説明

容器列移送装置及び容器列移送方法

【課題】簡易な装置構成で高速度に容器を搬送コンベヤ上から幅広コンベヤ上に移送することのできる容器列移送装置及び移送方法を提供する。
【解決手段】搬送コンベヤ2の搬送方向であるX軸方向、及び、幅広コンベヤの搬送方向であってX軸方向と直交するY軸方向に移動自在に駆動される容器プッシャ4で、搬送コンベヤ2上を搬送される複数の容器40を所定数の容器列40aとして捕捉して幅広コンベヤ9上に移送した後、容器プッシャ4の原点復帰工程においてプッシャ後端部5をエアシリンダによって容器プッシャ本体に対してX軸方向に移動させることにより、容器プッシャ4のX軸方向に沿う長さを短くして、容器プッシャ4と後続容器列40aとの干渉を回避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料充填ライン等で飲料を充填して密封したびん・缶等の容器を搬送コンベヤ上からパストライザやウオーマ等の幅広コンベヤ上に移送する際に利用する容器列移送装置及び容器列移送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から飲料充填ライン等においては、びん・缶等の容器に順次内容物を充填・密封するために容器を縦列に整列させて搬送する搬送コンベヤ上から、殺菌、加温、或いは冷却等の熱処理を一括して行うためのパストライザやウオーマの幅広コンベヤ上に、充填・密封が完了した容器を移送するために、各種の容器列移送装置が利用されている。
【0003】
ガラス製品等の製造業界においては、こうした容器列移送装置として、製びん機等で成形されたガラスびんや食器類等の物品を搬送コンベヤ上から徐冷炉や乾燥炉等の幅広コンベヤ上に移送するスタッカと呼ばれる物品移送装置が広く利用されている。これらスタッカは、搬送コンベヤ上を一列に整列されて搬送される物品の列を、プッシャで搬送コンベヤの搬送方向と直交する方向に押し出して徐冷炉等の幅広コンベヤ上に移送する装置であり、成形直後の柔らかいガラスびん等の物品に大きな力を掛けないで搬送コンベヤ上から幅広コンベヤに移送することができるものである。
【0004】
これら容器列移送装置として、本件発明と同一出願人による搬入機(特許文献1、2)やスタッカ(特許文献3、4)などが実用化されている。
その他、押し出しによる移送手段であるプッシャを用いない容器列移送装置としては、物品を吸着ヘッドで吸着して幅広コンベヤに移送するもの(特許文献5)がある。
【特許文献1】実用新案登録第2564053号公報
【特許文献2】特開平10−120169号公報
【特許文献3】特公昭48−33587号公報
【特許文献4】特開平6−211342号公報
【特許文献5】特開昭49−7962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1〜4の装置においては、いずれも容器等を幅広コンベヤ上に移送した後、プッシャを元の位置(原点位置)に復帰させる工程において、プッシャと搬送コンベヤ上の後続容器との干渉を回避するために、プッシャを上方に移動させる3次元移動の機構を採用していた。
【0006】
そのため、これらの装置はプッシャの上方移動に必要な装置を備えるために、装置全体が大型で複雑なものになっていた。特に、本件発明が主対象とする飲料充填分野におけるパストライザ、冷温びん機等の装置においては、幅広コンベヤの容器入口の上方にプッシャを上昇させる移動スペースが充分取れない場合が多く、このような場合にはプッシャを上方に移動させる従来の3次元移動機構を利用したスタッカは採用できなかった。
【0007】
また、プッシャの上方移動に伴う負荷増大が装置運転の高速度化を実現する上での課題となっていた。
その点、特許文献5の装置は、吸着ヘッドを上方に移動させずに原点位置に復帰させることができるものの、吸着ヘッドが原点に復帰するまでの間、後続の容器等を搬送コンベヤの上流側で待機させる必要があり、移送速度の高速化が実現できないという問題があった。
【0008】
