説明

容器あるいは燃料タンクのフィルタ構造

【課題】 補給時には補給ポンプのノズルを保持できるようにし、不要なときには邪魔にならないようにする。
【解決手段】 燃料タンク12の補給口3に装着されたフィルタ70に、補給ポンプのノズルを保持するための受筒71を内装する。受筒71のダボ82がフィルタ70のガイド孔75に嵌め込まれ、受筒71はフィルタ70に対して軸方向に案内される。受筒71は、コイルばね85によって突出する方向に付勢される。受筒71の突出状態において、受筒71のくびれ部80がフィルタ70から外部に突出し、ノズルの係止爪を引っ掛けることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体燃料燃焼装置等に用いられる燃料タンクや液体収容用の容器の補給口に装着されるフィルタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
石油ファンヒータ、石油ストーブ等の液体燃料燃焼装置における燃料タンクとして、灯油等の液体燃料を補給する際に、燃料タンクを上下にひっくり返す必要がなく、簡単に補給作業を行えるものが知られている。
【0003】
燃料タンクは、図16に示すように、タンク部1とタンク部1の上方を覆う上板2とから構成される。タンク部1の上面に補給口3が設けられ、上板2に、補給口3を塞ぐ外蓋4が開閉自在に取り付けられている。そして、上板2に、持ち運び用の取っ手5が開閉自在に取り付けられている。タンク部1の側面には、燃料表示窓6が設けられ、外部からタンク内の液体燃料量を確認できるようになっている。
【0004】
液体燃料を補給するための補給口3には、フィルタが装着され、タンク内にごみ等が入らないようになっている。フィルタは、特許文献1に記載されているように、自身の柔軟性によって補給口3に緊密に係合されている。
【0005】
ここで、液体燃料を補給するとき、燃料タンクの補給口に補給ポンプのノズルを差し込み、補給ポンプによって別のタンク等から液体燃料が送り込まれる。
【特許文献1】実開昭61−171635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
市販の補給ポンプには、手動式以外に電動式のものがあり、規定量まで補給したら自動的に停止するようになっている。補給中、補給ポンプのノズルを手に持って、フィルタに差し込んでおかなければならず、補給作業はユーザにとって負担がかかる。
【0007】
そこで、ユーザの負担を軽減するために、ノズルを燃料タンクに固定して保持できるように、ノズルに係止爪が設けられたものがある。この場合、フィルタは燃料タンクに緊密に装着されているので、ノズルをフィルタにより保持することはできない。そのため、燃料タンクにノズルを保持するための部材を設ける必要があり、燃料タンクの構造が複雑になる。また、電動式補給ポンプを使用しないユーザにとって、この部材は不要であり、逆に邪魔なものとなってしまう。
【0008】
本発明は、上記に鑑み、フィルタによって補給ポンプのノズルを保持できるようにして、必要なときにはすぐに利用でき、不要なときには邪魔にならないようにした燃料タンクのフィルタ構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、液体収容用の容器や燃料タンクに形成された補給口に、筒状のフィルタが装着され、該フィルタに、補給用のノズルを保持するための受筒が出没自在に内装されたものである。燃料等の液体補給時に、受筒がフィルタから突出するので、受筒によって補給ポンプのノズルを保持できる。補給時以外には、受筒はフィルタ内にあり、邪魔にならない。このように、ノズル保持用の部材を容器や燃料タンクに別途設ける必要がない。
【0010】
ここで、液体燃料燃焼装置用の燃料タンクでは、補給口を開閉する蓋が設けられ、蓋の開閉に応じて受筒が出没する。燃料補給時に蓋を開けると、受筒が突出する。蓋を閉めると、受筒が蓋に押されて、フィルタ内に戻される。そして、受筒は、フィルタに対してスライド自在に支持されており、受筒を出没方向に案内する案内手段が設けられる。受筒はスムーズに出没できるようになり、蓋を開ければ、受筒を自動的に突出させることが可能となる。
【0011】
