説明

容器のガス置換方法及びその装置

【課題】容器のヘッドスペース内をガス置換する際に泡や内容液を吹きこぼすことなく、より少ない不活性ガスの使用量で高い置換効果を得ることが出来る容器のガス置換方法及びその装置を提供する。
【解決手段】搬送されて来るボトルBに対し、ボトル用ノズル10によってキャッパーヘッドと干渉しない範囲までボトルBの口部に対し上方から窒素ガスを流し込む。キャッパーヘッドと干渉する範囲からキャップCと嵌合する直前までは、横側ボトル用ノズル20によってボトルBの口部に斜め上方から窒素ガスを流し込む。一方、搬送されて来るキャップCに対し、キャップ用ノズル30によってボトルBと干渉しない範囲までキャップCの内部に対し下方から窒素ガスを流し込む。ボトルBと干渉する範囲からボトルBと嵌合する直前までは、横側キャップ用ノズル40によってキャップCの内部に斜め下方から窒素ガスを流し込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器のガス置換方法及びその装置、特に容器のヘッドスペース内をガス置換する際に泡や内容液を吹きこぼすことなく、より少ない不活性ガスの使用量で高い置換効果を得ることが出来る容器のガス置換方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボトル口部のヘッドスペースに空気が多量に残存していると、空気中の酸素によって内容物が酸化され、味・風味等の官能成分を変質させてしまう虞がある。そのため、PETボトルに内容物を充填した後は、キャップによる密封工程の前にボトル口部のヘッドスペースを窒素等の不活性ガスで置換しなければならない。
内容物を充填されたボトルは、ターレットによって搬送され、一方、キャップはキャッパーヘッドに把持された形態で同じくターレットによって搬送され、ボトルの軸芯とキャップの軸芯が一致するところでキャッパーヘッドによって巻締められ密封される。従って、不活性ガスによる置換率の観点から、キャップがボトル口部に嵌合する直前まで、キャップ内部およびボトル口部ヘッドスペースの双方に、「ガス吹き出しノズル」(キャップ用ノズル,ボトル用ノズル)によって不活性ガスを流し込むことが好ましい。しかし、実際は、ボトルがキャップに近接して来るために、キャップ用ノズルがキャップに近接することが出来る相対位置には限界が存在する。他方、ボトル用ノズルについても同様に、キャッパーヘッドがボトルに近接して来るために、ボトル用ノズルがボトルに近接することが出来る相対位置には限界が存在する。つまり、「ガス吹き出しノズル」がキャップ及びボトルに近接することが出来ないノズル非近接ゾーンが存在する。このノズル非近接ゾーンのために、不活性ガスで置換されたキャップ内部およびボトル口部ヘッドスペースに空気が再び流入し、キャップ内部およびボトル口部ヘッドスペースにおける不活性ガスによる置換率を低下させていた。
ところで、ボトル口部のヘッドスペースにおける高い置換率を得るために、キャッピング前工程においてはボトル口部ヘッドスペースを容器口部の上方から噴射ノズルとルーバーにより不活性ガスで置換し、以降のキャップ嵌合までの間はボトル口部の横方向からルーバーにより不活性ガスを流し続け、他方、キャップ内面に対して、キャッピング前工程においては下方から不活性ガスで置換を行い、以降のボトル口部との嵌合までの間は上記横方向のルーバーによって不活性ガスを流し続け、「キャップとボトル口部の嵌合工程」における空気の巻き込み現象を防止した容器の不活性ガス置換方法及びその装置が知られている(特許文献1を参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−42994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記容器の不活性ガス置換方法及びその装置では、キャッピング前工程における各ノズルによる垂直下方または垂直上方からの不活性ガスの噴射に加え、キャッピング前工程からキャッピング工程に到る全工程においてはルーバーによって横方向から不活性ガスをそれぞれ流し続け、不活性ガスのカーテン効果によりキャッピング前工程からキャッピング工程に到る全工程においてボトル口部及びキャップ内部への空気再流入を防止するようにしている。
