説明

容器および容器の製造方法

【課題】紙で製作されるとともに、全体として、おわん形、あるいはどんぶり形の形状を有し、平板状をなす底板を用いないで底部が下側の胴の部分と連続した曲面構造をなす容器を提供する。
【解決手段】扇形の原紙を巻いて成形された逆円錐台状をなす上側半体11の上部開口24の部分を外側に巻いてカール部25を形成し、しかも下側の部分を外側に折返して折返し部分33を形成する。また円形の原紙38をしぼり成形して底部15を下側胴部14の下端側に一体にかつ曲面によって連続して形成した下側半体12を形成する。そして上側半体11の上側胴部13の下端側の部分を下側半体12の下側胴部14の内周面に嵌合させて接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器および容器の製造方法に係り、とくに紙を主材料とする容器、およびこのような容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紙によって成形されかつ組立てられた容器が広く用いられている。すなわち図1および図2に示すように、胴部が逆円錐台状をなす紙製容器が広く用いられている。ここで胴部1は扇形の原紙を巻いて両端を接合したものであって、その上部開口の周縁部には、外側に巻込んだカール部3が形成される。またこの胴部1の下端側の部分が底板4によって閉塞されている。底板4はその外周側の部分に、図2に示すように下方に折曲げられた折曲げ部5を一体に備え、この折曲げ部5が胴部1の下端と折返し部6とによって挟着され、これによって底部開口が閉じられ、有底の容器を構成している。なおこのような容器は、例えば特開2001−97354号公報等によって公知である。
【0003】
従来のこの種の紙製容器は、胴部1を扇形の原紙を巻いて製作するために、逆円錐台状の形状に限定され、おわん形、あるいはどんぶり形のような形状とすることができず、デザイン的にあるいは形状的に制限を生ずる。また底板4がその折曲げ部5を胴部1の下端に結合するようにしているために、平板状をなす底板4によって構成されることになる。
【0004】
このような容器は、その中にカップめんや即席めん、例えばインスタントラーメン等を入れて販売することができる。ところが形状の制限等によって、デザイン上の新鮮味に欠ける欠点がある。また持帰り用の加工食品の容器として用いるのには形状的に不適当である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−97354公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明の課題は、紙製であって、しかも下半分がボール状をなし、全体としておわん形あるいはどんぶり形の形状を採ることができるようにした容器を提供することである。
【0007】
本願発明の別の課題は、逆円錐台状のデザインあるいは形状の制限をなくすようにした紙製の容器を提供することである。
【0008】
本願発明のさらに別の課題は、底部が胴部の下側の部分と曲面によって連続するようにした紙製の容器を提供することである。
【0009】
本願発明のさらに別の課題は、容器としての保形性が大きく、剛性を有する紙製容器を提供することである。
【0010】
本願発明のさらに別の課題は、インスタントラーメン等の即席めんの容器として用いて好適な紙製容器を提供することである。
【0011】
本願発明のさらに別の課題は、持帰り用の加工食品の容器として用いて好適な紙製容器を提供することである。
【0012】
本願発明の上記の課題および別の課題は、以下に述べる本願発明の技術的思想、およびその実施の形態によって明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の主要な発明は、紙を主材料とする容器において、
上部と下部とがそれぞれ開放され、逆錐台状または筒状をなし、周面が上側胴部を構成する上側半体と、
底部が連続して一体に形成され、周面が下側胴部を構成する下側半体と、
を具備し、前記上側半体の上側胴部の下端と前記下側半体の下側胴部の上端とが互いに嵌合して接合されていることを特徴とする容器に関するものである。
【0014】
ここで、前記上側半体の上部開口の周縁部が外側に巻込まれて前記上側胴部の上端にカール部またはフランジが形成されてよい。また前記上側半体の上側胴部の下端が前記下側半体の下側胴部の上端の内周部または外周部に嵌合されてよい。また前記上側半体と前記下側半体とが、内表面または内表面と外表面に樹脂層が設けられた紙から作られ、しかも前記上側半体の上側胴部の下端と前記下側半体の下側胴部の上端のうちのいずれか、容器の内側に位置する端面を処理して紙の端面が容器の内側に露出しないようにしてよい。また前記下側半体の下側胴部の上端が内側または外側に折返され、前記上側半体の上側胴部の折返された下端面と前記下側半体の折返された上端面とが互いに上下逆向きで突合わされてよい。