受筒に、オーバーフロー孔が形成され、該オーバーフロー孔は、前記受筒がフィルタから突出した状態にあるとき、前記フィルタから露出する。そして、受筒の内面に、オーバーフロー孔の一部を取り囲むように液垂れ防止用壁が形成される。補給中に補給口から液体燃料が溢れても、オーバーフロー孔から流れ出すので、ノズルに逆流したり、補給口から噴き出すことを防げる。また、ノズルから液体燃料が滴り落ちても、防止用壁に沿ってタンク内に流れ、外側に漏れない。
【0012】
フィルタが補給口に着脱自在に嵌め込まれ、受筒のオーバーフロー孔が下を向くように、前記フィルタは前記補給口に対して位置決めされる。オーバーフロー孔から漏れ出る液体燃料は下方に落ちるので、燃料タンクの上面に広がることはない。
【0013】
フィルタおよび受筒に、空気抜き孔が形成され、前記受筒が突出したとき、前記フィルタの空気抜き孔と前記受筒の空気抜き孔とが連通する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、補給口に装着されたフィルタに受筒を出没自在に設けることにより、容器や燃料タンクの使用時には、受筒は突出せず、邪魔にならない。燃料等の液体補給時には、受筒が突出して、補給ポンプのノズルを保持することができる。したがって、フィルタに受筒を設けた簡単な構造によって、電動式の補給ポンプが使用可能となり、補給時の作業を容易に行えるようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本実施形態の石油ファンヒータを図1、2に示す。10は前面板10a、上面板10bおよび背面板によって形成された箱形の筐体であり、置台11に載置される。筐体10には、バーナ、ファン、イオン発生装置等が内装されている。筐体10には、可搬式燃料タンク12を収容するための収容室13が形成されている。上面板10bに、収容室13に通じる開口が形成され、収容室13は上面開放となっている。なお、図中、15は操作部、16は温風吹出口、17は正負イオンの吹出口、18は温度センサ、19は燃焼状態の確認窓、20は液体燃料の残量警告灯である。
【0016】
燃料タンク12は、従来の図16に示したものと基本的に同じ構造であり、タンク部1と上板2とから構成され、上部から液体燃料を送出するとともに補給する構造とされる。なお、上板2に、タンク内の液体燃料量を表示するための表示部21が設けられている。
【0017】
表示部21は、図3、4に示すように、液体燃料量に応じて移動する指針22と、指針22を移動可能に支持するホルダと、ホルダに印された目盛り23とからなる。
【0018】
指針22は、上側に向かって突出するように立体的に形成される。具体的には、指針22は、先端側が上側に向かって折り曲げられたL字状の棒材とされる。指針22は、基端を中心にして回動する。
【0019】
ホルダは、上板に取り付けられるベース25と、ベース25に被せられるカバー26とからなる。カバー26には複数の爪27が形成され、爪27がベース25の周縁に引っ掛けられることにより、ベース25とカバー26とが一体的に係合され、指針22が回動するための空間が形成される。
【0020】
カバー26は、平面視扇形に形成され、その前側が盛り上がり、窓部28とされる。窓部28は、前面から上面にわたって形成され、立体的な形態とされる。カバー26の窓部28より後側は、上板2に覆われ、外部に露出していない。カバー26は、透光性樹脂によって成形され、窓部28を通じてホルダの内部が外から見えるようになっている。なお、窓部28だけを透光性樹脂によって形成してもよい。
【0021】
カバー26の内側には、目盛り用の縦壁30が形成される。縦壁30は、窓部28に下側に向かって垂直に形成され、側方から視認できる。縦壁30には、図3に示すような文字等が印刷されたフィルムが貼り付けられる。これが側方用の目盛り23となる。また、窓部28の上面にも、同様に文字等が印刷されたフィルムが貼り付けられ、これが上方用の目盛り23となる。なお、目盛り23は、縦壁30や窓部28に直接描いてもよい。
【0022】
