説明

容器の不連続的液抜き方法

本発明は、液体が溜まる容器(4)を不連続的に液抜きする方法に用いる。この容器(4)は、液抜き手段(バルブ5)によって液抜きされる。この場合、容器(4)が決して空にならず、決して溢れないようにしなければならない。容器(4)には、センサ(7)が配置されており、このセンサは、液体が規定された範囲にある第1の状態と、液体が規定された範囲にない第2の状態とを検知する。本発明に基づき、液抜き手段(バルブ5)は、センサ(7)が第1の状態を検知するとすぐに作動する。液抜き手段(バルブ5)は、センサ(7)が第2の状態を検知するとすぐに停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提範囲に詳しく記載されている種類の、液体を溜める容器の不連続的液抜き方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な従来技術から、時々抜き取る必要のある液体を溜める容器が知られている。この例としては、液体セパレータに言及することができ、この液体セパレータは、通常、例えば液滴などの形態でガス流によって運ばれる液体をガス流から分離する。分離された液体は、液体セパレータの容器に溜まる。この液体は、容器から溢れ出るのを防ぐため、時々抜き取る必要がある。とりわけ、安全性の理由から周辺に排出してはならないガスから液体を分離する場合、容器を不連続に液抜きする必要があり、これにより、一方では、液体をガス流に戻さないために、容器が溢れないようにし、他方では、ある程度の量の液体を容器内に残しておくために、容器が完全に空にならないようにする。この残留液体は、周辺に漏れ出させてはならないガスを閉じ込めるための遮断物として機能する。
【0003】
応用例には、上述のガスが例えば溶剤やそれに類似するものである化学システムがある。さらに、燃料電池システムにも適用でき、燃料電池システムの場合、燃料電池によって生成された生成水を燃料電池の排出ガスから分離するために、上述の液体セパレータが用いられる。アノード側の排出ガスには、通常、少なくとも残留水素が含まれているため、この水素が周辺に排出されないように注意しなければならない。従って、一般的な従来技術から、この種の容器が充填レベルセンサを備えていることが知られている。この場合、一般的には、2つの充填レベルセンサが使用され、容器の充填レベルをこれらの2つのセンサの間に保つことができるようになっている。代替の方法として、2つの切替えポイントを有している1つの充填レベルセンサを使用することができ、これにより、液抜きする場合は液体表面がこの充填レベルセンサを重力の方向に上から下へ通過したかどうか、又は充填の場合は逆方向にこの充填レベルセンサを通過したかどうかが分かる。この種のセンサの欠点は、これらのセンサが比較的複雑であり、コストが高いことである。従って、より少数のセンサ及び/又はより単純なセンサによって、この種の容器の確実な液抜きを容易に行えるような構造を実現することが望ましい。
【0004】
さらに、従来技術から、容器の充填レベルセンサとして、フロートスイッチが知られている。例えば、特許文献1では、排出バルブを適切に制御する充填レベルセンサを説明している。この場合、充填レベルセンサ自体がフロート要素として形成されており、適切な切替え手段によって、容器からの液体の排出を制御する。類似の構造は、例えば特許文献2にも説明されており、この場合は、補充ポンプが容器内の充填レベルを規定のレベルに保っている。ここでも、充填レベルを検知するためにフロート要素が使用される。
【0005】
その他の一般的な従来技術から、センサとして、フロートスイッチ以外にも容量センサが知られており、このセンサは、センサの表面範囲が液体と接触しているか、接触していないかに応じて、異なった電気信号を送信する。フロートの機械的構造と比べると、このセンサの機械的構造は単純であり、例えば収納容器の中で傾いて、その結果間違った値を示すおそれのあるフロートよりもはるかに故障が起こりにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,555,221号明細書
【特許文献2】米国特許第5,010,218号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、液体を溜める容器の不連続的液抜き方法を提供することにあり、この方法では、センサに関しては最小限のコストによって、一方では容器が溢れないこと、他方では容器を完全に空にしないことを保証することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に基づき、この目的は、請求項1の特徴範囲に記載されている特徴によって達成される。その他の本発明の有利な実施形態は、従属請求項に示されている。
【0009】
