説明

家具における扉のラッチ装置

【課題】バネの取付作業が比較的容易で、装置自体の大きさをコンパクトに構成でき、把手操作が円滑に行える家具における扉のラッチ装置を提供すること。
【解決手段】把手6の後部に、把手6の前後摺動に追従して前後移動する扉3,3’の背面側に設けたスライド部材17を連結し、ラッチ杆8をスライド部材17の中心軸線から偏心させて配設し、スライド部材17の前後の移動方向に張設された前記付勢ばね16は、一端がラッチ杆8に設けた回動片14と当接し、他端が扉3,3’の裏面に支持されており、スライド部材17の前方への移動により、付勢ばね16力に抗して回動片14を介してラッチ杆8を回動させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具における扉のラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の家具における扉のラッチ装置は、扉の正面に設けられた把手(レバー)を使用者が掴むことにより把手が回動し扉裏面に設けられた回動筒の押圧片を押圧して回動筒を回動させてラッチ爪を開放し、把手から手を離すと回動筒の固定片と扉裏面に設けた固定片間に所定角度傾斜させて張設された一対のバネの付勢力によって回動筒を逆回動させて元の状態に戻してラッチ爪を係合片と係合するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−125787号公報(第3頁、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、扉裏面の取付スペース内で、一対のバネを所定角度傾斜させて張設しなければならず、取付作業に困難が伴うと共に、バネが回動筒の押圧片を挟んで2箇所に設けた固定片に取り付けてあるため、ラッチ装置全体のサイズが大きくなってしまうという問題があった。更に、回動筒の回転角に対してバネの傾斜角度が変わるため、バネ抵抗が非線形となりフィーリングのつかみにくい把手操作となる虞もあった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、バネの取付作業が比較的容易で、装置自体の大きさをコンパクトに構成でき、把手操作が円滑に行える家具における扉のラッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の家具における扉のラッチ装置は、
家具本体に設けた係合部と係合しうるラッチ爪を有するラッチ杆を、家具本体の開閉自在に枢着された扉の裏面に、該ラッチ爪が付勢ばねにより係合部と係合付勢された状態で軸支し、扉の表面側に設けた該扉に対して前後方向に摺動する把手に連係して前記ラッチ杆を前記付勢ばねの付勢力に抗してラッチ爪を係合部から離脱するように回動して扉が開放される家具における扉のラッチ装置において、
前記把手の後部に、前記把手の前後摺動に追従して前後移動する扉の背面側に設けたスライド部材を連結し、前記ラッチ杆をスライド部材の中心軸線から偏心させて配設し、前記スライド部材の前後の移動方向に張設された前記付勢ばねは、一端がラッチ杆に設けた回動片と当接し、他端が扉の裏面に支持されており、前記スライド部材の前方への移動により、付勢ばね力に抗して前記回動片を介してラッチ杆を回動させるようにしたことを特徴としている。
この特徴によれば、付勢ばねがスライド部材の前後の移動方向に張設されているので、取付作業が容易であり、また回動片がラッチ杆に付勢ばねを支持する作用と、ラッチ杆を回動する作用を担うことができるのでコンパクトに構成でき、しかも把手の前方への移動量に比例してばね抵抗が増すので、把手の操作フィーリングが良好なものとなり得る。
【0007】
本発明の請求項2に記載の家具における扉のラッチ装置は、請求項1に記載の家具における扉のラッチ装置であって、
前記スライド部材の前面に、長手方向に沿って前向きに突出したリブが形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、長期使用による把手の前後方向の摺動によってスライド部材に蓄積される撓みによる曲がりを抑制させることができる。
【0008】
本発明の請求項3に記載の家具における扉のラッチ装置は、請求項1または2に記載の家具における扉のラッチ装置であって、
前記回動片はラッチ杆に複数設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、回動片がラッチ杆に複数枚設けられていることで、ラッチ杆に均等に回動力を伝達させて、ラッチ杆の回動を安定させることができる。
【0009】
本発明の請求項4に記載の家具における扉のラッチ装置は、請求項1ないし3のいずれかに記載の家具における扉のラッチ装置であって、
