説明

家電機器

【課題】製品の寿命が訪れても直ちに停止せずに外気温に応じた制御を行う。
【解決手段】家電機器の寿命を設定する寿命設定手段と、家電機器の使用時間を累積して記憶する使用時間記憶手段と、使用時間記憶手段に記憶された累積使用時間と前記寿命を比較して寿命に達したか否かを判断する寿命判定手段とを備えた家電機器に於いて、屋外の温度を検出する外気温センサと予め設定された設定外気温記憶手段と、外気温センサにて検出された所定時間内の最低外気温と設定外気温記憶手段の温度を比較する外気温比較手段を設け、寿命判定手段にて寿命時間が満了したと判定された時、外気温比較手段にて外気温が設定外気温より高い場合には、家電機器の運転を強制的に停止し、外気温が設定外気温以下の場合では、寿命時間を自動延長し、その後外気温が所定時間継続して設定外気温を超えた時に家電機器の運転を強制的に停止する寿命制御手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は石油ストーブやガスストーブ、床暖房用のボイラ等の使用季節が限られる家電機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の家電機器では、数多くの機能を実現可能とするのに必要な機械部品、電子部品等が数多く用いられている。これら機械部品や電子部品等の中には、寿命があるものもあり、使用開始時より所定時間経過すると本来その部品に備わっている機能が劣化し、その結果、家電機器自体の性能が劣化したり、故障してしまうという虞がある。そこで従来より、冷蔵庫では、使用時間を計測し、冷蔵庫の寿命が経過すると表示手段によりユーザに寿命が来たことを知らせるようにしている。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2000−121238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の機器においては、製品の寿命や点検の必要性をユーザが認識できても、その後製品を使用するか否かはユーザ任せであり、かりにユーザが製品を使用し続けた場合、製品の重大な故障につながる虞がある。また、寿命時間の設定にはかなりの余裕時間が加味されているので、寿命時間の満了により直ちに機器の故障や不具合が発生するものではなく、石油ストーブやガスストーブ、床暖房用のボイラ等使用季節が限られる暖房機等の家電機器では、冬季の使用中に突然寿命満了や点検の表示がされても、寒い時期にもかかわらず、すぐに使用を中止して、業者に点検の依頼や機器の入れ替えを依頼するには数日の間、機器を使用できない問題があった。また、寿命満了や点検の表示を続けたまま、機器の使用を続けた場合ユーザーに故障や事故の不安を与え続けるものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明はこの点に着目し上記欠点を解決する為、暖房機や暖房用ボイラ等の使用季節が限られる家電機器の、寿命を設定する寿命設定手段と、前記家電機器の使用時間を累積して記憶する使用時間記憶手段と、この使用時間記憶手段に記憶された累積使用時間と前記寿命を比較して寿命に達したか否かを判断する寿命判定手段とを備えた家電機器に於いて、屋外の温度を検出する外気温センサと予め設定された設定外気温記憶手段と、前記外気温センサにて検出された所定時間内の最低外気温と設定外気温記憶手段の温度を比較する外気温比較手段を設け、前記寿命判定手段にて寿命時間が満了したと判定された時、前記外気温比較手段にて外気温が設定外気温より高い場合には、前記家電機器の運転を強制的に停止し、外気温が設定外気温以下の場合では、寿命時間を自動延長し、その後外気温が所定時間継続して設定外気温を超えた時に前記家電機器の運転を強制的に停止する寿命制御手段を設けたものである。
また、前記家電機器の運転状態を表示する表示手段を設け、前記寿命制御手段作動時には表示手段にて寿命停止等の表示を行うものである。
【発明の効果】
【0005】