しかし、上記容器のガス置換方法及びその装置は、結局、ノズル非近接ゾーンの雰囲気自体を不活性ガスによって置換している。つまり、キャップ内部およびボトル口部ヘッドスペースを置換するために、不活性ガスによって置換する必要のないスペースまでをも不活性ガスによって置換していることになる。その結果、大量の不活性ガスが必要になるという問題点を有していた。
また、大量の不活性ガスを流すために流量、流速を大きくすると、ボトル口部から泡や内容物が飛散し、充填ラインを汚染するという問題があった。
そこで、本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、容器のヘッドスペース内をガス置換する際に泡や内容液を吹きこぼすことなく、より少ない不活性ガスの使用量で高い置換効果を得ることが出来る容器のガス置換方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために請求項1に記載の容器のガス置換方法では、キャップによる密封工程前に容器のヘッドスペースを不活性ガスによって置換する方法において、
搬送されて来るキャップに対し、「第一キャップ用ノズル」が前記ボトルと干渉しない範囲まで前記キャップの下方から該キャップ内部へ不活性ガスを流し込み続け、次に前記ボトルと嵌合する直前まで「第二キャップ用ノズル」が前記ボトル及びキャッパーヘッドの干渉を回避しながら前記キャップに近接し斜め下方から該キャップ内部へ不活性ガスを流し込み続け、
他方、搬送されて来る前記ボトルに対し、「第一ボトル用ノズル」が前記キャッパーヘッドと干渉しない範囲まで前記ボトルの上方から該ボトル口部ヘッドスペースへ不活性ガスを流し込み続け、次に前記キャップと嵌合する直前まで「第二ボトル用ノズル」が前記ボトル及び前記キャッパーヘッドの干渉を回避しながら前記ボトル口部に近接し斜め上方から該ボトル口部ヘッドスペースへ不活性ガスを流し込み続けることを特徴とする。
上記容器のガス置換方法では、キャップ及びボトルがターレットによって搬送されて来る間に加え、従来のガスノズルがキャップ内部またはボトル口部ヘッドスペースに近接することが出来ない、いわゆるノズル非近接ゾーンからキャップがボトル口部に嵌合する直前まで、キャップ内部及びボトル口部ヘッドスペースへ不活性ガスを流し込むことが出来るように構成されている。つまり、キャップ及びボトルが各ターレットによって搬送されて上記従来のノズル非近接ゾーンに入るまでは、「第一キャップ用ノズル」及び「第一ボトル用ノズル」がそれぞれ下方および上方から、キャップ内部およびボトル口部ヘッドスペースに不活性ガスを流し込む。更に、キャップ及びボトルが上記従来のノズル非近接ゾーンに入り嵌合する直前までは、「第二キャップ用ノズル」及び「第二ボトル用ノズル」が、それぞれ斜め下方および斜め上方から、キャップ内部およびボトル口部ヘッドスペースへ不活性ガスを流し込む。これにより、キャッピング前工程からキャッピング工程に到る全工程において、各ガスノズルは、キャップ内部またはボトル口部ヘッドスペースに各々近接することが出来るため、従来よりも少ない不活性ガス量でボトル口部ヘッドスペースの置換率を高めることが可能となる。
また、キャップがボトル口部に嵌合する直前まで、各ノズルがキャップ内部およびボトル口部に各々近接することが出来るため、ノズルから噴射される不活性ガスの流速および流量についても従来に比べより小さくすることが可能となり、泡や内容液の吹きこぼれによるラインの汚染を好適に防止することが可能となる。
また、後述するように、各ノズルのターゲットポイントは、キャップ又はボトル口部の移動に相対的に追従して、キャップ内部中心またはボトル口部ヘッドスペース中心となるように調整されているため、キャップ又はボトル口部への空気の再流入を好適に防止する。
【0006】
請求項2に記載の容器のガス置換方法では、前記第二キャップ用ノズルのターゲットポイントは、前記キャップが前記ボトルと嵌合する直前まで、常時、前記キャップ内部の中心近傍であることとした。