本件発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な装置構成で高速度に容器を搬送コンベヤ上から幅広コンベヤ上に移送することのできる容器列移送装置及び移送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、請求項1に記載の発明は、搬送方向であるX軸方向、及び、幅広コンベヤの搬送方向であってX軸方向と直交するY軸方向に移動自在に駆動される容器プッシャで、搬送コンベヤ上を搬送される複数の容器を所定数の容器列として捕捉し、搬送コンベヤに隣接して配置された幅広コンベヤ上に移送する容器列移送装置において、前記容器プッシャは、X軸方向に沿う長さが調整可能に構成され、前記容器プッシャが前記容器列を幅広コンベヤ上に移送した後、前記容器プッシャの長さを短くして搬送コンベヤ上の後続容器列との干渉を回避しながら原点位置に復帰することを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の容器列移送装置において、前記容器プッシャは、その長さを伸縮させる伸縮機構を備え、この伸縮機構が伸長したときには、前記容器プッシャのX軸方向に沿う長さが長くなり、該伸縮機構が収縮したときには、前記容器プッシャのX軸方向の長さが短くなることを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の容器列移送装置において、前記容器プッシャと搬送コンベヤ上の後続容器列との干渉を回避するために、前記容器プッシャの速度制御を行う機器速度制御手段を備えることを要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の容器列移送装置において、前記容器プッシャは、複数列の容器を搬送する複数列容器搬送手段により搬送コンベヤ上を搬送される前記複数列の容器列を一括して捕捉し、幅広コンベヤ上に移送する複数列移送手段を備えたことを要旨とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、搬送コンベヤの搬送方向であるX軸方向、及び、幅広コンベヤの搬送方向であってX軸方向と直交するY軸方向に移動自在に駆動される容器プッシャで、搬送コンベヤ上を搬送される複数の容器を所定数の容器列として捕捉し、搬送コンベヤに隣接して配置された幅広コンベヤ上に移送する容器列移送方法において、前記容器プッシャは、X軸方向に沿う長さが調整可能に構成され、前記容器プッシャが前記容器列を幅広コンベヤ上に移送した後、前記容器プッシャの長さを短くして搬送コンベヤ上の後続容器列との干渉を回避しながら原点位置に復帰することを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、本件発明の容器列移送装置は、容器プッシャが容器列を幅広コンベヤ上に移送した後の原点位置への復帰工程においてその長さが短くなるので、容器プッシャと搬送コンベヤ上の後続容器列との干渉を容器プッシャの水平移動のみで回避することが可能となる。即ち、従来の容器移送装置と異なり、容器プッシャが上下方向に移動しない2次元移動の構成となっているため、簡易な装置構成となるのに加えて、装置の小型化・軽量化により高速度運転が容易に実現できる。
【0015】
また、容器プッシャが上方に移動するためのスペースを確保する必要がないため、容器プッシャの作動位置の上部に余裕スペースがない場合にも本件発明を適用することができる。さらに、容器プッシャの動きにタイミング上の余裕ができるため、容器プッシャが緩やかな速度で容器に接触することが可能となり、高速度運転時においても安定した容器のハンドリングを実現することができる。
【0016】
なお、近年はPETびんや缶等の容器材料の高騰に伴って容器側壁等の薄肉軽量化が一段と加速されて容器の剛性や安定性が低下しているが、安定した容器のハンドリングの実現により、薄肉軽量化されて不安定となったプラスチック容器の移送に際しても、容器の転倒や変形を抑制することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、容器プッシャはその長さを伸縮させる伸縮機構を備え、この伸縮機構が収縮したときに容器プッシャのX軸方向に沿う長さが短くなるので、装置を大型化することなく、簡易な構成で後続容器列との干渉を回避することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、容器プッシャの速度制御を行う機器速度制御手段を備えることにより、的確に容器プッシャと搬送コンベヤ上の後続容器列との干渉を回避することができる。また、移送対象容器の種類や剛性に応じて移動速度を変化させることで、多様な容器に対応しつつ、安定した容器移送を実現することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、容器が複数列に整列された搬送される場合においても、複数列の容器を一括して幅広コンベヤ上へ移送することができる。このようにして一度に移送する容器数を多くすることで、幅広コンベヤ上への容器列の押込み頻度を減らして、搬送コンベヤ上の容器搬送速度、容器プッシャのX軸及びY軸方向の移動速度等を低下させることで、移送能力を低下させることなく、安定した容器移送を実現することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、本件発明をパストライザへの容器列移送装置として具体化した第1の実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。
