容器体
【課題】透過フィルムからの不透過性フィルムの剥離を確実に行うことができる容器体を提供する。
【解決手段】容器体1の下面をプラスチックシート41で形成し、容器本体31の容器部42に芳香液43を収容する。プラスチックシート41に透過フィルム81を積層し、透過フィルム81に不透過性フィルム91を積層する。不透過性フィルム91が積層された透過フィルム81を熱圧着でプラスチックシート41に接合し、容器本体31のフランジ52と延出部22に接合する。フランジ52の切り込み溝71側に、透過フィルム81がフランジ52に接合されない非接合部111を形成し、接合部112と非接合部111の境界線113をく字状に形成する。この折曲部121の頂点部131から透過フィルム81とフランジ52が線状に接合されてなる中央線状接合部141を延出部22へ向けて延出し、その両脇からも側部線状接合部151を延出部22へ向けて延出する。
【解決手段】容器体1の下面をプラスチックシート41で形成し、容器本体31の容器部42に芳香液43を収容する。プラスチックシート41に透過フィルム81を積層し、透過フィルム81に不透過性フィルム91を積層する。不透過性フィルム91が積層された透過フィルム81を熱圧着でプラスチックシート41に接合し、容器本体31のフランジ52と延出部22に接合する。フランジ52の切り込み溝71側に、透過フィルム81がフランジ52に接合されない非接合部111を形成し、接合部112と非接合部111の境界線113をく字状に形成する。この折曲部121の頂点部131から透過フィルム81とフランジ52が線状に接合されてなる中央線状接合部141を延出部22へ向けて延出し、その両脇からも側部線状接合部151を延出部22へ向けて延出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部が透過フィルムで覆われた容器体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器体に香料が収容された芳香剤が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この芳香剤は、プラスチック製の容器体に芳香液が収容されており、当該容器体の開口部は、気化した香料を透過する透過フィルムで覆われている。この透過フィル上には、気化した香料の透過を防止する不透過性フィルムが積層されており、使用前での香料の拡散を防止できるように構成されている。
【0004】
この芳香剤を使用する際には、前記容器体から前記不透過性フィルムを剥離して、前記透過フィルムを露出する。これにより、気化した香料を前記透過フィルムを介して拡散できるように構成されている。
【0005】
このとき、前記透過フィルムは、前記容器体の開口部の外周部に設けられたフランジに接合されているが、前記不透過性フィルムを剥離する際に前記透過フィルムが前記不透過性フィルムと共に剥がれてしまう恐れがある。
【0006】
このため、前記容器体では、前記透過フィルムと前記フランジとの接合部の一部を三角形状に形成し、前記透過フィルムの周縁部に、該透過フィルムが前記不透過性フィルムと前記フランジとに接合された三角状接合部と、前記不透過性フィルムのみに接合され前記フランジに接合されない非接合部とが形成されている。
【0007】
これにより、前記容器体から前記不透過性フィルムを剥離する際には、前記非接合部から前記不透過性フィルムを捲ることによって、該不透過性フィルムに接合された前記透過フィルムが前記三角状接合部の頂点にて裂け、前記不透過性フィルムからの前記透過フィルムの剥離を促進できるように構成されている。
【特許文献1】意匠登録第1129277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような従来の容器体にあっては、前記不透過性フィルムが前記三角状接合部の頂点で裂けても、その後は前記三角形状接合部の斜面に沿って裂けなかったり、前記不透過性フィルムが前記三角状接合部の斜面へ向けて剥離された際には、裂くために必要以上の力が必要で、無理に剥離しようとすると、前記透過性フィルムが前記不透過性フィルムと共に剥離してしまい、内部に収納した香料が漏れてしまうといった問題が生じてしまうことがあった。
【0009】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、透過フィルムからの不透過性フィルムの剥離を確実に行うことができる容器体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の容器体にあっては、容器部の開口部を覆う透過フィルムが前記開口部の外周部に形成されたフランジに接合され、当該透過フィルム上に不透過性フィルムが積層される一方、前記フランジの周縁側に、前記透過フィルムが前記フランジに接合されない非接合部が形成され、該非接合部より前記不透過性フィルムを剥離する際に、前記透過フィルムが前記フランジに接合された接合部と前記非接合部との境界線に沿って前記透過フィルムを引き裂くことで前記開口部を覆った前記透過フィルムを前記容器部に残存させた状態で前記不透過性フィルムが前記透過フィルムから剥離される容器体において、前記透過フィルムと前記フランジとを線状に接合した線状接合部を、前記接合部の縁から前記非接合部内へ向けて延設した。
【0011】
すなわち、容器部から不透過性フィルムを剥離する際には、前記容器部のフランジに透過フィルムが接合されない非接合部から前記不透過性フィルムを剥離する。
【0012】
すると、前記不透過性フィルムと共に剥離された前記透過フィルムは、前記線状接合部に達した際に、その先端で裂けが生じ、当該透過フィルムは、前記非接合部と前記接合部の境界線に沿って引き裂かれる。
【0013】
このとき、前記線状接合部は、前記透過フィルムが前記フランジに接合された接合部の縁から前記非接合部内へ向けて延設されており、前記不透過性フィルムが、例えば前記線状接合部に対して斜め方向に剥離された場合であっても、前記不透過性フィルムと共に剥離される前記透過フィルムが前記線状接合部の先端に到達した時点で、当該線状接合部の先端を起点として前記透過フィルムを裂くことができる。
【0014】
そして、前記線状接合部は、線状に形成されているため、前記透過フィルムを裂く力を前記線状接合部先端の一点に集中することができる。
【0015】
また、請求項2の容器体においては、前記線状接合部を、前記非接合部の縁まで延設した。
【0016】
すなわち、前記線状接合部は、前記非接合部の縁まで延設されており、前記不透過性フィルムと共に前記透過フィルムの剥離を開始する時点において、該透過フィルムは前記線状接合部に沿って裂かれる。
【0017】
さらに、請求項3の容器体では、前記線状接合部を前記境界線の略中央に設けた。
【0018】
これにより、前記透過フィルムは、前記境界線の略中央に設けた前記線状接合部より裂かれた後、前記境界線に沿って裂かれる。
