容器を封止する蓋体
【課題】湯切り部が破断しにくく、アルミ箔を用いなくてもデッドホールド性を備えた蓋体を提供する。
【解決手段】紙又は樹脂の積層体からなり、カップ容器の開口部を封止する蓋体において、ポリエチレンテレフタレート又は延伸ポリエチレンの層を含む積層体からなり、開口部にシールされるシート状の基材と、基材に剥離可能に積層されたシート状の表面材とを備え、表面材にはその外周縁の一部を含む第1の領域と当該外周縁の他の部分を含む第2の領域とを区画する第1の切断線が形成され、表面材の第1の領域を剥離することで基材に複数の湯切り孔が形成されるように、第1の領域に対応する基材の領域に当該基材を貫通する環状の第2の切断線が複数形成されており、表面材は、第1の切断線と交差せずに第2の領域を二分する直線に沿って、表面材の折り曲げ抵抗を減ずる第3の切断線が連続的又は断続的に形成された紙又は樹脂の層を含む。
【解決手段】紙又は樹脂の積層体からなり、カップ容器の開口部を封止する蓋体において、ポリエチレンテレフタレート又は延伸ポリエチレンの層を含む積層体からなり、開口部にシールされるシート状の基材と、基材に剥離可能に積層されたシート状の表面材とを備え、表面材にはその外周縁の一部を含む第1の領域と当該外周縁の他の部分を含む第2の領域とを区画する第1の切断線が形成され、表面材の第1の領域を剥離することで基材に複数の湯切り孔が形成されるように、第1の領域に対応する基材の領域に当該基材を貫通する環状の第2の切断線が複数形成されており、表面材は、第1の切断線と交差せずに第2の領域を二分する直線に沿って、表面材の折り曲げ抵抗を減ずる第3の切断線が連続的又は断続的に形成された紙又は樹脂の層を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の容器を封止するための蓋体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カップ入り即席焼きそば、カップ入り即席スパゲティ等の食品は、喫食に際して、熱湯を注ぎ、所定時間経過後に、排湯することによって、熱湯処理や加熱を行う必要がある。このような熱湯処理が必要な食品の容器の蓋体として、排湯用の湯切り孔を設けたものが知られている。例えば特許文献1は図16に示す蓋体901を開示している。図16は、容器920の開口部周縁にシールされた蓋体901の一部を開封している様子を示している。蓋体901は、容器920にシールされる基材902と、基材902と剥離可能に積層された表面材903とからなる積層体で形成されている。
【0003】
蓋体901の周縁部の1箇所には、開封用タブ904が設けられている。また、蓋体901の表面材903から基材902の内部にまで至る剥離用ハーフカット905が形成されている。また、剥離用ハーフカット905を挟んで開封用タブ904の反対側には、蓋体901の基材902側から、孔形状の湯切り孔用ハーフカット906が形成されているとともに周縁部の1箇所に剥離用タブ907が設けられている。
【0004】
図17は、図16においてB−B´線に沿った蓋体901の拡大断面図である。図17を参照して、このような従来の蓋体901の層構成の一例を説明する。蓋体901の表面材903は、容器920の外方となる側から内方に向かって、PET(ポリエチレンテレフタレート)/PE(ポリエチレン)の層構成を有している。また、蓋体901の基材902は、表面材903に接する側から、容器920の内方に向かって、紙層/PE/アルミ箔/シーラントの層構成を有していた。蓋体901は、アルミ箔を用いることで、形状を保持する性質(デッドホールド性)を備えている。デッドホールド性により蓋体901は、容器120から一部を剥がして開封したとき、その開封状態を保持することができ、熱湯処理時等における利便性を向上していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4369713号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の蓋体においては、基材が紙、PE、アルミ箔及びシーラントの層のみからなるため、強度が不十分であり、破断しやすいという課題があった。例えば、排湯時に湯切り孔間の部分が破断して孔径が拡大し、食品まで流出してしまうことがあった。また、喫食事に湯切り部を引っ張って容器から除去する際、引っ張った部分が破断し、容器とシールされた部分が残存し、喫食に支障を来たすことがあった。また、アルミ箔を含む蓋体は、分別処理が困難であるという廃棄時の課題や、金属探知機による製品の内部検査が困難であるという出荷時や流通時の課題があった。また、省資源化促進のためアルミレス化への期待も高まっている。しかし、アルミ箔を用いない蓋体は、デッドホールド性を持ちにくいため、湯戻し処理がしにくくなるおそれがあった。
【0007】
それ故に、本発明の目的は、湯切り部が破断しにくく、アルミ箔を用いなくてもデッドホールド性を備えた蓋体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、紙又は樹脂の積層体からなり、カップ容器の開口部を封止する蓋体であって、ポリエチレンテレフタレート又は延伸ポリエチレンの層を含む積層体からなり、開口部にシールされるシート状の基材と、基材に剥離可能に積層されたシート状の表面材とを備え、表面材には、その外周縁の一部を含む第1の領域と、当該外周縁の他の部分を含む第2の領域とを区画する第1の切断線が形成され、第1の領域に対応する表面材の一部を剥離することによって、基材に複数の湯切り孔が形成されるように、第1の領域に対応する基材の一部に、当該基材を貫通する環状の第2の切断線が複数形成され、表面材は、第1の切断線と交差せずに、第2の領域を二分する直線に沿って、当該表面材の折り曲げ抵抗を減ずる第3の切断線が連続的又は断続的に形成された紙又は樹脂の層を含む、蓋体である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、湯切り部が破断しにくく、アルミ箔を用いなくてもデッドホールド性を備えた蓋体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1〜第6の実施形態に係る蓋体及び容器の斜視図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る蓋体及び容器の断面図
【図3】本発明の第1の実施形態に係る蓋体の拡大断面図
【図4】本発明の第1〜第6の実施形態に係る蓋体の使用状態を示す図
【図5】本発明の第1〜第6の実施形態に係る蓋体の使用状態を示す図
