説明

家電製品

【課題】製品の製造年月日からの計時の基、使用、非使用を問わない製品の経年寿命を含んで、経年寿命未満での部品や製品および使用の安全が自由度高く図れるようにする。
【解決手段】計時手段81は製品の製造年月日より計時し、判定手段82製品の使用の限度時点を製造年月日Aからの使用、非使用を問わない経年寿命時点Bとして判定するに至る前の所定の部品に対応した第1の設定時点Cを判定したとき、報知手段83は当該部品の交換時点である旨を報知するが、使用制限手段84は働かず製品は継続使用できるようにし、上記の目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計時手段と、計時手段による計時に基づき部品に対応した交換時点を判定する判定手段と、判定手段が判定した交換時点に対応した部品交換時点である旨報知する報知手段と、判定手段が判定した製品またはおよび使用の限度時点に対応して製品の使用を制限する使用制限手段と、を備えた家電製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
定期交換部品の交換時期への到達や部品の寿命が過ぎる経時変化を使用頻度や使用回数から判定し、その旨を報知する技術は既に知られているし(例えば、特許文献1参照。)、駆動や動作を報知を伴わずに、または報知を伴い停止させる技術も知られている(例えば、特許文献2、3参照。)。特許文献3に記載のものは、さらに、前記駆動の停止制御を解除する手段をも設けている。
【特許文献1】特開2004−344223号公報
【特許文献2】特開2007−282938号公報
【特許文献3】特開2005−218489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1〜3に開示の技術は、いずれも、使用頻度、使用回数によって部品や製品の寿命を判定し、報知や動作、駆動の停止によって部品の交換を促し、また、そのままでの継続使用を禁止するだけであるため、部品や製品の使用頻度が限度に達していないのに非使用状態での経年変化の影響で部品や製品の寿命に達することについては全く対応できない。また、特許文献1〜3に記載のものは、また、部品や製品に対応した1つの基準点でしか寿命を判定しないので、万が一にも設定した寿命時点未満で寿命に達している場合にも対応できない。
【0004】
本発明の目的は、製品の製造年月日からの1通りの計時の基に、使用、非使用を問わない製品の経年寿命を含んで、経年寿命未満での部品や製品および使用の安全が自由度高く図れる家電製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の家電製品は、計時手段と、計時手段による計時に基づき部品に対応した交換時点を判定する判定手段と、判定手段が判定した交換時点に対応した部品交換時点である旨報知する報知手段と、判定手段が判定した製品の使用の限度時点に対応して製品の使用を制限する使用制限手段と、を備えた家電製品であって、計時手段は製品の製造年月日より計時し、判定手段が製品の使用の限度時点を製造年月日からの使用、非使用を問わない経年寿命時点にて判定するに至る前の所定の部品に対応した第1の設定時点を判定したとき、報知手段は当該部品の交換時点である旨を報知するが、使用制限手段は働かず製品は継続使用できるようにしたことを特徴としている。
【0006】
このような構成では、計時手段は製品の製造年月日から計時を開始するので、製品の使用、非使用を問わない計時情報を、判定手段による製品の使用、非使用を問わない製品の経年寿命時点の判定に供し、経年寿命時点時の使用制限手段による使用制限措置ができるようにする一方、判定手段の経年寿命時点に至る前の所定の部品に対応した第1の設定時点の判定にも供して、第1の設定時点時の報知手段による当該部品の交換についての報知措置ができるようにして、このときの条件では使用制限手段が働かず製品の継続使用を可能としながら、部品の交換を標準寿命レベルに見合って促し、実寿命に達してしまう確率少なく交換されるようにすることができる。
【0007】
上記において、さらに、第1の設定時点経過後で、判定手段が製品の経年寿命時点を判定する前の第2の設定時点を判定したとき、報知手段は製品の点検を勧める案内を報知し続けるが、使用制限手段は働かず製品は継続使用できるようにしたことを特徴とすることができる。
【0008】