【0022】
図1に示すように、本件発明に係る容器列移送装置1は、上流側で飲料等を充填されて密封された容器40を搬送モータ10の駆動によって矢印Aに示す容器搬送方向であるX軸方向に搬送する搬送コンベヤ2の終端部付近に、搬送コンベヤ2と隣接するように配置されている。なお、搬送コンベヤ2には、容器列移送装置1よりもやや上流側に、図示しない容器カウンターで容器40を計数して所定本数(本実施例においては22本)よりも上流側の容器40の進行を一時停止するための容器ストッパ34が設けられている。
【0023】
また、搬送コンベヤ2を挟んで容器列移送装置1と対向する位置には、パストライザ41が配置されている。パストライザ41には、搬送コンベヤ2の搬送方向と直交する方向であって矢印Bで示すY軸方向に容器40を搬送する幅広コンベヤ9が設けられている。また、パストライザ41の幅広コンベヤ9と搬送コンベヤ2との間には、渡し板43が架設されている。
【0024】
幅広コンベヤ9の両側部には容器ガイド42が備えられるとともに、幅広コンベヤ9の上方には熱水シャワー等を散布して所定の熱処理を行うためのシャワー配管30(図3参照)が設けられている。容器40は、この幅広コンベヤ9上を搬送されながら熱処理を受け、パストライザ41下流側の図示しない包装ラインに搬送されるようになっている。
【0025】
次に、図2及び図3を併せ参照しながら、容器列移送装置1の構成について説明する。
図3に示すように、容器列移送装置1には、搬送コンベヤ2上の容器列40aを幅広コンベヤ9上に押し出すための容器プッシャ4を備える移送装置本体3が、容器プッシャ4をY軸方向に移動させるためのプッシャ押込み装置17の上に搭載されている。このプッシャ押込み装置17は、移送装置本体3をX軸方向に移動させるためのプッシャ移動装置16の上に搭載され、さらにこのプッシャ移動装置16は四角板状の固定架台44上に裁置されている。
【0026】
固定架台44上にはY軸方向に延びるレール46が敷設されているとともに、そのY軸方向下流側の側面には、板状の架台ストッパ29が取付けられている。
プッシャ移動装置16は、運転用架台18下面に取付けられた支持車輪45によって固定架台44のレール46上をY軸方向に移動可能となっている。そして、固定架台44の架台ストッパ29に運転用架台18が当接することによって、運転用架台18の一方向(図3において右方向)への移動が規制されるようになっている。なお、図3において運転用架台18を固定架台44上でパストライザ41から離間させた状態、即ち、二点鎖線で示すように運転用架台18が架台ストッパ29に当接された状態は、移送装置本体3を保守等の目的でパストライザ41から離間させた状態を示す。
【0027】
プッシャ押込み装置17は、運転用架台18上に直動軸受け19を介してX軸方向に移動自在に載置された移動架台15を備えるとともに、この移動架台15上には直動軸受け20が固定されている。
【0028】
直動軸受け20上には、移送装置本体3を構成する押込みフレーム17aがY軸方向に移動自由に支持されている。同じく移送装置本体3を構成する容器プッシャ4は、図4に示すように、押込みフレーム17aと一体形成された横フレーム17bに、搬送コンベヤ2上の容器列40aと対向するような態様で固定されている。なお、容器プッシャ4の詳細な構成については、後に詳述する。
【0029】
次に、容器プッシャ4をX軸方向及びY軸方向に移動させる駆動機構について説明する。
図1及び図2に示すように、運転用架台18の上側には、プッシャ移動装置16の移動架台15をX軸方向に往復移動させる駆動モータ21と、この駆動モータ21に駆動されるベルト駆動プーリ25及びベルト従動プーリ26が取付けられている。また、ベルト駆動プーリ25とベルト従動プーリ26との間には、駆動ベルト23が架設されている。そして、図示しない機器速度制御手段の指示信号に基づいて駆動モータ21が駆動されると、駆動ベルト23がX軸方向を往復移動することで、駆動ベルト23に固定された移動架台15がX軸方向に指定された速度で移動されるようになっている。
【0030】
そして、図1及び図3に示すように、プッシャ移動装置16の移動架台15には、駆動モータ22と、この駆動モータ22に駆動されるベルト駆動プーリ27及びベルト従動プーリ28が取付けられている。また、容器プッシャ4の押込みフレーム17aには前後動プーリ12が取付けられている。そして、ベルト駆動プーリ27、ベルト従動プーリ28、前後動プーリ12には、駆動ベルト24が架設されている。
