説明

容器本体外構成要素ならびに容器本体外構成要素を備えたポンプ式製品およびエアゾール式製品

【課題】ポンプ式容器やエアゾール式容器に用いられる、キャップ,操作ボタン,カバー体などのプラスチック製部材の外観を向上させるとともに、仕様変更への対応を容易にする。
【解決手段】機能中心部材としてのネジキャップ本体5に、薄く均一な厚みの外観部材としての被覆体6を嵌合させて、ネジキャップ本体5に生じるヒケやゲート跡を見えないようにした。被覆体6にはヒケが生じないので、表面に鏡面メッキ処理や光沢塗装処理を施す場合には反射作用の乱れが目立たない。また、ネジキャップ本体5と被覆体6とを別々に生産して組み立てるので、機能のみまたは外観のみの仕様変更が容易となり無駄が少ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の収容内容物を外部空間域に放出する内容物放出機構を備えた容器の容器本体以外の部分を構成し、利用者の当該容器の使用にともなう直接の取扱い対象となる容器本体外構成要素に関する。
【0002】
特に、ポンプ式製品やエアゾール式製品の容器本体以外の部分を構成するネジキャップ(図1参照),操作ボタン(図2参照),キャップ(図3参照)などの、容器本体外構成要素を、
・その本来の機能を備えたプラスチック製の機能中心部材と、
・当該部材の成形加工にともなって発生する表面部分の凹凸部(ヒケやゲート跡など)を覆って平滑外面にするためのプラスチック製の外観部材と、
で形成したことに関する。
【0003】
本明細書では、「キャップ」を、内容物を収容する容器本体や、マウンティングキャップなどの容器本体側に着脱され、少なくともその着状態のときには操作ボタンをカバーして保護する機能を備えたものの意で用いる。すなわち、ポンプ式製品やエアゾール式製品の使用時に容器本体側から取り外されるタイプのものと、取り外されないタイプのものとの双方を含む概念である。
【0004】
また、「容器」を、容器本体に内容物放出用のポンプ機構(ポンプ式製品),バルブ機構(エアゾール式製品),操作ボタンなどを取り付けたものの意で用いる。
【背景技術】
【0005】
従来、ポンプ式製品やエアゾール式製品のネジキャップ,操作ボタン,キャップなどのプラスチック製部材は、その成形時のヒケやゲート跡がそのまま表面に残り、顕在化してしまうので、外面の平滑性に乏しかった。
【0006】
この平滑性を向上させるため、または、顕在化を低減させるために次のような外面処理方法が用いられている。
(11)金属を絞って成形した金冠を装着する(下記特許文献1参照)。
(12)肉厚部分やリブ状部分を有する部分からなり外面にヒケが生成されている第1機能要素部材と、
当該第1機能要素部材の全体を覆って、かつ、肉厚部分やリブ状部分を有しない部分からなって外面にヒケが生成されていない第2機能要素部材と、を嵌合させることにより、
一つの機能部材(トリガレバー)を作成する(下記特許文献2参照)。
(13)ヒケやゲート跡がある部材に、凹凸部を埋めるかたちで被覆剤を塗布したあと、当該被覆剤を硬化(紫外線硬化または熱硬化)させる。
(14)ヒケやゲート跡を目立たせないように梨地状や砂目状などの模様を外面につける。
【0007】
ここで、外面に反射作用の大きい鏡面メッキ処理や光沢塗装処理などを施す場合には、(12)における第2機能要素部材や(13)におけるヒケやゲート跡を被覆剤で埋めた部材に対して施すことで、反射作用の乱れを目立たなくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−105900号公報
【特許文献2】特開2008−136909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来のネジキャップ,操作ボタン,キャップなどのプラスチック製部材の外面処理手法はそれぞれ次のような問題点を有している。
(11)の外面処理手法の場合、別途金属を成形するために製造コストが大きく、また内容物消尽後の容器廃棄処理の際に金冠部分とプラスチック部分とを分別しなければならない。
(12)の外面処理手法の場合、プラスチック製単一機能部材(トリガレバー)の外面の「ヒケ」をいわば隠すために、当該機能部材を、ヒケ発生部分からなる第1機能要素部材と、これを覆う部分およびヒケが発生していない部分からなる第2機能要素部材と、を嵌合させた形にしている。ここで、単一機能部材を構成する二つの要素部材はともに機能部材であって、双方を一体化することにより初めてトリガレバーとして作用する。
すなわち、利用者段階などで第2機能要素部材が第1機能要素部材から外れてしまうと、この第1機能要素部材の外面のヒケが露出して見栄えが悪いといった外観上の問題にとどまらず、そもそも機能部材としての体をなさないものとなる。
そのため、これら二つの要素部材を確実に強く嵌合させて、容器を使い切るまでこれらの要素部材が分離しないようにしなければならず、機能部材(トリガレバー)の設計・製作上での高い精度が要求され、ひいては製造コストアップを招来する。
(13)の外面処理手法の場合、上記(12)のような欠点はないが、ヒケやゲート跡を十分目立たなくする量の被覆剤を塗布・硬化する必要があるので製造コストが大きい。