本発明に基づく方法では、センサが第1の状態を検知した場合、すなわち、液体が規定された範囲にある場合、常に、容器の液抜き手段が作動する。センサが第2の状態を検知した場合、すなわち、液体がもはや規定された範囲にない場合は、すぐに液抜き手段が停止する。本発明による液抜き手段は、特に、バルブであって良く、このバルブは、開いた状態において、重力を利用し、及び/又は容器内部の圧力を利用して容器が液抜きされるように配置されている。しかし、この代替の方法として、例えば容器の液抜きを行うためのポンプなど、その他の手段も考えられるであろう。
【0010】
本発明に基づく考え方は、次の通りである。すなわち、1つの切替えポイントだけを有する単一のセンサによって、容器の不連続的液抜きを確実に行うことができる。このために、システムに固有の一定のヒステリシス効果が利用される。液体がセンサ領域にある場合、液抜き手段が作動し、例えばバルブが開くか、又は液抜きポンプが作動する。液抜き手段であるバルブも、ポンプも、一定の反応時間を有する機械的構成部品であることと、液抜き手段が、該当するラインセクション又は容積を介して容器に接続されていることとから、センサによる状態の検知と液抜き手段の作動開始又は液抜き手段の作動停止との間には、一定の遅れが生じる。すなわち、液体表面がセンサを通り過ぎると、作動手段が適切に停止する。しかし、液抜き手段が機械的に停止し、液抜きが実際に終了するまでには、一定の時間が経過する。この時間の間も液抜きは進行しているため、液抜き手段が停止したときの液体レベルはセンサの下方にある。
【0011】
次に、容器の中に液体が入れられると、液体レベルは再び上昇する。液体レベルは、液体のない状態から液体のある状態に切り替わる特定のポイントでセンサに達する。このことにより、液抜き手段が再び作動する。この場合も、システムに起因して、一定の遅れが伴うため、液抜き手段が実際に作動開始するまでに、容器内の液体表面はセンサを超えて上昇する。この時点から、プロセスが再び最初から開始される。
【0012】
本発明の特に有利な実施形態によれば、液抜き手段が実際に停止するまでに、システムに起因して生じる遅延時間のあいだに排出される液体の量が、センサ領域と液抜き手段の領域との間の容器容量よりも小さいように、液抜き手段とセンサとの間の距離が決定される。これにより、容器を完全に空にしないようにすることができる。
【0013】
本発明の特に有利なもう1つの実施形態においては、さらに、容器の溢れ領域とセンサとの間の距離を、容器内への液体流入の速さが最大でも、状態の変化をセンサが通知してから、容器が溢れる前に液抜き手段がすでに作動しているような大きさに設定している。
【0014】
従って、この構造により、容器の不連続的液抜き方法を、より安全かつ確実に実施することができる。このためには、1つの切替えポイントだけを有する単一のセンサで十分である。
【0015】
本発明の特に有利な実施形態によれば、さらに、状態変化の検知から液抜き手段作動までの時間が、規定の遅延時間によって変更されるように設定されている。
【0016】
詳細には、発生する液体の量と比較してより大きな容器を使用できる可能性がある場合、液抜き手段の頻繁な切替えを避けることができるため、このことは決定的な利点となり得る。特に、この時間を適切に調整することにより、例えばテストモードにおける極端な条件の下でもより安全な作動が達成されることから、時間の変化は、容器自体の構造を変更する必要なく、既存の容器にこのシステムを組み込むという可能性も提供する。
【0017】
本発明に基づく方法の特に有利なもう1つの実施形態では、さらに、センサとして容量センサが使用されるように設定されている。フロートスイッチなど、その他の充填レベルセンサに比べ、基本的に従来技術から知られているこの種の容量センサは、構造が単純であり、機械的手段なしで済むという利点がある。従って、極端な条件の下でも、比較的簡単かつ確実に、状態の変化を検知することができる。
【0018】
本発明の特に有利な実施形態では、さらに、センサ及び/又は容器に液体のスロッシングを抑える手段が装備されるように設定されている。例えば妥当な浸漬管の中にセンサを挿入する構造によって、又は液体のスロッシングを抑える周知の要素を容器の中に設けることにより、液体がセンサに跳ね返ったことで、センサが状態変化を検知しないようにすることができる。センサに跳ね返った液体によってセンサが状態変化を検知してしまうと、システムの誤作動を引き起こすおそれがあると考えられ、それは、センサによって割り出されたこの液体レベルが、液体の跳ね返りによってのみ生じたものであり、それ以外に原因はないからである。機械的な手段の他に、液体の跳ね返りに対するセンサの反応を液体の跳ね返りとして検知し、除外する電子的手段も考えられる。
【0019】
