説明

容器用中仕切り

【課題】中仕切りを容器内に収納する作業を容易に行うことができ、しかも複数個の物品を収納する場合でも各物品を安定した状態で収納することができるようにする。
【解決手段】天板に、物品収納用の複数個の抜き孔2,3,4を設けるとともに、互いに隣接する抜き孔2,3;3,4間に形成される繋ぎ部29,30の中央部にその繋ぎ部29,30を横断する弱め線31,32を形成し、物品が各抜き孔2,3,4に挿入された際に弱め線31,32が切断されて抜き孔2,3,4の周辺部分が垂下片27,28,33,34として下方に垂れて物品を支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、贈答用ハムなどの物品を収納する際に容器内に装着して使用する容器用中仕切りに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、贈答用商品を収納する贈答用箱としては、個包装された商品の保護および固定のために、箱本体(容器)内に中仕切りを装着してその中仕切り上に商品を載置するようにした二重底形式のものが多く用いられている。また、商品の装飾性を高めて高級感を醸し出すために、中仕切りの表面全体を布もしくは不織布等の被覆シートで覆う(「布下垂」と称する。)ことも行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−62763号公報
【0004】
次に、従来の中仕切り構造について、図6および図7を参照しつつ説明する。
【0005】
図6は第1の従来例を示しており、(a)は中仕切りのブランクの展開図、(b)は中仕切りの組立て状態での斜視図である。この第1の従来例において、中仕切り100のブランク100´は、中央部に物品収納用の矩形状の抜き孔110を有する矩形状の天板101と、この天板101の4つの辺に山折り線102,103,104,105を介してそれぞれ連設される側板106,107,108,109とにより構成されている。抜き孔110の4つのコーナ部から天板101の各コーナ部へ向けてはT字形の切り込み111がそれぞれ設けられ、これら切り込み111の先端部同士を結ぶように、前記山折り線102,103,104,105にそれぞれ平行な山折り線112,113,114,115が設けられている。こうして、中仕切り100の組立て時に、山折り線112,113,114,115の内側部分を垂下片116,117,118,119として下方に折り曲げることで、これら垂下片116〜119によって抜き孔110内に収納される物品を支持するようになっている。なお、図には示されていないが、天板101の表面全体を覆うように、布もしくは不織布等の被覆シートが各側板106,107,108,109の表面に接着される。
【0006】
また、図7は第2の従来例を示しており、(a)は中仕切りのブランクの展開図、(b)は中仕切りの組立て状態での斜視図である。この第2の従来例において、中仕切り120ブランク120´は、矩形状の底板121と、この底板121の4つの辺に谷折り線122,123,124,125を介して連設される台形状の側板126,127,128,129とよりなり、各側板126,127,128,129の中央部にはU字状の切り込み130が設けられて、組立て時に底板121と一体の突出片131が形成されるようになっている。こうして、中仕切り120を組立てるとトレー状の容器となり、4つの突出部131が外方へ張り出して箱本体の内壁面に係合して支持されるとともに、傾斜姿勢に折り曲げられた各側板126,127,128,129が物品を支持する支持片として機能して物品が支持される。なお、図には示されていないが、底板121および側板126〜129の表面全体を覆うように、布もしくは不織布等の被覆シートが接着される。
【0007】
しかしながら、上記従来の中仕切り構造ではいずれも、容器内で物品を支持するための垂下片116〜119または支持片126〜129を折り曲げる作業が必要であって、中仕切りの容器内へのセット作業が極めて煩雑で、手間のかかる作業になるという問題点がある。
【0008】
また、従来構造では、1個の物品を収納することを前提にした構造であって、複数個の物品を同時に、かつ安定した状態で収納するという用途には適用できないという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述のような問題点を解消するためになされたもので、中仕切りを容器内に収納する作業を容易に行うことができ、しかも複数個の物品を収納する場合でも各物品を安定した状態で収納することのできる容器用中仕切りを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明による容器用中仕切りは、
天板と、該天板の四つの辺に折り曲げ線を介して連設される側板とを有し、容器内に装着して使用される容器用中仕切りにおいて、