【0019】
また、請求項4の容器体にあっては、前記境界線にくの字状に屈曲した折曲部を設け、該折曲部の頂点部より前記線状接合部を延出した。
【0020】
これにより、前記線状接合部に沿って裂かれた裂け目は、前記線状接合部の基端より前記境界線の頂点部より斜め方向に広げられる。
【0021】
さらに、請求項5の容器体においては、前記折曲部の頂点部の両脇に前記線状接合部をさらに設けた。
【0022】
これにより、前記折曲部の頂点部の両脇に設けられた前記線状接合部からも前記透過フィルムを裂くことができる。
【0023】
加えて、請求項6の容器体にあっては、前記境界線の両端に前記線状接合部をさらに設けた。
【0024】
これにより、前記境界線の両端に設けられた前記線状接合部においても、前記透過フィルムの裂けを促進することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明の請求項1の容器体にあっては、フランジに透過フィルムが接合されない非接合部から不透過性フィルムを剥離する際に、前記不透過性フィルムが、例えば前記線状接合部に対して斜め方向に剥離された場合であっても、前記不透過性フィルムと共に剥離される前記透過フィルムを前記線状接合部の先端に先行して到達させ、当該線状接合部の先端を起点として前記透過フィルムを裂くことができる。
【0026】
このため、透過フィルムが接合部が三角形状に形成され、不透過性フィルムの剥離方向によっては力を要し、透過フィルムを不透過性フィルムと共に剥離してしまう恐れがあった従来と比較して、前記不透過性フィルムと共に剥離される前記透過フィルムを前記線状接合部の先端を起点として確実に裂くことで、前記透過フィルムからの前記不透過性フィルムの剥離を確実に行うことができる。
【0027】
そして、前記線状接合部は、線状に形成されており、前記透過フィルムを裂く力を前記線状接合部先端の一点に集中することができる。これにより、前記不透過性フィルム側の透過フィルムと前記容器部側の透過フィルムとを少ない力で確実に破断することができる。
【0028】
また、請求項2の容器体においては、前記線状接合部を、前記非接合部の縁まで延設することによって、前記不透過性フィルムと共に前記透過フィルムを剥離する時点から当該透過フィルムを前記線状接合部に沿って裂くことができる。
【0029】
さらに、請求項3の容器体では、前記線状接合部を前記境界線の略中央に設けることにより、当該透過フィルムを、前記境界線略中央の前記線状接合部より裂いた後、前記境界線に沿って、その両端へ向けて裂くことができる。
【0030】
また、請求項4の容器体にあっては、前記境界線にくの字状に屈曲した折曲部を設け、該折曲部の頂点部より前記線状接合部を延出したので、前記線状接合部に沿って裂かれた裂け目を、前記線状接合部の基端より前記境界線の頂点部より斜め方向に広げることができる。
【0031】
このため、直線状に形成された境界線と前記線状接合部とが直交する場合と比較して、前記透過フィルムの裂け目を前記線状接合部から前記境界線へスムーズに繋げることができる。
【0032】
さらに、請求項5の容器体においては、前記折曲部の頂点部の両脇に前記線状接合部をさらに設けたので、前記頂点部の両脇に設けられた前記線状接合部からも前記透過フィルムを裂くことができる。
【0033】
これにより、前記頂点部のみに線状接合部が設けられた場合と比較して、前記透過フィルムの裂け目を前記境界線へより確実に繋げることができる。
【0034】
加えて、請求項6の容器体にあっては、前記境界線の両端に前記線状接合部をさらに設けたので、前記境界線の両端での前記透過フィルムの裂けを促進することができる。
【0035】
これにより、前記頂点部のみに線状接合部が設けられた場合と比較して、前記境界線両端での前記透過フィルムの裂けを確実にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の一の実施の形態を図に従って説明する。
【0037】
図1は、本実施の形態にかかる容器体1を備えた芳香剤2を示す図であり、該芳香剤2は、タンスの引出等に入れて使用するものである。
【0038】
この芳香剤2は、ケーシング11と、該ケーシング11に収容された前記容器体1とによって構成されている。前記ケーシング11は、薄型の矩形状に形成されており、当該ケーシング11内には、上面ケース12と下面ケース13とを連結するとともに収容された容器体1を位置決めする支柱部14,・・・が四ヶ所に設けられている(二箇所のみ図示)。
【0039】
このケーシング11の側面には、内部に連通する開口部15,15が開設されており(図1の(b)参照)、前記容器体1の上面より揮散した香料を、この開口部15,15と後述するスリット21から外部へ拡散できるように構成されている。
【0040】
前記ケーシング11の側面には、スリット21が設けられており、前記容器体1より延出した延出部22を延出できるように構成されており、前記スリット21から前記延出部22を引き抜けるように構成されている。
【0041】
前記容器体1は、図2に示すように、円形状の容器本体31と、該容器本体31より延出した前記延出部22とによって構成されている。
【0042】
この容器体1は、図3に示すように、下面がプラスチックシート41で形成されており、前記容器本体31には、下方へ膨出した容器部42が形成されている。この容器部42内には、芳香液43が収容されており、前記プラスチックシート41によって前記芳香液43の染み出しが防止されている。
【0043】
前記容器部42に形成された上部開口部51の外周部には、図2にも示すように、側方へ延出したフランジ52が一体形成されており、該フランジ52は、前記上部開口部51を包囲するととも四隅が円弧状に切欠され切欠部53,・・・が形成されている。これにより、図1に示したように、当該容器体1を前記ケーシング11に収容した状態において、前記支柱部14,・・・が前記各切欠部53,・・・に位置することで、当該容器体1を前記ケーシング11内に位置決めできるように構成されている。
【0044】
前記フランジ52からは、図2及び図3に示したように、図中左方に延出する前記延出部22が延出しており、該延出部22の先端部には、当該延出部22の幅方向に延在する下方へ膨出した滑り止め61,・・・が三箇所に延設されている。
【0045】
そして、前記フランジ52と前記延出部22との間には、切り込み溝71が前記延出部22を横断するように延設されており、図1の(a)及び(b)に示したように、当該切り込み溝71で前記延出部22を前記容器本体31の側に折曲することで、当該延出部22を前記容器本体31上に折り返せるように構成されている。
【0046】