前記付勢ばねの長手方向の少なくとも一部はスライド部材の前後方向移動に対して当接、あるいは近接支持され、端部は扉に形成した凹所に係合支持されていることを特徴としている。
この特徴によれば、付勢ばねの一部がスライド部材の前後方向移動に対して当接、あるいは近接支持され、付勢ばねの姿勢を安定させることができるとともに、扉に凹所を形成するだけで付勢ばねを保持できるので、部品点数が少なくて済み、組立も容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る家具における扉のラッチ装置を実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0011】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、本発明の家具における扉のラッチ装置が適用されたキャビネットの斜視図であり、図2は、ガラス扉の背面側の要部を示す拡大斜視図であり、図3は、ラッチ装置を示すガラス扉の拡大背面図であり、図4は、ラッチ爪が係合部と係合しているときの図3におけるラッチ装置のA−A縦断側面図であり、図5は、ラッチ爪が係合部から離脱しているときのガラス扉開放時のラッチ装置の動きを示すラッチ装置のA−A縦断側面図であり、図6は、ラッチ装置の上方でのラッチ爪と係合部の係合状態を示す斜視図であり、図7(a)は、ガラス扉閉止時の図3におけるスライド部材とコイルバネを示すB−B端面図であり、図7(b)は、把手を前方に摺動させたときの図3におけるスライド部材とコイルバネを示すB−B端面図であり、図8(a)は、ガラス扉が解錠されている状態を示す図3におけるC−C端面図であり、図8(b)は、ガラス扉が施錠された状態を示す図3におけるC−C端面図である。以下、図4および図5の紙面左側をラッチ装置の正面側とし、図7および図8の紙面上方側をラッチ装置の正面側として説明する。
【0012】
図1の符号1は、本実施例における家具本体としてのキャビネットであり、このキャビネット1は内部に棚板2が上下に連設されており、本体正面には開口部の左右両側端部には、本実施例における扉としての観音開き式の一対のガラス扉3,3’が取り付けられている。このガラス扉3,3’は同一構成につき一方のガラス扉3について説明する。
【0013】
ガラス扉3は外側端を蝶番(図示略)によって正面方向に回動自在に枢着されており、このガラス扉3は、ガラス部としての正面視矩形状のガラス板4と、ガラス板4に左右から取り付けられたパネル5,5’で構成されている。
【0014】
ガラス板4がガラス扉3に取り付けられていることにより、ガラス扉3が閉じた状態でもキャビネット1内の収容物が視認できるようになっている。また、中央に位置するパネル5,5の正面側には、キャビネット1を開閉するための把手6が取り付けられている。
【0015】
本発明のラッチ装置7について説明すると、図2及び図3に示すように、パネル5の裏面には、ラッチ杆8が上下方向にパネル5の長手方向に沿うように延設されている。このラッチ杆8は、それぞれ略円筒形状である回動管8aと、この回動管8aと一体的に結合したラッチ棒8b,8cより構成されており、螺子31により螺着されている側面視略L字状の本実施例における取付具としての支持部材9a,9b間に回動自在に設けられている。
【0016】
また、回動管8aの上面及び下面には嵌合穴8dが形成されているとともに、ラッチ棒8bの下端とラッチ棒8cの上端にはそれぞれ嵌合突起8eが形成されている(図6参照)。そして、回動管8aの上下面に形成された嵌合穴8d,8dに上方からラッチ棒8b、下方からラッチ棒8cの嵌合突起8e,8eがそれぞれ嵌合され、回動管8aとラッチ棒8b,8cは一体化される。
【0017】
また、図6に示す如くラッチ棒8bの上端にはラッチ爪10aが設けられており、このラッチ爪10aは図3に示すように、キャビネット1の天板12下面に取り付けられた係合部11aに対して係脱可能に取り付けられている。ラッチ棒8cの下端とキャビネット1の底板13上面についてもラッチ爪10bと係合部11bによる同一構成となっており、ガラス扉3の閉止時には、ラッチ爪10a,10bが係合部11a,11bにそれぞれ付勢ばねにより係合されて容易にガラス扉3が開かないようになっている。
【0018】
更に、ラッチ杆8は、パネル5の背面側で上下方向に延設されていることで、このパネル5により正面視からは隠蔽されているので、ガラス板4により構成されたガラス扉3であっても外観を損ねることなくラッチ杆8を取り付けることができる。
【0019】