前記天板に、物品収納用の複数個の抜き孔が設けられるとともに、互いに隣接する抜き孔間に形成される繋ぎ部の中央部にその繋ぎ部を横断する弱め線が形成され、物品が各抜き孔に挿入された際に前記弱め線が切断されて前記抜き孔の周辺部分が垂下片として下方に垂れて物品を支持するように構成されている
ことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の一態様として、天板と4つの側板とよりなり、下方が開放された容器用中仕切りであって、各側板が、天板側の辺に対して外周側の辺の長さが長い台形状に形成されるとともに、互いに対向する一対の側板の両端部に糊代片が設けられ、各糊代片が隣接する他の一対の側板の内面に接着されることにより、組立て時に下方に向かって末広がり状に形成されている容器用中仕切りとすることができる。
【0012】
また、本発明の他の態様として、天板と4つの側板と底板とよりなる箱型の容器用中仕切りであって、天板とその天板の長辺に連設される2つの側板と底板とが所要部を接着することにより一体に形成されるとともに、前記天板の短辺に連設される2つの側板が天板にのみ一体に形成され、底板に対して天板の長辺に連設される2つの側板と天板とがワンタッチで起立するように構成されている容器用中仕切りとすることができる。
【0013】
前記各発明において、前記天板の表面を完全に覆うように布もしくは不織布よりなる被覆シートが貼付されるのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数個の物品を収納するための抜き孔が形成され、互いに隣接する抜き孔間に繋ぎ部が形成されていて、物品が各抜き孔に挿入された際に繋ぎ部に形成された弱め線が切断されて垂下片として機能し、各物品を安定した状態で保持することができる。また、物品を支持するための垂下片を折り曲げる作業が不要であり、中仕切りを容器内に収納する作業の簡素化を図ることができる。また、物品収納前には繋ぎ部が中仕切りの剛性を高めて保形部材として機能するので、これによっても中仕切りの収納作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る容器用中仕切りのブランクの展開図
【図2】第1の実施形態の容器用中仕切りの組立て状態での斜視図
【図3】第1の実施形態の容器用中仕切りの物品収納状態での斜視図
【図4】本発明の第2の実施形態に係る容器用中仕切りのブランクの展開図
【図5】第2の実施形態の容器用中仕切りの組立て状態での斜視図
【図6】第1の従来例を示し、中仕切りのブランクの展開図(a)および中仕切りの組立て状態での斜視図(b)
【図7】第2の従来例を示し、中仕切りのブランクの展開図(a)および中仕切りの組立て状態での斜視図(b)
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明による容器用中仕切りの具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1には、本発明の第1の実施形態に係る容器用中仕切りのブランクの展開図が示され、図2には、本実施形態の容器用中仕切りの組立て状態での斜視図が示されている。また、図3には、本実施形態の容器用中仕切りの物品収納状態での斜視図が示されている。
【0018】
本実施形態の中仕切り1のブランク1´は、長方形の板紙により作製され、中央部に物品収納用の複数個(本実施形態では3個)の長円形もしくは長円の一部を切り欠いた形状の抜き孔2,3,4を有する矩形状の天板5と、この天板5の4つの辺に山折り線6,7,8,9を介してそれぞれ連設される側板10,11,12,13と、長辺側の側板10,12の両端部に山折り線14,15;16,17を介してそれぞれ連設される糊付片18,19;20,21とにより構成されている。
【0019】
各側板10〜13はそれぞれ山折り線6〜9側が上底、外周辺側が下底となる台形状に形成され、これによって中仕切り1に組み立てられた時(図2参照)に下部側(開口部側)が外方へ向けて末広がり状の(テーパの付いた)形状となるようにされている。このようにすることで、複数の中仕切り1を輸送、保管する際に、上下の中仕切り1を相互に嵌め合わせた状態で積み重ねることができ、省スペース化を図ることができる。
【0020】
天板5の外周部には、3個の抜き孔2,3,4を取り囲むように環状の山折り線22が形成されている。また、この山折り線22の4つのコーナ部から端部側の各抜き孔2,4に向けて傾斜状の切込み(もしくはミシン線)23,24;25,26がそれぞれ形成され、これによって山折り線22の一部を折り線とする台形状の折込みフラップ27,28が設けられている。この折込みフラップ27,28は、抜き孔2,4内にハムなどの物品を収納した際に下方に折り込まれることにより収納物品の側部を支持する垂下片(端部側垂下片)として機能する(図3参照)。このため、端部側の抜き孔2,4は、長円形の抜き孔の一側部に台形の頂部が張り出した形状となっている。これに対して、中央部の抜き孔3は長円形状とされている。
【0021】