このような構成では、上記に加え、さらに、第1の設定時点以降も、部品の交換などのメンテナンスを経た製品の継続使用に関し、計時手段による計時情報を、判定手段による経年寿命時点の判定に至る前の第2の設定時点の判定に供して、第2の設定時点時の報知手段による点検を勧める報知措置ができるようにして、このときの条件では、なお、使用制限手段が働かず製品の継続使用を可能としながら、この時点で必要となる範囲の点検を促し、万が一の場合の部品や製品の寿命、メンテナンスに対応することができる。
【0009】
上記において、さらに、第2の設定時点経過後で、判定手段が製品の経年寿命時点を判定したとき、使用制限手段は、製品の使用を制限することを特徴とすることができる。
【0010】
このような構成では、上記に加え、さらに、第2の設定時点経過後以降も、点検や部品交換などのメンテナンスを経た製品の継続使用に関し、計時手段による製品の使用、非使用を問わない計時情報を、判定手段による製品の経年寿命の判定に供し、製品の経年寿命時点時の使用制限手段による製品の使用制限措置ができるようにして、製品の使用、非使用を問わない経年寿命に対応することができる。
【0011】
上記において、さらに、第1の設定時点は、製品の製造年月日以降記憶手段に記憶している部品またはおよび製品の使用の状況に応じて変動させるが、第2の設定時点、製品の経年寿命時点は固定させることを特徴とすることができる。
【0012】
このような構成では、上記に加え、さらに、計時手段は、製品の製造年月日から計時を続行するだけであるが、製造年月日からの以降の部品またはおよび製品の使用状態を記憶手段に記憶しておき、この記憶している使用状態によって第1の設定時点を変更するだけで、部品や製品の使用頻度に応じた交換時期や寿命に到達する時間変動を見込んだ時間設定ができ、第2の設定時点、経年寿命については使用状態にかかわらず固定して、最大使用頻度に対応した設定などによる常に安全側に寄った設定での判定ができる。
【0013】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。本発明の各特徴は、それ単独で、あるいは可能な限り種々な組合せで複合して採用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の家電製品によれば、計時手段による製品の製造年月日から製品の使用、非使用を問わず計時する計時情報の基に、判定手段は製品の使用、非使用を問わない製品の経年寿命時点を判定し、経年寿命時点時は使用制限手段による使用制限措置が行われるようにして、製品の使用、非使用を問わない出荷待ち期間をも含んでの経年寿命を超えた万が一の使用を制限して使用の安全を確保できるようにしながら、判定手段による経年寿命時点に至る前の所定の部品に対応した第1の設定時点の判定の基に、第1の設定時点時に報知手段による当該部品の交換についての報知措置をして、該当部品の交換を促すのに併せ、使用制限手段による使用制限措置なく製品の継続使用を可能として、部品の交換を標準寿命レベルに見合って即時交換が必須となる不便や戸惑いを与えないで促し、実寿命に達してしまう確率少なく部品が交換され、この時点から再度の第1の設定時点に向けメーカ側からの管理なしに安定使用されるようになる。
【0015】
上記に加え、さらに、第1の設定時点以降も、部品の交換などのメンテナンスを経た製品の継続使用に関し、計時手段による計時情報を、判定手段による経年寿命時点の判定に至る前の第2の設定時点の判定に供して、第2の設定時点時の報知手段による点検を勧める報知措置ができるようにするのに併せ、使用制限手段による使用制限なく製品の継続使用を可能として、この時点で必要となる範囲の点検を促し、万が一の場合の部品や製品の寿命、メンテナンスの対応で、この時点から再度の第2の設定時点に向けメーカ側からの管理なしに安全使用されるようになる。
【0016】
上記に加え、さらに、第2の設定時点経過後以降も、点検や部品交換などのメンテナンスを経た製品の継続使用に関し、計時手段による製品の使用、非使用を問わない計時情報を、判定手段による製品の経年寿命の判定に供して、製品の経年寿命時点時に使用制限手段により製品の使用制限措置をして、製品の使用、非使用を問わない経年寿命を超えた安全に問題がある使用を阻止することができる。例えば、使用の安全に関係のない記憶機能は使用制限の範囲外とすることで、記憶している使用状況、部品の交換に関する部品名や交換日、点検日といったメンテナンスに関する履歴情報を読み出し、ユーザの使用実態や部品、製品の品質の判定、次期製品の開発、設計に生かせる。
【0017】