【図6】本発明の第1〜第6の実施形態に係る蓋体の使用状態を示す図
【図7】本発明の第2の実施形態に係る蓋体の拡大断面図
【図8】本発明の第3の実施形態に係る蓋体の拡大断面図
【図9】本発明の第4の実施形態に係る蓋体の拡大断面図
【図10】本発明の第5の実施形態に係る蓋体の拡大断面図
【図11】本発明の第6の実施形態に係る蓋体の拡大断面図
【図12】本発明の他の実施形態に係る蓋体の平面図
【図13】本発明の他の実施形態に係る蓋体の平面図
【図14】本発明の他の実施形態に係る蓋体の平面図
【図15】本発明の他の実施形態に係る蓋体の使用状態を示す図
【図16】従来の蓋体及び容器の斜視図
【図17】従来の蓋体の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下に本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る蓋体101と、蓋体101がシールされた容器120の斜視図である。また、図2は、図1に示したA−A´線に沿った蓋体101及び容器120の断面図である。蓋体101は、容器120の開口部周縁にシールされており、容器120を封止している。
【0012】
図1及び図2を参照して、蓋体101の形状を説明する。蓋体101の周縁部の1箇所に、開封用タブ104が設けられている。開封用タブ104をつまんで捲くることで、蓋体101を容器120から引き剥がして開封(開口)することができる。また、開封用タブ104の反対側の一部の領域には、容器120の内方側となる裏面側から、円状の湯切り孔用ハーフカット106が形成されている。さらに、表面側には、湯切り孔用ハーフカット106が設けられた領域とその他の領域を分ける形状で剥離用ハーフカット105が形成されている。さらに、湯切り孔用ハーフカット106が設けられた領域の周縁部には、剥離用タブ107が設けられている。剥離用タブ107は、剥離用ハーフカット105に近接する位置に設けられている。剥離用タブ107と蓋体101との接続部分には、剥離開始用ハーフカット109が裏面側から形成されている。また、剥離用ハーフカット105から見て開封用タブ104が設けられた側には、蓋体101内部の目止めニス/剥離ニスを施した紙層にミシン目111が設けられている。
【0013】
図3は、図2において一点鎖線で囲んだ箇所を模式的に拡大した拡大断面図である。蓋体101の層構成を図3を参照して説明する。蓋体101は、容器120にシールされる基材102と、基材102と剥離可能に積層された表面材103とからなる積層体で形成されている。
【0014】
表面材103は、容器120の外方となる側から内方に向かって、PET(ポリエチレンテレフタレート)/接着剤/インキ/紙/目止めニス/及び剥離ニスの層構成を有している。剥離ニスは、例えば、ワックス系、ポリアミド系、シリコン系、アクリル系の樹脂系のものが好適に用いられる。また、剥離ニスの紙への含浸を防止するために、剥離ニス層と紙層との間に目止めニス層が設けられている。目止めニスは、例えば、硝化綿系、ウレタン系、ワックス系、ポリアミド系、シリコン系、アクリル系の樹脂系のものが好適に用いられる。
【0015】
また、基材102は、表面材103に接する側から、容器120の内方に向かって、PE/PET/AC(アンカーコート)剤/シーラントの層構成を有している。本実施形態では、シーラント層として、LTS(低温シーラント)を用いているが、他のシーラントを用いてもよい。また、PEの層とPETの層の間に、AC剤を施すか、PETの層にインラインコロナ処理を行った上でノーAC剤仕様のPEを積層して、接着力を高めてもよい。なお、ノーAC剤仕様のPEには、例えば、シランカップリング剤を添加したPE樹脂、または、ポリグリシジルアクリレート及び/またはポリグリシジルメタクリレートとからなるPE樹脂、または、エポキシ化植物油を添加したPE樹脂が用いられる。
【0016】
熱湯処理の手順の一例を説明する。まず、開封用タブ104をめくり、図4に示すように、蓋体101を基材102ごと容器120から剥がして、部分的に開封する。蓋体101のミシン目111を設けた部分を折り曲げると、蓋体101に含まれる紙層の腰が、ミシン目111によって弱められるため、この部分の折り曲げる力に対する反発力は、他の部分に比べ小さくなり、折り曲げた状態が保持される。そのため、開封の際、この部分を折り曲げることにより、蓋体101は開封した状態を保持することができる。そして注湯を行い、蓋体101の開いた部分を再度押さえて、開封口から熱が逃げるのを抑制し、所定時間待ち、容器120内に収容された乾燥麺などの加工食品の湯戻し(蒸らし)を行なう。この際、蓋体101のミシン目111部分が紙腰を失っているため、蓋体101は、折り曲げられた部分の自重により開封口を閉ざした状態を保持することができる。次に、図5に示すように、剥離用タブ107をめくると、剥離開始用ハーフカット109から、基材102と表面材103との剥離が開始され、表面材103が剥離用ハーフカット105に沿って切断されながら、完全に剥離される。この際、基材102の湯切り孔用ハーフカット106に囲まれた部分については、表面材103に随伴して除去されるため、容器120に残った基材102には湯切り孔110が形成される。すなわち、蓋体101の湯切り孔用ハーフカット106が形成された領域(図5の一点鎖線で囲んだ部分)の表面材103を剥離することで、当該領域に基材102のみからなる湯切り部108が形成される。最後に、図6に示すように、湯切り孔110から排湯して、湯切り部108を含む蓋体101全体を容器120から除去することで、熱湯処理された食品が喫食可能となる。
【0017】
本実施形態に係る蓋体101では、基材102に強度を有するPETを用いることにより、湯切り部108を破断しにくくすることができる。また、表面材103のインキ及び紙層にミシン目111を設けることにより、アルミ箔を用いなくてもデッドホールド性を付与することができる。
【0018】
なお、湯切り孔用ハーフカット106及び206が、加工の都合上、それぞれ基材102の側から、表面材103及び203の紙層の内部にまで形成されている。本実施形態では、表面材103にPETによる保護層を設けて、紙層を保護し、蓋体101を補強している。また、PETの層を設けることで、蓋体101の表面に光沢を与え、美観を向上する効果も得られる。
【0019】
(第2の実施形態)