【0031】
駆動モータ22が機器速度制御手段の指示信号に基づいて駆動されると、駆動ベルト24を介して前後動プーリ12が回転されることにより、押込みフレーム17aがY軸方向に移動される。即ち、押込みフレーム17aに固定された容器プッシャ4がY軸方向に移動されることにより、図4に示すように、容器プッシャ4が搬送コンベヤ2上の容器列40aがY軸方向に押し出され、渡し板43上を滑って幅広コンベヤ9上に移送されるようになっている。
【0032】
以上説明したように、容器プッシャ4はプッシャ移動装置16によりX軸方向に移動されるとともに、プッシャ移動装置16上に載置されたプッシャ押込み装置17によりY軸方向に移動可能となっている。そして、プッシャ移動装置16及びプッシャ押込み装置17の機能を組合せることにより、容器プッシャ4はX軸、Y軸の両方向に自由に移動することができるようになっている。
【0033】
次に、図4、図5及び図6に基づいて、容器プッシャ4の構成について詳述する。
図4及び図5に示すように、容器プッシャ4は、押込みフレーム17aと一体形成され横フレーム17bに固定された容器プッシャ本体14と、この容器プッシャ本体14内に設けられたリニアガイド32(図4参照)を介して、容器プッシャ本体14にX方向に滑動自在に支持されたプッシャ後端部5とから構成されている。そして、プッシャ後端部5は、容器プッシャ本体14に一端を固定された伸縮機構としてのエアシリンダ33によって容器プッシャ本体14に対してX軸方向に移動されるようになっている。
【0034】
即ち、図6に示すように、エアシリンダ33の作動により、プッシャ後端部5が二点鎖線で示す位置に移動されることで、容器プッシャ4のX軸方向に沿う長さが短くなる。
また、図5に示すように、容器プッシャ4は搬送コンベヤ2上の容器列40aを把持するために、容器プッシャ本体14に設けられた容器把持具8と、プッシャ後端部5上設けられた容器把持具8aとを備えている。容器把持具8、8aの間隔は容器列40aのX軸方向長さに適宜余裕を持たせた寸法に設定されることで、容器40のサイズと取扱い本数に応じて所定の寸法に設定することができるようになっている。なお、図7の平面図は、容器プッシャ4が図1に示した原点位置からX軸方向およびY軸方向に進行して容器列40aを把持した状態を示している。
【0035】
次に、図8(a)〜図8(d)に基づいて、容器列移送装置1による容器列40aの幅広コンベヤ9への移送工程について説明する。なお、図8及び図9において、「前進」とはX軸方向及びY軸方向への移動を指し、「後退」とはX軸方向及びY軸方向とそれぞれ反対方向への移動を指す。
【0036】
まず、図8(a)において、搬送コンベヤ2上をX軸方向に搬送される容器40が、容器ストッパ34によって所定本数の容器列40aとして容器列移送装置の前まで搬送される。同図において、容器プッシャ4は、容器列移送工程の原点位置にあって、容器列40aの進行に合せてX軸方向へ移動を開始しようとしている。
【0037】
続く図8(b)において、容器プッシャ4は、容器列40aのX軸方向への進行に合せてX軸及びY軸方向に前進して、容器プッシャ4の前面及び容器把持具8、8aで容器列40aを緩やかに把持する。
【0038】
さらに図8(c)において、容器プッシャ4はX軸方向の移動を減速しながらY軸方向に容器列40aを押して、渡し板43を越えて幅広コンベヤ9上に移送する。また、図8(d)は、容器プッシャ4が容器列40aを幅広コンベヤ9上の押込み最終位置まで押込んだ移送工程の終了状態を示す。なお、図8(c)及び図8(d)の段階において、幅広コンベヤ9上には、後続の容器列40aとなる容器40がX軸方向に進行を始めている。
【0039】
次に、図9(a)〜図9(d)に基づいて容器プッシャ4の原点復帰工程について説明する。
図9(a)において、容器列40aが幅広コンベヤ9によって搬送された後、容器プッシャ4はY軸方向に後退を開始する。そして、図9(b)において、容器プッシャ4はY軸方向への後退に加えてX軸方向に前進を開始する。また、容器プッシャ4のプッシャ後端部5はエアシリンダ33により駆動されて、二点鎖線で示す位置から図示の位置に移動する。即ち、プッシャ後端部5が容器プッシャ本体14に対してX軸方向に相対移動を行うことで、容器プッシャ4のX軸方向に沿う長さが短くなる。
【0040】