本発明に基づく特に有利かつ適切なもう1つの方法では、容器が液体セパレータとして使用されるように設定されている。詳細には、この容器は、有利な発展形態に基づいて、燃料電池システムの液体セパレータとして使用することができる。この種の燃料電池システムの場合、燃料電池の排出ガスと一緒に、相応量の生成水が、アノード排出ガスにも、カソード排出ガスにも生じる。とりわけ、アノード排出ガスでは、液体のオーバーフローによって液体が燃料電池システムに戻ってしまうおそれがあるため、セパレータは安全かつ確実に機能する必要がある。戻った液体は、そこで、ガス流路等を塞ぎ、及び/又は濡らして、システムの機能を長期間損なう可能性がある。別の側面では、通常、この排出ガスは水素であるか、又は少なくとも残留水素を有しているため、排出ガス自体を周辺に排出しないことが重要である。この水素は、万一の火災又は爆発のリスクを阻止するため、安全性の理由だけからしても周辺に排出するべきではない。
【0020】
本発明の特に有利な発展形態では、燃料電池システムが輸送手段において電気エネルギーを生成するために使用されるように設定することができる。この場合電気エネルギーは、輸送手段の駆動及び/又は輸送手段の補助、もしくは支援装置に用いることができる。特に、例えば自動車、トラック、フォークリフト、飛行機、船舶等の輸送手段における燃料電池システムの使用では、液体セパレータが安全かつ確実に機能することが非常に重要である。輸送手段では取付けスペースが狭いことから、この場合、燃料電池システム及び特に液体セパレータを所望の大きさにすることができない。しかしながら、小さな液体セパレータでは、液体セパレータの容器も相応に小さくなり、そのことによって不連続的な液抜きが頻繁に要求されるため、上述したオーバーフローと周辺へのガスの排出という2つの問題は特に難しくなる。従って、かなりの制限のある取付けスペースにおいては、安全かつ確実な機能の他に、高度な安全性要求を実現しなければならないため、この種の使用における本発明に基づく方法は特に有利である。
【0021】
本発明に基づく方法のさらなる有利な実施形態は、残りの従属請求項に示されており、以下では、図を参照して実施形態が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】単一の添付図は、液体セパレータの概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この図は、例えば、車両の燃料電池システムに用いることのできる液体セパレータ1を模式的に示している。液体セパレータ1は、このような用途の場合、特に、カソード排気ガス及び/又はアノード排気ガスの範囲に配置されており、液体の生成水をこれらの排気ガス範囲から分離する。このことが、ここでは、ラインエレメント2によって表され、矢印Aによって示されているように、ガスは凝縮水と一緒に流れる。このガスは、液体成分のないガスA’として液体セパレータ1から出る。液体は、ガスAがバッフルプレート3を通り抜ける間及び/又は方向転換する間に、このバッフルプレート3の範囲で適切に分離される。バッフルプレートを備える構造は、この場合、例として選択されただけであり、例えば液体粒子を外部へ運ぶ循環ガス流など、その他のあらゆる種類の分離構造でも実施可能である。しかしながら、このことは、ここに説明されている本発明にとって付加的な意味しかないため、ここでは、例としてバッフルプレート3を備える液体セパレータ1の態様が示されている。
【0024】
この液体セパレータ1は、分離された液体が溜まる容器4を有している。この容器4は、液抜き手段としてのバルブ5によって、重力の方向に下方へ液体を排出することができる。この場合、バルブ5は、電子ユニット6によって制御される。バルブ5は、例えばマグネットバルブとして形成することができ、容器4を液抜きするために開かれる。容器4からの液体の抜取りは、液体への重力の作用により生じ、及び/又は周辺に対するガスA、A’の圧力差によって生じ、それは、ガスA、A’がガスクッションとして容器4内の液体の上にあるからである。
【0025】
その他に、容器4はセンサ7を有しており、この場合、このセンサは、容量レベルセンサ7として形成されている。ここでは、センサ7が1つの切替えポイントだけ有しているため、このセンサ7では2つの状態しか検知することができない。第1の状態は、液体が規定された範囲にある状態である。このことは、例えば、センサ7が液体によって濡れていること、すなわち、容器4の液体レベルが少なくともセンサ7の高さを超えたことを示している。センサ7によって検知可能な第2の状態は、規定された範囲に液体がないことであり、従って、容器内の液体の充填レベルはセンサの下にあるため、上述の例におけるセンサ7は乾いている。
【0026】