指針22の基端は、支軸31に嵌め込まれている。支軸31は、ベース25に形成された貫通孔32に挿入され、回転自在に支持される。縦壁30と窓部28の前面との間に、指針22の先端が位置しており、指針22は縦壁30に沿って回動する。外部から窓部28を見たとき、指針22と目盛り23とが一緒に見える。なお、33は指針22の回動を規制するストッパである。
【0023】
燃料タンク12は、図5、6に示すように、タンク内の液体燃料量を検出する液面検出装置と、液体燃料の残量が少なくなったことを検出する燃料残量検知装置と、タンク内の水の有無を検知する水検知装置とを備えている。
【0024】
タンク部1の上面に形成された開口40に、口金41が固定され、口金41にベース25の下部がシール材を介して嵌め込まれる。タンク部1の底面に開口42が形成され、開口42を塞ぐように水受け皿43が設けられている。水受け皿43は、タンク部1の底面の外側にゴム製のパッキン44を介して取り付けられる。水受け皿43は、ステンレス鋼板からなり、パッキン44によりタンク部1とは電気的に絶縁されている。
【0025】
液面検出装置は、液体燃料の液面に応じて上下するフロート45と、フロート45を上下方向に案内するガイドロッド46と、フロート45の上下に連動して表示部21に液面位置を伝えるための螺旋板47とからなる。ガイドロッド46は、フロート45を貫通しており、ガイドロッド46の上端は、ベース25に形成された保持筒48に挿入されて、保持される。ガイドロッド46の下端は、L字形に折り曲げられて、支持台49に係合され、回転しないように支持される。支持台49は、水受け皿43内に取り付けられる。タンク部1の底面上に支持台49を設ける必要がなくなり、支持台分のタンク容量の低下を防げる。
【0026】
螺旋板47は、フロート45の縦溝50に挿通され、上端が支軸31の溝に嵌め込まれ、螺旋板47と指針22とが機械的に連結される。螺旋板47の下端は、針状に形成され、支持台49に載置されている。これにより、螺旋板47は回転自在に支持され、螺旋板47の回転に伴って支軸31が回転し、指針22が目盛り23に沿って回動することになる。
【0027】
フロート45は、燃料タンク12内の液体燃料中に浮かんでおり、液面の高さが変化すると、フロート45も上下する。フロート45の上下に伴って、螺旋板47が回転する。すると、支軸31を介して指針22が回動し、液面位置に応じた目盛り23を指し示す。
【0028】
燃料タンク12が筐体10に収容されているとき、上板2は外部に露出しており、筐体10の上面の一部を構成する。上板2に設けられた表示部21も外部に露出し、その表示を視認できる。しかも、表示部21は上板2から突出しているので、上方からだけでなく、前面や横からといった側方からも指針22と目盛り23を見ることができる。したがって、タンク内の液体燃料量をどの方向からでも容易に確認できる。
【0029】
そして、液体燃料が少なくなると、燃料タンク12を筐体10から取り出し、液体燃料を補給する。燃料タンク12の上面の補給口3から補給するとき、人の視点は燃料タンク12の上方にあるが、表示部21が燃料タンク12の上面にあるので、上方から視認できる。そのため、補給量を確認でき、液体燃料の入れすぎを防止でき、液体燃料が溢れ出すことはない。
【0030】
燃料残量検知装置は、磁石51とこの磁石51に反応するリードスイッチ52とからなる非接触式のセンサが用いられる。磁石51は、フロート45の下部に取り付けられたフック53に保持されて、フロート45の下方に吊り下げられている。リードスイッチ52は、燃料タンク12を載置するタンク台54にタンク部1と対向するように設置される。
【0031】
燃料タンク12内の液体燃料が減ってきて、フロート45が下降してくると、磁石51は水受け皿43内に位置して、リードスイッチ52に近接する。すると、リードスイッチ52がオンし、液体燃料の残量が少なくなったことを検知でき、残量警告灯20が点灯する。ここで、リードスイッチ52のオンするタイミングは、磁石51とフロート45との距離によって決定できる。報知すべき液体燃料の残量に合わせて、フック53の長さを調整すればよい。このように、燃料残量検知装置の構成部材として液面検出装置のフロート45を利用することにより、各装置の構成部材を共用でき、部品点数を減らせる。
【0032】