上記に加え、さらに、製品の製造年月日からの計時手段による1通りの計時情報に基づきながら、製造年月日からの部品またはおよび製品の使用状態の記憶情報によって第1の設定時点を変更するだけで、部品や製品の使用頻度に応じた交換時期や寿命に到達する時間変動を見込んだ時間設定をして時間の過不足なく対応でき、第2の設定時点、経年寿命については使用状態にかかわらず固定して、常に安全側に寄った設定での判定で対応して、製品や使用の安全が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る家電製品の実施の形態につき図1〜図8を参照しながら詳細に説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載を限定するものではない。
【0019】
本実施の形態は、家庭用の電気ポットの場合の一例である。しかし、本発明は、これに限られることはなく、電気炊飯器を始めとする家庭などで使用される各種の家電製品に共通の課題に対応すべく適用されるものである。
【0020】
本実施の形態の電気ポットは、図1に示すように、ステンレス鋼製の真空二重容器3を外装ケース2に収容した器体1を有し、真空二重容器3の一重底部に湯沸かしヒータ11aおよび保温ヒータ11bを当てがい、内容液を加熱するようにしてある。真空二重容器3には内容液を器体1外に吐出する吐出路25が接続されている。この吐出路25は真空二重容器3と外装ケース2との間を立ち上がり、器体1の前部に吐出口25dが臨んで下向きに開口している。吐出路25の途中には電動ポンプ26が設けられ、内容液を電動にて吐出できるようにしている。これに併せ、真空二重容器3の口部3bに通じる器体1上端の開口12を開閉できるように覆う蓋13を有し、この蓋13に手動のベローズポンプが設けられることもある。吐出路25の立ち上がり部は図示していないが透明管としてそこでの液量が器体1の図示しない液量表示窓から透視できるようにしている。真空二重容器3内の満水位を超えた高さ位置に、器体1が前傾時や横転時に内容液が吐出路25を通じて流れ出るのを防止する前傾時、横転時止水弁40が設けられている。
【0021】
外装ケース2は樹脂製の底部材111と肩部材6との間に金属製の胴部112を挟み込む組み立て構造と、肩部材6が形成する器体1の開口12の内周下部に設けた上向き段部12aに対し、真空二重容器3の上端フランジ部3aを載置して吊持し、この真空二重容器3の底部と底部材111とを溶接付けなどした図示しない取付金具およびねじにより連結した連結構造とで外装ケース2を一体化し、また、分離可能としている。
【0022】
蓋13は合成樹脂よりなり、肩部材6の後部にある軸受部122にヒンジピン120によりヒンジ連結して、器体1の開口12を真空二重容器3の口部3bと共に開閉する蓋13を器体1に開閉できるようにしてある。また、蓋13は真空二重容器3の口部3bを閉じる部分を金属製、具体的にはステンレス鋼製の内蓋126として蓋13の内側に当てがってねじ止めし、蓋13下面と内蓋126外周との間に挟み込んだシールパッキン127が口部3bの内周に当接してシールするようにしている。
【0023】
また、蓋13には、真空二重容器3からの蒸気を外部に逃がす蒸気通路125が形成され、蓋13の真空二重容器3内に面する位置の内側開口125aなどと、外部に露出する外面に形成された外側開口125bとの間で通じるように形成されている。蒸気通路125の途中には、器体1が横転して内容液が侵入してきた場合にそれを一時溜め込み、あるいは迂回させて、外側開口125bに至るのを遅らせる安全経路125cを設けてある。また、蒸気通路125には器体1の横転時に、蒸気通路125に侵入しようとし、あるいは侵入した内容液が先に進むのを阻止するように自重などで働く転倒時止水弁125dが適所に適数設けられている。
【0024】
さらに、蓋13の前部には、蓋13の閉じ位置で肩部材6側の図示しない係止部に係合して蓋13を閉じ位置にロックするロック部材21が設けられ、蓋13が閉じられたときに係止部19に自動的に係合するようにばね22の付勢によってロック位置に常時突出するようにしている。これに対応して蓋13にはロック部材21を後退操作して前記ロックを解除するロック解除部材23が設けられている。ここに、ロック解除部材23は蓋13の閉じ位置へのロックを解除するもので、ロックを解除された蓋13は肩部材6との間にヒンジピン120まわりで働かせたばねによる付勢によって自動的に開く。
【0025】
電動ポンプ26は遠心ポンプであって真空二重容器3の底部直ぐ下の位置に設けられ、真空二重容器3内から流れ込む内容液を吐出路25を通じて器体1外に臨む吐出口25dに向け送りだし、吐出口25dから外部に吐出させ使用に供する。
【0026】
