気膨脹式球体14を膨脹させると、各張設紐13と吊紐11は伸張して4枚の反射板7で成る羽根車は、空気膨脹式球体14の内部で均等な位置に宙吊り状態になる。
前記空気膨脹式球体14の上端には懸垂紐17が球体14の内部とは気密を保って取付けてある。
【0042】
前記集合保持フレーム9には、図10に示すように、溝10が設けてあり、各反射板7の一側面8が嵌合して固定されている。
前記4枚の反射板7をこのように集合保持フレーム9に集束すると、各反射板7は、集合フレーム9に固定されるので、融通性がないが、図11に示すように、各反射板7の中心軸側に軸挿通環18を取付けて、この軸挿通環18中に中心軸を挿通すると、各反射板7は、180度回転できるようになり、空気膨脹式球体14の空気を抜くと各反射板7は重ね合わせることができる。このように、軸の周囲に反射板7を回動自在に軸着すると、嵩張ることなく搬送や収納に至極至便である。
【0043】
この実施例9の選択性反射光照射用具は、使用に当たっては、懸垂して用いるので、反射光の方向が間断なく移動変動するので、住宅域よりも農作物の栽培場に適している。特に、空気膨脹式球体14は、風雨や埃から反射板7を保護するので耐用年数は長くなる。
【0044】
更に、この実施例9の選択性反射光照射用具は、船舶に装備しても、反射層が塩害で効率を低下させないし、これを取付けた船舶は、遠方からも確認できて万一の遭難時には効果を発揮する。
【0045】
尚、この実施例9の選択性反射光照射用具は、空気膨脹式球体14の中に内臓される構造のものであるが、この空気膨脹式球体14は、反射板7を保護し、搬送と取付けを至便ならしめるために設けてあり、空気膨脹式球体14がなくても、反射光照射機能には影響はなく、4枚の羽根車構造のみのものでも十分に使用し得るものである。
【実施例10】
【0046】
この実施例10において、選択性反射光照射用具は、図13に示すように、上端に吊環19を取付けたアルミニュウム又は、鉄製の中空球体の表面全域に、実施例1と同様に製作した選択性光線反射体3の細片3aを接着又は粘着させて吊環19で紐で吊るすようにしたものである。
但し、この実施例10における選択性光線反射体3の基材1は、2mm厚程度のもので、光反射層2は、反接着又は反粘着側、即ち、表面に露呈している。このものを田畑の適宜個所に点在させて吊るしたところ害鳥は寄り付かないことが実証できた。
また、この実施例10の選択性反射光照射用具は、ライトアップされると光輝を放つので、観覧、観賞場所に設置すると好遇されるという別の用途も提供するものである。
【0047】
以上に本発明の種々の実施例を述べたが、本発明は、透明なガラス又は合成樹脂の成形体の一面又は両面に特定の波長より短波長側の光線を反射させる反射層を形成させた光線反射体の単体又はそれらを組み合わせた構造体で選択性反射光照射用具を構成するものであり、、最終製品の形状構造は、それが用いられる環境に適合させて任意に変更し得るものであり、更に、照射する光線としては、5,200オングストロームから2,200オングストロームの領域の波長が最も効率が良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】平滑な単体でなる選択性反射光照射用具の斜視図である。
【図2】中空の角錐でなる選択性反射光照射用具の斜視図である。
【図3】両底面が開口した三角柱でなる選択性反射光照射用具の斜視図である。
【図4】両底面が開口した四角柱でなる選択性反射光照射用具の斜視図である。
【図5】両底面が開口した円柱でなる選択性反射光照射用具の斜視図である。
【図6】図5に示す円柱の一部側面でなる選択性反射光照射用具の斜視図である。
【図7】略四分の一球面を呈し、内部が中空の選択性反射光照射用具の斜視図である。
【図8】略半球面を呈し、内部が中空の選択性反射光照射用具の斜視図である。
【図9】平板でなる選択性反射光照射体を空気膨脹式球体の中に内臓させて密封した選択性反射光照射用具の斜視図である。
【図10】図9のA―A線断面図である。
【図11】図9の空気膨脹式球体の中に内蔵させる他の選択性反射体の斜視図である。
【図12】図3に示す三角柱の中空部にアルミ箔を内在させた選択性反射光照射用具の斜視図である。
【図13】球体の表面に細片になる多数の選択性光線反射体を接合して構成した選択性反射光照射用具の斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1 基材
2 光反射層
3 選択性光線反射体
3a 選択性光線反射体の細片
4 紐取付け孔
5 紐
6 側稜部
7 反射板
8 反射板の側面
9 集合保持フレーム
10 溝
11 吊紐
12 孔
13 張設紐
14 空気膨脹式球体
15 取付座
16 バルブ
17 懸垂紐
18 軸挿通環
19 吊環
20 アルミ箔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明なガラス又は合成樹脂の成形体の一面又は両面に酸化チタン(TiO2)、無水ケイ酸(SiO2)及び酸化タンタル(Ta2O5)等からなる光反射層を形成させて白色光の直射光線又は物体から反射してくる発散光線のそれぞれの中、特定の波長より短波長側の光線を反射させる選択性光線反射体の単体で、又は、前記選択性光線反射体のいくつかを組合わして構成した害鳥、果実用選択性反射光照射用具。
【請求項1】
透明なガラス又は合成樹脂の成形体の一面又は両面に酸化チタン(TiO2)、無水ケイ酸(SiO2)及び酸化タンタル(Ta2O5)等からなる光反射層を形成させて白色光の直射光線又は物体から反射してくる発散光線のそれぞれの中、特定の波長より短波長側の光線を反射させる選択性光線反射体の単体で、又は、前記選択性光線反射体のいくつかを組合わして構成した害鳥、果実用選択性反射光照射用具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−28926(P2007−28926A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213207(P2005−213207)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(505277462)
【出願人】(505277451)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(505277462)
【出願人】(505277451)
【Fターム(参考)】
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