以下に本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る蓋体201及び蓋体201がシールされた容器の形状は、第1の実施形態と同様である。そのため、蓋体201及び容器の斜視図は、それぞれ図1と同様である。図7に、図3と同様、蓋体201の層構成を示す拡大断面図を示す。本実施形態では、第1の実施形態と、蓋体の層構成が異なる。剥離用ハーフカット205、湯切り孔用ハーフカット206は、それぞれ第1の実施形態の剥離用ハーフカット105、湯切り孔用ハーフカット106と同様である。
【0020】
蓋体201の表面材203は、容器の外方となる側から内方に向かって、インキ/紙/目止めニス/剥離ニスの層構成を有している。また、基材202は、表面材303に接する側から、容器の内方に向かって、PE/PET/AC剤/シーラントの層構成を有している。ミシン目211は、表面材203のインキの層と目止めニス剥離ニスを施した紙層とに設けられている点で、第1の実施形態に係るミシン目111と同様である。
【0021】
本実施形態に係る蓋体201は、表面材203のインキ層より容器の外方となる側に、PETの層が形成されていない点で、第1の実施形態に係る蓋体101と異なる。蓋体を補強する必要性や光沢付与の必要性を用途等に応じて判断し、蓋体101及び蓋体201のいずれを用いるかを選択すればよい。また、PEの層とPETの層の間に、AC剤を施すか、PETの層にインラインコロナ処理を行った上でノーAC剤仕様のPEを積層して、接着力を高めてもよい。なお、ノーAC剤仕様のPEには、例えば、シランカップリング剤を添加したPE樹脂、または、ポリグリシジルアクリレート及び/またはポリグリシジルメタクリレートとからなるPE樹脂、または、エポキシ化植物油を添加したPE樹脂が用いられる。
【0022】
(第3の実施形態)
以下に本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態に係る蓋体301及び蓋体301がシールされた容器の形状は、第1の実施形態と同様である。そのため、蓋体301及び容器の斜視図は、それぞれ図1と同様である。図8に、図3と同様、蓋体301の層構成を示す拡大断面図を示す。本実施形態では、第1の実施形態と、蓋体の層構成のみが異なる。剥離用ハーフカット305及び湯切り孔用ハーフカット306は、それぞれ第1の実施形態の剥離用ハーフカット105及び湯切り孔用ハーフカット106と同様である。また、ミシン目311は、インキ及び紙層に設けられている
【0023】
蓋体301の表面材303は、容器の外方となる側から内方に向かって、PET/接着剤/インキ/紙/PEの層構成を有している。また、基材302は、表面材303に接する側から、容器の内方に向かって、PET/AC剤/シーラントの層構成を有している。本層構成では、表面材301のPE層と、基材302のPETとが、接して積層されている。PEとPETとの接着性が低いため、本層構成により、表面材301と基材302との間での剥離性を高めることができる。
【0024】
本実施形態では、第1の実施形態に係る蓋体101と同様、表面材303にPETによる保護層を設けて、蓋体101を補強するとともに、光沢を付与している。
【0025】
(第4の実施形態)
以下に本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態に係る蓋体401及び蓋体401がシールされた容器の形状は、第1の実施形態と同様である。そのため、蓋体401及び容器の斜視図は、それぞれ図1と同様である。図9に、図3と同様、蓋体401の層構成を示す拡大断面図を示す。本実施形態では、第1の実施形態と、蓋体の層構成のみが異なる。剥離用ハーフカット305及び湯切り孔用ハーフカット406は、それぞれ第1の実施形態の剥離用ハーフカット105及び湯切り孔用ハーフカット106と同様である。また、ミシン目411は、第3の実施形態のミシン目311と同様、インキ及び紙層に設けられている
【0026】
蓋体401の表面材403は、容器の外方となる側から内方に向かって、インキ/紙/PEの層構成を有している。また、基材402は、表面材403に接する側から、容器の内方に向かって、PET/AC剤/シーラントの層構成を有している。
【0027】
本実施形態に係る蓋体401は、表面材403のインキ層より容器の外方となる側に、PETの層が形成されていない点で、第3の実施形態に係る蓋体301と異なる。第1及び第2の実施形態に係る蓋体101及び201と同様、用途に応じて、蓋体301と蓋体401のいずれを用いるかを選択すればよい。
【0028】
(第5の実施形態)
以下に本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態に係る蓋体501及び蓋体501がシールされた容器の形状は、第1の実施形態と同様である。そのため、蓋体501及び容器の斜視図は、それぞれ図1と同様である。図10に、図3と同様、蓋体501の層構成を示す拡大断面図を示す。本実施形態では、第1の実施形態と、蓋体の層構成のみが異なる。剥離用ハーフカット505及び湯切り孔用ハーフカット506は、それぞれ第1の実施形態の剥離用ハーフカット105及び湯切り孔用ハーフカット106と同様である。また、ミシン目511は、第3の実施形態のミシン目311と同様、インキ及び紙層に設けられている。
【0029】
蓋体501の表面材503は、容器の外方となる側から内方に向かって、インキ/紙/接着剤/PETの層構成を有している。また、基材502は、表面材503に接する側から、容器の内方に向かって、PE/AC剤/PET/AC剤/シーラントの層構成を有している。本層構成では、PEの層とPETの層の間に、AC剤を施すことで、接着性を高めているが、その代わりに、PETの層にインラインコロナ処理を行った上でノーAC剤仕様のPEを積層して接着力を高めてもよい。なお、ノーAC剤仕様のPEには、例えば、シランカップリング剤を添加したPE樹脂、または、ポリグリシジルアクリレート及び/またはポリグリシジルメタクリレートとからなるPE樹脂、または、エポキシ化植物油を添加したPE樹脂が用いられる。
【0030】
本実施形態に係る蓋体501では、湯切り孔用ハーフカット506が、基材502の側から、表面材503のPET層の内部にまで形成されているが、紙層には形成されていない。そのため、第2及び第4の実施形態のように、PET及び接着剤の層をさらに設けて紙層を保護する必要がない。
【0031】
(第6の実施形態)
以下に本発明の第6の実施形態について説明する。本実施形態に係る蓋体601及び蓋体601がシールされた容器の形状は、第1の実施形態と同様である。そのため、蓋体601及び容器の斜視図は、それぞれ図1と同様である。図11に、図3と同様、蓋体601の層構成を示す拡大断面図を示す。本実施形態では、第1の実施形態と、蓋体の層構成のみが異なる。剥離用ハーフカット605及び湯切り孔用ハーフカット606は、それぞれ第1の実施形態の剥離用ハーフカット105及び湯切り孔用ハーフカット106と同様である。また、ミシン目611は、第3の実施形態のミシン目311と同様、インキ及び紙層に設けられている