【0015】
容器の製造方法に関する主要な発明は、紙を主材料とする容器の製造方法において、
上部と下部とがそれぞれ開放され、逆錐台状または筒状をなし、周面が上側胴部を構成する上側半体と、底部が連続して一体に形成され、周面が下側胴部を構成する下側半体と、を具備し、前記上側半体の上側胴部の下端と前記下側半体の下側胴部の上端とが互いに嵌合して接合され、
前記下側半体が平坦な紙をプレス成形して作られることを特徴とする容器の製造方法に関するものである。
【0016】
製造方法に関する別の発明は、紙を主材料とする容器の製造方法において、
上部と下部とがそれぞれ開放され、逆錐台状または筒状をなし、周面が上側胴部を構成する上側半体と、底部が連続して一体に形成され、周面が下側胴部を構成する下側半体と、を具備し、前記上側半体の上側胴部の下端と前記下側半体の下側胴部の上端とを互いに嵌合して接合し、
前記嵌合した部分を加熱しながら加圧し、前記上側半体または前記下側半体を構成する紙に設けられた樹脂層によって互いに溶着することを特徴とする容器の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0017】
本願の主要な発明は、紙を主材料とする容器において、上部と下部とがそれぞれ開放され、逆錐台状または筒状をなし、周面が上側胴部を構成する上側半体と、底部が連続して一体に形成され、周面が下側胴部を構成する下側半体と、を具備し、上側半体の上側胴部の下端と下側半体の下側胴部の上端とが互いに嵌合して接合されようにしたものである。
【0018】
従ってこのような容器によると、上側半体の上側胴部と下側半体の下側胴部とが互いに結合されて連続することになり、しかも下側半体の底部に一体に連続して底部が形成されているために、別部材から成る底板を用いないで底部が連続した紙を主材料とする容器を提供できるようになり、例えば全体の形状をおわん形、どんぶり形等の形状とすることが可能になる。また上側半体と下側半体とが、上側胴部の下端と下側胴部の上端とが互いに嵌合して接合されているために、嵌合接合部において胴部の厚さが厚くなって容器に対して保形性を与え、剛性を有する容器になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来の紙製容器の外観斜視図である。
【図2】同容器の一部を破断した正面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る容器の上側半体を組立てる原紙の展開平面図である。
【図4】同原紙を巻込んだ状態(A)、およびカール部を形成した状態(B)の一部を破断した正面図である。
【図5】上側半体の下端に折返し部を形成する動作を示す縦断面図である。
【図6】上側半体の下端に湾曲部を形成し(A)、この湾曲部を押潰して折返し部33を形成する状態を示す一部を破断した正面図である。
【図7】下側半体を組立てるための円形の原紙の平面図である。
【図8】円形の原紙を用いて下側半体を成形する状態を示す縦断面図である。
【図9】成形された下側半体の一部を破断した正面図である。
【図10】上側半体と下側半体との結合動作を示す一部を破断した正面図である。
【図11】上側半体と下側半体とを互いに嵌合させて接合した状態の一部を破断した正面図である。
【図12】同外観斜視図である。
【図13】上側半体の上側胴部と下側半体の下側胴部との嵌合接合部を溶着する前の状態(A)、および溶着している状態(B)を示す要部横断面図である。
【図14】内表面に高分子フィルムをラミネートした上側半体の上側胴部の下端と下側胴部の上端の嵌合接合部における溶着の状態を示す要部拡大断面図である。
【図15】内外両面に高分子フィルムをラミネートした上側半体の上側胴部の下端と下側半体の下側胴部の上端の嵌合接合部における溶着の状態を示す要部拡大断面図である。
【図16】変形例に係る容器の形状を示す縦断面図である。
【図17】しごき成形によって下側半体を成形するための成形装置(A)、およびこの成形装置による成形の状態(B)を示す縦断面図である。
【図18】同装置によるしごき成形の状態を示す要部拡大断面図である。
【図19】しごき成形装置によって成形された下側半体の一部を破断した正面図である。
【図20】変形例の楕円形容器の平面図である。
【図21】同容器の外観斜視図である。
【図22】別の変形例の角型容器の平面図である。
【図23】同容器の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下本願発明を図示の一実施の形態によって説明する。図10〜12に示すように、本実施の形態の容器は、ともに紙によって作られる上側半体11と下側半体12とを備えている。上側半体11の外周部が上側胴部13を構成し、下側半体12の外周部が下側胴部14を構成している。そして下側胴部14は底部15によって連続して閉じられるようになっている。なお下側半体12の底部15には底面から見てリング状に突出するように下側突部16が形成されている。