水検知装置は、液体燃料と水との電気伝導度の差を利用して、水の有無を電気的に検知する。液体燃料よりも比重の重い水は水受け皿43に溜まるので、水受け皿43に接触する第1電極60と、タンク部1に接触する第2電極61とが設けられる。第1電極60は、タンク台54に水受け皿43に向かって突設され、第2電極61は、タンク台54にタンク部1の底面に向かって突設される。
【0033】
両電極60、61が電源に接続され、第1電極60、水受け皿43、タンク部1内の水および液体燃料、タンク部1の底面、第2電極61による閉回路が形成され、この閉回路に流れる微電流から水の有無を検知する。燃料タンク12内に水があると、比重の重い水は水受け皿43に溜まる。すると、閉回路の抵抗が変化し、この回路を流れる電流も変化して、水の存在を検知できる。
【0034】
燃料タンク12のタンク部1では、上面の一部が、図5に示すように、傾斜面とされ、ここに補給口3が形成されている。補給口3にはフィルタ70が着脱可能に装着されている。上板2には、図16に示す補給口3を塞ぐ外蓋4が開閉自在に取り付けられている。
【0035】
フィルタ70には、図7に示すように、受筒71が内装される。受筒71は、フィルタ70に対して出没自在とされ、受筒71が突出状態にあるとき、補給ポンプのノズルを保持できる。
【0036】
フィルタ70は、図8に示すように、有底の円筒状に形成され、下側が網目状のフィルタ部72とされ、上側が受筒71を支持する収容部73とされる。フィルタ部72の内面には、薄肉になっているフィルタ部72の補強のために受けリブ74が軸方向に沿って形成されている。なお、受筒71が出没する方向を軸方向とする。受けリブ74は、90度間隔で4本形成され、その上端は収容部73との境界に位置する。
【0037】
収容部73には、ガイド孔75が形成され、ガイド孔75は、軸方向に沿って長孔状に形成される。ガイド孔75より上側に円形の空気抜き孔76が形成されている。空気抜き孔76は、180度対称の位置に2つ形成される。収容部73の外面には、軸方向に沿って位置決めリブ77が突設されている。位置決めリブ77は、180度対称の位置で、空気抜き孔76から90度ずれた位置に2本形成される。収容部73の上縁には、外側に向かってフランジ78が形成される。
【0038】
受筒71は、図9に示すように、円筒状に形成され、受筒71の外径はフィルタ70の収容部73の内径よりも少しだけ小とされる。受筒71の軸方向の長さは、収容部73の長さよりも小とされ、収容部73に完全に没入する。受筒71の上部にくびれ部80が形成され、少し凹んでおり、その上縁がフランジ81となる。受筒71の外面には、くびれ部80よりも下側にダボ82が突設され、ダボ82より上側に、空気抜き孔83が形成され、さらに上側にオーバーフロー孔84が形成される。ダボ82、空気抜き孔83およびオーバーフロー孔84は、軸方向に沿って一列に並んでいる。空気抜き孔83およびオーバーフロー孔84は、180度対称の位置に2つ形成される。
【0039】
ダボ82がフィルタ70のガイド孔75に嵌め込まれることにより、ダボ82はガイド孔75に沿ってスライドし、受筒71は軸方向に案内される。すなわち、このダボ82とガイド孔75によって案内手段が構成される。図7に示すように、フィルタ70には、コイルばね85が内装され、コイルばね85の上端は、受筒71の下端に当接し、コイルばね85の下端は、受けリブ74の上端に当接する。コイルばね85は、受筒71を軸方向において上側に向かって付勢している。これにより、受筒71は、フィルタ70から突出して突出状態となるが、その突出長さは、ガイド孔75によって規制される。受筒71の突出状態において、くびれ部80はフィルタ70から外部に露出し、オーバーフロー孔84も完全に露出する。また、受筒71の空気抜き孔83とフィルタ70の空気抜き孔76とは同じ位置となり、両者は連通する。
【0040】
ここで、フィルタ70は、燃料タンク12に対して斜めに取り付けられているので、受筒71も斜め上に向かって突出する。このとき、オーバーフロー孔84が下を向くように、受筒71が位置決めされる。フィルタ70に対して受筒71の円周方向の位置は固定されているので、フィルタ70が補給口3に対して位置決めされる。
【0041】