図9(c)は、容器プッシャ4がX軸方向に進行しながら搬送コンベヤ2上を越えて、容器プッシャ4のY軸方向に対する原点位置に復帰しようとする状態を示すものであるが、この時、搬送コンベヤ2上には次のサイクルの為の容器列40aが容器プッシャ4に接近してきている。そのため、プッシャ後端部5は二点鎖線で示した位置から更に容器プッシャ本体14に対して相対移動して、容器プッシャ4を収縮させる。ここで、プッシャ後端部5が容器プッシャ本体14に対してX軸方向に相対移動しなかった場合の二点鎖線で示す位置では、容器プッシャ4の後端部が後続の容器列40aと干渉する不具合が生じてしまう。しかし、本実施形態においては、プッシャ後端部5を容器プッシャ本体14に対してX軸方向に移動させることによってこの不具合を解消し、容器プッシャ4と後続の容器列40aとの干渉を容器プッシャ4の水平移動のみで回避している。
【0041】
そして、図9(d)において、容器プッシャ4は更に収縮されるとともにX軸方向に前進しながらY軸方向に後退して、後続の容器列40aとの干渉を完全に回避する。その後、容器プッシャ4は搬送コンベヤの上流方向に移動して、図8(a)に示した容器列移送工程の原点の状態に復帰して、搬送コンベヤ2上を搬送される次サイクルの容器列40aを幅広コンベヤ9に移送する容器列移送工程を継続する。
【0042】
(第2の実施形態)
第2の実施形態においては、第1の実施形態で説明した容器列移送装置1が図示しない容器移送位置制御手段を備え、円形断面の容器50を千鳥配置で幅広コンベヤ9上に移送するようになっている。
【0043】
即ち、本実施形態においては、図10に示すように、容器プッシャ4がパストライザ41の幅広コンベヤ9上に容器列50aをX方向に容器直径の略半ピッチずつ交互に移動させる容器移送の位置制御を実施し、容器列50aを千鳥状態で移送するようになっている。なお、容器50を搬送コンベヤ2上で離間させて搬送するとともに、幅広コンベヤの進行速度に対して容器列50aの移送頻度を低減することで、幅広コンベヤ9上に容器列50aの位置をX軸、Y軸方向に離間させて移送することもできる。
【0044】
(第3の実施形態)
第3の実施形態においては、図11に示すように、第1の実施形態で説明した容器列移送装置1が複数列容器搬送手段11を備え、複数列(本実施形態においては2列)に整列された円形断面の容器50を、容器プッシャ7によって幅広コンベヤ9上に移送するようになっている。この複数列容器搬送手段11は、搬送コンベヤ2上を搬送される容器50を、指定する複数列に整列させて容器列移送装置1の前まで進行させるもので、搬送コンベヤ2に取付けられている。
【0045】
また、本実施形態においては、第2の実施形態に記載した容器移送位置制御手段を備えることで、容器プッシャ4の押込み位置をX方向に容器直径の略半分の寸法で容器列50aごとに交互に移動する容器50を千鳥配置で移送するようにしている。
【0046】
また、図12には、複数列移送手段としての容器把持具51、51aの形状や容器プッシャ7の前面に円形の容器ガイド形状を施した実施例により、容器50のX方向位置を規制する手段を示している。このように複数列の容器移送に対しても、対象とする容器形状や容器移送条件に応じて本件発明の容器移送手段の主旨を生かして各種の工夫を行うことができる。
【0047】
なお、容器の複数列移送は特に2列に限定されるものではなく、容器列移送装置1の運転速度や取扱い容器の形状、強度等によって、容器移送時に容器を変形させない範囲(通常は6列程度まで)の複数列に設定することができる。また、取扱い容器の形状も円形断面以外の各種形状の容器に対して適用することが可能である。
【0048】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、搬送コンベヤ2上を搬送される容器列の幅広コンベヤ9への移送は、移送する容器の所定本数が揃ってから実施するようにしたが、所定本数の容器が揃わない状態においても、容器と容器プッシャのタイミングを取ることで、不具合なく搬送コンベヤ2から幅広コンベヤ9上に容器列を移送することができる。
【0049】
また、上記実施形態では、容器プッシャの長さを調整するためにエアシリンダ33を用いたが、伸縮機構はエアシリンダに限定されず、例えば油圧シリンダや直動式アクチュエータなどの機構によって具体化することもできる。
【0050】
また、上記実施形態では、矩形断面及び円形断面の容器の取扱い例を示したが、容器の形状はこれらに限られるものではなく、多角形や楕円形等の各種断面形状の容器に適用することもできる。
【0051】
また、本件発明に係る容器列移送装置1は、移送対象として例示した容器や、移送先として例示したパストライザに限定されず、本件発明の主旨の範囲で各種の物品や装置の構成に対して適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本件発明の容器列移送装置をパストライザに適用した第1の実施形態の容器列移送装置を示す平面図。
【図2】図1の正面図。
【図3】図1のC−C断面図。