(14)の外面処理手法の場合、ヒケやゲート跡を目立たなくすることはできるが、光沢感を必要とする用途には用いることができない。
【0010】
そこで、本発明では、プラスチック製部材を、専ら取扱うための機能を有する機能中心部材と、当該機能中心部材に生じたヒケやゲート跡などの凹凸部を覆う外観部材とを組み合わせた構成とすることで、ヒケやゲート跡を目立たなくするとともに、仕様変更への対応を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
(1)容器本体(例えば後述の容器本体1)の収容内容物を外部空間域に放出する内容物放出機構(例えば後述の操作ボタン2,ハウジング3,ピストン4)を備えた容器の容器本体以外の部分を構成し、利用者の当該容器の使用にともなう直接の取扱い対象となる容器本体外構成要素において、
成形加工により生成され、それ単独の形状のみで前記直接の取扱い対象としての機能を持つプラスチック製の機能中心部材(例えば後述のネジキャップ本体5,操作ボタン本体11,キャップ本体21,31)と、
前記成形加工にともなって生じる前記機能中心部材の凹状または凸状の非平滑表面部分を覆って平滑外面にするための外観部材(例えば後述の被覆体6,板状体13,22,32)とからなり、
前記外観部材は、
成形加工により略均一な厚みに生成されたプラスチック製のものである。
(2)上記(1)において、
前記外観部材は、
前記機能中心部材に嵌合している。
(3)上記(1)または(2)において、
前記機能中心部材は、
前記容器本体の開口側外周面と螺合して前記内容物放出機構を当該容器本体に保持する機能を備えたネジキャップ(例えば後述のネジキャップ本体5)である。
(4)上記(1)または(2)において、
前記機能中心部材は、
前記内容物放出機構における操作ボタン(例えば後述の操作ボタン本体11)である。
(5)上記(1)または(2)において、
前記機能中心部材は、
前記容器本体側に着脱されて、着状態のときには前記内容物放出機構の操作ボタンを保護する機能を備えたキャップ(例えば後述のキャップ本体21,31)である。
【0012】
本発明は、以上の構成からなる容器本体外構成要素ならびに当該容器本体外構成要素を備えたポンプ式製品およびエアゾール式製品を対象としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の容器本体外構成要素は、専ら取扱うための機能を有する機能中心部材と、当該機能中心部材に生じたヒケやゲート跡などの凹凸部を覆う外観部材とからなるので、機能中心部材の方は、ヒケやゲート跡の発生をあらかじめ防止するための、設計上の制約を受ける必要がない。
【0014】
前記外観部材自体は、前記機能中心部材を覆うことが可能であれば足りるので、その成型肉厚の均等化・薄肉化によってヒケの発生を防止できる。また、当該外観部材の成形加工時に発生するゲート跡は、機能中心部材との嵌合側になるよう設定して隠蔽することができる。
【0015】
そして、容器本体外構成要素の外面を画定する前記外観部材にはヒケやゲート跡などがないので、当該外面に反射作用の大きい鏡面メッキ処理や光沢塗装処理などをする場合にも反射作用の乱れを目立たなくすることができる。
【0016】
また、前記機能中心部材と前記外観部材とは必要に応じて組み合わせればよく、仕様変更への対応が容易で無駄が少ない。さらには、共通仕様の機能中心部材に外面装飾の異なる各種外観部材を選択的に組み合わせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】外面に「ヒケ」が生成された機能中心部材とこれを覆う平滑外面の外観部材とからなるネジキャップを示す説明図である。(a)は組立後のネジキャップを示し、(b)はネジキャップ組立前の機能部中心材と外観部材とを示している。
【図2】外面に「ゲート跡」が残った機能中心部材とこれを覆う平滑外面の外観部材とからなる操作ボタンを示す説明図である。(a)は組立後の操作ボタンを示し、(b)は操作ボタン組立前の機能中心部材と外観部材とを示している。
【図3】外面に「ゲート跡」が残った機能中心部材とこれを覆う平滑外面の外観部材とからなるキャップを示す説明図である。(a)は鞘状キャップ本体からなるキャップの組立前の機能中心部材と外観部材とを示し、(b)は筒状キャップ本体からなるキャップの組立前の機能中心部材と外観部材とを示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜図3を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0019】
なお、図1〜図3で用いるアルファベット付き参照番号の構成要素(例えば放出口2a)は原則として、当該参照番号の数字部分の構成要素(例えば操作ボタン2)の一部であることを示している。
【0020】
図1において、
1は内容物を収納した容器本体,
2はその天面の図示下方押圧によって、後述の放出口2aより容器本体の内容物が放出される操作ボタン,