この発明によれば、設定された寿命時間が満了になっても、外気温に応じて、直ちにこれを表示したり、機器の運転を停止せずに、シーズンオフを待って寿命時間満了の表示や強制停止の動作を行うので、寒い時期に機器の点検や機器の入れ替えをする心配もなく、また、寿命満了後に機器を使い続けてもユーザーに故障や事故の不安を与える様なこともなくなり、シーズンオフ時に機器の点検や機器の入れ替えをすることでユーザーへの負担を比較的軽くするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態に係る家電機器の機能ブロック図を示す。なおこの機能は暖房機や暖房用ボイラ等の使用季節が限られる家電機器に使用可能である。
【0007】
図1において、1は家電機器の内部に装備され、家電機器全体の動作を制御するマイクロコンピュータ等の制御手段である。この制御手段1の中には、後述する寿命設定手段2、使用時間記憶手段3、寿命判定手段4、設定外気温記憶手段5、外気温記憶手段6、外気温比較手段7及び寿命制御手段8を内蔵している。
【0008】
前記寿命設定手段2は、家電機器に使用するヒータやバーナ、モータ等の部品寿命を基に機器の寿命を設定する手段であり、構成部品のそれぞれの使用時間、使用回数、使用日数等、部品の定格や特性に応じた個々の部品寿命を基に、家電機器の種類によって異なるが、約5〜8年の寿命期間の約1年前の余裕をもって予め設定されるものである。
前記使用時間記憶手段3は、家電機器の運転時間等の使用時間を、使用開始時から累積して記憶するものであり、本実施形態では使用時間記憶手段3は制御手段1に内蔵されているが、外部記憶装置を用いて制御手段1と別個に設けてもよいものである。
【0009】
前記寿命判定手段4は寿命設定手段2に予め設定されている寿命時間と、使用時間記憶手段3にて記憶された累積使用時間を比較して機器の寿命が来たか否かを判断する寿命判定手段である。
前記設定外気温記憶手段5は例えば暖房機の使用される温度である一日の最低気温の約10℃が設定され、最低気温が10℃より低ければ暖房シーズンであり、最低気温が10℃より高い場合にはシーズンオフで暖房機を使用しない季節である、というふうに外気温による判断基準を予め設定しておくものである。
【0010】
前記外気温記憶手段6は屋外に設けられた外気温センサ9からの信号から所定時間(例えば1週間)の最低外気温を記憶するものであり、前記使用時間記憶手段3と同様に制御手段1に内蔵されているが、外部記憶装置を用いて制御手段1と別個に設けてもよいものである。
【0011】
前記外気温センサ9はサーミスタセンサ等から成り、暖房機の給排気筒の給気口や屋外に設置される暖房用ボイラの燃焼空気の吸気口に取り付けられ所定時間毎(例えば30分毎)の外気温を検知して、前記外気温記憶手段6へ信号を送るものである。
【0012】
前記外気温比較手段7は設定外気温記憶手段5に記憶された設定外気温と、外気温記憶手段6に記憶された最近の最低気温を比較し、その結果を前記寿命制御手段8に送るものである。
前記寿命制御手段8では外気温比較手段7の結果から、例えば暖房機で使用される時、最近の最低気温が設定外気温よりも低い場合には、暖房シーズン中であると判断し、寿命時間を自動的に延長するので、寒い暖房シーズン中に機器の点検や機器の入れ替えをする心配もないものである。また、最近の最低気温が設定外気温よりも高い場合には、シーズンオフで暖房機を使用しない季節であり、いつでも支障なく機器の点検や機器の入れ替え作業をすることができると判断し、機器のバーナやモータ類等の駆動手段10へ寿命停止の信号を送ると同時に、表示手段11へ寿命が満了したので機器の点検や機器の入れ替えが必要である旨を表示するような指令を発するものである。
【0013】
また、最近の最低気温が設定外気温よりも低く、寿命時間を自動的に延長した場合には、その後外気温の監視を継続し、最低外気温が設定外気温よりも高くなった時に、いつでも支障なく機器の点検や機器の入れ替え作業をすることができると判断し、機器のバーナやモータ類の駆動手段10へ寿命停止の信号を送ると同時に、表示手段11へ寿命が満了したので機器の点検や機器の入れ替えが必要である旨を表示するような指令を発するものである。
【0014】
前記駆動手段10は機器のバーナやモータ類だけではない制御装置や表示手段11を除く全ての部品に相当するものである。
また、表示手段11は液晶の表示装置や発光ダイオード等のランプによる表示も含むものである。
【0015】
12は制御手段1外に備えたリセット手段で、寿命満了後機器の点検や消耗部品の交換をサービス業者が行い、機器の継続使用が可能な時にスイッチ等によって前記使用時間記憶手段3の累積時間をゼロにしたり、所定の時間だけ累積時間を減算するものである。