唯一示されている図には、このような4つの液体レベルが、例として示されている。Iで示されている第1の液体レベルは、容器4のセンサ7の下方にある。従って、センサ7は第2の状態にあり、該当する信号を電子ユニット6に送信することから、センサ7の範囲に液体がないことが電子ユニット6によって検知可能である。図示されている第2の液体レベルIIは、液体が、容器4のセンサ7の上部ぎりぎりにあることを示している。この状態において、センサ7は液体によって濡れているため、センサ7は、第2の状態に該当する信号を電子ユニット6に送信する。図示されている第3の液体レベルIIIは、液面が、容器4のセンサ7より上にあることを示している。この状態においても、センサ7は、液体がある状態を検知する。第4の充填レベルIVは、センサ7の下方ぎりぎりにあるため、センサ7は第2の状態を検知し、電子ユニット6に通知する。
【0027】
液体セパレータ1の容器4は、さらに、スロッシングガード8を有しており、ここでは、その例として多孔プレートが示され、この多孔プレートは、センサ7の少し下の部分に、容器口径に渡って配置されている。このようなスロッシングガード8は、液体セパレータ1が動くことによって生じる液体の高い跳ね返りを防止し、こうした高い跳ね返りは、例えば自動車などの輸送手段に使用する場合に起こる可能性がある。従って、このスロッシングガード8により、センサの濡れ、及びそれによる間違った検出を、ほぼ阻止することができる。当然ながら、ここに例として示されているスロッシングガードプレート8以外にも、異なった設計でスロッシングガードを形成することができ、例えば、小さな複数の孔が形成されている管の中にセンサを挿入することによって防止することもできる。この場合、液体のスロッシングによって、液体が管の中に完全に入ってくることはないが、液体が該当する充填レベルに達すると、管は完全に浸水し、センサ7はその充填レベルを検知することができる。この他に、又は補足的に、電子ユニット6の中にフィルタを設けることができ、このフィルタは、スロッシングに特有なセンサ7の信号を検知すると、センサ7の使用可能な信号から除外するというものである。
【0028】
唯一示されている図には、さらに、もう1つの例示的なスロッシングガード9がある。これは、ライン2の範囲に液体が跳ね入ることを防止するものである。跳ね返り防止のためのこの種の装置もまた、基本的に、従来技術から知られているため、ここではその構造にまで詳細に述べずに、変形例を簡潔に説明するだけとする。この場合、その他に考えられる全てのスロッシングガードのバリエーション、特に機械的なスロッシングガードが、適宜容器4に組込み可能であることは、当業者には明らかである。
【0029】
本方法に基づく、容器4の不連続的液抜きのプロセスは次のとおりである。すなわち、湿気のあるガス流Aから分離された液体が容器4に溜まる。分離された液体が増加し、やがて、液体はIIで示されている液体レベルに達する。この場合、センサ7は第1の状態を確認し、液体がセンサ7周辺の規定された範囲にあることを電子ユニット6に伝える。電子ユニット6は、これに対応してバルブ5を開くことにより、このバルブ装置5を介して容器4から液体を抜き取ることができる。しかし、液体レベルIIの検知からバルブ5の実際の作動までは、検知及びバルブ5の制御に必要なある程度の時間が経過しているため、この時間経過のあいだに液体レベルはさらに、例えばIIIで示されている液体レベルまで上昇する。バルブ5が完全に開くと、容器4から液体を抜き取ることができる。この場合、液抜きの開口部は、どのような場合も、液抜き時に流れ出る流量の方が容器に入る液体流量よりも大きくなるように選択されなければならない。さらに、センサ7の適切な位置決め及び/又は容器の構造的実施形態によって、センサ7と充填レベルIIIとの間の容積は、この時間経過のあいだに最大限生じる全液体をその容積に収めることができ、容器4が溢れることなく、液体がラインエレメント2の範囲に達しないような大きさとなることに注意しなければならない。
【0030】
液体レベルが充填レベルIIIに達すると、バルブ5によって液抜きが開始される。液抜きが始まると、液体レベルは、充填レベルIIIから充填レベルIVに下がる。センサ7の下方ぎりぎりの充填レベルIVでは、センサ7が状態の変化を検知し、電子ユニット6に通知する。これを受けて、電子ユニット6は、液抜きを停止するため、すなわち、この場合はバルブ5を閉じるために信号をバルブ5に送る。このプロセスも相応の時間が必要なため、バルブが最終的に閉じる際には、容器4内の液体は、例えばレベルIまで低下している。
【0031】
ここでも、センサ7とレベルIとの間の容積は、状態の検知とバルブの切替わりとの間に必ず発生する遅延時間の間に全ての液体が周辺に排出されず、ある程度の残留液体が容器4に残っているような大きさであることに注意しなければならない。この残留液体は、ガスAがバルブ5から周辺に排出できないようにする。液体がレベルIに達すると、バルブ5が最終的に閉じ、容器4には新たに液体が溜まるため、液体の充填レベルが再び上昇する。しばらくすると、再び充填レベルはIIに達し、プロセスが始めから開始される。