フィルタ70を位置決めするために、図10、11に示すように、補給口3の周縁からタンク内に向かって折り曲げられた周壁90が形成され、周壁90の一部に切欠91が形成されている。補給口3の周縁の周囲には、山状に盛り上がった外輪部92が形成される。補給口3の周縁に、フィルタ70のフランジ78が載せられ、周壁90にフィルタ70の外面が密着して、フィルタ70はタンク部1の傾斜面から突出しない。
【0042】
切欠91は、180度対称の位置に2つ形成され、傾斜面の上下方向に位置する。切欠91からフィルタ70の位置決めリブ77を挿入できる。周壁90の高さは、フィルタ70のフランジ78から位置決めリブ77の上端までの距離より若干短くされ、フランジ78と位置決めリブ77とによって周壁90が挟みつけられる。これにより、フィルタ70が外れないようにタンク部1に取り付けられる。
【0043】
周壁90の一部は一段高くなって、段差93が形成されている。段差93は、180度対称の位置にそれぞれ形成され、切欠91から90度ずれた位置にある。フィルタ70の位置決めリブ77を切欠91から挿入して、補給口3に対してフィルタ70を90度回転すると、位置決めリブ77が段差93に当接する。このとき、受筒71のオーバーフロー孔84が下を向き、フィルタ70および受筒71が補給口3に対して定位置に固定される。
【0044】
補給口3は、通常上蓋4によって覆われており、液体燃料の補給時に開かれ、受筒71が突出する。上蓋4は、燃料タンク12の上板2に開閉自在に取り付けられており、上蓋4は、図12に示すように、受筒71に当接するキャップ94と、開閉するためのレバー95と、カバー96とを備える。
【0045】
カバー96は、上板2に取り付けられた取付軸97に回動自在に取り付けられる。取付軸97にねじりコイルばね98が取り付けられ、カバー96を上板2から開く方向に付勢している。キャップ94は、カバー96に上下動自在に支持され、コイルばね99によって下側に向かって付勢されている。円形のキャップ94は補給口3の周囲の外輪部92に当接するように、その外径が外輪部92の直径よりも大とされ、補給口3を完全に覆う。
【0046】
レバー95は、カバー96に取り付けられた支軸100に回動自在に支持され、タンク部1の上面に設けられた係止ピン101に係合する。カバー96の上部には、ボタン102が軸103周りに回動自在に取り付けられ、ボタン102はレバー95に当接して、レバー95を支軸100周りに揺動させる。レバー95の支軸100には、ねじりコイルばね104が取り付けられ、レバー95が係止ピン101に引っ掛かる方向に付勢する。
【0047】
上蓋4を閉めているとき、レバー95は係止ピン101に引っ掛かり、上蓋4は開かない。キャップ94は、コイルばね99によって補給口3側に押され、外輪部92に密着し、受筒71がフィルタ70から少しだけ突出して、キャップ94に当接する。このように、補給口3は密閉された状態に保持される。
【0048】
そして、液体燃料を補給するとき、燃料タンク12を筐体10から取り出す。ボタン102を押し下げると、ねじりコイルばね98の付勢力に抗してレバー95が回動し、係止ピン101から外れる。上蓋4を開くと、ねじりコイルばね104によって上蓋4は開いた状態で保持される。このとき、キャップ94が補給口3から離れ、受筒71が突出状態となる。
【0049】
図13、14に示すように、補給ポンプのノズル105をフィルタ70に差し込み、ノズル105の係止爪106を受筒71のフランジ81に引っ掛ける。ノズル105が受筒71に保持され、ノズル105を手で持たなくても液体燃料を補給できる。このとき、受筒71のオーバーフロー孔84は、下を向いており、液体燃料が溢れても、オーバーフロー孔84から流れ出し、下に流れ落ちる。
【0050】
そこで、図15に示すように、オーバーフロー孔84の周縁に液垂れ防止用壁110を設ける。防止用壁110は、受筒71の内面において、オーバーフロー孔84の周縁の一部を取り囲むように形成される。特に、オーバーフロー孔84の上側から両側にかけて逆U字状に形成すればよい。ノズル105から垂れた液体燃料は、防止用壁110を伝って流れ落ち、タンク内に流れる。オーバーフロー孔84から液体燃料の滴が垂れることを防止できる。
【0051】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。燃料タンクを石油ファンヒータ等の液体燃料燃焼装置に使用したが、携帯用の燃料タンクや液体収容用の容器として使用してもよい。