図2及び図4に示すように、ラッチ杆8の中央近傍、詳しくは回動管8aの円周面からは、2枚の第1の回動片14,14が背面視左側(図2参照)に延設されている。また、パネル5裏面には、第1の回動片14,14と対向して本実施例における凹所としての凹穴15,15が形成されている。この凹穴15,15には本実施例における付勢ばねとしてのコイルバネ16,16の一端が係合支持されており、他端は第1の回動片14,14に、第1の回動片14,14がパネル5の裏面から離間する方向(図7(a)参照)に付勢されるように取り付けられている。
【0020】
このコイルバネ16,16の付勢により、ラッチ杆8はラッチ爪10a,10bが、係合部11a,11bから容易に離脱しないように付勢係合された状態で軸支されている。
【0021】
また、回動管8aの裏面視左側には、正面視矩形状であり、上下端面が前方に延設されて嵌合片17a,17bに形成されているスライド部材17が回動管8aと略平行となるように設けられており、その前方側が第1の回動片14,14の先端と当接あるいは当接可能に配設されている。この嵌合片17a,17bの外面は、後述する摺動補助具22の摺接片22bと摺接可能な平坦面となっている。
【0022】
このスライド部材17のパネル5と対向する側の中央部には、図7(a)に示すように、スライド部材17の上方から下方にかけてリブ17cが突出形成されている。このとき、リブ17cの側面には、第1の回動片14,14を付勢しているコイルバネ16,16の側部が近接されている。しかし、コイルバネ16,16をリブ17cの側面に沿って伸縮可能となるように当接させるようにしてもよい。このように、コイルバネ16,16の側部に対して当接、あるいは近接して配置すれば、コイルバネ16,16の伸縮時にはその姿勢を安定して作動させることができる。
【0023】
更に、図4に示すように、パネル5には、スライド部材17の上下端と対向する位置に取付孔18,18が貫通形成されており、取付孔18,18のパネル5背面側には段付き凹部19,19が形成されている。この取付孔18,18には、本実施例におけるガイド部材としての軸受ブッシュ21,21がパネル5正面側から挿嵌保持されている。
【0024】
これら軸受ブッシュ21は、先端に一体形成されてパネル5の正面より突出する本実施例における箱状部としての角筒部21aと、軸受ブッシュ21の後端に形成され、段付き凹部19,19に弾力的に係合する可撓爪部21cと、角筒部21aと可撓爪部21cを連結する筒状部21bとから構成されている。尚、筒状部21bの内面には、後述する連結軸24を前後方向に摺動支持するスリーブ23が挿入されている。
【0025】
また、段付き凹部19,19の外周縁には、更に嵌合凹部20,20が段付き凹部19,19より後端で段を設けて形成されており、この嵌合凹部20,20には摺動補助具22,22が嵌合されている。
【0026】
これら摺動補助具22は、嵌合凹部20に嵌合されるとともに、パネル5の裏面に螺子32により螺着される支持部22aと、後方に延設された摺接片22bとで構成され、この摺接片22bのスライド部材17端面側と対向する内側面には、スライド部材17の嵌合片17a,17aと摺接する平坦な摺接面22cが、その相対向する面が平行となるように形成されている。
【0027】
更に、支持部22aの中心にはスリーブ23が挿入可能なようにスリーブ23と略同径の摺動孔22dが形成されており、支持部22aの摺接片22b近傍にはスライド部材17の嵌合片17a,17bが嵌合する嵌合溝22eが形成されている。
【0028】
尚、軸受ブッシュ21,21の角筒部21b,21bには、側面視後ろ向きコ字状に形成された把手6の上下後端部がそれぞれ嵌合される。また、スライド部材17の上下両端部から連結軸24,24が角筒部21b,21b内のスリーブ23,23に挿通され、連結軸24,24の端部は把手6の上下端部に螺着される。これにより把手6とスライド部材17は、互いに相対移動不能に連結される。
【0029】
次にラッチ装置7の作動について説明する。ラッチ爪10a,10bが係合部11a,11bと係合している状態である図4において、使用者が把手6を白抜き矢印の如く前方に引くことで、連結軸24を介してスライド部材17はその嵌合片17a,17bが摺動補助具22,22の摺接面22c,22cと摺接しながら前方に摺動し、図5に示した状態となる。
【0030】
このとき、軸受ブッシュ21,21の角筒部21a,21aは把手6の上下後端を前後摺動可能にガイドしており、更に筒状部21b,21b内のスリーブ23,23を介して連結軸24,24を前後摺動可能にガイドしている。
【0031】