このとき、前記延出部22は、前記容器本体31より十分に長い長さ寸法に設定されており、当該延出部22は、折返し状態において、その先端部を前記容器本体31より突出できるように構成されている。これにより、当該容器体1を前記ケーシング11に収容した状態で、前記延出部22の先端部を前記スリット21から延出できるように構成されている。
【0047】
この容器体1を構成する前記プラスチックシート41の上面には、図3に示したように、透過フィルム81が積層されており、該透過フィルム81は、気化した前記芳香液43を透過する透過膜で構成されている。これにより、前記容器部42の前記上部開口部51は、前記透過フィルム81によって覆われており、前記芳香液43の染み出しが防止される一方、気化された芳香液43を揮散できるように構成されている。
【0048】
この透過フィルム81上には、不透過性フィルム91が積層されており、該不透過性フィルム91は、前記芳香液43の透過及び気化した前記芳香液43の透過を許容しない非透過性を備えている。これにより、当該不透過性フィルム91が前記透過フィルム81に積層された状態において、前記透過フィルム81からの前記芳香液43の不用意な揮散を防止できるように構成されている。
【0049】
前記不透過性フィルム91が積層された前記透過フィルム81は、前記不透過性フィルム91を介して前記透過フィルム81を加熱して前記プラスチックシート41に圧接する熱圧着によって、当該プラスチックシート41に接合されており、前記不透過性フィルム91が積層された前記透過フィルム81を前記プラスチックシート41に接合できるように構成されている。
【0050】
この圧着部位としては、前記容器本体31に形成された前記フランジ52と前記延出部22とが挙げられ、前記透過フィルム81は、前記上部開口部51の外周部より延出した前記フランジ52に接合されるとともに、前記延出部22に接合されている。
【0051】
この延出部22では、図2に示したように、前記滑り止め61,・・・が形成された部位に、前記透過フィルム81が接合され無い延出部側非接合部101が形成されており、前記透過フィルム81が前記延出部22に接合された延出部側接合部102の内側には、当該延出部22の先端側を向いた矢印部103が前記延出部側非接合部101によって形成されている。これにより、当該延出部22を前記切り込み溝71で折曲した状態で、前記ケーシング11から突出する先端部に、矢印形状の前記矢印部103が露出するように構成されている。
【0052】
また、前記フランジ52には、図2に示したように、前記延出部22と区画する前記切り込み溝71側の周縁側に、前記透過フィルム81が前記フランジ52に接合されない非接合部111が形成されており、前記透過フィルム81が前記フランジ52に接合された接合部112と前記非接合部111との境界線113が前記延出部22を横断するように延設されている。
【0053】
これにより、前記非接合部111より前記不透過性フィルム91を剥離する際には、前記接合部112と前記非接合部111との前記境界線113に沿って、前記透過フィルム81を引き裂くことにより、前記上部開口部51を覆った前記透過フィルム81を前記容器本体31に残存させた状態で、前記不透過性フィルム91を前記透過フィルム81から剥離できるように構成されている。
【0054】
前記接合部112は、前記延出部22側の縁部が前記切り込み溝71側へ突出した三角形状に形成されており、当該接合部112と前記非接合部111との前記境界線113は、くの字状に形成され、前記延出部22側に突出して折曲した折曲部121が当該境界線113の中央部に形成されている。
【0055】
この折曲部121の頂点部131からは、図2及び図4の(a)に示すように、前記透過フィルム81と前記フランジ52とが線状に接合されてなる中央線状接合部141が前記延出部22側へ向けて延出しており、当該中央線状接合部141は、前記接合部112の縁から前記非接合部111内へ向けて延設されている。この中央線状接合部141は、前記非接合部111の縁まで延設されており、前記切り込み溝71を超えて前記延出部22の延出部側接合部102に達している。
【0056】
また、前記境界線113における前記折曲部121の前記頂点部131の両脇からも、前記透過フィルム81と前記フランジ52とが線状に接合されてなる側部線状接合部151,151が前記延出部22側へ向けて延出しており、当該側部線状接合部151,151も、前記接合部112の縁から前記非接合部111内へ向けて延設されている。この側部線状接合部151,151も、前記非接合部111の縁まで延設されており、前記切り込み溝71を超えて前記延出部22の延出部側接合部102に達している。
【0057】
そして、前記境界線113の両端部では、前記接合部112が幅広に形成されており、前記境界線113の両端部からは、前記透過フィルム81と前記フランジ52とが前記接合部112よりさらに強く線状に圧接されてなる前記端部線状接合部161,161が当該接合部112内へ向けて延設されている。
【0058】
すなわち、この容器体1を製造する際には、前記プラスチックシート41で形成されたトレー状の容器に、前記不透過性フィルム91と前記透過性フィルム81が積層されたフィルムをヒートシールする。そして、その後工程において、前記各線状接合部141,151,151,161,161を熱圧着によって熱シールした後、最後に型抜きして前記容器体1を形成するように構成されている。
【0059】
そして、この容器体1は、図1の(a)及び(b)に示したように、前記切り込み溝71で前記延出部22が折曲され前記容器本体31の側に折り返された状態で、前記ケーシング11内に収容されるように構成されており、この状態において、前記フランジ52に形成された各切欠部53,・・・が前記支柱部14,・・・に位置することによって、当該容器体1を前記ケーシング11内に位置決めでき、前記スリット21から延出した前記延出部22を引き抜くことによって、前記容器部42の前記上部開口部51を閉鎖した前記透過フィルム81から前記不透過性フィルム91を剥離できるように構成されている。
【0060】
以上の構成にかかる本実施の形態において、芳香剤2のケーシング11に収容された容器体1から不透過性フィルム91を剥離する際には、前記ケーシング11のスリット21から延出した延出部22を引き抜く。すると、前記延出部22を構成するプラスチックシート41が前記切り込み溝71にて前記容器本体31と分離され、当該延出部のプラスチックシート41に延出部側接合部102を介して前記延出部22に接合された前記透過フィルム81が、前記容器本体31のフランジ52に接合されない非接合部111から積層された前記不透過性フィルム91と共に剥離される。
【0061】
すると、この不透過性フィルム91と共に剥離された前記透過フィルム81は、前記各線状接合部141,151,151に達した際に、その先端で裂けが生じ、当該透過フィルム81は、前記非接合部111と前記接合部112との境界線113に沿って引き裂かれる。
【0062】
