説明

容器と該容器への光沢付与方法

【課題】目視で明確に、かつ、すばやく入れ目線が判別可能な紙カップ等の容器を提供すること。
【解決手段】接液面側に熱可塑性樹脂層(22)が積層された容器(10)であって、内部に注ぎ込む液体の適正量を表現した液面高さ位置を示す入れ目線(13)を周壁(11)に有する容器において、入れ目線(13)の上側にのみ光沢加工(14)が施され、入れ目線(13)の上側と下側とに光沢差が設けられている。入れ目線(13)の下側にのみ光沢加工(14)を施した構成としても良いし、入れ目線(13)の上側と下側とに異なる形状または/および模様の光沢加工を施しても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱湯などを注ぎ込んで飲食する即席スープ等の加工済み食品を収納する容器に関するもので、特には熱湯や水の注ぎ込みの適正量を表現した液面高さ位置を示す入れ目線を周壁に備えた紙カップ等の容器と該容器への光沢付与方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱湯や水などを注ぎ込んで飲食する即席スープ等の加工済み食品を収納する紙カップにおいては、熱湯や水などの液体を注ぎ込みの適正量を示す入れ目線まで注ぎ入れた後、飲食していた。
【0003】
そしてこの入れ目線は、一般的には、紙カップの周壁の液面高さ位置に周壁を外方または内方に凸とした筋入れ加工を施して入れ目線としている。ところがこの筋状に施した入れ目線は判別しにくいもので、熱湯を入れ目線の上まで注入してしまうと、熱せられた汁が容器からこぼれやすく、こぼれた汁が手指等にふりかかると火傷をおこす危険性もあった。
【0004】
そのため、紙カップ等容器の外側からも入れ目線が判別しやすいように、例えば、紙カップの胴部表面の入れ目線から上に、温度の変化により変色(又は発色)する印刷層を設けることで、入れ目線から上には熱湯を注ぎ入れることのないことを表示した機能を設けた紙カップが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
上記先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開2003−095349号公報。
【0006】
しかしこの方法においては、一定時間(具体的には1分程度)が経過しないと色調の変化が起こらず、瞬時に入れ目線を判別することは困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、注ぎ込みの適正量を表現した液面高さ位置を示す入れ目線を備えた紙カップに関する以上のような問題に鑑みてなされたもので、入れ目線の上側と下側とで光沢差を設けることにより目視で明確に、かつ、すばやく入れ目線が判断可能な紙カップ等の容器と該容器への光沢付与方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1の発明は、少なくとも接液面に熱可塑性樹脂層が積層された容器であって、内部に注ぎ込む水や熱湯などの液体の適正量を表現した液面高さ位置を示す入れ目線を周壁に有する容器において、前記入れ目線より上側にのみ光沢加工が施され、入れ目線の上側と下側とに光沢差が設けられていることを特徴とする容器である。
【0009】
このように請求項1記載の発明によれば、入れ目線より上側にのみ光沢加工が施され、入れ目線の上側と下側とに光沢差が設けられているので、入れ目線が明確にすばやく判明でき、熱湯などを注ぎ込んでいても入れ目線まできたらすぐに熱湯などの注ぎ込みを中止することができ、入れ目線の上まで熱湯などを注ぎ込むことがなくなる。また、入れ目線の下側で注ぎ込みを止めてしまうこともなくなり、入れ目線まできたら注ぎ込みを止めることができ、常に適正量の液体を注ぎ込むことができる。
【0010】
また、請求項2の発明は、少なくとも接液面に熱可塑性樹脂層が積層された容器であって、内部に注ぎ込む水や熱湯などの液体の適正量を表現した液面高さ位置を示す入れ目線を周壁に有する容器において、前記入れ目線より下側にのみ光沢加工が施され、入れ目線の上側と下側とに光沢差が設けられていることを特徴とする容器である。
【0011】