【0021】
図3は上側半体11を構成する原紙20を展開して示している。この原紙20としては、所定の厚さの上質の板紙が用いられる。なお原紙20の厚さは、用いられる容器の大きさや、充填する内容物等に応じて各種の厚さのものが任意に選択される。そして原紙20の内表面には、耐水性を付与するためにポリエチレンフィルム21が接合される(図14A〜F参照)。なお別の原紙20については、例えば内表面にポリエチレンフィルム21が接合され、外表面にポリエチレンフィルム22が接合されたものが用いられる(図15A〜F参照)。またポリエチレンフィルム等の高分子フィルムを接合するのに代えて、原紙20の内表面または内表面と外表面に溶融樹脂を塗布して耐水性の樹脂層を形成してもよい。
【0022】
図3に示す原紙20は円形に巻いて両端を図4に示すように接合部23のところで互いに重合わせ、逆円錐台状に組立てる。そしてこの逆円錐台状の上側半体11の上部開口24の部分を図4Bに示すように外側に巻込んでカール部25を形成する。なおカール部25の形成は、従来から広く行われている紙製容器におけるカール部の形成と同様の方法によって行なわれる。なお、カール部25をさらに押潰して扁平なフランジとしてもよい。
【0023】
次にこのような上側半体11の下端側の部分には、図5に示すような金型28を用いて、図6に示すような折返し部33を形成する。金型28はその中心部が突部29になっており、突部29の外周側にはリング状凹部30が形成されるとともに、リング状凹部30に向って突部29の外周側の部分が傾斜面31になっている。そしてこの傾斜面31の終端側であってリング状凹部30の下端側の部分が湾曲しており、この湾曲部を利用して、上側半体11の下端側の部分を湾曲させて湾曲部32を形成し(図6A参照)、さらに湾曲部32を押潰すことによって外側に折返された折返し部33を形成する(図6B参照)。
【0024】
折返し部33を上側半体11の上側胴部13の下端側の部分に形成する理由は、後述するように、ポリエチレンフィルム21によって覆わない上側半体11の上側胴部13の下端部が内容物と接触し、水分を原紙20が吸込むと、容器が変形するので、上側胴部13の下端側の部分が内容物あるいは水分と接触しないようするためである。また上側胴部13の下端部から紙粉が発生して、内容物に混入するのを防止することにある。
【0025】
次に下側半体12を組立てるための原紙38について説明すると、ここでは図7に示すような円形の原紙38が用いられる。円形の原紙38は上側半体11と同様に上質紙から作られ、その外周部に円周方向に沿って、放射状に延びる長い突条39と短い突条40とを交互に形成しており、これによって絞り成形を可能にしている。なお突条39、40については、さらに長さが異なる別の種類の突条とし、3種類以上の突条を交互に順次形成するようにしてもよい。またこのような円形の原紙38は、図14Aに示すように、少なくともその内表面にはポリエチレンフィルム41が接合される。また内表面にポリエチレンフィルム41を接合し、外表面にポリエチレンフィルム42を接合した構造としてもよい(図15A参照)。
【0026】
このような円形の原紙38は図8に示すような絞り成形用金型43によって絞り成形される。下型43はその上面に開放された凹部44を備えている。そしてこの凹部44と整合するように上型45が下型43に対向するように昇降自在に配される。
【0027】
円形の原紙38は下型43の上面に上記凹部44を塞ぐように配置される。そしてこの状態で、上型45を静かに下降させることによって、下型43の凹部44の内周面にならうように、円形の原紙38が絞り成形され、これによって下側半体12が成形される。下側半体12は図9に示すように、その下側の部分が底部15から形成され、下側胴部14と連続した構造となる。なお底部15には、下方に突出する下側突部16が形成される。
【0028】
図10に示すように、原紙20によって成形された上側半体11と原紙38によって成形された下側半体12とは、上側胴部13の下端と下側胴部14の上端とが互いに嵌合され、これによって上側半体11と下側半体12とが互いに接合される。すなわち上側半体11の上側胴部13の下端側の折返し部33の部分が下側半体12の下側胴部14の内周面に嵌合されるようになり、これによって両者が互いに結合され、おわん形あるいはどんぶり形の容器として組立てられる。なお上側半体11の上側胴部13の下端部の内側に下側半体12の下側胴部14の上端部の外周部を挿入して嵌合してもよい(図14B、図15B参照)。
【0029】