このとき、前記各線状接合部141,151,151は、前記透過フィルム81が前記フランジ52に接合された接合部112の縁から前記非接合部111内へ向けて延設されており、前記不透過性フィルム91が、例えば前記各線状接合部141,151,151に対して斜め方向に剥離された場合であっても、前記不透過性フィルム91と共に剥離される前記透過フィルム81が前記各線状接合部141,151,151の先端に到達した時点で、当該線状接合部141,151,151の先端を起点として前記透過フィルム81を裂くことができる。
【0063】
このため、前記透過フィルム81の接合部112が三角形状に形成され、不透過性フィルム91の剥離方向によっては力を要し、透過フィルム81を不透過性フィルム91と共に剥離してしまう恐れがあった従来と比較して、前記不透過性フィルム91と共に剥離される前記透過フィルム81を前記各線状接合部141,151,151の先端を起点として確実に裂くことで、前記透過フィルム81からの前記不透過性フィルム91の剥離を確実に行うことができる。
【0064】
そして、前記各線状接合部141,151,151は、線状に形成されているため、前記透過フィルム81を裂く力を前記線状接合部141,151,151先端の一点に集中することができる。これにより、前記不透過性フィルム91側の透過フィルム81と前記容器本体31側の透過フィルム81とを少ない力で確実に破断することができる。
【0065】
また、前記各線状接合部141,151,151は、前記非接合部111の縁まで延設されており、前記不透過性フィルム91と共に前記透過フィルム81を剥離する時点から当該透過フィルム81を前記各線状接合部141,151,151に沿って裂くことができる。
【0066】
そして、前記中央線状接合部141を前記境界線113の略中央に設けることにより、当該透過フィルム81を、前記境界線113略中央の前記中央線状接合部141より裂いた後、前記境界線113に沿って、その両端へ向けて裂くことができる。
【0067】
このとき、前記境界線113には、くの字状に屈曲した折曲部121が中央部に設けられており、この折曲部121の頂点部131より前記中央線状接合部141が延出している。このため、前記中央線状接合部141に沿って裂かれた裂け目を、当該中央線状接合部141の基端より前記境界線113の頂点部131より斜め方向に広げることができる。
【0068】
このため、直線状に形成された境界線113と前記中央線状接合部141とが直交する場合と比較して、前記透過フィルム81の裂け目を前記中央線状接合部141から前記境界線113へスムーズに繋げることができる。
【0069】
そして、前記折曲部121の前記頂点部131の両脇に前記側部線状接合部151,151をさらに設けたので、前記頂点部131の両脇に設けられた前記側部線状接合部151,151からも前記透過フィルム81を裂くことができる。
【0070】
これにより、前記頂点部131のみに前記中央線状接合部141が設けられた場合と比較して、前記透過フィルム81の裂け目を前記境界線113へより確実に繋げることができる。
【0071】
また、本実施の形態では、前記境界線113の両端部において、前記接合部112が幅広となるように形成されており、この境界線113の両端部からは、前記端部線状接合部161,161が当該接合部112内へ向けて延設されている。
【0072】
これにより、前記接合部112が幅広となる前記境界線の両端においても、前記線状接合部161,161から前記透過フィルム81を裂くことができる。
【0073】
これにより、前記頂点部131のみに線状接合部141が設けられた場合と比較して、前記透過フィルム81を前記境界線113の両端で確実に裂くことができる。
【0074】
なお、本実施の形態では、前記境界線113から延出した前記各線状接合部141,151,151の先端位置を同位置に設定した場合に付いて説明したが、これに限定されるものでは無い。
【0075】
例えば、図4の(b)に示すように、前記中央線状接合部141の両脇に設けられた前記側部線状接合部151,151の先端位置を、前記中央線状接合部141の先端位置より基端側に設定してもよい。
【0076】
この場合、前記非接合部111から前記透過フィルム81を剥離する際に、該透過フィルム81が前記各線状接合部141,151,151に到達し、当該透過フィルム81が裂けを開始する開始位置に差を設けることができる。
【0077】
これにより、最初の達する前記中央線状接合部141先端での裂けに力を集中することができ、前記透過フィルム81の裂け易さを促進することができる。
【0078】
また、各実施の形態では、前記各線状接合部141,151,151の先端が前記延出部側接合部102に達するように延設された場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、前記各線状接合部141,151,151は、前記延出部側接合部102に達しなくても良い。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図で、(a)は要部を透明化した平面図であり、(b)要部の断面図である。
【図2】同実施の形態の容器体を示す平面図である。
【図3】同実施の形態の容器体を示す要部の断面図である。
【図4】(a)は、同実施の形態の要部の拡大図であり、(b)は他の実施の形態の要部の拡大図である。
【符号の説明】
【0080】
1 容器体
2 芳香剤
42 容器部
51 上部開口部
52 フランジ
81 透過フィルム
91 不透過性フィルム
111 非接合部
112 接合部
113 境界線
121 折曲部
131 頂点部
141 中央線状接合部
151 側部線状接合部
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部が透過フィルムで覆われた容器体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器体に香料が収容された芳香剤が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この芳香剤は、プラスチック製の容器体に芳香液が収容されており、当該容器体の開口部は、気化した香料を透過する透過フィルムで覆われている。この透過フィル上には、気化した香料の透過を防止する不透過性フィルムが積層されており、使用前での香料の拡散を防止できるように構成されている。
【0004】
この芳香剤を使用する際には、前記容器体から前記不透過性フィルムを剥離して、前記透過フィルムを露出する。これにより、気化した香料を前記透過フィルムを介して拡散できるように構成されている。
【0005】
このとき、前記透過フィルムは、前記容器体の開口部の外周部に設けられたフランジに接合されているが、前記不透過性フィルムを剥離する際に前記透過フィルムが前記不透過性フィルムと共に剥がれてしまう恐れがある。