2aは後述のピストン4の内側通路域と連通する放出口,
3は後述のピストン4を格納するハウジング,
4はコイルスプリング(図示せず)によって上方に付勢されており、付勢に抗して下方に移動することで容器本体の内容物を自身の内側通路域より操作ボタン2の放出口2aに送出するピストン,
5は容器本体1の開口部の外周部と螺合して、ハウジング4を容器本体1に固定するネジキャップ本体,
5aはネジキャップ本体5の大径部外周面の全周に設けられた波状部,
6は薄くほぼ均一の厚みからなり、ネジキャップ本体5の外周面に嵌合した被覆体,
7は容器本体1の開口部とハウジング3の上部フランジ部との間に挟まれて、シール作用を呈するパッキング,
をそれぞれ示している。
【0021】
ここで、操作ボタン2,ハウジング3,ピストン4,ネジキャップ本体5および被覆体6などはポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。容器本体1は前記プラスチック製のほか、ガラス製や陶器製のものである。パッキング7は前記プラスチック製のほかゴム製のものである。
【0022】
図1の容器本体外構成要素の基本的特徴は、機能中心部材であるネジキャップ本体5の外側に薄く均一な厚みの外観部材である被覆体6を嵌合したことである。
【0023】
ネジキャップ本体5と被覆体6との嵌合を図1(b)に示す。被覆体6の大径部内周面の直径は、ネジキャップ本体5の大経部外周面の直径より僅かに小さく設定してあり、ネジキャップ本体5を被覆体6の大径部から押し込むと、波状部5aの稜線が被覆体6の大径部内周面に食い込んでネジキャップ本体5は固定される。
【0024】
被覆体6は、もっぱらネジキャップ本体5を覆って平滑外面にするためのもので、肉厚均等化による各部の冷却による収縮条件の均一化や、薄肉化による体積減少に比例する収縮量の低減化が可能であり、容易にヒケ発生を防止することが出来る。
【0025】
ネジキャップ本体5は、その大径部内周面に容器本体1と螺合するための螺旋状凸部があるので厚みが均一ではなく、ハウジング3を容器本体1に押しつけ保持するために必要な強度を担保する厚みも有しており、成形加工時にヒケが発生しやすいが、被覆体6を嵌合してヒケを隠蔽することができる。
【0026】
また、被覆体6によってネジキャップ本体5のゲート跡も隠蔽されるので、当該ゲートを成形に有利な場所に任意の数設定することができる。
【0027】
また、ネジキャップ本体5と被覆体6とを別々の生産しておき必要に応じて組み合わせればよいので、機能のみまたは外観のみの仕様変更への対応が容易で無駄が少ない。例えば、予めネジキャップ本体5を生産しておき、要求される仕様に応じた文字・模様の印刷・凹凸造形などを表面に施した被覆体6を生産して当該ネジキャップ本体5と嵌合することで、多くのバリエーションに対応させることが容易となる。嵌合済みのネジキャップ本体5と被覆体6とを分離してそれぞれ別の仕様の被覆体6またはネジキャップ本体5に嵌合して再利用することも可能である。
【0028】
外面に反射作用の大きい鏡面メッキ処理や光沢塗装処理などを施す場合には、ネジキャップ本体5表面の凹凸部(ヒケやゲート跡)の影響を受けない被覆体6の外周面に対して行えば、反射作用の乱れを目立たなくすることができる。被覆体6に対する前記処理は、ネジキャップ本体5との嵌合前または嵌合後のいずれであってもよい。
【0029】
前記処理が処理対象物の伸縮に不向きである場合には、嵌合時に被覆体6の大径部が僅かに広がるために、その表面部分に施した処理が破損することがある。その場合には、ネジキャップ本体5と被覆体6とを嵌合してから前記処理を施せば破損を防止できる。
【0030】
図2において、
11は操作ボタン本体,
11aは操作ボタン天面に設けられた凹状部,
11bは凹状部11aの内周面上部に設けられた内側環状凸部,
11cは凹状部11aの底面に生じたゲート跡,
12はノズルチップ,
12aは内容物が放出される放出口,
13は凹状部11aに嵌合する板状体,
13aは板状体13の外周面下部に設けられ、内側環状凸部11bの下方に係合して板状体13の抜け防止を呈する外側環状凸部,
13bは板状体13の下面に生じたゲート跡,
をそれぞれ示している。
【0031】
ここで、操作ボタン本体11,ノズルチップ12および板状体13などはポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。
【0032】
図2の容器本体外構成要素の基本的特徴は、機能中心部材である操作ボタン本体11のヒケやゲート跡が生じる部分(凹状部11a)に、薄く均一な厚みの外観部材である板状体13を嵌合させた、ことである。
【0033】
操作ボタン本体11の天面の裏面(内面)には、当該裏面から垂下するピストン結合用の縦方向筒状部(図示せず),当該筒状部の傾倒を防止する補強用リブ(図示せず),ノズルチップ12の嵌合用筒状部(図示せず)などが一体化しているため、操作ボタン本体11の天面にヒケが生じやすい。
【0034】