上記容器のガス置換方法では、第二キャップ用ノズルのターゲットポイントを上記位置とすることにより、上記ノズル非近接ゾーンからキャップ密封工程の間にキャップ内部の空気を好適に追い出し空気の再流入を好適に防止することが可能となる。
【0007】
請求項3に記載の容器のガス置換方法では、前記第二ボトル用ノズルのターゲットポイントは、前記ボトルが前記キャップと嵌合する直前まで、常時、前記ボトル口部ヘッドスペースの中心近傍であることとした。
上記容器のガス置換方法では、第二ボトル用ノズルのターゲットポイントを上記位置とすることにより、上記ノズル非近接ゾーンからキャップ密封工程の間にボトル口部ヘッドスペースの空気を好適に追い出し空気の再流入を好適に防止することが可能となる。
【0008】
請求項4に記載の容器のガス置換装置では、キャップによる密封工程前にキャップ内部およびボトル口部ヘッドスペースを不活性ガスによって置換する不活性ガス置換装置であって、
搬送されて来るキャップに対し、前記ボトルと干渉しない範囲まで前記キャップの下方から該キャップ内部に不活性ガスを流し込む「第一キャップ用ノズル」と、前記ボトルと嵌合する直前まで前記ボトル及びキャッパーヘッドの干渉を回避しながら前記キャップに近接し斜め下方から不活性ガスを流し込む「第二キャップ用ノズル」と、
他方、搬送されて来るボトルに対し、前記キャッパーヘッドと干渉しない範囲まで前記ボトルの上方から該ボトル口部へ不活性ガスを流し込む「第一ボトル用ノズル」と、前記キャップと嵌合する直前まで前記ボトル及び前記キャッパーヘッドの干渉を回避しながら前記ボトル口部に近接し斜め上方から該ボトル口部ヘッドスペースへ不活性ガスを流し込む「第二ボトル用ノズル」とを備えたことを特徴とする。
上記容器のガス置換では、上記請求項1に記載の容器のガス置換方法を好適に実施することが出来る。
【0009】
請求項5に記載の容器のガス置換装置では、前記第二キャップ用ノズルは、前記キャップ内部に対するターゲットポイントが一定となるように構成されていることとした。
上記容器のガス置換装置では、上記請求項2に記載の容器のガス置換方法を好適に実施することが出来る。
【0010】
請求項6に記載の容器のガス置換装置では、前記第二ボトル用ノズルは、前記ボトル口部に対するターゲットポイントが一定となるように構成されていることとした。
上記容器のガス置換装置では、上記請求項3に記載の容器のガス置換方法を好適に実施することが出来る。
【発明の効果】
【0011】
本発明の容器のガス置換方法によれば、キャップとボトル口部が嵌合する直前まで、不活性ガスを噴射する各キャップ用ノズル及びボトル用ノズルが、キャップ又はボトル口部に各々近接して各内部に対し不活性ガスを流し込むことが出来るように構成されている。また、上記キャップ用ノズル及びボトル用ノズルはキャップ又はボトルの移動方向に相対的に各々追従して、そのターゲットポイントがキャップ内部中心またはボトル口部中心となるように各々構成されている。これにより、少ない不活性ガス量によってキャップ内部およびボトル口部ヘッドスペースに対するガス置換を促進すると共に、空気再流入を好適に防止することが可能となる。つまり、少ない不活性ガス量によってボトル口部ヘッドスペースにおけるガス置換率を向上させることが可能となる。更に、上記ノズルは、キャップとボトル口部が嵌合する直前までキャップ又はボトル口部に各々近接することが出来るため、各ノズルから噴射されるガスの流速および流量は小さくて済み、その結果ガス置換の際の泡や内容液の吹きこぼれによるラインの汚染を好適に防止することが可能となる。
また本発明の容器のガス置換装置によれば、上記容器のガス置換方法を好適に実施することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明のPETボトル用ガス置換装置100を示す構成説明図である。