また、互いに隣接する抜き孔2,3;3,4間には繋ぎ部29,30が設けられ、これら繋ぎ部29,30の中央部にはそれら繋ぎ部29,30を横断するミシン線(弱め線)31,32が設けられている。各抜き孔2,3,4に物品が収納されると、その収納物品に押されて繋ぎ部29,30がミシン線31,32の箇所で切断され、図3に示されているように、ミシン線31,32を境界線とする左側部分および右側部分が垂下片(側部側垂下片)33,34として下方に垂れて収納物品の端部および側部を支持する。
【0022】
本実施形態の中仕切り1においては、布製生地もしくは不織布よりなる被覆シート(図示せず)が側板10,11,12,13に接着されることにより天板5の表面がその被覆シートで被覆される。
【0023】
次に、上述のように構成されている中仕切り1を組立てて贈答箱本体内に挿入し、内容物を収納する手順について説明する。
【0024】
まず、ブランク1´において、天板5の外周縁となる山折り線6,7,8,9を折り曲げるとともに、側板10,12の両端部の山折り線14,15;16,17を折り曲げ、糊付片18,19;20,21をそれぞれ対応する側板13,11の内面に接着することによって、図2に示される中仕切り1を作成する。こうして作成された中仕切り1は、前述のように下部側が外方へ向けて末広がり状に形成されているので、相互に嵌め合わせた状態で積み重ねることができる。
【0025】
次に、図2に示されるように、組立てられた中仕切り1を、別途作成された箱本体(容器)35内に嵌め込むことにより、この中仕切り1と箱本体35の底板35aとの間に空間を有する二重底構造の容器を組立てる。この場合、中仕切り1は、既に糊貼りがなされて組立てられているので、従来のような側板の折り込み作業や、4つの側板を手で押さえながら箱本体35内に収納するといった煩雑な作業が不要で、ワンタッチで箱本体35内にセットすることができる。しかも、互いに隣接する側板10〜13同士が糊貼りされているので、側板の位置が不安定な従来例のものに比べて、中仕切りとしての剛性、強度を格段に向上させることができる。また、中仕切り1の組立て状態においては、天板5に3個の抜き孔2,3,4が形成されているが、隣接する抜き孔2,3;3,4間に形成された繋ぎ部29,30によって中仕切りの剛性が確保され、確実な保形がなされているので、箱本体35内へのセット作業が容易に行える。
【0026】
次いで、中仕切り1の抜き孔2,3,4にハム等の物品を収納すると、その収納時に繋ぎ部29,30がミシン線31,32の箇所で切断され、図3に示されているように、側部側垂下片33,34が下方に垂れ、かつ物品に押されて端部側垂下片(折込みフラップ)27,28が下方に垂れることにより収納物品の端部および側部が支持されて、複数個の物品を安定した状態で保持することができる。また、このように物品を支持するための垂下片33,34;27,28を折り曲げる必要がなく、作業の簡素化を図ることができる。
【0027】
(第2の実施形態)
図4には、本発明の第2の実施形態に係る容器用中仕切りのブランクの展開図が示され、図5には、本実施形態の容器用中仕切りの組立て状態での斜視図が示されている。
【0028】
本実施形態の中仕切り40のブランク40´は、長方形の板紙により作製され、中央部に物品収納用の複数個(本実施形態では3個)の矩形状の抜き孔41,42,43を有する矩形状の天板44と、この天板44の4つの辺に山折り線45,46,47,48を介してそれぞれ連設される側板49,50,51,52と、長辺側の一方の側板51に山折り線53を介して連設される底板54と、この底板54に山折り線55を介して連設される糊付片56とにより構成されている。
【0029】
一端側の抜き孔41の端部側および両側部側には、天板44の外周部に部分的に形成された直線状の山折り線57,58,59を折り線とする略台形状の折込みフラップ60,61,62がそれぞれ設けられている。同様に、他端側の抜き孔43の端部側および両側部側にも、直線状の山折り線63,64,65を折り線とする略台形状の折込みフラップ66,67,68がそれぞれ設けられている。また、中央部の抜き孔42の両側部側には、直線状の山折り線69,70を折り線とする略台形状の折込みフラップ71,72がそれぞれ設けられている。これら折込みフラップ60,61,62,66,67,68,71,72は、抜き孔42,43,44内にハムなどの物品を収納した際に下方に折り込まれることにより収納物品の側部および端部を支持する垂下片として機能する。
【0030】
また、互いに隣接する抜き孔41,42;42,43間には繋ぎ部73,74が設けられ、これら繋ぎ部73,74の中央部にはそれら繋ぎ部73,74を横断するミシン線(弱め線)75,76が設けられている。各抜き孔41,42,43に物品が収納されると、その収納物品に押されて繋ぎ部73,74がミシン線75,76の箇所で切断され、下方に垂れて収納物品の側部を支持する。
【0031】