【0032】
蓋体601の表面材603は、容器の外方となる側から内方に向かって、インキ/紙/接着剤/PETの層構成を有している。また、基材602は、表面材603に接する側から、容器の内方に向かって、PE/1軸延伸PE/AC剤/シーラントの層構成を有している。
【0033】
本実施形態に係る蓋体601では、第5の実施形態に係る蓋体501と同様、湯切り孔用ハーフカット606が、基材602の側から、表面材603のPET層の内部にまで形成されているが、紙層には形成されていない。そのため、第2及び第4の実施形態のように、PET及び接着剤の層をさらに設けて紙層を保護する必要がない。
【0034】
また、蓋体の形状として、図1に示すものの他、剥離タブの位置や個数、湯切り孔の位置、形状及び個数、剥離用ハーフカットの位置や形状、ミシン目の位置、形状及び個数等について、多様なバリエーションが存在するが、第1〜第6の実施形態に係る蓋体101〜601の層構成に、いずれの形状を組み合わせてもよい。
【0035】
例えば、図12に示す蓋体701が挙げられる。蓋体701は、第1の実施形態に係る蓋体101において、異なる形状のミシン目711を設けたものである。
【0036】
また、ミシン目111及び711は、複数の切れ目の列を複数並列させることにより形成されているが、1列分の切れ目だけで形成されていても良い。また、ミシン目111及び711は、各列の延伸方向に対して斜めの切れ目により構成されているが、各列の延伸方向と同一方向の切れ目により構成しても良い。さらに切れ目を連続させて、ミシン目の代わりにハーフカットを設けてもよい。
【0037】
以上のように、本発明では、基材に強度を有するPET又は1軸延伸PEを用いることにより、蓋体の湯切り部を破断しにくくすることができる。これにより、排湯時に湯切り孔間の部分が破断して孔径が拡大して食品が流出することを防ぐことができる。また、湯切り部を引っ張って容器から除去する際、湯切り部が残存して喫食に支障を来たすことを防ぐことができる。また、アルミ箔を用いないことにより、廃棄時の分別を容易化及び焼却効率の向上を図ることができ、また、金属探知機による製品の内部検査が可能となる。さらにまた、表面材のインキ及び紙層にミシン目を設けることにより、アルミ箔を用いなくてもデッドホールド性を付与することができる。
【0038】
また、蓋体の形状として、図1及び図12に示すものの他、剥離タブの位置や個数、湯切り孔の位置、形状及び個数、剥離用ハーフカットの位置や形状の態様等について、多様なバリエーションが存在するが、いずれの形状と上述の各層構成とを組み合わせてもよい。バリエーションの例として、図13及び図14に蓋体1701を示す。図13は本実施形態に係る蓋体1701の平面図である。また、図14は蓋体1701の底面図である。蓋体1701では、剥離用タブ1707と剥離開始用ハーフカット1709は、蓋体1701の中心部を挟んで、開封用タブ1704のちょうど対向位置に設けられている。また、剥離用ハーフカット1705は、剥離用タブ1707を取り囲む曲線形状で設けられている。蓋体1701においても、図15に示すように、蓋体101と同様、剥離用タブ1707をめくることによって、表面材1703が剥離用ハーフカット1705に沿って切断されながら、完全に剥離される。この際、基材1702の湯切り孔用ハーフカット1706に囲まれた部分については、表面材1703に随伴して除去されるため、容器120に残った基材1702には湯切り孔1710が形成される。ミシン目1711は、ミシン目111と同様のものを図示しているが、上述同様、異なる形状のものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、食品等の容器を封止するための蓋体に有用である。
【符号の説明】
【0040】
101、201、301、401、501、601、701、901、1701 蓋体
102、202、302、402、502、602、902、1702 基材
103、203、303、403、503、603、903、1703 表面材
104、904、1704 開封用タブ
105、205、305、405、505、605、905、1705 剥離用ハーフカット
106、206、306、406、506、606、906、1706 湯切り孔用ハーフカット
107、907、1707 剥離用タブ
108、908、1708 湯切り部
109、1709 剥離開始用ハーフカット
110、1710 湯切り孔
111、211、311、411、511、611、711、1711 ミシン目
120、920 容器
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の容器を封止するための蓋体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カップ入り即席焼きそば、カップ入り即席スパゲティ等の食品は、喫食に際して、熱湯を注ぎ、所定時間経過後に、排湯することによって、熱湯処理や加熱を行う必要がある。このような熱湯処理が必要な食品の容器の蓋体として、排湯用の湯切り孔を設けたものが知られている。例えば特許文献1は図16に示す蓋体901を開示している。図16は、容器920の開口部周縁にシールされた蓋体901の一部を開封している様子を示している。蓋体901は、容器920にシールされる基材902と、基材902と剥離可能に積層された表面材903とからなる積層体で形成されている。
【0003】
蓋体901の周縁部の1箇所には、開封用タブ904が設けられている。また、蓋体901の表面材903から基材902の内部にまで至る剥離用ハーフカット905が形成されている。また、剥離用ハーフカット905を挟んで開封用タブ904の反対側には、蓋体901の基材902側から、孔形状の湯切り孔用ハーフカット906が形成されているとともに周縁部の1箇所に剥離用タブ907が設けられている。
【0004】