【0032】
つまり、本発明に基づく方法により、単一の、極めて単純に形成されたセンサを使って、容器の不連続的液抜きを確実に実施することが可能である。この場合、構造的に調整することができるので、一方では容器4からライン2の範囲に溢れず、他方ではガスA、A’がバルブ5から周辺に排出されない。容器4の構造的実施形態及びセンサ7の位置以外に、本発明に基づく方法に利用される、このシステムにおいて原理的に生じるヒステリシス特性は、電子ユニット6の範囲における適切な変更によってさらに強化できる。電子ユニット6にも適切な遅延時間を組み込むことが考えられ、センサ7の反応と実際の最終的なバルブ装置5の作動との間の遅延時間を適宜調整することができる。この種の時間要因により、構造的に生じる公差を調整することもできるであろう。もしくは、電子ユニット6における遅延時間の個別調整により、一方ではセンサ7とバルブ装置5との間に十分な距離を提供し、他方ではセンサ7と容器4の上端部との間に十分な距離を提供しているあらゆる構造形状に対して、本システムを適合させることができるため、既存の容器4に本方法を後付けすることができるであろう。この場合、一方向(例えば充填時)の遅延時間が別方向(例えば液抜き時)の遅延時間よりも長くなるように選択することも可能である。従って、容器を特別な構造に形成する必要性をほぼ排除することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が規定された範囲にある第1の状態と、液体が前記規定された範囲にはない第2の状態とを検知するセンサを備え、容器が決して完全には空にならず、決して溢れないように、液抜き手段によって液体が溜まった前記容器を不連続的に液抜きする方法であって、
前記液抜き手段(バルブ5)は、前記センサ(7)が前記第1の状態を検知するとすぐに作動し、前記液抜き手段(バルブ5)は、前記センサ(7)が前記第2の状態を検知するとすぐに停止することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記センサ(7)と前記液抜き手段(バルブ5)が配置されている領域との距離は、この範囲の容積の方が、状態変化の検知から前記液抜き手段(バルブ5)の作動までに経過する時間に排出される容積よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センサ(7)と前記容器(4)の溢れ領域との距離は、この範囲の容積の方が、状態変化の検知から前記液抜き手段(バルブ5)の作動までに経過する時間に溜まる液体の最大容積よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
状態変化の検知から前記液抜き手段(バルブ5)の作動までに経過する時間が、規定の遅延時間によって変更されることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
センサ(7)として、1つの切替えポイントを備える充填レベルセンサが使用されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
センサ(7)として、容量センサが使用されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
液抜き手段として、バルブ(5)が使用されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記センサ(7)及び/又は前記容器(4)に液体のスロッシングを抑える手段が備えられることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
容器(4)として、液体セパレータ(1)が使用されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記液体セパレータ(1)が、燃料電池システムの液体セパレータとして使用されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記燃料電池システムは輸送手段で電気エネルギーを生成するために使用されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−521333(P2012−521333A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501161(P2012−501161)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001584
【国際公開番号】WO2010/108610
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】