器体1において器体1の肩部材6の開口12から前部側に嘴状に張り出す張り出し部31が形成され、この張り出し部31の上面は図2に示すような操作部30とされている。この操作部30には従来同様に、樹脂ばねや可動部材による保温選択、再沸騰、給湯ロック・ロック解除、給湯に関するスイッチ操作部46〜48、61が、液晶表示部55や選択状態や動作状態を簡易にランプ表示するLEDランプなどが設けられ、スイッチ操作部46〜48、61の下側にはそれらの押動によってオン操作される図3に示すようなスイッチ46a〜48a、61aや既述の表示要素を持った操作基板71が設けられている。、各スイッチ46a〜48a、61aや表示要素は、図3に示すように制御基板72に搭載したマイクロコンピュータ73に接続されている。マイクロコンピュータ73は各スイッチ46a〜48a、61aからの選択、モード設定などの入力に応じて、湯沸かしヒータ11aや保温ヒータ11b、電動ポンプ26を駆動し、湯沸かしや保温、再沸騰、内容液の吐出を行う。湯沸かしや保温は、内容液の温度を検出する温度センサ74からの温度情報を基に、マイクロコンピュータ73がリレー75やトライアック76を通じ湯沸かしヒータ11aや保温ヒータ11bをオン、オフすることにより行われる。
【0027】
このような電気ポットで、シールパッキン127は湯沸かし時に高温蒸気に晒されるし、保温中でも高温保温では98℃程度の保温となるので、比較的高い温度が伝達されるため、耐熱性のあるシリコンゴムなどを用いるが、電気ポットの使用頻度、湯沸かし頻度、高温保温頻度などの違いによって劣化する消耗品となる。また、シールパッキン127は高温に晒されない、いわば電気ポットの非使用を含む経年変化におっても劣化する。また、リレー75の接点は頻繁にオン、オフを繰り返すので、消耗品とまでは行かない比較的長いスパンではあるが溶着し動作不能になることがある。また、電動ポンプ26も電気ポット全体の使用、非使用を問わない経年寿命に比べると、途中に寿命を迎えることが少なくない。電気ポット全体の経年寿命は、電気回路の結線劣化を含む構成部材、部品の総合的な劣化などによって、製品や使用の安全を保証し切れないと判断されるいわば設計寿命などとして捉えられる。
【0028】
シールパッキン127の劣化は、高温蒸気の不用意な箇所への漏出、器体1転倒時の高温内容液の流出などの原因になることがあり、放置すると電気ポットの使用上危険でもある。従って早期対応が必要となるが、電気ポットの経年寿命に比しシールパッキン127の寿命は短く部品交換の措置をするのが合理的である。このような寿命の長短関係となる他の部品についても同様の対応が好適である。しかし、シールパッキン127などの劣化や経年寿命はユーザが気付きにくく、蒸気漏れがあって初めて気づくことになりかねず、危険を未然に防ぎきれない。また、経年寿命に達している古い電気ポットなどの家電製品が使用され続けて思わぬ事故を招いている現状でもある。
【0029】
これらに対応するのに、本実施の形態では、電気ポットを含む家電製品全般の制御系において、図3に示すように計時手段81と、計時手段81による計時に基づき部品に対応した交換時点を判定する判定手段82と、判定手段82が判定した交換時点に対応した部品交換時点である旨報知する報知手段83と、判定手段82が判定した製品の使用の限度時点に対応して製品の使用を制限する使用制限手段84と、を備え、図4に示すように、計時手段81は製品の製造年月日A時点より計時し、判定手段82が製品の使用の限度時点を製造年月日からの使用、非使用を問わない経年寿命時点Bにて判定するに至る前の所定の部品に対応した第1の設定時点Cを判定したとき、報知手段83は当該部品の交換時点である旨を報知するが、使用制限手段84は働かず製品は継続使用できるようにしている。これら計時手段81、判定手段82、報知手段83、使用制限手段84はいずれも、図3に示すマイクロコンピュータ73の内部機能としてあるが、これに限られることはなく、それぞれ個別の、あるいはそれらが所定の単位に複合した制御機器であってもよいのは勿論である。
【0030】
このように、計時手段81は製品の製造年月日時点Aから計時を開始するので、製品の使用、非使用を問わない計時情報を、判定手段82による製品の使用、非使用を問わない製品の経年寿命時点Bの判定に供し、経年寿命時点B時の使用制限手段84による使用制限措置ができるようにする一方、判定手段82の経年寿命時点Bに至る前の所定の部品に対応した第1の設定時点の判定にも供して、第1の設定時点C時の報知手段83による当該部品の交換についての報知措置ができるようにして、このときの条件では使用制限手段84が働かず製品の継続使用を可能としながら、部品の交換を標準寿命レベルに見合って促し、実寿命に達してしまう確率少なく交換されるようにすることができる。