【0006】
このため、前記容器体では、前記透過フィルムと前記フランジとの接合部の一部を三角形状に形成し、前記透過フィルムの周縁部に、該透過フィルムが前記不透過性フィルムと前記フランジとに接合された三角状接合部と、前記不透過性フィルムのみに接合され前記フランジに接合されない非接合部とが形成されている。
【0007】
これにより、前記容器体から前記不透過性フィルムを剥離する際には、前記非接合部から前記不透過性フィルムを捲ることによって、該不透過性フィルムに接合された前記透過フィルムが前記三角状接合部の頂点にて裂け、前記不透過性フィルムからの前記透過フィルムの剥離を促進できるように構成されている。
【特許文献1】意匠登録第1129277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような従来の容器体にあっては、前記不透過性フィルムが前記三角状接合部の頂点で裂けても、その後は前記三角形状接合部の斜面に沿って裂けなかったり、前記不透過性フィルムが前記三角状接合部の斜面へ向けて剥離された際には、裂くために必要以上の力が必要で、無理に剥離しようとすると、前記透過性フィルムが前記不透過性フィルムと共に剥離してしまい、内部に収納した香料が漏れてしまうといった問題が生じてしまうことがあった。
【0009】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、透過フィルムからの不透過性フィルムの剥離を確実に行うことができる容器体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の容器体にあっては、容器部の開口部を覆う透過フィルムが前記開口部の外周部に形成されたフランジに接合され、当該透過フィルム上に不透過性フィルムが積層される一方、前記フランジの周縁側に、前記透過フィルムが前記フランジに接合されない非接合部が形成され、該非接合部より前記不透過性フィルムを剥離する際に、前記透過フィルムが前記フランジに接合された接合部と前記非接合部との境界線に沿って前記透過フィルムを引き裂くことで前記開口部を覆った前記透過フィルムを前記容器部に残存させた状態で前記不透過性フィルムが前記透過フィルムから剥離される容器体において、前記透過フィルムと前記フランジとを線状に接合した線状接合部を、前記接合部の縁から前記非接合部内へ向けて延設した。
【0011】
すなわち、容器部から不透過性フィルムを剥離する際には、前記容器部のフランジに透過フィルムが接合されない非接合部から前記不透過性フィルムを剥離する。
【0012】
すると、前記不透過性フィルムと共に剥離された前記透過フィルムは、前記線状接合部に達した際に、その先端で裂けが生じ、当該透過フィルムは、前記非接合部と前記接合部の境界線に沿って引き裂かれる。
【0013】
このとき、前記線状接合部は、前記透過フィルムが前記フランジに接合された接合部の縁から前記非接合部内へ向けて延設されており、前記不透過性フィルムが、例えば前記線状接合部に対して斜め方向に剥離された場合であっても、前記不透過性フィルムと共に剥離される前記透過フィルムが前記線状接合部の先端に到達した時点で、当該線状接合部の先端を起点として前記透過フィルムを裂くことができる。
【0014】
そして、前記線状接合部は、線状に形成されているため、前記透過フィルムを裂く力を前記線状接合部先端の一点に集中することができる。
【0015】
また、請求項2の容器体においては、前記線状接合部を、前記非接合部の縁まで延設した。
【0016】
すなわち、前記線状接合部は、前記非接合部の縁まで延設されており、前記不透過性フィルムと共に前記透過フィルムの剥離を開始する時点において、該透過フィルムは前記線状接合部に沿って裂かれる。
【0017】
さらに、請求項3の容器体では、前記線状接合部を前記境界線の略中央に設けた。
【0018】
これにより、前記透過フィルムは、前記境界線の略中央に設けた前記線状接合部より裂かれた後、前記境界線に沿って裂かれる。
【0019】
また、請求項4の容器体にあっては、前記境界線にくの字状に屈曲した折曲部を設け、該折曲部の頂点部より前記線状接合部を延出した。
【0020】
これにより、前記線状接合部に沿って裂かれた裂け目は、前記線状接合部の基端より前記境界線の頂点部より斜め方向に広げられる。
【0021】
さらに、請求項5の容器体においては、前記折曲部の頂点部の両脇に前記線状接合部をさらに設けた。
【0022】
これにより、前記折曲部の頂点部の両脇に設けられた前記線状接合部からも前記透過フィルムを裂くことができる。
【0023】
加えて、請求項6の容器体にあっては、前記境界線の両端に前記線状接合部をさらに設けた。
【0024】
これにより、前記境界線の両端に設けられた前記線状接合部においても、前記透過フィルムの裂けを促進することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明の請求項1の容器体にあっては、フランジに透過フィルムが接合されない非接合部から不透過性フィルムを剥離する際に、前記不透過性フィルムが、例えば前記線状接合部に対して斜め方向に剥離された場合であっても、前記不透過性フィルムと共に剥離される前記透過フィルムを前記線状接合部の先端に先行して到達させ、当該線状接合部の先端を起点として前記透過フィルムを裂くことができる。
【0026】
このため、透過フィルムが接合部が三角形状に形成され、不透過性フィルムの剥離方向によっては力を要し、透過フィルムを不透過性フィルムと共に剥離してしまう恐れがあった従来と比較して、前記不透過性フィルムと共に剥離される前記透過フィルムを前記線状接合部の先端を起点として確実に裂くことで、前記透過フィルムからの前記不透過性フィルムの剥離を確実に行うことができる。
【0027】
そして、前記線状接合部は、線状に形成されており、前記透過フィルムを裂く力を前記線状接合部先端の一点に集中することができる。これにより、前記不透過性フィルム側の透過フィルムと前記容器部側の透過フィルムとを少ない力で確実に破断することができる。
【0028】
また、請求項2の容器体においては、前記線状接合部を、前記非接合部の縁まで延設することによって、前記不透過性フィルムと共に前記透過フィルムを剥離する時点から当該透過フィルムを前記線状接合部に沿って裂くことができる。
【0029】
さらに、請求項3の容器体では、前記線状接合部を前記境界線の略中央に設けることにより、当該透過フィルムを、前記境界線略中央の前記線状接合部より裂いた後、前記境界線に沿って、その両端へ向けて裂くことができる。
【0030】
また、請求項4の容器体にあっては、前記境界線にくの字状に屈曲した折曲部を設け、該折曲部の頂点部より前記線状接合部を延出したので、前記線状接合部に沿って裂かれた裂け目を、前記線状接合部の基端より前記境界線の頂点部より斜め方向に広げることができる。