このように請求項2記載の発明によれば、入れ目線より下側にのみ光沢加工が施され、入れ目線の上側と下側とに光沢差が設けられているので、入れ目線が明確にすばやく判明でき、熱湯などを注ぎ込んでいても入れ目線まできたらすぐに熱湯などの注ぎ込みを中止することができ、入れ目線の上まで熱湯などを注ぎ込むことがなくなる。また、入れ目線の下側で注ぎ込みを止めてしまうこともなくなり、入れ目線まできたら注ぎ込みを止めることができ、常に適正量の液体を注ぎ込むことができる。
【0012】
また、請求項3の発明は、少なくとも接液面に熱可塑性樹脂層が積層された容器であって、内部に注ぎ込む水や熱湯などの液体の適正量を表現した液面高さ位置を示す入れ目線を周壁に有する容器において、前記入れ目線の上側と下側とに異なる形状または/および模様の光沢加工が施されていることを特徴とする容器である。
【0013】
このように請求項3記載の発明によれば、入れ目線の上側と下側とに異なる形状または/および模様の光沢加工が施されているので、どの方向から見ても容易に、また、すぐに入れ目線のある位置を確認することができる。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項1、2又は3の発明において、前記光沢加工は、周壁全周にストライプ状に施されていることを特徴とする容器である。
【0015】
このように請求項4記載の発明によれば、光沢加工が周壁全周にストライプ状に施されているので、どの方向から見ても容易に、また、すぐに入れ目線のある位置を確認することができる。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の容器に施される光沢加工は、容器の周壁形成と同時に熱可塑性樹脂層面を、該熱可塑性樹脂層の軟化点以上、融点以下に加熱することにより行われることを特徴とする容器への光沢付与方法である。
【0017】
このように請求項5記載の発明によれば、請求項1〜4の何れか1項に記載の容器に施される光沢加工は、容器の周壁形成と同時に熱可塑性樹脂層面を、該熱可塑性樹脂層の軟化点以上、融点以下に加熱することにより行われるので、容器の成形と同時に光沢加工を行うことができ、余分な工程や費用が発生しない。
【発明の効果】
【0018】
このように本発明の容器は、注ぎ込む液体の適正量を液面高さで示す入れ目線を境にして入れ目線の上下に光沢差をつけることで入れ目線を確実に、かつ、迅速に認識することができる。従って、熱湯などを注ぎ入れる際、入れ目線まで確実に液体を注ぎ込むことができ、入れ目線で間違いなく注ぎ入れを止めることができる。また、光沢加工は紙カップ等の容器の成形と同時に行うことができ、余分な工程や費用が発生することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
本発明の容器(10)は、紙カップを例に説明すると、例えば、図1〜図2に示すように、周壁を形成する胴部材(11)と底部を形成する底部材(12)からなり、少なくとも接液面に熱可塑性樹脂層(22)が積層された紙カップである。
また、内部に注ぎ込む水や熱湯などの液体の適正量を液面高さで表現した入れ目線(13)を周壁(11)に有する紙カップ(10)であって、入れ目線(13)より上側にのみ光沢加工(14)が施され、入れ目線(13)の上側と下側とに光沢差が設けられているものである。
【0020】
図示してないが、入れ目線(13)より下側のみに光沢加工(14)を施して、入れ目線(13)の上側と下側とに光沢差を設ける方法を採っても良い。また、入れ目線(13)の上側と下側に異なる形状または/および模様の光沢加工(14)を施して、入れ目線(13)の上側と下側に光沢差を設ける方法を採っても良い。
【0021】
胴部材(11)や底部材(12)は、一般的には、カップ原紙(21)の片面又は両面に熱可塑性樹脂(22)を押し出しラミネート法により貼り合わせた複合紙(20)から作製することができる。熱可塑性樹脂(22)は、カップ成形時に熱融着性の良好な低密度ポリエチレン樹脂が好適に使用できる。
【0022】