また、このスライド部材17の前方への摺動に伴い、コイルバネ16,16は、図7(a)に示した付勢状態から、図7(b)に示すように、スライド部材17の前方の摺動に抗する圧縮された状態となると共に、第1の回動片14,14が角度θ(略30度)回動することによりラッチ杆8の回動に変換される。これにより、上下のラッチ棒8a,8bは回動されてラッチ爪10a,10bが係合部11a,11bから離脱し、ガラス扉3が開放可能となる。尚、ラッチ爪10a,10bが外れる角度は30度に限定されることなく任意の角度に設定可能である。
【0032】
尚、ラッチ爪10a,10b及び係合部11a,11bの先端は略円弧形状をしており、ガラス扉3の閉止時には使用者が把手6を持ってガラス扉3を押すか、直接ガラス扉3を押し込むと、ラッチ爪10a,10bと係合部11a,11bの先端が互いに当接されるからコイルバネ16,16の付勢力に抗してラッチ杆8が回動し、その後、コイルバネ16,16の付勢力によりラッチ爪10a,10bは自動的に係合部11a,11bに係合されてガラス扉3が閉止される。
【0033】
次にラッチ装置7の一部である本実施例における施解錠装置としてのロック装置25について説明すると、図3及び図4に示すように、パネル5裏面のスライド部材17の下方には、開口部26が形成されており、更に、開口部26の下方には上下に摺動可能な本実施例における板体としてのスライド板25aが備えられたロック装置25が取り付けられている。
【0034】
このロック装置25はパネル5の表面から裏面にかけて貫通形成された貫通孔27に挿通されて取り付けられており、パネル5正面側にはキー28を挿通して回動させるキーシリンダ25cを有し、パネル5背面側には上下に摺動可能なスライド板25aと、このスライド板25aを上下に摺動させる本実施例における板体作動部としてのスライド板作動部25bを有している。尚、スライド部材17と開口部26、スライド板作動部25bはスライド部材17の長手方向延長部に直線状に並んでかつ互いに近接して配置されている。
【0035】
ロック装置25のキーシリンダ25cとスライド板作動部25bは連係して動作する。詳しくは、先ず使用者がキーシリンダ25cにキー28を挿通させ、更にキー28を正面視左右方向に回動させる。この回動によりスライド板作動部25bがスライド板25aを上下に摺動させ、スライド板25aを上方移動により開口部26を閉塞する構成となっている。
【0036】
また、開口部26の近傍には、回動管8aの下方部である支持部材9b近傍から第2の回動片29が左側に延設されており、ガラス扉3が開放される際にラッチ杆8の回動を許容するために第2の回動片29が開口部26に嵌入される構成となっている。
【0037】
こうすることで、図8(a)に示すように、スライド板25aが開口部26を閉塞していない解錠状態では、スライド部材17が把手6の前方への移動と連係して、スライド部材17が第1の回動片14,14を前方に押圧させて回動管8aが回動する際に、回動管8aから延設されている第2の回動片29が開口部26に嵌入することで、ラッチ杆8の回動が許容される。これによりラッチ杆8の上下端に取り付けられているラッチ爪10a,10bが係合部11a,11bから離脱してガラス扉3が開放される。
【0038】
また、図8(b)に示すように、キー28の操作によりスライド板25aが開口部26を閉塞している施錠状態では、スライド部材17が把手6と連係して第1の回動片14,14を前方に押圧しても、第2の回動片29が開口部26に嵌入することができず、スライド板25aに当接するので、ラッチ杆8の回動が拘束され、ラッチ爪10a,10bが係合部11a,11bより離脱できず、ガラス扉3の開放を阻止する。 以上説明したように、コイルバネ16がスライド部材17の前後の移動方向に張設されているので、取付作業が容易であり、また回動片14がラッチ杆8にコイルバネ8を支持する作用と、ラッチ杆8を回動する作用を担うことができるのでコンパクトに構成でき、しかも把手6の前方への移動量に比例してばね抵抗が増すので、把手6の操作フィーリングが良好なものとなり得る。
【0039】
また、長期使用による把手の6前後方向の摺動によってスライド部材17に蓄積される撓みによる曲がりを抑制させることができる。
【0040】
また、回動片14がラッチ杆8に2枚設けられていることで、ラッチ杆8に均等に回動力を伝達させて、ラッチ杆8の回動を安定させることができる。
【0041】
また、コイルバネ8の一部がスライド部材17の前後方向移動に対して当接、あるいは近接支持され、コイルバネ8の姿勢を安定させることができるとともに、ガラス扉3に凹穴15を形成するだけでコイルバネ8を保持できるので、部品点数が少なくて済み、組立も容易である。
【0042】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0043】