【0031】
このため、直線状に形成された境界線と前記線状接合部とが直交する場合と比較して、前記透過フィルムの裂け目を前記線状接合部から前記境界線へスムーズに繋げることができる。
【0032】
さらに、請求項5の容器体においては、前記折曲部の頂点部の両脇に前記線状接合部をさらに設けたので、前記頂点部の両脇に設けられた前記線状接合部からも前記透過フィルムを裂くことができる。
【0033】
これにより、前記頂点部のみに線状接合部が設けられた場合と比較して、前記透過フィルムの裂け目を前記境界線へより確実に繋げることができる。
【0034】
加えて、請求項6の容器体にあっては、前記境界線の両端に前記線状接合部をさらに設けたので、前記境界線の両端での前記透過フィルムの裂けを促進することができる。
【0035】
これにより、前記頂点部のみに線状接合部が設けられた場合と比較して、前記境界線両端での前記透過フィルムの裂けを確実にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の一の実施の形態を図に従って説明する。
【0037】
図1は、本実施の形態にかかる容器体1を備えた芳香剤2を示す図であり、該芳香剤2は、タンスの引出等に入れて使用するものである。
【0038】
この芳香剤2は、ケーシング11と、該ケーシング11に収容された前記容器体1とによって構成されている。前記ケーシング11は、薄型の矩形状に形成されており、当該ケーシング11内には、上面ケース12と下面ケース13とを連結するとともに収容された容器体1を位置決めする支柱部14,・・・が四ヶ所に設けられている(二箇所のみ図示)。
【0039】
このケーシング11の側面には、内部に連通する開口部15,15が開設されており(図1の(b)参照)、前記容器体1の上面より揮散した香料を、この開口部15,15と後述するスリット21から外部へ拡散できるように構成されている。
【0040】
前記ケーシング11の側面には、スリット21が設けられており、前記容器体1より延出した延出部22を延出できるように構成されており、前記スリット21から前記延出部22を引き抜けるように構成されている。
【0041】
前記容器体1は、図2に示すように、円形状の容器本体31と、該容器本体31より延出した前記延出部22とによって構成されている。
【0042】
この容器体1は、図3に示すように、下面がプラスチックシート41で形成されており、前記容器本体31には、下方へ膨出した容器部42が形成されている。この容器部42内には、芳香液43が収容されており、前記プラスチックシート41によって前記芳香液43の染み出しが防止されている。
【0043】
前記容器部42に形成された上部開口部51の外周部には、図2にも示すように、側方へ延出したフランジ52が一体形成されており、該フランジ52は、前記上部開口部51を包囲するととも四隅が円弧状に切欠され切欠部53,・・・が形成されている。これにより、図1に示したように、当該容器体1を前記ケーシング11に収容した状態において、前記支柱部14,・・・が前記各切欠部53,・・・に位置することで、当該容器体1を前記ケーシング11内に位置決めできるように構成されている。
【0044】
前記フランジ52からは、図2及び図3に示したように、図中左方に延出する前記延出部22が延出しており、該延出部22の先端部には、当該延出部22の幅方向に延在する下方へ膨出した滑り止め61,・・・が三箇所に延設されている。
【0045】
そして、前記フランジ52と前記延出部22との間には、切り込み溝71が前記延出部22を横断するように延設されており、図1の(a)及び(b)に示したように、当該切り込み溝71で前記延出部22を前記容器本体31の側に折曲することで、当該延出部22を前記容器本体31上に折り返せるように構成されている。
【0046】
このとき、前記延出部22は、前記容器本体31より十分に長い長さ寸法に設定されており、当該延出部22は、折返し状態において、その先端部を前記容器本体31より突出できるように構成されている。これにより、当該容器体1を前記ケーシング11に収容した状態で、前記延出部22の先端部を前記スリット21から延出できるように構成されている。
【0047】
この容器体1を構成する前記プラスチックシート41の上面には、図3に示したように、透過フィルム81が積層されており、該透過フィルム81は、気化した前記芳香液43を透過する透過膜で構成されている。これにより、前記容器部42の前記上部開口部51は、前記透過フィルム81によって覆われており、前記芳香液43の染み出しが防止される一方、気化された芳香液43を揮散できるように構成されている。
【0048】
この透過フィルム81上には、不透過性フィルム91が積層されており、該不透過性フィルム91は、前記芳香液43の透過及び気化した前記芳香液43の透過を許容しない非透過性を備えている。これにより、当該不透過性フィルム91が前記透過フィルム81に積層された状態において、前記透過フィルム81からの前記芳香液43の不用意な揮散を防止できるように構成されている。
【0049】
前記不透過性フィルム91が積層された前記透過フィルム81は、前記不透過性フィルム91を介して前記透過フィルム81を加熱して前記プラスチックシート41に圧接する熱圧着によって、当該プラスチックシート41に接合されており、前記不透過性フィルム91が積層された前記透過フィルム81を前記プラスチックシート41に接合できるように構成されている。
【0050】
この圧着部位としては、前記容器本体31に形成された前記フランジ52と前記延出部22とが挙げられ、前記透過フィルム81は、前記上部開口部51の外周部より延出した前記フランジ52に接合されるとともに、前記延出部22に接合されている。
【0051】
この延出部22では、図2に示したように、前記滑り止め61,・・・が形成された部位に、前記透過フィルム81が接合され無い延出部側非接合部101が形成されており、前記透過フィルム81が前記延出部22に接合された延出部側接合部102の内側には、当該延出部22の先端側を向いた矢印部103が前記延出部側非接合部101によって形成されている。これにより、当該延出部22を前記切り込み溝71で折曲した状態で、前記ケーシング11から突出する先端部に、矢印形状の前記矢印部103が露出するように構成されている。
【0052】
また、前記フランジ52には、図2に示したように、前記延出部22と区画する前記切り込み溝71側の周縁側に、前記透過フィルム81が前記フランジ52に接合されない非接合部111が形成されており、前記透過フィルム81が前記フランジ52に接合された接合部112と前記非接合部111との境界線113が前記延出部22を横断するように延設されている。
【0053】
