説明

容器とキャップの係合構造

【課題】キャップを回転し取り外す場合において、容易かつ確実に取外しができる容器とキャップの係合構造に関する。
【解決手段】係合体と、該係合体に摺動自在に嵌合するキャップとから構成され、(1)前記係合体は、外周壁に、前記キャップの係合突起が回動・摺動して乗り上げる複数の乗上げ係合部と、前記乗上げ係合部への乗り上げに連動して、キャップの係合突部と係脱自在に係合する溝部を有し、(2)前記キャップは、円周方向に分散して設けられる複数の係合突起と、該係合突起と軸方向に重ならないように、係合突起間に分散して設けられる複数の係合突部とを有することを特徴とする容器とキャップの係合構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器とキャップの係合構造に関し、キャップを回転し取り外す場合において、確実かつ容易に取外しができる容器とキャップの係合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器とキャップの係合構造としては、種々の係合構造のものがある。例えば、
図12〜図14に示すように、特許文献1に示す構造のものがある。図12(b)に示すように、容器50の上方には、係合体51が装着されており、この係合体51には、複数の乗上げ係合部52と、その上方に円周方向全周に、溝部53が形成されている。一方、図12(a)に示すキャップ54の内側には、円周方向に分散して複数の係合突起55と、係合突起55の上方に、円周方向全周に、係合突部56が形成されている。キャップ54が、容器50の係合体51に係合している場合は、キャップ54の係合突部56と係合体51の溝部53は係合しており、キャップ54を、容器50の係合体51から取り外すと、キャップ54の係合突部56と係合体51の溝部53は係合が解除される。すなわち、キャップ54を円周方向に回転させると、キャップ54の係合突起55は、係合体51の乗上げ部52に乗り上げる。このとき、係合突部56は、係合体51の溝部53から強制的に係合が解除され、キャップが容器から外れる。
る。
【特許文献1】実公昭47−22906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような容器とキャップの係合構造においては、キャップ54を係合体51から取り外す場合には、図13に示すように、キャップ54の外側を指で押圧して(図13の矢印方向)、円周方向に回転させて、係号突起55を乗上げ部52に乗り上げさせて、係合突部56を、係合体51の溝部53から強制的に係合を解除する。この場合、キャップ54を回転すると、キャップ54の裾部が外側に広がるように変形するため、図14に示すように、キャップ54の係合突起55が、係合体51の乗上げ部52から外側へ、係合が外れてしまう欠点がある。この場合、係合突部56と溝部53の係合を、スムーズに解除することができないため、キャップ54を容器から外すことができないという欠点があった。
この発明は、このような問題に着目してなされたものであり、キャップを回転し取り外す場合において、確実かつ容易に取外しができる、容器とキャップの係合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するため、請求項1記載の発明の解決手段は、係合体と、係合体に摺動自在に嵌合するキャップとから構成され、(1)係合体は、外周壁に、キャップの係合突起が回動・摺動して乗り上げる複数の乗上げ係合部と、乗上げ係合部への乗り上げに連動して、キャップの係合突部と係脱自在に係合する溝部を有し、(2)キャップは、円周方向に分散して設けられる複数の係合突起と、係合突起と軸方向に重ならないように、係合突起間に分散して設けられる複数の係合突部とを有することを特徴とする容器とキャップの係合構造である。キャップの複数の係合突起と、この係合突起間に分散して設けられる複数の係合突部が、軸方向に重さならない部位に、ずらして形成されたから、キャップを取り外す場合に、乗上げ係合部付近においてキャップの外形が、半径方向に縮小する変形を伴う。したがって、係合突起が乗上げ部から外側へ外れないため、確実に乗上げ部の頂部に乗り上げる。したがって、係合突部と溝との係合解除が確実になる。
【0005】
請求項2記載の発明の解決手段は、係合体の溝部とキャップの係合突部に代えて、係合体に係合突部及びキャップに溝部を形成したことを特徴とする容器とキャップの係合構造である。係合体とキャップの間で、係合突部と溝を逆に設けても、同様の作用、効果を呈する。
【0006】