ここで上側半体11の内表面にはポリエチレンフィルム21が接合され、また下側半体12の内表面にはポリエチレンフィルム41が接合されている。従って図14Aに示すように、これらのポリエチレンフィルム21、41が上側胴部13の下端の折返し部33の外周面上において互いに重合う(図14A参照)。従って上側半体11と下側半体12とを、図13に示すような加熱板48によって加熱しながら押圧することにより、上側半体11の上側胴部13の下端側の折返し部33の外表面上のポリエチレンフィルム21と下側半体12の下側胴部14の内周面のポリエチレンフィルム41とが互いに溶着され、これによって上側半体11と下側半体12とが、上側胴部13と下側胴部14の嵌合部において互いに溶着されることになる。
【0030】
なお上側半体11の外表面にさらにポリエチレンフィルム22が接合され、下側半体12の外表面にさらにポリエチレンフィルム42が接合されている場合には、図15Aに示すような接合状態になり、折返し部33上における溶着に加えて、折返し部33よりも上側で上側半体11の上側胴部13の外表面のポリエチレンフィルム22と下側半体12の下側胴部14の内表面のポリエチレンフィルム41とがさらに接合され、より強固な溶着状態が達成される。
【0031】
なお上側半体11の上側胴部13の下端と下側半体12の下側胴部14の上端との嵌合による接合構造については、図14Aあるいは図15Aに示すような構造に必ずしも限定されず、その他各種の接合構造を採用することができる。上側半体11の原紙20と下側半体12の原紙38が、ともに内表面にのみポリエチレンフィルム21、41を接合している場合には、図14Bに示すように、上側半体11の上側胴部13の下端を内側へ折返すとともに、その内周面に下側半体12の下側胴部14の外周部を嵌合させるようにしてよい。この場合には、下側半体12の下側胴部14の上端部の端面加工を行なっておく必要がある。
【0032】
また図14Cに示すように、下側半体12の下側胴部14の上端部を外側に折返して折返し部53を形成し、その外周側に上側半体11の上側胴部13の下端部を嵌合させて接合してもよい。
【0033】
あるいはまた図14Dに示すように、下側半体12の下側胴部14の上端を内側に折返すとともに、その内周側に上側半体11の上側胴部13の下端部を嵌合させて接合してもよい。なおこの場合には、上側半体11の上側胴部13の下端部の端面処理を予め行なっておく必要がある。
【0034】
また図14Eに示すように、上側半体11の上側胴部13の下端を外側へ折り返して折返し部33を形成し、下側半体12の下側胴部14の上端部を内側へ折返して折返し部53を形成し、上側胴部13が内周側で下側胴部14が外周側になるように嵌合して接合するとともに、上側胴部13の折返し部33と下側胴部14の上端の折返し部53とが互いに上下逆に突合わされるようにしてもよい。
【0035】
また図14Fに示すように、上側半体11の上側胴部13の下端部を内側へ折返して折返し部33を形成し、下側半体12の下側胴部14の上端を外側に折返して折返し部53を形成する。そして上側胴部13の内周側に下側胴部14の外周部を嵌合し、上側胴部13の下端の折返し部33と下側胴部14の上端の折返し部53とを互いに上下に逆方向から突合わせて接合するようにしてもよい。
【0036】
また図14Gに示すように、上側胴部13の下端の折返し部33を下側胴部14の上端の折返し部53の内側に挿入し、下側胴部14の上端の折返し部53を上側胴部13の下端の折返し部33の内側に挿入してもよい。すなわち折返し部33と53とを互いに交錯させるように組合わせる。
【0037】
また図14Hに示すように、上側胴部13の下端の折返し部33と下側胴部14の上端の折返し部53とを交錯させる際に、上側胴部13が外側で下側胴部14が内側になるようにして折返し部33、53を互いに交錯させてよい。
【0038】
また上側半体11を形成する原紙20が内側のポリエチレンフィルム21と外側のポリエチレンフィルム22とをそれぞれ接合した原紙であって、下側半体12を構成する原紙38の内側にポリエチレンフィルム41が、外側にポリエチレンフィルム42が接合されている場合には、図15に示すような各種の嵌合構造が可能になる。すなわち図15Aに示すように、上側半体11の上側胴部13の下端を外側に折返して折返し部33を形成し、下側半体12の下側胴部14の内周部に嵌合して接合させるようにすることができる。
【0039】
また図15Bに示すように、上側半体11の上側胴部13の下端部を内側に折返して折返し部33を形成し、下側胴部14の外周部に嵌合させるようにしてよい。この場合には、下側半体12の下側胴部14の上端部の端面加工を行なっておく必要がある。
【0040】
また図15Cに示すように、下側半体12の下側胴部14の上端を外側に折返して折返し部53を形成し、上側半体11の上側胴部13の下端の内周面に嵌合させるようにしてよい。
【0041】