【0031】
ここで、報知手段83は図3に示す液晶表示部55を利用した視覚表示にて所定の部品の交換を促す報知ができるが、これに併せ、聴覚報知器85を利用したブザー音や疑似音声による報知もできる。疑似音声である場合は視覚表示を省略することもできる。また、部品の交換がその旨の入力、例えば報知のリセット操作部86によるスイッチ86aのオン信号などによって確認された時点Dで、図4に示すように報知手段83は報知を停止し、判定手段82はその時点Dからの次回の第1の時点Cの判定に移行する。
【0032】
この結果、計時手段81による製品の製造年月日から製品の使用、非使用を問わず計時する計時情報の基に、判定手段82は製品の使用、非使用を問わない製品の経年寿命時点Bを判定し、経年寿命時点B時は使用制限手段84による使用制限措置が行われるようにして、製品の使用、非使用を問わない出荷待ち期間をも含んでの経年寿命を超えた万が一の使用を制限して使用の安全を確保できるようにしながら、判定手段82による経年寿命時点Bに至る前の所定の部品に対応した第1の設定時点Cの判定の基に、第1の設定時点C時に報知手段83による当該部品の交換についての報知措置をして、該当部品の交換を促すのに併せ、使用制限手段84による使用制限措置なく製品の継続使用を可能として、部品の交換を標準寿命レベルに見合って即時交換が必須となる不便や戸惑いを与えないで促し、実寿命に達してしまう確率少なく部品が交換され、この時点から再度の第1の設定時点に向けメーカ側からの管理なしに安定使用されるようになる。なお、ユーザによる部品の交換は部品を取り寄せての作業になるが、部品の種類によってはメーカ側に部品の交換を依頼することにもなる。いずれにしても、ユーザ側の自発的な意思によるメンテナンス対応となる。
【0033】
また、図4に示すように、第1の設定時点C経過後で、判定手段82が製品の経年寿命時点Bを判定する前の第2の設定時点Eを判定したとき、報知手段83は製品の点検を勧める案内を報知し続けるが、使用制限手段84は働かず製品は継続使用できるようにもしてある。これにより、第1の設定時点C以降も、部品の交換などのメンテナンスを経た製品の継続使用に関し、計時手段81による計時情報を、判定手段82による経年寿命時点Bの判定に至る前の第2の設定時点Eの判定に供して、第2の設定時点E時の報知手段83による点検を勧める報知措置ができるようにして、このときの条件では、なお、使用制限手段84が働かず製品の継続使用を可能としながら、この時点Eで必要となる範囲の点検を促し、万が一の場合の部品や製品の寿命、メンテナンスに対応することができる。
【0034】
従って、第1の設定時点C以降も、部品の交換などのメンテナンスを経た製品の継続使用に関し、計時手段81による計時情報を、判定手段82による経年寿命時点Bの判定に至る前の第2の設定時点Eの判定に供して、第2の設定時点時Eの報知手段83による点検を勧める報知措置ができるようにするのに併せ、使用制限手段84による使用制限なく製品の継続使用を可能として、この時点で必要となる範囲の点検を促し、万が一の場合の部品や製品の寿命、メンテナンスの対応で、この時点から再度の第2の設定時点Eに向けメーカ側からの管理なしに安全使用されるようになる。この場合も、部品の交換がその旨の入力、例えば報知のリセット操作部86によるスイッチ86aのオン信号などによって確認された時点Fで、図4に示すように報知手段83は報知を停止し、判定手段82はその時点Fからの次回の第2の時点Cの判定に移行する。
【0035】
当然ながら、第2の設定時点E経過後で、判定手段82が製品の経年寿命時点Bを判定したとき、使用制限手段84は、製品の使用を制限する。これにより、第2の設定時点E経過後以降も、点検や部品交換などのメンテナンスを経た製品の継続使用に関し、計時手段81による製品の使用、非使用を問わない計時情報を、判定手段82による製品の経年寿命の判定に供し、製品の経年寿命時点B時の使用制限手段84による製品の使用制限措置ができるようにして、製品の使用、非使用を問わない経年寿命に対応することができる。結果、第2の設定時点E経過後以降も、点検や部品交換などのメンテナンスを経た製品の継続使用に関し、計時手段81による製品の使用、非使用を問わない計時情報を、判定手段82による製品の経年寿命の判定に供して、製品の経年寿命時点B時に使用制限手段84により製品の使用制限措置をして、製品の使用、非使用を問わない経年寿命を超えた安全に問題がある使用を阻止することができる。