【図4】図3の一部分を拡大した断面図。
【図5】第1の実施形態における容器プッシャの詳細構造を示す平面図。
【図6】図5のD矢視側面図。
【図7】第1の実施形態における容器プッシャが容器列を把持した状態を示す平面図。
【図8】(a)〜(d)は、第1の実施形態の容器列移送工程における容器プッシャの移動状況を示す平面図。
【図9】(a)〜(d)は、第1の実施形態の原点復帰工程における容器プッシャの移動状況を示す平面図。
【図10】第2の実施形態における容器列移送装置を示す平面図。
【図11】第3の実施形態における容器列移送装置を示す平面図。
【図12】図11の容器プッシャの詳細説明図。
【符号の説明】
【0053】
1 容器列移送装置
2 搬送コンベヤ
3 移送装置本体
4 容器プッシャ
5 プッシャ後端部
7 容器プッシャ
8 容器把持具
8a 容器把持具
9 幅広コンベヤ
10 搬送モータ
11 複数列容器搬送手段
12 前後動プーリ
14 容器プッシャ本体
15 移動架台
16 プッシャ移動装置
17 プッシャ押込み装置
17a 押込みフレーム
17b 横フレーム
18 運転用架台
19 直動軸受け
20 直動軸受け
21 駆動モータ
22 駆動モータ
23 駆動ベルト
24 駆動ベルト
25 ベルト駆動プーリ
26 ベルト従動プーリ
27 ベルト駆動プーリ
28 ベルト従動プーリ
29 架台ストッパ
30 シャワー配管
32 リニアガイド
33 エアシリンダ
34 容器ストッパ
40 容器
40a 容器列
41 パストライザ
42 容器ガイド
43 渡し板
44 固定架台
45 支持車輪
46 レール
50 容器
50a 容器列
51 容器把持具
51a 容器把持具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送コンベヤの搬送方向であるX軸方向、及び、幅広コンベヤの搬送方向であってX軸方向と直交するY軸方向に移動自在に駆動される容器プッシャで、搬送コンベヤ上を搬送される複数の容器を所定数の容器列として捕捉し、搬送コンベヤに隣接して配置された幅広コンベヤ上に移送する容器列移送装置において、
前記容器プッシャは、X軸方向に沿う長さが調整可能に構成され、前記容器プッシャが前記容器列を幅広コンベヤ上に移送した後、前記容器プッシャの長さを短くして搬送コンベヤ上の後続容器列との干渉を回避しながら原点位置に復帰することを特徴とする容器列移送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の容器列移送装置において、前記容器プッシャは、その長さを伸縮させる伸縮機構を備え、この伸縮機構が伸長したときには、前記容器プッシャのX軸方向に沿う長さが長くなり、該伸縮機構が収縮したときには、前記容器プッシャのX軸方向の長さが短くなることを特徴とする容器列移送装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の容器列移送装置において、前記容器プッシャと搬送コンベヤ上の後続容器列との干渉を回避するために、前記容器プッシャの速度制御を行う機器速度制御手段を備えることを特徴とする容器列移送装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の容器列移送装置において、
前記容器プッシャは、複数列の容器を搬送する複数列容器搬送手段により搬送コンベヤ上を搬送される前記複数列の容器列を一括して捕捉し、幅広コンベヤ上に移送する複数列移送手段を備えたことを特徴とする容器列移送装置。
【請求項5】
搬送コンベヤの搬送方向であるX軸方向、及び、幅広コンベヤの搬送方向であってX軸方向と直交するY軸方向に移動自在に駆動される容器プッシャで、搬送コンベヤ上を搬送される複数の容器を所定数の容器列として捕捉し、搬送コンベヤに隣接して配置された幅広コンベヤ上に移送する容器列移送方法において、
前記容器プッシャは、X軸方向に沿う長さが調整可能に構成され、前記容器プッシャが前記容器列を幅広コンベヤ上に移送した後、前記容器プッシャの長さを短くして搬送コンベヤ上の後続容器列との干渉を回避しながら原点位置に復帰することを特徴とする容器列移送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−44707(P2008−44707A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−220730(P2006−220730)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000128131)株式会社エヌテック (16)
【Fターム(参考)】