図17は、図16においてB−B´線に沿った蓋体901の拡大断面図である。図17を参照して、このような従来の蓋体901の層構成の一例を説明する。蓋体901の表面材903は、容器920の外方となる側から内方に向かって、PET(ポリエチレンテレフタレート)/PE(ポリエチレン)の層構成を有している。また、蓋体901の基材902は、表面材903に接する側から、容器920の内方に向かって、紙層/PE/アルミ箔/シーラントの層構成を有していた。蓋体901は、アルミ箔を用いることで、形状を保持する性質(デッドホールド性)を備えている。デッドホールド性により蓋体901は、容器120から一部を剥がして開封したとき、その開封状態を保持することができ、熱湯処理時等における利便性を向上していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4369713号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の蓋体においては、基材が紙、PE、アルミ箔及びシーラントの層のみからなるため、強度が不十分であり、破断しやすいという課題があった。例えば、排湯時に湯切り孔間の部分が破断して孔径が拡大し、食品まで流出してしまうことがあった。また、喫食事に湯切り部を引っ張って容器から除去する際、引っ張った部分が破断し、容器とシールされた部分が残存し、喫食に支障を来たすことがあった。また、アルミ箔を含む蓋体は、分別処理が困難であるという廃棄時の課題や、金属探知機による製品の内部検査が困難であるという出荷時や流通時の課題があった。また、省資源化促進のためアルミレス化への期待も高まっている。しかし、アルミ箔を用いない蓋体は、デッドホールド性を持ちにくいため、湯戻し処理がしにくくなるおそれがあった。
【0007】
それ故に、本発明の目的は、湯切り部が破断しにくく、アルミ箔を用いなくてもデッドホールド性を備えた蓋体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、紙又は樹脂の積層体からなり、カップ容器の開口部を封止する蓋体であって、ポリエチレンテレフタレート又は延伸ポリエチレンの層を含む積層体からなり、開口部にシールされるシート状の基材と、基材に剥離可能に積層されたシート状の表面材とを備え、表面材には、その外周縁の一部を含む第1の領域と、当該外周縁の他の部分を含む第2の領域とを区画する第1の切断線が形成され、第1の領域に対応する表面材の一部を剥離することによって、基材に複数の湯切り孔が形成されるように、第1の領域に対応する基材の一部に、当該基材を貫通する環状の第2の切断線が複数形成され、表面材は、第1の切断線と交差せずに、第2の領域を二分する直線に沿って、当該表面材の折り曲げ抵抗を減ずる第3の切断線が連続的又は断続的に形成された紙又は樹脂の層を含む、蓋体である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、湯切り部が破断しにくく、アルミ箔を用いなくてもデッドホールド性を備えた蓋体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1〜第6の実施形態に係る蓋体及び容器の斜視図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る蓋体及び容器の断面図
【図3】本発明の第1の実施形態に係る蓋体の拡大断面図
【図4】本発明の第1〜第6の実施形態に係る蓋体の使用状態を示す図
【図5】本発明の第1〜第6の実施形態に係る蓋体の使用状態を示す図
【図6】本発明の第1〜第6の実施形態に係る蓋体の使用状態を示す図
【図7】本発明の第2の実施形態に係る蓋体の拡大断面図
【図8】本発明の第3の実施形態に係る蓋体の拡大断面図
【図9】本発明の第4の実施形態に係る蓋体の拡大断面図
【図10】本発明の第5の実施形態に係る蓋体の拡大断面図
【図11】本発明の第6の実施形態に係る蓋体の拡大断面図
【図12】本発明の他の実施形態に係る蓋体の平面図
【図13】本発明の他の実施形態に係る蓋体の平面図
【図14】本発明の他の実施形態に係る蓋体の平面図
【図15】本発明の他の実施形態に係る蓋体の使用状態を示す図
【図16】従来の蓋体及び容器の斜視図
【図17】従来の蓋体の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下に本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る蓋体101と、蓋体101がシールされた容器120の斜視図である。また、図2は、図1に示したA−A´線に沿った蓋体101及び容器120の断面図である。蓋体101は、容器120の開口部周縁にシールされており、容器120を封止している。
【0012】
図1及び図2を参照して、蓋体101の形状を説明する。蓋体101の周縁部の1箇所に、開封用タブ104が設けられている。開封用タブ104をつまんで捲くることで、蓋体101を容器120から引き剥がして開封(開口)することができる。また、開封用タブ104の反対側の一部の領域には、容器120の内方側となる裏面側から、円状の湯切り孔用ハーフカット106が形成されている。さらに、表面側には、湯切り孔用ハーフカット106が設けられた領域とその他の領域を分ける形状で剥離用ハーフカット105が形成されている。さらに、湯切り孔用ハーフカット106が設けられた領域の周縁部には、剥離用タブ107が設けられている。剥離用タブ107は、剥離用ハーフカット105に近接する位置に設けられている。剥離用タブ107と蓋体101との接続部分には、剥離開始用ハーフカット109が裏面側から形成されている。また、剥離用ハーフカット105から見て開封用タブ104が設けられた側には、蓋体101内部の目止めニス/剥離ニスを施した紙層にミシン目111が設けられている。
【0013】
図3は、図2において一点鎖線で囲んだ箇所を模式的に拡大した拡大断面図である。蓋体101の層構成を図3を参照して説明する。蓋体101は、容器120にシールされる基材102と、基材102と剥離可能に積層された表面材103とからなる積層体で形成されている。
【0014】
表面材103は、容器120の外方となる側から内方に向かって、PET(ポリエチレンテレフタレート)/接着剤/インキ/紙/目止めニス/及び剥離ニスの層構成を有している。剥離ニスは、例えば、ワックス系、ポリアミド系、シリコン系、アクリル系の樹脂系のものが好適に用いられる。また、剥離ニスの紙への含浸を防止するために、剥離ニス層と紙層との間に目止めニス層が設けられている。目止めニスは、例えば、硝化綿系、ウレタン系、ワックス系、ポリアミド系、シリコン系、アクリル系の樹脂系のものが好適に用いられる。
【0015】