本実施形態の中仕切り40のブランク40´においては、天板44の外周縁となる山折り線45,46,47,48を折り曲げるとともに、底板54の両側部の山折り線53,55を折り曲げ、糊付片56を対応する側板49の内面に接着することによって、図5に示される中仕切り40を作成する。こうして作成された中仕切り40は、側板50,52が糊付けされていないので、側板49,51を扁平に押し潰された形態(輸送・保管形態)からワンタッチで引き起こすことで、箱形状に成形することができる。
【0032】
本実施形態の中仕切り40においても、第1の実施形態の中仕切り1と同様、ワンタッチで中仕切り40を組立てることができる上、この組立て状態においては、隣接する抜き孔41,42;42,43間に形成された繋ぎ部73,74によって中仕切りの剛性が確保されているので、箱本体内へのセット作業を容易に行うことができる。また、中仕切り40の抜き孔41,42,43にハム等の物品を収納すると、その収納時に繋ぎ部73,74がミシン線75,76の箇所で切断され、物品の外周部を取り囲むように設けられた各垂下片により収納物品の端部および側部が支持されて、複数個の物品を安定した状態で保持することができる。また、このような垂下片を折り曲げる作業も不要である。なお、本実施形態の中仕切り40においても、天板44の表面が被覆シートにより被覆される。
【0033】
本実施形態の中仕切り40によれば、天板44と側板49〜52に加えて底板54を有しているので、第1の実施形態のものに比べて更に強度の向上が図れるとともに、箱本体の底板上に別部材としての底パッドを挿入するのを省略することができるという利点もある。
【0034】
前記各実施形態の中仕切り1,40において、抜き孔の形状および垂下片の形状は上記実施形態のものに限定されず、いろいろな形状のものを採用することができる。また、抜き孔の個数は3個に限定されるものではない。
【0035】
前記各実施形態の中仕切り1,40に収納される物品はハムに限定されるものではなく、果物、ワイン、コップなどのガラス容器、陶器等、種々のものに適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の容器用中仕切りは、贈答用ハムなどの商品を複数個並べて収納するのに使用して好適であり、商品保護のための緩衝性および商品を引き立たせるための装飾性等を兼ね備えたものである。
【符号の説明】
【0037】
1,40 中仕切り
2,3,4,41,42,43 抜き孔
5,44 天板
18,19,20,21,56 糊付片
27,28,60,61,62,66,67,68,71,72 折込みフラップ(垂下片)
29,30,73,74 繋ぎ部
31,32,75,76 ミシン線(弱め線)
33,34 垂下片
35 箱本体
54 底板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、該天板の四つの辺に折り曲げ線を介して連設される側板とを有し、容器内に装着して使用される容器用中仕切りにおいて、
前記天板に、物品収納用の複数個の抜き孔が設けられるとともに、互いに隣接する抜き孔間に形成される繋ぎ部の中央部にその繋ぎ部を横断する弱め線が形成され、物品が各抜き孔に挿入された際に前記弱め線が切断されて前記抜き孔の周辺部分が垂下片として下方に垂れて物品を支持するように構成されていることを特徴とする容器用中仕切り。
【請求項2】
天板と4つの側板とよりなり、下方が開放された容器用中仕切りであって、各側板が、天板側の辺に対して外周側の辺の長さが長い台形状に形成されるとともに、互いに対向する一対の側板の両端部に糊代片が設けられ、各糊代片が隣接する他の一対の側板の内面に接着されることにより、組立て時に下方に向かって末広がり状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の容器用中仕切り。
【請求項3】
天板と4つの側板と底板とよりなる箱型の容器用中仕切りであって、天板とその天板の長辺に連設される2つの側板と底板とが所要部を接着することにより一体に形成されるとともに、前記天板の短辺に連設される2つの側板が天板にのみ一体に形成され、底板に対して天板の長辺に連設される2つの側板と天板とがワンタッチで起立するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の容器用中仕切り。
【請求項4】
前記天板の表面を完全に覆うように布もしくは不織布よりなる被覆シートが貼付されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の容器用中仕切り。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−269837(P2010−269837A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124987(P2009−124987)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(500122787)株式会社オカモト紙工 (2)
【Fターム(参考)】