説明

家具の底板固定構造

【課題】リフォーム時等に底板を容易に交換できる家具の底板固定構造を提供する。
【解決手段】フレーム12,13,14を枠組みしたフレーム体11の骨組みを有する家具において、フレーム体11を構成する底側の奥行き方向の奥行きフレーム14の下に底板10をビスで取り付け固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具における底板の固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているような、フレームを枠組みしたフレーム体の骨組みを有するキッチンキャビネットが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−11931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されているようなキッチンキャビネットでは、骨組みであるフレーム体は耐久性があるが、底板等の木製部分は汚れたり損傷したりするため、リフォーム時等にフレーム体を残して木製の底板等を交換し、再利用したい要請があるが、底板等の木製部分の交換作業は行いにくいものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、底板の交換が容易にでき、しかも、すっきりとした底板の固定状態が得られる家具の底板固定構造の提供を目的とし、この目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明は、フレームを枠組みしたフレーム体の骨組みを有する家具において、前記フレーム体を構成する底側の奥行き方向の奥行きフレームの下に底板を固定したことを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、骨組みとなるフレーム体の底側の奥行きフレームの下に底板を固定したものであるため、リフォーム時等に、フレーム体はそのまま残し、奥行きフレームから底板を取り外して、底板を容易に交換することができるものとなる。
【0007】
また、本発明の家具の底板固定構造において、前記奥行きフレームの横幅寸法内に前記底板固定用のビスを打つことのできる側面鍔片を一体形成し、該側面鍔片を着脱可能なカバーで覆蓋した構造とすることもできる。
こうすれば、カバーによりビスや側面鍔片が隠され、見栄えが良好なものとなり、また、カバーを外してビスを緩め、容易に底板を取り外して交換できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】キッチンキャビネットの斜視構成図である。
【図2】キッチンキャビネットの骨組みを構成するフレーム体の斜視構成図である。
【図3】フレーム体の要部拡大斜視図である。
【図4】底板とけこみ板の部分の斜視構成図である。
【図5】図4の裏側から視た斜視構成図である。
【図6】フレーム体の底側の奥行きフレームの断面拡大図である。
【図7】奥行きフレームの底側にビスにより底板を取り付けた状態の要部断面拡大図である。
【図8】別の実施例の奥行きフレームとカバーの拡大斜視構成図である。
【図9】図8の奥行きフレームの下にビスを介して底板を取り付けた状態の拡大縦断面構成図である。
【図10】更に奥行きフレームにカバーを被せた状態の縦断面拡大構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、キッチンキャビネットの斜視構成図であり、キッチンキャビネット1は、キャビネット本体2の上面にカウンター3が設けられ、カウンター3にはシンク4とコンロ5が配置されており、シンク4には水栓6が立設されている。
また、キャビネット本体2の側面には側板2aが設けられ、キャビネット本体2の底側にはけこみ板9が設けられており、キャビネット本体2の前面には、左右側に扉7,7と、中央部に引出し8が設けられている。
【0010】
このキッチンキャビネット1は、図2に示すフレーム体で骨組みが構成されている。
フレーム体11は、額縁状に枠組みされた4つの枠フレーム11A,11B,11C,11Dが間隔をおいて横フレーム12,12,12で連結されて構成されており、各枠フレーム11A,11B,11C,11Dは、それぞれ一対の縦フレーム13,13間に奥行き方向に奥行きフレーム14,14が連結されて、額縁状に形成されたものである。
【0011】
図3の要部拡大斜視図で示すように、中央部の枠フレーム11B,11Cを構成する底側の奥行きフレーム14の下に、底板10が固定されるものであり、この底板10は木製であり、汚れ等が付着するため、リフォーム時に、この底板10を交換できるように構成されている。
【0012】
なお、底板10とけこみ板9は、図4の斜視図で、また図5の裏面側から視た斜視図で示すように組み付けられるものである。
底板10の前端縁より奥まった位置にけこみ板9が垂設されており、このけこみ板9から奥行き方向に延びる補強板15,15,15,15が間隔をおいて4枚(底板10の左右両端側と中央部に2枚の合計4枚)配置されており、この4枚の補強板15とけこみ板9上に底板10が載せられる。
底板10とけこみ板9は、例えば断面L字状のL金具で前側から連結することができるものである。また、けこみ板9と各補強板15,15,15,15はダボ9a,9a,9aを介して連結することができるものである。
【0013】
なお、図6には、例えば枠フレーム11Bの底側の奥行きフレーム14の断面図を示す。
奥行きフレーム14は、水平な底片14aから左右側の側片14b,14bが一体状に立ち上がり、左右側の側片14b,14bの上端に水平な上片14cが一体化されており、この上片14cの下面にビスホール14e,14fが一体形成されたものとなっており、さらに底片14aから連続して左右側へ突出した鍔片14d,14dが一体形成されたものとなっている。
【0014】
この奥行きフレーム14は、アルミニウムの押出し成形品であり、例えば図示右側の鍔片14dの前端側および後端側にビスを通すビス孔を設けておき、このビス孔内に図7のようにビス16を通して、ビス16を底板10にねじ込むことで、ビス16を介して奥行きフレーム14の下側に底板10を取り付け固定できるものである。
【0015】
なお、ビス16は頭部16aのドライバー溝16b内にドライバーを差し込んで締め付けてゆくことができるものであり、電動ドライバー等を用いて作業を行うことができる。