【0036】
そこで、例えば、使用の安全に関係のない記憶機能は使用制限の範囲外とすることで、マイクロコンピュータ73は、図4に示す外部メモリ87などを利用して記憶している製造年月日時点A、第1、第2の設定時点C、E、使用状況、部品の交換に関する部品名や交換日、点検日といったメンテナンスや家電製品の性能に関する履歴情報を読み出し、ユーザの使用実態や部品、製品の品質の判定、次期製品の開発、設計に生かせる。それには、マイクロコンピュータ73や外部メモリ87はそれらが搭載されている家電製品の電源が切られるときでもバックアップする電源88が必要となる。これにより、電気ポットの沸騰動作ご電源のない場所に移動したり、亭電となったときの加熱なしでのいわゆる魔法瓶保温が計時、および記憶機能を失わずに継続することができる。また、別に、特定の操作により、部品交換、点検日を記憶させ、特定の操作により特定の操作で記憶した事項を表示させるようにすると、特定の人、例えば、メーカ側のメンテナンスや時期製品開発の設計の担当者だけが記憶、記憶内容の表示に関係することができ、不特定の人によって無意味に、あるいは不適正に取り扱われるのを防止できる。
【0037】
また、第1の設定時点Cは、製品の製造年月日以降外部メモリ87に記憶している部品またはおよび製品の使用の状況に応じて変動させるが、第2の設定時点E、製品の経年寿命時点Bは固定させる。これにより、計時手段81は、製品の製造年月日から計時を続行するだけであるが、製造年月日Aからの以降の部品またはおよび製品の使用状態を外部メモリ87に記憶しておき、この記憶している使用状態によって第1の設定時点Cを変更するだけで、部品や製品の使用頻度に応じた交換時期や寿命に到達する時間変動を見込んだ時間設定ができ、第2の設定時点E、経年寿命時点Bについては使用状態にかかわらず固定して、最大使用頻度に対応した設定などによる常に安全側に寄った設定での判定ができる。結果、製品の製造年月日Aからの計時手段81による1通りの計時情報に基づきながら、製造年月日からの部品またはおよび製品の使用状態の記憶情報によって第1の設定時点Cを変更するだけで、部品や製品の使用頻度に応じた交換時期や寿命に到達する時間変動を見込んだ時間設定をして時間の過不足なく対応でき、第2の設定時点E、経年寿命時点Bについては使用状態にかかわらず固定して、常に安全側に寄った設定での判定で対応して、製品や使用の安全が図れる。具体的には電気ポットのシールパッキン127が、経年寿命への進行中にも、沸騰や高温保温、フルパワー通電、実運転の頻度とそれらの積算時間にほぼ比例して劣化が促進されることにつき対応でき、電気炊飯器の内蓋と鍋との間のシールパッキンに対しても同様に有効である。また、他の部品などでも影響度の違いを配慮して同様に対応できる。
【0038】
しかし、使用状況のカウント次第では、図5に示すように第2の設定時点Eや経年寿命時点Bであっても影響度が高くなる場合、制御がやや複雑になるものの、第1の設定時点Cの場合同様に部品またはおよび製品の使用の状況に応じて変動させることで、各種部品および家電製品全体において過不足のない寿命措置ができる。
【0039】
さらに詳述すると、第1の時点Cは、交換部品の種類に応じて1年〜5年位に設定して交換部品全体の寿命に対応でき、各交換年数単位で報知、具体的には1年ごとの交換部品については、1年の交換時点ごとに報知するのが好適であり、報知には報知間隔に対応する部品名や種類を含めるのが好適である。また、第2の設定時点Eは7年として交換部品の種類を超えた家電製品全体の定期点検時点として万が一の対応ができる。経年寿命時点Bは10年として近時の設計寿命に対応した使用制限措置ができる。
【0040】
この場合、第1の設定時点Cは経年寿命時点Bに対して短いので、経年寿命時点Bが判定されるまで繰り返すが、経年寿命時点Bはもとより、第2の設定時点Eは経年寿命時点Bに近く、繰り返しても経年寿命時点を超えるので意味はないので繰り返しは省略するものとする。しかし、第2の設定時点Eでの点検に基づくメンテナンスの内容によっては、経年寿命時点Bを当初設定から延長できる場合もあるので、経年寿命時点Bも変更できるようにするのが好適である。この場合の変更はユーザが勝手に行うのでは不適切な場合があると考えられ、このような事態を回避するにはメーカ側でできる操作とするのが好適である。このようにしても、点検はメーカ側の作業となると考えられるので問題はない。
【0041】
以下に、以上のような家電製品のメンテナンスや経年寿命時点での使用制限、使用禁止に関する具体的な制御例について、フローチャートと共に説明する。
【0042】