操作ボタン本体11の天面には凹状部11aをもうけてあり、ヒケは凹状部11aの底面に生じるので、凹状部11aに板状体13を押し込み嵌合することでヒケは隠蔽される(図2(a)参照)。このとき、板状体13を成形加工するときに生じるゲート跡13bも凹状部11aの側になるので外部から見えることはない(図2(b)参照)。
【0035】
そして、凹状部11aに設けたゲート跡11cも板状体13によって隠蔽されるので、当該ゲートを凹状部11aの範囲内で成形に有利な場所に任意の数設定することができる。
【0036】
また、操作ボタン本体11と板状体13とは必要に応じて組み合わせればよく、仕様変更が容易で無駄が少ない。例えば、操作ボタン本体11を生産しておき、要求される仕様に応じた文字・模様の印刷・凹凸造形などを表面に施した板状体13を生産して操作ボタン本体11と嵌合することで、多くのバリエーションに対応させることが容易となる。嵌合済みの操作ボタン本体11と板状体13とを分離してそれぞれ別の仕様の板状体13または操作ボタン本体11に嵌合して再利用することも可能である。
【0037】
図3において、
21はキャップ本体,
21aはキャップの天面に設けられた凹状部,
21bは凹状部21aの内周面上部に設けられた内側環状凸部,
21cは凹状部21aの底面に生じたゲート跡,
22は凹状部21aに嵌合する板状体,
22aは板状体22の外周面下部に設けられ、内側環状凸部21bの下方に係合して板状体22の抜け防止を呈する外側環状凸部,
22bは板状体22の下面に生じたゲート跡,
31は筒状のキャップ本体,
31aはキャップ本体上部の小径部,
31bは小径部31aの外周面上部に設けられた外側環状凸部,
31cは小径部31aの外周面に生じたゲート跡,
31c’は小径部31aの上側端部に生じた別のゲート跡,
32は小径部31aに嵌合する板状体,
32aは板状体32の外周部に設けた環状垂下部,
32bは環状垂下部32aの内周面下部に設けられ、外側環状凸部31bの下方に係合して板状体32の抜け防止を呈する内側環状凸部,
32cは板状体32の下面に生じたゲート跡,
をそれぞれ示している。
【0038】
ここで、キャップ本体21,板状体22,キャップ本体31および板状体32などはポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。
【0039】
図3の容器本体外構成要素の基本的特徴は、機能中心部材であるキャップ本体(21,31)のヒケやゲート跡が生じる部分(凹状部21a,小径部31a)に、薄く均一な厚みの外観部材である板状体(22,32)を嵌合させた、ことである。
【0040】
図3(a)の場合、成形加工用のゲート跡21cは、鞘状のキャップ本体21の天面に設けられた凹状部21aの底面になるように設定してあり、当該凹状部にゲート跡22bを当該凹状部側に向けるかたちで板状体22を押し込み嵌合することで、ゲート跡21cおよび22bの両方を隠蔽している。
【0041】
図3(b)の場合、成形加工用のゲート跡31cや31c’は、筒状のキャップ本体31の小径部31aに設けてあり、当該小径部に板状体32を被せるかたちで押し込み嵌合することで、ゲート跡31c,31c’および32cが鞘状となったキャップ(キャップ本体31+板状体32)の外側から見えないようにしている。
【0042】
なお、図3(b)のキャップ(キャップ本体31+板状体32)の内側奥にはゲート跡32cのある板状体32の下面が露出するが、ポンプ式製品やエアゾール式製品の容器本体に取り付けられた態様において当該下面が観察されることはない。また、製品使用時には、当該キャップは外されてしまうので使用対象製品(容器)の外観上特にゲート跡32cが問題になることはない。
【0043】
本発明が以上の実施形態に限定されないこと勿論であり、例えば、図1の被覆体6の外面または図2や図3の板状体(板状体13,22,32)の上面に、ロゴマーク,操作指示マークまたは滑り止めなどを微細な凹凸で成形しても良い。このとき、被覆体6の内面や当該板状体の下面に生じたヒケは外観に表れない。
【0044】
機能中心部材および外観部材のゲート跡は、利用者から観察されない範囲でその位置や数を自由に設定できる。例えば、
(21)図2の板状体13や図3の板状体22のゲート跡を、外側環状凸部(13a,22a)上に設定する、
(22)図3(b)のキャップ本体31のゲート跡を、ゲート跡31cまたは31c’のいずれか一方とする、
(23)図3(b)の板状体32のゲート跡を環状垂下部32aの下端面に設定する、
ようにしてもよい。
【0045】
本発明が適用されるポンプ式製品やエアゾール式製品としては、洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,栄養補助食品(ビタミンなど)医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0046】
容器本体に収納する内容物は、主に液状のものを用いるが、噴霧・噴射可能なものであればクリーム状,ゲル状など種々の形態のものでもよい。また、内容物に配合される成分としては例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分,水などが挙げられる。