このPETボトルガス置換装置100は、キャッパーヘッド(図示せず)に干渉しない範囲までボトルBの口部ヘッドスペースに対し上方から窒素ガスを流し込む「第一ボトル用ノズル」としてのボトル用ノズル10と、ボトル用ノズル10によるガス置換の後キャップCがボトルBの口部に嵌合する直前までボトルBの口部ヘッドスペースに対し斜め上方から窒素ガスを流し込む「第二ボトル用ノズル」としての横側ボトル用ノズル20と、ボトルBに干渉しない範囲までキャップCの内部に対し下方から窒素ガスを流し込む「第一キャップ用ノズル」としてのキャップ用ノズル30と、キャップ用ノズル30によるガス置換の後キャップCがボトルBの口部に嵌合する直前までキャップCの内部に対し斜め下方から窒素ガスを流し込む「第二キャップ用ノズル」としての横側キャップ用ノズル40とを具備して構成されている。なお、詳細については、図2から図4を参照しながら後述するが、上記横側ボトル用ノズル20および横側キャップ用ノズル40は、キャップCがボトルBの口部に嵌合する直前まで窒素ガスをボトルBの口部またはキャップCの内部に各々流し込むことが出来るように構成されている。
【0014】
ボトル用ノズル10は、ボトルBの口部ヘッドスペースに対し上方から窒素ガスを連続的に流し込むことが出来るように、その噴射方向がボトル中心軸と平行である複数のガス噴射穴が、ボトル搬送ターレットBT上のボトルBの移動方向に沿って配設されている。但し、その配設可能範囲は、キャッパーヘッド(図示せず)と干渉しない範囲内迄である。それを超える範囲については、横側ボトル用ノズル20がボトルBの口部ヘッドスペースに対し斜め上方から窒素ガスを連続的に流し込む。その際、図2に示すように、キャップCがボトルBの口部に嵌合する直前まで、横側ボトル用ノズル20がボトルBの移動方向に相対的に追従しながらボトルBのヘッドスペース中心近傍に窒素ガスを連続的に流し込む。
【0015】
ボトル用ノズル10のガス噴射穴の穴径としては、例えば、ボトル口部ヘッドスペース量=15ml、充填ラインの充填速度=480BPMの場合は、φ8mmが好ましい。また、穴数としては6穴以上が好ましい。ガス噴射穴が上記仕様の場合、窒素ガス流量=200NL/min(流速=14.5m/s)までの範囲内においてボトル口部ヘッドスペースからの泡の飛散は確認されなかった。
【0016】
キャップ用ノズル30は、キャップCの内部に対し下方から窒素ガスを連続的に流し込むことが出来るように、その噴射方向がキャップ中心軸と平行である複数のガス噴射穴が、キャッパーターレットCT上のキャップCの移動方向に沿って配設されている。その配設可能範囲は、ボトルBと干渉しない範囲内迄である。なお、それを超える範囲については、横側キャップ用ノズル40がキャップCの内部に対し斜め下方から窒素ガスを連続的に流し込む。その際、図2に示すように、キャップCがボトルBの口部に嵌合する直前まで、横側キャップ用ノズル40がキャップCの移動方向に相対的に追従しながらその内部中心近傍に窒素ガスを連続的に流し込む。
【0017】
従来は、ボトル用ノズル及びキャップ用ノズルがボトル及びキャップに近接することが出来ない範囲に対しては、その範囲を含む雰囲気全体を不活性ガスによって置換することによって、ボトルBの口部ヘッドスペース及びキャップCの内部に対する空気の再流入を防止していた。しかし、本発明のPETボトル用ガス置換装置100では、キャップCとボトルBが嵌合する直前まで窒素ガスをボトル口部及びキャップ内部に連続的に流し込むことが出来るため、従来より少ない窒素ガスの使用量でボトルBの口部ヘッドスペースにおける高い置換効果を得ることが可能となる。
【0018】
また、上記横側ボトル用ノズル20及び横側キャップ用ノズル40は、キャップCとボトルBが嵌合する直前までキャップ及びボトル口部に各々近接することが出来るため、各ノズルから噴射されるガスの流速および流量は小さくて済み、その結果ガス置換の際の泡や内容液の吹きこぼれによるラインの汚染を好適に防止することが可能となる。
【0019】
図3は、図1のAx−Ax部分断面図である。
先ずボトル用ノズル10が、ボトルBの口部ヘッドスペースに対し上方から窒素ガスを連続的に流し込む。また、ボトル用ノズル10の先端部には、段差が設けられ、これによりボトル用ノズル10と横側ボトル用ノズル20がオーバーラップすることが可能となる。このオーバーラップのため、ボトル用ノズル10と横側ボトル用ノズル20との間で窒素ガスが切れ目なくボトルBの口部に流し込まれることになる。その結果、ボトル口部ヘッドスペースから追い出された空気がヘッドスペースに再流入することが出来なくなる。また、この段差のため、キャッパーヘッドとの干渉を回避することが出来るため、「上方から窒素ガスを連続的に流し込む」時間を長くすることが可能となる。