まず、図6に1つの基本的な措置フローチャートを示している。措置は製品の製造段階、具体的には組み立て段階からスタートし、組み立て段階または組み上げ時点で第1、第2の時点C、E、経年寿命時点Bに関するメモリ事項をクリアし、組み上げ時点で現時点を製造年月日時点Aとして計時をスタートさせる。以降、計時を継続しながら第1の時点C、第2の時点E、経年寿命時点Bにつき設定し対応するメモリに記憶させる。これらを条件に、以降、マイクロコンピュータ73、その内部機能などである計時手段、判定手段、報知手段、使用制限手段、メモリが連携したメンテナンス対応の自動制御が開始する。自動制御では、計時情報を参照しながら第1の設定時点Cに到達したかどうか、第2の設定時点Eに到達したかどうか、経年寿命時点Bに到達したかどうかが判定される。
第1の設定時点Cに到達すると消耗部品の交換が行なわれたかどうか判定し、交換が行われない間、該当消耗部品交換の報知、具体的には交換表示点灯を継続し、消耗部品の交換が行われると、消耗部品交換の日時をメモリに書き込み、消耗部品の交換報知を停止、具体的には消耗部品交換の表示を消灯する。次いで、第1の時点Cに対応する現経過時間をリセットして再度経過時間のカウントが行われるようにし、消耗部品交換の情報をリセットしてリターンする。
【0043】
第2の設定時点Eに到達すると、経年点検が行われたかどうか判定し、点検が行われない間、経年点検時期の報知、具体的には表示を継続し、点検が行われると、点検の日時をメモリに書き込み、経年点検時期の報知、具体的には表示を消灯する。次いで、第2の時点E、経年寿命時点Bである第3の設定時点Bに対応する現経過時間をリセットして再度経過時間のカウントが行われるようにし、経年点検の情報をリセットしてリターンする。第3の設定時点Bのリセットは、製造年月日時点Aからのカウントを踏襲する長時間カウントを回避し、現時点Eからの残時間分のカウントに切り換えてカウント機能の負荷を軽減する意味がある。
【0044】
第3の設定時点である経年寿命時点Bに到達すると、経年寿命点検が行われたかどうか判定し、点検が行われない間、経年寿命点検時期の報知、具体的には表示、操作部入力の取り込み禁止、湯沸かしヒータおよび保温ヒータのオフを継続し、使用の危険ともなう主要機能を停止し実質的な使用を制限する。点検が行われると、経年寿命点検時期の報知の停止、表示の消灯を行い、操作部入力禁止を解除、湯沸かしヒータおよび保温ヒータのオフ解除、第2、第3の設定時点の経過時間リセット、経年寿命点検実施末セット状態に復帰させて、製品および使用の安全が確保されたことによる再利用を可能にする。
【0045】
図7に示すフローチャートの基本措置例では、図6に示す場合に対し、第3の設定時点Bに到達し、点検が行われると、経年寿命点検時期表示の消灯に併せ、経年寿命点検時期の書き込みを行ない、後の性能分析や時期商品の開発、設計に役立てられるようにし、第3の設定時点Bに到達しない間は、部品交換時期に関する指示入力の有無、経年点検時期呼び出しに関する指示入力の有無を判定して、それらの指示入力があると対応するデータを表示するようにしている。これにより、ユーザなどが気になる都度、部品交換時期や経年点検時期を表示させて確認できる利便がある。
【0046】
図8に示すフローチャートの具体的措置例では、措置はいずれの場合とも同様、製品の製造段階、具体的には組み立て段階からスタートし、組み立て段階または組み上げ時点で第1、第2の時点C、E、経年寿命時点Bに関するメモリ事項をクリアし、組み上げ時点で現時点を製造年月日時点Aとして計時をスタートさせる。第1の時点C、第2の時点E、経年寿命時点Bにつき設定し対応するメモリに記憶させる。これらを条件に、以降、マイクロコンピュータ73、その内部機能などである計時手段、判定手段、報知手段、使用制限手段、メモリが連携したメンテナンス対応の自動制御が開始する。自動制御では、計時を継続しながら、湯沸かしが1回実施される都度、第1の設定時点Cの経過時間を6時間加算、保温が1時間実施される都度、第1の設定時点Cの経過時間を0.25時間加算、計時情報を参照しながら第1の設定時点Cに到達したかどうか、第2の設定時点Eに到達したかどうか、経年寿命時点Bに到達したかどうかが判定される。
【0047】
第1の設定時点Cに到達すると消耗部品の交換が行なわれたかどうか判定し、交換が行われない間、該当消耗部品交換の報知、具体的には交換表示点灯を継続し、消耗部品の交換が行われると、消耗部品の交換報知を停止、具体的には消耗部品交換の表示を消灯する。次いで、第1の時点Cに対応する現経過時間をリセットして再度経過時間のカウントが行われるようにし、消耗部品交換の情報をリセットしてリターンする。