請求項3記載の発明の解決手段は、係合体の乗上げ係合部が下方に、溝部が上方に形成されたことを特徴とする容器とキャップの係合構造である。
【0007】
請求項4記載の発明の解決手段は、係合体の乗上げ係合部が上方に、溝部が下方に形成されたことを特徴とする容器とキャップの係合構造である。乗上げ係合部と溝を、上下逆に構成しても、同様の作用、効果を呈する。
【0008】
請求項5記載の発明の解決手段は、前記係合体が、容器の口部に螺合又は嵌合される中栓体で構成されることを特徴とする容器とキャップの係合構造である。他に係合体と容器が、一体成形で構成することもできる。
【0009】
請求項6記載の発明の解決手段は、容器が、チューブ容器、ボトル容器又はエアゾール容器から選ばれる1つであることを特徴とする容器とキャップの係合構造である。本発明は、チューブ容器、ボトル容器又はエアゾール容器等の各種の容器に適用することができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、キャップを回転し取り外す場合において、キャップの係合突起が、確実に係合体の乗上げ係合部に乗り上げるので、キャップの係合突部が溝部から容易に外れる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0012】
図1〜図5は、本発明の実施例1を示す図面である。1はチューブ容器である。チューブ容器1の口部2には、係合体3が螺合されている。係合体3は、図3に示すように、外周壁の円周に沿って、4箇所に乗上げ係合部4が形成されている。この乗り上げ係合部4の上方には、外周壁の全周にわたって溝部5が形成されている。一方、この係合体3に係脱自在に係合するキャップ6の内周壁には、内周壁に沿って4箇所に、係合突起7が形成されている。そして、この係合突起7間には、4箇所の係合突部8が形成されている。すなわち、この発明の特徴は、図5に示すように、キャップ6を軸方向真上から見た場合に、キャップ6の内周壁に形成される係合突起7と、係合突部8が、軸方向に重ならないで一定の距離αずれた位置に形成されている点にある。係合突部8が、キャップ6の係合突起7間のほぼ中間部位に形成されることがより好ましい。
【0013】
図4(a)は、キャップ6が係合体3の溝5に係合され、チューブ容器1の開口2が、キャップ6によって閉鎖されている状態を示す図面である。このとき係合突起7は、乗り上げ係合部4に乗り上げていない。又図4(b)は、キャップ6が、係合体3の溝5から係合が解除された状態を示す図面である。このとき係合突起7は、乗り上げ係合部4に乗り上げている。すなわち、係合突起7が乗上げ係合部4に乗り上げることに連動して、溝5と係合突部8の係合が解除される。すなわち、本発明は、軸方向に重さならないで、ずらして形成されたから、キャップ6を取り外す場合に、乗上げ係合部4付近において、キャップ6の外形が、半径方向に縮小する変形を伴う(図7の縮小寸法S参照)ため、係合突起7が乗上げ部4から外側へ係合が外れず、確実に乗上げ部4の頂部に乗り上げる。したがって、係合突部8と溝5との係合解除が確実になる。なお、実施例1では、係合体がチューブ容器に螺合されているが、係合体が容器の上端部に、容器本体と一体成形で形成されてもよい(図示せず)。
【実施例2】
【0014】
図6は、本発明の実施例2を示す図面である。実施例2の特徴は、係合体に係脱自在に係合するキャップ16の内周壁に、内周壁に沿って3箇所の係合突起17が形成されている。そして、この係合突起17間のほぼ中間位置には、係合突部18が形成され、この係合突部18は、内周壁に沿って3箇所に設けられている。なお、このキャップ16が係合する係合体(図示せず)には、キャップ16に対応して、3箇所の乗上げ係合部が形成されている。その他の構成は、実施例1と同様である。なお、キャップの係合突起及び係合突部の数については、実施例1及び2の3個、4個以外に任意に形成することができることはいうまでもない。
【実施例3】
【0015】
図8は、本発明の実施例3を示す図面である。実施例3の特徴は、本発明をボトル容器21に適用した実施例であり、その他、容器とキャップの係合構造は実施例1と同様である。
【実施例4】
【0016】
図9は、本発明の実施例4を示す図面である。実施例4の特徴は、本発明をエアゾール容器31に適用した実施例であり、その他容器とキャップの係合構造は実施例1と同様である。
【実施例5】
【0017】