【0020】
ボトルBがボトル用ノズル10を通過後、続いて、横側ボトル用ノズル20が斜め上方から窒素ガスをボトルBの口部ヘッドスペースに対し連続的に流し込む。これにより、ボトル用ノズル10とは異なる方向から窒素ガスを流し込むことにより、ボトルBのヘッドスペースにおける置換率を更に向上させる一方、空気の再流入を好適に防止する。
【0021】
図4は、横側ボトル用ノズル20を示す説明図である。なお、図4(A)は平面図であり、同(B)は正面図であり、同(C)は各断面図である。
この横側ボトル用ノズル20は、ボトル用ノズル10によるガス置換の後、キャップCがボトルBの口部に嵌合する直前まで、ボトルBの口部に窒素ガスを流し込む。また、図4(A)に示すように、その前面は可能な限りボトルBの口部に近接することが出来るように内側に湾曲している。また、図4(B)に示すように、横側ボトル用ノズル20は、窒素ガスが流出するガス噴射穴21を4個備える。また、図4(C)に示すように、その噴射角度は全て水平方向に対して下方に45°を成している。
【0022】
また、横側ボトル用ノズル20とキャッパーヘッドとのクリアランスについては、安全上、3mmが好ましい。
【0023】
図5は、図1のBx−Bx部分断面図である。
先ずキャップ用ノズル30が、搬送されて来るキャップCに対し下方から窒素ガスを連続的に流し込む。また、キャップ用ノズル30の窒素ガスを噴射する噴射面は、キャップCの搬送(軌道)に対応してフラット面からテーパ面に変化する。また、キャップ用ノズル30と横側キャップ用ノズル40との間で窒素ガスが切れ目なくキャップCの内部に流し込まれるように、キャップ用ノズル30の先端部と横側キャップ用ノズル40の後部とがオーバーラップしている。
【0024】
キャップCがキャップ用ノズル30を通過後、続いて、横側キャップ用ノズル40が斜め下方から窒素ガスをキャップCの内部に対し連続的に流し込む。また、後述するように、横側キャップ用ノズル40は、キャッパーヘッドとの干渉を回避することが出来るように先端部に段差が設けられ、なお且つその段差面がキャッパーヘッドの移動方向に対応したテーパ面を成している。これにより、横側キャップ用ノズル40はキャップCに可能な限り近接してキャップ用ノズル30とは異なる方向から窒素ガスを流し込むことが可能となる。これにより、キャップCの内部の置換率を更に向上させる一方、空気の再流入を好適に防止する。
【0025】
図6は、横側キャップ用ノズル40を示す説明図である。なお、図6(A)は平面図であり、同(B)は正面図であり、同(C)は各断面図である。
この横側キャップ用ノズル40は、キャップ用ノズル30によるガス置換の後、キャップCがボトルBの口部に嵌合する直前まで、キャップCに可能な限り近接して斜め下方からキャップCの内部に窒素ガスを流し込む。また、可能な限りキャップCに近接することが出来るように、先端部には段差テーパ面41が設けられている。また、図6(B)に示すように、横側キャップ用ノズル40は、窒素ガスが流出するガス噴射穴42,43,44,45を4個備える。また、図6(C)に示すように、その噴射角度は、横側キャップ用ノズル40がキャッパーヘッド(キャップC)の移動方向に相対的に追従してキャップCの内部に窒素ガスを流し込むことが出来るように、水平方向に対して上方に各々45°,30°,15°,0°を成している。
【0026】
また、横側キャップ用ノズル40とキャッパーヘッドとのクリアランスについては、安全上、3mmが好ましい。
【0027】
また、上記実施例においては、不活性ガスとして窒素ガスが使用されているが、これに限らず炭酸ガスやヘリウム又はこれらの混合ガスを使用しても良い。
【0028】