【0048】
第2の設定時点Eに到達すると、経年点検が行われたかどうか判定し、点検が行われない間、経年点検時期の報知、具体的には表示を継続し、点検が行われると、経年点検時期の報知、具体的には表示を消灯する。次いで、第2の時点E、経年寿命時点Bである第3の設定時点Bに対応する現経過時間をリセットして再度経過時間のカウントが行われるようにし、経年点検の情報をリセットしてリターンする。
【0049】
第3の設定時点である経年寿命時点Bに到達すると、経年寿命点検が行われたかどうか判定し、点検が行われない間、経年寿命点検時期の報知、具体的には表示、操作部入力の取り込み禁止、湯沸かしヒータおよび保温ヒータのオフを継続し、使用の危険ともなう主要機能を停止し実質的な使用を制限する。点検が行われると、経年寿命点検時期の報知の停止、表示の消灯を行い、操作部入力禁止を解除、湯沸かしヒータおよび保温ヒータのオフ解除、第2、第3の設定時点の経過時間リセット、経年寿命点検実施末セット状態に復帰させて、製品および使用の安全が確保されたことによる再利用を可能にする。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、家電製品全般に適用して、製造年月日からの計時による製品の使用、非使用を問わない経年寿命に対応した使用制限による万が一の場合の危険回避ができるのに併せ、前記計時情報を利用して部品の交換も的確に行われるようにする管理がユーザ側主導で達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の家電製品としての実施の形態に係る電気ポットの1つの例を示す断面図である。
【図2】同電気ポットの操作部の平面図である。
【図3】同電気ポットの制御回路図である。
【図4】同電気ポットでのメンテナンス措置の1つの例を示すタイムチャートである。
【図5】同電気ポットでのメンテナンス措置の別の例を示すタイムチャートである。
【図6】同電気ポットでのメンテナンス措置の1つの基本例を示すフローチャートである。
【図7】同電気ポットでのメンテナンス措置の別の基本例を示すフローチャートである。
【図8】同電気ポットでのメンテナンス措置の1つの具体例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1 器体
3 金属製真空二重容器
11a 湯沸かしヒータ
11b 保温ヒータ
13 蓋体
25 吐出路
26 電動ポンプ
55 液晶表示部
73 マイクロコンピュータ
75 リレー
81 計時手段
82 判定手段
83 報知手段
84 使用制限手段
85 聴覚報知器
87 外部メモリ
88 バックアップ電源
127 シールパッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時手段と、計時手段による計時に基づき部品に対応した交換時点を判定する判定手段と、判定手段が判定した交換時点に対応した部品交換時点である旨報知する報知手段と、判定手段が判定した製品の使用の限度時点に対応して製品の使用を制限する使用制限手段と、を備えた家電製品であって、
計時手段は製品の製造年月日より計時し、判定手段が製品の使用の限度時点を製造年月日からの使用、非使用を問わない経年寿命時点として判定するに至る前の所定の部品に対応した第1の設定時点を判定したとき、報知手段は当該部品の交換時点である旨を報知するが、使用制限手段は働かず製品は継続使用できるようにしたことを特徴とする家電製品。
【請求項2】
第1の設定時点経過後で、判定手段が製品の経年寿命時点を判定する前の第2の設定時点を判定したとき、報知手段は製品の点検を勧める案内を報知し続けるが、使用制限手段は働かず製品は継続使用できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の家電製品。
【請求項3】
第2の設定時点経過後で、判定手段が製品の経年寿命時点を判定したとき、使用制限手段は、製品の使用を制限することを特徴とする請求項2に記載の家電製品。
【請求項4】
第1の設定時点は、製品の製造年月日以降記憶手段に記憶している部品またはおよび製品の使用の状況に応じて変動させるが、第2の設定時点、製品の経年寿命時点は固定させることを特徴とする請求項2、3のいずれか1項に記載の家電製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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