【0052】
受筒を出没させる手段として、ばねの付勢力を利用しているが、外蓋と受筒とをリンク等により機械的に連結して、外蓋の開閉に応じて受筒を出没させてもよい。あるいは、受筒を蛇腹状に形成して、伸縮可能としてもよい。上蓋を開いたとき、自己の復元力によって受筒が伸び、フィルタから突出する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の石油ファンヒータの斜視図
【図2】燃料タンクを取り外したときの石油ファンヒータの斜視図
【図3】表示部における表示例を示す図
【図4】表示部の断面図
【図5】燃料タンクの断面図
【図6】燃料タンクの底面付近の断面図
【図7】フィルタ構造を示す図であって、(a)は受筒がフィルタに収容された状態の断面図、(b)は受筒がフィルタから突出した状態の断面図
【図8】フィルタの正面図
【図9】受筒の正面図
【図10】補給口付近の断面図
【図11】補給口に対するフィルタの位置関係を示す図
【図12】上蓋の断面図
【図13】補給時の燃料タンクを示す図
【図14】受筒の保持されたノズルを示す図
【図15】オーバーフロー孔に液垂れ防止用壁が設けられた受筒の断面図
【図16】従来の燃料タンクの斜視図
【符号の説明】
【0054】
1 タンク部
2 上板
3 補給口
4 上蓋
10 筐体
12 燃料タンク
13 収容室
70 フィルタ
71 受筒
75 ガイド孔
76 空気抜き孔
77 位置決めリブ
82 ダボ
83 空気抜き孔
84 オーバーフロー孔
85 コイルばね
90 周壁
91 外輪部
94 キャップ
95 レバー
96 カバー
110 液垂れ防止用壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に形成された補給口に、筒状のフィルタが装着され、該フィルタに、補給用のノズルを保持するための受筒が出没自在に内装され、液体補給時に前記受筒が前記フィルタから突出することを特徴とする容器のフィルタ構造。
【請求項2】
燃料タンクに形成された補給口に、筒状のフィルタが装着され、該フィルタに、補給用のノズルを保持するための受筒が出没自在に内装され、燃料補給時に前記受筒が前記フィルタから突出することを特徴とする燃料タンクのフィルタ構造。
【請求項3】
燃料タンクに、補給口を開閉する蓋が設けられ、該蓋の開閉に応じて受筒が出没することを特徴とする請求項2記載の燃料タンクのフィルタ構造。
【請求項4】
受筒は、フィルタに対してスライド自在に支持され、受筒を出没方向に案内する案内手段が設けられたことを特徴とする請求項2または3記載の燃料タンクのフィルタ構造。
【請求項5】
受筒に、オーバーフロー孔が形成され、該オーバーフロー孔は、前記受筒がフィルタから突出した状態にあるとき、前記フィルタから露出することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の燃料タンクのフィルタ構造。
【請求項6】
受筒の内面に、オーバーフロー孔の一部を取り囲むように液垂れ防止用壁が形成されたことを特徴とする請求項5記載の燃料タンクのフィルタ構造。
【請求項7】
フィルタが補給口に着脱自在に嵌め込まれ、受筒のオーバーフロー孔が下を向くように、前記フィルタは前記補給口に対して位置決めされたことを特徴とする請求項5または6記載の燃料タンクのフィルタ構造。
【請求項8】
フィルタおよび受筒に、空気抜き孔が形成され、前記受筒が突出したとき、前記フィルタの空気抜き孔と前記受筒の空気抜き孔とが連通することを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の燃料タンクのフィルタ構造。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれかに記載の燃料タンクのフィルタ構造を備えたことを特徴とする液体燃料燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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