これにより、前記非接合部111より前記不透過性フィルム91を剥離する際には、前記接合部112と前記非接合部111との前記境界線113に沿って、前記透過フィルム81を引き裂くことにより、前記上部開口部51を覆った前記透過フィルム81を前記容器本体31に残存させた状態で、前記不透過性フィルム91を前記透過フィルム81から剥離できるように構成されている。
【0054】
前記接合部112は、前記延出部22側の縁部が前記切り込み溝71側へ突出した三角形状に形成されており、当該接合部112と前記非接合部111との前記境界線113は、くの字状に形成され、前記延出部22側に突出して折曲した折曲部121が当該境界線113の中央部に形成されている。
【0055】
この折曲部121の頂点部131からは、図2及び図4の(a)に示すように、前記透過フィルム81と前記フランジ52とが線状に接合されてなる中央線状接合部141が前記延出部22側へ向けて延出しており、当該中央線状接合部141は、前記接合部112の縁から前記非接合部111内へ向けて延設されている。この中央線状接合部141は、前記非接合部111の縁まで延設されており、前記切り込み溝71を超えて前記延出部22の延出部側接合部102に達している。
【0056】
また、前記境界線113における前記折曲部121の前記頂点部131の両脇からも、前記透過フィルム81と前記フランジ52とが線状に接合されてなる側部線状接合部151,151が前記延出部22側へ向けて延出しており、当該側部線状接合部151,151も、前記接合部112の縁から前記非接合部111内へ向けて延設されている。この側部線状接合部151,151も、前記非接合部111の縁まで延設されており、前記切り込み溝71を超えて前記延出部22の延出部側接合部102に達している。
【0057】
そして、前記境界線113の両端部では、前記接合部112が幅広に形成されており、前記境界線113の両端部からは、前記透過フィルム81と前記フランジ52とが前記接合部112よりさらに強く線状に圧接されてなる前記端部線状接合部161,161が当該接合部112内へ向けて延設されている。
【0058】
すなわち、この容器体1を製造する際には、前記プラスチックシート41で形成されたトレー状の容器に、前記不透過性フィルム91と前記透過性フィルム81が積層されたフィルムをヒートシールする。そして、その後工程において、前記各線状接合部141,151,151,161,161を熱圧着によって熱シールした後、最後に型抜きして前記容器体1を形成するように構成されている。
【0059】
そして、この容器体1は、図1の(a)及び(b)に示したように、前記切り込み溝71で前記延出部22が折曲され前記容器本体31の側に折り返された状態で、前記ケーシング11内に収容されるように構成されており、この状態において、前記フランジ52に形成された各切欠部53,・・・が前記支柱部14,・・・に位置することによって、当該容器体1を前記ケーシング11内に位置決めでき、前記スリット21から延出した前記延出部22を引き抜くことによって、前記容器部42の前記上部開口部51を閉鎖した前記透過フィルム81から前記不透過性フィルム91を剥離できるように構成されている。
【0060】
以上の構成にかかる本実施の形態において、芳香剤2のケーシング11に収容された容器体1から不透過性フィルム91を剥離する際には、前記ケーシング11のスリット21から延出した延出部22を引き抜く。すると、前記延出部22を構成するプラスチックシート41が前記切り込み溝71にて前記容器本体31と分離され、当該延出部のプラスチックシート41に延出部側接合部102を介して前記延出部22に接合された前記透過フィルム81が、前記容器本体31のフランジ52に接合されない非接合部111から積層された前記不透過性フィルム91と共に剥離される。
【0061】
すると、この不透過性フィルム91と共に剥離された前記透過フィルム81は、前記各線状接合部141,151,151に達した際に、その先端で裂けが生じ、当該透過フィルム81は、前記非接合部111と前記接合部112との境界線113に沿って引き裂かれる。
【0062】
このとき、前記各線状接合部141,151,151は、前記透過フィルム81が前記フランジ52に接合された接合部112の縁から前記非接合部111内へ向けて延設されており、前記不透過性フィルム91が、例えば前記各線状接合部141,151,151に対して斜め方向に剥離された場合であっても、前記不透過性フィルム91と共に剥離される前記透過フィルム81が前記各線状接合部141,151,151の先端に到達した時点で、当該線状接合部141,151,151の先端を起点として前記透過フィルム81を裂くことができる。
【0063】
このため、前記透過フィルム81の接合部112が三角形状に形成され、不透過性フィルム91の剥離方向によっては力を要し、透過フィルム81を不透過性フィルム91と共に剥離してしまう恐れがあった従来と比較して、前記不透過性フィルム91と共に剥離される前記透過フィルム81を前記各線状接合部141,151,151の先端を起点として確実に裂くことで、前記透過フィルム81からの前記不透過性フィルム91の剥離を確実に行うことができる。
【0064】
そして、前記各線状接合部141,151,151は、線状に形成されているため、前記透過フィルム81を裂く力を前記線状接合部141,151,151先端の一点に集中することができる。これにより、前記不透過性フィルム91側の透過フィルム81と前記容器本体31側の透過フィルム81とを少ない力で確実に破断することができる。
【0065】
また、前記各線状接合部141,151,151は、前記非接合部111の縁まで延設されており、前記不透過性フィルム91と共に前記透過フィルム81を剥離する時点から当該透過フィルム81を前記各線状接合部141,151,151に沿って裂くことができる。
【0066】
そして、前記中央線状接合部141を前記境界線113の略中央に設けることにより、当該透過フィルム81を、前記境界線113略中央の前記中央線状接合部141より裂いた後、前記境界線113に沿って、その両端へ向けて裂くことができる。
【0067】
このとき、前記境界線113には、くの字状に屈曲した折曲部121が中央部に設けられており、この折曲部121の頂点部131より前記中央線状接合部141が延出している。このため、前記中央線状接合部141に沿って裂かれた裂け目を、当該中央線状接合部141の基端より前記境界線113の頂点部131より斜め方向に広げることができる。
【0068】
このため、直線状に形成された境界線113と前記中央線状接合部141とが直交する場合と比較して、前記透過フィルム81の裂け目を前記中央線状接合部141から前記境界線113へスムーズに繋げることができる。
【0069】
そして、前記折曲部121の前記頂点部131の両脇に前記側部線状接合部151,151をさらに設けたので、前記頂点部131の両脇に設けられた前記側部線状接合部151,151からも前記透過フィルム81を裂くことができる。