リフォーム時等には、このビス16を緩めることにより、底板10を奥行きフレーム14から容易に取り外すことができ、底板10を取り外した状態で前方側へ引き抜き、新たな底板10と交換することができ、リフォーム時にはフレーム体11はそのまま残して、底板10を容易に交換することができるものとなる。
【0016】
なお、奥行きフレーム14のビスホール11e,11fは、2本のビスで縦フレーム13を奥行きフレーム14に連結するためのものであり、このビスホール14e,14f内にそれぞれ縦フレーム13側からビスが水平にねじ込まれて、ビスホール14e,14fにビスでネジが切られて締め付けられるものである。
なお、奥行きフレーム14の左右方向の横幅寸法aは、図6に示すように、例えば30mmに設定されており、この30mmの寸法は、縦フレーム13の横幅寸法と同一である。
【0017】
次に、図8は、奥行きフレーム14の変更例を示すものであり、枠フレーム11B,11Cの底側の奥行きフレーム14を、図9に拡大断面図で示すような断面形状にしたものである。
図8および図9に示す奥行きフレーム14では、底片14aの左右側に一体で立ち上がる側片14b,14bが形成され、側片14b,14bの上端側が水平な上片14cで連結されているが、側片14b,14b間の横幅寸法は狭いものとなっており、右側の側片14bから下傾状に側面鍔片14dが一体形成されたものとなっている。この側面鍔片14dの右端から左側の側片14bまでの横幅寸法が、図6に示す横幅寸法aとほぼ同一の寸法となるように設定されている。
【0018】
また、上片14cから下向きにビスホール14eが一体形成されているとともに、もう一方のビスホール14fは右側の側片14bの外側に一体形成されており、上片14cとビスホール14f間には、上面が開放された落とし込み溝14gが形成され、この落とし込み溝14gは奥行き方向全域に亘り一体形成されたものである。
なお、図9に示す奥行きフレーム14のビスホール14eとビスホール14f間の横幅寸法は、図6に示すビスホール14eとビスホール14f間の横幅寸法と同一に設定されている。
【0019】
このような形状の奥行きフレーム14では、側面鍔片14dの前端側と後端側に2個のビス孔14h,14hが形成されており、また、ビスホール14fの上面側に前端および後端側の2個のピン孔14j,14jが形成されている。
側面鍔片14dのビス孔14h,14h内に、それぞれ図9のようにビス16を通し、ビス16のドライバー溝16bに電動ドライバーを差し込んで、ビス16を底板10にねじ込んでゆき、奥行きフレーム14の下側にビス16,16を介して底板10を取り付け固定することができるものである。この場合、側面鍔片14dは傾斜状であるため、奥行きフレーム14の外側から斜め方向にして電動ドライバーをドライバー溝16bに上方から差し込むことができ、電動ドライバーがビスホール14fに当たることはなく、良好に電動ドライバーが使用できるように構成されている。
【0020】
このようにして2個のビス16,16を底板10に締め付けて、底板10を奥行きフレーム14の下に固定することができ、その後に、カバー17を図10のように奥行きフレーム14の右側に被せて、カバー17により側面鍔片14dおよびビス16を覆蓋して隠すことができ、すっきりとした見栄えの良好な底板10の固定構造が得られるように設計されている。
【0021】
このカバー17は、上下方向に立ち上がる立片17aの上端に水平に水平片17bが形成され、水平片17bの先端に垂下状に係止片17cが一体形成されたものであり、水平片17bには、前端側および後端側にそれぞれ上下に貫通してピン孔17d,17dが形成されている。
このカバー17は、係止片17cを奥行きフレーム14の落とし込み溝14g内に落とし込んで容易に着脱できるように構成されており、ピン孔17d,17d内にステンレスのリベット或いはピンを落とし込み、ピンを奥行きフレーム14のピン孔14j,14jに通すことで、カバー17を良好に奥行きフレーム14に取り付けておくことができるものであり、リベット或いはピンをピン孔14jおよび17dから抜き取れば、容易にカバー17を上方へ持ち上げて、奥行きフレーム14から取り外すことができるものであり、リフォーム時等には、このカバー17を取り外すとビス16の頭部16aが露出するため、このビス16を緩めて容易に底板10を奥行きフレーム14から外し、底板10を前方側へ引き抜いて新たな底板10と交換することができるものとなり、リフォーム時における底板10の交換が容易なものとなる。
【0022】
ビス16はカバー17で隠されるため見栄えが良好なものとなり、また、ドライバーを使用して締め付けた際にビス16のドライバー溝16bに、ささくれ等が形成されても、ビス16はカバー17で隠されるため、ささくれが引っ掛かることもなく、安全である。
図10において、カバー17を奥行きフレーム14に取り付けた状態の横幅寸法aは、図6の横幅寸法aと同一となるように設定されている。
【0023】
このようにフレーム体11の枠フレーム11B,11Cの底側の奥行きフレーム14の下に底板10をビスで取り付け固定する構造は、キッチンキャビネット1に限らず、フレーム体11を骨組みとするその他の家具にも適用することができ、これらの家具のリフォーム時に底板10を容易に交換することができるものである。
【符号の説明】
【0024】
1 キッチンキャビネット
2 キャビネット本体
9 けこみ板
10 底板
11 フレーム体
11A,11B,11C,11D 枠フレーム
12 横フレーム
13 縦フレーム
14 奥行きフレーム
14d 鍔片(側面鍔片)
14e,14f ビスホール
14g 落とし込み溝
14h ビス孔
14j ピン孔
15 補強板
16 ビス
16b ドライバー溝
17 カバー
17d ピン孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームを枠組みしたフレーム体の骨組みを有する家具において、
前記フレーム体を構成する底側の奥行き方向の奥行きフレームの下に底板を固定した
ことを特徴とする家具の底板固定構造。
【請求項2】
前記奥行きフレームの横幅寸法内に前記底板固定用のビスを打つことのできる側面鍔片を一体形成し、該側面鍔片を着脱可能なカバーで覆蓋した
ことを特徴とする請求項1に記載の家具の底板固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−152292(P2011−152292A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15940(P2010−15940)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】