図10は、本発明の実施例5を示す図面である。実施例5の特徴は、係合体23の溝部と、キャップ26の係合突部が、逆に設けられ、係合体23に係合突部28、キャップ26に溝25が形成されたものである。係合突部と溝を逆に設けても、同様の作用、効果を呈する。その他、係合突起27等の構成は実施例1と同様である。
【実施例6】
【0018】
図11は、本発明の実施例6を示す図面である。実施例6の特徴は、係合体33の乗上げ係合部34が上方に、溝部35が下方に形成されたことを特徴とする容器とキャップの係合構造であり、実施例1と同様の作用、効果を呈する。その他、係合突起37、キャップ36、係合突部38等の構成は、実施例1と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の活用例として、すべての容器に適用することができるだけでなく、特に子供、老人等が使用する容器に適用することにより、キャップの回転、取外しを確実かつ容易に行うことができるので、バリアフリーを考慮した、容器とキャップの係合構造として、広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る実施例1のチューブ容器を示す断面図。
【図2】本発明に係る実施例1のキャップを示す断面図。
【図3】本発明に係る実施例1のチューブ容器の係合体を示す正面図。
【図4】本発明に係る実施例1のキャップと係合体の係合関係を示す拡大断面図 (a)及び(b)。
【図5】本発明に係る実施例1のキャップの係合突部と係合突起の位置関係を示す 平面図。
【図6】本発明に係る実施例2のキャップの係合突部と係合突起の位置関係を示す 平面図。
【図7】本発明に係るキャップが開栓時に、変形する状態を示した平面図。
【図8】本発明をボトルに適用した場合の実施例3を示す断面図。
【図9】本発明をエアゾール容器に適用した場合の実施例4を示す断面図。
【図10】本発明に係る実施例5の係合体とキャップの係合関係を示す拡大断面図。
【図11】本発明に係る実施例6の係合体とキャップの係合関係を示す拡大断面図。
【図12】従来のキャップと係合体を示す斜視図(a)及び正面図(b)。
【図13】従来のキャップを取り外す際に、キャップの変形を示す平面図。
【図14】従来のキャップと係合体の係合関係を示す拡大図面。
【符号の説明】
【0021】
3 係合体
6 16 26 36 キャップ
7 17 27 37 係合突起
4 24 34 乗上げ係合部
8 18 28 38 係合突部
5 25 35 溝部
1 チューブ容器
21 ボトル容器
31 エアゾール容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
係合体と、該係合体に摺動自在に嵌合するキャップとから構成され、
(1)前記係合体は、外周壁に、前記キャップの係合突起が回動・摺動して乗り上げる複数の乗上げ係合部と、前記乗上げ係合部への乗り上げに連動して、キャップの係合突部と係脱自在に係合する溝部を有し、
(2)前記キャップは、円周方向に分散して設けられる複数の係合突起と、該係合突起と軸方向に重ならないように、係合突起間に分散して設けられる複数の係合突部とを有することを特徴とする容器とキャップの係合構造。
【請求項2】
前記係合体の溝部とキャップの係合突部に代えて、係合体に係合突部及びキャップに溝部を形成したことを特徴とする請求項1記載の容器とキャップの係合構造。
【請求項3】
前記係合体の乗上げ係合部が下方に、溝部が上方に形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の容器とキャップの係合構造。
【請求項4】
前記係合体の乗上げ係合部が上方に、溝部が下方に形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の容器とキャップの係合構造。
【請求項5】
前記係合体が、容器の口部に螺合又は嵌合される中栓体で構成されることを特徴とする請求項1〜4記載の容器とキャップの係合構造。
【請求項6】
前記容器が、チューブ容器、ボトル容器又はエアゾール容器から選ばれる1つであることを特徴とする請求項1〜5記載の容器とキャップの係合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−326617(P2007−326617A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−159852(P2006−159852)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(000238614)武内プレス工業株式会社 (72)
【Fターム(参考)】