また図15Dに示すように、下側半体12の下側胴部14の上端を内側に折返して折返し部53を形成し、上側半体11の上側胴部13の下端の外周面に嵌合接合してよい。なおこの場合には、上側半体11の上側胴部13の下端部の端面加工を予め行なっておく必要がある。
【0042】
また図15Eに示すように、上側半体11の上側胴部13の下端部を外側に折返して折返し部33を形成し、下側半体12の下側胴部14の上端を内側に折返して折返し部53を形成する。そして上側胴部13が内周側で下側胴部14が外周側になるように嵌合させるとともに、折返し部33、53が互いに逆方向に突合わされるようにして接合してもよい。
【0043】
また図15Fに示すように、上側半体11の上側胴部13の下端部を内側に折返して折返し部33を形成し、これに対して下側半体12の下側胴部14の上端を外側に折返して折返し部53を形成する。そして上側胴部13が外周側で下側胴部14が内周側であって、折返し部33と53とが、互いに逆方向から突合わされるようにして接合することも可能である。
【0044】
また図15Gに示すように、上側胴部13の下端の折返し部33と下側胴部14の上端の折返し部53とを互いに相手を挟着するように交錯させ、しかも上側胴部13が下側胴部14の内周側に配するようにしてよい。
【0045】
また図15Hに示すように、上側胴部13の下端の折返し部33と下側胴部14の上端の折返し部53とを互いに交錯させるとともに、下側胴部14が上側胴部13の内周側に位置するように組合わせてもよい。
【0046】
図16は上記実施の形態の変形例の形状を示している。図16Aは、上側半体11の上側胴部13と下側半体12の下側胴部14の高さ方向の寸法をそれぞれ大きくし、これによってより深い寸法の容器としたものである。
【0047】
図16Bは、下側半体12の下側胴部14の中間部に段部56を形成し、これによって段付きの構造としたものである。
【0048】
図16Cは下側半体12の下側胴部14の外周側の胴部であって下部に丸みを持たせ、これによって底部側のコーナの部分をより丸くした構造としている。
【0049】
図16Dは、上側半体11の上側胴部13および下側半体12の下側胴部14の傾斜角をそれぞれ約35°にし、これによっておわん形と皿形の中間の形状としている。
【0050】
次に下側半体12を成形するための変形例の成形のための成形型について図17により説明する。この変形例は、しごき成形によって下側半体12を形成するものである。しごき成形のための装置は中央に円形の貫通部を有するダイス60を用いるようにしている。ダイス60の貫通孔の部分に底部成形型61が配され、この底部成形型61の上面で底部を成形する。また上記底部成形型61の上部にパンチ62が配される。パンチ62と底部成形型61とが、ダイス60に対して昇降自在になっている。またパンチ62の外周側に位置するように、ダイス60の上部にフランジ押え63が配される。そして上記フランジ押え63とダイス60の上面との間の寸法を原紙の厚さに応じて適正な値に保持するためにダイス60の外周側の段部にスペーサ64が取付けられる。
【0051】
図17Aに示すように、上記底部成形型61の上面に円形の原紙38を載置する。そしてこの原紙38の外周側の部分をダイス60に対してフランジ押え63によって押える。そしてこの状態で、原紙38の中心側の部分をパンチ62によって底部成形型61に対して押圧した状態でパンチ62と底部成形型61とを静かに下降させる。このときに図17Bおよび図18に示すように、原紙38をダイス60の中心孔のエッジの肩の部分でしごきながら、ダイス60の中心孔の内周面に沿うように絞り成形する(図18参照)。
【0052】
このようなしごき成形によると、ダイス60の角の肩の部分でしごかれかつダイス60の内周面と底部成形型61の内周面とによって成形されるために、図19に示すように外周面が垂直になり、下側胴部14が垂直な下側半体12が得られるようになる。このような下側半体12をそのまま上側半体11と接合してもよいが、下側半体12の下側胴部14の角度を斜めになるように2次加工を行なうことも可能である。とくに下側半体12は、その上側であって開口側の部分がより多くの面積の原紙をしごき成形しているために、より簡単に2次加工を行なうことができるようなる。
【0053】
次に別の実施の形態を図20および図21によって説明する。上記実施の形態は、上側半体11および下側半体12が上から見るとともに円形の形状をしているが、図20および図21に示すように、上側半体11と下側半体12とをそれぞれ長円形あるいは楕円形とし、これによって横方向に変形した長円形あるいは楕円形の紙容器としてもよい。
【0054】
また図22および図23に示すように、上側半体11と下側半体12とをそれぞれ上から見ると長方形であって、コーナの部分が湾曲した形状としてもよい。これによって、全体的には4角形であって、しかもコーナの部分が湾曲した紙製容器を得ることが可能になる。
【0055】