紙カップ(10)は、例えば、周壁となる胴部材(11)と、底板となる底部材(12)とからなり、開口部周縁が外側にカールした口縁部(15)を有し、周壁と底板の接合部に環状脚部(16)が形成されたものである。そして、周壁には円周方向に、注ぎ入れる熱湯などの液体の適正量を液面高さで示す入れ目線(13)が形成されている。
【0023】
本発明における光沢加工(14)は、胴部材(11)のカップに成形した際、液体が接する紙カップの内側面に、使用した熱可塑性樹脂の軟化点以上で、融点以下の熱風をバーナー等を用いて吹きつけることにより行う。対象の熱可塑性樹脂の融点以上に加熱することは、熱可塑性樹脂層が融けだし表面にピンホールが発生したりするので避けなければならない。
光沢加工(14)は、紙カップ成形時のシール不良や成形不良を防ぐため、胴部材のサイドシール部や環状脚部、口縁部は除いて行うことが望ましい。
【0024】
光沢加工(14)は、カップ成形機の胴部材(11)から胴部を成形する直前にカップ成形と同時に行うことができるので、余分な工程や費用を必要とせず有利である。
【0025】
さらに、光沢を付けたい部分にはバーナー等で熱風をあて、非光沢部分には遮蔽板等を使用して熱があたることを防ぐことにより、必要部分に光沢部をストライプ状に付与することができる(図1、図2参照)。勿論ストライプ状ではなく、必要部分の全面に付与させることもできる。
【0026】
図示されてないが、入れ目線(13)の上側と下側に別々の異なる形状・模様の光沢加工を施すこともできる。
また、光沢加工(14)を従来使用されている金型を使用して設けた凹凸模様と組み合わせると、相乗効果によりさらに見やすくなる。
【0027】
容器としてプラスチック樹脂を成形した樹脂容器を用いる場合には、光沢加工を容器内面のみ、あるいは内外面いずれも成形と同時に行うことができる。そのため、紙容器と同様に入れ目線の確認が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の容器の一実施例を示す、斜視説明図である。
【図2】本発明の容器の一実施例を示す、正面から見た断面説明図である。
【符号の説明】
【0029】
10‥‥容器、紙カップ
11‥‥胴部材、周壁
12‥‥底部材、底板
13‥‥入れ目線
14‥‥光沢加工
15‥‥口縁部
16‥‥環状脚部
20‥‥複合紙
21‥‥紙
22‥‥熱可塑性樹脂層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも接液面側に熱可塑性樹脂層が積層された容器であって、内部に注ぎ込む水や熱湯などの液体の適正量を表現した液面高さ位置を示す入れ目線を周壁に有する容器において、
前記入れ目線より上側にのみ光沢加工が施され、入れ目線の上側と下側とに光沢差が設けられていることを特徴とする容器。
【請求項2】
少なくとも接液面に熱可塑性樹脂層が積層された容器であって、内部に注ぎ込む水や熱湯などの液体の適正量を表現した液面高さ位置を示す入れ目線を周壁に有する容器において、
前記入れ目線より下側にのみ光沢加工が施され、入れ目線の上側と下側とに光沢差が設けられていることを特徴とする容器。
【請求項3】
少なくとも接液面に熱可塑性樹脂層が積層された容器であって、内部に注ぎ込む水や熱湯などの液体の適正量を表現した液面高さ位置を示す入れ目線を周壁に有する容器において、
前記入れ目線の上側と下側とに異なる形状または/および模様の光沢加工が施されていることを特徴とする容器。
【請求項4】
前記光沢加工は、周壁全周にストライプ状に施されていることを特徴とする、請求項1、2又は3記載の容器。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の容器に施される光沢加工が、容器の周壁形成と同時に熱可塑性樹脂層面を、該熱可塑性樹脂層の軟化点以上、融点以下に加熱することにより行われることを特徴とする、容器への光沢付与方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−230673(P2008−230673A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−74520(P2007−74520)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】