また、基材102は、表面材103に接する側から、容器120の内方に向かって、PE/PET/AC(アンカーコート)剤/シーラントの層構成を有している。本実施形態では、シーラント層として、LTS(低温シーラント)を用いているが、他のシーラントを用いてもよい。また、PEの層とPETの層の間に、AC剤を施すか、PETの層にインラインコロナ処理を行った上でノーAC剤仕様のPEを積層して、接着力を高めてもよい。なお、ノーAC剤仕様のPEには、例えば、シランカップリング剤を添加したPE樹脂、または、ポリグリシジルアクリレート及び/またはポリグリシジルメタクリレートとからなるPE樹脂、または、エポキシ化植物油を添加したPE樹脂が用いられる。
【0016】
熱湯処理の手順の一例を説明する。まず、開封用タブ104をめくり、図4に示すように、蓋体101を基材102ごと容器120から剥がして、部分的に開封する。蓋体101のミシン目111を設けた部分を折り曲げると、蓋体101に含まれる紙層の腰が、ミシン目111によって弱められるため、この部分の折り曲げる力に対する反発力は、他の部分に比べ小さくなり、折り曲げた状態が保持される。そのため、開封の際、この部分を折り曲げることにより、蓋体101は開封した状態を保持することができる。そして注湯を行い、蓋体101の開いた部分を再度押さえて、開封口から熱が逃げるのを抑制し、所定時間待ち、容器120内に収容された乾燥麺などの加工食品の湯戻し(蒸らし)を行なう。この際、蓋体101のミシン目111部分が紙腰を失っているため、蓋体101は、折り曲げられた部分の自重により開封口を閉ざした状態を保持することができる。次に、図5に示すように、剥離用タブ107をめくると、剥離開始用ハーフカット109から、基材102と表面材103との剥離が開始され、表面材103が剥離用ハーフカット105に沿って切断されながら、完全に剥離される。この際、基材102の湯切り孔用ハーフカット106に囲まれた部分については、表面材103に随伴して除去されるため、容器120に残った基材102には湯切り孔110が形成される。すなわち、蓋体101の湯切り孔用ハーフカット106が形成された領域(図5の一点鎖線で囲んだ部分)の表面材103を剥離することで、当該領域に基材102のみからなる湯切り部108が形成される。最後に、図6に示すように、湯切り孔110から排湯して、湯切り部108を含む蓋体101全体を容器120から除去することで、熱湯処理された食品が喫食可能となる。
【0017】
本実施形態に係る蓋体101では、基材102に強度を有するPETを用いることにより、湯切り部108を破断しにくくすることができる。また、表面材103のインキ及び紙層にミシン目111を設けることにより、アルミ箔を用いなくてもデッドホールド性を付与することができる。
【0018】
なお、湯切り孔用ハーフカット106及び206が、加工の都合上、それぞれ基材102の側から、表面材103及び203の紙層の内部にまで形成されている。本実施形態では、表面材103にPETによる保護層を設けて、紙層を保護し、蓋体101を補強している。また、PETの層を設けることで、蓋体101の表面に光沢を与え、美観を向上する効果も得られる。
【0019】
(第2の実施形態)
以下に本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る蓋体201及び蓋体201がシールされた容器の形状は、第1の実施形態と同様である。そのため、蓋体201及び容器の斜視図は、それぞれ図1と同様である。図7に、図3と同様、蓋体201の層構成を示す拡大断面図を示す。本実施形態では、第1の実施形態と、蓋体の層構成が異なる。剥離用ハーフカット205、湯切り孔用ハーフカット206は、それぞれ第1の実施形態の剥離用ハーフカット105、湯切り孔用ハーフカット106と同様である。
【0020】
蓋体201の表面材203は、容器の外方となる側から内方に向かって、インキ/紙/目止めニス/剥離ニスの層構成を有している。また、基材202は、表面材303に接する側から、容器の内方に向かって、PE/PET/AC剤/シーラントの層構成を有している。ミシン目211は、表面材203のインキの層と目止めニス剥離ニスを施した紙層とに設けられている点で、第1の実施形態に係るミシン目111と同様である。
【0021】
本実施形態に係る蓋体201は、表面材203のインキ層より容器の外方となる側に、PETの層が形成されていない点で、第1の実施形態に係る蓋体101と異なる。蓋体を補強する必要性や光沢付与の必要性を用途等に応じて判断し、蓋体101及び蓋体201のいずれを用いるかを選択すればよい。また、PEの層とPETの層の間に、AC剤を施すか、PETの層にインラインコロナ処理を行った上でノーAC剤仕様のPEを積層して、接着力を高めてもよい。なお、ノーAC剤仕様のPEには、例えば、シランカップリング剤を添加したPE樹脂、または、ポリグリシジルアクリレート及び/またはポリグリシジルメタクリレートとからなるPE樹脂、または、エポキシ化植物油を添加したPE樹脂が用いられる。
【0022】
(第3の実施形態)
以下に本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態に係る蓋体301及び蓋体301がシールされた容器の形状は、第1の実施形態と同様である。そのため、蓋体301及び容器の斜視図は、それぞれ図1と同様である。図8に、図3と同様、蓋体301の層構成を示す拡大断面図を示す。本実施形態では、第1の実施形態と、蓋体の層構成のみが異なる。剥離用ハーフカット305及び湯切り孔用ハーフカット306は、それぞれ第1の実施形態の剥離用ハーフカット105及び湯切り孔用ハーフカット106と同様である。また、ミシン目311は、インキ及び紙層に設けられている
【0023】
蓋体301の表面材303は、容器の外方となる側から内方に向かって、PET/接着剤/インキ/紙/PEの層構成を有している。また、基材302は、表面材303に接する側から、容器の内方に向かって、PET/AC剤/シーラントの層構成を有している。本層構成では、表面材301のPE層と、基材302のPETとが、接して積層されている。PEとPETとの接着性が低いため、本層構成により、表面材301と基材302との間での剥離性を高めることができる。
【0024】
本実施形態では、第1の実施形態に係る蓋体101と同様、表面材303にPETによる保護層を設けて、蓋体101を補強するとともに、光沢を付与している。
【0025】
(第4の実施形態)
以下に本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態に係る蓋体401及び蓋体401がシールされた容器の形状は、第1の実施形態と同様である。そのため、蓋体401及び容器の斜視図は、それぞれ図1と同様である。図9に、図3と同様、蓋体401の層構成を示す拡大断面図を示す。本実施形態では、第1の実施形態と、蓋体の層構成のみが異なる。剥離用ハーフカット305及び湯切り孔用ハーフカット406は、それぞれ第1の実施形態の剥離用ハーフカット105及び湯切り孔用ハーフカット106と同様である。また、ミシン目411は、第3の実施形態のミシン目311と同様、インキ及び紙層に設けられている