また、上記実施例においては、容器としてPETボトルが使用されているが、これに限らず、キャップで密封する金属缶やガラスびんに対しても本発明を適用することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の容器のガス置換方法及びその装置は、容器のヘッドスペースに残留する空気を不活性ガスで置換するガス置換装置に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のPETボトル用ガス置換装置を示す構成説明図である。
【図2】本発明のガス置換方法を示す説明図である。
【図3】図1のAx−Ax部分断面図である。
【図4】本発明に係る横側ボトル用ノズルを示す説明図である。
【図5】図1のBx−Bx部分断面図である。
【図6】本発明に係る横側キャップ用ノズルを示す説明図である。
【符号の説明】
【0031】
10 ボトル用ノズル
20 横側ボトル用ノズル
21 ガス噴射穴
30 キャップ用ノズル
40 横側キャップ用ノズル
41 段差テーパ面
42,43,44,45 ガス噴射穴
100 PETボトル用ガス置換装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップによる密封工程前に容器のヘッドスペースを不活性ガスによって置換する方法において、
搬送されて来るキャップに対し、第一キャップ用ノズルが前記ボトルと干渉しない範囲まで前記キャップの下方から該キャップ内部へ不活性ガスを流し込み続け、次に前記ボトルと嵌合する直前まで第二キャップ用ノズルが前記ボトル及びキャッパーヘッドの干渉を回避しながら前記キャップに近接し斜め下方から該キャップ内部へ不活性ガスを流し込み続け、
他方、搬送されて来る前記ボトルに対し、第一ボトル用ノズルが前記キャッパーヘッドと干渉しない範囲まで前記ボトルの上方から該ボトル口部ヘッドスペースへ不活性ガスを流し込み続け、次に前記キャップと嵌合する直前まで第二ボトル用ノズルが前記ボトル及び前記キャッパーヘッドの干渉を回避しながら前記ボトル口部に近接し斜め上方から該ボトル口部ヘッドスペースへ不活性ガスを流し込み続けることを特徴とする容器の不活性ガス置換方法。
【請求項2】
前記第二キャップ用ノズルのターゲットポイントは、前記キャップが前記ボトルと嵌合する直前まで、常時、前記キャップ内部の中心近傍である請求項1に記載の容器の不活性ガス置換方法。
【請求項3】
前記第二ボトル用ノズルのターゲットポイントは、前記ボトルが前記キャップと嵌合する直前まで、常時、前記ボトル口部ヘッドスペースの中心近傍である請求項1に記載の容器の不活性ガス置換方法。
【請求項4】
キャップによる密封工程前にキャップ内部およびボトル口部ヘッドスペースを不活性ガスによって置換する不活性ガス置換装置であって、
搬送されて来るキャップに対し、前記ボトルと干渉しない範囲まで前記キャップの下方から該キャップ内部に不活性ガスを流し込む第一キャップ用ノズルと、前記ボトルと嵌合する直前まで前記ボトル及びキャッパーヘッドの干渉を回避しながら前記キャップに近接し斜め下方から不活性ガスを流し込む第二キャップ用ノズルと、
他方、搬送されて来るボトルに対し、前記キャッパーヘッドと干渉しない範囲まで前記ボトルの上方から該ボトル口部へ不活性ガスを流し込む第一ボトル用ノズルと、前記キャップと嵌合する直前まで前記ボトル及び前記キャッパーヘッドの干渉を回避しながら前記ボトル口部に近接し斜め上方から該ボトル口部ヘッドスペースへ不活性ガスを流し込む第二ボトル用ノズルとを備えたことを特徴とする不活性ガス置換装置。
【請求項5】
前記第二キャップ用ノズルは、前記キャップ内部に対するターゲットポイントが一定となるように構成されている請求項4に記載の容器の不活性ガス置換装置。
【請求項6】
前記第二ボトル用ノズルは、前記ボトル口部に対するターゲットポイントが一定となるように構成されている請求項4に記載の容器の不活性ガス置換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−173665(P2010−173665A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16232(P2009−16232)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】