【0047】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0048】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0049】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコール,グリセリン,1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0050】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0051】
高分子化合物としては、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼイン,ヒドロキシエチルセルロース,キサンタンガム,カルボキシビニルポリマーなどを用いる。
【0052】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ヒレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0053】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【0054】
エアゾール式製品における内容物放出用ガスとしては、炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,酸素ガス,希ガス,これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス,ジメチルエーテル,フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【符号の説明】
【0055】
(参照番号1〜7は図1で使用)
1:容器本体
2:操作ボタン
2a:放出口
3:ハウジング
4:ピストン
5:ネジキャップ本体
5a:波状部
6:被覆体
7:パッキング
【0056】
(参照番号11〜13bは図2で使用)
11:操作ボタン本体
11a:凹状部
11b:内側環状凸部
11c:ゲート跡
12:ノズルチップ
12a:放出口
13:板状体
13a:外側環状凸部
13b:ゲート跡
【0057】
(参照番号21〜32cは図3で使用)
21:キャップ本体
21a:凹状部
21b:内側環状凸部
21c:凹状部の底面に生じたゲート跡
22:板状体
22a:外側環状凸部
22b:ゲート跡
31:筒状のキャップ本体
31a:小径部
31b:外側環状凸部
31c:ゲート跡
31c’:ゲート跡
32:板状体
32a:環状垂下部
32b:内側環状凸部
32c:ゲート跡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の収容内容物を外部空間域に放出する内容物放出機構を備えた容器の容器本体以外の部分を構成し、利用者の当該容器の使用にともなう直接の取扱い対象となる容器本体外構成要素において、
成形加工により生成され、それ単独の形状のみで前記直接の取扱い対象としての機能を持つプラスチック製の機能中心部材と、
前記成形加工にともなって生じる前記機能中心部材の凹状または凸状の非平滑表面部分を覆って平滑外面にするための外観部材とからなり、
前記外観部材は、
成形加工により略均一な厚みに生成されたプラスチック製のものである、
ことを特徴とする容器本体外構成要素。
【請求項2】
前記外観部材は、
前記機能中心部材に嵌合している、
ことを特徴とする請求項1記載の容器本体外構成要素。
【請求項3】
前記機能中心部材は、
前記容器本体の開口側外周面と螺合して前記内容物放出機構を当該容器本体に保持する機能を備えたネジキャップである、
ことを特徴とする請求項1または2記載の容器本体外構成要素。
【請求項4】
前記機能中心部材は、
前記内容物放出機構における操作ボタンである、
ことを特徴とする請求項1または2記載の容器本体外構成要素。
【請求項5】
前記機能中心部材は、
前記容器本体側に着脱されて、着状態のときには前記内容物放出機構の操作ボタンを保護する機能を備えたキャップである、
ことを特徴とする請求項1または2記載の容器本体外構成要素。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の容器本体外構成要素を備え、かつ、内容物を収容した、
ことを特徴とするポンプ式製品。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかに記載の容器本体外構成要素を備え、かつ、噴射用ガスおよび内容物を収容した、
ことを特徴とするエアゾール式製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−168056(P2010−168056A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10110(P2009−10110)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)
【Fターム(参考)】