【0026】
蓋体401の表面材403は、容器の外方となる側から内方に向かって、インキ/紙/PEの層構成を有している。また、基材402は、表面材403に接する側から、容器の内方に向かって、PET/AC剤/シーラントの層構成を有している。
【0027】
本実施形態に係る蓋体401は、表面材403のインキ層より容器の外方となる側に、PETの層が形成されていない点で、第3の実施形態に係る蓋体301と異なる。第1及び第2の実施形態に係る蓋体101及び201と同様、用途に応じて、蓋体301と蓋体401のいずれを用いるかを選択すればよい。
【0028】
(第5の実施形態)
以下に本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態に係る蓋体501及び蓋体501がシールされた容器の形状は、第1の実施形態と同様である。そのため、蓋体501及び容器の斜視図は、それぞれ図1と同様である。図10に、図3と同様、蓋体501の層構成を示す拡大断面図を示す。本実施形態では、第1の実施形態と、蓋体の層構成のみが異なる。剥離用ハーフカット505及び湯切り孔用ハーフカット506は、それぞれ第1の実施形態の剥離用ハーフカット105及び湯切り孔用ハーフカット106と同様である。また、ミシン目511は、第3の実施形態のミシン目311と同様、インキ及び紙層に設けられている。
【0029】
蓋体501の表面材503は、容器の外方となる側から内方に向かって、インキ/紙/接着剤/PETの層構成を有している。また、基材502は、表面材503に接する側から、容器の内方に向かって、PE/AC剤/PET/AC剤/シーラントの層構成を有している。本層構成では、PEの層とPETの層の間に、AC剤を施すことで、接着性を高めているが、その代わりに、PETの層にインラインコロナ処理を行った上でノーAC剤仕様のPEを積層して接着力を高めてもよい。なお、ノーAC剤仕様のPEには、例えば、シランカップリング剤を添加したPE樹脂、または、ポリグリシジルアクリレート及び/またはポリグリシジルメタクリレートとからなるPE樹脂、または、エポキシ化植物油を添加したPE樹脂が用いられる。
【0030】
本実施形態に係る蓋体501では、湯切り孔用ハーフカット506が、基材502の側から、表面材503のPET層の内部にまで形成されているが、紙層には形成されていない。そのため、第2及び第4の実施形態のように、PET及び接着剤の層をさらに設けて紙層を保護する必要がない。
【0031】
(第6の実施形態)
以下に本発明の第6の実施形態について説明する。本実施形態に係る蓋体601及び蓋体601がシールされた容器の形状は、第1の実施形態と同様である。そのため、蓋体601及び容器の斜視図は、それぞれ図1と同様である。図11に、図3と同様、蓋体601の層構成を示す拡大断面図を示す。本実施形態では、第1の実施形態と、蓋体の層構成のみが異なる。剥離用ハーフカット605及び湯切り孔用ハーフカット606は、それぞれ第1の実施形態の剥離用ハーフカット105及び湯切り孔用ハーフカット106と同様である。また、ミシン目611は、第3の実施形態のミシン目311と同様、インキ及び紙層に設けられている
【0032】
蓋体601の表面材603は、容器の外方となる側から内方に向かって、インキ/紙/接着剤/PETの層構成を有している。また、基材602は、表面材603に接する側から、容器の内方に向かって、PE/1軸延伸PE/AC剤/シーラントの層構成を有している。
【0033】
本実施形態に係る蓋体601では、第5の実施形態に係る蓋体501と同様、湯切り孔用ハーフカット606が、基材602の側から、表面材603のPET層の内部にまで形成されているが、紙層には形成されていない。そのため、第2及び第4の実施形態のように、PET及び接着剤の層をさらに設けて紙層を保護する必要がない。
【0034】
また、蓋体の形状として、図1に示すものの他、剥離タブの位置や個数、湯切り孔の位置、形状及び個数、剥離用ハーフカットの位置や形状、ミシン目の位置、形状及び個数等について、多様なバリエーションが存在するが、第1〜第6の実施形態に係る蓋体101〜601の層構成に、いずれの形状を組み合わせてもよい。
【0035】
例えば、図12に示す蓋体701が挙げられる。蓋体701は、第1の実施形態に係る蓋体101において、異なる形状のミシン目711を設けたものである。
【0036】
また、ミシン目111及び711は、複数の切れ目の列を複数並列させることにより形成されているが、1列分の切れ目だけで形成されていても良い。また、ミシン目111及び711は、各列の延伸方向に対して斜めの切れ目により構成されているが、各列の延伸方向と同一方向の切れ目により構成しても良い。さらに切れ目を連続させて、ミシン目の代わりにハーフカットを設けてもよい。
【0037】
以上のように、本発明では、基材に強度を有するPET又は1軸延伸PEを用いることにより、蓋体の湯切り部を破断しにくくすることができる。これにより、排湯時に湯切り孔間の部分が破断して孔径が拡大して食品が流出することを防ぐことができる。また、湯切り部を引っ張って容器から除去する際、湯切り部が残存して喫食に支障を来たすことを防ぐことができる。また、アルミ箔を用いないことにより、廃棄時の分別を容易化及び焼却効率の向上を図ることができ、また、金属探知機による製品の内部検査が可能となる。さらにまた、表面材のインキ及び紙層にミシン目を設けることにより、アルミ箔を用いなくてもデッドホールド性を付与することができる。
【0038】
また、蓋体の形状として、図1及び図12に示すものの他、剥離タブの位置や個数、湯切り孔の位置、形状及び個数、剥離用ハーフカットの位置や形状の態様等について、多様なバリエーションが存在するが、いずれの形状と上述の各層構成とを組み合わせてもよい。バリエーションの例として、図13及び図14に蓋体1701を示す。図13は本実施形態に係る蓋体1701の平面図である。また、図14は蓋体1701の底面図である。蓋体1701では、剥離用タブ1707と剥離開始用ハーフカット1709は、蓋体1701の中心部を挟んで、開封用タブ1704のちょうど対向位置に設けられている。また、剥離用ハーフカット1705は、剥離用タブ1707を取り囲む曲線形状で設けられている。蓋体1701においても、図15に示すように、蓋体101と同様、剥離用タブ1707をめくることによって、表面材1703が剥離用ハーフカット1705に沿って切断されながら、完全に剥離される。この際、基材1702の湯切り孔用ハーフカット1706に囲まれた部分については、表面材1703に随伴して除去されるため、容器120に残った基材1702には湯切り孔1710が形成される。ミシン目1711は、ミシン目111と同様のものを図示しているが、上述同様、異なる形状のものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、食品等の容器を封止するための蓋体に有用である。