【0016】
次に、図2に示すフローチャートに沿って家電機器の作動について説明すれば、S1にて家電機器の電源投入又はスイッチ操作により制御動作がスタートし、S2に進む。S2では寿命制御手段8と設定外気温記憶手段5にて予め設定されている設定寿命時間T0と設定外気温A0が読み込まれS3に進む。S3では寿命満了後機器の点検や消耗部品の交換によって、リセット手段12が操作されたかどうかを判断し、リセット操作が行われていない場合にはS4に進み、リセット操作が行われた場合にはS10に進む。
【0017】
S4では使用時間記憶手段3と外気温記憶手段6に記憶されている累積使用時間t1と外気温記憶値a1が読み込まれると共に、累積使用時間t1に今回の使用時間t2がプラスされ累積使用時間t1として使用時間記憶手段3に記憶されS5に進む。
【0018】
S5では機器の運転を行うと共にタイマt2をスタートしS6に進む。S6では機器の運転を停止するかを判断し、YESでS11へ進んで運転を停止する。また、NOではS7に進む。S7では寿命判定手段4にて設定寿命時間T0が満了したかを判断し、まだ累積使用時間t1が少なくNOである場合は、S4に戻って運転を続ける。設定寿命時間T0が満了した場合には、S8に進む。
【0019】
S8では設定外気温記憶手段5にて設定された設定外気温A0と、外気温記憶手段6にて記憶された外気温記憶値a1を外気温比較手段7にて比較して、外気温が比較的高い場合にはS9へ進んで、寿命制御手段8にて運転の停止を行うと共に、表示手段11に寿命が満了したことによる停止を表示する。また、比較的外気温が低く暖房機等の運転が必要な場合には、直ちに機器の運転を停止せずに、シーズンオフを待って寿命時間満了の表示や強制停止の動作を行うために、S4に戻って運転を継続し、シーズンオフを待って寿命時間満了の表示や強制停止の動作を行うものである。
【0020】
以上のように、設定された寿命時間が満了になっても、外気温に応じて、直ちにこれを表示したり、機器の運転を停止せずに、シーズンオフを待って寿命時間満了の表示や強制停止の動作を行うので、寒い時期に機器の点検や機器の入れ替えをする心配もなく、また、寿命満了後に機器を使い続けてもユーザーに故障や事故の不安を与える様なこともなくなり、シーズンオフ時に機器の点検や機器の入れ替えをすることでユーザーへの負担を比較的軽くするものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態のブロック図。
【図2】同フローチャート図。
【符号の説明】
【0022】
2 寿命設定手段
3 使用時間記憶手段
4 寿命判定手段
5 設定外気温記憶手段
6 外気温記憶手段
7 外気温比較手段
8 寿命制御手段
9 外気温センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房機や暖房用ボイラ等の使用季節が限られる家電機器の、寿命を設定する寿命設定手段と、前記家電機器の使用時間を累積して記憶する使用時間記憶手段と、この使用時間記憶手段に記憶された累積使用時間と前記寿命を比較して寿命に達したか否かを判断する寿命判定手段とを備えた家電機器に於いて、屋外の温度を検出する外気温センサと予め設定された設定外気温記憶手段と、前記外気温センサにて検出された所定時間内の最低外気温と設定外気温記憶手段の温度を比較する外気温比較手段を設け、前記寿命判定手段にて寿命時間が満了したと判定された時、前記外気温比較手段にて外気温が設定外気温より高い場合には、前記家電機器の運転を強制的に停止し、外気温が設定外気温以下の場合では、寿命時間を自動延長し、その後外気温が所定時間継続して設定外気温を超えた時に前記家電機器の運転を強制的に停止する寿命制御手段を設けたことを特徴とする家電機器。
【請求項2】
前記家電機器の運転状態を表示する表示手段を設け、前記寿命制御手段作動時には表示手段にて寿命停止等の表示を行うことを特徴とする請求項1記載の家電機器。

【図1】
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【図2】
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