【0070】
これにより、前記頂点部131のみに前記中央線状接合部141が設けられた場合と比較して、前記透過フィルム81の裂け目を前記境界線113へより確実に繋げることができる。
【0071】
また、本実施の形態では、前記境界線113の両端部において、前記接合部112が幅広となるように形成されており、この境界線113の両端部からは、前記端部線状接合部161,161が当該接合部112内へ向けて延設されている。
【0072】
これにより、前記接合部112が幅広となる前記境界線の両端においても、前記線状接合部161,161から前記透過フィルム81を裂くことができる。
【0073】
これにより、前記頂点部131のみに線状接合部141が設けられた場合と比較して、前記透過フィルム81を前記境界線113の両端で確実に裂くことができる。
【0074】
なお、本実施の形態では、前記境界線113から延出した前記各線状接合部141,151,151の先端位置を同位置に設定した場合に付いて説明したが、これに限定されるものでは無い。
【0075】
例えば、図4の(b)に示すように、前記中央線状接合部141の両脇に設けられた前記側部線状接合部151,151の先端位置を、前記中央線状接合部141の先端位置より基端側に設定してもよい。
【0076】
この場合、前記非接合部111から前記透過フィルム81を剥離する際に、該透過フィルム81が前記各線状接合部141,151,151に到達し、当該透過フィルム81が裂けを開始する開始位置に差を設けることができる。
【0077】
これにより、最初の達する前記中央線状接合部141先端での裂けに力を集中することができ、前記透過フィルム81の裂け易さを促進することができる。
【0078】
また、各実施の形態では、前記各線状接合部141,151,151の先端が前記延出部側接合部102に達するように延設された場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、前記各線状接合部141,151,151は、前記延出部側接合部102に達しなくても良い。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図で、(a)は要部を透明化した平面図であり、(b)要部の断面図である。
【図2】同実施の形態の容器体を示す平面図である。
【図3】同実施の形態の容器体を示す要部の断面図である。
【図4】(a)は、同実施の形態の要部の拡大図であり、(b)は他の実施の形態の要部の拡大図である。
【符号の説明】
【0080】
1 容器体
2 芳香剤
42 容器部
51 上部開口部
52 フランジ
81 透過フィルム
91 不透過性フィルム
111 非接合部
112 接合部
113 境界線
121 折曲部
131 頂点部
141 中央線状接合部
151 側部線状接合部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器部の開口部を覆う透過フィルムが前記開口部の外周部に形成されたフランジに接合され、当該透過フィルム上に不透過性フィルムが積層される一方、
前記フランジの周縁側に、前記透過フィルムが前記フランジに接合されない非接合部が形成され、該非接合部より前記不透過性フィルムを剥離する際に、前記透過フィルムが前記フランジに接合された接合部と前記非接合部との境界線に沿って前記透過フィルムを引き裂くことで前記開口部を覆った前記透過フィルムを前記容器部に残存させた状態で前記不透過性フィルムが前記透過フィルムから剥離される容器体において、
前記透過フィルムと前記フランジとを線状に接合した線状接合部を、前記接合部の縁から前記非接合部内へ向けて延設したことを特徴とする容器体。
【請求項2】
前記線状接合部を、前記非接合部の縁まで延設したことを特徴とする請求項1記載の容器体。
【請求項3】
前記線状接合部を、前記境界線の略中央に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の容器体。
【請求項4】
前記境界線にくの字状に屈曲した折曲部を設け、該折曲部の頂点部より前記線状接合部を延出したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の容器体。
【請求項5】
前記折曲部の頂点部の両脇に前記線状接合部をさらに設けたことを特徴とする請求項4記載の容器体。
【請求項6】
前記境界線の両端に前記線状接合部をさらに設けたことを特徴とする請求項5記載の容器体。
【請求項1】
容器部の開口部を覆う透過フィルムが前記開口部の外周部に形成されたフランジに接合され、当該透過フィルム上に不透過性フィルムが積層される一方、
前記フランジの周縁側に、前記透過フィルムが前記フランジに接合されない非接合部が形成され、該非接合部より前記不透過性フィルムを剥離する際に、前記透過フィルムが前記フランジに接合された接合部と前記非接合部との境界線に沿って前記透過フィルムを引き裂くことで前記開口部を覆った前記透過フィルムを前記容器部に残存させた状態で前記不透過性フィルムが前記透過フィルムから剥離される容器体において、
前記透過フィルムと前記フランジとを線状に接合した線状接合部を、前記接合部の縁から前記非接合部内へ向けて延設したことを特徴とする容器体。
【請求項2】
前記線状接合部を、前記非接合部の縁まで延設したことを特徴とする請求項1記載の容器体。
【請求項3】
前記線状接合部を、前記境界線の略中央に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の容器体。
【請求項4】
前記境界線にくの字状に屈曲した折曲部を設け、該折曲部の頂点部より前記線状接合部を延出したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の容器体。
【請求項5】
前記折曲部の頂点部の両脇に前記線状接合部をさらに設けたことを特徴とする請求項4記載の容器体。
【請求項6】
前記境界線の両端に前記線状接合部をさらに設けたことを特徴とする請求項5記載の容器体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2010−126204(P2010−126204A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303871(P2008−303871)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000102544)エステー株式会社 (127)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000102544)エステー株式会社 (127)
【Fターム(参考)】
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