以上本願発明を図示の実施の形態によって説明したが、本願発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲内において各種の変更が可能である。例えば上記実施の形態は、上側半体11が逆円錐台状になっているが、上側半体11を円筒状としてもよい。また上記実施の形態は、即席めんや持帰り用加工食品の容器として用いて好適なものであるが、本願発明はその他各種の用途に広く利用可能な紙製容器に適用することが可能である。またその寸法、大きさ、形状等についても、用いられる用途に応じて各種の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本願発明は、インスタントラーメン等の即席めんを入れて供給するための容器、あるいはまた持帰り用の加工食品を入れるための容器として利用することが可能な紙製容器に利用できるものである。
【符号の説明】
【0057】
1 胴部
2 上部開口
3 カール部
4 底板
5 折曲げ部
6 折返し部
11 上側半体
12 下側半体
13 上側胴部
14 下側胴部
15 底部
16 下側突部
20 原紙
21 ポリエチレンフィルム(内)
22 ポリエチレンフィルム(外)
23 接合部
24 上部開口
25 カール部
28 金型
29 突部
30 リング状凹部
31 傾斜面
32 湾曲部
33 折返し部
38 円形の原紙
39 突条(長い)
40 突条(短い)
41 ポリエチレンフィルム(内)
42 ポリエチレンフィルム(外)
43 下型
44 凹部
45 上型
48 加熱板
53 折返し部分
56 段部
60 ダイス
61 底部成形型
62 パンチ
63 フランジ押え
64 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を主材料とする容器において、
上部と下部とがそれぞれ開放され、逆錐台状または筒状をなし、周面が上側胴部を構成する上側半体と、
底部が連続して一体に形成され、周面が下側胴部を構成する下側半体と、
を具備し、前記上側半体の上側胴部の下端と前記下側半体の下側胴部の上端とが互いに嵌合して接合されていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記上側半体の上部開口の周縁部が外側に巻込まれて前記上側胴部の上端にカール部またはフランジが形成されることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記上側半体の上側胴部の下端が前記下側半体の下側胴部の上端の内周部または外周部に嵌合されていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記上側半体と前記下側半体とが、内表面または内表面と外表面に樹脂層が設けられた紙から作られ、しかも前記上側半体の上側胴部の下端と前記下側半体の下側胴部の上端のうちのいずれか、容器の内側に位置する端面を処理して紙の端面が容器の内側に露出しないことを特徴とする請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記下側半体の下側胴部の上端が内側または外側に折返され、前記上側半体の上側胴部の折返された下端面と前記下側半体の折返された上端面とが互いに上下逆向きで突合わされることを特徴とする請求項4に記載の容器。
【請求項6】
紙を主材料とする容器の製造方法において、
上部と下部とがそれぞれ開放され、逆錐台状または筒状をなし、周面が上側胴部を構成する上側半体と、底部が連続して一体に形成され、周面が下側胴部を構成する下側半体と、を具備し、前記上側半体の上側胴部の下端と前記下側半体の下側胴部の上端とが互いに嵌合して接合され、
前記下側半体が平坦な紙をプレス成形して作られることを特徴とする容器の製造方法。
【請求項7】
紙を主材料とする容器の製造方法において、
上部と下部とがそれぞれ開放され、逆錐台状または筒状をなし、周面が上側胴部を構成する上側半体と、底部が連続して一体に形成され、周面が下側胴部を構成する下側半体と、を具備し、前記上側半体の上側胴部の下端と前記下側半体の下側胴部の上端とを互いに嵌合して接合し、
前記嵌合した部分を加熱しながら加圧し、前記上側半体または前記下側半体を構成する紙に設けられた樹脂層によって互いに溶着ことを特徴とする容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−84284(P2011−84284A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236355(P2009−236355)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【出願人】(000223193)東罐興業株式会社 (90)
【Fターム(参考)】