例えば、前記実施例では、ラッチ杆8を回動管8aと2つのラッチ棒8b,8cで構成した例で説明したが、回動管8aとラッチ棒8b,8cが一体化した一本の棒部材で構成してもよい。
【0044】
また、前記実施例では、付勢ばねとしてコイルバネ16を用いた例で説明したが、弾性力を与えられるものであればどのようなバネであってもよく、そのパネル5に対する取付手段も、凹所を設けて係合支持させずに固定具等を使用してもよい。
【0045】
更に、前記実施例では、ラッチ杆8を上下に配置した例で説明したが、家具本体に対して左右に配置し、扉を上下に開閉する家具にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明のラッチ装置が適用されたキャビネットを示す斜視図である。
【図2】ガラス扉の背面側の要部を示す拡大斜視図である。
【図3】ラッチ装置を示すガラス扉の拡大背面図である。
【図4】ラッチ爪が係合部と係合しているときの図3におけるラッチ装置のA−A縦断側面図である。
【図5】ラッチ爪が係合部から離脱しているときのガラス扉開放時のラッチ装置の動きを示すラッチ装置のA−A縦断側面図である。
【図6】ラッチ装置の上方でのラッチ爪と係合部の係合状態を示す斜視図である。
【図7】(a)は、ガラス扉閉止時の図3におけるスライド部材とコイルバネを示B−B端面図であり、(b)は、把手を前方に摺動させたときの図3におけるスライド部材とコイルバネを示すB−B端面図である。
【図8】(a)は、ガラス扉が解錠されている状態を示す図3におけるC−C端面図であり、(b)は、ガラス扉が施錠された状態を示す図3におけるC−C端面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 キャビネット(家具本体)
2 棚板
3,3’ ガラス扉(扉)
4 ガラス板
5,5’ パネル
6 把手
7 ラッチ装置
8 ラッチ杆
8a 回動管
8b ラッチ棒
8c ラッチ棒
8d 嵌合穴
8e 嵌合突起
9a,9b 支持部材(取付具)
10a,10b ラッチ爪
11a,11b 係合部
14 回動片(第1の回動片)
15 凹穴(凹所)
16 コイルバネ(付勢ばね)
17 スライド部材
17a,17b 嵌合片
18 取付孔
19 段付き凹部
20 嵌合凹部
21 軸受ブッシュ(ガイド部材)
21a 角筒部(箱状部)
21b 筒状部
21c 可撓爪部
22 摺動補助具
22a 支持部
22b 摺接片
22c 摺接面
22d 摺動孔
22e 嵌合溝
24 連結軸
25 ロック装置(施解錠装置)
25a スライド板(板体)
25b スライド板作動部(板体作動部)
25c キーシリンダ
26 開口部
28 キー
29 第2の回動片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具本体に設けた係合部と係合しうるラッチ爪を有するラッチ杆を、家具本体の開閉自在に枢着された扉の裏面に、該ラッチ爪が付勢ばねにより係合部と係合付勢された状態で軸支し、扉の表面側に設けた該扉に対して前後方向に摺動する把手に連係して前記ラッチ杆を前記付勢ばねの付勢力に抗してラッチ爪を係合部から離脱するように回動して扉が開放される家具における扉のラッチ装置において、
前記把手の後部に、前記把手の前後摺動に追従して前後移動する扉の裏面側に設けたスライド部材を連結し、前記ラッチ杆をスライド部材の中心軸線から偏心させて配設し、前記スライド部材の前後の移動方向に張設された前記付勢ばねは、一端がラッチ杆に設けた回動片と当接し、他端が扉の裏面に支持されており、前記スライド部材の前方への移動により、付勢ばね力に抗して前記回動片を介してラッチ杆を回動させるようにしたことを特徴とする家具における扉のラッチ装置。
【請求項2】
前記スライド部材の前面に、長手方向に沿って前向きに突出したリブが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の家具における扉のラッチ装置。
【請求項3】
前記回動片はラッチ杆に複数設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の家具における扉のラッチ装置。
【請求項4】
前記付勢ばねの長手方向の少なくとも一部はスライド部材の前後方向移動に対して当接、あるいは近接支持され、端部は扉に形成した凹所に係合支持されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の家具における扉のラッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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