【符号の説明】
【0040】
101、201、301、401、501、601、701、901、1701 蓋体
102、202、302、402、502、602、902、1702 基材
103、203、303、403、503、603、903、1703 表面材
104、904、1704 開封用タブ
105、205、305、405、505、605、905、1705 剥離用ハーフカット
106、206、306、406、506、606、906、1706 湯切り孔用ハーフカット
107、907、1707 剥離用タブ
108、908、1708 湯切り部
109、1709 剥離開始用ハーフカット
110、1710 湯切り孔
111、211、311、411、511、611、711、1711 ミシン目
120、920 容器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙又は樹脂の積層体からなり、カップ容器の開口部を封止する蓋体であって、
ポリエチレンテレフタレート又は延伸ポリエチレンの層を含む積層体からなり、前記開口部にシールされるシート状の基材と、
前記基材に剥離可能に積層されたシート状の表面材とを備え、
前記表面材には、その外周縁の一部を含む第1の領域と、当該外周縁の他の部分を含む第2の領域とを区画する第1の切断線が形成され、
前記第1の領域に対応する前記表面材の一部を剥離することによって、前記基材に複数の湯切り孔が形成されるように、前記第1の領域に対応する前記基材の一部に、当該基材を貫通する環状の第2の切断線が複数形成され、
前記表面材は、前記第1の切断線と交差せずに、前記第2の領域を二分する直線に沿って、当該表面材の折り曲げ抵抗を減ずる第3の切断線が連続的又は断続的に形成された紙又は樹脂の層を含む、蓋体。
【請求項2】
前記表面材は、表面から順にインキ/紙/目止めニス/剥離ニスの層構成を含み、
前記基材は、前記表面材に接する側から順にポリエチレン/(ポリエチレンテレフタレート又は延伸ポリエチレン)/アンカーコート剤/シーラントの層構成を含む、請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
前記表面材は、表面から順にインキ/紙/ポリエチレンの層構成を含み、
前記基材は、前記表面材に接する側から順に(ポリエチレンテレフタレート又は延伸ポリエチレン)/アンカーコート剤/シーラントの層構成を含む、請求項1に記載の蓋体。
【請求項4】
前記表面材の前記インキ層の表面側に、ポリエチレンテレフタレートをさらに積層した、請求項2又は3に記載の蓋体。
【請求項5】
前記表面材は、表面から順にインキ/紙/接着剤/ポリエチレンテレフタレートの層構成を含み、
前記基材は、前記表面材に接する側から順にポリエチレン/アンカーコート剤/ポリエチレンテレフタレート/アンカーコート剤/シーラントの層構成を含む、請求項1に記載の蓋体。
【請求項6】
前記表面材は、表面から順にインキ/紙/接着剤/ポリエチレンテレフタレートの層構成を含み、
前記基材は、前記表面材に接する側から順にポリエチレン/延伸ポリエチレン/接着剤/アンカーコート剤/シーラントの層構成を含む、請求項1に記載の蓋体。
【請求項1】
紙又は樹脂の積層体からなり、カップ容器の開口部を封止する蓋体であって、
ポリエチレンテレフタレート又は延伸ポリエチレンの層を含む積層体からなり、前記開口部にシールされるシート状の基材と、
前記基材に剥離可能に積層されたシート状の表面材とを備え、
前記表面材には、その外周縁の一部を含む第1の領域と、当該外周縁の他の部分を含む第2の領域とを区画する第1の切断線が形成され、
前記第1の領域に対応する前記表面材の一部を剥離することによって、前記基材に複数の湯切り孔が形成されるように、前記第1の領域に対応する前記基材の一部に、当該基材を貫通する環状の第2の切断線が複数形成され、
前記表面材は、前記第1の切断線と交差せずに、前記第2の領域を二分する直線に沿って、当該表面材の折り曲げ抵抗を減ずる第3の切断線が連続的又は断続的に形成された紙又は樹脂の層を含む、蓋体。
【請求項2】
前記表面材は、表面から順にインキ/紙/目止めニス/剥離ニスの層構成を含み、
前記基材は、前記表面材に接する側から順にポリエチレン/(ポリエチレンテレフタレート又は延伸ポリエチレン)/アンカーコート剤/シーラントの層構成を含む、請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
前記表面材は、表面から順にインキ/紙/ポリエチレンの層構成を含み、
前記基材は、前記表面材に接する側から順に(ポリエチレンテレフタレート又は延伸ポリエチレン)/アンカーコート剤/シーラントの層構成を含む、請求項1に記載の蓋体。
【請求項4】
前記表面材の前記インキ層の表面側に、ポリエチレンテレフタレートをさらに積層した、請求項2又は3に記載の蓋体。
【請求項5】
前記表面材は、表面から順にインキ/紙/接着剤/ポリエチレンテレフタレートの層構成を含み、
前記基材は、前記表面材に接する側から順にポリエチレン/アンカーコート剤/ポリエチレンテレフタレート/アンカーコート剤/シーラントの層構成を含む、請求項1に記載の蓋体。
【請求項6】
前記表面材は、表面から順にインキ/紙/接着剤/ポリエチレンテレフタレートの層構成を含み、
前記基材は、前記表面材に接する側から順にポリエチレン/延伸ポリエチレン/接着剤/アンカーコート剤/シーラントの層構成を含む、請求項1に記載の蓋体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−51639(P2012−51639A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198063(P2010−198063)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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